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JP4669986B2 - カーボンナノチューブの製造方法および製造装置 - Google Patents
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JP4669986B2 - カーボンナノチューブの製造方法および製造装置 - Google Patents

カーボンナノチューブの製造方法および製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンナノチューブの製造方法および製造装置に関する。
カーボンナノチューブ(CNT)は、優れた機械的、電気的、熱的性質を持つことが知られている。そのため走査型プロープ顕微鏡の探針 、薄型大画面の電界放出ディスプレイ(FED)、次世代トランジスタ、半導体回路などの超微細加工素材、水素吸蔵材料など様々な用途に応用されることが期待されている。CNTの主な合成法として、化学気相成長(CVD)法・アーク放電法・レーザー蒸発法の3つが知られているが、温度や圧力管理が必要で設備が複雑なため合成コストが高いのが現状である。
またCNTの合成に必要なことは、CNTの材料となる炭素供給と、それを分解しCNTを形成させるための高温場である。燃焼はこの2点を同時に満たしているためCNT合成に適していると考えられる。実際、フラーレンなどのカーボンマテリアルは燃焼合成法が確立されたことで大量生産が可能となり、安価に生産できるようになった。CNTの燃焼合成に関する研究としては、噴流拡散火炎内や予混合火炎中に触媒金属を挿入する方法が報告されている(例えば、非特許文献1,2参照)。
非特許文献1には、拡散火炎中に触媒となる金属プローブを挿入して、火炎からの熱と燃料からの炭素とによりCNTを合成することが開示されている。
非特許文献2には、火炎の燃焼生成ガスを用いて、CNTを合成する方法が開示されている。図10を参照しつつ、同文献に記載の方法について説明する。図10は、この方法に用いられる装置を示している。この装置は、火炎を発生させる火炎発生器101と、火炎発生器101から発生する火炎102の後流に配置されたダクト103とを備えている。ダクト103内には、触媒となる金属プローブ104が保持されている。この装置においては、ダクト103内に火炎102の燃焼ガスが収集されることにより、金属プローブ104上にCNTが合成される。なお、同装置においては、火炎102として予混合火炎が用いられている。
Liming Yuan, Kozo Saito, Wenchong Hu, Zhi Chen, Chemical Physics Letters 346 (2001) p.23-28 Randall L. Vander Wal, Lee J. Hall and Gordon M. Berger, Proceedings of the Combustion Institute 29 (2002) p.1079-1085
しかしながら、非特許文献1,2に記載の方法は、何れもCNTを安定的に合成するのに適していない。
すなわち、非特許文献1に記載の方法では、CNTの合成に必要な高温場を形成するために拡散火炎を用いている。ここで、拡散火炎においては、火炎温度等の火炎特性は、化学種の種類や初期温度によって一義的に決まらず、火炎が形成される流れ場に依存する。このため、火炎特性を制御しにくい。それゆえ、この方法では、CNTの合成条件を所望に制御するのが困難となり、CNTを安定的に合成するのが困難である。
また、非特許文献2に記載の方法では、上述の通り、火炎の後流で燃焼ガスを集め、その集められた燃焼ガス中でCNTの合成を行っている。この場合も、CNTの合成場における燃焼ガスの温度条件等の特性を制御しにくい。したがって、この方法でも、CNTの合成条件を所望に制御するのが困難となり、CNTを安定的に合成するのに適さない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、CNTを安定的に合成するのに適した製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
発明によれば、
燃料に有機化合物を含む予混合火炎に対向する位置に、前記予混合火炎との対向面が平らな対向部材を配した状態を保持する工程を含み、
触媒金属が前記対向面に設けられており、
予混合気が前記対向部材より遮られることにより、前記予混合火炎における前記対向部材と対向する面が平面状となる、カーボンナノチューブの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、
