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JP4748558B2 - アブソリュートエンコーダ - Google Patents
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JP4748558B2 - アブソリュートエンコーダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、産業機械分野における寸法測定、例えばモールドプレス金型の密着度や平行度の測定、ロール圧延機における圧延量の測定・制御、さらには生産・組立工場等における部品寸法の測定などに用いて好選なアブソリュートエンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の波長λmを有する第1のスケールと、該第1のスケールの信号を検出する第1の検出へッドとの相対変位に対応して位相が繰り返し変化する位相変調信号を出力する第1の検出手段と、上記第1のスケールとは異なる波長λaを有する第2のスケールと該第2のスケールの信号を検出する第2の検出ヘッドとの相対変位に対応して位相が繰り返し変化する位相変調信号を出力する第2の検出手段と、上記第1の検出手段と第2の検出手段から得られる信号の位相差を比較する位相比較回路とを有し、該位相比較回路より上記第1のスケール及び第2のスケールの波長よりも十分に長い波長の信号に相当して位相が変化する信号を得て、上記第1のスケール及び第2のスケールと、上記第1の検出ヘッド及び第2の検出ヘッドとの相対位置を検出する測尺装置が特公昭50−23618号公報に開示されている。
【0003】
この測尺装置において第1の検出手段から得られる位相変調信号epm、第2の検出手段から得られる位相変調信号epaは、次式のように表すことができる。
【0004】
epm=Ep1×Sin(2πft+2πX/λm)
epa=Ep2×Sin(2πft+2πX/λa)
さらに、波長λmとλaとの関係を、例えばN×λm=(N−1)×λaなる関係に選ぶと、これらの信号の位相θm(=2πX/λm)及びθa(=2πX/λa)の差Δθ(=θm−θa)は、次式に示すように波長λmのN倍の周期で繰り返す信号となる。
【0005】
Δθ=2πX/(N×λm)
したがって、上記測尺装置では、上記の位相差Δθを所定の位相差、すなわち、2π/Nで除算することにより、N×λm区間内におけるλm単位の位置を検出ことが可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記測尺装置においては、各々のスケールから理想的な信号が得られない場合、例えば、位相変調信号が不完全な場合は、波長λ内に周期的な誤差を生じ、これらの誤差はλm単位の切替え位置にも重畳する。したがって、上記のごとく位相差Δθを2π/Nで除算したときに上記誤差のために、ズレを生じ、結果としてλm単位の誤差を発生することがある。
【0007】
また、これらの誤差を避けるためには、上記2つのスケールから得られる位相差Δθを用いて直接Nλm内を検出する方法が考えられるが、本方法では位相差ΔθがNλmなる仮想的に長いスケール内で位相が2πになる、すなわち周期的に位相が変化する信号であるため、キャリア周波数f内にキャリア周波数fのM倍のクロックパルスM×fを内挿して高分解能を得ようとした場合、分解能λm/(M×N)が、波長λmやNを拡大するほど高分解能を得るのが難しくなる。また、経時的変化により検出精度が悪化するなどの問題があった。
【0008】
そこで、上述の如き従来の問題点に鑑み、本発明の目的は、アブソリュートエンコーダの取付け状態や構成部品等の経時変化等に伴う検出誤差を監視し、必要に応じて自動調整を行うことにより、常に高精度な検出を実現することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、波長λmの目盛りが形成された第1のスケールと、該第1のスケールの信号を検出する第1の検出ヘッドと、上記第1のスケールと第1の検出ヘッドの相対的な変位量をキャリア周波数fの位相変調信号として取り出すように構成された第1の変位量検出手段と、上記第1のスケールと異なる波長λaの目盛りが形成された第2のスケールと、該第2のスケールの信号を検出する第2の検出ヘッドと、上記第2のスケールと第2の検出ヘッドとの相対的な変位量をキャリア周波数fの位相変調信号として取り出すように構成された第2の変位量検出手段と、上記第1の変位量検出手段より得られる位相変調信号と、第2の変位量検出手段から得られる位相変調信号との位相差を検出し、該位相差を用いて、第1のスケールの波長λmのN倍波長で繰り返す周期的な信号を得て、上記第1のスケールの波長のN倍区間をアブソリュートに検出するように構成したアブソリュートエンコーダにおいて、上記第1の変位量検出手段から得られるキャリア周波数fの位相変調信号を周波数fの基準信号と位相比較して第1のスケールの波長λm内における第1の検出ヘッドの絶対位置に対応したパルス幅変調信号を生成する第1の位相比較手段と、この第1の位相比較手段により生成されたパルス幅変調信号にキャリア周波数fのM倍のクロックパルスを内挿して第1のスケールの波長λm内における第1の検出ヘッドの絶対位置に対応した分解能λm/Mのパルス列に変換する第1のゲート回路と、上記第1の変位量検出手段から出力される位相変調信号と第2の変位量検出手段から出力される位相変調信号の位相差に対応するパルス幅変調信号を生成する第2の位相比較手段と、この第2の位相比較手段により生成されたパルス幅変調信号にキャリア周波数fのM倍のクロックパルスを内挿し、上記位相差に対応したパルス列に変換する第2のゲート回路と、上記第2の変位量検出手段と上記基準信号とを比較して第2のスケールの波長λaに対応する変位量ごとのパルスを生成するパルス生成手段と、上記第2のゲート回路の出力を利用して第1のスケールの波長λmのアドレスとして特定するようになし、上記第1のゲート回路から出力されるパルス列を計数して第1のスケールの波長λm内の絶対位置を得て、上記特定されたλmアドレスとを合成することにより、第1のスケールの波長λmのN倍区間に亘って分解能λm/Mで検出するとともに、上記第2のパルス生成手段から出力されるλaパルスの発生位置に対応する第1のスケールの波長λm内の絶対位置を計測し、該計測値の理論値からのずれ量を内挿誤差として検出し、該検出された内挿誤差とあらかじめ設定された規格値とを記憶手段に保存し、上記検出された内挿誤差を分析して上記第1の変位量検出手段に設けられた電子的調整手段に調整信号を供給して第1のスケールにおける内挿誤差を最小にするように電気調整を行う演算手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
以下に説明する本発明の実施の形態は、異なる波長を有する2つのトラックから出力される位相変調信号を用いて、該トラックの記録波長より長い範囲をアブソリュートに検出する測長システム、例えば、特公昭50−23618号公報に開示されている測尺装置を改良したものである。本発明が最も効果的に適用可能な磁気方式を例に図面を参照しながら詳細に説明する。また、磁気式においても検出ヘッドに過飽和コアを用いた方式や磁気抵抗効果素子(以下MRセンサ)を用いた方式等があり、後者においては記録波長と再生波長が異なる場合があるが、ここでは、検出ヘッドとしてMRセンサを用いた場合について、再生波長を基準に説明することとする。
【0012】
本発明においては、第1のスケールの波長λmと第2のスケールの波長λaとの関係をN×λm=(N±1)×λaと選び、第1のスケールから出力されるキャリア周波数fの位相変調信号に対し、該キャリア周波数fのM倍のクロックパルスを用いて内挿することにより、第1のスケールの波長λmのN倍の区間に亘って分解能λm/Mで計測可能であり、上記N及びMは、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に設定できる。
【0013】
ここでは、説明を簡単にするため、上記λmとN及びMに具体的な数値を当てはめて説明することとし、波長λmを1,024μm、内挿数Mを1,024(=210)として、さらに、上記Nを16として波長λmとλaとの関係を16×λm=(16+1)×λa=17×λaとすることにより、λmの1波長を1,024分割して1μmの分解能でアブソリュートに検出できるようにした具体的な構成例をもとに説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るアブソリュートエンコーダ100の構成を示すブロック図である。
【0015】
