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JP5189262B2 - 二酸化炭素固定化コンクリート構造物 - Google Patents
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JP5189262B2 - 二酸化炭素固定化コンクリート構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、セメント系材料の反応を利用して大気中の二酸化炭素を効率よく固定化する表面を有する二酸化炭素固定化コンクリート構造物に関する。
我国のCO排出量は年間約12億5000万トンに達し、世界の約5.1%を占めるに至っている。1997年の京都議定書における我国のCO排出量削減の目標値は1990年比6%削減であるが、現行の対策では、7%の増加となることが予想され、内閣に設置された地球温暖化対策推進本部を中心に関係各分野での早急な有効方策の実施が求められている。
一方、CO抑制対策の柱の一つに「革新的技術開発の強化」が揚げられており、省エネ、太陽光発電などの技術と並んで、いったん排出されたCOを貯蔵・固定化する技術の開発が揚げられている。具体的な研究課題として、プランクトンなどの海洋生物や、樹木などの利用技術、電気化学的手法、地中隔離などの技術が提案されているが、COをいかに効率よく、低コストで固定するかが将来的な課題として研究途上である。
土木建築構造物に使用されるセメントコンクリートは、硬化後、主要な化学成分である、水酸化カルシウムや、カルシウムシリケート水和物が大気中のCOと反応し、炭酸カルシウムを生じる過程で徐々にアルカリ性を失う、いわゆる炭酸化・中性化現象を生じる性質がある。炭酸化・中性化現象は、コンクリート中の鉄筋の発錆につながるため、従来は炭酸化を抑制する技術が多く研究されてきた。本発明は、逆にこの反応を利用することにより、建物の外壁を構成するセメントコンクリート成型体にCOを積極的に固定する技術を提案するものである。
一般のコンクリートの炭酸化反応は、硬化したセメント水和物に含まれる水酸化カルシウムが大気中よりコンクリートに浸透した二酸化炭素と反応し炭酸カルシウムを生じる以下の反応式で表すことができる。
Ca(OH) + CO → CaCO + H
上式の反応により、大気中の二酸化炭素が炭酸カルシウムとしてコンクリート中に固定され、大気中の二酸化炭素がコンクリート成型体への固定化により減少することになる。コンクリート中の炭酸カルシウムは安定な反応物として存在し、極めて分解しにくいため、二酸化炭素はそのままコンクリート中に固定される状態が続く。このような反応は、通常、大気中の二酸化炭素が徐々にコンクリート成型体中に浸透、拡散し、セメント水和物中に含まれる水酸化カルシウムと接触することにより生起、進行する。
従来、一般的に使用されるコンクリート成型体は、コンクリートの微細構造が緻密であり、気体の拡散係数が小さく、大気中の二酸化炭素の浸透速度は極めて緩慢であるため、上式で表される如き炭酸化の進行速度は極めて緩やかであり、大気中の二酸化炭素を固定化する特性は極めて弱いといえる。例えば、一般の土木建築物のコンクリートでは、表層から20mm程度の深さまで炭酸化反応が進行するには約50年程度の時間を要し、コンクリート中への二酸化炭素の固定量も限定されている。
一方、コンクリート成型体に透水性、通気性を与えたり、爆裂を防止するなどの目的で、種々の多孔質コンクリートが提案されている。
例えば、骨材とセメントとの配合量を調整し、骨材間に空隙を保持させて多孔質コンクリートを得る方法(例えば、特許文献1〜3参照。)や、軽量気泡コンクリートいわゆるALCコンクリートのように大量の空気をコンクリート中に連行する方法、空隙形成材料をコンクリート組成物に混入し、硬化後に空隙材料を収縮或いは分解させ空隙を形成する方法(例えば、特許文献4参照。)などが提案されている。しかしながら、これらの方法では、形成される空隙の体積が大きいため、コンクリートの圧縮強度や曲げ強度など力学特性が大きく損なわれる欠点があり、また、空隙面積が大きいために、二酸化炭素の吸着に有用なコンクリート表面積の増加が十分に得られず、二酸化炭素を効果的に固定化するには至っておらず、従って構造物として優れた二酸化炭素固定化能を有するものも未だ実現していないのが現状である。
また、耐爆裂性のコンクリート組成物は、セメントや骨材に加えて熱分解性の有機繊維などを含有するものであるが(例えば、特許文献5参照。)、この組成物は高温に晒されて初めて空気や水蒸気を透過させるための微細な空隙を生じるものであり、通常時には二酸化炭素を浸透、吸着させる機能を有しないものである。
