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JP4972490B2 - 燃焼法による炭素繊維の製造方法 - Google Patents
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JP4972490B2 - 燃焼法による炭素繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、火炎の熱および燃焼ガスを利用した燃焼法による炭素繊維の製造方法に関する。さらに詳細には、本発明は、不純物である粒子状炭素の少ない炭素繊維を燃焼法により高収率で大量に製造する方法に関する。
カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーなどを含む炭素繊維は、導電性、熱伝導性、耐熱性、機械的強度等に優れた特性を有することから多くの分野で注目を集めている。これら炭素繊維は、主に、アーク放電法、レーザ蒸発法、化学気相成長法(CVD法)などの気相法により合成される。これら製造方法の中では、CVD法が比較的大量合成に向いている方法であり、工業化もなされている。
CVD法としては、例えば、ベンゼン等の有機化合物を原料として、フェロセン等の有機遷移金属化合物を触媒として用い、これらをキャリアガスとともに高温の反応炉に導入し、炭素繊維を生成させる方法が、特許文献1に開示されている。この方法によれば、短時間の反応で、比較的細くて導電性や熱伝導性に優れるアスペクト比の大きい炭素繊維が得られる。また、固体触媒と炭素含有ガスとを炭素含有ガスの熱分解温度以下の温度で、反応器中で数時間反応させて炭素フィブリルを合成する製造方法が特許文献2に開示されている。
しかし、これらの方法では、多量のキャリアガスを外熱式の反応炉で1000℃以上の高温に加熱する必要がある。外熱式の反応炉は熱効率が悪く、炉内に温度分布が生じやすく、反応炉のさらなる大型化には制限がある。
さらに、気相法による炭素繊維の製法として、特許文献6および7には、一酸化炭素と水素と必要に応じて二酸化炭素とからなる混合キャリアガスとともに、炭素化合物を加熱帯に導入し、有機遷移金属化合物から生成した金属触媒の存在下で600〜1300℃の温度範囲で加熱反応させて炭素繊維を製造する方法が開示されている。しかし、この方法は、水素が必須成分であり、生成した炭素繊維の直径は1〜3μmと大きく、アスペクト比が小さい炭素繊維しか得られていない。また、使用できる触媒前駆体も有機遷移金属化合物に限られている。
特許文献8には、転炉の排ガス及び水素含有ガスからなるキャリアガスとともに炭素化合物を加熱帯に導入し、金属触媒の存在下で600〜1300℃の温度範囲で加熱反応させて炭素繊維を製造する方法が開示されている。しかし、この方法は、キャリアガスが転炉の排ガスに限られるので、汎用性に乏しい。
一方、炭素材料の一つであるカーボンブラックの製造法の一つである燃焼法を炭素繊維の製造に応用したものが提案されている。燃焼法では火炎の熱を利用するので反応器内の温度分布が小さくなるので、反応炉を容易に大型化できる可能性がある。
この燃焼法を応用した炭素繊維の製造方法として、特許文献3に、遷移金属化合物の存在下にガス炎中で炭化水素類を熱分解させる方法が提案されている。しかし、この方法では、炭素源として供給した炭化水素類の大部分がガス炎で燃焼してしまうために、炭素繊維の収率が低く、また不純物である粒子状炭素が多くなる。
特許文献4には、遷移金属化合物の存在下に、プロパンなどの可燃性燃料によるガス炎外で炭化水素類を熱分解させる方法が提案されている。しかし、この方法でも、不純物である粒子状の炭素の副生が避けられない。
特許文献5には、炭素を含む予混合炎に対して、触媒を火炎の近接に固定してカーボンナノチューブを製造する方法が開示されている。火炎の燃料としてアセチレン、エチレンなどの炭化水素等が例示されている。しかし、この方法でも粒子状の炭素の副生が避けられず、また、触媒を火炎の近傍に固定しなければならず、連続的な製造法にすることが困難である。
非特許文献1には、メタンと空気を燃料とした火炎に、触媒となる金属ワイヤを所定時間かざして、金属ワイヤ表面にカーボンナノチューブを生成させる方法が、非特許文献2には、エチレンと空気を燃料とした火炎に、触媒となる金属ワイヤを所定時間かざして、金属ワイヤ表面にカーボンナノチューブを生成させる方法が開示されている。しかし、非特許文献1及び非特許文献2に記載の方法では、触媒である金属ワイヤ表面に炭素繊維が極めて少量しか得られず、工業的生産に適さない。
このように、不純物である粒子状炭素の少ない炭素繊維を燃焼法により経済的に大量に製造する方法は、これまでに存在しなかった。
