JP4672289B2 - 鋳物製造用構造体及びその製造方法、並びに鋳物 - Google Patents
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1.本発明の鋳物製造用構造体は、鋳込時においても熱間強度及び形状保持性に優れる。このため、これを用いた鋳物の製造方法では、造型の際に鋳物砂をバインダーで硬化させる必要がない。従って、鋳造後に機械的研磨により砂を再生する必要がなく、従来に比べて廃棄物を低減できる。特に、中空形状の中子に適用する場合、中子内への鋳物砂の充填が不要である。
2.本発明の鋳物製造用構造体は、鋳込み後の除去性が良好であり、従来に比べて容易に鋳物製造用構造体を除去することができる。
3.本発明の鋳物製造用構造体は、軽量であるため、取り扱いが容易である。
4.本発明の鋳物製造用構造体の製造方法では、有機繊維、無機繊維である炭素繊維、無機粒子を含む原料スラリーを抄造して製造するので、各成分がむらなく均一に分散した鋳物製造用構造体を得ることができる。従って、熱収縮に伴うひび割れ等の発生が抑えられ、高い熱間強度が得られ、表面の平滑性にも優れている。また、中空形状や複雑な立体形状とする場合にも貼り合わせ工程が不要なので、最終的に得られる鋳物製造用構造体の肉厚が均一で成形精度や機械的強度が高い。従って、成形精度の高く表面の平滑性に優れた鋳物を製造することができる。
・測定方法:フロー法
・屈折率:無機粒子よって変動(LA−920添付のマニュアル参照)
・分散媒:イオン交換水+ヘキサメタリン酸ナトリウム0.1%混合
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・試料濃度:2mg/100cc
本実施形態の製造方法では、前記有機繊維、前記炭素繊維、前記無機粒子及び前記熱硬化性樹脂を前記所定配合比で含む原料スラリーを調製し、該原料スラリーを用いた湿式抄造法によって所定形状の繊維積層体を抄造し、脱水、乾燥して鋳物製造用構造体を製造する。
また、前記繊維積層体がその内部から前記中子で乾燥型のキャビティの形成面に押し付けられて成形されているため、内表面及び外表面の平滑性が高い。このため、鋳物の製造に用いた場合には、得られる鋳物は特に表面平滑性に優れたものとなる。またさらに、中空形状や複雑な立体形状とする場合にも貼り合わせ工程が不要なので、最終的に得られる鋳物製造用構造体には貼り合わせによる継ぎ目及び肉厚部は存在しない。この点においても、肉厚が均一で成形精度や機械的強度が高く、精度の高く表面の平滑性に優れた鋳物を製造することができる。従って、主型や中子は勿論、嵌合部やネジ部を有する湯道等の構造体の製造にも適用することができる。
すなわち、前記鋳物製造用構造体から試料約5gを採取し、ミルで粉砕して重量(a)を精秤する。この粉砕試料をアセトンとともに容器に加えて十分に振とうさせた後、常温で放置する。次いで、前記容器に前記粉砕試料が残らないようにして、該粉砕試料をろ紙(重量(c))で十分にろ過し、ろ過した該粉砕試料を該ろ紙とともに乾燥してそれら(粉砕試料及びろ紙)の重量(b)を精秤する。そして、得られた各重量(a)〜(c)及び前記粉砕試料中の前記熱硬化性樹脂以外の成分の理論重量(d)に基づいて、下記式から前記熱硬化性樹脂の不溶分量(%)を求める。
不溶分量%=100−(a−(b−c))×100/(a−d)
本実施形態の製造方法では、上述のようにして得られた所定の鋳物製造用構造体を鋳物砂内の所定位置に埋設して造型する。鋳物砂には、従来からこの種の鋳物の製造に用いられている通常のものを特に制限なく用いることができる。なお、鋳物砂はバインダーで硬化させなくてもよいが、必要に応じて硬化させてもよい。鋳物製造用構造体が中空中子の場合には中子内に鋳物砂の充填は不要であるが、充填することもできる。
<原料スラリーの調製>
下記有機繊維、炭素繊維及び無機粒子を表1に示す配合で水に分散させた約1重量%のスラリーを調製した後、該スラリーに下記熱硬化性樹脂粉末及び適量の下記凝集剤を添加し、原料スラリーを調製した。
有機繊維:新聞古紙(平均繊維長1mm、フリーネス(CSF)150cc)
無機繊維:PAN系炭素繊維(東レ(株)製「トレカチョップ」、繊維長3mm、収縮率0.1%)
無機粒子:黒曜石(キンセイマテック社製「ナイスキャッチ」、平均粒子径30μm)
熱硬化性樹脂:ノボラックフェノール樹脂(旭有機材工業(株)製「SP1006LS」、残炭率38%)
凝集剤:ポリアクリルアミド系凝集剤(三井サイテック社製「A110」)
