以下、実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態1)図1は実施形態1に係る電波遮蔽体1の断面図である。詳細には、図1(b)に示す図は、図1(a)に示す電波遮蔽体1の平面図中切り出し線Ia−Iaで切り出した部分の断面図である。
図2は電波遮蔽体1の平面図である。
図3はアンテナ4の構成を表す平面図である。
電波遮蔽体1は、基材2と基材2の表面に形成された反射層3とを有する。基材2の材料は何ら限定されるものではなく、電波遮蔽体1の使用用途に応じて適宜選択することができる。また、本実施形態1においては、電波遮蔽体1は基材2の表面に反射層3を形成した態様であるが、基材の内部に反射層3が埋め込まれた態様であってもよい。
基材2は上述の通り電波遮蔽体1の使用用途に応じて適宜選択できるものである。中でも、電波遮蔽体1としては、室内の既設対象物(例えば、窓、壁、天井、床、パーティション、机等)に電波遮蔽特性をもたらすようにする態様のものが挙げられる。このため、基材2の材料としては、例えば、樹脂、ガラス、紙、ゴム、石膏、タイル、木材などが好ましい。
また、基材2は、板状、シート状、又はフィルム状等の平面を有する形状であることが好ましい。
基材2は、単に基材としての役割だけでなく、様々な特性(透光性、不燃性、難燃性、非ハロゲン性、柔軟性、耐衝撃性、耐熱性等)の役割を果たすものであることが特に好ましい。
例えば、電波遮蔽体1を光透過性を有するものとする場合、基材2を透明な(光透過性を有する)材料により構成する必要性がある。このため、基材2の材料として、透明なガラス(例えば、ソーダ石灰、石英等が適用できる。その中でも、コスト面でソーダ石灰が好ましい)や透明な高分子が挙げられる。その中でも、薄く形成することができ、且つ、柔軟性に富み、巻回できる(ロール状にすることができる)点で、基材2の材料としては透明な高分子が好ましい(以下、透明な高分子により形成されたフィルムを「透明高分子フィルム」とする。)。
透明高分子フィルムの具体的材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
電波遮蔽体1に用いる透明高分子フィルムの厚みは、通常10μm以上500μm以下である。好ましい透明高分子フィルムの厚みは30μm以上150μm以下である。より好ましい透明高分子フィルムの厚みは50μm以上120μm以下である。透明高分子フィルムが10μmよい薄いと反射層3の形成が困難となる傾向があり、500μmより厚いと、可撓性が低下し、巻回しにくい(ロール状にしにくい)傾向にある。また、透明高分子フィルムが500μmより厚いと透光性も低下する傾向にある。
さらに、基材2の表面に反射層3を形成することによって作製した電波遮蔽体1を、室内の既存対象物(例えば、窓、壁、天井、床、パーティション、机上等)に設けるため、反射層3を形成した側の面、及びその反対側の面のうち少なくとも一方に粘着剤又は接着剤を塗布し、その接着剤又は粘着剤の表面に保護層を設けてロールし(トイレットペーパー状にロールし)、必要長に応じて切断できる態様であってもよい。
図4〜図7に本実施形態1に係る電波遮蔽体1の製品パターン(使用状況)を例示する。
図4はガラス(窓ガラス)7に電波遮蔽体1の基材2側を粘着させた場合の断面図である。図4では、電波遮蔽体1は、電波遮蔽体1の基材2側に設けられた粘着剤8によりガラス7に粘着されている。
図5は、電波遮蔽体1の基材2側に粘着剤8及び保護膜9が形成され、トイレットペーパー状にロールされた電波遮蔽体1の模式図である。図5に示した電波遮蔽体1の場合、必要長に応じて切断し、保護膜9をはがして、ガラス等に粘着させることにより使用することができる。
図6はガラス(窓ガラス)7に電波遮蔽体1の反射層3側を粘着させた場合の断面図である。図6では、電波遮蔽体1は、電波遮蔽体1の反射層3側に設けられた粘着剤8によってガラス7に粘着されている。
図7は、電波遮蔽体1の反射層3側に粘着剤8及び保護膜9が形成され、トイレットペーパー状にロールされた電波遮蔽体1の模式図である。図7に示した電波遮蔽体1の場合、必要長に応じて切断し、保護膜9をはがして、ガラス等に粘着させることにより使用することができる。
基材2上に形成された反射層3は、模様を構成するように、所定パターンで配置された複数のアンテナ4により構成されている。本実施形態1に係る電波遮蔽体1では、反射層3は同一形状にパターニングされた複数のアンテナ4のみによって構成されているが、何らこの構成に限定されるものではなく、例えば、反射層3は、その一部に、アンテナ4とは異なる形状のパターンを含んでいてもよい。
アンテナ4は周波数選択性を有する。すなわち、アンテナ4は特定周波数の電波を選択的に反射するものである。このため、電波遮蔽体1は特定周波数の電波を選択的に遮蔽し、それ以外の光を透過させることができる。
複数のアンテナ4は、基材2上に、等間隔にマトリクス状に配列されている。複数のアンテナ4は、隣接するアンテナ4が接触しないように配列されている。複数のアンテナ4のそれぞれは、図3に示すように、相互に120°の角度をなしてアンテナ中心Cから外方に延びる3本の第1エレメント部4aと、3本の第2エレメント部4bとを有する。
第2エレメント部4bは第1エレメント部4aの外側端に結合されている。第1エレメント部4aの長さ(L1)と第2エレメント部4bの長さ(L2)とは相互に異なっていてもよく、また同一であってもよい。第1エレメント部4aの長さL1と第2エレメント部4bの長さL2とは、0<L2<2(3)1/2/L1という関係式を満たすことが好ましい。L2が2(3)1/2/L1以上である場合は、隣接する第2エレメント部4bが接触してしまい、所望の電波遮蔽効果が得られなくなるからである。特定周波数の高い遮蔽率を実現する観点から、第2エレメント部4bの長さL2は第1エレメント部4aの長さL1の0.5倍以上2倍以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.75倍以上2倍以下である。
第2エレメント部4bはその中心において第1エレメント部4aの外側端と結合されていてもよい。第2エレメント部4bと第1エレメント部4aとが直角(90度)をなしていてもよい。また、第1エレメント部4aの幅と第2エレメント部4bの幅は相互に異なっていてもよく、また、同一であってもよい。本実施形態1においては、第1エレメント部4aの幅と第2エレメント部4bの幅とは同一の幅(L3)とする。第1エレメント部4aと第2エレメント部4bとの幅の差が、第1エレメント部4aの幅の5%以下であることが好ましい。