特開平8−105052号公報 特開平9−205875号公報 特開平11−268969号公報 特開2003−277164公報 特開2000−143322公報
上記問題点を考慮してなされた本発明の目的は、従来のセメントモルタル、コンクリートの炭酸化反応における、気体のコンクリート中への浸透速度が遅く、炭酸化反応の進行が極めて緩慢であるという欠点を是正し、大気中の二酸化炭素を効果的に固定化しうる表面を有する二酸化炭素固定化コンクリート構造物を提供することにある。
本発明者らは、モルタル、コンクリート中へ大気中の二酸化炭素を大幅に浸透しやすくし、効率よく二酸化炭素を固定化しうる炭酸化反応を非常に促進するコンクリートの表層部を、ビルなどの建築物、ダムや橋脚などの土木構造物に適用することで、上記問題点を解決しうることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明の二酸化炭素固定化コンクリート構造物は、水、セメント、混和材料、骨と、平均粒径が10μm〜500μmのアルカリ分解性樹脂微粒子、アルカリ分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維、平均粒径が10μm〜500μmの紫外線分解性樹脂微粒子、及び、紫外線分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維のうち少なくとも1種と、を含有する二酸化炭素固定化成形体形成用コンクリート組成物を硬化して得られたコンクリート構造物であって、該構造物の表層部に、直径10μm〜200μmの空隙もしくは直径10μm〜200μmの断面を有する空洞孔を、0.05容積%〜10容積%有し、該表層部において大気中の二酸化炭素を固定化する二酸化炭素固定化成型体を備え、且つ、表面を防錆処理した鉄筋若しくは鉄骨、ステンレススチール、チタン、ニッケル、及びセラミック材料から選択される補強材を備えてなる、ことを特徴とする。
前記二酸化炭素固定化コンクリート構造物としては、水、セメント、混和材料、骨材に、平均粒径が10μm〜500μmのアルカリ分解性樹脂微粒子、アルカリ分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維、平均粒径が10μm〜500μmの紫外線分解性樹脂微粒子、及び、紫外線分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維のうち少なくとも1種を含有する二酸化炭素固定化成形体形成用コンクリート組成物を混練し、成型、硬化した後、アルカリ或いは紫外線によりコンクリート組成物中に含まれる樹脂微粒子もしくは樹脂からなる有機繊維が分解し、二酸化炭素の固定化に有用な空隙を有する表層部が形成されてなるものを用いればよい。
二酸化炭素固定化成形体形成用コンクリート組成物には、前記空隙を形成するための分解性有機材料に加え、二酸化炭素吸収を有する種々の化合物を添加することができる。
該組成物により作製された二酸化炭素固定化用表層部をコンクリート構造物の表面に配置する方法としては、前記したような微細な空隙を形成しうる二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物を、コンクリート構造物を形成する際に、直接打設し、硬化させることで、空隙を有する二酸化炭素固定化用表層部をコンクリート構造物の表面に配置する方法をとることができる。
二酸化炭素固定化成形体としては、プレストレス化された成形体であり、PC鋼材で構成された枠体により補強されているものを用いることも可能であり、このような態様をとることで、より深部まで二酸化炭素固定化能を付与しうる構造部材を提供することが可能となる。
本発明のコンクリート構造物においては、配置される二酸化炭素固定化成型体の表面における二酸化炭素固定化量が2.0g/m以上であることが好ましい。通常のンクリート構造物の表面における二酸化炭素固定化量は、0.30〜0.40g/mであることを考慮すれば、本発明のコンクリート構造物においては優れた二酸化炭素固定化能を有することがわかる。本発明の構造物における二酸化炭素固定化能は、構造物を構成するコンクリート組成物に混入する繊維量やその特性、或いは、コンクリート組成物自体の配合を調製することでさらなる増加を図ることも可能である。
