本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は、車両に搭載されており、設定された目的地までの推奨経路を探索することにより、その推奨経路の道路地図を表示し、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内する。また、ユーザの操作に応じて、目的地と自車位置とを含む範囲について通常の地図を要約した地図(以下、要約地図という)を作成し、その要約地図データを接続されているPDA(Personal Digital Assistants)に転送することもできる。このときの一連の動作を以下ではテイクアウトと称する。このテイクアウト機能により、たとえば目的地から離れた位置に車両を停車して目的地まで徒歩で向かうような場合において、ユーザが徒歩時に携帯するPDAに目的地までのルートを示す要約地図を表示することができる。
図1に示すナビゲーション装置は、本体部10とPDA支持部20とを有している。本体部10には、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17およびディスクドライブ18が備えられている。制御回路11には、PDA指示部20にセットされているPDA2が電気的に接続されている。また、ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11において後で説明するような処理を実行することによって、設定された目的地に対してDVD−ROM19に記録された地図データに基づいて推奨経路が探索され、目的地までのナビゲーションが行われる。また、ユーザの操作に応じて前述のようなテイクアウトを実行し、要約地図データを接続されているPDA2に転送する。なお、この点については後で詳しく説明する。
現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方向を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等からなる。本ナビゲーション装置は、この現在地検出装置14により検出された自車両の現在地に基づいて、推奨経路を探索するときの経路探索開始点を決定することができる。
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、要約地図を画像表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、制御回路11において、DVD−ROM19に記録されている地図データに基づいて作成される。この画像メモリ15に格納された画像データを用いて、要約地図が表示モニタ16に表示される。
入力装置17は、ユーザが目的地の設定などを行うための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置、施設名などを指定して目的地を設定し、その目的地までの経路探索を本ナビゲーション装置に開始させることができる。また、テイクアウトの開始や要約地図データの転送開始などの指示も、この入力装置17の操作によって行うことができる。
ディスクドライブ18は、要約地図を作成するために用いられる地図データを、装填されたDVD−ROM19より読み出す。なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。この地図データには、推奨経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路を表す道路データ、さらには海岸線や河川、鉄道、地図上の各種施設(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなどが含まれている。
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、各道路は所定の道路区間ごとに設定された複数のリンクによって構成されている。なお、リンクによって設定される道路区間の長さは異なっており、リンクの長さは一定ではない。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。また、リンク内にはノードとノードの間に形状補間点と呼ばれる点が設定されていることもある。形状補間点もノードと同じく、それぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードと形状補間点の位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。経路計算データには、上記の各リンクに対応して、自車両の通過所要時間を表すためのリンクコストと呼ばれる値が設定されている。
