JP4705658B2 - 泥水の粘度の調整方法 - Google Patents
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Description
本発明は、建設分野におけるシールド工法、杭工法、流動化処理工法、及び地中連続壁工法等に用いる泥水の粘度の調整方法に関するものである。
建設分野におけるシールド工法、杭工法、流動化処理工法、及び地中連続壁工法等に用いる泥水は、その品質が施工現場の地盤に影響を及ぼすようになるものであるため、安定した品質が求められる。このため、泥水は、その使用目的に応じた所定の粘度を有していることが要求される。
泥水の粘度は、例えば、土木学会規準「プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(Pロートによる方法)(JSCE−1986)」を利用することにより評価することができる(例えば、特許文献1及び2参照)。
この試験法は、図9に示す漏斗(ろうと)状の、流動性を計測するものとして知られているPロート2内に充填した1725cm3の一定体積の泥水が、Pロート2内から流下しきる時間を計測するものであり、泥水の粘度が高いほど流下時間が長くなるものとみなして、上記流下時間により泥水の粘度を相対評価するものである。この試験法は、施工現場において泥水を作製する際に用いられることが多い。
特開2005−233792号公報
特開2006−77522号公報
しかしながら、上記した土木学会規準「プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法(Pロートによる方法)(JSCE−1986)」を利用する、従来の泥水の粘度の試験(以下、「従来のPロートによる泥水の粘度の試験」という。)においては、泥水の粘度だけでなく、この粘度とは別個に、その密度も独自の要因として流下時間に影響を与えるようになるため、粘度を適切に評価することができないという問題があった。
すなわち、この試験法において、泥水は、その粘度が高いほど流下時間が長くなるが、その密度が高い場合にも、やはり流下時間が長くなるため、その粘度を適切に評価することができないという問題があった。
このように、泥水の密度が、従来のPロートによる泥水の粘度の試験において、粘度とは別個に、独自の要因として流下時間に影響を与えるようになるのは、以下のような理由によるものと考えられる。
泥水は、図10に示すように、細粒土と粗粒土の土粒子成分と、水とを含んで構成されている。ここで、細粒土とはその粒径が75μm以下の土粒子のことをいい、粗粒土とはその粒径が75μm以上の土粒子のことをいう。また、泥水中の細粒土と水の成分だけで仮想的に構成した場合の泥水を、細粒分泥水という。
泥水全体の粘性は、この泥水中に含まれる土粒子成分のうちの細粒土に基づいて発揮されるものであり、粗粒土は泥水の粘性に寄与しない。このため、泥水の粘度は、実際には、その細粒分泥水の部分だけで定まる。つまり、泥水の粘度は、その細粒分泥水を構成する細粒土と水との間の相対比に基づいて定まる。
これに対して、泥水の密度は、この泥水中における細粒土と粗粒土とを足し合わせた土粒子全体と、水との割合によって定まる。細粒土と粗粒土の密度は、等しくほぼ2.7g/cm3であって、水の密度は1g/cm3である。
このため、例えば、密度が互いに同じ泥水であっても、その土粒子成分の構成が互いに異なっていることにより、すなわち、細粒土と粗粒土の構成比率が互いに異なっていることにより、粘性が互いに異なる場合がある。逆に、粘度が互いに同じ泥水であっても、密度が互いに異なる場合がある。
一方、泥水は、上述したように、その密度が高いほど、従来のPロートによる泥水の粘度の試験において、流下時間が長くなる。このことは、ポアズイユの法則を用いて説明することができる。ポアズイユの法則によれば、流量とその管状の流路の圧力差との間には、一般に以下の数式1のような関係が成立する。
上記数式1を、従来のPロートによる泥水の粘度の試験に適用する場合には、Pロート2に充填した泥水の体積をVとし、その流下時間をsとすると、この流下時間sは、泥水の体積Vと上記数式1中の流量Qから、s=V/Qとして求めることができる。
また、上記数式1におけるΔPは、Pロート2に充填した泥水の上面の圧力P1と、Pロート2の吐出口での圧力P2との差(P1−P2)として考えることができる。これにより、以下の数式2を得ることができる。
上記数式2中における8L/πr4は、Pロート2の形状により定まる値であるため、一定値である。また、上記数式2中におけるP2は、管の断面積をaとし、Pロート2内の泥水の密度をγtとし、Pロート2内の泥水の平均高さをhとすると、P2=2a×γt×hと表せるので、密度γtが大きくなると圧力P2も大きくなる。また、上記数式2中におけるP1は、一定値である。このため、密度γtが大きくなると、上記数式2中のΔP=(P1−P2)の値は小さくなるので、流下時間sは長くなる。
