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JP4728024B2 - 粉末法Nb3Sn超電導線材の製造方法 - Google Patents
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粉末法Nb3Sn超電導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、Nb3Sn超電導線材を粉末法によって製造する方法に関するものであり、殊に高磁場発生用超電導マグネットの素材として有用な粉末法Nb3Sn超電導線材を製造する方法に関するものである。
超電導線材が実用化されている分野のうち、高分解能核磁気共鳴(NMR)分析装置に用いられる超電導マグネットについては発生磁場が高いほど分解能が高まることから、超電導マグネットは近年ますます高磁場化の傾向にある。
高磁場発生用超電導マグネットに使用される超電導線材としては、Nb3Sn線材が実用化されており、このNb3Sn超電導線材の製造には主にブロンズ法が採用されている。このブロンズ法は、Cu−Sn基合金(ブロンズ)マトリックス中に複数のNb基芯材を埋設し、伸線加工することによって上記Nb基芯材をフィラメントとなし、このフィラメントを複数束ねて線材となし、安定化の為の銅(安定化銅)に埋設して伸線加工する。上記線材群を600〜800℃で熱処理(拡散熱処理)することにより、Nb基フィラメントとマトリックスの界面にNb3Sn化合物相を生成する方法である。しかしながら、この方法ではブロンズ中に固溶できるSn濃度には限界があり(15.8質量%以下)、生成されるNb3Sn層の厚さが薄く、また結晶性が劣化してしまい、高磁場特性が良くないという欠点がある。
Nb3Sn超電導線材を製造する方法としては、上記ブロンズ法の他に、チューブ法や内部拡散法も知られている。このうち、チューブ法では、Nbチューブの中にSn芯を配置し、これらをCuパイプ内に挿入して縮径加工した後、熱処理によってNbとSnを拡散反応させてNb3Snを生成させる方法である(例えば、特許文献1)。また、内部拡散法では、Cuを母材とし、この母材中央部にSn芯を埋設すると共に、Sn芯の周囲のCu母材中に複数のNb線を配置し、縮径加工した後、熱処理によってSnを拡散させ、Nbと反応させることによってNb3Snを生成させる方法である(例えば、特許文献2)。これらの方法では、ブロンズ法のような固溶限によるSn濃度に限界がないのでSn濃度をできるだけ高く設定でき、超電導特性が向上することになる。
一方、Nb3Sn超電導線材を製造する方法としては、粉末法も知られている。この方法としては、例えば特許文献3には、Cu粉末とSn粉末の混合粉末を芯材(後記粉末コア部)としてNbまたはNb合金シース内に充填し、押し出し・伸線等の縮径加工を施した後熱処理(拡散熱処理)する方法が開示されている。この方法では、混合粉末の流動性を確保するという観点から、Sn粉末の表面にCuめっきを施したものが採用されている。またCu粉末とSn粉末の混合粉末に対して、Ti,Zr,Hf,Al,Ta等の成分を含有させることによって、超電導線材の特性を向上させる技術も提案されている(例えば、特許文献4)。これらの方法では、ブロンズ法よりも厚く、良質なNb3Sn層が生成可能であるため、高磁場特性が優れた超電導線材が得られるといわれている。また、混合粉末中のSn量を高くすることができるとされている。
図1は、粉末法でNb3Sn超電導線材を製造する状態を模式的に示した断面図であり、図中1はNbまたはNb合金からなるシース、2は原料粉末が充填される粉末コア部、3は安定化銅(Cuマトリックス)を夫々示す。粉末法を実施するに当たっては、少なくともSnを含む原料粉末をシース1の粉末コア部2に充填すると共に、このシース1を安定化銅3内に配置し、これを押出し、伸線等の縮径加工を施すことによって線材化した後、マグネット等に巻き線してから熱処理を施すことによってシースの内面側にNb3Sn超電導相を形成する。
粉末法で用いる原料粉末としては、少なくともSnを含む必要があるが、その添加形態としてSn粉末として含むものでは融点が低いことから、押し出し、伸線時の加工熱によってSnが溶出するという問題がある。また押し出し・伸線等の加工途中での焼鈍熱処理も行いにくいという欠点もある。更には、Cu粉末とSn粉末では、比重や大きさが異なるので、これらを均一に混合することは困難となり、熱処理時に不均一に生成するCu−Sn合金若しくは金属化合物によって断線が発生するという問題がある。
