JP4643374B2 - 二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物、該組成物からなる二酸化炭素固定化成型体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、二酸化炭素抑制対策の柱の一つに「革新的技術開発の強化」が揚げられており、省エネ、太陽光発電などの技術と並んで、いったん排出された二酸化炭素を貯蔵・固定化する技術の開発が揚げられている。具体的な研究課題として、プランクトンなどの海洋生物や、樹木などの利用技術、電気化学的手法、地中隔離などの技術が提案されているが、二酸化炭素をいかに効率よく、低コストで固定するかが将来的な課題として研究途上である。
Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
上式の反応により、大気中の二酸化炭素が炭酸カルシウムとしてコンクリート中に固定され、大気中の二酸化炭素がコンクリート成型体への固定化により減少することになる。コンクリート中の炭酸カルシウムは安定な反応物として存在し、極めて分解しにくいため、二酸化炭素はそのままコンクリート中に固定される状態が続く。このような反応は、通常、大気中の二酸化炭素が徐々にコンクリート成型体中に浸透、拡散し、セメント水和物中に含まれる水酸化カルシウムと接触することにより生起、進行する。
一方、コンクリート成型体に透水性、通気性を与えたり、爆裂を防止するなどの目的で、種々の多孔質コンクリートが提案されている。
本発明の別の目的は、このような二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物を用いて作製された二酸化炭素固定化成型体、及び、該二酸化炭素固定化成形体を効率よく得るための製造方法を提供することにある。
即ち、本発明の二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物は、水、セメント、混和材料、骨材、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート又はポリカプロラクトンから選ばれる単量体から形成される構造単位を含む単独重合脂肪族ポリエステル樹脂であるアルカリ分解性樹脂微粒子もしくはアルカリ分解性樹脂からなる有機繊維を下記条件(A)を満たす量で含有し、且つ、ブレーン比表面積が3000cm 2 /g以上である酸化カルシウム微粉末を下記条件(B)を満たす量で含有するコンクリート組成物であって、該コンクリート組成物を硬化させることで、表層部に、直径10μm〜200μmの空隙もしくは同径の断面を有する空洞孔を0.05容積%〜10容積%設けてなる成型体が得られることを特徴とする。
条件(A):前記アルカリ分解性樹脂からなる微粒子もしくは有機繊維を前記コンクリート組成物全量に対し0.02〜1.0体積%含有する。
条件(B):前記ブレーン比表面積が3000cm 2 /g以上である酸化カルシウム微粉末を、前記コンクリート組成物中に0.5容積%〜2.0容積%の範囲で含有する。
このようなコンクリート組成物においては、水とセメント(結合材)の重量比が30%以上70%以下であることが好ましい。
条件(A):前記アルカリ分解性樹脂からなる微粒子もしくは有機繊維を前記コンクリート組成物全量に対し0.02〜1.0体積%含有する。
条件(B):前記ブレーン比表面積が3000cm 2 /g以上である酸化カルシウム微粉末を、前記コンクリート組成物中に0.5容積%〜2.0容積%の範囲で含有する。
この二酸化炭素固定化成型体の空隙を有する領域は、コンクリート成型体の表面からの深さ方向で0〜100mmの範囲、即ち、少なくとも表面に露出する領域から深さ100mmの範囲に存在することが好ましい。
また、本発明の請求項6に記載の二酸化炭素固定化成型体の製造方法は、前記本発明の二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物のいずれかを混練し、成型、硬化した後、アルカリによりコンクリート組成物中に含まれる樹脂微粒子もしくは樹脂からなる有機繊維が分解して、二酸化炭素の固定化に有用な空隙を有する表層部が形成されることを特徴とする。
コンクリート中の炭酸ガスの固定化は、前述の如く以下の反応式(1)に従って進行する。
Ca(OH)2+CO2 → CaCO3+H2O (1)