このような泥水の密度と流下時間との関係について検証するため、実際に、粘度が同じであって密度が異なる泥水について、従来のPロートによる泥水の粘度の試験を行なってみた。
図11は、当初の密度γt=1.20g/cm3である泥水に対して、表乾状態の砂を添加していくことによりこの密度γtを変化させることにより、このような異なる密度γtごとに、従来のPロートによる泥水の粘度の試験を行なって、その流下時間sを測定したときにおける、密度γtと流下時間sとの相関を調べた線図である。同図に示すように、泥水は、その粘度が同じであっても、その密度が高くなるほど流下時間が長くなるという結果が得られた。
なお、表乾状態の砂を添加することにより密度γtを変化させた泥水のそれぞれは、この泥水中の砂をふるいにより分離した後に、泥水中に沈めたローターを回転させた時の粘性トルクを測定するB型粘度計(ブルックフィールド型粘度計)を用いて粘度を測定することにより、表乾状態の砂を添加する前の当初の泥水の粘度とほぼ同じ粘度であることを確認してある。したがって、表乾状態の砂を添加することにより密度γtを変化させた泥水のそれぞれは、砂添加時に水分が吸着されることにより粘度が増加したというようなことはないものと判断できる。
したがって、このような検証試験からも分かるように、従来のPロートによる泥水の粘度の試験においては、上述したように、泥水の粘度だけでなく、この粘度とは別個に、その密度も独自の要因として流下時間に影響を与えるようになるため、粘度を適切に評価することができないという問題があった。
また、従来のPロートによる泥水の粘度の試験は、敢えて上記した泥水の密度の影響を黙殺することにより、泥水の一応の粘度の適否を判断するようにしたとしても、その泥水の粘度が不適切であると評価した場合には、その後において、その泥水が所要の粘度を発揮するために、どのくらいの付与加水量が必要になるのかを直接求めることができなかった。
このため、泥水の粘度が不適切であると評価した場合には、その粘度が不足するとき、泥水ごとに、逐一、その含水量と粒度構成(細粒土と粗粒土の構成比率等)を測定した後に、この含水量と粒度構成に基づいて、泥水が所定の粘性を発揮するために必要となる付与加水量を算出しなければならなかった。また粘度が過大のとき、所要の粘度になるまで徐々に加水して調整しなければならなかったので、結局、従来のPロートによる泥水の粘度の試験においては、その試験結果を、泥水の品質の安定化に直接反映させることができないという問題があった。
また、泥水の粘度が不適切であると評価した場合には、上述したように、このような泥水に対してどのくらいの付与加水量が必要になるのかを求めるために、その泥水の含水量と粒度構成を、逐一、測定しなければならないので、これらの測定が終わるまで、施工現場における泥水の作製作業を中断するか、或いは所用の粘度に達するまで徐々に加水しながら調整しなければならなかった。このため、施工現場における泥水の生産効率を向上させることができないという問題があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、粒度構成がばらつく泥水の粗粒土量増減の影響を受けずに粘度を評価することができると共に、所要の粘度を得るための加水量を直接求めることができるようにすることにより、泥水の品質を迅速に安定化させることができ、生産性を向上させることができる泥水の粘度の調整方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明による泥水の粘度の調整方法は、
加水量と細粒土重量の比率が互いに異なる泥水のそれぞれについて、一定重量の泥水の流下時間を測定する流下方式試験を行ない、泥水の加水量と細粒土重量の比率と、その流下時間との間の相関を予め測定しておくことにより相関資料を作成しておき、
粘度が不明である泥水について前記流下方式試験により流下時間を測定し、前記相関資料に基づいて、この流下時間に対応する加水量と細粒土重量の比率と、所要の粘度を発揮するようになる加水量と細粒土重量の比率との相対比から、増減する加水量を導き出して調整することを特徴とするものである。
加水量と細粒土重量の比率が互いに異なる泥水のそれぞれについて、一定重量の泥水の流下時間を測定する流下方式試験を行ない、泥水の加水量と細粒土重量の比率と、その流下時間との間の相関を予め測定しておくことにより相関資料を作成しておき、
粘度が不明である泥水について前記流下方式試験により流下時間を測定し、前記相関資料に基づいて、この流下時間に対応する加水量と細粒土重量の比率と、所要の粘度を発揮するようになる加水量と細粒土重量の比率との相対比から、増減する加水量を導き出して調整することを特徴とするものである。