前述のように入力装置17におけるユーザの操作によって目的地が設定されると、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、設定された目的地までの経路演算が経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより行われ、目的地までの推奨経路が求められる。そして、求められた推奨経路付近の要約地図が道路データに基づいて作成され、表示モニタ16に表示される。以上説明したようにして道路形状を簡略化した要約地図が画面表示され、その要約地図上に示された推奨経路に従って自車両が目的地まで誘導される。なお、要約地図の具体的な作成方法については後で説明する。
PDA支持部20は、PDA2と制御回路11を接続する際にPDA2を支持するための構成部分である。PDA支持部20の内部には、制御回路11からの制御によって上下方向にスライド駆動するスライド機構部21が設けられている。ユーザによってスライド機構部21の上にPDA2が載せられると、それを不図示のセンサ類によって検出し、制御回路11においてスライド機構部21を下方向にスライド駆動させるように制御する。これにより、PDA2をPDA支持部20にセットし、制御回路11と接続することができる。
また、PDA2がセットされているときに、入力装置17に設けられている取り外しスイッチがユーザによって操作されると、制御回路11はスライド機構部21を制御して上方向にスライド駆動させる。これにより、PDA2を取り外すことができる。なお、ユーザが車室内においてPDA2をセットしやすい位置、たとえばダッシュボード上面部などに、PDA支持部20は設置されている。
次に、テイクアウト処理によってPDA2に要約地図データを転送するときの具体的な動作について説明する。図2は、図1のナビゲーション装置が搭載された車両の車室内の様子を表した図であり、表示モニタ16とPDA支持部20が図中に示されている。表示モニタ16は、ユーザが見やすいように車室内のダッシュボード前面部分に設置されている。また、スロット状の開口部を有するPDA支持部20は、そのダッシュボードの上面部分に設置されている。表示モニタ16には現在地25の周囲の地図が表示されており、目的地までの推奨経路がその地図上に示されている。PDA2をセットしていないときは、このような状態となっている。
図3は、PDA2をセットしたときの様子を表している。ユーザがPDA2を開口部の中に設置されているスライド機構部21に載せると、前述したようにスライド機構部21が下方向にスライド駆動されて、PDA支持部20内にPDA2が収められる。これにより、図3に示すような状態となってPDA2がセットされ、PDA2と制御回路10が電気的に接続される。
図4は、要約地図を作成して、その要約地図データをPDA2に転送するときの様子を表している。ユーザが入力装置17の操作によってテイクアウト開始を指示すると、後で説明するようにしてDVD−ROM19に記録された地図データに基づいて、目的地26と自車位置25を含む範囲の要約地図が作成される。このとき、PDA2の画面サイズに合わせて要約地図が作成される。なお、PDA2の画面サイズは、たとえばPDA2が接続されたときにその機種情報をPDA2から制御回路11へ送信し、制御回路11において受信した機種情報に基づいて画面サイズを判断することにより、予め要約地図の作成前に求めておくことができる。
要約地図の作成が完了すると、表示モニタ16の画面上に、PDA2を模擬した図形(以下、これをメタファと称する)が符号27に示すように画像表示される。このメタファ27における符号28の表示画面の部分には、作成された要約地図が嵌め込み表示される。これにより、要約地図データを転送する前に、ユーザはその要約地図の内容を表示モニタ16の画面上で確認することができる。この状態で入力装置17の操作によってデータ転送を指示することにより、要約地図データがPDA2へと送信される。
要約地図データがPDA2へ転送された後、ユーザが入力装置17の取り外しスイッチを操作することによってPDA2の取り外しを指示すると、前述したようにスライド機構部21が上方向にスライド駆動されて、PDA2が図5に示すようにPDA支持部20の中から出てくる。このとき、スライド機構部21のスライド駆動に同期して、そのスライド駆動方向と同じ上方向にメタファ27が表示モニタ16上で移動する。これにより、ユーザはPDA2が取り外されていることを表示モニタ16の画面上で確認することができる。PDA2が完全に取り外されるとメタファ27が画面から消えて図6のような状態となり、ユーザはダッシュボード上からPDA2を取り上げることができる。
以上説明したようなテイクアウト処理を実行する際に制御回路11において実行されるフローチャートを図7に示す。このフローチャートは、ユーザから入力装置17によって目的地の入力操作が行われたときに実行される。ステップS100では、ユーザから入力された地名や地図上の位置、施設名などに基づいて、地図上のいずれかの施設を目的地に設定する。ステップS200では、DVD−ROM19の地図データに基づいて、ステップS100において設定された目的地までの推奨経路を探索する。
