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JP4674592B2 - 車輌の変速制御装置 - Google Patents
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JP4674592B2 - 車輌の変速制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動変速機を搭載した車輌において、登坂時等の車輌走行抵抗の違いにより上記自動変速機の制御を変更する変速制御装置に係り、詳しくは上記変速制御におけるフィルタ処理、いわゆるなまし処理の制御に関する。
従来、上記自動変速機の変速制御装置として、特許文献1に示されるものがある。このものは、自動変速機が車速とエンジン負荷とにより規定されるシフトパターンに沿って変速を行う車輌において、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段と、自動変速機の出力トルクに関連したトルクを検出するトルク検出手段と、車輌の加速度を検出する加速度検出手段と、を備え、上記エンジン負荷と、出力トルク及び加速度に応じて前記シフトパターンを変更する。
具体的には、平坦路で得られるべき変速機出力トルクに対する基準加速度を求め、該基準加速度と、上記加速度検出手段にて求めた実際の加速度とを比較し、例えば基準加速度に対する実加速度の比を求めて、車輌が走行している道路の降坂勾配を推測して変速マップを切換え、エンジンブレーキをマッチングしている。
なお、エンジン発生トルク(変速機入力トルク)と加速度に加えて車輌重量から走行抵抗を算出し、該走行抵抗が予め変速段によって設定された値より小さい場合には、所定のエンジンブレーキがかかる変速段を指令するようにした自動変速機制御装置も案出されている(特許文献2参照)。
特開昭61−45160号公報 特開平4−4351号公報
前記基準加速度は、エンジン出力トルク(変速機ギヤ比等の係数の違いで変速機出力トルクと実質的に同一)に基づき算出されるため、車速、従ってフートブレーキによる影響はないが、実加速度は、車速に基づき算出されるため、運転者がブレーキを踏むことにより大きな影響を受ける。
従って図5に示すように、運転者のフートブレーキによる操作(ブレーキON)により、前記基準加速度αと実加速度αとの間に差を生じ、両加速度を比較することにより道路勾配を推測することはできなくなり、ブレーキペダルスイッチのON作動中は上記道路勾配の推測判定は中断される。ところで、一般に、上述した自動変速機の変速制御にあっては、基準加速度及び実加速度は、所定時間(例えば100ms)毎に上記エンジン出力トルク又は車速を検出することにより求められるが、各制御サイクル毎のこれら検出値は誤差及びノイズによる変動が大きく、所定フィルタ処理、いわゆるなまし処理が施される。
従って、図5の一点鎖線で示すように、該なまし処理による応答遅れ時間相当分も、上記両加速度の比較に基づく道路勾配判定を継続して中断する必要があり、ブレーキペダルスイッチOFF後も、比較的長いディレイタイマ時間tを設定せざるを得ない。
このため、フートブレーキを作動した場合、降坂路判定が遅れてしまい、正確な道路勾配に応じた変速パターンの選択が遅れ、特に図5に示すように、降坂路進入直後にブレーキを踏んだ状態で、ブレーキOFF後、すぐまたカーブ等によりブレーキを踏むようなことが繰返されるような場合、降坂道路の判定を行うことができず、道路勾配による変速パターンの変更制御ができない場合も生ずる。
一方、図9に示すように、登坂路に車輌が進入して、運転者がアクセルペダルを踏込むと、スロットル開度の増加変化により基準加速度が影響を受けて、道路勾配の推測判定が不可能になり、この場合も、不感帯を構成するタイマにより道路の勾配状況の判定を中止するが、同様になまし処理により、ディレイタイマ時間tを長く設定せざるをえない。