セメントモルタル、コンクリートの炭酸化は、セメントの水和反応によってセメント水和物中の細孔中に生じた水酸化カルシウムが大気中よりコンクリート中に浸透した二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなる反応によって生じる。炭酸カルシウムは化学的に安定な化合物であり、通常の環境条件のコンクリート中では分解されにくいため、コンクリート中に浸透した二酸化炭素は炭酸カルシウムとしてコンクリート中に固定されることになる。
本発明によれば、モルタル、コンクリート中のセメント水和物の炭酸化反応を促進するため、より多くの二酸化炭素がモルタル、コンクリート中に浸透するよう、モルタル、コンクリートの表層部に多数の微細な空隙が形成された成形体を構造物表面に配置しているため、成形体表面におけるコンクリート表面から深部への透気性向上と、コンクリート内部で二酸化炭素と接触するための表面積の大幅な増大により、構造物の表面全体で空気中の二酸化炭を効果的に固定化することができる。また、個々に配置された成形体における空隙は微細で、且つ、その存在が二酸化炭素と接触しやすい成型体の表層部に存在すればその効果を奏するため、コンクリート成型体が本来有する圧縮強度などの力学的特性を維持しうるものである。
また、このような微細な空隙は、コンクリート組成物中に平均粒径が10μm〜500μmのアルカリ分解性樹脂微粒子、アルカリ分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維、平均粒径が10μm〜500μmの紫外線分解性樹脂微粒子、及び、紫外線分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維のうち少なくとも1種を含有させることにより容易に形成することができる。
本発明では、コンクリート中に前記の如き手段により微細な空隙を形成する方法により、コンクリート中のセメント量を大きく低下させることなく、またコンクリートの力学特性を損なうことなく、二酸化炭素の浸透量を増加させることが可能となった。このような微細な空隙の大きさとしては、直径10μm〜200μmの空隙もしくは同径の断面を有する空洞孔であって、表層部におけるコンクリート容積に対して0.05%〜10%設けることが望ましい。
本発明によれば、大気中の二酸化炭素を効果的に固定化しうる表面を有する二酸化炭素固定化コンクリート構造物を提供することができる。このようなコンクリート構造物によれば、その建設から継続的に大気中の二酸化炭素を効果的に固定化しうるため、大気中の二酸化炭素減少に有用である。
本発明のコンクリート構造物はその表面に、水、セメント、混和材料、骨材を含有するコンクリート組成物を硬化して得られ、表層部に空隙を有し、該表層部において、大気中の二酸化炭素を固定化しうる二酸化炭素固定化成型体を配置してなる。
本発明におけるコンクリート構造物とは、大気と接する表面を有する構造物であって、該構造物の大気と接する表面の少なくとも一部が二酸化炭素固定化成型体からなるものであり、具体的には、例えば、戸建て住宅、ビルディングなどの建築物、橋脚、ダム、擁壁、法面吹き付けコンクリートなどの土木構造物、コンクリート製の敷石、塀、或いは、コンクリート製のオブジェなどであって、上記条件を満たすものを指す。
以下、本発明に用いられる二酸化炭素固定化成形体とその配置方法について、順次説明する。
本発明のコンクリート構造物の表面に配置される大気中の二酸化炭素を固定化しうる二酸化炭素固定化成型体は、表層部に、直径10μm〜200μmの空隙もしくは同径の断面を有する空洞孔を、0.05容積%〜10容積%の範囲で設けてなるものである。この空隙は、平均粒径が10μm〜500μmのアルカリ分解性樹脂微粒子、アルカリ分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維、平均粒径が10μm〜500μmの紫外線分解性樹脂微粒子、及び、紫外線分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維のうち少なくとも1種をコンクリート組成物中に含有させ、コンクリート硬化後、アルカリ雰囲気下に晒す、自然光、或いは、人工的に紫外線を照射するなどの手段により、これらの樹脂を分解、減容させて形成される。空隙のサイズや密度(存在量)は、含有させる樹脂微粒子或いは樹脂からなる有機繊維のサイズ、添加量などにより容易に調整することができる。
本発明の効果は、表層部における空隙、空洞孔の存在により達成される。本発明でいう表層部とは、コンクリート成型体の断面において表面からの深さ方向で0〜100mm程度、即ち、大気と接触する最表面から100mmの深さの範囲を指し、この領域に前記の如き空隙、空洞孔を有することで本発明の効果を達成しうる。空隙は、成型体のさらなる深部まで均一に存在していてもよいが、深さ方向の表面近傍のみに形成されていてもよい。コンクリート成形体自体が、鋼材や枠材などの補強材により強度を維持されている場合には、成形体の底部まで空隙が存在することで、構造物の配置位置によっては、裏面における炭酸ガスの固定化も期待できるものとなる。