特開昭60−54998号公報 特表昭62−500943号公報 特開昭61−282425号公報 特開昭63−182415号公報 特開2005−247644号公報 特許2586054号公報 特許2586055号公報 特許2521982号公報 Chemical Physics Letters, 340(2001)237-241 Proceedings of the Combustion Institute, 30(2005)2553-2560
本発明の目的は、不純物である粒子状炭素の少ない炭素繊維を燃焼法により高収率で大量に製造する方法を提供することである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、燃料を燃焼させた火炎の熱および燃焼ガスを利用した炭素繊維の製造方法において、特定組成の燃料、炭素源、触媒を使用することにより不純物である粒子状炭素の少ない炭素繊維を高収率で製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記[1]〜[27]に示される炭素繊維の製造方法に関する。
[1] 燃焼ガス中の水分量が5容量%以下となる燃料(A)を燃焼させた火炎外に、炭素源(B)を供給し、触媒(C)の存在下400〜1500℃の温度範囲の雰囲気で反応させる工程を含む、炭素繊維の製造方法。
[2] 燃料(A)を燃焼させた火炎を熱源として、かつ燃焼ガスをキャリアガスとして利用して、燃焼ガス中の水分量が5容量%以下となる燃料(A)を燃焼させた火炎外で、炭素源(B)と触媒(C)を400〜1500℃の温度範囲で接触させる工程を含む、炭素繊維の製造方法。
[3] 燃料(A)は、水素原子と炭素原子とのモル比H/Cが1.0未満である[1]または[2]に記載の炭素繊維の製造方法。
[4] 燃料(A)は、水素原子と炭素原子とのモル比H/Cが0.1未満である[1]または[2]に記載の炭素繊維の製造方法。
[5] 燃料(A)が、一酸化炭素、石炭、およびコークスからなる群から選ばれる少なくとも1つのものである[1]または[2]に記載の炭素繊維の製造方法。
[6] 前記火炎が還元炎である[1]〜[5]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[7] 前記火炎が当量比1.5〜4.0で燃料(A)を燃焼させたものである[1]〜[6]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[8] さらに、火炎外に水素を供給する工程を含む、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[9] さらに、火炎外に不活性ガスを供給する工程を含む、[1]〜[8]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[10] 炭素源(B)が、メタン、アセチレン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、フェナントレン、シクロプロパン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1つのものである[1]〜[9]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[11] 触媒(C)が、鉄、コバルト若しくはニッケルの単体;および鉄、コバルト若しくはニッケルの化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つのものである[1]〜[10]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[12] 触媒(C)が担体(D)に担持された固体触媒(E)である[1]〜[11]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[13] 担体(D)が、カーボンブラック、活性炭、黒鉛、シリカ、アルミナ、チタニア、シリカチタニア、炭酸カルシウム、およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1つのものである[12]に記載の炭素繊維の製造方法。
[14] 担体(D)の平均粒子径が100nm以下である[13]に記載の炭素繊維の製造方法。
[15] 固体触媒(E)の平均粒子径が200μm以下である[12]〜[14]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[16] さらに、火炎外に硫黄または硫黄化合物(F)を供給する工程を含む、[1]〜[15]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[17] 硫黄化合物(F)が有機硫黄化合物である[16]に記載の炭素繊維の製造方法。