そこで、本発明は、運転者がアクセルペダルを踏込んで道路の勾配状況の判定を中止する際のディレイタイマ時間を短くし、もって上記課題を解決して車輌の変速制御装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る本発明は(図1参照)、エンジン出力トルクに基づき平坦路走行状態での基準加速度を算出する基準加速度演算手段(11)と、
車速に基づき実際の加速度を算出する実加速度演算手段(12)と、
前記基準加速度と実加速度を比較して道路の勾配状況を判定する道路状況判定手段(17)と、を備え、
該道路状況判定手段による道路の勾配状況に基づき、自動変速機(2)のシフトパターンを変更してなる、車輌の変速制御装置において、
前記基準加速度演算手段による基準加速度(α)の値をなまし処理するフィルタ手段(13)と、
運転者のアクセルペダル操作により前記基準加速度の値が前記道路の勾配状況を判定し得ない状態となる際に、前記道路状況判定手段(17)の判定を休止する休止手段(15)と、
運転者のアクセルペダルの踏込みによりスロットル開度が増加変化したことによる該休止手段による休止中にあって、制御サイクル毎の現在の実加速度の値の影響が前回の値に対して小さくなるように、前記フィルタ手段による前記基準加速度(α )に対するなまし処理のゲインを小さく変更するゲイン変更手段(16)と、
を備えることを特徴とする車輌の変速制御装置にある。
請求項に係る本発明は(図10、図11参照)、前記ゲイン変更手段は、前記スロットル開度の増加変化から所定時間(t)ゲインを小さくするように変更する、
ことを特徴とする請求項記載の車輌の変速制御装置にある。
請求項に係る本発明は(図2参照)、前記道路状況判定手段は、前記実加速度(α)と基準加速度(α)との差(a)に基づき、平坦路か、登坂路か又は降坂路かを判定し、更に道路勾配を判定し、
該道路状況判定手段の判定に基づき、平坦路マップ、登坂路マップ、降坂路マップを選択する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の車輌の変速制御装置にある。
請求項に係る本発明は(図3参照)、前記平坦路マップ及び登坂路マップは、車速及びスロットル開度に基づくシフト線からなり、
かつ前記登坂路マップは、平坦路マップに比して前記シフト線が高速側に偏倚した複数の種類が用意され、これらマップが前記判定された道路勾配により選択される、ことを特徴とする請求項記載の車輌の変速制御装置にある。
[作用]
以上構成に基づき、各制御サイクル毎に、基準加速度演算手段(11)がエンジン出力トルクに基づき平坦路走行状態での基準加速度(α)を算出し、また実加速度演算手段(12)が車速に基づき実際の実加速度(α)を算出する。道路状況判定手段(17)が、例えば両者の差(a=α−α)により実加速度(α)及び基準加速度(α)を比較して、車輌が平坦、登坂路又は降坂路を走行中であるか及びその道路勾配を判定して、該判定に基づき、例えば平坦路マップ、登坂路マップ、降坂路マップを選択する等により変更パターンを道路状況に応じて変更する。
例えば登坂路進入に伴いアクセルペダルを踏込むことにより、上記基準加速度の算出が不適正となり、その間休止手段(15)により上記道路状況の判定が休止される。この際、上記基準加速度(α)の算出に際してフィルタ手段(13)によるなまし処理が施されているため、上記運転者の操作が解放された後も、上記なまし処理による応答遅れのための所定ディレイタイマが設定されている。上記運転者の操作、例えばスロットル開度の増加変化により、ゲイン変更手段(16)がなまし処理のゲインを変更して、基準加速度を定常状態に早期に復帰させて、ディレイタイマの設定時間を短くする。
具体的には、登坂路においてアクセルペダルを踏込むと、所定時間(t)、前回のなまし処理の値の係数を大きくすることによりゲインを小さくして、所定時間(t)経過後通常のなまし処理に戻す。