ステップS300では、ステップS200で探索された推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するナビゲーション処理を実行する。ここでは、たとえば現在地検出装置14によって自車位置を検出し、その自車位置を地図上に示して推奨経路を強調表示したり、曲がるべき誘導交差点に近づいたら画像や音声によって進行方向をユーザに指示したりする。このときの具体的な処理内容については、周知であり本発明には関係ないため、説明を省略する。
ステップS400では、テイクアウトを開始するか否かを判定する。この判定は入力装置17の操作状態に基づいて行われる。テイクアウト開始の指示操作が入力装置17に対して行われていない間は、ステップS300へ戻ってナビゲーション処理を繰り返す。テイクアウト開始の指示操作が入力装置17に対して行われたことを検出すると、テイクアウトを開始すると判定して次のステップS500へ進む。
ステップS500では、現在地検出装置14により、その時点における自車位置を検出する。ステップS600では、ステップS500において検出した自車位置と、ステップS100において設定した目的地とを含む範囲を要約対象範囲として、要約地図作成処理を行う。これにより、現在地から目的地までの要約地図が作成される。なお、このとき接続されているPDA2の種類に応じて、その画面の大きさや表示解像度などの特性に合わせて、要約範囲や要約度合いを適切な内容に変更することが好ましい。要約地図作成処理の具体的な内容と要約度合いの変更方法については後で説明する。
ステップS700では、表示モニタ16に表示するメタファの選択を行う。このメタファの選択は、接続されているPDA2の種類に応じて行われる。本実施形態のナビゲーション装置には様々な種類のPDAが接続できるようになっており、その種類によって外観が異なるため、メタファも外観に合わせた内容で表示する必要がある。そのため、接続されているPDA2の種類に応じてメタファを選択することで、PDA2の外観と表示されるメタファの画像を一致させ、ユーザに違和感を与えることなくメタファを表示することができる。なお、このメタファの選択は、PDA2の機種情報を制御回路11へ送信することで自動的に判断してもよいし、ユーザが手動で選択するようにしてもよい。
ステップS800では、ステップS700で選択されたメタファを表示モニタ16に画像表示する。ステップS900では、ステップS800で表示したメタファ上に、ステップS600で作成した要約地図を表示する。このとき、要約地図の大きさをメタファの表示画面の部分に合わせて変換し、その表示画面部分に大きさを変換した要約地図を嵌め込んで表示する。
ステップ1000では、ユーザの確認結果がOKであるか否かを判定する。この判定は入力装置17の操作状態に基づいて行われる。データ転送開始の指示操作が入力装置17に対して行われた場合は、ユーザの確認結果がOKであると判定する。この場合には、データの転送を許可すると判定してステップS1100へ進む。しかし、データ転送を開始しないことを指示する操作が入力装置17に対して行われた場合は、ユーザの確認結果がOKではないと判定する。この場合には、データの転送を許可しないと判定してステップS1010へ進む。
ステップS1000でデータの転送を許可しないと判定してステップS1010へ進んだ場合は、ステップS1010で要約範囲を変え、さらに次のステップS1020で要約度合いを変えた後に、ステップS600へ戻って再び要約地図作成処理を実行する。なお、このときの要約範囲や要約度合いの変更量は予め決めておいてもよいし、ユーザが選択できるようにしてもよい。このようにすることで、作成された要約地図が分かりにくいとユーザが判断した場合に、要約範囲や要約度合いを変えてより分かりやすい要約地図を作成し直すことができる。なお、ステップS1010とS1020のいずれか一方のみを実行して、要約範囲と要約度合いのいずれか一方のみを変えることとしてもよい。要約度合いの変更方法については、後で要約地図の作成方法を述べるときに具体的に説明する。
一方、ステップS1000でデータの転送を許可すると判定してステップS1100へ進んだ場合、ステップS1100では、作成された要約地図のデータをPDA2へ転送する。転送が終了したら、次のステップS1200ではPDA2の取り外しを開始するか否かを判定する。この判定は入力装置17の取り外しスイッチの操作状態に基づいて行われ、取り外しスイッチが操作されていない間はステップS1200を繰り返す。取り外しスイッチが操作されたことを検出すると、PDA2の取り外しを開始すると判定して次のステップS1300へ進む。