このアブソリュートエンコーダ100は、図示しないスケール部材上に波長λm(=1,024μm)の目盛りを記録することにより形成された第1のスケール11と、この第1のスケール11と対向し、波長λmに対して90゜位相差(λm/4)をもって配設された2チャンネルのMRセンサ12A,12Bで構成された第1の検出ヘッド12を備える。この第1の検出ヘッド12は、上記第1のスケール11との相対移動により、相対移動周期が2πx/λm(ただし、xは変位量)で、90゜位相差を有する2系統の正弦波信号Sin(2πx/λm),Cos(2πx/λm)を出力する。
【0016】
これら2相の正弦波信号Sin(2πx/λm),Cos(2πx/λm)は、例えば、図2に示すような構成の第1の変位量検出部13に導かれる。
【0017】
第1の変位量検出部13は、上記第1の検出ヘッド12を構成している2チャンネルのMRセンサ12A,12Bにより得られた2相の正弦波信号Sin(2πx/λm),Cos(2πx/λm)をタイミング信号生成部18により与えられる互いに90°の位相差をもつキャリア周波数fの2相信号MODC,MODSで平衡変調する乗算器31,32と、この乗算器31,32による平衡変調信号Sin(2πx/λm)×Cosωt,Cos(2πx/λm)Sinωtを加算する加算増幅器33を備える。
【0018】
上記第1の検出ヘッド12を構成している2チャンネルのMRセンサ12A,12Bは、2チャンネルのMRセンサ12A,12Bは、図3に示すように、それぞれMR素子12A,12A,12A,12A(12B,12B,12B,12BDC2)をブリッジ接続してなり、ブリッジ接続されたMRセンサの他方の端子に直流バイアスのずれ(以下、DCのずれ)を補整する電子ボリュームDC1(DC2)を装備している。
【0019】
また、上記加算増幅器33は、各チャンネルから得られる平衡変調信号Sin(2πx/λm)×Cosωt,Cos(2πx/λm)Sinωtを加算して位相変調信号Ep1×Sin(ωt+2πx/λm)を生成するものであって、図4に示すように、2チャンネル間の平衡変調信号Sin(2πx/λm)×Cosωt,Cos(2πx/λm)Sinωtの出力レベルを等しくするための電子ボリュームGAJを装備している。
【0020】
各電子ボリュームDC1,DC2,GAJは、その代表的な構成を図5に示すように、選択信号CSとワイパー制御信号U/D,INCが供給されるアップダウンカウンタ91、このアップダウンカウンタ91の計数出力をデコードするポジションデコーダ92、このポジションデコーダ92のデコード出力により抵抗値が切り換えられる可変抵抗器93からなる。
【0021】
そして、この第1の変位量検出部13は、上記3箇所の電子ボリュームDC1,DC2,GAJを選択して調整信号を供給するための調整信号制御回路34を備えている。この調整信号制御回路34は、図6に具体的な構成例を示すように、演算部17から供給される調整信号ADJの選択信号SLTをデコードするデコーダ34Aを備え、調整対象となる3箇の電子ボリュームDC1,DC2,GAJに選択信号CS1,CS2,CS3とワイパー制御信号U/D,INCを供給し、電子ボリュームDC1,DC2,GAJのワイパー位置を電子的に可変制御する。
【0022】
上記第1の変位量検出部13は、上記第1の検出ヘッド12を構成している2チャンネルのMRセンサ12A,12Bにより得られた2相の正弦波信号Sin(2πx/λm),Cos(2πx/λm)を乗算器31,32においてタイミング信号生成部18により与えられる互いに90°の位相差をもつキャリア周波数fの2相信号MODC,MODSで平衡変調し、上記乗算器31,32による平衡変調信号Sin(2πx/λm)×Cosωt,Cos(2πx/λm)Sinωtを加算増幅器33により信号レベルを合わせて加算することにより、次の(1)式に示すような位相変調信号epmを出力する。
【0023】
epm=Ep1×Sin(ωt+2πx/λm) (1)
ただし、ω=2πf、x=相対変位量
この位相変調信号epmは、例えば、図7に示すような構成の第1の位相比較部14に導かれる。
【0024】
