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JP5449764B2 - 高周波用超電導部材、高周波伝送線路 - Google Patents
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高周波用超電導部材、高周波伝送線路 Download PDF

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本発明は、MHz以上の高周波を伝送する線路を形成するための高周波用超電導部材、これを用いた高周波伝送線路、および高周波用超電導部材の製造方法に関する。
超電導部材を用いれば、材料の損失が小さく高いQ値を持つ共振器を小型に作ることが可能である。このような共振器を用いた超電導フィルタは、従来のフィルタでは実現できなかった急峻なスカート特性の実現できる。このため、MHz以上の高周波フィルタの分野では、超電導フィルタの実用化が進められている。
超電導フィルタに用いられる超電導材料の中で、超電導転移温度が約90Kで、高い臨界電流値を示すReBaCu7−δ(Reは、La,Y,Sm,Eu,Gd,Dy,Yb,Nd,Ho,Erから選ばれる少なくともいずれか一種の元素)が有望な材料として期待されている。以下、ReBaCu7−δをReBCOとも表記する。
また、サファイア基板は、大面積単結晶基板として安価であること、MHz以上の高周波回路を作製する上で必要となる適当な誘電率をもつこと、機械的強度が大きいこと、低温における熱伝導性が大きいことなどから、高周波フィルタ回路を作製する際に超電導材料を形成する基板として最適である。
しかし、サファイア基板の上に、直接、高周波特性に優れたReBCOを成膜することは非常に難しく、現段階で成功例が報告されていない。この解決策として、現在、サファイア基板の上にバッファ層を成長し、その上に超電導薄膜を成長するという手法が広く用いられている。
この場合、超電導材料との格子整合性から、サファイア基板のR面(102)またはA面(110)の上に、セリア(CeO:酸化セリウム)やYSZのような超電導材料と近い格子定数を持つバッファ層を成膜した上で、ReBCO薄膜を成膜するという手法が一般的である(特許文献1、特許文献2)。このバッファ層は、上部に積層する超電導層の土台として機能するために、その結晶構造や表面形状が、上部超電導層へ大きな影響を与えることは容易に推測できる。
従来、高周波特性に優れたReBCO薄膜を成膜するには、ReBCOが持つ超電導特性を損なわないように、ReBCO超電導体の超電導特性を担うと考えられているCuとOで構成するCuO二次元ネットワーク構造が良好に保たれた状態を実現する必要があると考えられてきた。この二次元ネットワーク構造を良好に保つために、下地となるバッファ層には表面が平坦で、結晶欠陥の少ない結晶性の良い構造が必要であると考えられていた。そして、そういった構造を実現する工夫が進められてきた。(特許文献1、特許文献3)
特開2004−303846号公報 特開2004−180203号公報 特開2004−244263号公報
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、サファイア基板上に、MHz以上の高周波帯域において、高い表面導電率を実現する超電導層を備える高周波用超電導部材、これを用いた高周波伝送線路、および高周波用超電導部材の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の態様の高周波用超電導部材は、R面サファイア基板と、前記基板の片面または両面に形成され、XRDを用いた(002)ピークのロッキングカーブ測定において半値幅0.以上1.以下であるセリアのバッファ層と、前記バッファ層上の超電導層と、を有することを特徴とする。
第1の態様の高周波用超電導部材において、前記超電導層がReBaCu7−δ(ReはY,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる少なくともいずれか一種の元素)で形成されていることが望ましい。
第1の態様の高周波用超電導部材において、前記超電導層の厚さが350nm以上1100nm以下であることが望ましい。
第1の態様の高周波用超電導部材において、前記バッファ層の厚さが50nm以上180nm以下であることが望ましい。
本発明の第1の態様の高周波用超電導部材は、R面サファイア基板と、前記基板の片面または両面に形成され、XRDを用いた(002)ピークのロッキングカーブ測定において半値幅0.以上1.以下であるセリアのバッファ層と、前記バッファ層上の超電導層と、を有することを特徴とする。
