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JP4907326B2 - 鋳物製造用構造体及び鋳物の製造方法 - Google Patents
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JP4907326B2 - 鋳物製造用構造体及び鋳物の製造方法 - Google Patents

鋳物製造用構造体及び鋳物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋳物の製造時に用いられる鋳型等の構造体及び該構造体を用いた鋳物の製造方法に関する。
鋳物は、一般に、木型や金型などをもとに鋳物砂で内部にキャビティを有する鋳型を形成するとともに、必要に応じて該キャビティ内に中子を配した後、該キャビティに溶湯を供給して製造されている。
木型、金型の製造は、加工に熟練を要し高価な設備も必要で、高価で重い等の欠点と共に廃棄処理の問題も生じ、量産の鋳物のほかには使用が困難である。また、鋳物砂を用いた砂型は、通常の砂にバインダーを添加し、硬化させて形状を保持させているため、砂の再利用には再生処理工程が必須となる。また、再生処理の際にダストなどの廃棄物が発生するなどの問題も生じている。加えて、中子を砂型で製造する場合、上記課題に加え中子自身の重量のため取り扱いに難があり、さらには、鋳込み時の強度保持と鋳込み後の中子除去性という相反する性能が要求される。
このような課題を解決する技術として、セルロース繊維に無機粉や無機繊維を添加して成形するもの(下記特許文献1参照)が知られている。また、有機繊維、無機繊維、無機粒子及び熱硬化性樹脂を含有する鋳型又は構造体(下記特許文献2参照)が知られている。
これらの技術は、軽量化、加工性、廃材問題については、ある程度の効果を有するものの、これらの鋳型を用いて鋳造した場合、鋳造された鋳物表面にガス欠陥が発生して鋳物品質の低下を招くという課題があった。よって、これらの課題を改善すべく手段が強く望まれていた。
特開平9−253792号公報 特開2005−153003号公報
本発明の課題は、鋳物品質であるガス欠陥を改善することができる鋳物製造用構造体を提供することにある。
本発明は、無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂、並びに、バナジウム、チタン及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する鋳物製造用構造体に関する。
また、本発明は、バナジウム、チタン及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が、無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体の表面に付着している、鋳物製造用構造体に関する。
また、本発明は、上記本発明の鋳物製造用構造体を用いる鋳物の製造方法に関する。
なお、本明細書において、「鋳物製造用の構造体」という場合、「鋳物製造用の鋳型」の範疇に含まれる場合もある。
本発明の鋳物製造用の構造体は、溶融金属を鋳込む場合において、鋳造後の鋳物表面あるいは内部にガス欠陥や異物噛み欠陥等の鋳物の欠陥が顕著に改善され、高品質の鋳物が生産できる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本実施形態の構造体は、溶融金属から鋳物を製造するために好適である。
本実施形態の構造体は、無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂、並びに、バナジウム、チタン及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属(以下、金属(a)という)を含有するものである。あるいは、金属(a)が、無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体の表面に付着してなるものでる。
無機繊維の配合重量比率は、構造体中、0.1〜80重量%、更に1〜50重量%、特に1〜30重量%が好ましい。なお、この配合重量比率の数値は、構造体中の含有量の数値であってもよい(以下も同様)。