なお、上記カッコ内の符号は図面と対照するためのものであるが、特許請求の範囲記載の構成に何等影響を与えるものではない。
請求項1に係る本発明によると、運転者のアクセルペダル操作により道路の勾配状況の判定を中止する際、車輌が例えば登坂路に進入して運転者がアクセルペダルを踏込んだ場合でも、小さなゲインのなまし処理により基準加速度の変化を小さくして、基準加速度が定常状態に早期に復帰するようにしたので、上記休止のためのタイマ時間を短くすることが可能となり、安定した道路の勾配状況の判定に基づき、道路の勾配状況に対応して自動変速機のシフトパターン変更を行うことができる。
請求項に係る本発明によると、スロットル開度の増加変化開始から所定時間ゲインを小さくするので、簡単な制御でもって、基準加速度を定常状態に確実に収束すると共に、素速く復帰し、早期に道路状況の判定を行うことができる。
請求項に係る本発明によると、実加速度と基準加速度との差に基づき、平坦路、登坂路及び降坂路の判別をすると共に、その道路勾配をも判定し、適正な変速マップを選択して、道路勾配に応じた正確な変速制御を行うことができる。
請求項に係る本発明によると、登坂時にあっては、道路勾配に対応した登坂路マップを選択して、道路勾配に応じた適正な変速制御を行うことができる。
以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る変速制御装置の全体概略を示すブロック図であり、エンジン1と、トルクコンバータ及び伝達経路を変更して前進4速、後進1速等の多数の変速段を有する自動変速機(トランスミッション)2と、該トランスミッションに変速信号を出力する電子制御部(ECU)3と、を備える。更に、エンジン回転数を検出するセンサ5、トランスミッションの入力部の回転数を検出するセンサ6、トランスミッションの出力部の回転数即ち車速を検出するセンサ7、運転者のアクセルペダル操作に基づくスロットル開度を検出するセンサ9、運転者のフートブレーキペダルの操作を検出するブレーキスイッチ10を有する。
また、電子制御部3は、トランスミッション2の出力トルク(即ちエンジン出力トルク)に基づく基準加速度αを演算する手段11と、実際の車速に基づく実加速度αを演算する手段12と、上記基準加速度算出及び実加速度算出の誤差及びノイズを吸収するフィルタ処理、いわゆるなまし処理を行う手段13と、フートブレーキペダル又はアクセルペダル等の運転者の操作により道路状況の判定が不可能となる場合に該判定を休止する休止手段15と、上記フィルタ処理(以下なまし処理という)のゲインを変更する手段16又は該なまし処理自体を中止する(即ちゲインを1とする)なまし処理中止手段16aと、そしてなまし処理された上記基準加速度αと実加速度αを比較することにより、平坦路、登坂路、降坂路を判別しかつ道路の勾配を判定する道路状況判定手段17と、該判定に基づき変速マップを選択するシフトパターン変更手段19と、該変速マップに基づき所定変速段信号を前記トランスミッション2に向けて出力する変速出力手段20と、を備えている。
具体的には、基準加速度演算手段11は、スロットル開度センサ9によるスロットル開度及びE/G回転センサ5からのエンジン回転数によりエンジン出力トルクを求め、またトルクコンバータの入出力回転数から変速比に基づきトルク比を算出し、上記エンジン出力トルク及びトルク比からトランスミッションの入力トルクを求め、更にT/M入力回転センサ6及び車速センサ7に基づくギヤ比によりトランスミッション2の出力トルクを演算する。そして、該出力トルクと、平坦路での走行抵抗、車輌質量及び駆動車輪半径とからなる所定値とから、車輌が平坦面を走行している状態(基準状態)における、エンジン2の出力トルク(従って自動変速機出力トルク)に基づく基準加速度αが演算される。