第2の態様の高周波伝送線路において、前記超電導層がReBaCu7−δ(ReはY,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる少なくともいずれか一種の元素)で形成されていることが望ましい。
第2の態様の高周波伝送線路において、前記超電導層の厚さが350nm以上1100nm以下であることが望ましい。
本発明によれば、サファイア基板上に、MHz以上の高周波帯域において、高い表面導電率を実現する超電導層を備える高周波用超電導部材、これを用いた高周波伝送線路、および高周波用超電導部材の製造方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態の高周波用超電導部材は、R面サファイア基板と、この基板の片面または両面に形成され、XRD(X−ray Diffraction)を用いた(002)ピークのロッキングカーブ測定において半値幅0.7以上1.1以下であるセリアのバッファ層と、このバッファ層上の超電導層とを有する。
図1は、本実施の形態の高周波用超電導部材の断面図である。この高周波用超電導部材10は、R面サファイア基板12の両面に、バッファ層14が形成されている。
このバッファ層14はセリア(CeO:酸化セリウム)を材料としている。そして、バッファ層14のセリアは、XRDを用いた(002)ピークのロッキングカーブ測定において半値幅0.7以上1.1以下である。
バッファ層14上には、超電導層16が形成される。この超電導層16は、銅酸化物超電導体、例えば、ReBaCu7−δ(ReはY,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる少なくともいずれか一種の元素)で形成されている。
高周波用超電導部材を用いた超電導共振器で高いQ値を実現するためには、高周波用超電導部材が高い表面導電率を有することが必要である。本実施の形態の高周波用超電導部材10は、XRDを用いた(002)ピークのロッキングカーブ測定において半値幅0.7以上1.1以下であるセリアをバッファ層14として用いることで、高い表面導電率を実現することが可能となる。
図2は、表面導電率とセリアの半値幅との関係を示す図である。半値幅は、XRDを用いた(002)ピークのロッキングカーブ測定による。
表面導電率は、本実施の形態の高周波用超電導部材10を用いて2GHzで共振する共振器を作成し、その共振器のQ値を測定することによって算出する。
バッファ層14の厚さは120nmであり。超電導層16は厚さ500nmのYBaCu7−δとする。
超電導共振器が、常電導共振器よりも十分に優れた特性を占めすためには、表面導電率σが、1×1013(S)以上であることが求められる。図2に示すように、半値幅0.7以上1.1以下の領域において、表面導電率σが高い値を有し、1×1013(S)以上となる。
そして、半値幅が0.8以上1.0以下であることがより望ましい。安定して高い表面導電率σが得られるためである。
図3は、表面導電率とセリアのバッファ層の厚さとの関係を示す図である。超電導層16は厚さ500nmのYBaCu7−δとする。また、セリアのバッファ層14の半値幅は0.7以上1.1以下の範囲としている。
図3から明らかなように、表面導電率はセリアのバッファ層14の厚さに依存し、バッファ層14の厚さが、50nm以上180nm以下の範囲で、表面導電率σが高い値を有する。よって、高い表面導電率を実現する観点から、バッファ層14の厚さが、50nm以上180nm以下であることが望ましい。
さらに、3×1013(S)以上の高い表面導電率を実現する観点から、バッファ層14の厚さが、80nm以上150nm以下であることがより望ましい。厚さを120nmとすると、表面導電率σを5×1013(S)以上にすることが可能となる。
図4は、表面導電率と超電導層の厚さとの関係を示す図である。バッファ層14の厚さは120nmとする。また、超電導層16はYBaCu7−δである。また、セリアのバッファ層14の半値幅は0.7以上1.1以下の範囲としている。
図4から明らかなように、表面導電率は超電導層16の厚さに依存し、超電導層16の厚さが、350nm以上1100nm以下の範囲で、表面導電率σが高い値を有する。よって、高い表面導電率を実現する観点から、超電導層16の厚さが、350nm以上1100nm以下であることが望ましい。
さらに、安定して4×1013(S)以上の高い表面導電率を実現する観点から、超電導層16の厚さが、500nm以上800nm以下であることがより望ましい。厚さを600nmとすると、表面導電率σを5×1013(S)以上にすることが可能となる。
次に、図1に示す本実施の形態の高周波用超電導部材の製造方法について説明する。この製造方法は、R面サファイア基板上を準備する工程と、この基板上に、基板の表面温度が710℃以上820℃以下、酸素分圧が20Pa以下、平均成膜速度が50nm/min以上150nm/min以下の条件でセリアのバッファ層を成膜する工程と、このバッファ層上に超電導層を形成する工程とを有する。