これら空隙を形成する樹脂は、アルカリ雰囲気下、或いは、紫外線照射により分解して減容、或いは消滅する特性を有するものであれば、特に制限はないが、アルカリにより速やかに加水分解する脂肪族ポリエステル、ポリアクリル酸などの生分解性樹脂、アルカリにより加水分解するポリエチレンテレフタレート等や、紫外線照射により分解するポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂などが好ましく挙げられる。
なかでも、脂肪族ポリエステルは、コンクリート組成物に混入する前は、繊維強度が十分に高く、良好な取扱い性を有しているが、コンクリート組成物に混入させて、硬化させ、セメント系成型体を形成した場合、アルカリ雰囲気に曝されることで、繊維を構成する樹脂が加水分解して低分子化し、ガス化し、成型体中で良好な空隙を形成するという観点から特に好ましい。
このようなアルカリ雰囲気下において加水分解性を有する樹脂として、まず、脂肪族ポリエステル樹脂を例に挙げて説明する。
本発明において用いられる脂肪族ポリエステル樹脂は、単独重合樹脂、共重合樹脂のいずれであってもよいが、自己縮重合および/または開環重合によって得られる単独重合樹脂が好ましい。このような単独重合脂肪族ポリエステル樹脂は公知の種々の樹脂を用いることができるが、より具体的には、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ3−ヒドロキシブチレートおよびポリカプロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
前記例示の単独重合脂肪族ポリエステル樹脂は、いずれも生分解性樹脂として知られているが、アルカリ雰囲気下で加水分解して容易に低分子量化するため、本発明に好適に用いられる。
また、本発明においては、ポリマー分子内に、前記各樹脂の構成単位を2種以上有する共重合脂肪族ポリエステル樹脂、あるいは前記各樹脂の構成単位とその他の構成単位を有する共重合脂肪族ポリエステル樹脂も用いることができる。
これらの樹脂の中で、経済性や、カーボンニュートラル、効果などの点から、特に発酵法による乳酸を原料とするポリ乳酸が好ましい。
本発明においては、樹脂微粒子、有機繊維の素材として、これらの脂肪族ポリエステル樹脂を、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
空隙を形成する場合、脂肪族ポリエステル樹脂は、乳化重合、造粒、紡糸など公知の方法により繊維状或いは、微粒子状に成形して用いる。有機繊維に成形する場合、その紡糸方法については特に制限はなく、従来、熱可塑性樹脂の紡糸において慣用されている公知の方法の中から、任意の方法を適宜選択して用いることができる。また、紡糸繊維を、必要に応じ公知の方法で延伸処理してもよい。繊維状に成形された樹脂は、コンクリート内部で、細長い連続的な空隙を形成するため、不定形や微粒子状の樹脂に比較して本発明の効果が向上するため好ましい。
また、前記の脂肪族ポリエステル樹脂には、成形性、紡糸性や、繊維にした場合のアルカリ加水分解性以外の物性を向上させるなどのために、本発明の目的が損なわれない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニールアルコール、ポリアセタール、芳香族ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミドなどを併用してもよく、また、可塑剤等の公知の添加剤を適宜添加することもできる。
このような素材からなる本発明のセメント系成型体用有機繊維は、アルカリ雰囲気下において加水分解性を有しており、したがって、セメント配合物に混入させて、セメント系成型体を形成した場合、セメント水和物が本来有するアルカリ雰囲気に曝されることで、該繊維を構成する樹脂が加水分解する。例えば、ポリ乳酸繊維を用いた場合、セメント水和物中に一定期間、具体的には、9週間以上おくことにより、減容し、空隙が形成される。
脂肪族ポリエステル樹脂をコンクリート組成物に配合する場合、効果の観点から、微粒子としては、平均粒径が10〜500μmの範囲のものが好ましく、20〜200μmのものがさらに好ましい。
