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JP4707650B2 - 超伝導フィルタデバイス - Google Patents
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JP4707650B2 - 超伝導フィルタデバイス - Google Patents

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Description

本発明は、超伝導フィルタデバイスに関し、特に、移動通信基地局の極低温RFフロントエンドの送信系に適用される超伝導送信フィルタに関する。
近年、携帯電話の普及、発展に伴い、高速・大容量の伝送技術が不可欠になってきている。超伝導体は、高周波領域においても、通常の電気的良導体に比べて表面抵抗が非常に小さいので、低損失、高Q値の共振器が期待でき、移動通信の基地局用のフィルタとして有望視されている。
たとえば、図1に示すように、アンテナ151を介して受信されたRF信号は、受信系フロントエンドを構成する帯域フィルタ(BPF)152R、低ノイズアンプ(LNA)153、ダウンコンバータ(D/C)154、復調器(DEMOD)155を経て、ベースバンド部156でベースバンド処理される。
送信系では、ベースバンド部156で処理された信号は、変調器(MOD)157、アップコンバータ(U/C)158、ハイパワーアンプ(HPA)159、帯域フィルタ(BPF)152Tを経て、RF信号としてアンテナ151から放射される。
超伝導フィルタを、受信側の帯域フィルタ152Rに適用する場合、伝送ロスが少なく、急峻な周波数遮断特性が期待される。一方、送信側の帯域フィルタ152Tに適用する場合は、ハイパワーアンプ159によって発生する歪を取り除く効果が期待できるが、高周波信号を送信するために大電力を要し、小型化と良好な電力特性の両立が、目下の課題となっている。
超伝導フィルタを移動通信の用途で用いる場合、周波数のチューニング(同調)能力が要求される。超伝導フィルタを同調可能とするために、超伝導の共振器パターンの上方に、空間を介して導体層が形成されたプレートを導体層が共振器パターンと向き合うように配置し、共振器パターンとプレートの間に圧電素子を挿入することで、共振器パターンと導体層との間の距離を調整する方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
しかし、この方法は、アクチュエータによる機械的な機構によるため、振動に弱い、応答速度が遅い等の問題がある。
また、フィルタパターン上に、誘電率のバイアス依存性の大きい誘電体膜を形成し、この誘電体膜に電圧を印加して誘電率を変化させる方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。この方法は、横方向に電圧を印加しており、変化率が小さいという問題がある。また、耐電力性が低く、受信用フィルタにしか適用できない。
さらに、マイクロストリップライン上にパラレルプレート型の超伝導誘電体共振器を配置した超伝導フィルタにおいて、誘電体の誘電率のバイアス電圧依存性を利用して、周波数チューニングを行う方法が提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
図2は、従来の同調可能な超伝導フィルタデバイスの構成例である。図2(a)の共振器111は、非線形特性の誘電体112の両面に、導体膜114で被覆された高温超伝導HTSプレート13a、13bが配置されている。図2(b)に示すように、超伝導膜の一方(13b)は、マイクロストリップライン115の中心ストリップ118に接続されている。電圧印加手段119を介して、共振器111の上方の超伝導プレート113aとマイクロストリップライン115との間に、DCバイアス電圧が印加される。印加電圧により、非線形特性の誘電体112の誘電率を変化させて、共振器111の共振周波数を変える。
しかし、この方法も、耐電力性が低く、受信用フィルタにしか適用できない。従来方法における耐電力性の低さは、超伝導フィルタパターンのコーナー部分やエッジ部分への電流集中に起因すると考えられる。
特表2003−516079号公報 特開平9−307307号公報 特表2000−502231号公報