この無機繊維の重量比率が0.1重量%以上であることは構造体の耐熱性の低下に伴う熱収縮によって鋳物の形状保持性の低下を抑制でき、またガスの発生量を低減できるという観点から好ましく、この重量比率が80重量%以下であることは構造体の成形性が良好で鋳込み後の構造体の除去性も良好となるという観点から好ましい。
また、無機粒子の配合重量比率は、構造体中、10〜95重量%、更に20〜90重量%、特に30〜85重量%が好ましい。
この無機粒子の重量比率が10重量%以上であることは後述する無機粒子の添加効果がより発現しやすいという観点から好ましく、この重量比率が95重量%以下であることは構造体の成形性、鋳物の形状保持性等が良好となるという観点から好ましい。
また、熱硬化性樹脂の配合重量比率は、構造体中、3〜70重量%、更に5〜50重量%、特に5〜30重量%が好ましい。
この熱硬化性樹脂の重量比率が3重量%以上であることは鋳物の表面の平滑性が良好で、構造体の強度や形状保持性も良好となるという観点から好ましく、この重量比率が70重量%以下であることは構造体の成形性が良くなるほか、ガス発生量が低減されて鋳物の表面欠陥を抑制できるという観点から好ましい。
また、金属(a)の配合重量比率は、構造体中、0.1〜90重量%、更に0.5〜50重量%、特に1〜30重量%が好ましい。
この金属(a)の重量比率が0.1重量%以上であることは鋳物表面のガス欠陥を低減できるという観点から好ましく、この重量比率が90重量%以下であることは鋳造後の構造体を容易に除去できるという観点から好ましい。
前記無機繊維は、主として構造体において鋳造に用いられる前の状態ではその骨格をなし、鋳造に用いられたときには溶融金属の熱によって燃焼せずにその形状を維持する成分である。特に、本発明で使用する熱硬化性樹脂等の有機成分が溶融金属の熱によって熱分解して生じる熱収縮を抑える成分である。
前記無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、ロックウール等の人造鉱物繊維、セラミック繊維、天然鉱物繊維が挙げられる。無機繊維は、これらを単独で又は二以上を選択して用いることができる。そして、これらの中でも、熱硬化性樹脂の炭化に伴う収縮を効果的に抑える点から高温でも高強度を有するピッチ系やポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましく、特にPAN系の炭素繊維が好ましい。
前記無機繊維は、構造体を抄造して脱水する場合の脱水性、構造体の成形性、均一性の観点から平均繊維長が0.2〜10mm、特に0.5〜8mmであるものが好ましい。
前記無機繊維は、構造体の熱分解に伴う熱収縮を効果的に抑える機能を有している。
前記無機粒子は、該構造体の耐熱性を向上させる成分である。
前記無機粒子としては、シリカ、アルミナ、ムライト、マグネシア、ジルコニア、雲母、黒鉛、黒曜石等の耐火度800℃以上、更に1000℃以上の無機粒子が挙げられる。軟化時の粘度が高く、溶融金属の熱により軟化して緻密な耐火膜を形成する観点から黒曜石、ムライト粉が好ましい。また、構造体の成型性に優れるという観点から黒鉛が好ましい。なお、これらの無機粒子は単独で又は二種以上を併用しても良い。該無機粒子は、粒子径が200μm以下のものを用いることが好ましい。特に、鋳造する溶融金属の鋳込温度に対し±300℃、特に±200℃の耐火度を有する無機粒子が好ましい。ここで、無機粒子の耐火度は、ゼーゲルコーンを用いた測定方法(JIS R2204)で測定される。
前記熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、フラン系樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂は、常温強度及び熱間強度を維持させると共に、鋳物の表面粗度を向上させるために必要な成分であり、塗型剤を塗布した砂型と同等の表面平滑性が得られ、塗型剤を使用しなくても良いほどである。
斯かる性能を有する前記熱硬化性樹脂には、特に、可燃ガスの発生が少なく、燃焼抑制効果があり、熱分解(炭化)後における残炭率が25%以上と高く、鋳造時に炭素皮膜を形成するために良好な鋳肌を得ることができる点からフェノール系樹脂を用いることが好ましい。なお、残炭率は、示査熱分析により還元雰囲気下(窒素雰囲気下)にて1000℃に加熱後の残留重量により求めることができる。
