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JP4739335B2 - 乳酸菌発酵物およびそれを含有してなる発酵乳食品 - Google Patents
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乳酸菌発酵物およびそれを含有してなる発酵乳食品 Download PDF

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Description

本発明は、乳酸菌発酵物に関し、更に詳細には、生きた乳酸菌を高濃度に含有する乳酸菌発酵物およびそれを含有してなる発酵乳食品に関するものである。
乳酸菌の培養は、種々の態様で行われており、乳酸菌製剤の製造や発酵乳、乳酸菌飲料、チーズなどの製造のために獣乳を培地として行われる場合が最も多い。しかしながら、一般に乳酸菌は、その種類によって栄養の要求性が異なるため、獣乳のみからなる培地ではあまり増殖せず、比較的増殖活性に優れた菌株であっても、獣乳のみからなる培地では、発酵乳や乳酸菌飲料等の製造に当たって十分な酸度の発酵物を得るために、数日間の培養を行わなければならないとされている。
ところが、長時間にわたる乳酸菌の培養は、生菌数の低下を招く原因となることから、種々の生理効果を期待する生菌数を重視した乳酸菌飲料や発酵乳等の製造のための培養としては必ずしも好ましい方法とはいえなかった。
また、乳酸菌発酵物の風味を問題とする各種飲食品の製造のためには、増殖性の観点のみから使用菌株を選定することはできないため、増殖性が悪くても風味の良い発酵物を与える乳酸菌を選択、使用する場合もある。
そこで、乳酸菌の培養においては、培養効率を向上させる目的で種々の増殖促進物質を培地に添加しておくことが常法であり、よく知られている。一般に、増殖促進物質として有効とされているものを例示すれば、クロレラエキス、鉄塩、ビタミン類、アミノ酸やペプチドを含有するタンパク分解物、酵母エキスなどを挙げることができる。
また、この他にも、乳酸菌の増殖促進を目的とした技術として、近年では、酒粕の水抽出物および/またはタンパク分解酵素処理した酒粕の水抽出物を用いる方法(特許文献1)、コーヒーノキ属植物の葉から抽出された抽出液を用いる方法(特許文献2)、パパイヤ果実の表皮を含有する果肉部分を用いる方法(特許文献3)、海洋性微細藻類の藻体からの抽出物を用いる方法(特許文献4)、ブロッコリー、カリフラワー、ケール、なずな、すずしろ、はだざお、たがらし、たいせい、おおばたねつけばな、やまがらし、おらんだがらし、高菜、からしな、わさび、ゆりわさび、ひのな、すぐきな、かぶ、あぶらな、キャベツ、ほうれん草、小松菜、セロリ、パセリ、レタスおよびリンゴからなる群から選ばれる1種または2種以上を用いる方法(特許文献5)、ヘチマ、ウリ、スイカ、カボチャ、山芋、里芋、コンニャク、大根、ニンジン、トマト、ピーマン、オクラ、ネギ、白菜、もやし、ミカンからなる群から選ばれる1種または2種以上を用いる方法(特許文献6)、茶類から抽出されるエキスを用いる方法(特許文献7および8)、カルシウム塩(特許文献9)および生姜、茶類、ネギの抽出物(特許文献10)等が報告されている。
一方で、乳酸菌の有用性あるいは有効性を保持するためには、菌の増殖を促進させるのみならず、乳酸菌発酵物中の菌の死滅を抑制し、生残性を向上させる必要がある。一般に、乳酸菌の生残性の低下は、脱脂粉乳等を用いて得られる乳酸菌発酵物を含有する低脂肪の発酵乳食品を調製する場合や乳酸発酵が進み過ぎた場合に顕著となるため、低カロリーの発酵乳食品を製造したり、pHの低い発酵乳食品を製造するときほど問題となる。このような乳酸菌の生残性の低下を防ぎ、乳酸菌発酵物中の乳酸菌数の維持を目的として使用される素材としては、クロレラ等が知られている。
しかしながら、乳酸菌発酵物やそれを含有してなる発酵乳食品のような飲食品の製造において、従来から知られている乳酸菌の増殖促進効果を目的として添加される物質、或いは乳酸菌の生残性を改善する目的で配合される物質は、十分な効果が得られるほど使用すると製品の風味そのものに影響を与えてしまう場合が多く、また、製品のコストを上昇させる原因となることもある。更に、生きた乳酸菌を多く含有する状態を維持できても、乳酸菌の活性を維持することができず、十分な生理効果が期待できなくなる場合もあった。
特開平5−15366号公報 特開平6−125771号公報 特開平7−23777号公報 特開平7−51057号公報 特開平11−266860号公報 特開平2−242667号公報 特許第2667421号 特許第3223326号 特許第2673333号 特開2001−190272号公報
従って、本発明は、風味上の問題を生じることなく、培地に添加・混合するだけで乳酸菌の生菌数を簡便に増加させることができ、更には、製品化後の生菌数を維持することもできる新規な物質を見出し、この物質を利用して、高い活性を維持した、生きた乳酸菌を多く含有する乳酸菌発酵物や、これを利用した飲食品を提供することをその課題とするものである。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討を行った結果、新たな特定の植物由来のエキスを培地に添加して乳酸菌を培養することにより、得られる乳酸菌発酵物の風味を損なうことなく乳酸菌の増殖活性を簡便に向上させ得ることを見出した。また、前記エキスと、特定の脂肪酸とを含有する培地で乳酸菌を培養することにより、生きた乳酸菌を、その活性を低下させることなく、高濃度で含有する乳酸菌発酵物が簡便に得られることを見出した。更に、本発明者らは、これらの方法により得られる乳酸菌発酵物を利用して製造した発酵乳食品等の各種飲食品に風味上の影響はなんら生じないことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は米糠、柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上のエキスを含有する培地で乳酸菌を培養して得られることを特徴とする乳酸菌発酵物である。
また、本発明は米糠、柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上のエキスと、オレイン酸若しくはその誘導体とを含有する培地で乳酸菌を培養して得られることを特徴とする乳酸菌発酵物である。
更に、本発明は上記乳酸菌発酵物を含有してなる発酵乳食品である。
また更に、本発明は米糠、柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上のエキスを含有する培地で乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸菌発酵物の製造方法である。