抄造型には、φ40×100mmに対応するキャビティ形成面(表面粗度(Ra)0.9μm)を有する一対の割型で、当該キャビティ形成面に所定の目開きのネットが配され、キャビティ形成面と外部とを連通する多数の連通孔が形成されたものを用いた。そして、前記原料スラリーをモーノポンプで循環させ、前記抄造型内に所定量のスラリーを加圧注入する一方で、前記連通孔を通じて排水し、所定の繊維積層体を前記ネットの表面に堆積させた。所定量の原料スラリーの注入を完了した後、該繊維積層体が堆積された抄造型内に0.2MPaの加圧エアーを約30秒間供給し、該繊維積層体を脱水した。得られた繊維積層体の全面に、前記熱硬化性樹脂の15%(重量比)の硬化剤(ヘキサメチレンテトラミン)を水に分散させた液を均一に塗布した。次いで、繊維積層体を抄造型から取り出し、220℃に加熱された乾燥型に移した。乾燥型には、φ40×100mmに対応するキャビティ形成面を有する一対の割型で、該キャビティ形成面と外部とを連通する多数の連通孔が形成されたものを用いた。乾燥工程では、前記乾燥型の上方開口部から袋状の弾性中子を挿入し、密閉された該乾燥型内で該弾性中子内に加圧流体(加圧空気、0.2MPa)を供給して該弾性中子を膨らませた。そして、前記繊維積層体を該乾燥型の内面に押しつけて、該乾燥型の内面形状を転写させつつ該繊維積層体を乾燥した。所定時間(180秒)の加圧乾燥を行った後、前記弾性中子内の加圧流体を抜いて該弾性中子を収縮させて前記乾燥型内から退避させた。そして、得られた成形体を前記乾燥型から取り出して冷却し、図1に示す形態で、表1に示した組成で重量約7g、肉厚1.2mmの中空中子1を得た。
図2に示すような直管状の鋳物10に対応したキャビティを有する主型を鋳物砂で造型し、その中に、得られたφ40×100mmの前記中空中子1を配し、中子1内には鋳物砂を充填せずに造型し、鋳物材質FC−300、鋳込温度1380℃で鋳物を製造した。
乾燥成形後の鋳物製造用構造体の表面粗度をテーラーホブソン社製「Surtronic 10」により測定した。
鋳物製造用構造体の熱硬化性樹脂の不溶分量を上述の測定方法に基づいて下記条件で測定した。
溶媒:アセトン(50g)
容器:100ccスクリュー管
振とう時間:10分間
放置時間:常温12時間
乾燥温度:60℃
乾燥時間:30分
乾燥成形後の鋳物製造用構造体の形状を目視で判断し、その成形性を下記三段階によって評価した。
○:乾燥型の形状が寸法精度良く転写されている。
△:寸法精度は劣るが、乾燥型の形状がほぼ転写されている。
×:乾燥型の形状がほとんど転写されていない。
鋳造後の鋳物の形状保持性を目視で判断し、下記四段階で評価した。
◎:鋳物製造用構造体の形状が非常に寸法精度良く転写されている。
○:鋳物製造用構造体の形状が寸法精度良く転写されている。
△:寸法精度は劣るが、ほぼ鋳物製造用構造体の形状が転写されている。
×:鋳物製造用構造体の形状がほとんど転写されていない。
得られた鋳物の前記鋳物製造用構造体に接していた部分の表面粗度(Ra)を測定し、下記三段階で表面の平滑性を評価した。なお鋳物の表面粗度は、テーラーホブソン社製「Surtronic 10」により測定した。
○:15μm以下
△:15超〜50μm未満
×:50μm以上
鋳造後の鋳物製造用構造体の除去性を下記三段階で評価した。
○:容易に除去できる。
△:除去がやや困難
×:除去困難
黒曜石を合成ムライトMM(平均粒子径30μm)に変更した以外は、実施例1と同様にして重量7g、厚さ1.2mmの中空中子を得た。そして、この中空中子を用い、鋳物材質をSC−460、鋳込温度を1550℃とした以外は、実施例1と同様にして鋳物を鋳造した。
無機繊維に下記炭素繊維を用いた以外は、実施例1と同様にして重量7g、厚さ1.2mmの中空中子を得た。そして、この中空中子を用い、実施例1と同様にして鋳物を鋳造した。
炭素繊維:ピッチ系炭素繊維(呉羽化学工業製「クレカチョップT−106」、繊維長4mm、収縮率1.5%)
熱硬化性樹脂を市販のフェノールーレゾール樹脂(残炭率35%)を用いた以外は、実施例1と同様にして重量7g、厚さ1.2mmの中空中子を得た。そして、この中空中子を用い、実施例1と同様にして鋳物を鋳造した。
図2に示す直管状の鋳物10に対応したキャビティを有する主型を実施例1と同様にして形成し、厚さ1.2mm、重さ9gの主型を得た。そして、該主型を用い、実施例1と同様にして鋳物を製造した。
実施例1の中空中子を窒素雰囲気下200℃で1時間の熱処理した後、実施例1と同様にして鋳物を鋳造した。
無機粒子として、鱗状黒鉛−185(購入先:不二鉱材(株)、平均粒径80μm)を用い、熱硬化性樹脂としてo−クレゾールノボラックエポキシ樹脂/ノボラックフェノール樹脂を用い、表1に示す配合で実施例6と同様にして厚さ1.2mm、重さ7gの中空中子を得た。そして、この中空中子を用い、鋳物材質をFCD−600、鋳込温度を1380℃とした以外は、実施例1と同様にして鋳物を鋳造した。