ステップS1300では、スライド機構部21のスライド駆動制御を行うことにより、スライド機構部21を上方向へスライド駆動させる。次のステップS1400では、ステップS800で表示したメタファの表示位置を上方向へ移動させる。これにより、スライド機構部21のスライド駆動に同期して、そのスライド駆動方向と同じ上方向にメタファの表示位置を移動する。
ステップS1500では、PDA2の取り外しが完了したか否かを判定する。ステップS1300においてスライド機構部21がまだ所定の駆動量を駆動していない間は、取り外しが完了していないと判定してステップS1300へ戻る。スライド機構部21が所定の駆動量だけ駆動した場合は、取り外しが完了したと判定し、図7のフローチャートを終了する。以上説明したようにして、要約地図を作成してPDA2に転送し、テイクアウトを完了する。
次に、ステップS600において実行される要約地図作成処理の内容について説明する。要約地図作成処理では、方向量子化処理と呼ばれる処理を実行することによって各経路の道路形状を簡略化することにより、各経路の要約地図を作成する。この方向量子化処理について、以下に説明する。
方向量子化処理では、探索された推奨経路のリンクをそれぞれ所定の分割数で分割した上で、道路形状の簡略化を行う。図8および図9は、いずれもこの方向量子化処理の内容を説明するための詳細説明図であり、図8ではリンク分割数が2(2分割)の場合について、また図9ではリンク分割数が4(4分割)の場合について、それぞれの方向量子化処理の内容を図示している。以下、図8に示す2分割の場合より先に説明を行う。
図8(a)の符号30は、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク30に対して、(b)に示すように、その両端点の間を結ぶ線分31から最も遠くにあるリンク30上の点32を選択する。なお、ここで選択される点32は前述の形状補間点に相当し、両端点はノードに相当する。
上記のような点32が求められたら、次に(c)に示すように、リンク30の両端点のそれぞれと点32とを結ぶ線分33および34を設定する。この線分33と34がそれぞれの基準線に対してなす角度をθ1およびθ2と表す。なお、ここでいう基準線とは、リンク30の両端点から予め決められた所定の方向(たとえば、真北方向)に向かって、それぞれ延びている線のことである。(c)に示すように、一方の端点からの基準線と線分33によって挟まれている部分の角度が、θ1と表される。また、もう一方の端点からの基準線と線分34によって挟まれている部分の角度が、θ2と表される。
上記のようにして点32とリンク30の両端点とをそれぞれ結ぶ線分33、34が設定されたら、次に(d)に示すように、この線分33と34の方向をそれぞれ量子化する。ここでいう方向の量子化とは、前述の角度θ1およびθ2が予め設定された単位角度の整数倍にそれぞれなるように、線分33と34を各端点を中心にしてそれぞれ回転させることをいう。すなわち、θ1=m・Δθ、θ2=n・Δθ(n、mは整数)となるように、線分33と34をそれぞれ回転させてθ1とθ2の値を補正する。上記の式においてmとnの値は、この式によって計算される補正後のθ1とθ2がそれぞれ元の値に最も近くなるように設定される。
以上説明したように線分33と34の方向をそれぞれ量子化すると、線分33と34が基準線となす角度θ1およびθ2が、単位角度Δθ刻みで補正される。なお図8(d)では、Δθ=15°としている。そして、θ1についてはm=6と設定して補正後の角度を90°にし、θ2についてはn=0と設定して補正後の角度を0°にした例を図示している。
こうして線分33と34の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分33と34をそれぞれ延長したときの交点を求める。そして、その交点と各端点とを結ぶようにして、(d)に示すように、線分33と34の長さをそれぞれ補正する。
以上説明したようにして、線分33と34を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク30に対する2分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分33と34をリンク30の代わりに用いることで、リンク30の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク30の両端点の位置が固定された状態でリンク30の形状が簡略化されるため、隣接するリンクの位置には影響を及ぼさない。したがって、方向量子化処理を用いて経路の各リンク形状をそれぞれ簡略化することにより、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