有機繊維としては、形状が、直径5〜100μm、長さ50μm〜500mmのものが好ましく、より好ましくは直径10〜50μm、長さ1〜15mmであり、さらに好ましくは直径15〜25μm、長さ5〜10mmである。
なお、微粒子の粒径、有機繊維の形状は、電子顕微鏡或いは高倍率の光学顕微鏡による映像を用いて常法により測定することができる。
本発明においてコンクリート構造物の表面に適用される二酸化炭素固定化成型体は、前述のアルカリ分解性或いは紫外線分解性樹脂からなる微粒子或いは有機繊維と、水、セメント、混和材料、骨材を含有するコンクリート組成物を、硬化して得られる成型体である。前記コンクリート組成物中の樹脂微粒子或いは有機繊維の配合量としては、コンクリートの施工性および構造体の強度などを考慮すると、組成物全量に、0.02〜2.0体積%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.05〜1.0体積%、さらに好ましくは0.1〜0.5体積%である。
前記セメント成型体としては、水、セメント、混和材料、骨材、化学混和剤よりなるコンクリート組成物であり、形成されるセメント系成型体の用途に応じて各種材料の、重量比を適宜調整することができる。
コンクリート組成物には、二酸化炭素固定化能を向上させる観点から、二酸化炭素を吸着しうる微粉末または吸着剤(以下、適宜、二酸化炭素吸着物質と称する)、酸化カルシウム(CaO)微粉末などの添加剤を含有することができる。
ここで、コンクリート組成物に配合可能な二酸化炭素を吸着しうる微粉末または吸着剤としては、γ−2CaO・SiOを含有するスラグが好ましく挙げられる。このようなγ−2CaO・SiOを含有するスラグとしては、例えば、ステンレススラグ、製鋼スラグが挙げられる。該スラグは、ブレーン比表面積が3000cm/g以上であることを要し、4000〜10000cm/gの範囲であることがより好ましい。なお、スラグのブレーン比表面積は、JIS R 5201に記載のブレーン法により、或いは、レーザー回析粒度計を用いる方法により測定することができる。
該スラグを二酸化炭素吸着物質として使用する場合には、コンクリート組成物中に含まれるセメントの含有量に対して15〜45質量%の範囲であることが好ましく、この範囲において優れた二酸化炭素吸着能が発現され、力学的特性にも優れる。
二酸化炭素を吸着しうる微粉末または吸着剤の他の好ましい例としては、ゼオライト微粉末、シリカゲル微粉末、アルミナ微粉末、甲殻類微粉末からなる群より選択される微粉末が挙げられる。なかでも、好ましくはゼオライト微粉末及び甲殻類微粉末である。甲殻類は、カルシウムを多量に含有するため、微粉末にすると優れた二酸化炭素吸着能を示す。
これら微粉末の粒径は、1μm〜3mm程度が好ましく、さらに好ましくは10μm〜1mmの範囲である。
これら微粉末を二酸化炭素吸着物質として用いる場合、その含有量はコンクリート組成物に含まれるセメントの含有量に対して5〜30質量%の範囲であることが好ましい。この範囲において、顕著な二酸化炭素吸収効果が発現され、コンクリート成形体の力学的特性には影響を与える懸念はない。
本発明に用いうるCaO微粉末としては、CaOを含有し、且つ、ブレーン比表面積が2000cm/g以上であるものを用いる。
CaOを主成分とする微粉末は、生石灰や石灰系膨脹材などをブレーン比表面積が2,000cm/g以上の微粉末状に粉砕したものを用いることができる。このような微粉末は、石灰系混和材と同様に、混和材料としても使用することができる。
微粉末のブレーン比表面積は3000cm/g以上であることを要し、3000〜4000cm/gの範囲であることがより好ましい。
CaO微粉末は、コンクリート組成物中に0.5〜2.0容積%の範囲で含まれることが好ましく、この範囲において優れた二酸化炭素吸着能が発現され、成形体の力学的特性にも優れる。
本発明において成形体の素材であるコンクリート組成物に用いられるセメントとしては特に制限はなく、形成されるセメント系成型体の用途に応じて、各種セメント類の中から、適宜選択することができる。セメントとして、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、などが使用できる。
前記混和材料としては特に制限はなく形成されるセメント系成型体の用途に応じて、各種セメント、コンクリート用混和材料から適宜種類、使用量を選択できる。混和材料としては、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、シリカフュームなどが一般的に使用できる。
また、骨材の種類や量は特に制限はなく、形成される成型体の用途に応じて、骨材の種類及び配合割合を適宜選択することができる。