一方、実加速度演算手段12は、車速センサ7にて検出される車速を微分することにより実加速度を演算する。これら基準加速度及び実加速度値は、所定時間毎、例えば100ms毎に演算されるが、これら実際の算出値は、ギザギザした偏差の大きい値からなるため、フィルタ処理手段13にて所定のなまし処理を行う。ここで、なまし処理とは、所定時間毎のサンプリング検出に際して、今回の検出値をそのまま採用するのではなく、過去の検出値が平均化された前回の算出値を加味することにより、算出される値を平坦化する処理であって、本実施例においては、前回のなまし処理された値をE(n−1)、今回検出に基づく実加速度又は基準加速度をe(n)とすると、今回のなまし処理による加速度E(n)は、E(n)={3×E(n−1)+e(n)}/4にて求められる。このようにして、所定時間毎に更新されてなまし処理された基準加速度α及び実加速度αが順次求められる。
また、前記ゲイン変更手段にて変更されるゲインとは、前記なまし処理における今回のなまし処理された値と今回の検出値との比であり、具体的には、上記E(n)を求める際の今回の検出値e(n)の係数(上記実施例では1)と、前回のなまし処理された値E(n−1)の係数(上記実施例では3)とにて求められる。上記実施例では、ゲインは、[1/4]となるが、例えば前記なまし処理E(n−1)の係数が9で今回の検出値e(n)の係数が1である場合、ゲイン[1/10]となって小さくなる。また、前回のなまし処理E(n−1)を採用せず、今回の検出値e(n)のみを採用する場合、即ちなまし処理を中止した状態では、上記ゲインは、1となる。
そして、図2に示すように、前記基準加速度演算手段11により算出されてなまし処理された基準加速度α(S1)と、前記実加速度演算手段12により算出されてなまし処理された実加速度α(S2)とが、道路状況判定手段17にて比較される(S3)。具体的には、実加速度αと基準加速度αとの差(α−α=a)が求められ、この値aが、所定のプラス値であるbよりも大きい場合(b<a)、車輌が降坂路を走行中と判定して、降坂路マップが選択され(S4)、また上記値aが所定マイナス値である−cよりも小さい場合(a<−c)、登坂路を走行中と判定し、登坂路マップが選択され(S5)、そして上記値aが上記プラス値bとマイナス値−cとの間にある場合(−c<a<b)、平坦路を走行中と判定して、平坦路マップが選択される(S6)。
上記ステップS4,S5,S6が、シフトパターン変更手段19に相当し、上記選択されたマップに基づき、変速出力手段20が所定シフト信号を出力して、自動変速機2を所定変速段に変速操作する。
前記平坦路マップは、図3(a)に示すようにスロットル開度及び車速に基づく通常のシフトパターンからなる変速マップであり、前記登坂路マップは、図3(b)に示すように、上記平坦路マップより各シフト線が高速側に所定量偏倚している。なお、図3において、実線は、アップシフトでのシフト線であり、点線は、ダウンシフトでのシフト線である。上記ステップS3における実加速度αと基準加速度との差aの絶対値の大きさから道路勾配が判定され、該判定された登坂路の勾配により、多数用意されている登坂路マップから該勾配に対応するマップが選択される。なお、登坂路マップは、通常走行中に変速が頻繁に行われることを防止するため3速及び4速等の高速段側のみが高速側に偏倚しているものでもよく、また低スロットル開度のみで高速側に偏倚しているものでもよい。
前記降坂路マップは、図4に示すように、降坂路勾配[%]と車速[km/h]とに基づく線図からなる。実線は3→4アップシフトのシフト線で、その斜線部分は、降坂路勾配に基づく車輌に作用する加速度、即ち下り坂による車輌重力に基づく車輌前進方向の力と、エンジンブレーキによる車輌を減速する後進方向の力とが釣合った状態となる線である。なお、上記降坂路勾配は、前記ステップS3における実加速度αと基準加速度αとの差aの数値に基づき判定される。