更にまた、本発明は米糠、柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上のエキスと、オレイン酸もしくはその誘導体とを含有する培地で乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸菌発酵物の製造方法である。
本発明の乳酸菌発酵物に用いられる米糠、柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上のエキスは、乳酸菌に対して優れた増殖促進作用ないしは生残性改善作用を有するものであり、しかも風味への影響が殆どないものであるから、これらを添加・混合して得られる乳酸菌発酵物を含有してなる発酵乳食品は、健康増進に優れ、また、風味劣化の少ない飲食品として有用性が高いものとなる。
また、特に上記エキスは、オレイン酸若しくはその誘導体と併用することにより、低脂肪発酵乳食品やpHの低い発酵乳食品においても菌の死滅を抑制することができるため、製品中の生菌数とその生存率を保証することが可能となる。
本発明の乳酸菌発酵物は、米糠、柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ 、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上のエキス(以下、単に「エキス」ということもある)を含有する培地を用いる以外は、従来から知られている培養条件で、乳酸菌を発酵させることにより得られる。
上記エキスの原料となる食品素材のうち、米糠(Rice bran)とは、イネ科イネ属の植物であるイネ(Oryza sativa)から得られる「もみ」の外皮(もみがら)を取り除いた種子(玄米)の果皮、種皮澱粉層、胚芽である。この米糠には免疫力増強、脂肪肝の予防等の作用が知られている。
柿葉は、カキノキ科カキノキ属の植物であるカキ(Diospyros Kaki Thunb)、シナノカキ(Diospyros lotus L.)またはマメガキ(Diospyros lotus L. var. glabra Makino)の葉である。本発明においてはこれらカキノキ属の植物の中でも特にカキが好ましい。この柿葉にはくしゃみ、鼻づまり、鼻水を抑える等の作用が知られている。
紫蘇(Perilla)は、シソ科シソ属の植物であるシソ(Perilla frutescens(L.)Britton var. acuta Kudo)、アオジソ(Perilla frutescens(L.)Britton var. acuta Kudo forma viridis Makino)またはチリメンジソ(Perillafrutescens(L.)Britton var. crispa (Thunb)Decne)である。本発明においてはこれらシソ属の植物の中でも特にシソが好ましい。また、これら紫蘇からエキスを得るためには葉、枝、種子を用いることができるが、特に葉を用いることが好ましい。この紫蘇には抗アレルギー、血糖値の低下、肌の若返り等の作用が知られている。
どくだみ(Houttuynia cordata Thunb.)は、どくだみ科どくだみ属の植物である。どくだみからエキスを得るためには地上部の全草や枝を用いることができるが、特に地上部の全草を用いることが好ましい。このどくだみには粘膜炎症抑制作用が知られている。
杜仲(Eucommia ulmoides Oliv.)はトチュウ科トチュウ属の植物である。杜仲からエキスを得るためには葉や枝を用いることができるが、特に葉を用いることが好ましい。この杜仲には血圧調整、ストレス緩和、生活習慣病の予防等の作用が知られている。
ウコン(Turmeric)は、ショウガ科クルクマ属の植物であるウコン(Curcuma longa L.)またはキョウオウ(ハルウコン)(Curcuma aromatica Salisb.)の根茎である。本発明においてはこれらクルクマ属の植物の中でも特にウコンが好ましい。このウコンには肝機能の向上、二日酔い予防、胃酸分泌の抑制、胃腸障害の改善等の作用が知られている。
クローブ(Clove)は、フトモモ科フトモモ属の植物であるクローブ(ちょうじ)(Syzygium aromaticum(L.)Merr. et PerryあるいはEugenia caryophyllata Thunb)の蕾である。このクローブには防腐、子宮収縮、歯痛減少等の作用が知られている。
シナモン(Cinnamon)は、クスノキ科シナモン属のセイロンニッケイ(セイロンシナモン)(Cinnamomum zeylanicum Nees)またはシンナモムム・カッシア(チャイナシナモン)(Cinnamomum cassia Blume)の樹皮である。これらシナモン属の植物の中でも特にセイロンニッケイが好ましい。このシナモンには抗菌、身体を温める、解熱、鎮痛、消化器系の賦活、風邪の諸症状の改善、消化不良の改善、下痢止め、吐き気止め等の作用が知られている。
甜茶(Rubus suavissimus S. Lee(Rosaceae))は、バラ科木イチゴ属の植物である。甜茶からエキスを得るためには葉や茎を用いることができるが、特に葉を用いることが好ましい。この甜茶は近年、抗炎症や抗アレルギー作用で注目を集めているものである。
上記食品素材からエキスを得るには、上記食品素材の1種以上を、そのままあるいは必要に応じて洗浄、脱皮、乾燥、破砕等の処理を施した後、溶媒で抽出すればよい。これらエキスは、各食品素材のそれぞれを個別に抽出して得られるエキスの1種類を使用しても、2種以上を混ぜ合わせて使用しても良い。また、複数の食品素材を混合した後、これらを抽出して得られる混合エキスを使用しても良い。これらエキスの中でも柿葉エキスおよび甜茶エキスが好ましい。
上記抽出に用いられる溶媒としては、水若しくはエタノール等の炭素数1〜5の低級アルコール、酢酸エチル、グリセリン、プロピレングリコール等の有機溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を混合して混合溶媒として用いてもよい。これらの溶媒の中でも特に水または水−低級アルコール等の水性溶媒が好ましい。
また、上記溶媒を用いた前記食品素材からのエキスの抽出方法は特に限定されないが、各種食品素材から乳酸菌の増殖活性を高める成分を効率よく抽出させることができ、これらエキスの添加量が微量であっても優れた増殖促進効果を得ることができるので酸抽出が好ましい。また、この酸抽出はpH4.0以下、好ましくはpH3.0〜4.0の酸性条件下で行うことが好ましい。この酸抽出で溶媒のpHを調整するための酸成分としては、酸性のものであれば特に限定されることなく使用することができる。これら酸成分の中でも好ましいものとしては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、乳酸、酢酸等の有機酸を挙げることができる。
更に、上記溶媒を用いたエキスの抽出条件に関しては、特に限定されるわけではないが、例えば60℃以上、120℃以下の温度、より好ましくは80℃以上、100℃以下の温度で30〜60分間程度抽出処理を行なうことが好ましい。