超伝導の共振器パターン上での電流の集中を緩和するために、コーナー部分やエッジ部分の少ない平面図形形状(円形、楕円形、多角形など)の共振器パターンを形成して、送信フィルタとしての大電力応答を実現することが考えられる。また、平面図形型の超伝導共振器パターンの上方に、積層誘電体を介して所定の形状の導体パターンを配置することで、所望の帯域幅に対応するカップリングを生じさせることが考えられる。この手法では、1つの共振器で互いに直交する2つの共振モード(いわゆる"デュアルモード")を発生させ、電流集中を防止して電力特性や周波数特性を良好に維持するとともに、小型化にも寄与できる。
しかし、これだけでは、周波数特性を変化させる機能はない。つまり、製造ばらつきによる特性のズレを補正する、あるいは積極的に特性を変化させる等のチューナブルな構成には対応できていない。
そこで、本発明は、簡単な構成で、電力特性を維持しつつ、超伝導共振器フィルタの中心周波数と帯域幅をそれぞれ独立して、または同時に調整することのできる送信用フィルタの構成を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、デュアルモード発生用の導体パターンが形成される積層誘電体として誘電率の電界依存性を持つ誘電体を用い、デュアルモード発生用導体と平面図形形状(ディスク状等)の超伝導共振器パターンとの間にバイアス電圧を印加し、積層誘電体の誘電率を変化させて、フィルタ特性をチューナブルにする。
より具体的には、第1の側面では、超伝導フィルタデバイスは、
(a)誘電体ベース基板と、
(b)前記誘電体ベース基板上に超伝導材料で形成された平面図形形状の共振器パターンと、
(c)前記共振器パターンの上方に位置し、非線形の誘電率の電界依存特性を有する材料で構成される積層誘電体と、
(d)前記積層誘電体の表面に形成され、所定の帯域幅に対応するカップリングを発生させる導体パターンと、
(e) 前記積層誘電体にバイアス電圧を印加する手段と
を備える。
このような構成により、デュアルモード型フィルタにおいて、積層誘電体にバイアス電圧を印加することによって、誘電率を制御し、誘電率の制御によりフィルタデバイスの中心周波数と帯域幅を調整することが可能になる。
一つの構成例として、バイアス電圧印加手段は、導体パターンと超伝導共振器パターンのそれぞれに接続され、高周波成分を除去するインダクタンス成分を含むバイアス印加用配線を含む。好ましい例として、バイアス印加用配線は、ヘアピンライン状のパターンとして形成される。
積層誘電体は、たとえば、ペロブスカイト型酸化物またはパイロクロア型酸化物であるのが望ましい。
第2の側面では、超伝導フィルタデバイスは、
(a)誘電体ベース基板と、
(b)前記誘電体ベース基板上に超伝導材料で形成された平面図形形状の共振器パターンと、
(c)前記共振器パターン上の所定の箇所に局所的に配置され、誘電率の電界依存特性を有する材料で構成される積層誘電体と、
(d)前記積層誘電体の表面に形成される導体膜と、
(e)前記積層誘電体上の導体膜と、前記共振器パターンとの間にバイアス電圧を印加する手段と
を備える。
良好な構成例では、超伝導フィルタデバイスは、前記共振器パターンに信号を供給する入力フィーダと、前記共振器から信号を出力する出力フィーダと、
をさらに有し、前記積層誘電体は、前記共振器パターンの中心に対して、前記入力フィーダおよび出力フィーダと対称となるライン上に位置する。
また、別の例では、記バイアス印加手段は、前記誘電体ベース基板上に形成され、前記共振器パターンに接続される第1バイアス印加用配線と、前記誘電体ベース基板上に形成され、前記積層誘電体上の導体膜に接続される第2バイアス印加用配線とを含む。
好ましくは、第1及び第2のバイアス印加用配線は、インダクタンス成分を含むように反復パターンで形成されている。
デュアルモード型の超伝導フィルタにおいて、中心周波数および帯域幅を高精度に調整することができる。
図3に、本発明の第1実施形態に係る超伝導フィルタデバイス10の構成を示す。図3(a)は上部から見た図、図3(b)は断面模式図である。
超伝導デバイス10は、MgO単結晶基板などの誘電体ベース基板11と、誘電体ベース基板11の表面に超伝導材料で形成されたディスク形状の超伝導共振器パターン12と、超伝導共振器パターン12の近傍に延びる信号入出力線(フィーダ)13と、誘電体基板11に搭載される積層誘電体14と、積層誘電体14上に形成された円形または楕円形の導体パターン15と、積層誘電体にバイアス電圧を印加するための配線16を含む。積層誘電体14上の導体パターン15は、所望の帯域幅に対応するカップリングを生じさせる、いわゆるデュアルモード発生用の導体である。