こうしたことからSnを予め合金化しておくことによって、こうした不都合を回避する技術も提案されている。例えば、特許文献5には、原料粉末として、CuとSnの化合物粉末(若しくは合金)を予め形成しておき、これを芯材(前記粉末コア部)としてNbまたはNb基合金シース内に充填することによって、Cu−Sn合金の偏析に起因する断線などの加工上のトラブルを防止するする方法が提案されている。
ところで、超電導相を形成するときの熱処理温度は、900〜1000℃程度の高温であることが好ましいとされているが、原料粉末にCuを添加することによって、熱処理温度を650〜750℃程度まで下げることができることも知られている。上記した各粉末法においては、原料粉末中に含まれるCuはこうした効果も発揮し得るものである。尚、前記図1では、模式的に単芯であるものを示したが、実用上ではCuマトリックス中に複数本の単芯が配置された多芯材の形で用いられるのが一般的である。
特開昭52−16997号公報 特許請求の範囲等 特開昭49−114389号公報 特許請求の範囲等 特開平5−290655号公報 特許請求の範囲等 特開平5−28860号公報 特許請求の範囲等 特開平5−342932号公報 特許請求の範囲等
原料粉末として、CuとSnの合金粉末または金属間化合物粉末を用いる場合には、Cu粉末とSn粉末の夫々を適量秤量し、混合した後熱処理を行い、その後粉砕する過程を経ることになる。しかしながら、こうして得られた粉末(以下、「Cu−Sn化合物粉末」で代表することがある)は非常に硬くて脆いものであるので、シース内に充填する際に均一に充填しにくく、その充填率も低いものとなる。
原料粉末をシ−ス内に充填するには、一軸プレスによって行われるのが一般的であるが、こうした処理の代わりに冷間静水圧圧縮(CIP)などの等方圧による圧粉処理を施すことによって、原料粉末の充填率を高めることができ、また均一加工をする上で好ましいとされている。しかしながら、CIP法を上記のCu−Sn化合物粉末に適用しても、得られた成形体は脆いものであり、皹が入りやすく割れやすいので、シース内に充填することは困難になる。こうしたことから、成形体の強度を高めるという趣旨からして、熱間静水圧圧縮(HIP)処理を施すことも考えられるが、Cu−Sn化合物粉末同士が結合することになるので、成形体の切削加工性は向上するが、塑性加工性が却って低下してしまい、押出し、伸線加工などが困難になる。
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、製造時に断線などを発生させることなく均一加工ができ、比較的低温で熱処理した場合であっても優れた超電導特性を発揮する粉末法Nb3Sn超電導線材を製造するための有用な方法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の製造方法とは、NbまたはNb合金からなるシース内に、少なくともSnを含む原料粉末を充填し、これを縮径加工して線材化した後熱処理することによって、シースの内面側に超電導層を形成する粉末法NbSn超電導線材の製造方法であって、前記原料粉末として、Snを20質量%以上、80質量%以下で含むCuとSnの合金粉末または金属間化合物粉末に、更に前記合金粉末または金属間化合物粉末に対して質量比で0.2以上、2以下の割合でSn粉末を添加混合したものを用いると共に、この原料粉末に対して等方圧による圧粉処理を施す点に要旨を有するものである。
本発明で用いるCuとSnの合金粉末または金属間化合物粉末は、最大粒径が15μm以下であることが好ましい。
一方、本発明で原料粉末中に添加混合されるSn粉末は、その酸素濃度が2000ppm以下であることが好ましく、こうしたSn粉末としては、不活性ガスアトマイズ法によって得られたものが挙げられる。
本発明方法を実施するに際しては、前記シースの外周部に、Ta,Nb,V,Zr,MoおよびTiよりなる群から選択される1種または2種以上の金属または合金を含んで構成される中間バリヤー層を配置することや、原料粉末充填部分は、混合添加するSn粉末の一部を外周部分に配置した二層構造とすることも好ましい実施態様である。