このようにして得られるエキスは、抽出直後の溶液をそのまま使用しても、また、得られたエキスを限外濾過、遠心分離等の手段により精製・濃縮した濃縮エキス、或いはこれを更に噴霧乾燥や凍結乾燥等の手段により乾燥した粉末のエキスとして使用してもよい。
上記エキスを乳酸菌が生育可能な培地に添加するにあたっての添加量は、得られる増殖促進効果が培養する菌株、培地の組成、培養物の用途等によって異なる場合があるため、実験的に確かめてから設定することが好ましいが、およそブリックス糖度10のエキスとして、0.01〜10質量%(以下、単に「%」という)程度、より好ましくは0.01〜5%程度である。
これらエキスの添加量は10%より多くても良いが、添加量に比例した以上の増殖促進効果が得られないことがあり、却って、これにより得られる培養物を含有する飲食品の風味に影響を与える場合があるので経済性や風味面からは好ましくない。逆に、エキスの添加量が0.01%よりも少ないと十分に増殖促進効果が得られないことがあるので好ましくない。
また、本発明においては、上記エキスを含有する培地に、更にオレイン酸若しくはその誘導体(以下、単に「オレイン酸類」という)を添加することにより、相乗的な乳酸菌に対する増殖活性効果と生残性改善効果を得ることができる。ここで、上記エキスと共に培地に添加されるオレイン酸類としては、特に限定されるものではなく、遊離のオレイン酸やオレイン酸の無機塩の他、一般的に乳化剤として用いられているシュガーエステル、グリセリド、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル等において、その脂肪酸部分がオレイン酸であるものを挙げることができる。また、オレイン酸類を多量に含有する食品素材を使用することも可能である。なお、構造中にオレイン酸類を含有するものであっても、リゾレシチンのような形態のものは、本発明の乳酸菌発酵物中の菌数・活性を維持する効果が得られない場合がある。
好ましいオレイン酸類の具体例としては、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等のオレイン酸の塩、グリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等のオレイン酸エステルを挙げることができる。上記オレイン酸エステルの中でも、グリセリンオレイン酸エステルやポリグリセリンオレイン酸エステルは、培養終了時の菌数の増加効果、生残性改善効果が高いため好ましく、また、培地への溶解性等の物性の面からはショ糖オレイン酸エステルが好ましい。これらのオレイン酸類は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
オレイン酸類は、製品中の最終濃度がオレイン酸換算で、5〜50ppm、好ましくは、5〜25ppmとなるように培地中に添加することが好ましい。オレイン酸類の添加量が、5ppmよりも少ないとエキスとの併用による相乗的な増殖活性効果や製品中の菌の死滅を抑制する効果が弱い場合がある。また、添加量が50ppmよりも多いとコスト面での問題や菌の増殖活性を阻害する場合があるので好ましくない。
本発明における、上記エキスやオレイン酸類の培地への添加時期は、乳酸菌発酵の前であることが好ましいが、これに限らず、乳酸菌の発酵の途中で加えても、また乳酸菌の発酵の終了後に加えてもよい。また、複数回に分けて加えることも可能である。特に、上記エキスやオレイン酸類を乳酸菌の発酵前に添加すると、培養終了時の菌数と菌の生残性とを高い状態で維持することができるため好ましい。
上記エキスやオレイン酸類を添加する培地としては、牛乳、山羊乳、馬乳、羊乳等の生乳や、脱脂粉乳、全粉乳、生クリーム等の乳製品等からなる獣乳培地や各種合成培地を挙げることができる。そして、この培地は、通常の乳酸菌培地に使用される成分を添加したものであってもよい。このような成分としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE等のビタミン類や、各種ペプチド、アミノ酸類、カルシウム、マグネシウム等の塩類が挙げられる。
本発明において、培養に使用される乳酸菌としては、通常、食品製造に使用される微生物であれば特に限定されず、例えば、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・クレモリス(Lactobacillus cremoris)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ユーグルティ(Lactobacillus yoghurti)、ラクトバチルス・デルブルッキィー サブスピーシーズ.ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルッキィー サブスピーシーズ.デルブルッキィー(Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス サブスピーシーズ.ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチス
サブスピーシーズ.クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス・ラフィノラクチス(Lactococcus raffinolactis)等のラクトコッカス属細菌、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)等のエンテロコッカス属細菌を挙げることができる。これらの乳酸菌の中でもラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス属細菌およびラクトコッカス属細菌からなる群より選ばれた乳酸菌の1種以上が好ましい。なお、本発明において乳酸菌とは、通気性嫌気性菌のものをいい、嫌気性菌であるビフィドバクテリウム属細菌は含まない。
なお、前記する乳酸菌の中には、獣乳からなる培地では十分に増殖しないものも含まれており、本発明で用いるエキスは、このような菌の培養において、特に顕著な効果を与える。具体的に挙げれば、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・クレモリス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・デルブルッキーサブスピーシーズ.ブルガリカス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトコッカス・ラクチスサブスピーシーズ.ラクチス等の乳酸菌を培養する際に培地にエキスを添加すれば優れた増殖促進作用を得ることができる。