燃料に有機化合物を含む予混合火炎を発生させる火炎発生器と、
前記予混合火炎との対向面が平らな対向部材と、
前記予混合火炎に対向する位置に、前記対向部材を配する保持部材と、を備え、
触媒金属が前記対向面に設けられており、
前記火炎発生器は、予混合気が前記対向部材に遮られることにより、前記予混合火炎における前記対向部材と対向する面が平面状となる、前記予混合火炎を発生させる、カーボンナノチューブの製造装置が提供される
これらの製造方法および製造装置においては、予混合火炎を用いている。予混合火炎は、初期混合気の組成および物理的状態が決まれば、最終燃焼状態の燃焼ガス成分組成や温度、燃焼速度等の火炎の特性が一義的に決まるため、拡散火炎に比して火炎特性を制御し易い。さらに、予混合火炎に対して触媒金属を近接させた状態でCNTを合成するため、予混合火炎の火炎特性を制御することにより、CNTの合成条件を所望に制御することができる。したがって、これらの製造方法および製造装置は、CNTを安定的に合成するのに適している。
上記製造方法において、予混合火炎は、触媒金属と対向する面が平面状を有している。また、上記製造装置において、火炎発生器は、触媒金属と対向する面が平面状をしている予混合火炎を発生させている。これらの場合、予混合火炎における平面状をしている部分に沿って、触媒金属が配置されることにより、大量のCNTを同時に合成することが可能となる。
上記製造方法において、触媒金属を挟んで予混合火炎に対向する位置に、予混合火炎との対向面が平らな対向部材を配した状態保持する工程を実行している。また、上記製造装置は、触媒金属を挟んで予混合火炎に対向する位置に配された、予混合火炎との対向面が平らな対向部材を備え。こうすることにより、予混合気が対向部材によって遮られることにより、よどみ流が生じ、このよどみ流中に予混合火炎が形成されることになる。このようにして形成される予混合火炎は、その周囲との界面のうち、少なくとも対向部材に対向する部分が平面状となる。したがって、触媒金属と対向する面が平面状をしている予混合火炎を容易且つ安定的に形成することができる。
上記製造方法において、触媒金属は、対向部材の対向面上に載置されてもよい。また、上記製造装置において、対向部材は、その対向面上に触媒金属を載置可能であってもよい。これらの場合、予混合火炎と触媒金属との間に一定の間隔が保たれた状態を容易に実現することができる。
触媒金属は、平板状をしていてもよい。この場合、大量のCNTを同時に合成することが可能となる。
上記製造方法において、大気開放下で保持する上記工程を実行してもよい。この場合、簡易な装置構成でCNTを合成することができる。
上記製造装置において、保持部材により保持される触媒金属と、火炎発生器から発生する予混合火炎とは相対的に移動可能であってもよい。この場合、触媒金属における予混合火炎に面する部位を次々と変えていくことにより、CNTを連続的に合成することができる。したがって、CNTの量産に特に適した製造装置が実現される。
なお、触媒金属と予混合火炎とが相対的に移動可能であるとは、保持部材および火炎発生器のうち何れか一方が可動に設けられていてもよく、両者が可動に設けられていてもよい。
CNTを安定的に合成するのに適した製造方法および製造装置が実現される。
以下、図面を参照しつつ、本発明によるカーボンナノチューブの製造方法および製造装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明によるカーボンナノチューブの製造装置の第1実施形態を示す断面図である。製造装置1は、火炎発生器10および保持部材20を備えている。火炎発生器10は、燃料と酸化剤とを予め混合してから燃焼場に供給することにより、予混合火炎12を発生させるものである。燃料としては、炭化水素等の有機化合物が用いられる。炭化水素の例としては、CやC等が挙げられる。また、酸化剤としては、O、O、NO及びNO等の酸化性ガスが用いられる。予混合気として、燃料と空気とを混合したものを用いた場合、空気中のOが酸化剤として、Nが希釈剤として作用することになる。 本実施形態において火炎発生器10は、予混合気の通路内に設けられた、スチールウール14およびハニカム部材16を有している。これらのスチールウール14およびハニカム部材16は、予混合気の流速を、その進行方向に垂直な面内で略一定とするように設けられた流速制御手段である。ハニカム部材16の材料としては、例えばセラミックスを用いることができる。なお、予混合火炎12の温度は、例えば1200〜2000℃に設定される。