ベース基板11は、高周波における損失が小さい誘電体が適しており、MgOの他、サファイア、LaAlO3 (以下"LAO"と称する)、TiO3などの誘電体材料が良い。多結晶体よりも単結晶の方が、一般に損失が小さく適している。
超伝導材料としては、Nbなどの金属、NbNなどの窒化物、YBCO (Y、Ba、Cuの複合酸化物) などの酸化物など、任意の材料を適用できるが、臨界温度が高いYBCOなどの酸化物系超伝導材料が好ましい。酸化物系超伝導材料としては、YBCO以外にも、たとえば、RBCO(R−Ba−Cu−O)系材料、すなわち、R元素としてY(イットリウム)に代えて、Nd、Sm、Gd、Dy、Hoを用いた超伝導材料を用いてもよい。また、BSCCO(Bi−Sr−Ca−Cu−O)系、PBSCCO(Pb−Bi−Sr−Ca−Cu−O)系、CBCCO(Cu−Bap−Caq−Cur−Ox、1.5<p<2.5、2.5<q<3.5、3.5<r<4.5)を超伝導材料に用いてもよい。
超伝導共振器パターン12としては円形が好ましいが、耐電力性に優れる平面図形型のパターンとして、円形の他にも楕円形、多角形、リング状などのパターンも適用できる。本明細書および特許請求の範囲において「平面図形型パターン」あるいは「平面図形形状のパターン」という場合は、ストリップ状あるいはライン状(1次元)のパターンとは区別され、円形、楕円形、多角形、リングなどの2次元図形形状のパターンを意味するものとする。
積層誘電体14は、誘電率の電界依存性が大きく(非線形の誘電率の電界依存性を有し)、高周波での損失が小さい材料で構成される。たとえば、SrTiO3、(Ba,Sr)TiO3などのペロブスカイト系酸化物やBZN(Bi、Zn,Nbの複合酸化物) などのパイロクロア系酸化物などが適している。また、積層誘電体14の設置形態としては、多結晶または単結晶の板を超伝導共振器パターン12上に搭載する方法、多結晶または単結晶の薄膜または厚膜を超伝導共振器パターン12上に成長させる方法がある。
入出力用のフィーダ13の一方は、信号入力として用いられ、他方は信号出力として用いられる。なお、図示はしないが、誘電体ベース基板11の裏面には、超伝導材料または導体材料で、グランド用電極(グランド膜)が形成されている。
誘電率の電界依存性を持つ積層誘電体14にバイアス電圧を印加するために、積層誘電体14のデュアルモード発生用導体15と、超伝導共振器パターン12のそれぞれに、バイアス印加用配線16が接続されている。バイアス電圧を印加することで、積層誘電体14の誘電率を変化させて、フィルタ特性をチューナブルにするものである。この意味で、積層誘電体14を、「誘電率可変誘電体14」とも称する。
図3の例では、バイアス印加用配線16は、高周波信号成分が電源側に入り込まないように、高周波成分をカットするインダクタンス成分を含むパターンに形成されている。これにより、バイアス印加用配線16による高周波ロスを回避することができる。バイアス印加用配線16の形状は、図3のようなU字が反復するヘアピンパターンでもよいし、折り返し部分が角張ったコの字が反復するパターンでもよい。また、V字が反復するジグザグパターンであってもよい。
図4は、図3の超伝導フィルタデバイス10を、移動通信基地局の送信フィルタに適用するために金属パッケージ21内に収容した状態を示す上面図、図5は、その概略断面図である。実際の使用では、金属パッケージ21内に収納した超伝導フィルタデバイス10を、冷凍機や真空断熱容器などを含む冷凍器内に設置する
超伝導共振器パターン12へ高周波信号を入出力するためのフィーダ13は、金属パッケージ21に設けられた入力コネクタおよび出力コネクタ22にそれぞれ接続されている。一方、バイアス印加用配線16は、金属パッケージ21に設けられたバイアス用コネクタ24にそれぞれ接続されている。バイアス印加用配線16を介して、金属パッケージ外部の直流電源から、バイアス電圧が、デュアルモード発生用導体15と超伝導共振器パターン12の間に印加される。
図6および図7は、本発明の効果を示すシミュレーション結果を示すグラフである。図3の超伝導フィルタデバイス10において、バイアス電圧を印加することにより、積層誘電体14の誘電率εを100から620まで変化させた場合のフィルタ特性を示す。グラフ中、点線が入力反射特性(S11)、実線が伝送特性(S21)である。