本発明の乳酸菌発酵物を得るための乳酸菌の培養条件は特に限定されないが、例えば、30〜40℃程度の温度で1〜7日間程度でよい。また、このときの培養条件としては、静置、攪拌、振盪、通気等から用いる乳酸菌の培養に適した方法を適宜選択して行えばよい。
このようにして得られる乳酸菌発酵物は生きた乳酸菌を、その活性を低下させることなく、高濃度で含有しているものである。そして、これを通常食品に添加することが認められている他の副素材と混合することにより発酵乳食品とすることができる。
ここで、発酵乳食品とは、乳等省令により定められている発酵乳、乳製品乳酸菌飲料等の飲料やハードヨーグルト、ソフトヨーグルト、プレーンヨーグルト、更にはケフィア、チーズ等も包含するものである。また、本発明の発酵乳食品には、種々の乳酸菌を利用した飲食品、例えば、プレーンタイプ、フレーバードタイプ、フルーツタイプ、甘味タイプ、ソフトタイプ、ドリンクタイプ、固形(ハード)タイプ、フローズンタイプ等の発酵乳、乳酸菌飲料、ケフィア、チーズ等が含まれる。
これらの発酵乳食品は、上記した乳酸菌発酵物に必要に応じて、シロップ等の甘味料のほか、それ以外の各種食品素材、例えば、各種糖質、増粘剤、乳化剤、各種ビタミン剤等の任意成分を配合することにより得られる。これらの食品素材として具体的なものは、ショ糖、グルコース、フルクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース、麦芽糖等の糖質、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水飴等の糖アルコール、アスパルテーム、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムK、ステビア等の高甘味度甘味料、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グァーガム、キサンタンガム、ペクチン、ローカストビーンガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類、アルギン酸プロピレングリコール等の各種増粘(安定)剤、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、クリーム、バター、サワークリームなどの乳脂肪、クエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸等の酸味料、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE類等の各種ビタミン類、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン等のミネラル分、ヨーグルト系、ベリー系、オレンジ系、花梨系、シソ系、シトラス系、アップル系、ミント系、グレープ系、アプリコット系、ペア、カスタードクリーム、ピーチ、メロン、バナナ、トロピカル、ハーブ系、紅茶、コーヒー系等のフレーバー類を挙げることができる。
斯くして得られる発酵乳食品は風味良好なものであり、しかも健康増進に優れ、また風味劣化の少ない飲食品として有用性が高いものである。また、本発明の乳酸菌発酵物は、培地に添加されたエキスにより乳酸菌の増殖促進作用や生残性改善作用に優れているので、十分な乳酸菌数およびその菌数が維持されたものとなる。更に、エキスに加えてオレイン酸類を培地に添加した場合には乳酸菌の増殖促進作用や生残性改善作用に相乗効果が認められる。
なお、本発明におけるエキスの乳酸菌に対する増殖促進および生残性改善の作用機序は、未だ明確ではないが、エキスにはミネラル分が多く含まれており、これらが、乳酸菌の増殖促進や生残性改善に寄与しているものと推測される。また、エキスとオレイン酸類とを組み合わせた場合には、上記ミネラル分とオレイン酸類の相乗効果により乳酸菌の増殖の促進や生残性の改善をするのではないかと推測される。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等になんら制約されるものではない。
実 施 例 1
<エキスの製造1>
ウコン(Curcuma longa L.の根茎)、どくだみ(Houttuynia cordata Thunb.)の地上部の全草、杜仲(Eucommia ulmoides Oliv.)の葉、柿葉(Diospyros Kaki Thunbの葉)、紫蘇(Perilla frutescens(L.)Britton var. acuta Kudo)の葉、クローブ(Syzygium aromaticum(L.)Merr. et Perryの蕾)およびシナモン(Cinnamomum zeylanicum Neesの樹皮)の各々に脱皮、破砕等の処理を施した後、90℃の熱水(各原料の10倍量)で60分間抽出し、ウコンエキス、どくだみエキス、杜仲エキス、柿葉エキス、紫蘇エキス、クローブエキスおよびシナモンエキスを調製した。これらを各々エバポレーターで濃縮し、各エキスをブリックス10に調整した。
実 施 例 2
<乳酸菌の増殖活性比較>
12%脱脂粉乳を基本培地とし、これに実施例1で製造し、ブリックス10に調整したウコンエキス、どくだみエキス、杜仲エキス、柿葉エキス、紫蘇エキス、クローブエキスまたはシナモンエキスをそれぞれ1%添加した後滅菌して各々滅菌培地を調製した。この各滅菌培地に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、37℃で48時間培養した。なお、比較培地としては、基本培地にミースト(ビール酵母自己消化物;アサヒビール食品(株)社製)0.15%を添加後滅菌したものを用いた。このミーストの添加量は、培養物の風味に対する悪影響が許容できる範囲の上限値である。
この後、培養物の酸度(培養物9gをとり、その中の有機酸を0.1N苛性ソーダでpH8.5となるまで滴定したときの滴定値;単位ml)を目安として乳酸菌の増殖活性を比較した。その結果を次の表1に示した。
Figure 0004739335
表1から明らかなように、ウコン、どくだみ、杜仲、柿葉、紫蘇、クローブおよびシナモンの各エキスを添加した培地で、無添加もしくはミーストを添加した培地に比べて酸度が高くなることが認められた。これは、これらエキスにより、乳酸菌の増殖が促進されたことを示している。
実 施 例 3
<酸抽出エキスの乳酸菌増殖効果の検証>
実施例1のエキスの製造において、熱水に代えて水およびクエン酸でpHを3.0、4.0、5.0に調整したものを用いる以外は、同様の条件で柿葉を処理し、各々ブリックス10の柿葉エキスを製造した。得られた各エキス1%を添加した15%脱脂粉乳培地(3%のグルコースを含む)に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、35℃で5日間培養を行った。得られた培養物の酸度を実施例2と同様に測定した。その結果を表2に示した。
Figure 0004739335