[18] 生成した炭素繊維を、燃焼ガスを含む気流に同伴させて、反応装置の出口で回収する工程を含む、[1]〜[17]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[19] さらに、燃焼ガスを焼却処理する工程を含む、[1]〜[18]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[20] 連続式製造法である[1]〜[19]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[21] バッチ式製造法である[1]〜[19]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[22] 流動層で反応させる[1]〜[21]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[23] 気流層で反応させる[1]〜[21]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[24] さらに流動助剤を使用する[22]または[23]に記載の炭素繊維の製造方法。
[25] さらに、800℃以上の温度で加熱して、炭素繊維を精製する工程を含む、[1]〜[24]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[26] さらに、2500℃以上の温度で加熱して、炭素繊維を黒鉛化処理する工程を含む、[1]〜[25]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
[27] 平均直径が5〜300nm、平均アスペクト比が50以上の中実状炭素繊維を製造する[1]〜[26]のいずれか1つに記載の炭素繊維の製造方法。
本発明の製造方法によって、不純物である粒子状炭素の少ない炭素繊維を高収率で大量に得ることができる。得られる炭素繊維は、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーと呼ばれるものであり、炭素繊維の直径は通常3.5nm〜500nm、アスペクト比(炭素繊維の長さ/炭素繊維の直径)は10以上であり、繊維形状は中空状および/または中実状のものである。本発明の製造方法は、平均直径が5〜300nmで、平均アスペクト比が50以上の中実状炭素繊維の製造に特に適している。
本発明の測定例1〜2で用いた測定装置を概略的に示す図である。 本発明の実施例1〜2、比較例1で用いた炭素繊維製造装置を概略的に示す図である。
符号の説明
1・・石英製反応管(外径50mmφ×内径43mmφ×長さ1500mm)
2・・1mmφジルコニアビーズ(高さ50mm)
3・・火炎
4・・トラップ
5・・100メッシュ金網
6・・コールドトラップ
7・・ドライアイス−アセトン浴
8・・水トラップ
9・・水
10・・ガスサンプリングバルブ
11・・アフターバーナ
12・・石英製反応管(外径50mmφ×内径43mmφ×長さ1500mm)
13・・断熱材(ガラスウール)
14・・1mmφジルコニアビーズ(高さ50mm)
15・・火炎
16・・シリコニット電気炉(長さ600mm)
17・・R型熱電対
18・・気化器(200℃)
19・・R型熱電対
20・・炭素繊維捕集部
21・・100メッシュ金網(SUS430)
22・・コールドトラップ
23・・食塩−氷水浴
24・・水トラップ
25・・水
26・・ガスサンプリングバルブ
27・・アフターバーナ
本発明の炭素繊維の製造方法は、燃焼ガス中の水分量が5容量%以下となる燃料(A)を燃焼させた火炎外に炭素源(B)を供給し、触媒(C)の存在下400〜1500℃の温度範囲の雰囲気で反応させる工程を含むものである。
また、本発明の炭素繊維の製造方法は、燃料(A)を燃焼させた火炎を熱源として、かつ燃焼ガスをキャリアガスとして利用して、燃焼ガス中の水分量が5容量%以下となる燃料(A)を燃焼させた火炎外で、炭素源(B)と触媒(C)を400〜1500℃の温度範囲で接触させる工程を含むものである。
本発明に用いられる燃料(A)は、燃焼ガス中の水分量が少ないもの、具体的には燃焼ガス中の水分量が5容量%以下となるものである。燃焼ガス中の水分量が5容量%を超える燃料を用いると、炭素繊維の生成量が少なくなり、また粒子状の炭素が副生しやすくなる。
このような燃料(A)として、例えば、石炭、コークス、活性炭、カーボンブラック、黒鉛などの固体燃料;軽油、灯油、ベンゼン、トルエン、エタノール、プロパノールなどの液体燃料;アセチレン、エチレン、エタン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブテン、ブタジエン、一酸化炭素などの気体燃料を挙げることができる。これらの燃料は、燃焼ガス中の水分量が5容量%以下であれば、1種単独で若しくは2種類以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、燃焼時の水の生成の原因となる水素原子の含有量が少ないか、または、水素原子を含まないような燃料が好ましく、具体的には水素原子と炭素原子とのモル比H/Cが1.0未満の燃料が好ましく、水素原子と炭素原子とのモル比H/Cが0.1未満の燃料が特に好ましい。水素原子の含有量が少ない特に好ましい燃料として、一酸化炭素、石炭、およびコークスからなる群から選ばれる少なくとも1つの燃料が挙げられる。