具体的には、勾配e(例えば5%)と車速f(例えば80km/h)との交点に3→4シフト線があるが、勾配eのままで車速がg(例えば90km/h)増速すると、シフト線との差iだけエンジンブレーキ力が車輌重量に基づく前進方向力に対して大きくなり、勾配eのままで車速がh(例えば70km/h)に減速すると、シフト線との差jだけ、車輌重量に基づく前進方向力がエンジンブレーキ力に対して大きくなる。
従って、道路勾配eにある場合、車速fを越えて高速になると、3→4アップシフトしてエンジンブレーキ力を減少し、また車速fより低速になると、4→3ダウンシフトしてエンジンブレーキ力を増加することになり、車速fにおいて、道路勾配eに基づく車輌前進方向力とエンジンブレーキ力とが釣合って、運転者は、アクセルペダルをオフした状態で該車速hが保持されることになる。なお、アップシフト側もダウンシフト側も同じ実線からなる1本のシフト線にすると、車速hを挟んでシフト操作が頻繁に切換わるハンチング状態となるため、実際には、点線で示す4→3ダウンシフト線との間にヒステリシスを設けて、上記ハンチングを回避している。なお、上記シフト線は、図示の上記釣合った状態からわずかに右方向又は左方向にずらしたものでもよい。この場合、傾斜部分では、右方向にずらしたものにあっては、よりエンジンブレーキ効果が得られ、左方向にずらしたものにあっては、緩やかなエンジンブレーキ効果が得られる。また、図4では、3−4シフトについてのみ説明したが、他の変速段にあっても、同様にシフト線を設定してもよく、また他の変速段では車速のみに依存するシフト線(図4において縦方向に延びる垂直線)を設定してもよい。
ついで、前記図1に示すゲイン変更手段16及び休止手段15について、図5ないし図11に沿って具体的に説明する。
まず、参考までに、図5ないし図8に沿って、降坂路にあって運転者がブレーキペダルを踏んだ状態について説明する。車輌が降坂路に入って運転者がフートブレーキ操作をすると、基準加速度αは、前述したように、平坦路を基準としてエンジン出力トルクに基づき算出されるので、上記降坂路への車輌進入及びフートブレーキ操作による走行抵抗増加に影響されることなく、平坦路での走行時と同じ一定の値に維持されているが、実加速度αは、上記フートブレーキ操作による走行抵抗増加に影響されて、該走行抵抗増加量低下する。
実際は、前記フィルタ処理手段によるなまし処理により、図5及び図6の点線で示すように、実線で示すなまし処理しない生の実加速度に対して所定応答遅れを伴って低下する。従って、該ブレーキ作動状態、即ちブレーキスイッチ10のON状態にあっては、前記実加速度と基準加速度との比較による道路勾配の判定は休止される。
従来の技術では、フートブレーキ作動がなくなり、ブレーキスイッチがOFFになった後も、上記なまし処理がそのまま継続するので、図5の一点鎖線及び図6(a)に示すように、比較的長い応答遅れがあり、従って長いブレーキオフ後のディレイタイマtが設定されている。具体的には、図8の従来[E′(n)](一点鎖線)で示すように、ブレーキスイッチオフ後のなまし処理を伴う1回目の(n=1)の実加速度E′(1)は、ブレーキスイッチオン時に算出された前回までのなまし処理による値E(0)と該1回目の実際の車速に基づく実加速度e(1)とにより行われる。即ち、E′(1)=[E(0)*3+e(1)]/4にて算出される。同様に、所定時間(100ms)経過後の第2回目(n=2)の実加速度E′(2)は、上記1回目で算出された値E′(1)と該2回目の実際の車速に基づく実加速度e(2)とにより、E′(2)=[E(1)*3+e(2)]/4にて算出される。以下同様に3回目(n=3)の実加速度E′(3)は、E′(3)=[E(2)*+e(3)]/4にて算出される。
これに対し、本発明の実施例によると、図7に示すように、ブレーキスイッチのONからOFFへの切換え操作、即ちブレーキのオフイベントがあったか否かが判断され(S10)、オフイベントがあった場合(YES)、タイマ手段(休止手段)15(図1参照)により比較的短いオフディレクタイマtが設定される(t=1;S11)。そして、車速センサ7による実際の車速から、なまし処理を行わない生の実加速度が算出される(S12)。