中心周波数はε=100で4.16GHz、ε=250で3.92GHz、ε=620で3.57GHzまで変化することが分かる。また、誘電率の変化に応じて,帯域幅も変化することがわかる。誘電率620のシミュレーション結果は、バイアス電圧の印加なしの状態であり、そこから徐々に印加電圧を上げることによって、誘電率が低くなっていく。
このような中心周波数や帯域幅の変化率は、積層誘電体の材料によって異なる。一例として、図8(a)にBST薄膜の印加電圧による誘電率の変化状態を、図8(b)にBZN板の印加電圧による誘電率の変化状態を示す。中心周波数や帯域幅をより効果的に変化させたい場合は、積層誘電体14にBST薄膜を用いるのが効果的であり、一方、中心周波数や帯域幅の微調整を主要目的とする場合は、積層誘電体14にBZN板を用いるのが望ましい。
なお、印加電圧による誘電率の変化は、同じ材料であっても、その作製方法によって異なる。たとえばBST薄膜は、成長方法によっては、電圧の非印加時で誘電率600以上となる。
以下に、実際に作製した超伝導フィルタデバイス10にバイアス電圧を印加して中心周波数を測定し、フィルタ特性のバイアス電圧依存性を評価した結果を記す。
超伝導フィルタデバイス10の誘電体ベース基板11に、20×20×0.5mmのMgO単結晶基板を用い、MgO誘電体ベース基板11の表面に、YBCOエピタキシャル薄膜による直径128mm、膜厚0.5μmのディスク状の超伝導共振器パターン12と、ヘアピンライン状のバイアス印加用配線16と、超伝導共振器パターン12の近傍に延びる信号入出力線(フィーダ)13を形成した。また、MgO誘電体ベース基板11の裏面にYBCOエピタキシャル薄膜によるグランド用電極(グランド膜)を形成した。
この誘電体ベース基板11上に、積層誘電体14として、BZN板を搭載した。BZN板の表面には、直径38mmのデュアルモード発生用導体パターン15とヘアピンライン状のバイアス印加用配線16をあらかじめ形成しておいた。
この超伝導フィルタデバイス10は、バイアス電圧の印加なしで3.95GHzに中心周波数を有しているが、60Vの印加で中心周波数は4.05GHzに移行し、0.1GHzの変化が見られる。
実施例1と同様に、20×20×0.5mmのMgOベース基板11の表面に、YBCOエピタキシャル薄膜による直径128mm、膜厚0.5μmのディスク状の超伝導共振器パターン12と、ヘアピンライン状のバイアス印加用配線16と、超伝導共振器パターン12の近傍に延びる信号入出力線(フィーダ)13を形成した。
この誘電体ベース基板11上に、(Ba,Sr)TiO3の薄膜をエピタキシャル成長した。(Ba,Sr)TiO3薄膜上に、YBCOエピタキシャル薄膜からなる直径38mmのデュアルモード発生用導体パターン15とヘアピンライン状のバイアス印加用配線16を形成した。
このようにして作成した超伝導フィルタデバイス10は、バイアス印加なしで3.90GHzに中心周波数を有するが、30Vの電圧印加で4.10GHzと、0.2GHz変化した。
以上述べたように、第1実施形態では、デュアルモード発生用導体パターン15が形成された積層誘電体14の誘電率を可変とすることで、共振器をデュアルモードとしつつ、中心周波数、帯域幅も高精度に調整することが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態の超伝導フィルタデバイスについて説明する。第1実施形態では、超伝導共振器パターン12の全体を覆って積層誘電体14が配置され、積層誘電体14上に配置されたデュアルモード発生用の導体15と共振器パターン12との間に電圧を印加することで、効果的に中心周波数をシフトさせていた。
第2実施形態では、共振器パターン12の一部上に、局所的に誘電率可変誘電体40を配置し、誘電率可変誘電体40の表面に形成された導体35と共振器パターン12との間に電圧を印加することで、通過帯域幅を第1実施形態よりもさらに効果的に調整するものである。
図9は第2実施形態の超伝導フィルタ30の上面図、図10(a)および図10(b)は、それぞれ斜視図と断面図である。図9の例では、直径11mmのディスク形状の共振器パターン12上に、3mm×2mmの大きさの誘電率可変誘電体40を配置している。誘電率可変誘電体40の位置は、ディスク共振器パターン12の中心点を基準として、入出力フィーダ13に対して点対称となる位置に配置される。第1実施形態と同様に、誘電体ベース基板11上に形成された超伝導の共振器パターン12の近傍に、入出力フィーダ13が互いに90°の角度を成して延びているので、誘電率可変誘電体40は、入力用フィーダ13と出力用フィーダ13の2本の延長線の、ちょうど中間(中心線C上)に位置する。