また、本発明による泥水の粘度の調整方法は、前記相関資料が、前記流下方式試験に用いるロートの吐出口の口径ごとに作成されることを特徴とするものである。
このような本発明の泥水の粘度の調整方法によれば、
加水量と細粒土重量の比率が互いに異なる泥水のそれぞれについて、一定重量の泥水の流下時間を測定する流下方式試験を行ない、泥水の加水量と細粒土重量の比率と、その流下時間との間の相関を予め測定しておくことにより相関資料を作成しておき、
粘度が不明である泥水について前記流下方式試験により流下時間を測定し、前記相関資料に基づいて、この流下時間に対応する加水量と細粒土重量の比率と、所要の粘度を発揮するようになる加水量と細粒土重量の比率との相対比から、増減する加水量を導き出して調整することにより、
粒度構成がばらつく泥水の粗粒土量増減の影響を受けずに粘度を評価することができると共に、所要の粘度を得るための加水量を直接求めることができるようになるので、泥水の品質を迅速に安定化させることができ、泥水の生産性を向上させることができる。
加水量と細粒土重量の比率が互いに異なる泥水のそれぞれについて、一定重量の泥水の流下時間を測定する流下方式試験を行ない、泥水の加水量と細粒土重量の比率と、その流下時間との間の相関を予め測定しておくことにより相関資料を作成しておき、
粘度が不明である泥水について前記流下方式試験により流下時間を測定し、前記相関資料に基づいて、この流下時間に対応する加水量と細粒土重量の比率と、所要の粘度を発揮するようになる加水量と細粒土重量の比率との相対比から、増減する加水量を導き出して調整することにより、
粒度構成がばらつく泥水の粗粒土量増減の影響を受けずに粘度を評価することができると共に、所要の粘度を得るための加水量を直接求めることができるようになるので、泥水の品質を迅速に安定化させることができ、泥水の生産性を向上させることができる。
また、本発明の泥水の粘度の調整方法によれば、前記相関資料が、前記流下方式試験に用いるロートの吐出口の口径ごとに作成されることにより、
土質等の違いにより、泥水の密度を高くしなければ粘性が発揮されないような場合、又は密度が低くても十分粘性を発揮するような場合のそれぞれに応じて、上記ロート内に投入される泥水の試料の体積が少なくなってしまったり又は多くなったりしたとしても、流下時間を長くして相対的な測定誤差を小さくしたり、又は流下時間が必要以上に長くならないようにしたりすることができるので、確実に、泥水を安定した品質に調整することができる。また、上記流下方式試験を行なう測定者の技量の差の影響を小さくすることができる。
土質等の違いにより、泥水の密度を高くしなければ粘性が発揮されないような場合、又は密度が低くても十分粘性を発揮するような場合のそれぞれに応じて、上記ロート内に投入される泥水の試料の体積が少なくなってしまったり又は多くなったりしたとしても、流下時間を長くして相対的な測定誤差を小さくしたり、又は流下時間が必要以上に長くならないようにしたりすることができるので、確実に、泥水を安定した品質に調整することができる。また、上記流下方式試験を行なう測定者の技量の差の影響を小さくすることができる。
以下、本発明に係る泥水の粘度の調整方法を実施するための最良の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図5は、本発明の一実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法について説明するために参照する図である。
図1から図5は、本発明の一実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法について説明するために参照する図である。
本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法では、後述するその一連の手順のうちの泥水の粘度の測定を、上記した従来のPロートによる泥水の粘度の試験とほぼ同じ内容の試験を行なうことにより、泥水の粘度を流下時間に置き換えて測定するようにしている。ここで、従来法においては、図9に示すPロート2内に充填される泥水の体積が一定であったのに対して、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法では、泥水の体積の増減に関わらず、その重量を一定にして行なうようになっている。
以下の説明においては、このようなPロート2内に充填した一定重量の泥水の流下時間を測定する試験を、Pロートによる流下方式試験と呼ぶこととする。このPロートによる流下方式試験では、Pロート2内に1725gの一定重量の泥水を充填し、その流下時間を測定するようにしている。
このようなPロートによる流下方式試験では、上述した通り、Pロート2内に一定重量の泥水を充填して、その流下時間を測定するようにしているので、上記数式2中におけるV/(P1−P2)の値の変動が、泥水の密度γtの増減に対して抑制され安定化するようになっている。