次に、4分割の場合の方向量子化処理について説明する。図9(a)の符号40は、図8(a)と同様に、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク40に対して、(b)に示すように、まずその両端点の間を結ぶ線分41aから最も遠くにあるリンク40上の点42aを選択する。次に、その点42aとリンク40の各端点とをそれぞれ結ぶ線分41bおよび41cを設定し、この線分41bと41cからそれぞれ最も遠く離れた位置にあるリンク40上の点42bおよび42cを選択する。なお、ここで選択される点42a〜42cは、いずれも2分割の場合と同様に前述のノードまたは形状補間点に相当する。
上記のような点42a〜42cが求められたら、次に(c)に示すように、2分割の場合と同様にして、リンク40の各端点と点42a〜42cとをそれぞれ順に結ぶ線分43、44、45および46を設定する。この線分43〜46がそれぞれの基準線に対してなす角度を、θ3、θ4、θ5およびθ6と表す。なお、このときの基準線はリンク40の両端点に対して定められるだけでなく、点42a〜42cのうち真ん中に位置する最初に選択された点42aに対しても定められる。
上記のようにして線分43〜46が設定されたら、次に(d)に示すように、各線分の方向をそれぞれ量子化する。このとき、点42aを保存点として、線分44と45はこの保存点42aを中心にそれぞれ回転させる。なお、線分43と46については、2分割の場合と同様に各端点を中心にそれぞれ回転させる。ここでは、Δθ=15°と予め設定し、θ3〜θ6の補正後の角度をそれぞれ60°、45°、180°および60°とした例を図示している。
こうして線分43〜46の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分43と44をそれぞれ延長したときの交点と、線分45と46をそれぞれ延長したときの交点とを求める。そして、各交点と各端点または保存点42aとを結ぶようにして、(d)に示すように、線分43〜46の長さをそれぞれ補正する。
以上説明したようにして、線分43〜46を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク40に対する4分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分43〜46をリンク40の代わりに用いることで、リンク40の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク40の両端点の位置に加えて、さらに保存点42aの位置も固定された状態で、リンク40の形状が簡略化される。したがって、複雑な形状のリンクによって構成されている経路に対しても、その全体的な位置関係を保ちつつ適切に道路形状を簡略化することができる。
なお、上記では2分割と4分割の場合の方向量子化処理について説明したが、これ以外の分割数についても同様にして方向量子化処理を実行することができる。たとえば8分割の場合には、まず4分割の場合と同様に、リンクの両端点の間を結ぶ線分から最も遠い1点と、その点と両端点とを結ぶ2つの線分からそれぞれ最も遠い2点を選択する。その後、さらにこれらの3点に両端点を加えた各点間を結ぶ4つの線分からそれぞれ最も遠い4点を選択する。こうして選択された合計7点と両端点とを順に結ぶ8つの線分を求め、これらの線分に対して前述したような方向の量子化と長さの補正を行うことによって、8分割の方向量子化処理を行うことができる。
方向量子化処理の分割数をいくつにするかは、予め設定しておいてもよいし、あるいはリンクの形状によって判断してもよい。たとえば、上記のようにして両端点またはそれまでに選択された点の間を結ぶ各線分から最も遠い点を順次選択していくとき、すなわち図8および9の(b)で説明した処理を繰り返していくときに、各線分から最も遠い点までの距離が所定値以下となるまで処理を繰り返して、その処理回数に応じた数の点を順次選択していく。このようにすれば、リンクの形状によって方向量子化処理の分割数を決めることができる。
なお、図7のステップS1020において要約度合いを変更する際には、この方向量子化処理の分割数を変えることによって要約度合いを変更することができる。すなわち、分割数を減らすほど要約度合いを高くして道路形状をより簡略化し、逆に分割数を増やすほど要約度合いを低くして元の地図に近い形状とすることができる。あるいは、線分の方向を量子化するときの単位角度Δθの値を変えることによっても、要約度合いを変更することができる。すなわち、単位角度Δθを大きくするほど要約度合いを高くして道路形状をより簡略化し、逆に単位角度Δθを小さくするほど要約度合いを低くして元の地図に近い形状とすることができる。
図8で説明した2分割の方向量子化処理において、方向を量子化した後に線分33と34をそれぞれ延長しても、適切な交点がない場合がある。すなわち、方向を量子化した後の線分33と34が平行となっている場合には、これらの線分を延長すると両者が一体化してリンク33の両端点を結ぶ1つの線分となるため、交点が存在しないこととなる。このような場合には、その両端点を直接結ぶ線分、すなわち線分31を用いて、リンク30の形状を簡略化して表すようにすればよい。また、図9で説明した4分割の方向量子化処理や、それ以上の分割数の方向量子化処理において、同様に方向を量子化した後に各線分を延長すると適切な交点がない場合には、それよりも分割数が少ない方向量子化処理を行うようにすればよい。