具体的に、幅L3は0.3mm以上2mm以下であることが好ましい。尚、後ほど詳細に説明するが、幅L3を狭くするほど、アンテナ4の周波数選択性を高くすることができる。幅L3が2mmより大きいと、周波数選択性が低下する傾向にある。一方、幅L3が0.3mmよりも小さいと製造が困難になる傾向にある。
上述のように、第1エレメント部4aの外側端に結合された第2エレメント部4bを有する。このため、アンテナ4は従来の「Y」字形の線状アンテナ(3本の第1エレメント部のみにより構成され、第2エレメント部を有さない線状アンテナ)よりも高い周波数選択性を有する。このため、複数のアンテナ4が設けられた電波遮蔽体1は特定周波数の電波を高い選択性で遮蔽することができる。さらに高い周波数選択性を実現する観点から、第1エレメント部4aの長さと第2エレメント部4bの長さとを相互に異ならしめることが好ましい。
また、アンテナ4は第2エレメント部4bを有するため、第2エレメント部4b同士を対向させて複数のアンテナ4を配置することが容易となる。第2エレメント部4b同士を対向させて(より好ましくは、緊密に対向させて)複数のアンテナ4を配置することによって、特定周波数の電波に対する電波遮光率を向上することができる。第2エレメント部4b同士を対向させると共に、単位面積あたりにより多くのアンテナ4を配置する観点から、第2エレメント部4bはその中心において第1エレメント部4aの外側端に結合され、且つ第2エレメント部4bと第1エレメント部4aとが直角をなすことが好ましい。また、第2エレメント部4bの長さと第1エレメント部4aの長さとが同一であることが好ましい。さらには、第1エレメント部4aと第2エレメント部4bとの長さの差が、第1エレメント部4aの長さの5%以下である。
第1エレメント部4aの長さと第2エレメント部4bの長さとアンテナ4に反射させようとする電波の周波数(特定周波数)とは相関する。このため、第1エレメント部4aの長さと第2エレメント部4bの長さとは所望の特定周波数に応じて適宜決定することができる。例えば、第1エレメント部4aの長さと第2エレメント部4bの長さとが同一である場合は、第1エレメント部4a及び第2エレメント部4bの長さを長くすることによって特定周波数を低下させることができる。
以下、第1エレメント部4aの長さと第2エレメント部4bの長さとが同一である場合の電波遮蔽体1の電波遮蔽特性について図面を参照しながら詳細に説明する。
図8は、電波の周波数と、電波遮蔽体1を透過した際の電波の透過減衰量との関係を表すグラフである。
尚、図8では、L1及びL2はそれぞれ10.6mm、幅L3が0.7mmである。
図8に示すように、電波遮蔽体1に入射した電波のうち特定周波数(約2.7GHz)付近の周波数を有する電波が電波遮蔽体1により減衰される。換言すれば、電波遮蔽体1により、電波遮蔽体1に入射した電波のうち特定周波数付近の周波数を有する電波が選択的に遮蔽される。これは、電波遮蔽体1の反射層3、詳細には反射層3に含まれる複数のアンテナ4のそれぞれが、入射した電波のうち特定周波数付近の周波数を有する電波を選択的に反射させるためである。アンテナ4によって反射される電波の周波数は、第1エレメント部4aの長さL1と第2エレメント部4bとの長さL2によって決定される。以下、第1エレメント部4aの長さL1と第2エレメント部4bの長さL2が同一である場合(L1とL2とが同一である場合に、L1とL2を総称してエレメント長Lとする。)のエレメント長Lとアンテナ4によって反射される電波の周波数(特定周波数)との関係について説明する。
図9はエレメント長Lとアンテナ4によって反射される電波の周波数との関係を表すグラフである。
図9に示すように、エレメント長Lが長くなるほど、アンテナ4によって反射される電波の周波数は低くなる。換言すれば、エレメント長Lが長くなるほど、アンテナ4によって反射される電波の波長は大きくなる。一方、反射される電波の周波数は幅L3と大きく相関しない。すなわち、反射される電波の周波数は、主として、エレメント長Lによって決定される。従って、図9に示すようなエレメント長Lと選択周波数との関係に基づいて、反射させたい電波の周波数からエレメント長Lを算出することができる。例えば、周波数5GHzの電波を遮蔽させる電波遮蔽体1を作成する場合は、エレメント長Lを約0.5mmにすればよい。
また、例えば、第1エレメント部4aの長さL1を固定し、第2エレメント部4bの長さL2を調整することにより特定周波数を調整することも可能である。具体的には、第2エレメント部4bの長さL2を長くすることにより特定周波数を小さくすることができる。
例えば、従来の「Y」字形の線状アンテナ(第2エレメント部を有さず、第1エレメント部のみにより構成されているアンテナ)では、第1エレメント部の長さを調節することによってのみ特定周波数を調節することができる。それに対して、電波遮蔽体1では、上述のように、第1エレメント部4aの長さL1を調節することによって特定周波数を調節できると共に、第2エレメント部4bの長さL2の第1エレメント部4aの長さL1に対する比を調節することによっても特定周波数を調節することができる。このため、電波遮蔽体1は広い設計幅を有する。すなわち、電波遮蔽体1は種々の周波数の電波を選択的に遮蔽することができる。
アンテナ4は導電材料で形成されている。すなわち、アンテナ4は導電性を有する。アンテナ4の特定周波数の電波に対する電波反射率はアンテナ4の導電率と相関する。具体的には、アンテナ4の導電率が高い(アンテナ4の電気抵抗が小さい)ほど、アンテナ4の特定周波数の電波に対する電波反射率が大きくなる。このため、アンテナ4の導電性を高めることによって、アンテナ4の特定周波数の電波に対する電波反射率を大きくすることができる。従って、この構成によれば、特定周波数の電波に対する高い電波遮蔽率を実現することができる。
導電材料としては、アルミニウム、銀、銅、金、白金、鉄、カーボン、黒鉛、酸化インジウムスズ(ITO)、これらの混合物又は合金等が挙げられる。導電材料はアルミニウム及び銀のうち少なくともいずれか一方を含んでいてもよい。アルミニウムや銀は導電材料の中でも比較的電気抵抗が低く、安価であるため、アルミニウム及び銀のうち少なくともいずれか一方をアンテナ4に含ませることによって、安価且つ高い電波遮蔽性を有する電波遮蔽体1を実現することができる。上記導電材料の中でも、特に銀が好ましい。