前記フェノール系樹脂としては、レゾールフェノール樹脂、ノボラックフェノール樹脂、尿素、メラミン、エポキシ等で変性した変性フェノール樹脂等が挙げられるが、好ましくはレゾールフェノール樹脂又はその変性樹脂である。
前記熱硬化性樹脂は、単独で又は二以上を選択して用いることもでき、さらにはアクリル系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂等と併用することもできる。特に、本発明の構造体を中空中子に適用する場合には、熱硬化性樹脂(特に残炭率が15%以上、特には25%以上)を使用することで、高い熱間強度が得られ、中空中子としての機能を十分に発揮できる。
前記熱硬化性樹脂は、前記無機繊維又は前記無機粒子、更に前記有機繊維(配合する場合)にコーティングしたり、粉末化又は乳化して原料スラリー中に添加したりし、抄造後乾燥成形したときに、前記無機繊維及び前記無機粒子、更に前記有機繊維(配合する場合)を結合させるもの、成形体の抄造後に含浸させ、乾燥又は硬化させることで構造体の強度を高め、鋳込み時に溶融金属の熱によって炭化させて強度を維持するものなど、その後の鋳込み時の溶融金属の熱によって炭化して炭素皮膜を形成し、構造体の強度の維持と鋳物の表面平滑性の向上に寄与し得るものであれば含有させる形態はいずれでもよい。
前記ノボラックフェノール樹脂を使用した場合に必要となる硬化剤は、水に溶け易いため、湿式抄造による場合には特に成形体の脱水後に塗工することが好ましい。前記硬化剤には、ヘキサメチレンテトラミン等を用いることが好ましい。
本発明に用いられる金属(a)は、バナジウム、チタン及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属である。金属(a)は、金属単体、合金の何れでもよく、粒子状のものを使用することが好ましい。金属粒子は、通常市販されている試薬レベルの金属粒子、工業用途の金属粒子など、種々使用できる。金属(a)もしくは金属(a)を含む合金は、一種又は二種以上を使用できる。金属粒子の形状は特に限定されるものではなく、球状等でよく、また、多孔性のものでもよい。金属粒子は純度が30〜100重量%が好ましいが、鉄金属粒子の場合、水溶媒の接触による酸化防止の目的で、酸化鉄(Fe34)処理した鉄金属粒子〔例えば、同和工業(株)製の鉄粉RKH等〕が特に好ましい。また、チタン及びバナジウムに関しては、水素化チタン及び水素化バナジウムを含むものとする(これらは、鋳造時に熱分解して、それぞれ、チタン、バナジウムに変化する)。
本発明の金属(a)は、無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂等の構造体の組成中にこれらの金属の粒子を添加配合して、水分散媒とした原料スラリーとして用いられるのが好ましく、かかる原料スラリーを用いて本発明の構造体を作製することができる。
また、無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体に、金属(a)の粒子を被覆等により付着させて、本発明の鋳物製造用構造体を得ることもできる。金属(a)を付着させる場合、固着性を向上させる方法としてバインダーを使用することもできる。例えば、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、水ガラス等の無機バインダーや、フェノール樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の有機系バインダーを使用することができる。金属(a)の付着量は、鋳物製造用構造体〔金属(a)の付着前のもの〕100重量部に対して0.1〜10重量部、更に0.2〜5重量部、特に0.5〜5重量部が好ましい。なお、金属(a)を付着させる構造体は、金属(a)を含まないもの、金属(a)を含むもの、の何れでも良い。また、付着対象となる構造体が金属(a)を含まない場合も、該構造体における各成分の配合重量比率は前記の範囲とすることができる(ただし合計は100重量%となるように調整する)。