燃焼ガス中の水分量は、燃焼ガス中の水分をコールドトラップで凝縮させて水を採取しその質量を測定し、また水を凝縮除去した後の燃焼ガスを採取し、それをガスクロマトグラフィーで組成分析し、それら分析結果から求める。
本発明に用いる火炎は、前記の燃料(A)と、酸素を含む支燃性ガスとを混合し、燃焼させることによって生成される燃焼炎である。火炎の大きさの調節、火炎の安定のために、希釈ガスとして、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを、燃料に任意に混合することができる。希釈ガスとしては、窒素が経済的で好ましい。燃料(A)、支燃性ガス、希釈ガスの混合比は、所望する火炎の大きさ、温度により任意に設定できる。
火炎は、支燃性ガスの量によって、酸化炎または還元炎となる。本発明においては還元炎が好ましく用いられる。還元炎を得るために、当量比(理論空気量/供給空気量)を1.0以上にすることが好ましく、1.5〜4.0にすることがより好ましい。なお、理論空気量とは燃料を完全燃焼させたときに消費される空気量である。当量比(理論空気量/供給空気量)が1.0未満になると、酸化性雰囲気となり、触媒が酸化され易くなり、炭素繊維が得られにくくなる傾向がある。また、当量比が大きくなりすぎると、火炎が不安定になり、火炎温度が上がりにくくなる傾向がある。燃焼設備の規模やその放熱量によって、適切な当量比の上限は異なる。燃焼設備の規模が大きく火炎放熱が少ない場合は、当量比が大きくなっても火炎を安定させることができ、炭素繊維を製造するために十分な温度が得られる場合がある。
本発明では、反応炉内で火炎をおこし、この火炎外に炭素源(B)を供給する。火炎を発生させるバーナや燃焼装置は、その構造等によって特に限定されない。混合気燃焼や拡散燃焼など、反応炉の大きさ、必要とする温度により、適宜、設定することができる。
火炎は、反応炉の構造に応じて、上方に噴出させてもよいし、下方に噴出させてもよいし、水平に噴出させてもよい。なお、火炎の範囲は目で炎が確認できる範囲である。
本発明に用いられる炭素源(B)としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサンなどの脂肪族飽和炭化水素;アセチレン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエンなどの脂肪族不飽和炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、フェナントレンなどの芳香族炭化水素;シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘプタンなどの脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、酢酸、酢酸エチルなどの他の有機化合物が挙げられる。これらは、単独で若しくは2種類以上を混合して使用することができる。これらの中では、メタン、アセチレン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、フェナントレン、シクロプロパン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、メタノール、エタノール、イソプロパノールが、特に好ましい。
炭素源は気体状にして供給することが好ましい。常温で液体や固体の炭素源は気化させてから供給することが好ましい。炭素源供給に際して、窒素などの不活性ガスおよび/または水素を火炎外に供給することができる。
本発明に用いられる触媒(C)は、炭素繊維の成長を促進する物質である限り、特に制限されない。このような触媒としては、例えば、周期律表の第2〜15族に属する元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属単体が挙げられる。これらのうち、第3、5、6、8、9、および10族に属する元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属単体が好ましく、鉄、ニッケル、コバルトが特に好ましい。また、これらの元素を含む化合物や合金も触媒として使用することができる。このような化合物としては、特に、フェロセンが好ましい。