したがって、このようなPロート2内に泥水を一定重量だけ充填するようにしたPロートによる流下方式試験では、上記数式2中における粘度ηと流下時間sとの相関性が非常に強くなり、ほぼ比例するようになっている。
次に、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法は、以下のような手順に従って行なうようになっている。まず、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法を、施工現場において利用することができるようにするための下準備として、室内試験により、泥水の加水量と細粒土との重量比と、その流下時間との間の相関を示す、図1に示す線図(相関資料に相当)を作成する。
この図1に示す線図を作成するには、まず、泥水の作製に用いる土又は無調整の濃い泥水の粒度構成(粒土分布)を測定する。また、この土又は無調整の濃い泥水を用いて、加水量(含水量)が互いに異なる複数種類の泥水を作製し、これらの泥水のそれぞれについて、その密度を測定する。そして、これらの泥水のそれぞれについて、その密度と粒度構成に基づいて、その単位重量当たりに含まれる加水量の重量と細粒土の重量のそれぞれを算出する。
また、これらの泥水のそれぞれについて、Pロートによる流下方式試験を行なうことにより、その流下時間を測定する。このPロートによる流下方式試験は、泥水をPロート2内に一定重量だけ充填して行なう。
次に、図1に示すように、泥水における加水量と細粒土の重量比と、その流下時間との間の相関を示す線図を作成する。また、泥水が所要の粘性を発揮するようになる加水量と細粒土との重量比を突き止めておくようにする。ここまでが下準備であって、施工現場での泥水の生産は、このような下準備が済んでから行なう。施工現場において生産する泥水は、図1の線図に基づいて、その粘度を調整する。
すなわち、施工現場において暫定的に作製した泥水についてその粘度を調整するときには、まず、このような暫定的に作製した泥水について、Pロートによる流下方式試験を行なうことにより、その流下時間を測定する。この暫定的に作製した泥水についてのPロートによる流下方式試験は、やはり、泥水をPロート2内に一定重量だけ充填して行なう。
そして、図1の線図から、このように測定した流下時間に対応する加水量と細粒土との重量比の値を読み取り、このように読み取った値と、泥水が所要の粘性を発揮するようになる加水量と細粒土との重量比との相対比に基づいて、泥水の粘度の調整のために必要となる加水量を求めるようにする。
例えば、室内試験により、その粘度が適切となる泥水の標準配合が、図2の(a)に示すように、その加水量の分量を150としたときに、細粒土の分量が100となるような比率、すなわち、加水量と細粒土との重量比が1.5になるものであると突き止めたとする。このような標準配合の泥水は、Pロートによる流下方式試験を行なった場合には、図1に示すように、その流下時間は9.3秒になる。
そして、施工現場において、暫定的に、標準配合の泥水と同じ密度になるように作製した泥水について、Pロートによる流下方式試験を行なった場合に、その流下時間が8.5秒であったとすると、この泥水は、その流下時間が標準配合の泥水の流下時間よりも短いので、その粘度が標準配合の粘度よりも低くなってしまっているということが分かる。また、この泥水は、図1に示すように、この8.5秒の流下時間に対応する泥水の加水量と細粒土との重量比が、1.85であると読み取れる。
また、施工現場で暫定的に作製した泥水は、図2の(b)に示すように、(a)の標準配合の泥水と同じ密度になるように作製したものであるから、その加水量の分量は、標準配合のものと同じ分量にされているが、その加水量と細粒土との重量比が1.85であるため、加水量と細粒土との重量比が1.5である標準配合の泥水の粘度と同じ粘度を有するためには、加水量と細粒土との重量比が、{(1.85/1.5)−1}×100≒23%だけ多くなってしまっているということが分かる。すなわち、施工現場で暫定的に作製した泥水は、加水量の分量を123%にして作製してしまったことになる。
このため、施工現場で実際に使用するために作製する泥水は、加水量と細粒土との重量比が1.5である標準配合の泥水の粘度と同じ粘度を有するためには、図2の(c)に示すように、その加水量の分量を、150/1.23=121.6に調整して作製すれば良いことが分かる。
なお、図1に示す線図は、ある一定の土質の土を用いて作製した泥水に対して作成したものであるため、異なる土質の土を用いて作製する泥水については、図1の線図とは別個に、この図1の線図と同様の線図を作成する必要がある。
