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JP4728516B2 - ダイオキシン類の吸着除去装置 - Google Patents
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ダイオキシン類(平成11年法律第105号「ダイオキシン類対策特別措置法」第2条に規定された「ダイオキシン類」のことであり、「ポリ塩化ジベンゾフラン,ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン,コプラナ−ポリ塩化ビフェニル」を総称する表現として使用する。以下同じ)の吸着除去装置に関し、とくにガンマアルミナを有効活用して、焼却炉等の排ガスからダイオキシン類等を簡易に除去する吸着除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイオキシン類の毒性は、同族体や異性体間で大きく異なっているので、最も毒性の強い2,3,7,8−T4CDDの毒性に換算して総量としての毒性評価を行っている。2,3,7,8−T4CDDの毒性を1とした相対値が、毒性等価換算係数(TEF)であり、各異性体の実測濃度に、それぞれのTEFを掛け合わせた数値の総和を毒性等価濃度(TEQ)と呼んで毒性の指標としている。
【0003】
また、ダイオキシン類は、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却炉からも発生することが知られており、焼却炉から発生するダイオキシン類を除去する方法も各社から種々提案されている。しかしながら、これらの方法を小型焼却炉で実現するには、コスト的に問題があるため実用化の可能性が低く、結局は、ダイオキシン類の排出量を低減させたいという社会的要請に応えられないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、この実情に鑑みてなされたものであって、小型かつ低コストであって、とくに小型焼却炉に適用するのに好適なダイオキシン類の吸着除去装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、請求項1に記載の発明は、焼却炉からの排ガスを予備冷却する冷却部と、内蔵する吸着剤に前記冷却部からの排ガスを通過させる吸着部とを備え、前記吸着剤がガンマアルミナに水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムを混合して結合剤により成形したものであり、かつ、前記吸着部が100〜250℃の温度域に維持されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、前記吸着部の上流側または下流側において、通過する微粒子を捕捉するフイルター部が設けられていることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明の特徴は、ダイオキシン類の吸着剤としてガンマアルミナを使用することにある。
【0009】
まず、ガンマアルミナについて説明する。このガンマアルミナは、アルミニウム塩を加水分解するか、あるいはアルカリ性の塩(アルミン酸ソーダ等)であれば酸で中和し、また酸性の塩(塩化アルミニウム等)であれば、アルカリで中和し、ベーマイトゲル等の水酸化アルミニウムの沈澱を得、ついで乾燥,熱処理を経て低結晶性のものとして得られる。ガンマアルミナの種類,形状等はとくに限定されず、通常市販されているものを用いることができる。
【0010】
また、排ガス中のHClガスを吸着させるために、前記ガンマアルミナにカルシウム化合物を添加するのが好ましく、両者を混和後、有機質または無機質からなる結合剤によって、粒状または円柱状に成形すればよい。ここで用いるカルシウム化合物としては、水酸化カルシウム,酸化カルシウム等がある。また、その添加量は、排ガス中のHClガスの量に応じて、5〜20重量%程度の範囲で適宜に設定される。たとえば、HClガスの含有量が少ない場合には、カルシウム化合物の含有量が5重量%程度であり、HClガスが多い場合には、15重量%程度である。
【0011】
そして、吸着剤の粒径は、とくに限定はされないが、通常は、2〜5mm程度である。ここにおいて、排ガス量が少なく圧損が問題になるような場合には、5〜10mmに設定すればよい。吸着の動作温度としては、ガンマアルミナの吸着性能の他、ダイオキシン類の再合成や装置の腐食温度を考慮して、100〜250℃,このましくは120〜200℃,より好ましくは150〜180℃程度に設定するのがよい。また、焼却炉からの排ガス温度は、通常800〜1000℃であるため、水冷方式または空冷方式等により、あらかじめ250℃程度まで予備冷却しておく必要がある。
【0012】