保持部材20は、触媒金属30を予混合火炎12に対して近接させた状態で保持するものである。保持部材20は、触媒金属30を挟んで予混合火炎12に対向する位置に配された対向部材22を有している。この対向部材22は、平板状をしており、予混合火炎12との対向面22aが平らになっている。また、対向部材22は、その対向面22a上に、触媒金属30を載置可能である。触媒金属30としては、例えば、ニッケル、コバルトもしくは鉄等の遷移金属またはPt系の金属を用いることができ、これらのうち何れか1つ或いは2つ以上を組み合わせて用いることができる。また、触媒金属30の形状は、平板状であることが好ましい。触媒金属30は、対向面22a上に平板状の触媒を貼り付けてもよく、膜蒸着やメッキ等により対向面22a上に触媒膜を形成してもよい。
次に、製造装置1の動作と併せて、本発明によるカーボンナノチューブの製造方法の一実施形態を説明する。まず、火炎発生器10から予混合火炎12を発生させる。このとき、火炎発生器10から噴出する予混合気が対向部材22によって遮られることにより、よどみ流が生じ、このよどみ流中に予混合火炎12が形成されることになる。このため、予混合火炎12は、その周囲との界面のうち、少なくとも対向部材22に対向する部分が実質的に平面状をしている。次に、この予混合火炎12に触媒金属30を近接させた状態を所定時間保持する(保持工程)。この保持工程は、大気開放下で行うことができる。以上により、触媒金属30上にCNTが合成される。なお、上記所定時間は、例えば1〜30分に設定される。
続いて、本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、予混合火炎12を用いている。予混合火炎12は、初期混合気の組成および物理的状態が決まれば、最終燃焼状態の燃焼ガス成分組成や温度、燃焼速度等の火炎の特性が一義的に決まるため、拡散火炎に比して火炎特性を制御し易い。さらに、予混合火炎12に対して触媒金属30を近接させた状態でCNTを合成するため、予混合火炎12の火炎特性を制御することにより、CNTの合成条件を所望に制御することができる。したがって、本実施形態は、CNTを安定的に合成するのに適している。
さらに、予混合火炎12に対して触媒金属30を近接させた状態でCNTを合成することにより、非特許文献2に記載のように予混合火炎の後流で集めた燃焼ガス中で合成する場合(図10参照)に比して、熱損失を小さくすることができる。
なお、予混合火炎12と触媒金属30との間隔をdとしたとき、0<d≦5mmであることが好ましい。dを5mm以下とすることにより、CNTの合成条件の制御が特に容易になるとともに、熱損失を充分に小さく抑えることができる。また、d>0は、予混合火炎と触媒金属とを接触させないことを意味し、これにより、合成されたCNTが変質するのを防ぐことができる。また、0<d≦5mmを実現するために、火炎発生器10と触媒金属30との間隔を、例えば1mm以上50mm以下に設定するとよい。さらに、dの上限は、より好ましくは3mmである。この場合、CNTの合成条件の制御が一層容易になるとともに、熱損失を一層小さく抑えることができる。
予混合火炎12は、触媒金属30と対向する面が実質的に平面状をしている。このため、予混合火炎12における平面状をしている部分に沿って、触媒金属30が配置されることにより、大量のCNTを同時に合成することが可能となる。なお、本実施形態において、触媒金属30と対向する面が実質的に平面状の予混合火炎を用いることは必須ではない。すなわち、予混合火炎であれば、例えば円錐形状の火炎など、その他の形状の火炎を用いてもよい。
製造装置1は対向部材22を備えており、触媒金属30を挟んで予混合火炎12に対向する位置に対向部材22を配した状態で、保持工程を実行している。これにより、触媒金属30と対向する面が実質的に平面状をしている予混合火炎12を容易且つ安定的に形成することができる。なお、このような平面状の予混合火炎12を形成する手法は、対向部材22を用いてよどみ流を生じさせる手法に限られず、その他の手法を用いてもよい。その場合、製造装置1に対向部材22を設ける必要はない。
触媒金属30は、対向部材22の対向面22a上に載置されている。対向部材22によってよどみ流を生じさせ、その中に予混合火炎を形成する場合、通常、予混合火炎12と対向部材22との間に間隙が生じる。このため、予混合火炎12と触媒金属30との間に一定の間隔が保たれた状態を容易に実現することができる。
触媒金属30が平板状の場合、ワイヤ状の触媒金属上に合成する場合に比して、大量のCNTを同時に合成することが可能となる。ただし、触媒金属30としては、平板状のものに限られない。図2(a)および図2(b)は、触媒金属30の形状の一例を示している。図2(a)においては、対向部材22の対向面22a上に、ワイヤ状の触媒金属30が複数載置されている。また、図2(b)においては、メッシュ状の触媒金属30が載置されている。