金属(a)の付着、特に被覆は、金属粒子を含む塗布液を、刷毛塗布、スプレー塗布、もしくは溶射塗布することで行うことができる。金属粒子の粒径は、1000μm以下、更に200μm以下、特に50μm以下のものが、原料スラリー及びコーティング材として用いるための分散性が良く、鋳造した後の鋳物表面のガス欠陥及び異物噛みによる鋳物欠陥が顕著に改善されることから、好ましい。
本発明では、更に、抄造した後の中間成形体を抄造型から抜型する場合の湿態強度及び乾燥後の成形体強度を向上させる目的で有機繊維を配合添加してもよい。有機繊維の配合重量比率は、構造体中、1〜70重量%、更に2〜50重量%、特に2〜30重量%が好ましい。該比率が、1重量%以上であると、成形体強度が向上し、成形性に優れるものが得られる。また、該比率が70重量%以下であると、鋳込み後のガス発生量が低減されて鋳物の表面欠陥が発生し難くなり、耐熱性が向上し、鋳物の形状保持性が良好となる。
前記有機繊維は、主として構造体において鋳造に用いられる前の状態ではその骨格をなし、構造体の成形性を向上させる成分である。また、鋳造に用いられたときには溶融金属の熱によってその一部若しくは全部が燃焼し、鋳物製造後の構造体の内部に空隙を形成して構造体の除去性を向上させる成分である。
前記有機繊維としては、紙繊維、フィブリル化した合成繊維、再生繊維(例えば、レーヨン繊維)等の繊維が挙げられる。有機繊維は、これらを単独で又は二種以上を選択して用いることができる。そして、これらの中でも、特に、抄造により多様な形態に成形できるほか、脱水後と乾燥後に十分な強度が得られる点から紙繊維を用いることが好ましい。
前記紙繊維としては、木材パルプ、コットンパルプ、リンターパルプ、竹やわらその他の非木材パルプが挙げられる。紙繊維は、これらのバージンパルプ若しくは古紙パルプを単独で又は二種以上を選択して用いることができる。紙繊維は、入手の容易性、環境保護、製造費用の低減等の点から、特に古紙パルプが好ましい。
前記有機繊維は、構造体の成形性、表面平滑性、耐衝撃性を考慮すると、平均繊維長が0.3〜2.0mm、特に0.5〜1.5mmであるものが好ましい。
本実施形態の構造体には、前記無機繊維、前記無機粒子、前記熱硬化性樹脂及び金属(a)に加えて、必要に応じ、前記有機繊維、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン樹脂等の紙力強化材、ポリアクリルアミド系等の凝集剤、着色剤等の他の成分を適宜の割合で添加することができる。
本実施形態の構造体は、表面粗度(Ra)が20μm以下、特には3〜15μm、更には5〜10μm以下とするのが好ましい。斯かる表面粗度とすることで、得られる鋳物の表面の平滑性をより優れたものとすることができる。ここで、表面粗度は、後述の実施例のように市販の測定装置で測定することができる。
本実施形態の構造体の厚みは、その用いられる部分に応じて適宜設定することができるが、少なくとも溶融金属と接する部分における厚みが、0.2〜5mm、特に0.4〜2mmであることが好ましい。薄すぎると鋳物砂を充填して造型するときに要する強度が不十分となり、構造体、特に、中子等の構造体の形状機能が維持できない場合があり、厚すぎると鋳込み時にガス発生量が増加して鋳物の表面欠陥が発生しやすくなるほか、成形時間が長くなり、製造費が高くなる場合がある。
本実施形態の構造体は、鋳造に用いられる前の状態において、抗折強度が1MPa以上であることが好ましく、3MPa以上であることがより好ましい。
本実施形態の構造体は、水を分散媒とした原料スラリーを用いた抄造工程を経て製造したときには、鋳込み時のガス発生量を極力抑える点から、鋳造に用いられる前の状態において、含水率(重量含水率)が10%以下、特には8%以下であることが好ましい。
本実施形態の構造体は、軽量性と、造型作業や二次加工のし易さの点でから、鋳造に用いられる前の状態において、その比重が1.5以下であることが好ましく、1.2以下であることがより好ましい。
本実施形態の構造体は、内面に鋳物製品形状のキャビティーを有する主型、その主型に入れて使用する中子、或いは湯道などの注湯系部材等に適用することができるが、本発明の構造体が表面平滑性に優れており、良好な鋳肌の鋳物を得ることができるため、主型や中子への適用が好ましい。特に、熱間の圧縮強度にも優れ、高い形状保持性を有し且つ鋳込み後の除去性にも優れているため、中子として、特には中空形状でも高い形状保持性を有し、鋳物砂の充填が不要となる中空中子へ適用することが好ましい。