まず、R面でカットされたサファイア基板、すなわちR面サファイア基板12を準備する。R面サファイア基板12は、一般的に安価に入手可能である。
このR面サファイア基板12の一面に、例えば、レーザーアブレーション法によりセリアのバッファ層14を成膜する。この時、成膜開始直後の基板の表面温度を710℃以上820℃以下とする。
また、成膜チャンバー内の酸素分圧を20Pa以下とする。さらに、平均成膜速度が50nm/min以上150nm/min以下とする。成膜時のレーザーパルスの繰り返し周波数を50Hz以上150Hz以下と制御することにより、上記平均成膜速度を実現することが可能となる。
ここで、基板の表面温度が710℃以上820℃以下の範囲を下回ると、セリアの半値幅が1.1より大きくなるため好ましくない。また、上記範囲を上回ると、セリアの半値幅が0.7より小さくなるため好ましくない。
また、酸素分圧が20Paより大きくなると、セリアの半値幅が0.7より小さくなり好ましくない。
また、平均成膜速度が50nm/min以上150nm/min以下の範囲を下回ると、セリアの半値幅が0.7より小さくなるため好ましくない。また、上記範囲を上回ると、セリアの半値幅が1.1より大きくなるため好ましくない。
R面サファイア基板12の一面にセリアを成膜した後、他方の面にも同様の条件で、セリアを成膜し、R面サファイア基板12の両面にバッファ層14が形成される。
その後、バッファ層14上に超電導層16を例えば、スパッタ法にて形成する。
なお、この製造方法において、超電導層がReBaCu7−δ(ReはY,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる少なくともいずれか一種の元素)で形成されていることが高い伝導特性を得る観点から好ましい。
また、上述のように高い表面導電率σを実現する観点から、セリアのバッファ層14の厚さが、50nm以上180nm以下であることが望ましく、80nm以上150nm以下であることがより望ましい。
また、上述のように高い表面導電率σを実現する観点から、超電導層16の厚さが350nm以上1100nm以下であることが望ましく、500nm以上800nm以下であることがより望ましい。
なお、本実施の形態の高周波用超電導部材10において、超電導層16を特に、ReBaCu7−δ(ReはY,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる少なくともいずれか一種の元素)とすることで、4×1013(S)以上の、高い表面導電率σが実現できる。さらに、Re=Y、または、Re=Dyとした場合に表面導電率σを5×1013(S)以上とすることが可能となる。
また、ここではR面サファイア基板12の両面にバッファ層14および超電導層16が形成される場合を例に説明した。マイクロストリップ構造のデバイスを形成する上では、バッファ層14および超電導層16が基板の両面に形成されている必要がある。しかし、コプレーナー構造のデバイスを形成する上では、バッファ層14および超電導層16がR面サファイア基板12の片面のみに形成されていればよい。したがって、バッファ層14および超電導層16がR面サファイア基板12の片面のみに形成される構成であっても構わない。
(第2の実施の形態)
本実施の形態の高周波伝送線路は、R面サファイア基板と、この基板の片面または両面に形成され、XRDを用いた(002)ピークのロッキングカーブ測定において半値幅0.7以上1.1以下であるセリアのバッファ層と、このバッファ層上の超電導層で形成される線路とを有する。この高周波伝送線路は、第1の実施の形態の高周波用超電導部材を加工して形成される高周波伝送線路である。したがって、高周波用超電導部材について第1の実施の形態と重複する内容については記載を省略する。
図5は、本実施の形態の高周波伝送線路の上面図である。この高周波伝送線路20は、複数の共振器を接続して形成される帯域通過フィルタである。
この帯域通過フィルタは、10個の共振器22a、22b、22c、22d、22e、22f、22g、22h、22i、22jが直列に接続されて共振器群を形成している。共振器群の両側には、L字型の線路が共振器に近接して配置され、基板端部まで延伸されて入出力線路24a、24bとなっている。また、とびこし線路26a、26bが設けられている。
図6は、図5のA−A’断面図である。図6に示すように、高周波伝送線路20は図1で示した高周波用超電導部材10のR面サファイア基板12上面の超電導層16およびバッファ層14を、パターン形成することで製造されている。
パターン形成は、例えば、公知のフォットエッチングプロセスとアルゴンイオンミリングにより行うことが可能である。なお、R面サファイア基板12下面の超電導層16は、グランドプレーンとして機能する。