以上説明したような方向量子化処理を各経路の全てのリンクに対して順次実行していくことにより、各経路の道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。なお、リンク単位ではなく、リンクを複数連ねて構成されるリンク列ごとに上記のような方向量子化処理を実行するようにしてもよい。この場合、図8の点32や図9の点42a〜42cとして選択される点には、形状補間点だけでなくノードも含まれることになる。
または、要約地図作成処理において、上記の方向量子化処理を実行せずに道路形状を簡略化することもできる。ここでは、各リンク形状を曲線で近似することによって道路形状を簡略化する方法を、図10を参照して説明する。
図10(a)には、探索された経路に含まれるリンクの一部として、リンク50、51および52を例示している。これらのリンク50〜52に対して、まず(b)に示すように各リンクの両端点において量子化したリンク方向を求める。ここでは、前述の方向量子化処理において各線分の方向の量子化を行ったのと同様にして、元の角度に最も近くて単位角度の整数倍となるようなリンク方向を求める。その結果、(b)において矢印で示されているようなリンク方向が各端点に対して求められる。
次に、(c)に示すように端点の間を結ぶ曲線53、54および55を求めることにより、各リンクの形状を曲線近似する。このとき、各曲線の端点付近における接線の方向が上記の量子化したリンク方向と一致するように、曲線53〜55の形状がそれぞれ決定される。なお、このような曲線を求める方法としては、たとえばスプライン関数を用いたスプライン近似などがあるが、ここでは詳細な説明は省略する。
以上説明したような処理を推奨経路の全てのリンクに対して順次実行していき、求められた曲線を用いて道路形状を表すことにより、道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。このときも方向量子化処理の場合と同様に、各リンクの両端点の位置が固定された状態で各リンクの形状が簡略化される。したがってこの場合にも、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
さらに、作成された要約地図上に各種施設などの位置を示すランドマークを表示する。しかし、道路形状が簡略化されることにより、要約地図における道路の位置は元の地図より変化する。そのため、要約地図上に元の位置のままランドマークを表示したのでは、道路とランドマークとの位置関係を正しく表すことができない。したがって、要約地図上にランドマークを表示する際には、ランドマークの位置補正を行うことが必要となる。その方法について、以下に説明する。
図11では、ランドマークの位置補正の概要について説明する。図11(a)に示すように、要約する前の元の地図では、ランドマークの位置と道路との微妙な位置関係が記述されている。この元の地図に対して、上記で説明したような要約地図の作成処理を行い、さらにランドマークの位置をそのままにして表示すると、たとえば(b)に示すような要約地図となる。
(b)に示す要約地図では、道路の位置のみが(a)に示す元の地図に対して変化しているため、元のランドマークと道路との位置関係が保たれていない。たとえば、地図の中央付近にある郵便局に着目すると、この郵便局は、(a)に示す元の地図と、(b)に示す要約地図とで、互いに道路の反対側に位置している。そこで、このような不都合を是正するためにランドマークの位置補正を行い、その結果、(c)に示す要約地図のように、道路とランドマークとの位置関係が、元の地図上での位置関係と近似するようにする。
次に、図12を用いて、ランドマークの位置補正の詳細アルゴリズムについて説明する。ランドマークの位置補正では、はじめに、図12(a)に示すように、要約前後での形状ベクトル間のペアリストの作成を行う。ここで、要約時に上記に説明したような処理を行うことによって、道路の形状を表す形状ベクトルの構成点数が元のものから変化する。従って、ペアリストを作成するときには、このペアリストで関係付けられた形状ベクトル間の分岐点間の方向性が合致する必要がある。すなわち、要約の前後で、それぞれの分岐点の位置に対して、1対1に対応関係が成立するようにする。