本実施形態においては、大気開放下で保持工程を実行することができるため、簡易な装置構成でCNTを合成することができる。
(第2実施形態)
図3は、本発明によるカーボンナノチューブの製造装置の第2実施形態を示す斜視図である。製造装置2は、火炎発生器10および保持部材40を備えている。火炎発生器10は、図1の製造装置1におけるものと同様であり、予混合火炎12を発生させる。保持部材40は、円板上をしており、その中心を通る法線を中心軸として回転可能に設けられている。この保持部材40は、図1の保持部材20と同様に、触媒金属30を予混合火炎12に近接させた状態で保持する。
図4は、触媒金属30が保持された、保持部材40の対向面40aを示している。この図に示すように、本実施形態においては、複数の触媒金属30が、対向面40aの周囲に沿って配列されている。
図3に戻って、火炎発生器10と保持部材40との位置関係を説明する。すなわち、火炎発生器10は、対向面40a上の触媒金属30が予混合火炎12に曝されるように、保持部材40が回転したときに触媒金属30の軌跡が描く円周の一部に対応する位置に設けられている。この図においては、図中最も左側に位置する触媒金属30が予混合火炎12に曝されている。このような位置関係のため、保持部材40を回転させることにより、保持部材40により保持される触媒金属30と、火炎発生器10から発生する予混合火炎12とは相対的に移動可能となっている。また、本実施形態において保持部材40は、図1の対向部材22としての機能も有する。すなわち、保持部材40は、予混合火炎に対向する位置に配されているため、よどみ流中に、周囲との界面のうち、少なくとも保持部材40に対向する部分が実質的に平面状をしている予混合火炎12を形成する。
また、製造装置2は、回収手段50および洗浄手段60を備えている。回収手段50は、触媒金属30上に合成されたCNTを回収するためのものであり、触媒金属30の軌跡が描く円周の一部に、火炎発生器10とは異なる位置に配置されている。図3において回収手段50は、図中最も手前に位置する触媒金属30の直下に配置されている。この回収手段50は、当接部材52と回収容器54とから構成されている。
図5を参照しつつ、回収手段50によってCNTが回収される機構を説明する。この図は、図3の製造装置2を正面から見たときの一部を示している。当接部材52は、平板状をしており、触媒金属30に当接するように設けられている。これにより、保持部材40が回転し触媒金属30が移動すると、触媒金属30上のCNTが当接部材52により削り取られる。削り取られたCNTは、回収容器54により回収される。なお、本実施形態において、当接部材52は、触媒金属30の進行方向下流側から触媒金属30に当接している。すなわち、触媒金属30の進行方向について、触媒金属30における当接部材52との当接部分よりも下流側の部分と当接部材52とのなす角は、鋭角となっている。
図3に戻って、洗浄手段60は、CNTの合成および回収が行われた後の触媒金属30を洗浄するために設けられている。この洗浄手段60は、触媒金属30の軌跡が描く円周の一部に、火炎発生器10および回収手段50とは異なる位置に配置されている。ただし、保持部材40が回転したときに、触媒金属30が、火炎発生器10、回収手段50および洗浄手段60をこの順に通過できるように配置される。この図において洗浄手段60は、図中最も右側に位置する触媒金属30の直下に配置されている。洗浄手段60は、例えばアセトン等の洗浄液を触媒金属30に噴射し、その後洗浄液を拭き取ることにより、触媒金属30の洗浄を行う。
次に、製造装置2の動作を説明する。まず、図3の最も左側に位置する触媒金属30を予混合火炎12に近接させた状態を所定時間保持する。次に、保持部材40を回転させることにより、触媒金属30の進行方向について、いま予混合火炎12に曝されていた触媒金属30の一つ上流側に位置する触媒金属30が予混合火炎12に近接するようにし、この状態を所定時間保持する。これを繰り返すことにより、複数の触媒金属30上に次々とCNTが合成されていく。また、各触媒金属30上に合成されたCNTは、触媒金属30が回収手段50上を通過する際に回収される。さらに、CNTが回収された後の触媒金属30は、洗浄手段60上を通過する際に洗浄される。なお、上述した製造装置2の一連の動作は、自動で行うことも手動で行うこともできる。
続いて、製造装置2の効果を説明する。製造装置2においても、予混合火炎12に対して触媒金属30を近接させた状態でCNTを合成するため、CNTを安定的に合成することができる。
保持部材40により保持される触媒金属30と、火炎発生器10から発生する予混合火炎12とは相対的に移動可能である。このため、触媒金属30における予混合火炎12に面する部位を次々と変えていくことにより、CNTを連続的に合成することができる。したがって、CNTの量産に特に適した製造装置2が実現されている。