アンテナ4はアルミニウムや銀等の導電性材料の微粒子を含んだ構成としてもよい。例えば、粉末状の導電材料をバインダーに含ませたペースト(以下、「導電性ペースト」とすることがある。)を基材2に均一に所定パターンで形成し、その後乾燥させることにより作製することができる。アンテナ4を作製するための導電性ペーストは、粉末状の導電性材料(例えば、銀)をポリエステル樹脂中に分散させたものであってもよい。この場合、導電性材料の含有率は40重量パーセント以上80重量パーセント以下であることが好ましい。導電性材料の含有率は50重量パーセント以上70重量パーセント以下であることがより好ましい。導電性材料の含有率が40重量パーセント未満であるとアンテナ4の十分な導電性を得ることが困難となる傾向がある。一方、導電性材料の含有率が80重量パーセントより多いと樹脂中に均一に分散させることが困難となる傾向がある。尚、ポリエステル樹脂は導電性材料と基材とを接着させる接着剤の役割をなす。
ペーストを所定のパターンに形成した後、例えば100℃以上200℃以下の雰囲気下で10分以上5時間以下乾燥させることによりアンテナ4を作製することができる。このような方法で作成したアンテナ4の厚さは10μm以上20μm以下であることが好ましい。アンテナ4の厚さが10μmより小さいとアンテナ4の導電性が低下する傾向がある。アンテナ4の厚さを20μmより大きくすると、パターンの形成性が低下する傾向がある。
アンテナ4の形成方法はこの方法に限定されるものではなく、他の方法により形成してもよい。例えば、アルミニウムからなるアンテナ4を形成する場合は、基材2に、蒸着法、スパッタ法、化学蒸着法(CVD法)等の成膜方法により成膜し、フォトリソグラフィー等のパターニング方法により所定パターンにパターニングすることによりアンテナ4を形成することができる。また、アンテナ4は、所定形状にパターニングされたアルミニウム等の薄膜を基材2に粘着又は貼着することにより形成しても構わない。その他、例えば、シルク印刷法、パターン圧着法、型の嵌め込みによる埋め込み法等によっても形成することができる。
以上、本実施形態1に係る電波遮蔽体1について詳細に説明してきたが、電波遮蔽体1の寸法、形状は何ら制限されるものではない。電波遮蔽体1は一辺の長さが数ミリメートル角の小さなものであっても、一辺が数メートル、又はそれ以上の大きなものであってもよい。電波遮蔽体1は、三角形、四辺形(長方形、正方形)、多角形、円形、楕円形等の任意の形状に形成しても構わない。
また、電波遮蔽体1の単位面積あたりに含まれるアンテナ4の個数も何ら限定されるものではなく、用途等により適宜変更することができる。電波遮蔽体1の単位面積あたりに含まれるアンテナ4の数量を増やすことにより高い電波遮蔽性を実現することができる。
(実施形態2)図10は実施形態2に係る電波遮蔽体10の平面図である。
図11は電波遮蔽体10の一部分を拡大した平面図である。
実施形態2に係る電波遮蔽体10は、反射層3におけるアンテナ4の配列を除いて、実施形態1に係る電波遮蔽体1と同様の形態を有する。以下、本実施形態2におけるアンテナ4の配列について、図10及び図11を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施形態2の説明において、図1は実施形態1と共通に参照し、また、実質的に同じ機能を有する構成要素を実施形態1と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
実施形態2において、複数のアンテナ4は、第2エレメント部4b同士が対向するように配設された一対によりアンテナユニット5aを構成している。また、アンテナユニット5aは、さらに第2エレメント部4b同士が対向するように配設されて二次元に連続展開した正六角形状模様を構成している。電波遮蔽体10では、この正六角形状模様を構成する3つのアンテナユニット5aからなるアンテナ集合体5が所定間隔でマトリクス状に設けられている。アンテナ集合体5は、言い換えれば、第2エレメント部4b同士が対向させて環状に連なる6つのアンテナ4により構成されている。方向性の少ない正六角形模様を構成する観点から、第1エレメント部4aと第2エレメント部4bとが直角をなしていることが好ましい。また、第2エレメント部4bがその中心において第1エレメント部4aと結合していることが好ましい。
実施形態2においては、アンテナ集合体5を構成する18本の第2エレメント部4bのうち12本の第2エレメント部4bが相互に平行に対向するように設けられている。このように、多くの第2エレメント部4b同士が対向するように構成することによって、アンテナ4の特定周波数の電波に対する電波反射率(電波遮蔽率)を高くすることができる。従って、特定周波数の電波に対する高い電波遮蔽率を有する電波遮蔽体10を実現することができる。尚、対向する第2エレメント部4b間の距離X1を短くするほど電波遮蔽体10の電波反射率が高くなる。具体的には、対向する第2エレメント部4b間の距離X1(図11参照)が0.4mm以上3mm以下であることが好ましい。より好ましい範囲は0.6mm以上1mm以下である。距離Xを0.4mmより短くすると、対向する第2エレメント部4b同士が不所望に接触する虞がある。一方、距離Xが3mmより長いと電波遮蔽率が低下する傾向にある。
(実施形態3)図12は実施形態3に係る電波遮蔽体20の平面図である。
実施形態3に係る電波遮蔽体20は、反射層3におけるアンテナ4の配列を除いて、実施形態1に係る電波遮蔽体1と同様の形態を有する。以下、本実施形態3におけるアンテナ4の配列について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施形態3の説明において、図1は実施形態1と共通に参照し、また、実質的に同じ機能を有する構成要素を実施形態1と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
実施形態3において、複数のアンテナ4は、第2エレメント部4b同士が対向するように配設された一対によりアンテナユニット5aを構成している。また、アンテナユニット5aは、さらに第2エレメント部4b同士が対向するように配設されて二次元に連続展開した正六角形状模様を構成している。電波遮蔽体20では、この正六角形状模様を構成する3つのアンテナユニット5aはアンテナ集合体5を構成している。実施形態3では、アンテナ集合体5がさらに第2エレメント部4b同士が対向するように(所謂ハニカム状に)配設されている。実施形態3においては、ほぼすべての第2エレメント部4b同士が対向するように、複数のアンテナ4が配設されている。