第1の位相比較部14は、タイミング信号生成部18により与えられる周波数M×fのクロックパルスが供給されている第1及び第2の同期微分回路42,43並びにJKフリップフロップ44を備え、第1の変位量検出部13から位相変調信号epmが波形整形回路41を介して供給される上記第1の同期微分回路42による微分出力が上記JKフリップフロップ44のK入力端子に供給され、また、基準信号MODSが供給される上記第2の同期微分回路43による微分出力が上記JKフリップフロップ44のJ入力端子に供給されることにより、時刻tiにおける波長λm内の絶対位置に対応した位相量φm(ti)を有するパルス幅変調信号PWSmを上記JKフリップフロップ44から出力する。
【0025】
ここで、この第1の位相比較部14の動作タイミングを図8に示してあるように、サンプリング周期T(=1/f)ごとに第1の変位量検出部13から出力される位相変調信号epmでセットされ、基準信号MODSでリセットされるパルス幅変調信号PWSmの時刻tiにおける波長λm内の絶対位置x(ti)に対応した位相量φm(ti)は、次の(2)式のように表すことができる。
【0026】
φm(ti)=2π×x(ti)/λm (2)
上記第1の位相比較部14により得られたパルス幅変調信号PWSmは、タイミング信号生成部18により与えられるキャリア周波数fのM(=1,024)倍のクロックパルスM×fとともに第1のゲート回路15に入力される。
【0027】
ここで、位相量φm(ti)を有するパルス幅変調信号PWSmは、波長λm内の位置xに対応しパルス幅の変化する信号であり、最大位相量2π、すなわち、最大変位量λmに達したときのパルス幅はサンプリング周期T(=1/f)に等しいので、第1のゲート回路15では、M×fのクロック周波数を用いることにより位相量φm(ti)を1/Mの分解能、すなわち、変位x(ti)を分解能1μm(=λm/M=1,024/1,024)のパルス列SAPmとして検出可能であり、上記第1のゲート回路15により変換されたパルス列SAPmが演算部17に入力される。
【0028】
このアブソリュートエンコーダ100は、図示しないスケール部材上に第1のスケール11と平行して波長λa(=963.8μm)の目盛りを記録することにより形成された第2のスケール21と、この第2のスケール21と対向し、波長λaに対して90゜位相差(λa/4)をもって配設された2チャンネルのMRセンサで構成された第2の検出ヘッド22を備える。この第2の検出ヘッド22は、上記第1のスケール検出ヘッド12と一体的に構成されており、上記第2のスケール21との相対移動により、相対移動周期が2πx/λaで90゜の位相差を有する2系統の正弦波信号2πx/λa(ただし、xは変位量)で、90゜位相差を有する2系統の正弦波信号Sin(2πx/λa),Cos(2πx/λa)を出力する。
【0029】
上記第2の検出ヘッド22により得られる2系統の正弦波信号Sin(2πx/λa),Cos(2πx/λa)は、上記第1の変位量検出部13と同様な構成を有する第2の変位量検出部23に導かれる。
【0030】
第2の変位量検出部23は、次の(3)式に示すように、変位量λaごとに位相が2πだけ変化する位相変調信号epaを出力する。
【0031】
epa=Ep2×Sin(ωt+2πx/λa) (3)
ただし、ω=2πf、x=波長λa内の位置
この位相変調信号epaは、第1の位相比較部14と同様の構成を有する第2の位相比較部24において、第1の変位量検出部13から出力される位相変調信号epmと位相比較される。第2の位相比較部24は、第2の変位量検出部23から出力される位相変調信号epaと第1の変位量検出部13から出力される位相変調信号epmとの位相差に対応するパルス幅変調信号PWS2を出力する。
【0032】
上記(2)式からも明らかなように、位相変調信号の位相差φa(ti)は次の(4)式のように表せる。
【0033】
φa(ti)=2π×x(ti)/λa (4)
したがって、上記位相差Δφ(=φa(ti)−φm(ti))は、
Δφ=φa(ti)−φm(ti)
=2π×x(ti)(1/λa−1/λm) (5)
ここで、第1のスケール11の波長λmと第2のスケール21の波長λaとは、16λm=17λaの関係に選択されているので、上記Δφ(ti)は、
Δφ=2π×x(ti)/16λm
=2π×x(ti)/17λa (5)’
となり、第1のスケールの波長λmの16倍(N=16)の位置に達したときに一致する繰り返し信号である。
【0034】
図9は、上記アブソリュート計測区間において第1の変位量検出部13で検出された位相量φmと、第2の変位量検出回路9で検出された位相量φaとの関係を示している。
【0035】