また、触媒(C)は、触媒前駆体化合物を適当な担体(D)に担持させた固体触媒(E)として用いることができる。担体(D)としては、カーボンブラック、活性炭、黒鉛などの炭素材料;シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、シリカチタニア、マグネシア、ジルコニア、炭酸カルシウム、ゼオライトなどの無機化合物などを用いることができる。これらは、単独で若しくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、炭素繊維の収率の点から、カーボンブラック、黒鉛、アルミナ、チタニア、シリカチタニア、炭酸カルシウム、ゼオライトが好ましい。また、担体の粒子径は任意の大きさのものを使用することができるが、平均粒子径が100nm以下のものが好ましい。このような担体を用いて含浸法により固体触媒を調製すると、担持される触媒金属が比較的小さな径で分散できるために、含浸法固体触媒を用いて製造される炭素繊維は直径が小さく、アスペクト比が高くなる。なお、平均粒子径は、質量分率の加重を乗じた平均径である。
触媒前駆体化合物としては、触媒金属元素の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、酢酸塩、有機金属化合物などを用いることができる。担持方法は、特に限定されず、含浸法などの常法で調製する方法が挙げられる。固体触媒中の触媒金属の担持量は、触媒金属換算で、5〜30質量%が反応効率の点から好ましい。
固体触媒は、粉末状、顆粒状、ペレット状などの形状のものがあるが、形状によって特に制限されない。また固体触媒は、平均粒子径が200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径が200μmを超えると、気流層での反応が困難になる傾向があり、また合成された炭素繊維から担体を除かずに樹脂に混ぜて樹脂複合材とした時に機械強度が低くなる傾向がある。平均粒子径200μm以下の固体触媒は、気流層を用いた炭素繊維の製造に好適に用いることができる。平均粒子径200μm以下の固体触媒は、粉砕処理した後、適当なメッシュで篩うことにより達成できる。なお、平均粒子径は、質量分率の加重を乗じた平均径である。
触媒の使用量は、反応器の大きさ、炭素源の種類、触媒の種類などにより適宜設定することができる。
本発明においては、炭素繊維の収率の増加に効果があることから、硫黄または硫黄化合物(F)を火炎外に供給することが好ましい。硫黄化合物としては、例えば、メチルチオール、エチルチオール、1−プロパンチオール、1−ブタンチオール、1−ペンタンチオール、1−ヘキサンチオール、チオフェノール、ベンジルメルカプタン、メチルスルフィド、メチルジスルフィド、チオフェン、二硫化炭素、硫化水素等が使用できる。これらの中では、有機硫黄化合物が好ましく、特に、チオフェンが好ましい。硫黄または硫黄化合物(F)の使用量は、触媒金属に対して、0.1〜50質量%の範囲が好ましい。
燃料(A)を用いた火炎の外側への炭素源(B)の供給方法は特に制限されない。例えば、炭素源と触媒および硫黄化合物等とを別々に供給してもよいし、炭素源と触媒および硫黄化合物等とを混合して供給してもよい。火炎の中に炭素源(B)を供給すると多くの炭素源(B)が燃焼してしまうので炭素繊維になるものが少なくなる。なお、火炎の外側とは、炭素源などが火炎によって燃焼しない程度に離れた位置である。供給位置は、好ましくは、火炎の上方である。供給量は、適宜調整することができる。
本発明の炭素繊維の合成反応は、400〜1500℃の温度範囲で行うことが好ましい。ただし、使用する炭素源の種類により最適な反応温度は異なる。例えば、ベンゼンのような熱安定性が比較的に高い炭素源では、900〜1300℃の反応温度が好ましく、エチレンのような熱安定性が比較的に低い炭素源では、500〜700℃の反応温度が好ましく、アセチレンでは400〜600℃の反応温度が好ましい。
触媒(C)として有機金属化合物を用いる場合は、液状の炭素源や適当な溶媒に触媒(C)を溶解、あるいは分散させて、水素や不活性ガスに同伴させて反応器内の火炎外に導入することができる。また、触媒(C)が固体触媒(E)の場合は、燃焼炎の外側に、例えば、ステンレス、セラミックス製の網等を設置して、この上に固体触媒を設置することができる。また、燃焼ガスの流量を調節して、固体触媒を流動化させて流動層とすることも可能である。さらに、微粉末の固体触媒を用いて、気流層とすることもできる。固体触媒を気流層とする場合は、固体触媒の平均粒子径が200μm以下のものを用いることが好ましく、平均粒子径が100μm以下のものを用いることが特に好ましい。