このように、実施形態2と比較して、相互に対向するように設けられた第2エレメント部4bをさらに多くすることによって、より高い電波反射率を有する電波遮蔽体20を実現することができる。このため、電波遮蔽体20は使用周波数域が飽和状態になりつつある昨今の電波環境の整備に好適なものである。
図13は本実施形態3に係る電波遮蔽体20の電波遮蔽特性を示すグラフである。
図13に示すように、本実施形態3に係る電波遮蔽体20の10dB帯域幅〔(F2−F1)/F0(%)〕は10.4GHzと非常に小さい。このように、電波遮蔽体20は非常に高い周波数選択性を有する。
これに対して、従来の電波遮蔽体は本実施形態3に係る電波遮蔽体20と比べて周波数選択性が低い。
図14は従来の電波遮蔽体100の平面図である。
図15は電波遮蔽体100の電波遮蔽特性を示すグラフである。
図16は従来の電波遮蔽体101の平面図である。
図17は電波遮蔽体101の電波遮蔽特性を示すグラフである。
従来の電波遮蔽体100は、所謂「エルサレムクロス型」のアンテナが複数作製されたものである。この電波遮蔽体100のセンター周波数(F0)に対する10dB帯域幅〔(F2−F1)/F0(%)〕は、図15に示すように、17.0GHzと本実施形態3に係る電波遮蔽体20よりも非常に大きいものとなる。また、図16に示す、「Y」字形のアンテナが複数作成された従来の電波遮蔽体101の10dB帯域幅〔(F2−F1)/F0(%)〕も、図17に示すように、33.0GHzと本実施形態3に係る電波遮蔽体20よりも非常に大きいものとなる。このように周波数選択性の低い従来の電波遮蔽体100、101では、目的とする特定周波数(域)以外の電波をも遮蔽してしまうおそれがあるため、特定周波数以外の電波に対する電波環境を悪化させてしまうおそれがある。これに対して、本実施形態3に係る電波遮蔽体20は小さな10dB帯域幅を有し、非常に高い周波数選択性を有するため、特定周波数(域)の電波を遮蔽すると共に、特定周波数(域)以外の電波を好適に透過させることができる。
尚、電波遮蔽体20と従来の電波遮蔽体100、101ではセンター周波数(F0)が異なる。しかし、10dB帯域幅はセンター周波数に依存しない。
(実施形態4)上記実施形態1〜3では、適用例として電波遮蔽体について説明してきた。しかし、電波遮蔽体は何ら上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、複数のアンテナ4を含む反射層3が電波遮蔽体内部に設けられたものであってもよい。本実施形態4では、複数のアンテナ4を含む反射層3が内部に設けられた電波遮蔽体について図面を参照しながら説明する。
図18は実施形態4に係る電波遮蔽体(電波遮蔽板)30の構成を表す断面図である。
本実施形態4に係る電波遮蔽板30は、実施形態1に係る電波遮蔽体1が板状体6に積層された構成を有する。板状体6は何ら限定されるものではないが、例えば、木製の板、ガラス板等とすることができる。電波遮蔽体1は粘着剤8により板状体6に粘着又は接着されている。粘着剤としては、透明性の観点から、アクリル系粘着剤等の透明粘着剤が好ましい。接着剤としてはアクリル系接着剤等の透明接着剤が好ましい。粘着剤又は接着剤の層厚は、粘着(接着)性、電波遮蔽性、透明性の観点から、10μm以上60μm以下であることが好ましい。より好ましい範囲は20μm以上50μm以下である。
本実施形態4のように、電波遮蔽体1が、接着剤や粘着剤を介して、ガラス等の板状体6に接着又は粘着されている場合であっても、アンテナ4は特定周波数の電波を選択的に反射(遮蔽)することができる。従って、本実施形態4に係る電波遮蔽板30においても、特定周波数の電波に対する高い電波遮蔽率を実現することができる。
但し、実施形態1のように、アンテナ4の一方面が大気と接触している場合と、本実施形態4のように、アンテナ4の両面が基材2又は板状体6と接している場合とでは、アンテナ4の形状及び材料が同一であったとしても、アンテナ4により反射(遮蔽)される電波の周波数が異なる。
図19はガラス製の板状体6に粘着させていない状態の電波遮蔽体1の共振周波数を示すグラフである。
図20は反射層3側をガラス製の板状体6に粘着させた状態の電波遮蔽体1の共振周波数を示すグラフである。
尚、図19及び図20中に示す関係式は、得られた共振周波数データの回帰式である。また、図19及び図20では第1エレメント部4aの長さL1と第2エレメント部4bの長さL2とが同一であるアンテナ4を有する場合のデータである。図19及び図20に示す「エレメント長」とは第1エレメント部4aの長さL1及び第2エレメント部4bの長さL2のことである。
図19及び図20に示すように、電波遮蔽体1の反射層3側をガラス製の板状体6に粘着させると、エレメント長と共振周波数との関係が変化する。具体的には、電波遮蔽体1の反射層3側がガラス製の板状体6に粘着されている場合は、アンテナ4により反射(遮蔽)される電波の周波数は低くなる。尚、電波の周波数の変化量は、電波遮蔽体1が粘着される板状体6の層厚には大きくは影響されない。特に、板状体6の層厚が2mm以上20mm以下の範囲では、図20に示す関係式はほとんど変化しない。
以上、上記実施形態1〜4において1種のアンテナ4のみを有する電波遮蔽体例について説明してきた。しかし、電波遮蔽体は複数種類(2種、又は3種以上)のアンテナ4を有するものであってもよい。以下、2種のアンテナを有する電波遮蔽体例について図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態5)図21は電波遮蔽体40の平面図である。
図22は第1アンテナ41の構成を表す平面図である。
図23は第2アンテナ42の構成を表す平面図である。
本実施形態5に係る電波遮蔽体40は、反射層3に第1アンテナ41及び第2アンテナ42という2種のアンテナを有する点を除いて、実施形態1に係る電波遮蔽体1と同様の形態を有する。以下、本実施形態5における反射層3について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施形態5の説明において、図1は実施形態1と共通に参照し、また、実質的に同じ機能を有する構成要素を実施形態1と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