そして、図10は、第1のスケールの波長λmの16倍区間内における任意の位置xに対する、第1の変位量検出部13で検出された位相量φmと、φaとφmとの位相差Δφ(=φa−φm)との関係を示したものである。この図10に示されるように、位相量φmはλmの1周期ごとに2π、Δφはλmの1周期ごとに2π/16ずつなる信号である。
【0036】
したがって、上記位相差Δφをλmの1周期に対応する位相量(以下、区間位相量)2π/16で除算し、その商としてxが位置するアブソリュート計測区間内におけるλmアドレスAjを検出することができる。
【0037】
ここで、上記位相差Δφは、キャリア周波数fのM倍のクロックパルスM×fとともに第1のゲート回路15と同様な構成を有する第2のゲート回路25に導かれ、上記位相差Δφに対応したパルス列SAPaに変換される。
【0038】
したがって、上記区間位相量2π/16は、区間パルス数M/16と等価であり、上記パルス列SAPaを区間パルス数M/16で除算することにより、その商としてxが位置するλm単位の絶対位置、すなわち、16λm内のλmアドレスAjを検出することができる。
【0039】
また、次の表1は、16λm=17λaの場合に、変位量xを0から16λmまで変化させたときのΔφとλmアドレスAjとの関係、及び、Δφに対応するパルス数ΔDとの関係を示したものである。
【0040】
【表1】
Figure 0004748558
【0041】
演算部17は、上記の関係を利用してλmアドレスAjを特定するとともに、上記φmをもとに生成された分解能1μmのパルス列SAPmとにより、1μmの分解能で16λm区間の絶対位置を生成する。例えば、図11に示すようにカウンタ機能(タイマー)を備えるマイクロコンピュータ(CPU)73を用いてソフトウエア処理で実現することができる。
【0042】
ここで、演算部17における主要な機能であるλmアドレスAjの検出にかかる基本原理について説明する。
【0043】
この演算部17は、上記第1のゲート回路15から出力される1μm分解能のパルス列SAPmをカウントするパルスカウンタ71と、第2のゲート回路25から出力されるパルス列SAPaをカウントするパルスカウンタ72を備え、該パルスカウンタ71,72の計測値をCPU73に取り込むためのトリガ信号として、パルス幅変調信号PWSm,PWSaのセット入力となる基準信号MODSがタイミング信号生成部18からCPU73への割り込み端子に供給されている。
【0044】
サンプリング時刻tiにおいて、上記(2)式に示す位相量φm(ti)のリセットタイミングに対応した基準信号MODSが入力されると、CPU73が割り込み動作を開始し、パルスカウンタ71で計測された第1のスケール11の波長λm内の絶対位置に対応するデータDm(ti)と、パルスカウンタ72で計測された上記2つの位相変調信号の位相差Δφに対応したパルス列SAPmの計測値ΔD(ti)がCPU73に取り込まれ、RAM74内の所定のメモリ領域に格納される。
【0045】
次に、CPU73は、上記位相差Δφに対応したこれらの計数値の差ΔDをRAM74内の所定の領域に格納するとともに、上記区間パルス数M/16で除算し、その商としてλmアドレスAjを特定し、該求められたAjをλm倍し、さらに、タイミングtiにおけるλm内の絶対値Dm(ti)とを加算し、16λm区間全域に亘る分解能1μmの絶対位置を生成する。
【0046】
このようにして生成された絶対位置は、RAM74内の所定のメモリ領域内に格納するとともに、例えば、測定データとして外部に出力する。
【0047】
ところで、上記の演算部17の動作は理想的な状態で述べたものであり、実際のシステムにおいては検出された信号の不完全さ、例えば、各々の検出ヘッド12,22に重畳するDCのずれ、さらには両チャンネルのヘッドから出力される平衡変調信号の90°位相からのずれ、すなわち、出力の位相ずれ等に起因する検出誤差、すなわち、波長λm内を高分解能で検出する際に発生する内挿誤差を内包しており、これらの内挿誤差がλmアドレスAjの切替え部に重畳するため、λmアドレスのAj判定に誤動作を起こすことがある。
【0048】
ここで、上述のずれと内挿誤差との関係について数式を用いて説明する。
【0049】
本発明の具体的な実施の形態として検出ヘッドとしてMRセンサを用いた場合について説明してきた。周知のごとく、MRセンサにおいてはリソグラフィーを基本としてマスクを製作するため、両チャンネルのヘッドの間隔を波長λに対して正確に90°(λ/4)に設定することができる。