鋳物製造用構造体の材料組成を表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物を鋳造した。
鋳物製造用構造体の材料組成を表1に示す組成に変更した以外は、実施例1と同様にして中空中子を得た。得られた中空中子にさらにポリビニルアルコールを含浸させて重量7g、厚さ1.2mmの中空中子を得た。この中空中子を用い、実施例1と同様にして鋳物を鋳造した。
フラタリーサンドを元砂としたシェル砂を用い、実施例1と同様の形状の中空中子(重量約200g)を作製し、実施例1と同様にして鋳物を鋳造した。
<原料スラリーの調製>
下記有機繊維、無機繊維及び無機粒子を表2に示す配合で水に分散させた約1重量%のスラリーを調製した後、該スラリーに下記熱硬化性樹脂粉末及び適量の下記凝集剤を添加し、原料スラリーを調製した。
有機繊維:新聞古紙(平均繊維長1mm、フリーネス(CSF)150cc)
無機繊維:PAN系炭素繊維(東レ(株)製「トレカチョップ」、繊維長3mm、収縮率0.1%)
無機粒子:黒曜石(キンセイマテック社製「ナイスキャッチ」、平均粒子径30μm)
鉱物粒子:ムライト(耐火度1700℃、平均粒子径30μm)、アルミナ(耐火度1775℃、平均粒子径32μm)、及び黒鉛(鱗状黒鉛−185、購入先:不二鉱材(株)、平均粒径80μm)
熱硬化性樹脂:ノボラックフェノール樹脂(旭有機材工業(株)製「SP1006LS」、残炭率38%)
凝集剤:ポリアクリルアミド系凝集剤(三井サイテック社製「A110」)
前記実施例1等と同様の方法により、図1に示す形態で、表2に示した組成、重量の肉厚1.2mmの中空中子1を得た。
図2に示すような直管状の鋳物10に対応したキャビティを有する主型を鋳物砂で造型し、その中に、得られたφ40×100mmの前記中空中子1を配し、中子1内には鋳物砂を充填せずに造型し、表2に示す鋳物材質、鋳込温度で鋳物を製造した。
上記鋳造法により得られた鋳物10を定盤の上に縦置き設置し、内径寸法測定機(LED寸法測定センサー、キーエンス社製)によりし、円筒内部の上部、中央部、下部の3点で中空部の内径を測定し、それぞれの真円(この場合は直径40mmの円)に対する差をもって内径寸法精度を評価した。すなわち、鋳物10において中空部が真円である場合、内径寸法の誤差は0であり、0に近いほど、寸法精度が高いことを意味する。表2には、差の最大値と最小値の幅を表記した。
構造体の材料組成を表2に示す組成に変更した以外は、実施例8と同様にして鋳物を鋳造した。
構造体の材料組成を表2に示す組成に変更した以外は、実施例8と同様にして中空中子を得た。得られた中空中子にさらにポリビニルアルコールを含浸させて重量7g、厚さ1.2mmの中空中子を得た。この中空中子を用い、実施例8と同様にして鋳物を鋳造した。
フラタリーサンドを元砂としたシェル砂を用い、実施例8と同様の形状の中空中子(重量約200g)を作製し、実施例8と同様にして鋳物を鋳造した。
10 鋳物
Claims (10)
- 有機繊維、無機繊維、無機粒子及び熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体であって、
鋳物製造用構造体における含有量が、有機繊維10〜50重量%、無機繊維2〜50重量%、無機粒子20〜60重量%及び熱硬化性樹脂5〜50重量%であり、
前記無機繊維が炭素繊維であり、前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂、エポキシ樹脂及びフラン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂である、
鋳物製造用構造体。 - 厚さが0.2〜5mmである請求項1記載の鋳物製造用構造体。
- 表面粗度(Ra)が20μm以下である請求項1又は2記載の鋳物製造用構造体。
- 前記鋳物製造用構造体が中子である請求項1〜3の何れかに記載の鋳物製造用の構造体。
- 前記中子が中空である請求項4記載の鋳物製造用構造体。
- 炭素当量が4.2%以下の溶融金属から鋳物を製造するための構造体である請求項1〜5の何れか1項記載の鋳物製造用構造体。
- 前記無機粒子が、耐火度800〜2000℃の無機粒子である請求項6記載の鋳物製造用構造体。
- 請求項1〜7の何れかに記載の鋳物製造用構造体の製造方法であって、前記有機繊維、前記無機繊維及び前記無機粒子を少なくとも含む原料スラリーを用いた抄造工程を具備する鋳物製造用構造体の製造方法。
- 請求項1〜7の何れかに記載の鋳物製造用構造体を用いる鋳物の製造方法。
- 請求項1〜7の何れかに記載の鋳物製造用構造体を用いて鋳造される鋳物。
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