このような本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法によれば、粒度構成がばらつく泥水の粗粒土量増減の影響を受けずに粘度を評価することができると共に、所要の粘度を得るための加水量を直接求めることができるようになるので、泥水の品質を安定化させることができる。
また、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法によれば、施工現場において泥水を作製する際に、所要の粘度を得るための加水量を直接求めることができるようになるので、泥水の生産性を著しく向上させることができる。
なお、このような本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法の優れた効果は、図3に示すように、従来のPロートによる泥水の粘度の試験と比較することにより、一層、明確にすることができる。
図3は、粘度が同一であって密度が互いに異なる泥水のそれぞれについて、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法の、Pロートによる流下方式試験と、従来のPロートによる泥水の粘度の試験の両方を行なうことにより、それぞれの流下時間を示して比較するための線図である。
ここで、粘度が同一であって密度が互いに異なる泥水は、密度が1.099g/cm3である細粒分泥水に、表乾状態の粗粒土(珪砂)を添加していくことにより作製するようにした。これらの泥水は、粗粒土(珪砂)を除去した後に、その粘度を測定することにより、ほぼ同じ粘度を有していることを確認してある。
従来のPロートによる泥水の粘度の試験では、図9に示すPロート2内に充填した1725cm3の一定体積の泥水が流下しきる時間を計測するようにしており、図3中における丸形のドット同士を結ぶ折れ線で示されるように、泥水の密度の増加に伴って、その流下時間も長くなっていくように変動している。
これに対して、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法の、Pロートによる流下方式試験では、Pロート2内に充填した1725gの一定重量の泥水が流下しきる時間を計測しており、図3中における正方形のドット同士を結ぶ折れ線で示されるように、泥水の密度が変化しても、その流下時間は、ほとんど変動しないようになっている。
したがって、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法によれば、粒度構成がばらつく泥水の粗粒土量増減の影響を受けずに粘度を評価することができるので、泥水の品質を安定化させることができる。
さらに、図3から図5に示すように、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法に基づいて泥水を作製した場合と、従来のPロートによる泥水の粘度の試験に基づいて泥水を作製した場合とを比較することにより、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法の優れた効果を、一層、明確にすることができる。
図3は、上述したように、粘性が同一である泥水の流下時間を示す線図である。仮に、ある泥水の粘度が、室内試験により、このような図3を作成する際の前提となった粘度と同一の粘度にするのが適切であると突き止めた場合であって、このような粘度を有するように配合した泥水が、図4の(a)に示すように構成されていることにより、その密度が1.20g/cm3であった場合には、このような泥水は、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法の、Pロートによる流下方式試験を行なったときには、図3に示すように、その流下時間は12秒になる。
これに対して、同じ泥水について、従来のPロートによる泥水の粘度の試験を行なったときには、同図に示すように、その流下時間は11.3秒になる。したがって、従来のPロートによる泥水の粘度の試験を行なった場合には、その11.3秒の流下時間が、本来の流下時間12秒よりも短いため、誤って粘性不足であるものと判断されてしまう。さらに、流下時間を12秒にするためには、同図に示すように、加水量を減らして密度を1.31g/cm3にしなければならないものと、誤って判断されてしまうことになる。
このような誤った判断の下で、密度が1.20g/cm3である泥水を、1.31g/cm3に調整してしまった場合には、図4に示すように、加水量を882kgから誤って527kgに減らすことになってしまう。すなわち、誤って加水量を約40%も減らすことになってしまう。
このため、本来ならば所要の適切な粘度を得るためには、細粒分泥水が、図4の(a)に示すように、1.099g/cm3(≒1.100g/cm3)の密度であることが必要であったにも関わらず、上述したような従来のPロートによる泥水の粘度の試験に基づいて誤って調整された泥水は、その細粒分泥水の密度が、図4の(b)に示すように、1.16g/cm3という過剰に高い密度に調整されてしまう。