回収手段50が設けられているため、一つの触媒金属30上に繰り返しCNTを合成することができる。したがって、製造装置2によれば、保持部材40を何周も回転させることにより、大量のCNTを合成することが可能である。ただし、回収手段50を設けることは必須ではなく、その他の回収手段を用いてCNTを回収することとしてもよい。
洗浄手段60が設けられているため、一つの触媒金属30上に繰り返しCNTを合成する場合でも、一定の収率を維持することができる。ただし、洗浄手段60を設けることは必須ではない。なお、洗浄手段60により洗浄された後、火炎発生器10に達するまでに触媒金属30上の洗浄液が自然乾燥によって充分に乾かない場合には、製造装置2に乾燥手段を設けてもよい。すなわち、洗浄手段60から火炎発生器10に至る触媒金属30の経路中にドライヤー等を配置することにより、触媒金属30上の洗浄液をより確実に乾かすことができる。
(第3実施形態)
図6は、本発明によるカーボンナノチューブの製造装置の第3実施形態を示す正面図である。製造装置3は、火炎発生器10、回収手段50、洗浄手段60および保持部材70を備えている。火炎発生器10は、図1の製造装置1におけるものと同様であり、予混合火炎12を発生させる。本実施形態では、複数の火炎発生器10が設けられている。回収手段50および洗浄手段60は、図3の製造装置2におけるものと同様である。
保持部材70は、いわゆるベルトコンベア状をしており、表面に載置した触媒金属30を移送することができる。図6において、触媒金属30は、保持部材70の下部では図中左から右に、上部では右から左に移動する。この保持部材70も、触媒金属30を予混合火炎12に近接させた状態で保持するものである。保持部材70の一面側には、触媒金属30の進行方向について上流側から順に、火炎発生器10、回収手段50および洗浄手段60が配置されている。本実施形態において、保持部材70により触媒金属30が移送されることにより、触媒金属30と予混合火炎12とは相対的に移動可能となっている。
上記構成の製造装置3においても、予混合火炎12に対して触媒金属30を近接させた状態でCNTを合成するため、CNTを安定的に合成することができる。
触媒金属30と予混合火炎12とは相対的に移動可能であるため、CNTの量産に特に適した製造装置3が実現されている。
火炎発生器10が複数設けられているため、1つの触媒金属30は、複数箇所で予混合火炎12に曝されることになる。したがって、1箇所あたりで予混合火炎12に曝す時間を短縮することができるので、CNTの合成に要する時間を短縮することができる。なお、本実施形態においては、火炎発生器10を2つ設ける例を示したが、3つ以上設けてもよい。また、火炎発生器10を保持部材70の一面側にのみ設けたが、両面側に設けてもよい。
図1に示す製造装置1を用いて、CNTの製造を行った。本実施例において火炎発生器10は、内径が10mm、長さが1000mmである。また、対向部材22としては、直径76mm、厚さ5mmの耐熱性のあるセラミックス板を用いた。触媒金属30としては、ワイヤ状のCoおよびNiを用いた。
火炎発生器10に流す予混合気としては、希釈剤としてNを加えたC/Airを用いた。予混合気の噴出流速は、0.8m/sで一定にした。また、火炎温度がCNTの合成量に及ぼす影響を調べるため、エチレンの当量比φはφ=1.6で一定とし、Nで希釈することによって火炎温度を変化させた。表1には、測定パラメータを示す。表1において、燃料濃度が低いものから順に、タイプA、B、C、Dとしている。また、サンプリングタイム、すなわち触媒金属30を予混合火炎に近接させた状態での保持時間は、10分間とした。そして触媒金属30上に得られた物質をFE−SEMおよびFE−TEMにより観察した。
図7および図8は、タイプBの場合について、触媒金属30上に合成された物質のFE−SEM画像である。図7は触媒金属30としてCoを用いた場合、図8はNiを用いた場合をそれぞれ示す。両画像を比較すると、Coを用いた場合は真っ直ぐな繊維状の物質が、Niを用いた場合は曲がりくねった繊維状の物質が成長することがわかる。これはタイプA〜Dの全ての場合に当てはまった。つまり、本実施例で用いたすべてのパラメータにおいて、触媒金属の違いによって繊維状物質の形状が異なることが判明した。しかし、何れの場合にも、触媒金属上に高い密度で繊維状物質を得ることができた。
図9は、タイプBの場合について、Co上に合成された物質のFE−TEM画像を示している。この図を見ると、合成された物質の内部には空洞が存在し、さらにグラファイトの層が観察できることから、これらの繊維状の物質は多層のCNTであることが判明した。