本実施形態の構造体を鋳物の製造に用いると、従来のように、主型の周りに充填する鋳物砂及びショット玉のような鉄球等、中空中子にバックアップの目的で充填する鋳物砂等を必ずしもバインダーで硬化させる必要がないので、鋳物砂の再生が容易となる利点も生じる。
次に、本発明の構造体の製造方法を、その好ましい実施形態として上述した実施形態の構造体の製造方法に基づいて説明する。
本実施形態の製造方法では、前記無機繊維、前記無機粒子、前記熱硬化性樹脂及び金属(a)、更に好ましくは前記有機繊維を前記所定配合比で含む原料スラリーを調製し、該原料スラリーを用いた湿式抄造法によって所定形状の繊維積層体を抄造し、脱水、乾燥して構造体を製造する。
前記原料スラリーの分散媒としては、水、白水の他、エタノール、メタノール等の溶剤等が挙げられ、これらの中でも抄造・脱水の安定性、品質の安定性、費用、取り扱い易さ等の点から特に水が好ましい。
前記原料スラリーにおける前記分散媒に対する前記各繊維(前記有機繊維を含む)、無機粒子及び金属(a)の合計の割合は、0.1〜8重量%、特に0.5〜6重量%であることが好ましい。原料スラリー中の前記繊維及び粒子の合計割合が多すぎると肉厚むらが生じやすくなる。特に中空品の場合には内面の表面性が悪くなる場合がある。逆に、少なすぎると局所的な薄肉部が発生する場合がある。
前記原料スラリーには、必要に応じて、前記紙力強化材、前記凝集剤、防腐剤等の添加剤を適宜の割合で添加することができる。
前記繊維積層体の抄造工程では、例えば、2個で一組をなす割型を突き合わせることにより、当該構造体の外形に略対応した形状を有し且つ外部に向けて開口するキャビティが内部に形成される金型を用いる。各割型には、外部とキャビティとを連通する多数の連通孔を設けておくとともに、各割型の内面を所定の大きさの網目を有するネットによって被覆しておく。そして、該金型のキャビティ内に所定量の原料スラリーを圧送ポンプ等を用いて注入する一方で前記連通孔を通して液体分を吸引排出し、前記ネットに原料スラリーの固形分を堆積させる。前記原料スラリーの加圧注入の圧力は、0.01〜5MPa、特に0.01〜3MPaであることが好ましい。
所定量の原料スラリーの注入により、前記ネット上に所定厚みの繊維積層体が形成されたら、原料スラリーの加圧注入を停止し、前記キャビティ内に空気を圧入して繊維積層体を所定の含水率に脱水する。
次に、前記繊維積層体を乾燥成形する。この乾燥成形工程では、一組の割型を突き合わせることにより成形すべき構造体の外形に対応した形状を有し且つ外部に向けて開口するキャビティが形成される乾燥型を用いる。そして、該乾燥型を所定温度に加熱し、脱水された前記繊維積層体を該乾燥型内に装填する。上述のような表面粗度を有する構造体を得るためには、乾燥型のキャビティの形成面の表面粗度(Ra)を15μm以下、特には10μm以下、さらには3μm以下とすることが好ましい。
次に、弾性を有し伸縮自在で且つ中空状をなす中子(弾性中子)を前記キャビティ内に挿入し、該中子内に加圧流体を供給して該中子を該キャビティ内において膨らませる。そして、前記繊維積層体を該キャビティの形成面に押圧し、該キャビティの内面形状を転写しながら乾燥する。中子には、例えば、ウレタン、フッ素系ゴム、シリコーン系ゴム又はエラストマー製のものを用いる。
前記中子を膨張させる前記加圧流体としては、例えば圧縮空気(加熱空気)、油(加熱油)、その他各種の液が挙げられる。加圧流体を供給する圧力は、0.01〜5MPa、特に0.1〜3MPaであることが好ましい。
前記乾燥型の加熱温度(金型温度)は、乾燥時間、焦げによる表面性の低下を考慮すると150〜300℃、特に170〜250℃であることが好ましい。
前記繊維積層体の乾燥後、前記中子内の前記加圧流体を抜き、該中子を縮ませて当該繊維積層体から取り出す。そして、前記乾燥型を開いて乾燥成形された構造体を取り出す。
得られた構造体には、必要に応じて、バインダーを部分的又は全体に含浸させ、加熱して熱硬化させることができる。該バインダーとしては、コロイダルシリカ、エチルシリケート、水ガラス等が挙げられる。
このようにして得られる構造体は、無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂及び金属(a)、更には有機繊維の各成分がむらなく均一に分散しているため、熱収縮に伴うひび割れ等の発生が抑えられ、高い熱間強度が得られ、表面の平滑性にも優れている。