本発明では、CuとSnを予め反応させて形成したCu−Sn化合物粉末に対して、更にSn粉末を添加混合した原料粉末を用いる構成を採用することによって、Nb3Sn相生成反応に寄与するSn量を増加させることができると共に、生成熱処理温度が750℃以下であっても均一で且つ十分な量の超電導体を生成することができ、その結果として高い臨界電流密度を発揮するNb3Sn超電導線材が実現できたのである。また、Cu−Sn化合物粉末を予め生成させた後に、Sn粉末を添加することになるので、Cu−Sn化合物生成反応(溶融拡散反応)の際に、高硬度のCu−Sn化合物を生成させることなく線材化することができ、線材加工途中における異常変形や断線の発生を極力低減できることになる。またCIPによって、より延性強度が向上し、機械加工が容易になり、押出しビレットの組立てが容易になると共に、伸線加工性も向上し、均一な線材が得られる。
本発明者らは、上記目的を達成するために様々な角度から検討した。その結果、粉末法によってNb3Sn超電導線材を製造するに際して、CuとSnを予め反応(溶融拡散反応)させて粉砕したCu−Sn化合物粉末に対して、更にSn粉末を添加混合した原料粉末を用いる構成を採用すれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、Cu−Sn化合物粉末を原料粉末として採用するに際して、上記溶融拡散反応を行うときに、原料となるSnの全量を反応させるのではなく、所定量のCuを化合物化させるのに必要最小限な量だけ反応させれば良いことが判明したのである。また、こうした構成を採用することによって、その後に混合添加するSn粉末量も却って増大させることができ、熱処理温度を750℃以下にした場合であっても、高い臨界電流密度を発揮するNb3Sn超電導線材が実現されて、超電導特性を更に向上できたのである。
また本発明によれば、Cu−Sn化合物粉末を予め生成させた後に、Sn粉末を添加することになるので、Cu−Sn化合物生成反応(溶融拡散反応)の際に、高硬度のSn−Cu化合物を生成させることなく線材化することができると共に、Cu−Sn化合物がSn中に分散した形になるので、Snが媒体のような役目をなして、Cu−Sn化合物によるシース破壊といった線材加工途中における異常変形や断線の発生を極力低減できることになる。
本発明で用いる原料粉末は、Cu−Sn化合物粉末とSn粉末を混合したものであるが、こうした原料粉末では、脆いCu−Sn化合物粉末の間に加工性の良いSn粉末が分散した状態となるので、CIPなどによる圧粉処理した後においても、粉末コア部の塑性加工性が良好に保たれることになる。また、Cu粉末とSn粉末を混合したものを用いた場合には、押し出し時の加工熱によってSn粉末が溶解して流出しやすい状態になるのであるが、Snを予め合金化しておくことによって、こうした不都合も回避できるものとなる。
本発明においては、CIP処理した後に、200〜300℃程度の温度で、熱処理を施すことも有効であり、こうした処理を施すことによって、Sn粉末間の結合を良好なものとして、原料粉末の充填率を更に高めることができる。こうした観点からすれば、CIP処理の代わりに、200〜300℃で加熱した状態での等方圧による圧粉処理(温間静水圧圧縮:以下「WIP」と呼ぶ)を施しても良い。また、Sn粉末と同時にCu粉末を添加混合するようにしても良い。
尚、CIPやWIPを施す際には、ゴム形に充填した後圧粉処理することになるが、圧粉成形体には切削加工を施すことも可能となり、それだけビレット組み立て精度を高めることができる。また圧粉処理を行うときの条件としては、粉末をより高密度に充填するという観点から、圧力は150MPa以上であることが好ましく、加圧パターンとしては低圧から段階的に圧力を上げて加圧することも考えられる。
本発明の原料粉末には、より良好な超電導特性を実現するという観点からして、更にTiを含有するものであっても良い。Tiは超電導生成時に反応層内に少量固溶することで超電導特性を向上させる作用を発揮する。また、従来では、こうしたTiを含有させると、非常に硬いTi化合物が生成して加工性が著しく劣化するといわれていたのであるが、本発明方法では予め合金化したCu−Sn化合物粉末を原料の一部として用いるので、硬質のTi化合物が少量生成したとしても加工性にそれほど影響を及ぼすことがない。尚、原料粉末中にTiを含有させる手段としては、Sn粉末(必要によって更にCu粉末)と共にTi粉末を添加混合しても良いが、Cu−Sn粉末、Sn粉末、Cu粉末等に予め合金化させた形態(Cu−Sn−Ti粉末、Sn−Ti粉末、Cu−Ti粉末等)で添加混合しても良い。