ここで、コンクリート組成物に酸化カルシウム微粉末を添加すると、下記反応式(2)で示される如き反応が進行することで、微細な空隙中において、水和反応によりセメント水和物中にCa(OH)2が生成される。従って、上記反応式(1)による炭酸ガスの固定化が促進されるものと推定される。
CaO+H2O → Ca(OH)2+Q (2)
本発明における如き空隙は、個々の空隙の体積が微細であり、コンクリート成型体が本来有する圧縮強度などの力学的特性を大きく低下させる懸念がない。また、このような空隙は、必ずしも成形体の全体に存在しなくても、少なくとも二酸化炭素と接触しやすい成型体の表層部のみに存在すれば本発明の効果を奏するため、表層部のみに空隙を存在させることでより一層の強度低下抑制を図ることができる。
また、本発明によれば、前記した二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物を用いることで、強度と二酸化炭素固定化能に優れた二酸化炭素固定化成型体を提供することができ、また、本発明の製造方法によれば、前記本発明の二酸化炭素固定化成形体を効率よく得ることができる。
前記混和材料としては特に制限はなく形成されるセメント系成型体の用途に応じて、各種セメント、コンクリート用混和材料から適宜種類、使用量を選択できる。混和材料としては、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフュームなどが一般的に使用できる。
また、骨材の種類や量は特に制限はなく、形成される成型体の用途に応じて、骨材の種類及び配合割合を適宜選択することができる。
即ち、脂肪族ポリエステルは、コンクリート組成物に混入する前は、繊維強度が十分に高く、良好な取扱い性を有しているが、コンクリート組成物に混入させて、硬化させ、セメント系成型体を形成した場合、アルカリ雰囲気に曝されることで、繊維を構成する樹脂が加水分解して低分子化し、ガス化し、成型体中で良好な空隙を形成するという観点から特に好ましい。
本発明において用いられる脂肪族ポリエステル樹脂は、単独重合樹脂、共重合樹脂のいずれであってもよいが、自己縮重合および/または開環重合によって得られる単独重合樹脂が好ましい。このような単独重合脂肪族ポリエステル樹脂は公知の種々の樹脂を用いることができるが、より具体的には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレートおよびポリカプロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
前記例示の単独重合脂肪族ポリエステル樹脂は、いずれも生分解性樹脂として知られているが、アルカリ雰囲気下で加水分解して容易に低分子量化するため、本発明に好適に用いられる。
これらの樹脂の中で、経済性や、カーボンニュートラル、効果などの点から、特に発酵法による乳酸を原料とするポリ乳酸が好ましい。
本発明においては、樹脂微粒子、有機繊維の素材として、これらの脂肪族ポリエステル樹脂を、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、前記の脂肪族ポリエステル樹脂には、成形性、紡糸性や、繊維にした場合のアルカリ加水分解性以外の物性を向上させるなどのために、本発明の目的が損なわれない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニールアルコール、ポリアセタール、芳香族ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミドなどを併用してもよく、また、可塑剤等の公知の添加剤を適宜添加することもできる。
脂肪族ポリエステル樹脂をコンクリート組成物に配合する場合、効果の観点から、微粒子としては、平均粒径が10〜500μmの範囲のものが好ましく、20〜200μmのものがさらに好ましい。
なお、微粒子の粒径、有機繊維の形状は、電子顕微鏡或いは高倍率の光学顕微鏡による映像を用いて常法により測定することができる。
コンクリート組成物中の樹脂微粒子或いは有機繊維の配合量としては、二酸化炭素固定化能や構造体の強度などを考慮すると、コンクリート組成物の全量に対し、0.02〜1.0体積%の範囲であることを要し、より好ましくは0.05〜0.5体積%、さらに好ましくは0.1〜0.3体積%である。
本発明に用いうるCaO微粉末としては、CaOを含有し、且つ、ブレーン比表面積が3000cm2/g以上であるものを用いる。