このようにしてペアリストを作成したら、その次に(b)に示すように、各形状ベクトルのノルムと、対応する分岐点間の距離の割合を等価にする補正処理を行う。すなわち、要約する前の元の地図において、ランドマークが最近接する形状ベクトルのノルム値と、その形状ベクトルを含む道路経路における、そのランドマークから各分岐点までの距離の割合を測定する。この測定値により、要約後の地図においても、上記のペアリストによって対応付けられる形状ベクトルに対して、そのノルム値と、ランドマークから分岐点間までの距離の割合が等価となるように、ランドマークの位置を計算する。そして、計算した位置にランドマークを表示する。
以上説明したランドマークの位置補正では、通常の地図を要約地図に変換することによって道路の形状や距離が変わるので、対応するランドマーク(道沿いにある店等)も道路に合わせて座標を変換する必要がある。そのため、変換前のランドマークの位置についてのパラメータとして、そのランドマークが変換前の道路(リンク)の一方の端から全体の何%のところにあるか、道路のどちら側にあるか、道路から何メートル離れたところにあるかを求める。そして、変換後の対応する道路データに対して、これら3つのパラメータを用いて、変換後のランドマークの位置を決定する。これを、図13に示す具体例を用いて説明する。
図13(a)は、要約前の通常の地図におけるランドマーク位置の例を示す。地点Aと地点Bとをつなぐ道路は、地点AとA1の間のリンク61、地点A1とA2の間のリンク62、地点A2とA3の間のリンク63、および地点A3とBの間のリンク64によって構成されており、その道路沿いにランドマーク60が存在している。リンク61〜64のそれぞれの長さは、150m、200m、350mおよび500mであり、これらのリンクによって構成される地点AとBをつなぐ道路は、その合計、すなわち1200mの長さを有している。ランドマーク60は、地点A3から地点Bに向かって200m、すなわち地点Aから900m地点の、道路の左側に位置している。また、ランドマーク60の位置は道路から10m離れている。
このような要約前のランドマーク位置について、上記に説明した3つのパラメータを求める。1つ目のパラメータ、すなわち、道路の一方の端(地点A)からの距離の全体距離に対する割合は、900/1200=0.75(75%)と求められる。2つ目のパラメータ、すなわち道路のどちら側にあるかは、地点AからBに向かって道路の左側にあると求められる。3つ目のパラメータ、すなわち道路からの距離は、10mと求められる。
図13(b)は、要約後の地図におけるランドマーク位置の例を示す。この要約地図では、地点Aと地点Bとをつなぐ道路は1つのリンク65によって表されており、その長さは1000mである。この要約地図上にランドマーク60を表示するとき、先に求めた3つのパラメータを用いて、変換後の位置を決定する。すなわち、地点Aからの距離は、1つ目のパラメータを用いて、1000×0.75=750mと求められる。また、2つ目のパラメータと3つ目のパラメータにより、地点Aから見て道路(リンク65)の左側であり、その道路から10m離れた位置が決定される。これらの条件を満たす位置にランドマーク60を表示することにより、ランドマーク60の位置補正が行われる。
上記に説明したような処理を行うことにより、要約地図においてランドマークの位置が補正され、道路とランドマークとの位置関係を要約前の元の地図に近似させることができる。その結果、図11(a)に示す元の地図のランドマーク位置に対して、要約地図におけるランドマーク位置を図11(c)のようにすることができる。こうして要約地図上にランドマーク位置が表される。
次に、本ナビゲーション装置が有するテイクイン機能について説明する。テイクイン機能とは、上記で説明したテイクアウト機能とは逆に、PDAからナビゲーション装置へデータを転送する機能である。たとえば、ユーザが地図に登録されていない新たなランドマークを徒歩時に発見した場合、これをPDAに登録しておくと、車両に戻ってからPDAとナビゲーション装置を接続したときに、テイクイン機能によって登録したランドマークがPDAからナビゲーション装置へと転送され、ナビゲーション装置に取り込まれる。これにより、地図データにそのランドマークの情報を追加することができる。
上記のテイクイン機能を実行する際には、テイクアウト時と同様にPDAを模擬したメタファを画像表示し、そのメタファの表示画面部分に要約地図とともに登録したランドマークを表示する。その様子を図14に示す。PDA2がPDA支持部20にセットされてテイクインが実行されると、表示モニタ16の画面上にメタファ27が表示され、その表示画面部分28に、前述のテイクアウト時に表示された要約地図が再び嵌め込み表示される。そして、ユーザがPDA2において登録しておいた新たなランドマーク29がその要約地図上に表示される。これにより、ユーザはPDA2からナビゲーション装置へテイクイン時に転送されるデータの内容を確認することができる。なお、このランドマーク29は、データ転送が完了すると、表示モニタ16に表示されている地図上にも図に示すように追加表示される。