本実施形態5において、反射層3は、模様を構成するように、相互に大きさの異なる複数の第1アンテナ41と複数の第2アンテナ42とにより構成されている。第1アンテナ41と第2アンテナ42とは相似形であってもよい。尚、本実施形態5に係る電波遮蔽体40では、反射層3は第1アンテナ41及び第2アンテナ42のみによって構成されているが、何らこの構成に限定されるものではなく、例えば、反射層3は、その一部に、第1アンテナ41及び第2アンテナ42とは異なる形状のパターンを含んでいてもよい。
第1アンテナ41及び第2アンテナ42のそれぞれは、基材2上に、それぞれが相互に干渉しないように、等間隔にマトリクス状に複数配列されている。第1アンテナ41及び第2アンテナ42はそれぞれ周波数選択性を有する。具体的には、第1アンテナ41は第1周波数を反射し、第2アンテナ42は第2周波数を反射する。このため、本実施形態5に係る電波遮蔽体40は第1周波数の電波と第2周波数の電波とを選択的に遮蔽し、それ以外の周波数の電波を透過させることができる。
例えば、無線LANでは、2.4GHzの周波数の電波と、5.2GHzの周波数の電波との2種の周波数の電波が使用されている。このように無線LANを使用する環境等の2種の周波数の電波を使用するような環境においては、使用される2種の周波数の電波を選択的に遮蔽し、使用されないそれ以外の周波数の電波(例えば携帯電話の通信に用いられている電波、テレビ放送用の電波等)を透過させるような電波遮蔽体が必要とされる。上述の通り、本実施形態5に係る電波遮蔽体40は特定の2種の周波数(第1周波数及び第2周波数)の電波を選択的に遮蔽し、それ以外の周波数の電波を透過させることができる。このため、第2の電波遮蔽体はこのような無線LANが使用される環境に好適に用いることができる。
第1アンテナ41は、図21及び図22に示すように、相互に120°の角度をなしてアンテナ中心C2から外方に延びる3本の第1エレメント部41aと、3本の第2エレメント部41bとを有する。
第2エレメント部41bは第1エレメント部41aの外側端に結合されている。第1エレメント部41aの長さ(L4)と第2エレメント部41bの長さ(L5)とは相互に異なっていてもよく、また同一であってもよい。第1エレメント部41aの長さL4と第2エレメント部41bの長さL5とは、0<L5<2(3)1/2/L4という関係式を満たすことが好ましい。L5が2(3)1/2/L4以上である場合は、隣接する第2エレメント部41bが接触してしまい、所望の電波遮蔽効果が得られなくなるからである。特定周波数の高い遮蔽率を実現する観点から、第2エレメント部41bの長さL5は第1エレメント部41aの長さL4の0.5倍以上2倍以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.75倍以上2倍以下である。
第2エレメント部41bはその中心において第1エレメント部41aの外側端と結合されていてもよい。第2エレメント部41bと第1エレメント部41aとが直角(90度)をなしていてもよい。また、第1エレメント部41aの幅と第2エレメント部41bの幅は相互に異なっていてもよく、また、同一であってもよい。本実施形態5においては、第1エレメント部41aの幅と第2エレメント部41bの幅とは同一の幅(L6)とする。第1エレメント部41aと第2エレメント部41bとの幅の差が、第1エレメント部41aの幅の5%以下であることが好ましい。
具体的に、幅L6は0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。尚、幅L6を小さくするほど、第1アンテナ41の周波数選択性を高くすることができる。幅L6が2mmより大きいと周波数選択性が低下する傾向にあり、一方、幅L3が0.1mmよりも小さいと製造が困難になる。
図21及び図22に示すように、第2アンテナ42も第1アンテナ41と同様に、相互に120°の角度をなしてアンテナ中心C3から外方に延びる3本の第1エレメント部42aと、3本の第2エレメント部42bとを有する。
第2エレメント部42bは第1エレメント部42aの外側端に結合されている。第1エレメント部42aの長さ(L7)と第2エレメント部42bの長さ(L8)とは相互に異なっていてもよく、また同一であってもよい。第1エレメント部42aの長さL7と第2エレメント部42bの長さL8とは、0<L8<2(3)1/2/L7という関係式を満たすことが好ましい。また、特定周波数の高い遮蔽率を実現する観点から、第2エレメント部42bの長さL8は第1エレメント部42aの長さL7の0.5倍以上2倍以下であることが好ましい。さらに好ましくは、0.75倍以上2倍以下である。
第2エレメント部42bはその中心において第1エレメント部42aの外側端と結合されていてもよい。第2エレメント部42bと第1エレメント部42aとが直角(90度)をなしていてもよい。また、第1エレメント部42aの幅と第2エレメント部42bの幅は相互に異なっていてもよく、また、同一であってもよい。本実施形態5においては、第1エレメント部42aの幅と第2エレメント部42bの幅とは同一の幅(L9)とする。第1エレメント部42aと第2エレメント部42bとの幅の差が、第1エレメント部42aの幅の5%以下であることが好ましい。
具体的に、幅L9は0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。尚、幅L9を小さくするほど、第2アンテナ42の周波数選択性を高くすることができる。幅L6が2mmより大きいと周波数選択性が低下する傾向にあり、一方、幅L3が0.1mmよりも小さいと製造が困難になる。
上述のように、第1アンテナ41及び第2アンテナ42は、それぞれ第1エレメント部41a(42a)の外側端に結合された第2エレメント部41b(42b)を有する。このため、アンテナ41、42は従来の「Y」字形の線状アンテナ(3本の第1エレメント部のみにより構成され、第2エレメント部を有さない線状アンテナ)よりも高い周波数選択性を有する。換言すれば、第1アンテナ41及び第2アンテナ42のそれぞれの反射ピークの周波数幅が比較的狭い。このため、複数の第1アンテナ41及び第2アンテナ42が設けられた電波遮蔽体40は特定周波数(第1周波数及び第2周波数)の電波を高い選択性で遮蔽することができる。さらに高い周波数選択性を実現する観点から、第1エレメント部41a(42a)の長さL4(L7)と第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)とを相互に異ならしめることが好ましい。
