JP4746728B2 - センターテイクオフ型ステアリング装置用樹脂製ステアリングブーツ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂製ステアリングブーツに関する。さらに詳述すると、本発明はステアリング装置の出力取出し手段を通過させる孔を有する筒状部とその両側に配置される伸縮可能な蛇腹部とを有するセンターテイクオフ型ステアリング装置用樹脂製ステアリングブーツの構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
センターテイクオフ型ステアリング装置(ラックアンドピニオン型動力舵取装置)で使用される従来のステアリングブーツは、伸縮しない円形の筒状部とこれを挟んでその両側に配置される蛇腹部とを備える均一肉厚の一体構造物で、筒状部にはステアリングタイロッドが連結される取付板をラックに取り付ける出力取出し用ボルト即ちラックの中央部から舵取輪への出力を取り出す手段が通過させられる孔が設けられている。
【0003】
このセンターテイクオフ型ステアリングブーツの場合、筒状部の出力取出し用ボルトが通される孔から塵等が侵入しないように、ステアリングタイロッドが連結される取付板とラックとの間に介在されて出力取出し用ボルトの周囲を覆う円筒状スペーサによって孔が塞がれている。スペーサの外周面には筒状部の孔の縁と嵌合する環状溝が設けられ、孔の縁部分をスペーサの環状溝の縁部分で内外から挟み込むことで孔の周囲を隙間なく覆って塵埃が侵入しないように設けられているものや(実開昭57−124275号公報参照)、剛体と取付板とで挟持することで、孔の周囲を隙間なく覆うものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のセンターテイクオフ型ステアリングブーツの構造では、蛇腹部が伸縮した時の力を筒状部が受けて筒状部が変形すると共に孔付近に応力が集中してしまうことがあった。このため、孔の周りの縁部分が反り返ってスペーサの環状溝から離脱してシール性を損なう虞がある。また、スペーサと孔との嵌合状態を良好に保ってシール性を向上させるためには、筒状部の孔周りを平坦な面とする必要があるが、このような平坦部の存在は蛇腹部からの力が筒状部全体に均一に分散できずに最も強度の弱い孔周辺部に集中し孔周辺部の変形を発生し易くする。
【0005】
そこで、本発明は、筒状部が変形し難く、出力取出し用ボルトが通される孔のシール性を高めることができる構造のセンターテイクオフ型ステアリング装置用樹脂製ステアリングブーツを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ステアリング装置の出力取出し手段を通過させる孔を有する筒状部と、この筒状部の両側に配置される伸縮可能な蛇腹部とを有するセンターテイクオフ型ステアリング装置用樹脂製ステアリングブーツにおいて、筒状部の肉厚t’を蛇腹部の肉厚tより厚くすることにより筒状部の強度を増すようにしている。
【0007】
したがって、中央の筒状部は、ステアリングの動作の際に両側の蛇腹部が伸縮することによって力を受けても、蛇腹部よりも強度があるため変形し難く、特に孔周辺部における変形が生じ難く反り返りなどが起こらない。このため、ステアリング装置の出力取出し手段との間に構成されるシールが損なわれる虞が少ない。しかも、ブーツ製造設備特にブロー成形金型などを変更せずにパリソンの肉厚やブロー方法の僅かな変更により、蛇腹部の変形に伴って受ける力に耐えて少なくとも孔の周辺部の変形を防止し得る強度を筒状部に備えさせることができる。
また、請求項1記載のステアリングブーツは、筒状部に設けた孔の周囲に嵌合状態を良好に保つ平坦部を形成するとともにこの平坦部の少なくとも軸方向に延びる側縁部を径方向へ突出する凸形状とするようにしている。したがって、平坦部の少なくとも軸方向の強度が増すため、ステアリング装置の稼働により伸縮する蛇腹部から筒状部が力を受けても、平坦部の軸方向における変形が抑制されて取付板との接触が保たれ、筒状部が取付板によってバックアップされて平坦部特に孔付近の変形を少なくする。また、平坦部は取付板と当接することにより位置決めを行えるので、出力取出し手段及びスペーサと孔部との位置決めをし易くする。