次のサイクルからの実加速度の算出に際して、上記ステップS10におけるブレーキオフイベントはないので(NO)、なまし処理された実加速度が算出される(S13)。そして、該なまし処理された実加速度αの算出は、上記設定されたオフディレイタイマtが経過するまで繰返される(NO;S14)。該オフディレイタイマtが経過した状態で、上述したように実加速度αと基準加速度αとが比較されて降坂路及びその勾配が判定される(S15)。即ち、ブレーキオフ直後のフィルタ処理手段13のなまし処理が、なまし処理中止手段16aにより中止されるように変更される。
具体的には、図8の本発明[E(n)]で示すように、ブレーキスイッチのONからOFFへの切換え後の1回目(n=1)の実加速度E(1)は、その時点で算出された車速に基づく実際の加速度e(1)となる。即ち、E(1)=e(1)となる。第2回目の実加速度E(2)は、上記1回目の実加速度E(1)と実際に算出された加速度e(2)にてなまし処理されて算出される。即ち、E(2)=E[(1)*3+e(2)]/4にて算出される。同様に、3回目の実加速度E(3)は、上記2回目の実加速度E(2)にてなまし処理されて、E(3)=[E(2)*3+e(3)]/4にて算出される。
なお、上記2回目(n=2)以降の実加速度の算出値は、上述したようになまし処理され、前回なまし処理値の係数が3、実検出値の係数が1で、前記ゲインは[1/4]となり、また1回目(n=1)の実加速度は、生の検出値e(1)がそのまま採用されるので、前回なまし処理の係数が0、実検出値の係数が1となり、ゲインは1となる。従って、前記なまし処理中止手段16aの作動は、ゲイン変更手段16がなまし処理のゲインを大きくする(具体的には1)ように変更することになる。また、該ゲイン変更手段による変更は、上記1に限らず、例えば前回なまし処理値E(n−1)の値を1、2にする等によりゲインGを[1/2]、[1/3]等の前記2回目(n=2)より大きくなるように変更してもよい。また、ブレーキスイッチオフ直後の(なまし処理中止(G=1)又はゲインを大きく変更する)制御サイクルは、1回に限らず、ディレイタイムtの設定時間によっては、2回、3回等の複数回でもよく、更に制御サイクル毎にゲインを徐々に小さくするように、例えばn=1でG=1、n=2でG=1/2、n=3でG=1/3のように変更し、そしてn=4で通常のG=1/4に戻す等にしてもよい。
これにより、図5の点線及び図6(b)に示すように、1回目の実加速度αの算出は、なまし処理されない生の実加速度又は大きなゲインによる実加速度を用いるので、フートブレーキによる走行抵抗増加量がなくなることに基づく急激な実際の実加速度の増加に合せて、応答遅れを生じることなく急激に立上り、次のサイクルからは、上記急激に立上がった実加速度に基づくなまし処理を行って、誤差及び外乱を吸収しつつ滑らかに復帰し、全体として比較的早く道路勾配に基づく実加速度の算出値が得られ、これによりブレーキオフ後のディレイタイマ時間tを短く設定することが可能となる。
従って、図5に示すように、上記ディレイタイマtの経過後、実加速度αと基準加速度αとの差a(=α−α)により降坂路が判定され、早期に図4に示す降坂路用マップが選択され、上記差aの数値に基づき算出される道路勾配及び車速により変速段が求められる。これにより、降坂路にあってカーブが断続するような場合、フートブレーキが断続的に操作されても、ブレーキスイッチオフ後早期に復帰し、道路勾配に応じた変速段が設定される。
ついで、車輌が登坂路に進入した直後の前記ゲイン変更手段16(図1)の作動について、図9ないし図11に沿って説明する。