本発明のセメント系成型体には、通常セメント系成型体に配合されている各種添加剤、例えば減水剤、空気連行剤、消泡剤などを、適宜配合することができる。
前記セメント成型体の水とセメントの重量比は、形成されるセメント系成型体の用途に応じて適宜選択することができるが、大気中の二酸化炭素との炭酸化反応を促進するためには、水と結合材の重量比は30%以上70%以下が好ましく、より好ましくは40%以上65%以下である。
本発明の二酸化炭素固定化成型体は、前記した空隙形成用の分解性樹脂からなる微粒子或いは有機繊維を含有する二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物を混練し、成型、硬化した後、アルカリ或いは紫外線によりコンクリート組成物中に含まれる樹脂微粒子もしくは樹脂からなる有機繊維を分解させ、二酸化炭素の固定化に有用な空隙を有する表層部を形成することにより製造することができる。
アルカリ雰囲気下に暴露した場合には、アルカリに接触した成形体の表面領域から徐々に樹脂が分解(/減容)し、空隙が形成される。アルカリ雰囲気の特性やアルカリ雰囲気への接触条件を制御することにより、コンクリート成型体の表層部のみに空隙を形成することができる。また、空隙形成用の分解性樹脂を含まないコンクリート組成物による成型体の表面に空隙形成用の分解性樹脂を含んだコンクリートを打設、硬化して空隙を形成させることにより、表層部のみに空隙を有する成型体を形成することもできる。
このように、空隙は少なくとも二酸化炭素の固定化に関与する表層部に形成されていればよいが、コンクリートのさらなる深部まで均一に形成されていてもかまわない。
このような空隙を有する表層部において空隙の開口部から徐々に二酸化炭素が浸透し、コンクリート組成物中においてセメントの水和反応の反応生成物である水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムを形成し、二酸化炭素の固定化がなされる。
表層部に形成された空隙のサイズや形状は、成型体断面を電子顕微鏡で観察することにより、検知できる。また、空隙率は水銀圧入ポロシメータなどにより測定することができる。
ここで用いられる二酸化炭素固定化成形体形成用のコンクリート組成物は、従来のセメントコンクリート組成物に比較して大気中の二酸化炭素による炭酸化反応が早く進行し、セメント成型体中に炭酸カルシウムとして固定される量が増大する効果を持つとともに、力学特性は従来と同程度の成型体を得ることができる。
本発明のコンクリート構造物を構成する二酸化炭素固定化成型体の表面における二酸化炭素固定化量が2.0g/m以上であることが効果の観点から好ましく、さらに好ましくは、4.0g/m以上である。
次に、このようにして得られた成形体をコンクリート構造物の表面に配置する方法について説明する。
好適な方法としては、コンクリート構造物を構築する場合、その原料として前記の如き二酸化炭素固定化能に優れた表層部を形成しうる前記コンクリート組成物を用いる方法が挙げられる。
即ち、前記二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物を打設し、硬化させることで、空隙を有する二酸化炭素固定化用表層部を表面に配置してなるコンクリート構造物を構築するものである。このとき、構造物全体をこのような二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物で構成してもよいが、大気に暴露されない基礎の部分などには、一般のコンクリート組成物を用い、大気に接触する表面のみをこのような二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物により成形してもよい。
この方法は、橋脚、ダムなどの大規模な土木構造物を構築する場合に好適である。
本発明に使用される二酸化炭素固定化成形体は、主として炭酸化を促進することにより二酸化炭素の効率的な固定化を達成しているために、通常のコンクリート成形体に比較してアルカリ雰囲気の中性化が早いため、構造物中に用いられる鉄筋、鉄骨は酸化されにくい素材を用いたもの、耐久性に優れた防錆加工を施したものを選択する。
即ち、成形体に補強材として、鉄筋や鉄骨を用いる場合、表面を防錆処理したものを用いる。防錆処理としては、公知の方法、例えば、エポキシ樹脂などの樹脂系材料による表面被覆などが挙げられる。また、鉄材に代えて、酸化されにくいステンレススチール、チタン、ニッケルなどの金属材やセラミック材料を補強材として埋設してもよい。