本実施の形態のように高い表面導電率σを有する高周波用超電導部材を用いた高いQ値を有する共振器を用いることで、急峻なスカート特性を備え、かつ、伝送損失の小さい帯域通過フィルタの実現が可能である。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。実施の形態の説明においては、高周波用超電導部材、高周波伝送線路、および高周波用超電導部材の製造方法等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる高周波用超電導部材、高周波伝送線路、および高周波用超電導部材の製造方法等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての高周波用超電導部材、高周波伝送線路、および高周波用超電導部材の製造方法は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
第2の実施の形態で説明した構造の帯域通過フィルタを作成した。まず、R面サファイア基板の両面にレーザーアブレーション法を用いて、セリアのバッファ層を成膜した。
バッファ層の成長条件は、基板の表面温度を740℃、成長時の成膜チャンバー内の酸素分圧を15Pa、そして、レーザーパルスの繰り返し周波数を60Hzに設定した。また、基板上の平均成膜速度を60nm/minとした。これにより、高い高周波表面導電率が得られるように、半値幅が0.8から1.0の範囲に入るようにした。
バッファ層の膜厚は120nmとした。これらのセリアのバッファ層の上にYBaCu7−δ薄膜を600nm積層させた。
次に、入出力線路の接続部とグランドプレーン層となる片面全面にAu電極を300nm程度蒸着した。その後、図5に示す帯域通過フィルタの回路パターンをグランドプレーン層と反対側の面に作製した。帯域通過フィルタの回路パターンの加工には、フォトエッチングプロセスとアルゴンイオンミリングプロセスを用いた。
図7は、試作した帯域通過フィルタの通過特性(S21)と反射特性(S11)を示す図である。このように、急峻なスカート特性を備え、かつ、伝送損失の小さい帯域通過フィルタが実現された。
第1の実施の形態の高周波用超電導部材の断面図である。 第1の実施の形態の表面導電率とセリアの半値幅との関係を示す図である。 第1の実施の形態の表面導電率とセリアのバッファ層の厚さとの関係を示す図である。 第1の実施の形態の表面導電率と超電導層の厚さとの関係を示す図である。 第2の実施の形態の高周波伝送線路の上面図である。 図5のA−A’断面図である。 実施例の帯域通過フィルタの通過特性と反射特性を示す図である。
符号の説明
10 高周波用超電導部材
12 R面サファイア基板
14 バッファ層
16 超電導層
20 高周波伝送線路
22a〜j 共振器
24a,b 入出力線路
26a,b とびこし線路



Claims (7)

  1. R面サファイア基板と、
    前記基板の片面または両面に形成され、XRDを用いた(002)ピークのロッキングカーブ測定において半値幅0.以上1.以下であるセリアのバッファ層と、
    前記バッファ層上の超電導層と、
    を有することを特徴とする高周波用超電導部材。
  2. 前記超電導層がReBaCu7−δ(ReはY,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる少なくともいずれか一種の元素)で形成されていることを特徴とする請求項1記載の高周波用超電導部材。
  3. 前記超電導層の厚さが350nm以上1100nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の高周波用超電導部材。
  4. 前記バッファ層の厚さが50nm以上180nm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれか一項に記載の高周波用超電導部材。
  5. R面サファイア基板と、
    前記基板の片面または両面に形成され、XRDを用いた(002)ピークのロッキングカーブ測定において半値幅0.以上1.以下であるセリアのバッファ層と、
    前記バッファ層上の超電導層で形成される線路と、
    を有することを特徴とする高周波伝送線路。
  6. 前記超電導層がReBaCu7−δ(ReはY,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる少なくともいずれか一種の元素)で形成されていることを特徴とする請求項5記載の高周波伝送線路。
  7. 前記超電導層の厚さが350nm以上1100nm以下であることを特徴とする請求項5または請求項6記載の高周波伝送線路。
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