車輌が登坂路に進入すると、運転者はアクセルペダルを踏込んでスロットル開度が増大する。図9に示すように、実加速度αは、車速に依存するため、上記スロットル開度の変化により影響を受けることがないが、スロットル開度に依存するエンジン出力トルクにて算出される実際の基準加速度は、上記スロットル開度による影響を受けて図10の細線実線e(n)で示すように変化するため、道路状況判定に影響を与えないように、所定の不感帯を構成するディレイタイマが設定されている。更に、該基準加速度αの算出に際しても、トルクコンバータの滑り等による誤差及び外乱を吸収するため、所定のなまし処理が施されるため、その分上記ディレイタイマは長く設定されることもある。
従来の技術による場合、上記スロットル開度変化開始に際しても通常のなまし処理と同じ処理、即ち図10の一点鎖線で示すE′(n)のように、前回のなまし処理された値E(n−1)と、現サイクル(n)での車速に基づき算出される実際の加速度e(n)との所定係数を乗じた平均値、即ちE′(n)=[E(n−1)*3+e(n)]/4にて算出される。具体的には、スロットル変化後の1回目のサイクル(n=1)では、E′(1)=[E(0)*3+e(1)]/4、2回目のサイクル(n=2)では、E′(2)=[E(1)*3+e(2)]/4、3回目のサイクル(n=3)では、E′(3)=[E(2)*3+e(3)]/4となる。
このため、従来の技術にあっては、図9の一点鎖線で示すように、比較的大きなゲイン(G=1/4)に基づく上記比較的応答遅れの大きいなまし処理に対応した長いディレイタイマ時間tが設定されている。
これに対し、本発明の実施例によると、図10の実線及び図11に示すように、アクセルペダルの踏込み作動、即ちスロットル開度の増加イベントにより(S20)、タイマ手段15(図1)のタイマtを0にセットして計時を開始する(t=0;S21)。そして、該タイマによる時間tを、予め設定されている所定時間tと比較し(S22)、上記計時時間tが所定時間t以内の場合(t>t)、前回のなまし処理済の値E(n−1)の係数を大きくした小さなゲインによる基準加速度のなまし処理を行い(S23)、該小さなゲインによるなまし処理は、上記計時時間tが所定時間tを越えない限り、所定サイクル(100ms)毎に複数回繰返される。
具体的には、図10の実線に示すように、スロットル開度の増加変化から1回目のサイクル(n=1)において、基準加速度のなまし処理E(1)は、前回のなまし処理による値をE(0)、該サイクルで検出したスロットル開度等に基づく基準加速度値をn(1)とすると、E(1)=[E(0)*9+e(1)]/10となる。即ち、前回なまし処理の値に対する係数が通常の場合の3から9と3倍になり、その分ゲインGは[G=(1/10)]と小さくなり、スロットル開度変化の基準加速度への影響が小さくなる。2回目のサイクル(n=2)も、同様にE(2)=[E(1)*9+e(2)]/10となり、計時時間tが所定時間tを越えない範囲で、例えば9回目のサイクル(n=9)まで繰返される。
そして、計時時間tが前記所定時間tを越えると(ステップS22でNO;t>t)、例えば通常のなまし処理と同様な、大きなゲインによるなまし処理が行われる(S24)。該大きなゲインによるなまし処理は、前記計時tが、予め設定されている所定時間tを越えない範囲(t>t)で複数回繰返される(S25)。そして、上記計時時間tが上記所定時間t、即ち予め設定された比較的短いディレイタイマとなる所定時間t(t<t;図9参照)を経過すると、基準加速度αは、上記スロットル開度変化による影響がなくなった定常状態に復帰した状態になり、実加速度αと上記基準加速度αとを比較され、登坂路の判定及びその勾配が推定されて、該道路勾配に対応した所定の登坂路用変速マップが選択される(S26)。
具体的には、図10の実線に示すように、計時時間tが所定時間tを越えた状態にあっては、例えば10サイクル目(n=10)となっており、該サイクルでの基準加速度のなまし処理E(10)は、9回目でのなまし処理された値をE(9)、10サイクル目での基準加速度値をe(10)とすると、E(10)=[E(9)*3+e(10)]/4となる。即ち、通常の係数3によるゲインG(=1/4)からなるなまし処理が各サイクル毎に行われ、該大きいゲインによるなまし処理よりスロットル開度変化に基づく誤差、外乱等を吸収して、本来の基準加速度αに収束する。