【0009】
ここで筒状部の肉厚t’は、請求項2記載の発明のように、2t以上3.5t以下とすることが好ましい。2tより小さいと筒状部は十分な強度が得られなくなり、3.5tより大きいと厚肉部と薄肉部とでパリソン肉厚比が大きく異なりブロー成形が難しくなる。筒状部の肉厚t’を蛇腹部の肉厚の2倍以上3.5倍以下に納めることによって、蛇腹部の伸縮の際の力を受けても屈しない適度な強度のブーツをブロー成形で得ることが可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載のステアリングブーツにおいて、筒状部の両端部がさらに厚肉としたものである。この場合、厚肉の端部は、蛇腹部から受ける反力によって変形を生じ難いため、蛇腹部から受けた反力を均一分散して筒状部に伝達し、応力の集中を少なくする。また、孔周辺部の変形を防止する。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載のステアリングブーツにおいて、平坦部の周縁にステアリング装置の出力取出し手段を取り付ける取付板と接する突起体を設けるようにしている。この場合、突起体は取付板とほぼ一様に当接する座面として機能すると共に平坦部の強度を補強するリブとして機能するので、平坦部のゆがみや反り返りを防ぐ。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1〜図4に、本発明の一実施形態を示す。本発明のステアリングブーツ1は、センターテイクオフ型ステアリング装置用の樹脂製ブーツであり、ステアリング装置の出力取出し手段11を通過させる2つの孔5,5を有する筒状部2と、この筒状部2の軸方向両側に接続される伸縮可能な蛇腹部4,4とから成る。ここで、ステアリング装置の出力取出し手段11とは、ステアリングタイロッドが連結される取付板10をステアリングブーツ1内のラック12に取り付ける出力取出し用ボルト即ちラック12の中央部から舵取輪への出力を取り出す手段であり、取付板10とラック12との間に設けられてラック12などの位置決めを容易にするスペーサ13を含む。
【0017】
このステアリングブーツ1は、蛇腹部4,4の変形による反力を受けたときに、少なくとも孔5,5の周辺が変形しない強度を筒状部2が有するように形成されている。本実施形態では、筒状部2の肉厚t’を蛇腹部4の肉厚tより厚くして筒状部2の強度を向上させ、孔5,5の周辺部の変形を防止するようにしている。
【0018】
筒状部2は、図3に示すように全体としてほぼ円筒形状を成し、取付板10と対抗する部分に平坦な面あるいは矩形状の枠を形成する平坦部3が構成されている。この筒状部2の平坦部3には、締結取出し手段11である出力取出し用ボルトを通過させるための2つの孔5が形成されている。孔5は特別な断面形状を有するものである必要はなく、従来と同様の断面形状もしくは特別な形状のいずれでも構わない。
【0019】
平坦部3の周縁には取付板10と当接する突起体8が設けられ、平坦部3の強度が補強されている。例えば本実施形態では、平坦部3の周縁に矩形状の枠のように突起体8が形成され、該突起体8によって取付板10と当接する座面が形成される。平坦部3の補強は必ずしも突起体8によらず、平坦部3の軸方向に延びる側縁にそれぞれ凸部9,9を形成することによって平坦部3の軸方向における捻れなどに対する強度を増すようにしても良い。平坦部3において要求される変形や反りは主に蛇腹部4の伸縮に伴う軸方向の力に起因するものであり、少なくとも凸部9が設けられることによって、凸部9と接する取付板10と相まって孔5周辺の変形を少なくすることができるが、より好ましくは凸部9と直交する筒状部2の接線方向の補強を伴う突起体8の形成である。
【0020】