第1エレメント部41a(42a)の長さL4(L7)と第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)とアンテナ41(42)に反射させようとする電波の周波数(特定周波数)とは相関する。このため、第1エレメント部41a(42a)の長さL4(L7)と第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)とは所望の特定周波数に応じて適宜決定することができる。例えば、第1エレメント部41a(42a)の長さL4(L7)と第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)とが同一である場合は、第1エレメント部41a(42a)及び第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)を長くすることによって特定周波数(第1周波数、第2周波数)を低下させることができる。
以下、第1エレメント部41a(42a)の長さL4(L7)と第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)とが同一である場合の電波遮蔽体40の電波遮蔽特性について図面を参照しながら詳細に説明する。
図24は、電波の周波数と、電波遮蔽体40を透過した際の電波の透過減衰量との関係を表すグラフである。
尚、図24では、第1エレメント部41a(42a)の長さL4(L7)と第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)とのそれぞれが10.6mm、幅L6及びL9がそれぞれ0.7mmである。
図24に示すように、電波遮蔽体40に入射した電波のうち2種の周波数の電波、具体的には、第1周波数(約2.6GHz)の電波と第2周波数(約6.6GHz)の電波が電波遮蔽体40により減衰される。換言すれば、電波遮蔽体40により、電波遮蔽体40に入射した電波のうち特定周波数(約2.6GHz及び約6.6GHz)付近の周波数を有する電波が選択的に遮蔽される。これは、反射層3に含まれる複数の第1アンテナ41及び第2アンテナ42によって、特定周波数付近の周波数を有する電波が選択的に反射されるためである。具体的には、第1アンテナ41は第1周波数(約2.6GHz)付近の電波を反射させることにより遮蔽し、第2アンテナ42は第2周波数(約6.6GHz)付近の電波を反射させることにより遮蔽する。
尚、第1アンテナ41及び第2アンテナ42によって反射される電波の周波数は、それぞれ第1エレメント部41a(42a)と第2エレメント部41b(42b)との長さ(エレメント長L)によって決定される。
図25はエレメント長Lと、アンテナ41、42によって反射される電波の周波数との関係を表すグラフである。詳細には、図25に示すグラフは、厚さ60μmのPETフィルムの表面に、導電材料でアンテナを形成させた電波遮蔽体(アンテナの配置については2参照)を、アンテナが空気に接触する状態で測定した結果に基づいて作成されたものである。
図25に示すように、エレメント長Lが長くなるほど、アンテナ41、42によって反射される電波の周波数は低くなる。換言すれば、エレメント長Lが長くなるほど、アンテナ41、42によって反射される電波の波長は大きくなる。一方、反射される電波の周波数は幅L6、幅L9と大きく相関しない。すなわち、反射される電波の周波数は、主として、エレメント長Lに依存する。電波遮蔽体40では、大きな第1アンテナ41が低い第1周波数(約2.6GHz)付近の電波を反射させ、小さな第2アンテナ42が高い第2周波数(約6.6GHz)付近の電波を反射させる。
従って、図25に示すようなエレメント長Lと選択周波数との関係に基づいて、反射させたい電波の周波数からエレメント長Lを算出することができる。例えば、無線LANに使用する周波数2.45GHzの電波と、周波数5.2GHzの電波とを遮蔽させる電波遮蔽体40を作製する場合は、図25に基づいて、第1アンテナ41のL4、L5を11.19mmとし、第2アンテナ42のL7、L8を6.05mmとすることができる。
図26は第1アンテナ41のL4、L5を11.19mm、幅L6を0.7mmとし、第2アンテナ42のL7、L8を6.05mm、幅L9を0.7mmとした場合の電波遮蔽体40の透過減衰量を表すグラフである。
図26に示す通り、図25のグラフに基づいて設計した電波遮蔽体40によれば、遮蔽させようとする周波数2.45GHzの電波と、周波数5.2GHzの電波とを選択的に遮蔽させることができる。
また、例えば、第1エレメント部41a(42a)の長さL4(L7)を固定し、第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)を調整することにより特定周波数を調整することも可能である。具体的には、第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)を長くすることにより特定周波数を小さくすることができる。
例えば、従来の「Y」字形の線状アンテナ(第2エレメント部を有さず、第1エレメント部のみにより構成されているアンテナ)では、第1エレメント部の長さを調節することによってのみ特定周波数を調節することができる。それに対して、電波遮蔽体40では、上述のように、第1エレメント部41a(42a)の長さL4(L7)を調節することによって特定周波数を調節できると共に、第2エレメント部41b(42b)の長さL5(L8)の第1エレメント部41a(42a)の長さL4(L7)に対する比を調節することによっても特定周波数を調節することができる。このため、電波遮蔽体40は広い設計幅を有する。すなわち、電波遮蔽体40は種々の周波数の電波を選択的に遮蔽することができる。
ところで、従来の「Y」字形の線状アンテナでは、異なる2種の線状アンテナのそれぞれを効率よく、単位面積あたりに多くのアンテナを配列させることが困難である。以下、図27を参照しながら詳細に説明する。
図27は大小2種の「Y」字形アンテナを有する電波遮蔽体において、比較的大きいアンテナ103をエレメント部同士が対向するように格子状に配列した場合を説明するための平面図である。
図27に示すように、比較的大きいアンテナ103(以下、「大アンテナ103」とすることがある。)をエレメント部同士が対向するように配設した場合は、比較的小さいアンテナ104(以下、「小アンテナ104」することがある。)をエレメント部同士が対向するように配列することは困難である。また、大アンテナ103は高密度に配置されているが、小アンテナ104は大アンテナ103よりも単位面積あたりに含まれる数が少なく、高密度ではない。このため、図27に示す電波遮蔽体では、大アンテナ103が対象とする電波と比較して、小アンテナ104が対象とする電波を十分に高い遮蔽率で遮蔽することができない。従って、図27に記載された電波遮蔽体では、周波数の異なる複数の電波を、それぞれ同等の遮蔽率で遮蔽することが困難である。