図9および図10に示す例では、誘電率可変誘電体40は、共振器パターン12の端部に一致して配置されているが、直交するフィーダ13の延長線の中心線Cに沿って、共振器パターン12の中心寄りに配置されてもよい。中心線Cに沿った位置、すなわち入出力フィーダ13と対称を成す位置に配置すると、電流密度低減の効果を良好に維持できるからである。だたし、入出力フィーダ13の近傍や、これらの延長線上には、配置しないのが望ましい。
誘電率可変誘電体40は、SrTiO3(以下、「STO」と省略する)などの積層誘電体34と、積層誘電体34の表面に形成された導体膜35とで構成される。図10の例では導体膜35は、超伝導材料で形成されているが、超伝導膜上にAu膜を積層したものであってもよい。
誘電率可変誘電体40は、バラクタ(可変容量素子)として機能する。すなわち、バイアス電圧の印加によって積層誘電体34の誘電率を変化させることによって、超伝導フィルタ30(たとえばバンドパスフィルタとして使用される)を通過する信号の中心周波数および/または通過帯域幅を制御する。
誘電体ベース基板11上に、ディスク型の共振器パターン12に接続されるバイアス印加用配線16aと、積層誘電体34上の導体膜35にワイヤボンディング42で接続されるバイアス印加用配線16bが形成されている。第1実施形態と同様に、バイアス印加用配線16a、16bは、高周波成分をカットするインダクタンス成分を構成するような、ヘアピンパターンの配線である。もちろん、ヘアピンパターンに限定されず、コの字が反復するパターンでもよいし、V字が反復するジグザグパターンであってもよい。
誘電率可変誘電体40の導体膜35を、超伝導膜とAu膜の積層体で構成した場合は、導体膜35は、デュアルモード発生用の導体として機能すると同時に、ワイヤボンディング用の電極パッドとしても機能する。バイアス印加用配線16a、16bは、外部の直流電源に接続されている。
図10(b)の概略断面図に示すように、誘電体ベース基板(たとえばMgO基板)11の裏面には、グランド膜19としての超伝導膜(たとえばYBCO膜)19が形成されている。グランド面と逆の面には、YBCOなどの超伝導膜で共振器パターン12が形成され、この共振器パターン12上の一部に、誘電率可変誘電体40が置かれ、誘電陸可変誘電体40の表面の超伝導YBCO膜(あるいは図示しないYBCO膜上のAu膜)と、共振器パターン12との間に、DC電源からバイアス電圧を印加することによって、STO基板34の誘電率を変化させる。
一般に、誘電率が大きいほど、DCバイアスをかけたときの誘電損失が大きくなる。従って、共振器パターン12上の全体に置く代わりに、局所的に配置することで、誘電損失を低減するとともに、デュアルモードを維持して、帯域幅の調整を可能にする。
図11は、第2実施形態の超伝導フィルタデバイスの作製工程図である。図11(a)に示すように、厚さ0.5mmのペース基板11の両面に、たとえばPLD法により、YBCO等の超伝導膜41を膜厚500nmで形成する。ベース基板11は、第1実施形態と同様に、高周波における損失が小さい誘電体材料、たとえば、MgO、サファイア、LAOなどである。 超伝導膜41は、YBCO以外にも、たとえば、RBCO(R−Ba−Cu−O)系材料、BSCCO(Bi−Sr−Ca−Cu−O)系、PBSCCO(Pb−Bi−Sr−Ca−Cu−O)系、CBCCO(Cu−Bap−Caq−Cur−Ox、1.5<p<2.5、2.5<q<3.5、3.5<r<4.5)を超伝導材料に用いてもよい。
次に、図11(b)に示すように、誘電体ベース基板11の表側の超伝導膜41をパターニングして、ディスク形状の共振器パターン12、バイアス印加用配線16aね16b(図9参照)、および信号入出力フィーダ13を形成する。パターニングは、通常のフォトリソグラフィ法によりレジストマスク(不図示)を形成し、このレジストマスクを用いて、Arミリングなどのドライエッチングを行う。このとき、バイアス印加用配線16a、16bは、インダクタンスが大きくなるように線幅を狭く、配線長を長く形成する。裏面の超伝導膜41は、そのままグランド膜19として用いる。