流動層または気流層で反応させる場合、流動層または気流層の流動状態の安定化や生成した炭素繊維の凝集防止の目的で、流動助剤を添加することができる。流動助剤としては、平均粒子径が1μm以下のアルミナ、シリカ、ジルコニア、カーボンブラック、黒鉛などを、固体触媒100質量部に対して0〜200質量部の範囲で、混合して用いることができる。流動助剤の使用により、凝集が少ない炭素繊維が得られる。生成物である炭素繊維と流動助剤とは、必要に応じて、かさ比重や粒度の差等を利用して分離することができる。
反応器内で、所望温度で、所望時間反応させて、合成された炭素繊維は、火炎の燃焼ガスとともに、反応器の出口に、浮遊、同伴させて運び、適当なフィルターなどで回収することができる。また、炭素繊維を回収した後の燃焼ガスには、可燃物が含まれるので、アフターバーナで燃焼させて焼却処理することができる。
本発明の製造方法で得られた炭素繊維は、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で、800℃以上の温度で数分間から数時間熱処理することによりタール分などの不純物を除去し、精製することができる。また、炭素繊維の結晶性を高めるために、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気中で、2500℃以上の温度で加熱して、炭素繊維を黒鉛化処理することができる。
本発明の炭素繊維の製造方法は、バッチ式でも連続式でも行うことができ、必要に応じて、反応後の炭素繊維の熱処理による精製、黒鉛化処理も含めて連続式、または一部連続式で行うこともできる。
本発明の製造方法によって得られる炭素繊維は、カーボンナノチューブやカーボンナノファイバーと呼ばれるものであり、炭素繊維の直径は通常3.5nm〜500nm、アスペクト比(炭素繊維の長さ/炭素繊維の直径)は10以上であり、繊維形状は中空状および/または中実状のものである。
本発明の製造方法は、平均直径が5〜300nmで、平均アスペクト比が50以上の中実状炭素繊維の製造に特に適している。炭素繊維の構造は、炭素源、触媒や担体の種類、反応温度などの反応条件により、変化させることができる。例えば、燃料として一酸化炭素、触媒としてフェロセンを用いて反応させると、平均直径が約100nmの中実状の炭素繊維が得られる。また、枝分かれした構造の炭素繊維を得ることもできる。
本発明の製造法により得られた炭素繊維は、高い電気伝導性、熱伝導性等を有するので、樹脂、金属、セラミックスなどのマトリックス中に分散させ複合材とすることにより、複合材の導電性や熱伝導性を向上させることが出来る。特に樹脂に配合して複合樹脂材料とする場合には、高い導電性を示すようになり、帯電防止の用途等に用いる樹脂/炭素繊維複合材に好適である。また本発明の製造法により得られた炭素繊維を金属に配合した場合には、破壊強度を向上させることができる。
次に、実施例および比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(燃料の分析)
図1は、燃料を燃やしたときに発生する燃焼ガスの組成測定装置の概念図である。反応管1は、外径50mm、内径43mm、長さ1500mmの石英管である。底部には直径1mmのジルコニアビーズが底面から50mmの高さまで充てんされている。
表2に示す処方の燃料ガスと酸素(支燃性ガス)と窒素(希釈ガス)との混合ガスを、反応管1の底部に供給し、ジルコニアビーズを通過してきた混合ガスに着火して、燃焼させ火炎3をおこした。燃焼ガスは、反応管の頂部から排出され、トラップ4の金網で煤などの固形物が除去され、2基のコールドトラップ6で水が捕集され、さらに水トラップ8を通過させることができる。そして、水トラップ8を通過した燃焼ガスをバーナ11(工業用ガス(ウエキコーポレーション社製):LPG)で焼却して大気に放出することができる。
コールドトラップに捕集された水の質量を測定し、また、燃焼ガスをバルブ10で抜き取り、ガスクロマトグラフィーにより表1に示す条件で分析し、燃料を燃やしたときに発生する燃焼ガス中の水分量を求めた。
Figure 0004972490
Figure 0004972490
その結果、測定例1(当量比3.10、一酸化炭素)の燃焼ガス組成は、一酸化炭素60.5容量%、二酸化炭素31.0容量%、窒素8.5容量%、水0.0容量%であった。
測定例2(当量比2.27、メタン)の燃焼ガス組成は、メタン16.0容量%、水27.1容量%、二酸化炭素4.4容量%、一酸化炭素19.7容量%、水素27.7容量%、窒素2.9容量%、エチレン2.2容量%であった。
実施例1
図2は、実施例及び比較例で使用した炭素繊維製造装置の概念図である。反応管12は、外径50mm、内径43mm、長さ1500mmの石英管である。底部には直径1mmのジルコニアビーズが底面から50mmの高さまで充てんされている。反応管12は電気炉16の中に設置されている。火炎の熱だけでは所望の反応温度に達しなかったので、電気炉で反応管を補助的に加熱した。反応管中心部の温度が900℃となるように、電気炉の温度を設定した。