また、前記繊維積層体がその内部から前記中子で乾燥型のキャビティの形成面に押し付けられて成形されているため、内表面及び外表面の平滑性が高い。このため、鋳物の製造に用いた場合には、得られる鋳物は特に表面平滑性に優れたものとなる。またさらに、中空形状や複雑な立体形状とする場合にも貼り合わせ工程が不要なので、最終的に得られる構造体には貼り合わせによる継ぎ目及び肉厚部は存在しない。この点においても、肉厚が均一で成形精度や機械的強度が高く、精度の高く表面の平滑性に優れた鋳物を製造することができる。従って、主型や中子は勿論、嵌合部やネジ部を有する湯道等の構造体の製造にも適用することができる。
また、構造体は、予め150〜300℃、特には170〜250℃で熱処理を行い、熱硬化性樹脂の硬化を進めることが好ましい。このような熱処理を行うことで、より優れた形状保持性を有する構造体が得られる。特に、鋳物の材質や形状によりガス欠陥の発生が懸念される場合にも好適である。
次に、本発明の構造体を用いた鋳物の製造方法を、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
本実施形態の製造方法では、上述のようにして得られた所定の構造体を鋳物砂内の所定位置に埋設して造型する。鋳物砂には、従来からこの種の鋳物の製造に用いられている通常のものを特に制限なく用いることができる。なお、鋳物砂やショット玉等のバックアップはバインダーで硬化させなくてもよいが、必要に応じて硬化させてもよい。構造体が中空中子の場合には中子内に鋳物砂の充填は不要であるが、充填することもできる。
そして、注湯口から溶融金属を注ぎ入れ、鋳込みを行う。鋳込みを終えた後、所定の温度まで冷却し、鋳枠を解体して鋳物砂を取り除き、さらにブラスト処理によって構造体を取り除いて鋳物を露呈させる。この時、熱硬化性樹脂、更には前記有機繊維が熱分解しているため、構造体の除去処理は容易である。その後必要に応じて鋳物にトリミング処理等の後処理を施して鋳物の製造を完了する。
本実施形態の鋳物の製造方法は、前記無機繊維、前記無機粒子、前記熱硬化性樹脂及び金属(a)、更にはパルプ等の前記有機繊維を含む構造体を用いるので鋳造後の鋳物表面あるいは内部にガス欠陥や異物噛み欠陥等の鋳物の欠陥が顕著に改善され、高品質の鋳物が生産できる。
本発明は上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜変更することができる。
本発明の構造体は、前記実施形態のように、立体的な中空形状の構造体を形成する上では、湿式抄造法によって成形体を抄造し、脱水、乾燥成形工程を経て構造体を製造することが好ましいが、前記原料スラリーを抄紙してシート状の成形体を形成し、これを紙管として巻き上げて構造体を製造することもできる。
また、乾燥成形後に最終的な形状に対応した構造体が得られるように製造することが好ましいが、乾燥後に得られた成形体を切断して分割し、分割された部品どうしを嵌合や螺合等で連結できる形態で製造することもできる。この場合、予め端部や分割部分に嵌合や螺合部を有する形態で成形しておくことが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
〔実施例1〕
表1に示す材料組成の構造体を以下のように作製し、得られた構造体の重量を測定した。また、得られた構造体を用いて鋳物を製造し、鋳物の形状保持性(構造体の形状保持性)、表面平滑性(鋳物の表面粗度)、及び鋳物表面の鋳造欠陥を下記のように評価した。それらの結果を表1に示した。
<原料スラリーの調製>
下記有機繊維、無機繊維、無機粒子及び金属粒子を表1に示す配合で水に分散させた約1重量%のスラリーを調整した後、該スラリーに下記熱硬化性樹脂粉末及び適量の下記凝集剤を添加し、原料スラリーを調整した。
有機繊維:新聞古紙(平均繊維長1mm、フリーネス(CSF、以下同じ)150cc)
無機繊維:PAN系炭素繊維(東レ(株)製「トレカチョップ」、繊維長3mm、収縮率0.1%)
無機粒子:黒曜石(キンセイマテック社製「ナイスキャッチ」、平均粒子径30μm)
バナジウム粒子:和光純薬工業(株)製、バナジウム金属粉末試薬(粒度−45μm品)