表2に示すとおり、乳酸菌に対する増殖活性は、抽出溶媒のpHを5.0以下に調製して得られるエキスを用いることで、顕著となる傾向が認められた。
実 施 例 4
<エキスの製造2>
ウコン(Curcuma longa L.の根茎)、どくだみ(Houttuynia cordata Thunb.)の地上部の全草、杜仲(Eucommia ulmoides Oliv.)の葉、柿葉(Diospyros Kaki Thunbの葉)、紫蘇(Perilla frutescens(L.)Britton var. acuta Kudo)の葉、クローブ(Syzygium aromaticum(L.)Merr. et Perryの蕾)およびシナモン(Cinnamomum zeylanicum Neesの樹皮)の各々に脱皮、破砕等の処理を施した後、水およびクエン酸でpH4.0に調整した溶液(10倍量)を用いて、実施例1と同様の条件で抽出し、ウコンエキス、どくだみエキス、杜仲エキス、柿葉エキス、紫蘇エキス、クローブエキスおよびシナモンエキスを調製した。これらを各々エバポレーターで濃縮し、ブリックス10に調整した。
実 施 例 5
<エキスの乳酸菌増殖効果の検証>
基本培地を16%脱脂粉乳として、これに実施例4のブリックス10に調整したウコンエキス、どくだみエキス、杜仲エキス、柿葉エキス、紫蘇エキス、クローブエキスまたはシナモンエキスを1%添加し、培地を調製した。この各培地に、各種乳酸菌のスターターを0.1%接種し、37℃で48時間培養した。
なお、培養には、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチラス・アシドフィラス、ラクトバチルス・クレモリス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・デルブルッキーサブスピーシーズ.ブルガリカス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトコッカス・ラクチスサブスピーシーズ.ラクチスを用いた。
この後、培養物の酸度を実施例2と同様に測定し、各種乳酸菌の増殖活性を比較した。その結果を表3に示した。
Figure 0004739335
表3から明らかなとおり、これらエキスの各種乳酸菌の増殖活性に与える効果は、菌株の種類によって多少の違いはあるものの、殆ど全ての菌株において認められた。特に、ウコンエキス、どくだみエキス、杜仲エキス、柿葉エキスには、顕著な効果が認められた。また、増殖活性効果は、基本培地での増殖が悪い菌株に対して優れた効果を与える傾向も認められた。このことは、獣乳培地では増殖しにくい乳酸菌を用いた場合であっても、これらのエキスを使用すれば、菌数の多い培養物を簡便に得ることが可能となることを示唆している。
実 施 例 6
<乳酸菌飲料の製造>
15%脱脂粉乳培地(3%のグルコースを含む)を基本培地とし、これに実施例4で製造した各種エキスをそれぞれ0.1%添加した試験培地を用意した。これら培地を加熱殺菌後、各培地にラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを0.5%接種して35℃で5日間培養を行い、培養物を得た。この培養物を15MPaで均質化したもの20重量部に、100℃で5分間殺菌した15%砂糖溶液を80重量部加え、更にヨーグルト香料((株)ヤクルトマテリアル社製)を0.1%添加して乳製品を製造した。この乳製品について5名の経験豊富なパネルにより味覚テストを行ったところ、いずれの乳酸菌飲料も基本培地を用いて得られた培養物を含有する対照品と差は認められなかった。
また、培地に添加した各種エキスは、基本培地に対して風味上の影響を与えず、非常によく調和しているとの評価もあり、乳酸菌飲料等の飲食品に用いる培養に用いても、風味の劣化がないことも確認された。
実 施 例 7
<柿葉エキスの添加量による風味および増殖活性効果への影響>
(1)柿葉エキスの製造
水およびクエン酸でpH4.0に調整した溶液(10倍量)を用いて、実施例1と同様の条件でそれぞれ柿葉エキスを調製した。これらをエバポレーターで濃縮し、ブリックス10に調整した。
(2)添加量の確認
15%脱脂粉乳培地(3%のグルコースを含む)に、(1)で調製したブリックス10の柿葉エキスを0.01〜10%の範囲で添加し、100℃で60分間殺菌して乳酸菌培養培地を調製した。この培養培地に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、35℃で酸度(サンプル9gに対して0.1N水酸化ナトリウムの中和滴定量)が24となるまで培養した。この後、培養物の乳酸菌数をBCP培地により測定した。また、この培養物を15MPaで均質化したもの20重量部に、15%砂糖溶液を100℃で5分間殺菌したものを80重量部加え、ヨーグルト香料((株)ヤクルトマテリアル社製)を0.1%添加し、乳製品を製造した。この乳製品について官能評価パネル5名で次の基準に基いて風味評価を行った。その結果を表4に示した。
< 評価基準 >
( 評価 ) ( 内容 )
◎ : とても良い
○ : 良い
± : どちらでもない
△ : 悪い
× : とても悪い
Figure 0004739335
表4から、柿葉エキスを0.1%程度添加することにより乳酸菌による培養促進効果が認められ、しかも、乳酸菌の生菌数も増加することが認められた。一方、柿葉エキスを培地に10%添加しても、添加量に比例した更に優れた効果は得られず、却ってエキス由来の風味が製品の風味に影響を与える傾向が認められた。また、エキスによる増殖促進効果は、水抽出よりも酸抽出によるもののほうが顕著であった。
実 施 例 8
<エキスの製造3>
米糠(Oryza sativaから得られる「もみ」の外皮(もみがら)を取り除いた種子(玄米)の果皮、種皮澱粉層、胚芽)、ウコン(Curcuma longa L.の根茎)、どくだみ(Houttuynia cordata Thunb.)の地上部の全草、杜仲(Eucommia ulmoides Oliv.)の葉、柿葉(Diospyros Kaki Thunbの葉)、紫蘇(Perilla frutescens(L.)Britton var. acuta Kudo)の葉、クローブ(Syzygium aromaticum(L.)Merr. et Perryの蕾)およびシナモン(Cinnamomum zeylanicum Neesの樹皮)のそれぞれに、脱皮・破砕等の処理を施した後、80℃の熱水(各原料の10倍量)で60分間抽出し、米糠エキス、柿葉エキス、紫蘇エキス、どくだみエキス、杜仲エキス、ウコンエキス、クローブエキスおよびシナモンエキスを調製した。これらを各々エバポレーターで濃縮し、各エキスをブリックス10に調整した。
実 施 例 9
<培養終了時の乳酸菌数の測定(1)>