そこで、本実施形態は、図2に示すように、上述の凸部9を含めてこの突起体8を平坦部3を囲む矩形とし、かつ図1および図3に示すように、取付板10側を平坦面に形成して取付板10と面接触し得るようにしている。このため、筒状部2は突起体8を介して取付板10と圧力等分布状態で接触し、取付板10からのバックアップを受けて孔5,5の周辺部の反りかえりを防ぐ。また、平坦部3の周囲に矩形に形成された突起体8は、平坦部3の捻れなどに対する強度をさらに向上させる。また、図4に示すように剛体のスペーサ13と取付板10とで挟持してシールする場合、突起体8、凸部9,9によって、取付板10は孔の位置に容易に取り付けることができる。図3または図4に示したように、取付板10とラック12との間、あるいは筒状部2とラック12との間に介在するスペーサ13は平坦部3の捻れに対する強度をさらに向上させ得る。
【0021】
また、本実施形態では、筒状部2を蛇腹部4の肉厚tよりも厚く形成することによっても筒状部2の強度を向上させるようにしている。この場合、筒状部2の肉厚t’は2t以上3.5t以下とすることが好ましい。2tより小さい場合には十分な強度が得られず、3.5tより大きい場合にはブロー成形によるステアリングブーツの成形が困難となる。
【0022】
また、筒状部2の肉厚t’を厚くする他、この筒状部2にリブ6を設けることにより強度を向上させることも可能である。本実施形態では、リブ6を筒状部2の外周に格子状に設けて強度を向上させている。この場合、筒状部2の強度が軸方向および径方向の双方に強化され、軸方向に反ったり横断面形状がいびつに変形することがない。ただし、リブ形状はこれに限定されず、例えば斜め格子形状に設けてもよいし、ステアリングブーツ1の軸方向に沿って複数本の直線状リブを設けてもよい。また、このリブ6を内周面側に突出させて形成することも可能である。
【0023】
さらに、筒状部2の両端には図1に示すような横断面形状が円形状である端部(以下、円環部と呼ぶ)7を形成していることが好ましい。上述したように、ステアリングブーツ1は、ほぼ円筒形状の筒状部2に平坦部3が設けられた形状となっているが、このような円環部7をさらに設けることによって筒状部2が受ける蛇腹部4からの反力を均一分散し、孔5,5の周辺部における応力の集中を少なくすることが可能となる。本実施形態では、図1に示すように筒状部2の軸方向両端にそれぞれ円環部7を設け、両蛇腹部4,4からの反力の分散を図っている。
【0024】
一方、蛇腹部4,4の形状などは特に限定されることはなく、必要に応じた公知の形状や図1に示すように蛇腹形状を採用できる。ここで、本明細書で言う蛇腹部の肉厚tは相手側部材への装着部を除く領域の山頂部の肉厚を指す。
【0025】
以上のように形成したステアリングブーツ1は、中央の筒状部2が、ステアリングの動作の際に両側の蛇腹部4が伸縮することによって力を受けても、蛇腹部4よりも強度があるため変形し難く、特に孔5の周辺部における変形が生じ難く反り返りなどが起こらない。このため、ステアリング装置の出力取出し手段11との間に構成されるシールが損なわれる虞が少ない。しかも、筒状部2の肉厚t’を蛇腹部4の肉厚tより厚くすることにより筒状部2の強度を増すようにしている場合、特に筒状部2の肉厚t’を蛇腹部4の肉厚tの2倍以上3.5倍以下にする場合、通常のブロー成形の適用で筒状部2が変形し難く、出力取出し手段11が通される孔5のシール性を高めるブーツの製造が実現できる。
【0026】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0027】
例えば、本実施例では、筒状部2の肉厚t’を蛇腹部4の肉厚tよりも厚くすることの他に、筒状部2の端部に円環部7を設けること、リブ6を設けること、平坦部3を形成すること、さらにこの平坦部3に凸部9を形成することあるいは突起体8を形成することを同時に実施しているがこれに特に限定されず必要に応じていずれかの手段を選択しあるいは組み合わせることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1記載のステアリングブーツによると、筒状部の肉厚t’を蛇腹部の肉厚tより厚くすることにより筒状部の強度を増すようにしているので、中央の筒状部がステアリングの動作の際に両側の蛇腹部が伸縮することによって力を受けても、蛇腹部よりも強度があるため変形し難く、特に孔周辺部における変形が生じ難く反り返りなどが起こらないので、ステアリング装置の出力取出し手段との間に構成されるシールが損なわれる虞が少ない。しかも、ブーツ製造設備特にブロー成形金型などを変更せずにパリソンの肉厚やブロー方法の僅かな変更により、蛇腹部の変形に伴って受ける力に耐えて少なくとも孔の周辺部の変形を防止し得る強度を筒状部に備えさせることができる。