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)PDA2へのデータ転送を開始するか否かを判定し(ステップS400)、開始すると判定された場合、ステップS100で設定された目的地と、ステップS500で検出された自車位置とを含む範囲について、要約地図を地図データに基づいて作成する(ステップS600)。そして、PDA2を模擬したメタファを表示モニタ16上に画像表示し(ステップS800)、作成された要約地図を、そのメタファにおける表示画面の部分に嵌め込み表示する(ステップS900)。このようにして要約地図を表示した後に、その要約地図データをPDA2へ転送することとした(ステップS1100)。このようにしたので、PDA2に要約地図を転送するのに先立って、そのPDA2に表示される要約地図の内容をユーザが確認することができる。
(2)ユーザからの入力装置17による入力操作に基づいて、ステップS900において表示された要約地図データの転送を許可するか否かを判定し(ステップS1000)、許可しないと判定された場合は、要約度合いや要約範囲を変えて再び要約地図を作成することとした(ステップS1010、S1020)。このようにしたので、作成された要約地図が分かりにくいとユーザが判断した場合に、要約度合いや要約範囲を変えてより分かりやすい要約地図を作成し直すことができる。
(3)予め記憶された複数種類のメタファからいずれかを選択し(ステップS700)、選択したメタファを表示モニタ16上に画像表示することとした(ステップS800)。このようにしたので、PDA2の外観と表示されるメタファの画像を一致させ、ユーザに違和感を与えることなくメタファを表示することができる。
(4)PDA2の取り外し時にはスライド機構部21を上方向にスライド駆動させ(ステップS1300)、そのスライド駆動に同期して、そのスライド駆動方向と同じ方向にメタファを表示モニタ16上で移動させることとした(ステップS1400)。このようにしたので、ユーザはPDA2が取り外されていることを表示モニタ16の画面上で確認することができる。
(5)PDA2において登録されたランドマークのデータをテイクイン機能によってナビゲーション装置に取り込む際には、メタファを表示モニタ16に画像表示し、そのメタファの表示画面部分に嵌め込み表示される要約地図上に当該ランドマークを表示することとした。このようにしたので、ユーザはPDA2からナビゲーション装置へと転送されるデータの内容を確認することができる。
なお、上記の実施の形態では、目的地と自車位置を含む範囲について要約地図を作成し、その要約地図をメタファの表示画面の部分に嵌め込み表示する例を説明したが、本発明はこの内容に限定されず、通常の地図をメタファの表示画面の部分に嵌め込み表示するようにしてもよい。すなわち、PDA2へのデータ転送を開始すると図7のステップS400において判定された場合、ステップS100で設定された目的地と、ステップS500で検出された自車位置とを含む範囲の地図を、ステップS900において、PDA2を模擬したメタファにおける表示画面の部分に嵌め込み表示する。このようにして表示された地図を表すための地図データを、ステップS1100においてPDA2へ転送する。このようにすれば、上記の実施の形態で説明したのと同様に、PDA2に地図を転送するのに先立って、そのPDA2に表示される地図の内容をユーザが確認することができる。
また、上記の実施の形態では、携帯情報端末にPDAを用いた例を説明したが、携帯電話など他の種類の携帯情報端末を用いることとしてもよい。
また、上記の実施の形態では、ナビゲーション装置において、DVD−ROMなどの記憶メディアより地図データを読み出して要約地図を作成する例について説明しているが、本発明はこの内容には限定されない。たとえば、携帯電話などによる無線通信を用いて、地図データを情報配信センターからダウンロードする通信ナビゲーション装置などにおいても、本発明を適用できる。この場合、上記に説明したような要約地図の作成処理やメタファの選択処理を情報配信センターにおいて行い、その結果を情報配信センターから信号出力してナビゲーション装置へ配信することにより、ナビゲーション装置においてメタファと要約地図を表示するとともに、携帯情報端末へ要約地図データを転送することができる。すなわち、情報配信センターは、要約地図を作成する装置と、メタファを選択する装置と、要約地図データおよびメタファを外部へ信号出力する装置とによって構成される。なお、その際に無線通信端末と携帯情報端末を兼ねることもできる。その場合には、ナビゲーション装置を経由せずに、情報配信センターから携帯情報端末に要約地図データを直接転送してもよい。
上記の実施の形態では、支持手段をPDA支持部20、駆動手段をスライド機構部21によってそれぞれ実現し、その他の各手段を制御回路11の処理によって実現している。しかし、本発明はこの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も、本発明の範囲内に含まれる。