また、異なる大きさの所謂エルサレムクロス型のアンテナを配置することも考えられる。しかし、異なる2種のエルサレムクロス型のアンテナを効率よく、単位面積あたりに多くのアンテナを配列させることは困難である。さらに、第2エレメント部同士が対向するような態様で、異なる2種のエルサレムクロス型アンテナを効率よく配列することは困難である。以下、その困難性について図面を参照しながら詳細に説明する。
図28は、大小2種のエルサレムクロス型アンテナを有する電波遮蔽体において、比較的大きいアンテナ105を線分状の部分同士が対向するように格子状に配列した場合を説明するための平面図である。
図28に示すエルサレムクロス型アンテナを有する電波遮蔽体では、比較的大きいアンテナ105(以下、「大アンテナ105」とすることがある。)は隣接する大アンテナ105の第2エレメント部105b同士が緊密な距離で対向するように設けられている。このため、大アンテナ105が遮蔽対象とする電波を良好に遮蔽することができる。しかしながら、比較的小さいアンテナ106(以下、「小アンテナ106」とすることがある。)に関しては、隣接する小アンテナ106の第2エレメント部106b同士が対向するように配設されていない。このため、小アンテナ106が遮蔽対象とする電波の反射率が低くなるので、小アンテナ106は遮蔽対象とする電波を十分に遮蔽することができない。従って、図28に示す電波遮蔽体では、周波数の異なる複数の電波を、それぞれ同等の遮蔽率で遮蔽することが困難である。
図28に示すように、比較的大きいアンテナ105(以下、「大アンテナ105」とすることがある。)を第2エレメント部105b同士が対向するように格子状に配列する場合は、比較的小さいアンテナ106(以下、「小アンテナ106」とすることがある。)を第2エレメント部106b同士が対向するように配列することは困難である。例えば、大アンテナ105と小アンテナ106とを、各々、第2エレメント部同士が対向するように配列させた一例を図29に示す。
図29は大アンテナ105と小アンテナ106とが、各々、第2エレメント部同士が対向するように配列された電波遮蔽体の平面図である。
図29に示す電波遮蔽体では、大アンテナ105が隣接する大アンテナ105の第2エレメント部105b同士が特定方向(図29において横方向)に緊密に対向するように設けられている。小アンテナ106に関しても、隣接する小アンテナ106の第2エレメント部106b同士が特定方向(図29において横方向)に緊密に対向するように設けられている。このため、図29に示す電波遮蔽体は、特定方向(図29において横方向)から入射する電波に関しては、大アンテナ105が遮蔽対象とする電波と小アンテナ106が遮蔽対象とする電波との双方を良好に遮蔽することができる。しかしながら、図29に示す電波遮蔽体では、特定方向と角度をなした方向(例えば、図29において上下方向)には、大アンテナ105同士又は小アンテナ106同士が緊密に対向していない。このため、特定方向と角度をなした方向(例えば、図29において上下方向)から入射する電波に関しては十分に遮蔽することができない。従って、図29に示す電波遮蔽体は、電波の入射方向によって電波遮蔽率が大きく変化する。
一方、本実施形態5に係る電波遮蔽体40では、アンテナ41、42は第1エレメント部41a、42aの外側端に結合された第2エレメント部41b、42bを有する。このため、各々、第2エレメント部41b、42b同士が対向するように、複数のアンテナ41、42を配置させることが比較的容易である。従って、本実施形態5に係る電波遮蔽体40では、特定周波数の電波に対する高い電波遮蔽率を容易に実現することができる。また、本実施形態5に係る電波遮蔽体40(配置:図22参照)では、相互に周波数の異なる電波を遮蔽するアンテナ41、42が同一の密度で形成されている。このため、本実施形態5に係る電波遮蔽体40によれば、第1アンテナ41が対象とする第1周波数の電波、及び第2アンテナ42が対象とする第2周波数の電波を同一の遮蔽率で遮蔽することができる。また、入射してくる電波の方向性に対して遮蔽率が大きく変わらない。
以下、第2エレメント部41b、42b同士が対向するように、複数のアンテナ41、42が配設されている他の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施形態6)図30は実施形態6に係る電波遮蔽体50の平面図である。
図31及び図32は電波遮蔽体50の一部を拡大した平面図である。
実施形態6に係る電波遮蔽体50は、第1アンテナ41及び第2アンテナ42の配置を除いて、実施形態5に係る電波遮蔽体40と同様の形態を有する。以下、本実施形態6における第1アンテナ41及び第2アンテナ42の配置について、図30〜32を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施形態6の説明において、図1は実施形態1、5と共通に参照し、また、実質的に同じ機能を有する構成要素を実施形態5と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
本実施形態6では、複数の第1アンテナ41は、第2エレメント部41b同士が対向するように配設された一対により第1アンテナユニット51aを構成している。また、第1アンテナユニット51aが、さらに第2エレメント部41b同士が対向するように配設されて二次元に連続展開した正六角形状の第1アンテナ集合体51を構成している。すなわち、第1アンテナ集合体51は6つの第1アンテナ41により構成されている。実施形態6では、第1アンテナ集合体51がさらに第2エレメント部41b同士が対向するように配設されている。言い換えれば、第1アンテナ集合体51は第2エレメント部41b同士が対向させて環状に連なる6つの第1アンテナ41により構成されている。尚、方向性が少ない第1アンテナ集合体51を構成する観点から、第1エレメント部41a及び第2エレメント部41bが直角をなしていることが好ましい。また、第2エレメント部41bはその中心において第1エレメント部41aと結合されていることが好ましい。