本発明方法においては、上記のようにして圧粉処理した原料粉末を、NbまたはNb合金からなるシースに充填し、これを縮径加工するものであるが、この加工によってシースはその外径が50μm以下程度まで加工されることになる。その結果、粉末コア部の直径についても40μm以下となる。そして、粉末直径が粉末コア部の直径よりも大きくなるようなCu−Sn化合物粉末が存在すると、この化合物粉末は伸線加工では微細化されにくいので、その存在によってシースにダメージを与えることになる。即ち、粒径が粉末コア部の直径よりも大きなCu−Sn化合物粉末が存在すると、シースに局部的な変形を招いたり、均一な伸線加工ができなくなり、最悪の場合には、シースを突き破って加工途中で断線したり、加工できたとしてもNb3Sn生成熱処理時にCuマトリックス(安定化銅)中にSnが拡散してCuの抵抗値(座残留抵抗比)を高めることになる。こうした不都合を解消するという観点からして、原料粉末中のCu−Sn化合物粉末は、最大粒径が15μm以下であることが好ましい。
また本発明で用いるシースは、NbまたはNb合金からなるものであるが、高磁場領域での特性改善という観点から、Ta,Ti,V,Hf,Zr,Mo等の元素を含むNb合金を採用することが好ましい。
本発明で用いるCu−Sn化合物粉末は、Snを20質量%以上、80質量%以下で含むものが好ましい。Cu−Sn化合物粉末中のSn含有量が20質量%未満であると、Sn量が少なくなってNb3Sn生成量が少なくなる。またSn含有量が80質量%を超えると、Cu−Sn化合物粉末の融点が低くなって、加工途中の中間焼鈍の際に溶融してしまうことになる。
上記のCu−Sn化合物粉末に添加混合されるSn粉末は、Cu−Su化合物粉末に対して質量比で0.2以上、2以下の割合(即ち、Cu−Sn化合物粉末1に対してSn粉末0.2以上、2以下の割合)で添加混合することが好ましい。Sn添加混合比が0.2未満となると、Cu−Sn化合物粉末の間にSnが十分に行き渡らず、加工性が劣化することになる。またSn添加混合比が2を超えると、Snが増え過ぎて加工発熱等によって溶出することがある。尚、原料粉末中にCu粉末やTi粉末等を添加する場合には、添加混合するSn粉末の一部をこれらの粉末で置換するものとして、原料粉末を調製すればよいが、その置換量は粉末全体中で30原子%までとするのが良い。
本発明で原料粉末中に添加混合されるSn粉末は、酸素濃度が2000ppm以下であることが好ましい。この酸素濃度が2000ppmを超えると、Sn粉末表面での酸化被膜が多くなってしまい、Snの拡散が阻害されてNb3Snの反応が抑制されることになる。即ち、このように酸化濃度を低減したSn粉末を用いることによって、Nb3Sn生成時の反応性を向上させることができる。尚、こうしたSn粉末を製造する方法としては、N2等の不活性ガス雰囲気で行うアトマイズ法が適用できる。
本発明方法を実施するに際しては、シースの外周部に、中間バリヤー層を配置することも好ましい実施態様である。図2は、本発明を実施するために構成される複合部材の一構成例を模式的に示す断面図であり、その基本的な構成は前記図1と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付してある。図2に示した構成では、シースの外周部に、中間バリヤー層4が形成されることになる。この中間バリヤー層は、Snと反応をしない材料からなり、例えばTaが好ましい素材として採用されるが、その他Nb,V,Zr,Mo,HfおよびTi等を、Snと直接接しない形でTaと複合されていても良い。例えば、これらの元素の金属または合金層をTa層と複合化(二層化若しくは三層化)したものや、Taと合金化することによってSnと反応しないものであれば、中間バリヤー層4の素材として採用できる。要するに、中間バリヤー層4は、上記の元素の1種または2種以上の金属または合金を含んで構成されるものであれば良い。
こうした中間バリヤー層4を形成することによって、仮に粗大な化合物粉末がシースを突き破ろうとすることがあっても、これを食い止めることができる。また原料粉末全体がNb3Snに反応しても、SnがCu部(安定化銅)まで達することがなく、SnによるCuマトリックスの汚染を防止でき、高い座残留抵抗比(RRR)を実現できることになる。更に、NbまたはNb合金からなるシースよりも機械的強度が優れたものとなって、伸線中での加工性を向上させ、均一な加工を容易にできると共に、反応後の線材の強度も高めることができる。尚、中間バリヤー層を形成した場合であっても、原料粉末中のSn成分は、中間バリヤー層と反応することなく中間バリヤー層内を拡散してシースに到達し、シースの内面側にNb3Sn層が形成されることになる。