3%のグルコースを含む15%脱脂粉乳の基本培地に、実施例8で製造し、ブリックス10に調整した米糠エキス、柿葉エキス、紫蘇エキス、どくだみエキス、杜仲エキス、ウコンエキス、クローブエキスまたはシナモンエキスを1%添加した後、100℃で60分間殺菌し、各々滅菌培地を調製した。この各滅菌培地にラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、37℃でpH3.7となるまで培養し、培養終了時の生菌数を測定した。また、上記エキスに代えてオレイン酸ナトリウムをオレイン酸として25ppmとなるように添加した培地および上記エキスとオレイン酸ナトリウムの両方を添加した培地を調製し、同様に培養終了時の生菌数を測定した。なお、生菌数の測定は、生理食塩水に適宜希釈したサンプルを、BCP培地で37℃、3日間保持した後に出現したコロニーをカウントすることにより行われた。その結果を表5に示した。
Figure 0004739335
表5より、米糠、柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブおよびシナモンの各エキスと、オレイン酸ナトリウムを併用することにより、前記エキスやオレイン酸ナトリウムを単独で用いた場合に比べて、培養終了時の乳酸菌数の相乗的な増加が認められることが示された。
実 施 例 10
<乳製品における乳酸菌生菌数の測定(1)>
実施例9で製造した培養物(比較品1,2、および実施品3,4)を15MPaで均質化したもの20重量部に、15%砂糖溶液を100℃で5分間殺菌したものを80重量部加え、ヨーグルト香料0.1%を添加し、乳製品を製造した。この乳製品を容器に充填し、得られた乳製品の製造直後と、10℃で14日間保存した後の乳酸菌の生菌数を実施例9のと同様に測定した。その結果を表6に示した。
Figure 0004739335
表6より、柿葉エキスとオレイン酸ナトリウムを併用して調製した培養物を原料として得られる乳製品は、これらを含まない(無添加)或いはそれぞれ単独で含有する培養物を用いて得られる乳製品に比べ、保存による製品中の乳酸菌数の変動を抑える効果に優れていることが示された。
実 施 例 11
<培養終了時の乳酸菌生菌数の測定(2)>
実施例9で調製した基本培地に、実施例8で調製した柿葉エキス1%と共に、オレイン酸を含有する各種乳化剤をオレイン酸含有量として25ppmとなるように添加する以外は実施例9と同様の条件でラクトバチルス・カゼイYIT9029を培養し、得られた培養物中の生菌数を実施例9の方法に従って測定した。その結果を表7に示した。
Figure 0004739335
表7より、いずれの乳化剤由来のオレイン酸を用いても柿葉エキスと併用することにより、得られる培養物中の乳酸菌数が高くなることが示された。これらの中でもグリセリンオレイン酸エステル、モノオレイン酸ヘキサグリセリンまたはショ糖オレイン酸エステルを使用したときの効果は顕著であった。
実 施 例 12
<培養終了時の乳酸菌数の測定(3)>
実施例8のエキスの製造において、熱水に代えて水およびクエン酸でpHを3.0、4.0、5.0に調整したものを用いる以外は、同様の条件で米糠、柿葉、杜仲、ウコンおよびクローブを処理し、各々ブリックス10のエキスを製造した。得られたエキスを0.1%添加した15%脱脂粉乳培地に、オレイン酸ナトリウムをオレイン酸含有量として25ppmとなるように添加し、更にラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、37℃でpH3.7となるまで培養を行った。得られた培養物の乳酸菌の生菌数を実施例9の方法に従って測定した。その結果を表8に示した。
Figure 0004739335
表8より、酸抽出により得られるエキスは抽出に用いた溶媒のpHが低いほど培養終了時の菌数が上昇する傾向が認められることが示された。特に、その効果は、pH5.0以下、更に言えば、pH4.0以下で抽出した各種エキスにおいて顕著に認められた。
実 施 例 13
<培養終了時の乳酸菌数の測定(4)>
pH4.0のクエン酸溶液を用いて、実施例8と同様の条件でブリックス10の柿葉エキスを調製した。このエキス1%とオレイン酸ナトリウムをオレイン酸として25ppm添加した10%脱脂粉乳を滅菌し、滅菌培地とした。この滅菌培地に各種乳酸菌のスターターを各々0.1%接種し、37℃で24時間培養した。なお、乳酸菌としては、ラクトバチルス・ブルガリクスYIT0098、ラクトバチルス・アシドフィルスYIT0071およびラクトバチルス・カゼイYIT9029を用いた。また、比較として10%脱脂粉乳を培地として上記と同様に乳酸菌を培養した。これらの培養物の乳酸菌数を実施例9と同様に測定した。その結果を表9に示した。
Figure 0004739335
表9より、酸抽出した柿葉エキスとオレイン酸ナトリウムを併用することにより得られる乳酸菌数の増加効果は、乳酸菌の種類によって多少の差は認められるものの、いずれの乳酸菌に対しても認められることが示された。
実 施 例 14
<培養終了時の乳酸菌数の測定(5)>
pH4.0のクエン酸溶液を用いて、実施例8と同様の条件でブリックス10の柿葉エキスを調製した。このエキスとオレイン酸としてグリセリンオレイン酸エステルを、下記表10に示した添加量になるように3%のグルコースを含む15%脱脂粉乳培地に添加した後、100℃で60分間殺菌し、各々滅菌培地を調製した。この各滅菌培地にラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、37℃でpHが3.7となるまで培養した。また、対照区として、一般的に培養促進剤と知られている、酵母エキス(DIFCO社製)を培地に0.2%添加し同様に培養を行った。これら培養物の乳酸菌数を実施例9と同様に測定した。その結果を表10に示した。
Figure 0004739335
表10より、柿葉エキスの0.1%以上と、オレイン酸を5ppm以上併せて添加することにより、明らかに生菌数の増加効果が認められ、それらは酵母エキスの添加と比較しても高い数値であること示された。
実 施 例 15
<乳製品における乳酸菌生菌数の測定(2)>
実施例14で製造した培養物を用いて、実施例10と同様に乳製品を製造した。この乳製品について官能評価パネル5名で次の基準に基づいて風味評価を行った。その結果を表11に示した。
< 評価基準 >
( 評価 ) ( 内容 )
◎ : とてもよい
○ : 良い
± : どちらでもない
△ : 悪い
× : とても悪い
Figure 0004739335
表11より、柿葉エキスを培地に10%添加、すなわち乳製品あたり2%添加すると、オレイン酸の添加量にかかわらず風味に影響が出てしまい、この添加量が許容限界であることが示された。なお、これらの添加量であっても、酵母エキスを添加したものと比較すると良好な風味であった。
実 施 例 16
<エキスの製造4>
甜茶(Rubus suavissimus S. Lee(Rosaceae))の葉に脱皮、破砕、焙煎等の処理を施した後、90℃の熱水(甜茶葉の10倍量)で60分間抽出し、甜茶エキスを調製した。得られたエキスをエバポレーターで濃縮し、ブリックスを10に調整した。