CaOを主成分とする微粉末は、生石灰や石灰系膨脹材などをブレーン比表面積が3000cm2/g以上の微粉末状に粉砕したものを用いることができる。このような微粉末は、石灰系混和材と同様に、混和材料としても使用することができる。
微粉末のブレーン比表面積は3000cm2/g以上であることを要し、3000〜4000cm2/gの範囲であることがより好ましい。なお、微粉末のブレーン比表面積は、JIS R 5201 に記載のブレーン法により、或いは、レーザー回析粒度計を用いる方法により、測定することができる。
コンクリート組成物中の水とセメントの重量比は、形成されるコンクリート組成物からなる成型体の用途に応じて適宜選択することができるが、大気中の二酸化炭素との炭酸化反応を促進するためには、水と結合材の重量比は30%以上70%以下が好ましく、より好ましくは40%以上65%以下である。
本発明のコンクリート組成物を硬化させて得られる成型体は、表層部に、直径10μm〜200μmの空隙もしくは同径の断面を有する空洞孔を、0.05容積%〜10容積%の範囲で有する。この空隙は、コンクリート組成物に含有するアルカリ分解性樹脂の微粒子や該樹脂からなる有機繊維を、コンクリート硬化後、アルカリ雰囲気下に晒すなどの手段により、これらの樹脂を分解、減容させて形成することができる。空隙のサイズや密度(存在量)は、含有させる樹脂微粒子或いは樹脂からなる有機繊維のサイズ、添加量などにより容易に調整することができる。
前記セメント成型体としては、水、セメント、混和材料、骨材、化学混和剤よりなるコンクリート組成物であり、形成されるセメント系成型体の用途に応じて各種材料の、重量比を適宜調整することができる。
アルカリ雰囲気下に暴露した場合には、アルカリに接触した成形体の表面領域から徐々に樹脂が分解(/減容)し、空隙が形成される。アルカリ雰囲気の特性やアルカリ雰囲気への接触条件を制御することにより、コンクリート成型体の表層部のみに空隙を形成することができる。また、空隙形成用の分解性樹脂を含まないコンクリート組成物による成型体の表面に空隙形成用の分解性樹脂を含んだコンクリートを打設、硬化して空隙を形成させることにより、表層部のみに空隙を有する成型体を形成することもできる。
このように、空隙は少なくとも二酸化炭素の固定化に関与する表層部に形成されていればよいが、コンクリートのさらなる深部まで均一に形成されていてもかまわない。しかしながら、前述のように、深部に存在する空隙は二酸化炭素の固定化の観点からは有用性は低い。
本発明のコンクリート組成物からなる二酸化炭素固定化成形体は、従来のセメントコンクリート組成物からなる成形体に比較して大気中の二酸化炭素による炭酸化反応が促進され、セメント成型体中に二酸化炭素が効率よく固定され、固定化量が増大する効果を持つとともに、その力学特性は従来のコンクリート組成物からなる成形体と同程度に維持することができる。
(実験例:コンクリート組成物の配合)
普通ポルトランドセメントと水、砂(骨材)を含有するセメント組成物100質量部中に、下記表1に示す量の分解性樹脂からなる有機繊維及び酸化カルシウム微粉末を配合して、水/セメント組成物比(W/C 比)が50%、セメント組成物と砂の比率が1/3のモルタルを調製してコンクリート組成物を調製した。
セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)比重3.15
水:水道水
砂:木更津産山砂、表乾密度2.65g/cm3、吸水率0.46%、実積率60.4%、粗粒率6.70
AE減水剤:チューポールEX20(竹本油脂社製)
消泡剤:AFK−2(竹本油脂社製)
酸化カルシウム微粉末:石灰系膨脹材(太平洋セメント社製、エキスパン:主成分がCaOである、ブレーン比表面積が約3500cm2/gの微粉末:表1中には「CaO微粉末」と記載)
表1にコンクリート組成物の配合を示す。表中で使用した各材料の詳細は上記の通りである。なお、下記表1中、W/Cは、水/結合材比を表す。
前記表1に記載のコンクリート組成物について、水、セメント、砂および有機繊維または樹脂微粒子を所定量ミキサ(ホバート社製 SK−30Sミキサ、容量30L)に投入し、3分間練り混ぜた。この際、練りあがったモルタルの空気量が一定の値(5.0容量%)と成るよう、AE減水剤および消泡剤を適量添加し調整した。練り混ぜ後、型枠内に成型し、硬化し、二酸化炭素固定化成型体を得た。これらの成型体について、以下に示す各試験行った。これらの結果を下記表2に示す。なお、ポリ乳酸繊維は、セメント水和物中に一定期間、具体的には、9週間以上おくことにより、減容し、空隙が形成される。