また、本発明の他の構成として、粉末コア部(原料粉末充填部分)は、混合添加するSn粉末の一部を外周部分に配置した二層構造とすることも好ましい。こうした構成を採用することによって、上記中間バリヤー層を配置した場合と同様に、仮に粗大な化合物粉末がシースを突き破ろうとすることがあっても、これを食い止めることができる。従って、中間バリヤー層を配置する共に、粉末コア部を二重構造とする構成の両者を併用することによって、その安定性が更に向上したものとなる。
粉末コア部を二層構造とすることは、NbとSnとが直接接触することになり、Cuが存在しないため、400〜600℃程度の焼鈍時にNb3Snが生成せず、Snの消費を抑えることができる。尚、こうした構成を採用する際には、Nb3Sn生成熱処理時には、Nb3Sn生成熱処理に先立って200〜550℃程度の温度で加熱することによって、中心部の粉末コア部からSn層までCuを拡散させることも有用である。また、こうした構成を採用する場合には、Cu−Sn粉末とSn粉末の配合割合は、全体として上記の範囲となるように制御すれば良い。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
実施例1
Cu−33質量%Sn化合物からなる粉末(最大粒径13.5μm)に、この粉末に対して35質量%のとなるSn粉末(90質量%以上が30μm以下のもの)を加え、V型ブレンダー中で30分間混合した。この混合粉末をゴム型に封入した後、CIPにて150MPaの圧力下で5分間保持して外径35mmφの成形体とした。尚このときの成形体中のSn中の酸素濃度は、ICP分析によって測定したところ、540ppmであった。
CIP後、奇麗な成形体が得られ、成形体の周辺からの粉末のこぼれや、成形体中に割れが発生することもなかった。また旋盤による機械加工も可能であり、こうした機械加工によって外径:31mmφの円柱状に切り出した。
上記成形体を、外径:57mm、内径:31mmのNb−7.5質量%Ta合金製シース内に挿入し、更に外径:69mm、内径:57mmの無酸素銅からなる押し出しビレットに挿入し、両端部を溶接によって封止した。この押し出しビレットを、室温にて静水圧押し出し装置にて押し出した後、ダイス伸線により対辺長:2mmの六角材に加工した。
この六角材の55本を束ねて、外径:20mm、内径:17mmの銅ビレット(安定化銅)内に配置し、再び最終線径が1.2mmになるまで引抜き伸線を行った。このとき、途中断線することなく均一に伸線加工を実施できることを確認した。また、伸線加工後、断面を光学顕微鏡で観察したところ、シースの破れなどは観察されなかった。
この線材に、Nb3Snを生成させるために、真空中で650℃×250時間の熱処理を施した。この熱処理後の線材について、超電導マグネットにより外部磁場を印加した状態で臨界電流(Ic)を測定し、線材断面の非銅部の面積でIcを除して臨界電流密度(Jc)の評価を行った。その結果、温度4.2K、磁場18T中での臨界電流密度(Jc)は、785A/mm2であった。
実施例2
実施例1と同様にして成形した成形体を、外径:50mm、内径:31mmのNb−7.5質量%Ta合金製シース内に挿入し、このシースの周りに厚さ約3mmとなるように、厚さ0.2mmのTaを巻いて中間バリヤー層を形成した。
これを、外径:69mm、内径:56mmの無酸素銅からなる押し出しビレットに挿入し、両端部を溶接によって封止した。この押し出しビレットを、室温にて静水圧押し出し装置にて押し出した後、ダイス伸線により対辺長:2mmの六角材に加工した。
この六角材の55本を束ねて、外径:20mm、内径:17mmの銅ビレット(安定化銅)内に配置し、再び最終線径が1.2mmになるまで引抜き伸線を行った。このとき、途中断線することなく均一に伸線加工を実施できることを確認した。また、伸線加工後、断面を光学顕微鏡で観察したところ、シースの破れなどは認められなかった。
この線材に、Nb3Snを生成させるために、真空中で650℃×250時間の熱処理を施した。この熱処理後の線材について、実施例1と同様にして臨界電流密度(Jc)を測定したところ、773A/mm2であった。
実施例3
実施例1と同様にして調製した混合粉末を、ゴム型に封入した後、CIPにて150MPaの圧力下で5分間保持して外径25mmφの成形体(以下、「混合粉末成形体」と呼ぶ)とした。この混合粉末成形体を機械加工によって、外径:20mmφの円柱状に切り出した。一方、Sn粉末(90質量%以上が30μm以下のもの)を用い、CIP(圧力:150MPa、5分間)によって外径:33mm、内径:20mmの円筒状に加工した(以下、「Sn成形体」と呼ぶ)。