このように誤って調整された泥水は、その流動性と材料分離性が低下し、固化材を投入したときには、その強度が高くなりすぎてしまうことになり、品質を安定化させることができなくなってしまう。
次に図5は、仮に、ある泥水の粘度が、室内試験により、図3を作成する際の前提となった粘度と同一の粘度にするのが適切であると突き止めた場合であって、このような粘度を有するように配合した泥水が、図5の(a)に示すように構成されていることにより、その密度が1.50g/cm3であった場合について、説明するものである。
このような密度が1.50g/cm3である泥水について、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法の、Pロートによる流下方式試験を行なったときには、図3に示すように、その流下時間は、ほぼ12秒になる。
これに対して、同じ泥水について、従来のPロートによる泥水の粘度の試験を行なったときには、同図に示すように、その流下時間は13.2秒になる。したがって、従来のPロートによる泥水の粘度の試験を行なった場合には、その13.2秒の流下時間が、本来の流下時間12秒よりも長いため、誤って粘性過剰であるものと判断されてしまう。さらに、流下時間を12秒にするためには、同図に示すように、加水量を増やして密度を1.31g/cm3にしなければならないものと、誤って判断されてしまうことになる。
このような誤った判断の下で、密度が1.20g/cm3である泥水を、1.31g/cm3に調整してしまった場合には、図5に示すように、加水量を706kgから誤って1319kgに増やすことになってしまう。すなわち、誤って加水量を約87%も増やすことになってしまう。
このため、本来ならば所要の適切な粘度を得るためには、細粒分泥水が、図5の(a)に示すように、1.099g/cm3(≒1.100g/cm3)の密度であることが必要であったにも関わらず、上述したような従来のPロートによる泥水の粘度の試験に基づいて誤って調整された泥水は、その細粒分泥水の密度が、図5の(b)に示すように、0.813g/cm3という過剰に低い密度に調整されてしまう。
このように誤って調整された泥水は、その流動性と材料分離性が過剰になって、固化材を投入したときには、その強度が足りなくなってしまうことになり、品質を安定化させることができなくなってしまう。
このように、従来のPロートによる泥水の粘度の試験を行なうことにより、泥水の粘度を調整した場合には、かえって粘度の安定化を阻害してしまうため、その品質の安定化を図ることが困難になってしまっていたが、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法によれば、粗粒土の比率が異なる泥水についても、この粗粒土が粘度の評価に影響するのを排除することにより、本来、一定化を図るべきである細粒分泥水の粘度及び密度を、一層、正確に測定することができるので、泥水の粘度について誤って評価してしまうことを回避することができ、その品質の安定化を図ることが可能になる。
なお、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法においては、そのPロートによる流下方式試験を行なう際に、Pロート2内に泥水を一定重量の1725gだけ充填するようにしていたが、Pロート2内に充填する泥水は、一定重量にするのであれば、1725gに限定されるものではない。
また、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法においては、従来のPロートによる泥水の粘度の試験に用いたものと同じ、図9に示すPロート2を用いるようにしていたが、測定者の技量に応じて、このようなPロートの吐出口の口径と異なる口径のロートを用いるようにしてもよい。
例えば、測定者の技量が低い場合には、使用するロートの吐出口の口径を狭くして流下時間を引き伸ばすことにより、泥水の粘度に対する流下時間の測定誤差を相対的に小さくすることができる。
このような場合には、仮に、図9に示すPロートを用いることにより、図1に相当する線図を既に作成してあったとしても、改めて、吐出口の口径を変更したロートに対応する、図1に相当する線図を作成する必要がある。すなわち、吐出口の口径が異なるロートを用いる場合には、図1に相当する線図は、異なる口径ごとに作成する。
また、例えば、土質等の違いにより、泥水の密度を高くしなければ粘性が発揮されないような場合には、密度が高いことにより、Pロート2内に充填する泥水の体積が少なくなり流下時間が短くなるので、その測定誤差の相対的な影響が大きくなってしまうが、このような場合には、流下方式試験において、Pロート2よりも吐出口の口径が小さいロートを用いるようにしてもよい。このような場合には、やはり、この吐出口の口径が小さいロートに対応する、図1に相当する線図を作成する必要がある。