一方、図11(c)に示すように、厚さ0.5mmのSTO(100)基板34の片面に、膜厚500nmのYBCO膜をPLD法により形成し、その上にAu膜を膜厚500nmで形成して、導体膜35を設け、図11(d)に示すように、導体膜35付きSTO基板34を、超音波加工機を用いて3mm×2mm角に切断する。これを誘電率可変誘電体40とする。誘電率可変誘電体40に用いる誘電体基板34としては、STO以外にも、(Ba,Sr)TiO3、Bi1.5Zn1.0Nb1.57、CaTiO3を用いることができる。
最後に、図11(e)に示すように、STO基板34の導体35が形成されていない面が共振器パターン12と接するように、誘電率可変誘電体40を共振器パターン12上の所定の場所に配置する。そして、STO基板34上の導体膜35を、Auワイヤボンディングにより、誘電体ベース基板11上のバイアス印加用配線16b(図9参照)に接続する。
図12は、第2実施形態の超伝導フィルタのバンドパスフィルタ特性を示すシミュレーショングラフである。点線は、DCバイアスを印加する前の透過特性、実線は、DCバイアスを印加したときの透過特性である。DCバイアス印加前はε=300であり、バイアス電圧印加によって、積層誘電体34の誘電率をε=200に変化させた。この結果、グラフに示すように、中心周波数をほぼ一定に維持したまま、帯域幅を効果的に変化させることができる。第2実施形態では、誘電率可変誘電体40を、超伝導共振器パターン12上の所定の位置に局所的に配置しており、誘電率変化の応答が早いという効果もある。
最後に、以上の説明に関して、以下の付記を開示する。
(付記1) 誘電体ベース基板と、
前記誘電体ベース基板上に超伝導材料で形成された2次元回路型の共振器パターンと、
前記共振器パターンの上方に位置し、非線形の誘電率の電界依存特性を有する材料で構成される積層誘電体と、
前記積層誘電体の表面に形成され、所定の帯域幅に対応するカップリングを発生させる導体パターンと、
前記積層誘電体にバイアス電圧を印加する手段と
を備えることを特徴とする超伝導フィルタデバイス。
(付記2) 前記バイアス電圧印加手段は、前記導体パターンと超伝導共振器パターンのそれぞれに接続され、高周波成分を除去するインダクタンス成分を含むバイアス印加用配線を含むことを特徴とする付記1に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記3) 前記バイアス印加用配線は、ヘアピンライン状のパターンを有することを特徴とする付記2に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記4) 前記積層誘電体は、ペロブスカイト型酸化物またはパイロクロア型酸化物であることを特徴とする付記1に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記5) 前記積層誘電体は、前記超伝導共振器パターンが形成された誘電体ベース基板上に搭載される板状の誘電体であることを特徴とする付記1に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記6) 前記積層誘電体は、前記超伝導共振器パターンが形成された誘電体ベース基板上に結晶成長で成膜される誘電体膜であることを特徴とする付記1に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記7) 前記カップリングを生じさせる導体パターンは超伝導体であることを特徴とする付記1に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記8) 前記カップリングを生じさせる導体パターンは円形または楕円形であることを特徴とする付記1に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記9)誘電体ベース基板と、
前記誘電体ベース基板上に超伝導材料で形成された平面図形形状の共振器パターンと、
前記共振器パターン上の所定の箇所に局所的に配置され、誘電率の電界依存特性を有する材料で構成される積層誘電体と、
前記積層誘電体の表面に形成される導体膜と、
前記積層誘電体上の導体膜と、前記共振器パターンとの間にバイアス電圧を印加する手段と
を備えることを特徴とする超伝導フィルタデバイス。
(付記10)前記共振器パターンに信号を供給する入力フィーダと、前記共振器から信号を出力する出力フィーダと、