また、使用により吸着剤の吸着性能が落ちてくると、吸着剤を取り替える必要があるが、小型焼却炉は、バッチ処理的にごみを焼却しているので、非運転時に吸着剤を取り替える。ここにおいて、この際の作業を考慮すると、吸着剤を適宜なカートリッジに収納しておくことが好ましい。回収した吸着剤は、ダイオキシン類等が吸着しており、このまま廃棄したのでは、改めて環境汚染の問題が生じる。そこで、回収した吸着剤を、90℃に加熱した水酸化ナトリウムの水溶液(2.5〜3.5N)に10〜20重量%のアルコールを加え、3時間程度反応させてダイオキシン類を分解させるが、回収した吸着剤は、この処理によって、ガンマアルミナが再活性化されるという利点がある。ここにおいて、ダイオキシン類の分解と、ガンマアルミナの再活性化とを実現するには、吸着剤1重量部に対して、8〜15重量部以上のアルカリアルコールを使用すればよい。また、ここで用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウムの他に、KOH,NH4OH等を用いてもよく、これら二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。そして、ここで用いるアルコールとしては、メタノールまたはエタノール等が好適である。以上のように再活性化されたガンマアルミナは、吸着剤の材料として再利用することができる。
【0013】
さらに、焼却炉等から発生するダイオキシン類には、気体状つまりガス状態のものの他、煤塵等に含まれる粒子状態のものも存在する。そのため、排ガスの流路中には、通過する微粒子を捕捉するフィルター部を設けることが好ましい。このフィルター部は、ガンマアルミナの閉塞を防止するため、吸着部の上流側に設けることが好ましく、粒子径0.1μm程度以上の微粒子を捕捉できるものが好ましい。ここにおいて、フィルター部の形成材料としては、ステンレス網,テフロン繊維,ガラス繊維,セルロース系繊維,セラミック等を用いることができる。
【0014】
以上の構成によれば、ガス状態のダイオキシン類は、ガンマアルミナからなる吸着剤で除去され、煤塵等に含まれるダイオキシン類は、フィルター部で除去することができる。
【0015】
【実施例】
つぎに、この発明の具体的実施例を図面を用いて詳細に説明する。ここにおいて、図1は、排ガス中のダイオキシン類等を吸着して除去する構成を図示したものである。また、図2および図3は、吸着除去装置の概略構成を図示したものである。
【0016】
ここにおいて、小型焼却炉1から発生する排ガスを吸着除去装置2へ供給して、排ガス中のダイオキシン類を除去している。そして、この吸着除去装置2は、焼却能力が5t/日未満の小型焼却炉1からの排ガスを処理するものであり、小型焼却炉1から排出されるダイオキシン類等は、内蔵するガンマアルミナに吸着されるようになっている。
【0017】
この吸着除去装置2は、導入される排ガスに対して、霧状の水を噴霧する冷却塔3と、排ガスからダイオキシン類を除去する吸着塔4とが連結した構成となっている。前記小型焼却炉1からの排ガスは、前記冷却塔3の入口5から導入されて垂直下方へ移動するが、このときスプレーノズル6から噴射される冷却水によって冷却される。この冷却された排ガスは、送風機7(誘引型ドラフトファン)によって前記吸着塔4へ向けて押し出され、前記吸着塔4へ導入された排ガスは、ガンマアルミナ・カートリッジ8(図4参照)を通過して、前記吸着塔4の出口9から排される。排ガス中のダイオキシン類は、前記ガンマアルミナ・カートリッジ8を通過する過程でガンマアルミナ層に吸着されるが、ガンマアルミナ層の中央には、温度センサ(図示省略)が配置され、通過する排ガスの温度が所定域に維持されるように制御されている。たとえば、温度センサの出力値に応じて前記スプレーノズル6からの噴霧量が制御されるようになっている。また、排ガスを流通させる装置としては、送風機7の他に、予備送風機10を設けることもできる。
【0018】
つぎに、前記吸着除去装置2を用いた実施例を説明する。前記小型焼却炉1において、ダンボール(90重量%)に塩化ビニル樹脂(10重量%)を加えて燃焼させ、発生する排ガス濃度につき数回実測したところ、窒素78〜82%,酸素10〜21%,二酸化炭素1〜8%であった。また、HClガス濃度は、270〜960ppmであり、SOx濃度は、10〜120ppmであった。かかる排ガスにつき、前記小型焼却炉1からの直接排出部(A),前記入口部5(B),前記送風機7の出口部(C)および前記出口部9(D)の4ヶ所の測定位置の排ガスにつき、ダイオキシン類の濃度を測定した。この際、排ガスの流量と前記吸着塔4の内部温度を変えて、それぞれ3回ずつ測定を行った。使用した吸着剤は、ガンマアルミナ85重量%に酸化カルシウム15重量%を混合して、結合剤で固めて2〜5mmの粒状にしたものである。
【0019】
【表1】
Figure 0004728516
【0020】
表1は、SV(space velocity)=1000/hの状態において、前記吸着塔4の内部温度を150〜180℃に管理した場合と、250〜300℃に管理した場合につき各3回の計測結果を示している。前記吸着塔4の温度を150〜180℃に管理した場合には、ダイオキシン類の除去率は、平均98.7%であるが、250〜300℃に管理した場合には、平均86.1%に低下することが明らかとなった。ここにおいて、SV=1000/hとは、1時間当りの前記ガンマアルミナ・カートリッジ8の容積の1000倍の排ガスを流通させることである。
【0021】
【表2】
Figure 0004728516
【0022】
表2は、SV=10000/hの状態において、同様の実験をした場合の各3回の計測結果を示している。前記吸着塔4の内部温度を150〜180℃に管理した場合には、ダイオキシン類の除去率は、平均97.8%であるが、250〜300℃に管理した場合には、平均84.1%に低下することが明らかとなった。
【0023】