また、土質等の違いにより、泥水の密度が低くても十分粘性を発揮するような場合には、Pロート2の代わりに、吐出口の口径が大きいロートを用いるようにしてもよい。このような場合にも、この吐出口の口径を大きくしたロートに対応する、図1に相当する線図を作成する必要があることはいうまでもない。
また、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法においては、泥水の流下時間を測定するのにPロート2を用いたが、このようなPロート2の代わりに、土木学会規準「PCグラウトの流動性試験方法(JSCE−F531−1994)」に用いる、図6に示すようなJロート4等を用いるようにしても良い。また、Pロート2やJロート4と異なる形状のロートを用いるようにしてもよい。或いは、Pロートによる流下方式試験と同様の試験を行なうことができるものであれば、Pロート2の代わりに、漏斗形状以外の他の形状の容器等を用いるようにしてもよい。
また、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法においては、Pロートによる流下方式試験により、一定重量の泥水の流下時間を測定するようにしていたが、このようなPロートによる流下方式試験と同様に、重力を利用して泥水に位置エネルギーを与えることにより、このような泥水の、その後の移動や変形による位置エネルギーの放出の際の抵抗量を時間や長さに置き換えて測定する他の試験法を、Pロートによる流下方式試験の代わりに用いるようにしてもよい。
例えば、このような他の試験法として、スランプフロー試験、又はシリンダー法によるフロー試験(旧日本道路公団規格「エアモルタル及びエアミルクの試験方法(JHS A 313−1992)」を準用するもの)、或いはモルタルフロー試験(土木学会関連規準「セメントの物理試験方法(JIS R 5201−1981)」に定められたモルタルのフロー試験を準用するもの)等を用いることができる。
ここで、上記したスランプフロー試験とは、図7に示すように、上下両端面が開放され上側に向かって徐々に窄まっていく形状に形成されたスランプコーン6を水平面上に載置し、このスランプコーン6内に泥水を充填して突棒で攪拌した後に、このスランプコーン6を静かに上方に引上げることにより、水平面上に広がった泥水の直径を測るようにする試験をいう。
また、シリンダー法によるフロー試験とは、両端面が開放された円筒体を板上に載置して、この円筒体内に泥水を充填した後に、円筒体を静かに上方に引上げることにより板上に広がった泥水について、その最大の径の長さと、この最大の径の方向と直角方向の径の長さとを測定し、両者を平均した数値を求める試験をいう。
また、モルタルフロー試験は、図8に示すように、上下両端面が開放され上側に向かって徐々に窄まっていく形状に形成された、所定形状のフローコーン8をテーブル上に載置し、このフローコーン8内に泥水を入れ突棒で攪拌したあとで、このフローコーン8を静かに上方に引上げ、その後に、テーブルに所定の上下運動を所定回数だけ与え、テーブル上に広がった泥水について、その最大の径の長さと、この最大の径の方向と直角方向の径の長さとを測定し、両者を平均した数値を求める試験をいう。
このようなスランプフロー試験、シリンダー法によるフロー試験、又はモルタルフロー試験等を、本実施の形態に係る泥水の粘度の調整方法において用いたPロートによる流下方式試験の代わりに用いる場合には、このPロートによる流下方式試験と同様に、一定重量の泥水について行なうようにする。また、このようなスランプフロー試験、シリンダー法によるフロー試験、又はモルタルフロー試験等を行なうことにより、図1に相当する線図を作成する際には、そのような線図の縦軸の物理量が長さになることはいうまでもない。
2 Pロート
4 Jロート
6 スランプコーン
8 フローコーン
4 Jロート
6 スランプコーン
8 フローコーン
Claims (2)
- 加水量と細粒土重量の比率が互いに異なる泥水のそれぞれについて、一定重量の泥水の流下時間を測定する流下方式試験を行ない、泥水の加水量と細粒土重量の比率と、その流下時間との間の相関を予め測定しておくことにより相関資料を作成しておき、
粘度が不明である泥水について前記流下方式試験により流下時間を測定し、前記相関資料に基づいて、この流下時間に対応する加水量と細粒土重量の比率と、所要の粘度を発揮するようになる加水量と細粒土重量の比率との相対比から、増減する加水量を導き出して調整する
ことを特徴とする泥水の粘度の調整方法。 - 前記相関資料は、前記流下方式試験に用いるロートの吐出口の口径ごとに作成されることを特徴とする請求項1に記載の泥水の粘度の調整方法。
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