【0029】
特に、請求項2記載の発明のように、筒状部の肉厚t’を蛇腹部の肉厚の2倍以上3.5倍以下に納めることによって、蛇腹部の伸縮の際の力を受けても屈しない適度な強度のブーツをブロー成形で得ることが可能となる。
また、請求項1記載のステアリングブーツでは、筒状部に設けた孔の周囲に嵌合状態を良好に保つ平坦部を形成するとともにこの平坦部の少なくとも軸方向に延びる側縁部を径方向へ突出する凸形状としたので、平坦部の少なくとも軸方向の強度が増すため、ステアリング装置の稼働により伸縮する蛇腹部から筒状部が力を受けても、平坦部の軸方向における変形が抑制されて取付板との接触が保たれ、筒状部が取付板によってバックアップされて平坦部特に孔付近の変形を少なくする。また、平坦部は取付板と当接することにより位置決めを行えるので、出力取出し手段及びスペーサと孔部との位置決めをし易くする。
【0032】
さらに、請求項3記載のステアリングブーツによると、厚肉の端部が蛇腹部から受ける反力によって変形を生じ難いため、蛇腹部から受けた反力を均一分散して筒状部に伝達し、応力の集中を少なくする。
【0034】
そして請求項4記載のステアリングブーツによると、突起体が平坦部の強度を補強するリブとして機能するので、平坦部のゆがみや反り返りを防ぐことができ、孔周辺の反り返りや変形を防いでシール性を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すステアリングブーツの縦断面図である。
【図2】ステアリングブーツの筒状部の形状を示す部分平面図である。
【図3】ステアリングブーツの孔および出力取出し手段の周辺構造を示す部分図で、(A)筒状部側方からみた断面図、(B)軸方向からみた断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示すステアリングブーツの孔および出力取出し手段の周辺構造を示す部分図で、(A)筒状部側方からみた断面図、(B)軸方向からみた断面図である。
【符号の説明】
1 ステアリングブーツ
2 筒状部
3 平坦部
4 蛇腹部
5 孔
6 リブ
7 円環部(筒状部の円形端部)
8 突起体
9 凸形状(凸部)
10 取付板
11 出力取出し手段
Claims (4)
- ステアリング装置の出力取出し手段を通過させる孔を有する筒状部と、この筒状部の両側に配置される伸縮可能な蛇腹部とを有するセンターテイクオフ型ステアリング装置用樹脂製ステアリングブーツにおいて、前記筒状部の肉厚t’を前記蛇腹部の肉厚tより厚くし、且つ前記筒状部に設けた前記孔の周囲に嵌合状態を良好に保つ平坦部を形成するとともにこの平坦部の少なくとも軸方向に延びる側縁部を径方向へ突出する凸形状としたことを特徴とするセンターテイクオフ型ステアリング装置用樹脂製ステアリングブーツ。
- 前記筒状部の肉厚t’を2t以上3.5t以下としたことを特徴とする請求項1記載のセンターテイクオフ型ステアリング装置用樹脂製ステアリングブーツ。
- 前記筒状部は両端部がさらに厚肉であることを特徴とする請求項1または2記載のセンターテイクオフ型ステアリング装置用樹脂製ステアリングブーツ。
- 前記平坦部の周縁に前記ステアリング装置の出力取出し手段を取り付ける取付板と接する突起体を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のセンターテイクオフ型ステアリング装置用樹脂製ステアリングブーツ。
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