また、複数の第2アンテナ42は、第2エレメント部42b同士が対向するように配設された一対により第2アンテナユニット52aを構成している。また、第2アンテナユニット52aが、さらに第2エレメント部42b同士が対向するように配設されて二次元に連続展開した正六角形状の第2アンテナ集合体52を構成している。すなわち、第2アンテナ集合体52は6つの第2アンテナ42により構成されている。第2アンテナ集合体52は、言い換えれば、第2エレメント部42b同士が対向させて環状に連なる6つの第2アンテナ42により構成されている。尚、方向性が少ない第2アンテナ集合体52を構成する観点から、第1エレメント部42a及び第2エレメント部42bが直角をなしていることが好ましい。また、第2エレメント部42bはその中心において第1エレメント部42aと結合されていることが好ましい。
本実施形態6においては、ほぼすべての第2エレメント部41b同士が平行に対向するように、複数の第1アンテナ41が配設されている。第2アンテナ42に関しても、第2アンテナ集合体52を構成する18本の第2エレメント部42bのうち12本の第2エレメント部42bが相互に平行に対向するように設けられている。このように、第2エレメント部41b、42b同士を対向させるように構成することによって、アンテナ41及び42の特定周波数の電波に対する電波反射率(電波遮蔽率)を高くすることができる。従って、電波遮蔽体50は、特定周波数(第1周波数及び第2周波数)の電波に対する高い電波遮蔽率を有する。具体的には、対向する第2エレメント部41b(42b)間の距離X2(X3)が0.4mm以上3mm以下であることが好ましい(図31、32参照)。より好ましい範囲は、0.6mm以上1mm以下である。距離X2(X3)を0.4mmより短くすると、対向する第2エレメント部41b(42b)同士が不所望に接触する虞がある。一方、距離X2(X3)が3mmより大きいと、電波遮蔽率が低下する傾向にある。
第1アンテナ41の第2エレメント部41b同士を対向させ、第2アンテナ42の第2エレメント部42b同士を対向させ、かつ、両アンテナ41、42の密度を同じにするためには、例えば、図30のような配置が好ましい。
図30で説明すると、第1アンテナ集合体51は第2アンテナ集合体52により包囲されている。このため、第1アンテナ集合体51と第2アンテナ集合体52とを効率よく配置することができる。換言すれば、単位面積あたりに含まれる第1アンテナ41と第2アンテナ42との数量を多くすることができる。従って、特定周波数(第1周波数及び第2周波数)の電波に対する電波遮蔽率を高くすることができる。
本実施形態6において、第2エレメント部41b、42bの長さが比較的短いことが好ましい。そうすることによって第1アンテナ集合体51により包囲される第2アンテナ集合体52に含まれる第2アンテナ42の寸法自由度を大きくすることができる。第1アンテナ41の第2エレメント部41bと第2アンテナ42の第2エレメント部42bとが接触しにくくなるためである。
特に第2エレメント部41bが短いことが好ましく、そうすることによって、第1アンテナ集合体51で囲まれた領域を広くすることができる。このため、比較的大きな第2アンテナ集合体52を第1アンテナ集合体51で囲まれた領域に配置することができる。従って、例えば比較的周波数の近い2種の電波を選択的に遮蔽可能な電波遮蔽体50が実現可能となる。
(実施形態7)図33は実施形態7に係る電波遮蔽体60の平面図である。
第1アンテナ41及び第2アンテナ42の相対配置関係を除いて、実施形態6に係る電波遮蔽体50と同様の形態を有する。以下、本実施形態7における第1アンテナ41及び第2アンテナ42の相対配置関係について、図33を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施形態7の説明において、図1は実施形態1、6と共通に参照し、また、実質的に同じ機能を有する構成要素を実施形態6と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
本実施形態7においても、実施形態6と同様に複数の第1アンテナ集合体51及び複数の第2アンテナ集合体52により反射層3が構成されている。第1アンテナ集合体51は3つの第1アンテナユニット51aにより構成されており、第1アンテナユニット51aは2つの第1アンテナ41により構成されている。第2アンテナ集合体52は3つの第2アンテナユニット52aにより構成されており、第2アンテナユニット52aは2つの第2アンテナ42により構成されている。実施形態7においても実施形態6と同様に、第2アンテナ集合体52は第1アンテナ集合体51により包囲されている。
実施形態7では、第1アンテナ集合体51と第2アンテナ集合体52とは、第1アンテナ集合体51と第2アンテナ集合体52とからなる模様が対称軸を有さないように配置されている。言い換えれば、第1アンテナ集合体51と第2アンテナ集合体52とは相互に傾斜するように配置されている。
第1アンテナ集合体51により第2アンテナ集合体52を包囲させるためには、第2アンテナ集合体52を構成する第2アンテナ42の寸法を、第1アンテナ集合体51を構成する第1アンテナ41の寸法より小さくする必要がある。実施形態6に示すように、第1アンテナ集合体51と第2アンテナ集合体52とを傾斜させることなく配置させた場合、第1アンテナ41と第2アンテナ42とが相互に干渉しないように第2アンテナ42を第1アンテナ41に対して非常に小さくしなければならず、第1アンテナ41と第2アンテナ42との設計自由度が十分ではない。
一方、本実施形態7(図33)に示すように、第1アンテナ集合体51と第2アンテナ集合体とを傾斜(図33では、θ=10°)させて配列した場合は、相互に対向する第2エレメント部41bと、相互に対向する第2エレメント部42bとの相対位置がずれている。このため、本実施形態7では、実施形態6に示す場合と比較して、第1アンテナ41に対する第2アンテナ42の相対大きさを比較的大きくすることができる。従って、本実施形態7に係る電波遮蔽体60によれば、第1アンテナ41と第2アンテナ42との設計自由度を広げることができる。具体的には、周波数の近い(第1周波数との第2周波数との比(第1周波数<第2周波数)が0.45以上)2波に対する電波遮蔽が可能となる。従って、電波遮蔽体60により遮蔽させることができる2種の電波の周波数を比較的自由に選択することができる。
また、図30、33では、六角形状の第1アンテナ集合体51、第2アンテナ集合体52を最密に配置しているが、所望の電波遮蔽率によっては、最密に配置せず、六角形状のアンテナ集合体51、52の数をそれぞれ適宜調整すればよい。