表3に示す処方の一酸化炭素(燃料ガス)と酸素(支燃性ガス)と窒素(希釈ガス)の混合ガスを、反応管12の底部に供給し、ジルコニアビーズを通過してきた混合ガスに着火して、燃焼させ火炎15をおこした。この燃焼ガス中の水分量は0容量%であった。水素を8.0NL/分で、気化器18を通過させ、反応器12に導入し、火炎15の外側に供給した。
火炎および温度が安定した後、炭素源としてベンゼン93.5質量%、触媒としてフェロセン5.0質量%および硫黄化合物としてチオフェン1.5質量%の混合液(ベンゼン:特級(純正化学社製); フェロセン:特級(純正化学社製); チオフェン:特級(東京化成社製))をシリンジポンプで0.1mL/分の速度で、200℃の気化器18を通過させ、反応器12に導入し、火炎外に10分間供給し反応させた。
反応管12内で生成した生成物は、燃焼ガスに同伴されて、捕集部20に堆積した。捕集部20を通過した燃焼ガスは、2基のコールドトラップ22及び1基の水トラップ24を通過し、最後にバーナ27(工業用ガス(ウエキコーポレーション社製):LPG)で焼却して大気に放出した。
反応完了後、水素及び混合ガスの供給を止め、反応器内を窒素ガス気流下で室温まで冷却した。捕集部20から生成物を回収し、質量を測定し収量を求めた。生成物の収量は8.9kg/m3hであった。なお、収量(kg/m3h)は、反応管の単位容積(反応管の容積=2177cm3)、単位時間当たりに得られる量として表わした。
また、生成物をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した。生成物のすべてが炭素繊維であった。該炭素繊維は、外径が約100nmの中実の繊維状であった。製造条件及び結果を表3にまとめて示した。
実施例2
混合ガスの組成および量、混合液の組成および供給時間、ならびに水素の量を、表3に示す処方に変更した以外は、実施例1と同様にして反応させた。
生成物の収量は3.1kg/m3hであった。生成物のすべてが炭素繊維であった。該炭素繊維は、外径が約100nmの中実の繊維状であった。製造条件及び結果を表3にまとめて示した。
比較例1
混合ガスの組成および量、混合液の組成および供給時間、ならびに水素の量を、表3に示す処方に変更した以外は、実施例1と同様にして反応させた。
生成物の収量は6.7kg/m3hであった。生成物の大部分が粒子状物質であり、炭素繊維が得られなかった。製造条件及び結果を表3にまとめて示した。
Figure 0004972490

Claims (12)

  1. 燃焼ガス中の水分量が5容量%以下となる燃料(A)を燃焼させた火炎外に、炭素源(B)を供給し、触媒(C)の存在下400〜1500℃の温度範囲の雰囲気で反応させる工程を含む、炭素繊維の製造方法。
  2. 燃料(A)を燃焼させた火炎を熱源として、かつ燃焼ガスをキャリアガスとして利用して、燃焼ガス中の水分量が5容量%以下となる燃料(A)を燃焼させた火炎外で、炭素源(B)と触媒(C)を400〜1500℃の温度範囲で接触させる工程を含む、炭素繊維の製造方法。
  3. 燃料(A)は、水素原子と炭素原子とのモル比H/Cが1.0未満である請求項1または2に記載の炭素繊維の製造方法。
  4. さらに、火炎外に水素を供給する工程を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素繊維の製造方法。
  5. さらに、火炎外に不活性ガスを供給する工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素繊維の製造方法。
  6. さらに、火炎外に硫黄または硫黄化合物(F)を供給する工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素繊維の製造方法。
  7. さらに、燃焼ガスを焼却処理する工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の炭素繊維の製造方法。
  8. 連続式製造法である請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素繊維の製造方法。
  9. バッチ式製造法である請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素繊維の製造方法。
  10. 流動層で反応させる請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素繊維の製造方法。
  11. 気流層で反応させる請求項1〜7のいずれか1項に記載の炭素繊維の製造方法。
  12. さらに流動助剤を使用する請求項10または11に記載の炭素繊維の製造方法。
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