以上のように、排ガスの流量は、SV=1000〜10000/h程度で問題がなく、好ましくは5000〜10000/h程度である。また、ガンマアルミナ層の温度としては、100〜250℃で問題なく、好ましくは120〜200℃、より好ましくは150〜180℃程度である。なお、250℃以上では、物性吸着性の低下に伴う吸着量の減少が生じたためと考えられる。
【0024】
【表3】
Figure 0004728516
【0025】
表3は、HClガスやSOxの除去率を測定した結果であり、排ガス中に含まれていたHClガスは、酸化カルシウムに吸着されて80〜95%程度除去されたことが確認された。また、SOx成分は、水洗およびガンマアルミナ吸着によって95%以上除去されることが確認された。ここにおいて、ダイオキシン類の吸着性能よりも、HClガスやSOxの吸着性能の方が先に劣化するので、前記ガンマアルミナ・カートリッジ8の取替え時期は、SOxの排出量により制御することができる。
【0026】
【表4】
Figure 0004728516
【0027】
表4は、使用済のガンマアルミナに吸着したダイオキシン類が分解できることを測定確認した結果である。この測定は、NaOHアルコール溶液に使用済みのガンマアルミナを投入し、90℃に加熱した状態で攪拌しつつ数時間反応させた結果を示している。反応時間が1時間,2時間,3時間と変わるごとにTEQ除去率を算出するとともに、規定度が2.5Nと3.5Nの場合についてTEQ除去率を算出している。
【0028】
この結果によると、規定度が2.5〜3.5NのNaOHアルコール溶液に、3時間程度反応させると、ガンマアルミナを再活性化できることが確認された。
【0029】
また、実際の前記小型焼却炉1からは、ガス状態のものだけでなく、煤塵などに含まれるダイオキシン類も少なからず発生しており、さらなる研究の結果、ガンマアルミナのカートリッジへの充填状態によっては、煤塵等を十分に捕捉できず、この捕捉できなかった煤塵等に含まれるダイオキシン類が煤塵とともに排出されてしまうことが明らかになった。すなわち、ガス状態のダイオキシン類は、前記ガンマアルミナ・カートリッジ8によって、ほぼ100%除去することができるものの、前記小型焼却炉1での焼却物の種類によっては、煤塵等によってガンマアルミナが閉塞したり、煤塵等に含まれるダイオキシン類がそのまま排出されてしまうことが明らかになった。
【0030】
そこで、この発明の他の実施例として、図5に示すように、前記ガンマアルミナ・カートリッジ8の上流側にフィルター部11を設け、前記吸着塔4の出口側に前記送風機7を設けている。また、排ガスの逆流を防止する等の必要に応じて前記予備送風機10を動作させるようにしている。ここにおいて、前記予備送風機10を動作させると、供給される外気によって排ガス温度をさらに降下させることもできる。また、前記フィルター部11としては、ステンレス網,テフロン繊維,ガラス繊維,セルロース系繊維,セラミック等のフィルターを用いることができるが、粒子径0.1μm程度以上の微粒子を捕捉できるものにすれば、優れた効果が得られた。さらに、0.1μm程度以上の微粒子を捕捉できるフィルター材料は、容器に収容した状態で、前記ガンマアルミナ・カートリッジ8の上流側に取り付けられており、必要に応じて交換できるようになっている。ここにおいて、前記フィルター部11は、前記ガンマアルミナ・カートリッジ8の下流側に設けることも、実施に応じて好適である。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、ガンマアルミナを用いてダイオキシン類を吸着除去しているので、小型かつ低コストであって、小型焼却炉に適用するのに好適なダイオキシン類の吸着除去装置を実現できる。すなわち、この発明によれば、安価かつ簡易に、焼却能力50〜200kg/hの小型焼却炉についてのダイオキシン類特別対策措置法に新設の排出基準(5ng-TEQ/Nm3)を十分に満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る吸着除去装置の使用例を概略的に示す説明図である。
【図2】この発明に係る吸着除去装置の右側側面図を概略的に示す説明図である。
【図3】図2に示す吸着除去装置の平面図を概略的に示す説明図である。
【図4】図2に示す吸着除去装置の正面図を概略的に示す説明図である。
【図5】この発明に係る吸着除去装置の他の実施例を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
3 冷却塔(冷却部)
4 吸着塔(吸着部)
11 フィルター部

Claims (2)

  1. 焼却炉1からの排ガスを予備冷却する冷却部3と、内蔵する吸着剤に前記冷却部3からの排ガスを通過させる吸着部4とを備え、前記吸着剤がガンマアルミナに水酸化カルシウムまたは酸化カルシウムを混合して結合剤により成形したものであり、かつ、前記吸着部4が100〜250℃の温度域に維持されていることを特徴とするダイオキシン類の吸着除去装置。
  2. 前記吸着部4の上流側または下流側において、通過する微粒子を捕捉するフイルター部11が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のダイオキシン類の吸着除去装置。
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