1.圧縮強度
JIS R 5201に準じて圧縮強度を測定した。
2.中性化深さ
材齢9週まで20℃水中養生を施した後、20℃・相対湿度60%・炭酸ガス濃度5%の環境で4週間静置して促進中性化を行った。促進中性化後、モルタル断面にフェノールフタレイン1%アルコール溶液を塗布して中性化深さを確認した。中性化深さが深いほど多くの二酸化炭素が中性化により固定化されたことになり好ましい。
3.炭酸化量
中性化深さ試験と同様に材齢9週まで20℃水中養生を施した後、20℃・相対湿度60%・炭酸ガス濃度5%の環境で4週間静置して促進中性化を行った。静置後、試験体をボールミルで粉砕し,#200ふるいを通過するものをスクリーニングし,全炭素量分析計(島津製作所社製TOC−SSM5000A)を用いて粉末試料中の炭素質量を測定し、炭素質量から二酸化炭素質量に換算し、試料の全容積に対する二酸化炭素質量として、CO2固定化量を求めた。数値が大きいほど、多くの二酸化炭素が固定化されたことになり、好ましい。
Claims (5)
- 水、セメント、混和材料、骨材、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート又はポリカプロラクトンから選ばれる単量体から形成される構造単位を含む単独重合脂肪族ポリエステル樹脂であるアルカリ分解性樹脂微粒子もしくはアルカリ分解性樹脂からなる有機繊維を下記条件(A)を満たす量で含有し、且つ、ブレーン比表面積が3000cm 2 /g以上である酸化カルシウム微粉末を下記条件(B)を満たす量で含有するコンクリート組成物であって、該コンクリート組成物を硬化させることで、表層部に、直径10μm〜200μmの空隙もしくは同径の断面を有する空洞孔を0.05容積%〜10容積%設けてなる成型体が得られることを特徴とする二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物。
条件(A):前記アルカリ分解性樹脂からなる微粒子もしくは有機繊維を前記コンクリート組成物全量に対し0.02〜1.0体積%含有する。
条件(B):前記ブレーン比表面積が3000cm 2 /g以上である酸化カルシウム微粉末を、前記コンクリート組成物中に0.5容積%〜2.0容積%の範囲で含有する。 - 前記水とセメントとの質量比が30%以上70%以下であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート組成物。
- 水、セメント、混和材料、骨材、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート又はポリカプロラクトンから選ばれる単量体から形成される構造単位を含む単独重合脂肪族ポリエステル樹脂又は共重合脂肪族ポリエステル樹脂であるアルカリ分解性樹脂微粒子もしくはアルカリ分解性樹脂からなる有機繊維を下記条件(A)を満たす量で含有し、且つ、ブレーン比表面積が3000cm 2 /g以上である酸化カルシウム微粉末を下記条件(B)を満たす量で含有するコンクリート組成物を硬化させてなる、表層部に、直径10μm〜200μmの空隙もしくは同径の断面を有する空洞孔を0.05容積%〜10容積%設けてなることを特徴とする二酸化炭素固定化成型体。
条件(A):前記アルカリ分解性樹脂からなる微粒子もしくは有機繊維を前記コンクリート組成物全量に対し0.02〜1.0体積%含有する。
条件(B):前記ブレーン比表面積が3000cm 2 /g以上である酸化カルシウム微粉末を、前記コンクリート組成物中に0.5容積%〜2.0容積%の範囲で含有する。 - 前記二酸化炭素固定化成型体の空隙を有する領域が、コンクリート成型体の表面からの深さ方向で0〜100mmの範囲に存在する請求項3に記載の二酸化炭素固定化成型体。
- 前記請求項1又は請求項2に記載の二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物を混練し、成型、硬化した後、アルカリによりコンクリート組成物中に含まれる樹脂微粒子もしくは樹脂からなる有機繊維が分解して、二酸化炭素の固定化に有用な空隙を有する表層部が形成されることを特徴とする二酸化炭素固定化成型体の製造方法。
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