上記Sn成形体内に混合粉末成形体を挿入して複合コア部(2層化したコア部)とし、この複合コア部を、外径:57mm、内径:31mmのNb−7.5質量%Ta合金製シース内に挿入し、更に外径:69mm、内径:57mmの無酸素銅からなる押し出しビレットに真空封入した。この押し出しビレットを、室温にて静水圧押し出し装置にて押し出した後、ダイス伸線により対辺長:2mmの六角材に加工した。
この六角材の55本を束ねて、外径:20mm、内径:17mmの銅ビレット(安定化銅)内に配置し、再び最終線径が1.2mmになるまで引抜き伸線を行った。このとき、途中断線することなく均一に伸線加工を実施できることを確認した。また、伸線加工後、断面を光学顕微鏡で観察したところ、シースの破れなどは認められなかった。
この線材に、Nb3Snを生成させるために、真空中で300℃×100時間+650℃×250時間の熱処理を施した。この熱処理では、コア中のSnとCuを均一にするために、Nb3Sn生成熱処理の前段階として、より低温の300℃での熱処理を行ったものであるが、この温度に限るものでない。また何段階かに分けて熱処理するようにしても良い。
この熱処理後の線材について、この熱処理後の線材について、実施例1と同様にして臨界電流密度(Jc)を測定したところ、762A/mm2であった。
比較例
最大粒径:25μmのCu−33質量%Sn化合物粉末を、外径:57mm、内径:31mmのNb−7.5質量%Ta合金製シース内に、一軸プレスにて10MPa程度の圧力で加圧しつつ装填し、これを外径:69mm、内径:57mmの無酸素銅からなる押し出しビレットに挿入し、両端部を溶接によって封止した。この押し出しビレットを、室温にて静水圧押し出し装置にて押し出した後、ダイス伸線により対辺長:2mmの六角材に加工した。
この六角材の55本を束ねて、外径:20mm、内径:17mmの銅ビレット(安定化銅)内に配置し、再び最終線径が1.2mmになるまで引抜き伸線を行った。このとき、途中8回の断線が発生した。また伸線加工後の断面を光学顕微鏡で観察したところ、55本のフィラメント中23本でシース部分の破断が認められた。
この線材に、Nb3Snを生成させるために、真空中で650℃×250時間の熱処理を施した。この熱処理後の線材について、実施例1と同様にして臨界電流密度(Jc)を測定したところ、153A/mm2であった。
粉末法でNb3Sn超電導線材を製造する状態を模式的に示す断面図である。 本発明を実施するために構成される複合部材の一構成例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 シース
2 粉末コア部
3 安定化銅(Cuマトリックス)
4 中間バリヤー層

Claims (6)

  1. NbまたはNb合金からなるシース内に、少なくともSnを含む原料粉末を充填し、これを縮径加工して線材化した後熱処理することによって、シースの内面側に超電導層を形成する粉末法NbSn超電導線材の製造方法であって、前記原料粉末として、Snを20質量%以上、80質量%以下で含むCuとSnの合金粉末または金属間化合物粉末に、更に前記合金粉末または金属間化合物粉末に対して質量比で0.2以上、2以下の割合でSn粉末を添加混合したものを用いると共に、この原料粉末に対して等方圧による圧粉処理を施すことを特徴とする粉末法NbSn超電導線材の製造方法。
  2. CuとSnの合金粉末または金属間化合物粉末は、最大粒径が15μm以下である請求項1に記載の粉末法NbSn超電導線材の製造方法。
  3. 前記Sn粉末中の酸素濃度が2000ppm以下である請求項1または2に記載の粉末法NbSn超電導線材の製造方法。
  4. 前記Sn粉末は不活性ガスアトマイズ法によって得られたものである請求項に記載の粉末法NbSn超電導線材の製造方法。
  5. 前記シースの外周部に、Ta,Nb,V,Zr,Mo,HfおよびTiよりなる群から選択される1種または2種以上の金属または合金を含んで構成される中間バリヤー層を配置したものである請求項1〜4のいずれかに記載の粉末法NbSn超電導線材の製造方法。
  6. 原料粉末充填部分は、混合添加するSn粉末の一部を外周部分に配置した二層構造としたものである請求項1〜5のいずれかに記載の粉末法NbSn超電導線材の製造方法。
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