熱硬化性樹脂:球状フェノール樹脂(エア・ウォーター(株)製ベルパールS−890)
凝集剤:ポリアクリルアミド系凝集剤(三井サイテック社製「A110」)
<中空中子として用いる構造体の抄造成形>
抄造型には、φ40mm×250mmに対応するキャビティ形成面(表面粗度(Ra)0.9μm)を有する一対の割型で、当該キャビティ形成面に所定の目開きのネットが配され、キャビティ形成目と外部とを連通する多数の連通孔が形成されたものを用いた。そして、前記原料スラリーをモーノポンプで循環させ、前記抄造型内に所定量のスラリーを加圧注入する一方で、前記連通孔を通じて排水し、所定の繊維積層体を前記ネットの表面に堆積させた。所定量の原料スラリーの注入を完了した後、該繊維積層体が堆積された抄造型内に0.2MPaの加圧エアーを約30秒間供給し、該繊維積層体を脱水した。次いで、繊維積層体を抄造型から取り出し、220℃に加熱された乾燥型に移した。乾燥型には、φ40mm×250mmに対応するキャビティ形成面を有する一対の割型で、該キャビティ形成面と外部とを連通する多数の連通孔が形成されたものを用いた。乾燥工程では、前記乾燥型の上方開口部から袋状の弾性中子を挿入し、密閉された該乾燥型内で該弾性中子内に加圧流体(加圧空気、0.2MPa)を供給して該弾性中子を膨らませた。そして、前記繊維積層体を該乾燥型の内面に押しつけて、該乾燥型の内面形状を転写させつつ該繊維積層体を乾燥した。所定時間(180秒)の加圧乾燥を行った後、前記弾性中子内の加圧流体を抜いて該弾性中子を収縮させて前記乾燥型内から退避させた。そして、得られた成形体を前記乾燥型から取り出して冷却し、図1に示す形態で、表1に示した組成、重量、肉厚1.2mmの中空中子1(構造体)を得た。
<前記中空中子の構造体を用いる鋳物の鋳造>
図2に示すような直管状の鋳物10に対応したキャビティを有する主型を鋳物砂で造型し、その中に、得られたφ40mm×250mmの前記中空中子1を配し、中子1内には鋳物砂を充填せずに造型し、鋳物材質FCD−700、鋳込温度1400℃で鋳物を製造した。
〔鋳造後における鋳物の形状保持性の評価〕
鋳造後の鋳物の形状保持性を目視で判断し、下記四段階で評価した。
◎:構造体の形状が非常に寸法精度よく転写されている。
○:構造体の形状が寸法精度良く転写されている。
△:寸法精度は劣るが、ほぼ構造体の形状が転写されている。
×:構造体の形状がほとんど転写されていない。
〔鋳物表面の平滑性の評価〕
得られた鋳物の前記構造体に接していた部分の表面粗度(Ra)を測定した。Raが低いほど平滑性に優れることを示す。なお鋳物の表面粗度は、テーラーホブソン社製「Surtronic 10」により測定した。
〔鋳物表面の鋳造欠陥の評価〕
得られた鋳物の前記構造体に接していた部分(図2の内側表面全体)のガス欠陥及び異物噛み欠陥等の鋳造欠陥(大きさが直径0.5mm以上の窪み)の発生個数を測定した。
〔実施例2〜5及び比較例1〕
構造体の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして表1に示す重量で、厚さ1.2mmの中空中子を得た。そして、この中空中子を用い、実施例1と同様にして鋳物を鋳造し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。なお、これら実施例で用いた金属粒子は以下のものである。
・チタン粒子;東邦チタニウム(株)製、チタン粉TS−450(粒径45μm以下品:目開き45μmの篩い通過品)
・水素化チタン粒子:東邦チタニウム(株)製、水素化チタン粉TCH450(粒径45μm以下品:目開き45μmの篩い通過品)
・鉄粒子:同和工業(株)製、鉄粉RKH〔酸化鉄(Fe34)処理された鉄粉(鉄純度82%、Fe3416%)、粒径45μm:目開き45μmの篩い通過品〕
Figure 0004907326
〔実施例6〕
表2に示す材料組成の構造体を以下のように作製し、得られた構造体の重量を測定した。また、得られた構造体を用いて鋳物を製造し、実施例1と同様の評価を行った。それらの結果を表2に示した。
<主型として用いる構造体の抄造成形>