なお、上記実施例によるゲイン変更手段は、所定時間tでゲインを小→大へ切換えたが、制御サイクル(n)毎又は所定複数制御サイクル毎に徐々にゲインを大きくするように変更してもよい。
なお、道路状況の判定は、実加速度と基準加速度との差に限らず、比等の他の比較方法によってもよく、またシフトパターンの変更は、変速マップの選択に限らず、他の変速点の変更方法によってもよい。また、フィルタ処理手段によるなまし処理は、上述説明した方法に限らず、上下偏差を平均化する他の方法でもよい。
本発明に係る変速制御の概略を示すブロック図。 本発明に係る変速制御のメインフロー図。 (a)は、平坦路変速マップ、(b)は、登坂路用変速マップの一例を示す図。 降坂路変速マップを示す図。 降坂走行時にフートブレーキが作動した場合の作動を示すタイムチャート。 (a)は、従来の技術による作動を示すタイムチャート、(b)は参考例による作動を示すタイムチャート。 ブレーキON−OFF時の実加速度計算のフローチャート。 なまし処理の具体例を示す拡大図。 登坂時にアクセルペダルを踏込んだ場合の作動を示すタイムチャート。 その具体例を示す拡大図。 (a)、(b)は、アクセル踏込み時の基準加速度計算のフローチャート。
符号の説明
1 エンジン
2 自動変速機(トランスミッション)
3 電子制御部
5 E/G回転数センサ
6 T/M入力回転数センサ
7 車速センサ
9 スロットル開度センサ
10 ブレーキスイッチ
11 基準加速度演算手段
12 実加速度演算手段
13 フィルタ処理手段
15 休止手段
16 ゲイン変更手段
17 道路状況判定手段
19 シフトパターン変更手段
α 基準加速度
α 実加速度

Claims (4)

  1. エンジン出力トルクに基づき平坦路走行状態での基準加速度を算出する基準加速度演算手段と、
    車速に基づき実際の加速度を算出する実加速度演算手段と、
    前記基準加速度と実加速度を比較して道路の勾配状況を判定する道路状況判定手段と、を備え、
    該道路状況判定手段による道路の勾配状況に基づき、自動変速機のシフトパターンを変更してなる、車輌の変速制御装置において、
    前記基準加速度演算手段による基準加速度の値をなまし処理するフィルタ手段と、
    運転者のアクセルペダル操作により前記基準加速度の値が前記道路の勾配状況を判定し得ない状態となる際に、前記道路状況判定手段の判定を休止する休止手段と、
    運転者のアクセルペダルの踏込みによりスロットル開度が増加変化したことによる該休止手段による休止中にあって、制御サイクル毎の現在の実加速度の値の影響が前回の値に対して小さくなるように、前記フィルタ手段による前記基準加速度に対するなまし処理のゲインを小さく変更するゲイン変更手段と、
    を備えることを特徴とする車輌の変速制御装置。
  2. 前記ゲイン変更手段は、前記スロットル開度の増加変化から所定時間ゲインを小さくするように変更する、
    ことを特徴とする請求項記載の車輌の変速制御装置。
  3. 前記道路状況判定手段は、前記実加速度と基準加速度との差に基づき、平坦路か、登坂路か又は降坂路かを判定し、更に道路勾配を判定し、該道路状況判定手段の判定に基づき、平坦路マップ、登坂路マップ、降坂路マップを選択する、
    ことを特徴とする請求項1または2記載の車輌の変速制御装置。
  4. 前記平坦路マップ及び登坂路マップは、車速及びスロットル開度に基づくシフト線からなり、
    かつ前記登坂路マップは、平坦路マップに比して前記シフト線が高速側に偏倚した複数の種類が用意され、これらマップが前記判定された道路勾配により選択される、
    ことを特徴とする請求項記載の車輌の変速制御装置。
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