をさらに有し、前記積層誘電体は、前記共振器パターンの中心に対して、前記入力フィーダおよび出力フィーダと対称となるライン上に位置することを特徴とする付記9に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記11)前記入力フィーダと出力フィーダは、互いに90°の角度を成して配置されることを特徴とする付記10に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記12)前記バイアス印加手段は、
前記誘電体ベース基板上に形成され、前記共振器パターンに接続される第1バイアス印加用配線と、
前記誘電体ベース基板上に形成され、前記積層誘電体上の導体膜に接続される第2バイアス印加用配線と
を含むことを特徴とする付記9に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記13)前記第1及び第2のバイアス印加用配線は、インダクタンス成分を含むように反復パターンで形成されていることを特徴とする付記12に記載の超伝導フィルタイス。
(付記14)前記誘電体ベース基板上の第2バイアス印加用配線は、ワイヤボンディングにより前記積層誘電体上の導体膜に接続されていることを特徴とする付記12に記載の超伝導フィルタデバイス。
(付記15)前記積層誘電体は、前記共振器パターンの外側へ出ないように配置されることを特徴とする付記10に記載の超伝導フィルタデバイス。
移動通信基地局のRFフロントエンドの概略構成図である。 従来のチューナブル超伝導フィルタの構成図である。 本発明の第1実施形態に係る超伝導フィルタデバイスの概略構成図である。 図3の超伝導フィルタデバイスを金属パッケージに収容した状態を示す上面図である。 図3の超伝導フィルタデバイスを金属パッケージに収容した状態を示す概略断面図である。 超伝導共振器パターンとデュアルモード発生用導体との間にバイアス電圧を印加して積層誘電体の誘電率を変化させたときのフィルタ特性を示すグラフである。 超伝導共振器パターンとデュアルモード発生用導体との間にバイアス電圧を印加して積層誘電体の誘電率を変化させたときのフィルタ特性を示すグラフである。 誘電体材料の誘電率の印加電圧依存性を示すグラフである。 本発明の第2実施形態の超伝導フィルタデバイスの上面図である。 第2実施形態の超伝導フィルタデバイスの概略斜視図および概略断面図である。 第2実施形態の超伝導フィルタデバイスの作製工程図である。 第2実施形態の超伝導フィルタデバイスのバンドバス特性を示すグラフである。
符号の説明
10、30 超伝導フィルタデバイス
11 誘電体ベース基板
12 超伝導共振器パターン
13 フィーダ(信号入出力線)
14、34 積層誘電体
15 デュアルモード発生用導体パターン
16、16a、16b バイアス印加用配線
35 導体膜
40 誘電率可変誘電体
42 ワイヤボンディング

Claims (5)

  1. 誘電体ベース基板と、
    前記誘電体ベース基板上に超伝導材料で形成された平面図形形状の共振器パターンと、
    前記共振器パターン上の所定の箇所に局所的に配置され、誘電率の電界依存特性を有する材料で構成される積層誘電体と、
    前記積層誘電体の表面に形成される導体膜と、
    前記積層誘電体上の導体膜と、前記共振器パターンとの間にバイアス電圧を印加する手段と
    を備えることを特徴とする超伝導フィルタデバイス。
  2. 前記共振器パターンに信号を供給する入力フィーダと、前記共振器から信号を出力する出力フィーダと、
    をさらに有し、前記積層誘電体は、前記共振器パターンの中心に対して、前記入力フィーダおよび出力フィーダと対称となるライン上に位置することを特徴とする請求項に記載の超伝導フィルタデバイス。
  3. 前記バイアス印加手段は、
    前記誘電体ベース基板上に形成され、前記共振器パターンに接続される第1バイアス印加用配線と、
    前記誘電体ベース基板上に形成され、前記積層誘電体上の導体膜に接続される第2バイアス印加用配線と
    を含むことを特徴とする請求項に記載の超伝導フィルタデバイス。
  4. 前記第1及び第2のバイアス印加用配線は、インダクタンス成分を含むように反復パターンで形成されていることを特徴とする請求項に記載の超伝導フィルタデバイス。
  5. 前記誘電体ベース基板上の第2バイアス印加用配線は、ワイヤボンディングにより前記積層誘電体上の導体膜に接続されていることを特徴とする請求項に記載の超伝導フィルタデバイス。
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