表2にCNTが合成された位置および本数を示す。ここで、本数は、FE−SEMで得られた5万倍の画像を等しく9分割し、その中心の部分に存在するCNTの数を数えることによって得た。Niを用いた場合は、全てのパラメータにおいてCNTが絡み合い曲がっていることに起因して本数の測定が困難であったため、合成された位置のみを示す。
CNTの太さに関しては、何れのパラメータおよび触媒の場合でも大差はなく、直径7.9〜21.1nmの範囲に分布していた。ここで、平均値は11.5nmであった。表2からわかるように、Coに関してはCNTの本数及び合成範囲が最も大きいのがタイプDの場合で、次いでBの場合であった。さらに、Bの場合、1μm以上のものなど、比較的長いCNTが合成された。工業上、長いCNTが必要とされることが多々あるため、Coに関しては、A〜Dの中でタイプBが最適なパラメータであると考えられる。また、Niに関しても、CNTの合成範囲が最も広いBがA〜Dの中で最適なパラメータであると考えられる。
以上のように、同じパラメータでも触媒の違いにより合成位置が変化することから、CoおよびNiには、それぞれ最適な温度が存在するものと考えられる。また、以上ではワイヤ状の触媒金属を用いたが、平板状のNiを用いた場合についても同様に実験を行った。その結果、ワイヤの場合と同様に、平板上にもCNTが合成されたことを確認した。
本発明によるカーボンナノチューブの製造装置の第1実施形態を示す断面図である。 (a)および(b)は、触媒金属30の形状の一例を説明するための図である。 本発明によるカーボンナノチューブの製造装置の第2実施形態を示す斜視図である。 図3の保持部材40上における触媒金属30の配置の様子を説明するための図である。 図3の回収手段50によってCNTが回収される機構を説明するための図である。 本発明によるカーボンナノチューブの製造装置の第3実施形態を示す正面図である。 実施例において触媒金属30上に合成された物質のFE−SEM画像である。 実施例において触媒金属30上に合成された物質のFE−SEM画像である。 実施例において触媒金属30上に合成された物質のFE−TEM画像である。 従来技術に係る、カーボンナノチューブの製造方法を説明するための図である。
符号の説明
1 製造装置
2 製造装置
3 製造装置
10 火炎発生器
12 予混合火炎
14 スチールウール
16 ハニカム部材
20 保持部材
22 対向部材
22a 対向面
30 触媒金属
40 保持部材
40a 対向面
50 回収手段
52 当接部材
54 回収容器
60 洗浄手段
70 保持部材

Claims (7)

  1. 燃料に有機化合物を含む予混合火炎に対向する位置に、前記予混合火炎との対向面が平らな対向部材を配した状態を保持する工程を含み、
    触媒金属が前記対向面に設けられており、
    予混合気が前記対向部材より遮られることにより、前記予混合火炎における前記対向部材と対向する面が平面状となる、カーボンナノチューブの製造方法。
  2. 請求項に記載のカーボンナノチューブの製造方法において、
    前記触媒金属は、前記対向部材の前記対向面上に載置されることを特徴とする、カーボンナノチューブの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のカーボンナノチューブの製造方法において、
    前記触媒金属は、平板状をしていることを特徴とする、カーボンナノチューブの製造方法。
  4. 請求項1〜の何れか一項に記載のカーボンナノチューブの製造方法において、
    大気開放下で前記工程を実行することを特徴とする、カーボンナノチューブの製造方法。
  5. 燃料に有機化合物を含む予混合火炎を発生させる火炎発生器と、
    前記予混合火炎との対向面が平らな対向部材と、
    前記予混合火炎に対向する位置に、前記対向部材を配する保持部材と、を備え、
    触媒金属が前記対向面に設けられており、
    前記火炎発生器は、予混合気が前記対向部材に遮られることにより、前記予混合火炎における前記対向部材と対向する面が平面状となる、前記予混合火炎を発生させる、カーボンナノチューブの製造装置。
  6. 請求項に記載のカーボンナノチューブの製造装置において、
    前記対向部材は、その前記対向面上に前記触媒金属を載置可能であることを特徴とする、カーボンナノチューブの製造装置。
  7. 請求項5または6に記載のカーボンナノチューブの製造装置において、
    前記保持部材により保持される前記触媒金属と、前記火炎発生器から発生する前記予混合火炎とは相対的に移動可能であることを特徴とする、カーボンナノチューブの製造装置。
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