図3に示すような構造体2〔(図3(a)は平面概略図、(b)は側面概略図である〕に対応するネットが配された抄造型を用いて抄造体を作製した。表2に示す配合に従い、該抄造体の作製に用いたスラリーの調製、供給、堆積、脱水、乾燥等も実施例1と同様に行った。得られた抄造体を同形状からなる表面温度180℃の乾燥金型に移行し、0.6MPaの圧力で5分間プレス乾燥させた後、抜型して図3の肉厚1.2mmの主型構造体2を得た。以上の操作を再度行い、同じ主型構造体を得、2つの構造体を、リブ面に接着剤を塗布し、張り合わせ圧着し接合して、鋳造用の主型の構造体を得た。
<前記主型の構造体を用いる鋳造>
図4に示すような円柱状の鋳物20を得るため、所定の鉄製容器内に湯口を設けた向くり揚げ方案で造型した前記鋳造用の主型の構造体を設置し、バックアップの充填材としてスチールショット玉を充填し、鋳物材質FCD−700、鋳込温度1400℃で鋳物を製造した。
〔実施例7及び比較例2〕
構造体の材料組成を表2に示す組成に変更した以外は、実施例6と同様にして鋳物を鋳造した。実施例6と同様の評価を行った結果を、表2に示す。
〔実施例8〕
比較例2で用いた構造体の表面にチタン粒子(実施例2で用いたもの)の50重量%水分散液を刷毛で塗布し、チタン粒子をコーティングしたものを180℃で2時間乾燥し、チタン金属粒子をコーティングした構造体を得た。該構造体を用いた以外は、比較例2と同様にして鋳物を鋳造した。なお、チタン粒子の被覆量は、構造体(被覆前のもの)100重量部に対して3重量部である。
〔実施例9〕
比較例2で用いた構造体の表面に、鉄粒子(実施例4で用いたもの)50重量%水分散液を刷毛で塗布し、鉄粒子をコーティングしたものを180℃で2時間乾燥し、鉄粒子をコーティングした構造体を得た。該構造体を用いた以外は、比較例2と同様にして鋳物を鋳造した。なお、鉄粒子の被覆量は、構造体(被覆前のもの)100重量部に対して3重量部である。
Figure 0004907326
表2中、無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂、金属粒子、有機繊維は、実施例1〜5及び比較例1と同じものである。
表1、2に示すように、実施例1〜9では、軽量で、鋳込み後の構造体の形状保持性及び鋳物内面の表面平滑性が良好で、鋳物表面の鋳造欠陥が少なく、ガス欠陥の防止効果が高いことがわかる。これに対し、金属粒子を添加しない比較例1、2では、鋳物表面の鋳造欠陥が多く、ガス欠陥が十分に抑制されていないことがわかる。
本発明の鋳物製造用構造体の一例である中空中子を模式的に示す斜視図である。 図1の中空中子を用いて製造された鋳物を模式的に示す斜視図である。 本発明の鋳物製造用構造体の一例である主型用の構造体を模式的に示す図である。 図3の構造体を用いて製造された鋳物を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1 中空中子(構造体)
10 鋳物
2 主型用構造体
20 鋳物

Claims (7)

  1. 無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂、並びに、構造体中0.1〜30重量%のバナジウム、チタン及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有する鋳物製造用構造体。
  2. バナジウム、チタン及び鉄からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が、無機繊維、無機粒子、熱硬化性樹脂を含有する鋳物製造用構造体の表面に付着している、請求項1記載の鋳物製造用構造体。
  3. 厚さが0.2〜5mmである請求項1又は2記載の鋳物製造用構造体。
  4. 構造体中、無機繊維を0.1〜80重量%、無機粒子を10〜95重量%、熱硬化性樹脂を3〜70重量%含有する請求項1〜3の何れか1項記載の鋳物製造用構造体。
  5. 更に有機繊維を、構造体中、1〜70重量%含有する請求項1〜4の何れか1項記載の鋳物製造用構造体。
  6. 無機粒子が、シリカ、アルミナ、ムライト、マグネシア、ジルコニア、雲母、黒鉛、及び黒曜石から選ばれる無機粒子である請求項1〜5の何れか1項記載の鋳物製造用構造体。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の鋳物製造用構造体を用いる鋳物の製造方法。
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