さらに、炭素繊維、ステンレス繊維、及び、ビニロン繊維からなる群より選択される補強用繊維をコンクリート組成物に分散、混合することも好ましい態様である。
本発明において二酸化炭素固定化パネルが有する二酸化炭素固定化能を推定する方法としては、本願出願人が先に提案した特願2005−145628明細書に記載の方法を適用することができる。
即ち、該コンクリート構造物に用いられる二酸化炭素固定化成形体の二酸化炭素固定化能に応じて、成形体が大気に接触した時間を発生時Tより、解体時などの固定化終了時Tまでの間に吸収する二酸化炭素の量を推定する方法であり、より具体的には、発生時Tからの経過時間tにおけるコンクリート製ガス吸収素材の炭酸化深度cを、炭酸化速度方程式c=f(t)で表し、更に構造物に用いられる二酸化炭素固定化成形体のうち既に炭酸化した領域と未炭酸化領域との境界面sの面積をSとして、炭酸化がdc(表面からの深さ)だけ進行したときの体積部分に含まれる炭素の密度をaとして、炭酸化深度cに達したときのガス吸収量WをW(c)=∫(a×S)dcと表して、これら両式から所定時間内での温室効果ガス吸収量を推定するものである。
コンクリートの炭酸化反応は一般に中性化反応とも呼ばれるが、その炭酸化(中性化)速度式としては、ルート則と呼ばれるc=A×tを用いることができる。ここでcは反応量、Aは炭酸化速度係数、tは経過時間である。また、nは実験的に決定される定数で一般的にはn=0.5である。
炭酸化速度式c=A×t0.5中の炭酸化速度係数Aは、従来様々な研究が行われているが、簡単には水セメント比(W/C)に依存するAと、それ以外の要因に依存する定数Rとで、A=A×Rで表すことができる、Rは炭酸化率と呼ばれる定数であり、コンクリートの属性による係数をA、仕上げ材による係数をA、環境(温湿度、二酸化炭素濃度)の区分による係数をAとすると、R=A×A×Aとなる。
に関しては、例えば実験的にW/C≧0.6であるときに次の数式1が知られており、又、W/C≦0.6であるときに数式2が知られている(岸谷 著「鉄筋コンクリートの耐久性」鹿島建設技術研究所出版部 1963年刊)。
[数式1]
={(W/C)−0.25}/[0.3×{1.15+3(W/C)}]0.5
[数式2]
={4.6×(W/C)−1.76}/√(7.2)
なお、上述のW(c)=∫(a×S)dcを用いれば任意の形状のコンクリート構造物の温室効果ガスの吸収量を計測することができるが、平板状のコンクリート板に関しては、W/S=∫adcとすることで単位表面積当りの吸収量を求めることもできる。
このようにして本発明のコンクリート構造物における二酸化炭素固定化能を推定し、その設計に役立てることができる。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
(実験例:コンクリート組成物の配合)
普通ポルトランドセメントと水、砂、砕石(骨材)を含有するセメント組成物100質量部中に、下記表1に示す量の分解性樹脂からなる有機繊維を配合して、水/セメント組成物比(W/C 比)が55%のコンクリート組成物を調製した。
また、比較のために、アルカリ分解性有機繊維に代えて、一般の建材に補強材として使用される分解性を有しない有機繊維を配合し、同一混入量にてコンクリート組成物を調製して比較例とした。
[使用材料]
セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、密度3.16g/cm
水:水道水
砂:木更津産山砂、表乾密度2.59g/cm、吸水率1.61%、粗粒率2.60
砕石:八王子産砕石、表乾密度2.65g/cm、吸水率0.40%、
粗粒率6.60
AE減水剤:チューポールEX20(竹本油脂社製)
消泡剤:AFK−2(竹本油脂社製)
有機繊維:
1)ポリ乳酸樹脂を溶融紡糸した繊維(表中にPLA繊維と記載、以下同様)、繊維径20μm、長さ10.0mm
2)ポリプロピレン樹脂を溶融紡糸した繊維(表中にPP繊維と記載、以下同様)、繊維径48μm、長さ10.0mm
[コンクリート組成物の配合]
表1にコンクリート組成物の配合を示す。表中で使用した各材料の詳細は上記の通りである。なお、下記表1中、W/Cは、水/結合材比を表す。
Figure 0005189262
[コンクリート組成物による建築物の構築]
前記表1に記載のコンクリート組成物を用いて、前記の、水、セメント、細骨材、粗骨材および比較例、実施例の各例に対応する所定の有機繊維を所定量ミキサ(強制2軸練ミキサ、容量55L)に投入し,3分間練り混ぜた。この際,練りあがったコンクリートの空気量が一定の値(4.5容量%)と成るよう、AE減水剤および消泡剤を適量添加し調整した。