実 施 例 17
<乳酸菌に対する効果検証(1)>
12%脱脂粉乳を基本培地とし、これに実施例16で製造し、ブリックス10に調整した甜茶エキスを0.5%添加した後、滅菌して滅菌培地を調製した。この滅菌培地に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、37℃で48時間培養した。なお、比較例としては、基本培地にミースト(ビール酵母自己消化物;アサヒビール食品(株)社製)0.15%を添加した後、滅菌したものを用いた。このミーストの添加量は、培養物の風味に対する悪影響が許容できる範囲の上限値である。
この後、培養物の酸度(培養物9gをとり、その中の有機酸を0.1N苛性ソーダでpH8.5となるまで滴定したときの滴定値;単位ml)を目安として乳酸菌の増殖活性を比較した。その結果を表12に示した。
Figure 0004739335
表12から明らかなように、甜茶エキスを添加した培地では、無添加若しくはミースト添加した培地に比べ、酸度が高くなることが認められた。これは、甜茶エキスによって、乳酸菌の増殖活性が促進されたことを示している。
実 施 例 18
<乳酸菌に対する効果検証(2)>
実施例16のエキスの製造において、熱水に代えて、pHを3.0、4.0、5.0に調整したクエン酸水溶液(温度90℃)を用いる以外は、同様の条件で甜茶の葉を処理し、それぞれブリックス10の甜茶エキスを製造した。得られた各エキス1%を添加した15%脱脂粉乳培地(3%のグルコースを含む)に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、35℃で5日間培養を行った。得られた培養物の酸度を実施例17と同様に測定した。その結果を表13に示した。
Figure 0004739335
表13に示すとおり、乳酸菌に対する増殖活性は、抽出溶媒のpHを5.0以下に調製して得られる甜茶エキスを用いることで、顕著となる傾向が認められた。
実 施 例 19
<エキスの製造5>
甜茶(Rubus suavissimus S. Lee(Rosaceae))の葉に脱皮、破砕、焙煎等の処理を施した後、pH4.0に調整したクエン酸水溶液(甜茶葉の10倍量)を用いて実施例16と同様の条件で抽出し、甜茶エキスを調製した。得られたエキスをエバポレーターで濃縮し、ブリックスを10に調整した。
実 施 例 20
<乳酸菌に対する効果検証(3)>
基本培地を16%脱脂粉乳として、これに実施例19のブリックス10に調整した甜茶エキスを1%添加し、培地を調製した。この培地に、各種乳酸菌のスターターを0.1%接種し、37℃で48時間培養した。
なお、培養には、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・クレモリス、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・デルブルッキィーサブスピーシーズ.ブルガリカス、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ラクトコッカス・ラクチスサブスピーシーズ.ラクチスを用いた。
この後、培養物の酸度を実施例17と同様に測定し、各種乳酸菌の増殖活性を比較した。その結果を表14に示した。
Figure 0004739335
表14から明らかな通り、甜茶エキスの各乳酸菌の増殖活性に与える効果は、菌株の種類によって多少の違いはあるものの、殆ど全ての菌株において認められた。また、増殖活性の効果は、基本培地での増殖があまりよくない菌株に対して優れた効果を与える傾向も認められた。このことは、獣乳培地では増殖しにくい乳酸菌を用いた場合であっても、甜茶エキスを使用すれば、菌数の多い乳酸菌発酵物を簡便に得ることが可能となることを示している。
実 施 例 21
<甜茶エキスの添加量の検討>
(1)甜茶エキスの製造
pH4.0に調整したクエン酸水溶液(10倍量)を用いて、実施例16と同様の条件で甜茶エキスを調製した。これをエバポレーターで濃縮し、ブリックス10に調整した。
(2)添加量の確認
15%脱脂粉乳培地(3%グルコースを含む)に、(1)で調製したブリックス10の甜茶エキスを0.01〜10%の範囲で添加し、100℃で60分間殺菌して乳酸菌培養培地を調製した。この培地に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、35℃で酸度(サンプル9gに対して0.1N苛性ソーダの中和滴定量)が24となるまで培養した。この後、培養物の乳酸菌数をBCP培地により測定した。また、この培養物を15MPaで均質化したもの20質量部に、15%砂糖溶液を100℃で5分間殺菌したものを80質量部加え、ヨーグルト香料((株)ヤクルトマテリアル社製)を0.1%添加し、乳製品を製造した。この乳製品について、官能評価パネル5名で次の基準に基づいて風味評価を行った。その結果を表15に示した。
< 評価基準 >
(評価) (内容)
◎ : とてもよい
○ : よい
± : どちらでもない
△ : 悪い
× : とても悪い
Figure 0004739335
表15から、甜茶エキスを0.01%程度添加することにより、乳酸菌に対する増殖活性効果が得られ、しかも、乳酸菌の生菌数も増加することが認められた。一方で、甜茶エキスの添加量が10%よりも多くなっても添加量に比例した効果は得られず、却って製品の風味に影響が与える傾向が認められた。また、エキスによる効果は、水抽出よりも酸抽出によるもののほうが顕著であった。
実 施 例 22
<乳酸菌に対する効果検証(4)>
3%のグルコースを含む15%脱脂粉乳の基本培地に、実施例16および実施例19で製造し、ブリックス10に調整した甜茶エキスを1%添加した後、100℃で60分間殺菌し、滅菌培地を調製した。この培地に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、37℃でpH3.7となるまで培養し、培養終了時の生菌数を測定した。また、上記エキスに代えてオレイン酸ナトリウムとオレイン酸量として25ppmとなるように添加した培地および上記エキスとオレイン酸ナトリウムの両方を添加した培地を調製し、同様に培養終了時の生菌数を測定した。なお、生菌数の測定は、生理食塩水に適宜希釈したサンプルを、BCP培地で37℃、3日間保持した後に出現したコロニーをカウントすることにより行われた。その結果を表16に示した。
Figure 0004739335
表16より、各甜茶エキスと、オレイン酸ナトリウムを併用することにより、甜茶エキス単独で使用した場合に比べて乳酸菌数の相乗的な増加が認められた。
実 施 例 23
<乳酸菌に対する効果検証(5)>