このコンクリート組成物により、下記表2に示す規模の5階建て建築物を構築することとする。図1は、この建築物の1階部分の平面図であり、図2は、図1のA−A断面図である。床スラブ10は、住戸の床部10A、バルコニー10B、外部廊下10Cによって構成され、各住戸の四隅に配置された柱12間に渡された梁14に支持されている。なお、他の階においても、図1に示すのと同じ平面図になっている。
Figure 0005189262
〔コンクリート構造物の二酸化炭素固定化能〕
上記表2に記載の型枠延べ面積は、床スラブ10、柱12、及び梁14の打設時に必要な型枠の総面積である。よってこの型枠延べ面積が、床スラブ10、柱12、及び梁14を構築するコンクリート成形体表面積にほぼ等しくなる。このコンクリート成形体表面における二酸化炭素吸収量を推定すると3.54kg/mある。
この二酸化炭素固定化能は以下のように測定した。
前記実施例のコンクリート組成物を、練り混ぜ後、型枠内に打設、成型し、硬化後にJIS A 1153(コンクリートの促進中性化試験方法)により、中性化深さを測定した。
二酸化炭素固定量は、中性化深さ試験と同様に促進中性化を行った試験体を、促進中性化後、試験体をボールミルで粉砕し,#200ふるいを通過するものをスクリーニングし、示差熱重量分析計(リガク社製TAS−200)を用いて粉末試料中の炭素量を測定した。試料の炭素量から、試験体の炭酸化面の面積に対する二酸化炭素量に換算して求めた。
実施例、比較例の測定結果を下記表3に示す。
Figure 0005189262
JIS A 1153の二酸化炭素濃度5.0%の促進環境条件下での中性化深さは屋外の場合、大気中の約100倍、屋内の場合約25倍に相当する(日本建築学会:鉄筋コンクリート造建築物の耐久設計施工指針(案)・同解説、2004年3月)ことから、構造物の供用期間を50年とすると、50年に相当する二酸化炭素固定量は表3の促進材齢に換算すると、屋外の場合促進材齢26週、屋内の場合促進材齢104週、で50年相当と推定することができる。
この値と型枠面積から算出した本発明のコンクリート構造物表面の二酸化炭素固定化総量は50年の供用期間中で37.6tonとなる。
表3に示すように、比較例における通常のコンクリート組成物の二酸化炭素固定化量は0.73kg/mであり、本発明のコンクリート構造物は、通常のコンクリート組成物による表面に比較して、二酸化炭素を4倍以上の高効率で固定化していることが確認された。
このことから、本発明のコンクリート構造物は、二酸化炭素固定化能に優れることがわかる。
本発明の二酸化炭素固定化コンクリート構造物の一例である実施例1の建築物の態様を示す平面図である。 実施例1の建築物の態様を示す断面図である。
符号の説明
10 床スラブ
12 柱
14 梁

Claims (3)

  1. 、セメント、混和材料、及び骨材に、平均粒径が10μm〜500μmのアルカリ分解性樹脂微粒子、アルカリ分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維、平均粒径が10μm〜500μmの紫外線分解性樹脂微粒子、及び、紫外線分解性樹脂からなる直径が5μm〜100μm、長さが50μm〜500mmの有機繊維のうち少なくとも1種を含有する二酸化炭素固定化成形体形成用コンクリート組成物を混練し、成型、硬化して得られたコンクリート構造物であって、該構造物の表層部に、アルカリ或いは紫外線によりコンクリート組成物中に含まれる樹脂微粒子もしくは樹脂からなる有機繊維が分解して形成された、直径10μm〜200μmの空隙もしくは直径10μm〜200μmの断面を有する空洞孔を、0.05容積%〜10容積%有する二酸化炭素の固定化に有用な空隙を有する表層部が形成されてなり、該表層部において大気中の二酸化炭素を固定化し、且つ、表面を防錆処理した鉄筋若しくは鉄骨、ステンレススチール、チタン、ニッケル、又はセラミック材料から選択される補強材、を備えてなる二酸化炭素固定化コンクリート構造物。
  2. 前記二酸化炭素固定化成型体形成用コンクリート組成物が、さらに、炭素繊維、ステンレス繊維、及び、ビニロン繊維からなる群より選択される補強用繊維を含有する請求項に記載の二酸化炭素固定化コンクリート構造物。
  3. 前記二酸化炭素固定化コンクリート構造物の表面における二酸化炭素固定化量が2.0kg/m以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素固定化コンクリート構造物。
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