実施例22で製造した乳酸菌発酵物(実施品42、43、44および45)を15MPaで均質化したもの20質量部に、15%砂糖溶液を100℃で5分間殺菌したものを80質量部加え、ヨーグルト香料0.1%を添加し、乳製品を製造した。この乳製品を容器に充填し、得られた乳製品の製造直後と、10℃14日間保存した後の乳酸菌の生菌数を実施例22と同様に測定した。その結果を表17に示した。
Figure 0004739335
表17より、甜茶エキス単独、或いは甜茶エキスとオレイン酸ナトリウムを併用して調製した乳酸菌発酵物を原料として得られる乳製品は、これらを含まない乳酸菌発酵物を用いて得られる乳製品に比べ、保存による製品中の乳酸菌数の変動を抑える効果に優れていることが示される。また、オレイン酸ナトリウムと併用したときは、甜茶エキス単独のときと違い、上記効果が相乗的に得られた。
実 施 例 24
<乳酸菌に対する効果検証(6)>
pH4.0のクエン酸水溶液を用いて、実施例16と同様の条件でブリックス10の甜茶エキスを調製した。10%脱脂粉乳に、このエキス1%とオレイン酸ナトリウムをオレイン酸として25ppm添加した後、これを滅菌し、滅菌培地とした。この培地に、各種乳酸菌のスターターを0.1%接種し、37℃で24時間培養した。なお、乳酸菌としては、ラクトバチルス・デルブルッキィー サブスピーシーズ.ブルガリカス、ラクトバチルス・アシドフィルス及びラクトバチルス・カゼイを用いた。また、比較例として、10%脱脂粉乳を培地として、上記と同様に乳酸菌を培養した。これらの培養物の乳酸菌数を実施例22と同様に測定した。その結果を表18に示した。
Figure 0004739335
表18より、甜茶エキスとオレイン酸による効果は、乳酸菌の種類によって多少の差は認められるものの、いずれの乳酸菌に対しても認められることが示された。
実 施 例 25
<乳酸菌に対する効果検証(7)>
3%のグルコースを含む15%脱脂粉乳の基本培地に、実施例19で製造し、ブリックス10に調整した甜茶エキス1%と、オレイン酸を含有する各種乳化剤をオレイン酸含有量として25ppmとなるように添加した後、100℃で60分間殺菌し、それぞれ滅菌培地を調製した。これらの培地にラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、37℃でpH3.7となるまで培養し、実施例21と同様に生菌数を測定した。その結果を表19に示した。
Figure 0004739335
表19に示すとおり、いずれの乳化剤由来のオレイン酸を用いても甜茶エキスと併用することにより、乳酸菌に対する増殖活性効果が認められた。中でも、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸モノグリセリンまたはショ糖オレイン酸エステルを使用したときの効果は顕著であった。
実 施 例 26
<乳酸菌に対する効果検証(8)>
pH4.0のクエン酸水溶液を用いて、実施例16と同様の条件でブリックス10の甜茶エキスを調製した。3%のグルコースを含む15%脱脂粉乳培地に、上記エキスとオレイン酸としてグリセリンオレイン酸エステルを下記表20に示した添加量になるように添加した後、100℃で60分間殺菌し、各滅菌培地を調製した。これらの培地にラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを1%接種し、37℃でpHが3.7となるまで培養した。また、対照区として、一般的に培養促進剤と知られる酵母エキス(DIFCO社製)を培地に0.2%添加し、同様に培養を行った。これらの培養物の乳酸菌数を実施例22と同様に測定した。その結果を表20に示した。
Figure 0004739335
表20に示すとおり、オレイン酸を0.01ppm以上添加することにより、乳酸菌の増殖活性効果が認められた。
実 施 例 27
<乳酸菌に対する効果検証(9)>
実施例26で製造した乳酸菌発酵物を用いて、実施例21と同様に乳製品を製造した。この乳製品について官能評価パネル5名により実施例21と同様の評価基準で風味評価を行った。その結果を表21に示した。
Figure 0004739335
表21から、オレイン酸の添加量に関係なく、表15と同様に、甜茶エキスの添加量が10%、すなわち、製品当り2%添加すると風味に影響がでることが明らかとなった。なお、これらの添加量であっても、酵母エキスを添加したものと比べると風味は良好であった。
本発明の乳酸菌発酵物は、乳酸菌の生菌数が多く、しかも、その死滅を抑制できるので、風味の劣化が少ないものである。従って、この乳酸菌発酵物は、各種発酵乳食品の原料として好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. 柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上を、pH4.0以下の酸性条件下で酸抽出することにより得られたエキスをブリックス糖度10のエキスとして0.01〜5質量%含有する獣乳培地で乳酸菌を培養して得られることを特徴とする乳酸菌発酵物。
  2. 柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上を、pH4.0以下の酸性条件下で酸抽出することにより得られたエキスをブリックス糖度10のエキスとして0.01〜5質量%と、オレイン酸若しくはその誘導体とを含有する獣乳培地で乳酸菌を培養して得られることを特徴とする乳酸菌発酵物。
  3. オレイン酸若しくはその誘導体が、グリセリンオレイルエステル、ポリグリセリンオレイルエステルおよびショ糖オレイルエステルよりなる群から選ばれたオレイン酸エステルまたはオレイン酸の金属塩である請求項2に記載の乳酸菌発酵物。
  4. オレイン酸若しくはその誘導体を1〜50ppmの範囲で含有するものである請求項または3に記載の乳酸菌発酵物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の乳酸菌発酵物を含有してなる発酵乳食品。
  6. 柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上を、pH4.0以下の酸性条件下で酸抽出することにより得られたエキスをブリックス糖度10のエキスとして0.01〜5質量%含有する獣乳培地で乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸菌発酵物の製造方法。
  7. 柿葉、紫蘇、どくだみ、杜仲、ウコン、クローブ、シナモンおよび甜茶よりなる群から選ばれた食品素材の少なくとも1種以上を、pH4.0以下の酸性条件下で酸抽出することにより得られたエキスをブリックス糖度10のエキスとして0.01〜5質量%と、オレイン酸もしくはその誘導体とを含有する獣乳培地で乳酸菌を培養することを特徴とする乳酸菌発酵物の製造方法。
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