【0050】
したがって、上記に示す誤差要因のうち、「出力の位相ずれ」の影響は無視することができる。
【0051】
以下、説明を簡単にするため、検出ヘッドに重畳するDCのずれと出力レベルのずれによって生ずる内挿誤差について説明する。
【0052】
上述の(1)式及び(2)式に示した位相変調信号は、2チャンネルの検出ヘッドから理想的な信号が得られることを前提にした理論式である。
【0053】
しかしながら、実際のシステムでは各の検出ヘッドに重畳するDCのずれや出力レベルのずれにより、(1)式や(2)式に示すような完全な位相変調信号とのずれを生じ、結果として内挿誤差を生ずる。
【0054】
DCのずれと出力レベルのずれが一般式として、波長λのスケールにおけるCH1検出ヘッド及びCH2検出ヘッドから得られる平衡変調信号を各々e1,e2とすると、平衡変調信号e1,e2は、
e1={A+(1+a)×Sin(2πx/λ)}×Cosωt (6)
e2={B+(1+b)×Cos(2πx/λ)}×Sinωt (7)
ただし、
a:CH1出力の基準値からのずれ、b:CH2出力の基準値からのずれ
A:CH1ヘッドへのDCの重畳、 B:CH2ヘッドへのDCの重畳
となり、式を簡単にするため、2πX/λ=X、ωt=Tとおけば、(6)式及び(7)式は
e1={A+(1+a)×SinX}×CosT (6)’
e2={B+(1+b)×CosX}×SinT (7)’
と表すことができる。
【0055】
次に、単一の誤差要因による場合の内挿誤差パターンについて説明する。
【0056】
ここでは、説明を簡単にするため、DCのみにずれがあった場合と出力レベルのみにずれがあった場合に分けて説明する。
(1)DCのみにずれがあった時(出力レベルのずれはない)
DCのみにずれがあったときの位相変調信号をepm(D)は、(6)’式及び(7)’式において、a=b=0とおいて加算した信号であり、次のように表すことができる。
【0057】
Figure 0004748558
A及びBが1より十分小さいとして近似式を求めると、
Figure 0004748558
ただし、
δ=tan−1(A/B)
θ=tan−1{(A+SinX)/(B+CosX)} (9)
ここで、(8)式の{ }の中は、位相変調信号epm(D)のエンベロープを表しており、基準振幅1に対しXの基準位置から位相がδだけ遅れた振幅が√(A+B)のリップルが重畳した、Xに対して一次の成分を有する正弦波状の信号であることが分かる。
【0058】
また、(9)式のθは変位量を表しているので、誤差がないときの理論値{θ=tan−1(SinX/CosX)}から減算すると、位相変調信号が理想からずれた、すなわち、DCのずれがあった時の誤差を表すことになる。
【0059】
今、Xに対して0から2πにわたる1波長内の内挿誤差をΔX(D)とおくと、内挿誤差をΔX(D)は、
ΔX(D)=tan−1{(A+SinX)/(B+CosX)}
−tan−1(SinX/CosX) (10)
であるから、ここで、
α={(A+SinX)/(B+CosX)}、
β=SinX/CosX
とおけば
tan−1α−tan−1β=tan−1{(α−β)/(1+α×β)}ゆえ、
ΔX(D)=tan−1{(A×CosX−B×SinX)/(1+A×SinX+B×CosX)}
となる。さらに、(A×SinX+B×CosX)が1より十分小さいことを考慮してΔX(D)の近似式を求めると、
ΔX(D)=tan−1(A×CosX−B×SinX) (11)
となる。
【0060】
さらに、微小角ではtan{ΔX(D)}=ΔX(D)と近似できる。
【0061】
したがって、DCのみにずれが生じたときの誤差の近似式は次のよう表すことができる。
【0062】
Figure 0004748558
ただし、
γ=tan−1(A/B) (13)
(12)式からも明らかなように、DCのみがずれた時の内挿誤差は、振幅がずれの大きさに比例し、かつ振幅の最大(最小)となる位置が(以下、位相)がずれによって変化するXの1周期、すなわち波長λに対して1周期の正弦波となることがわかる。
【0063】
(2)出力レベルのみにずれがあったとき(DCのずれはない)
出力レベルのみにずれがあったときの位相変調信号epm(G)は、(6)’式及び(7)’において、A=B=0とおいて加算した信号であり、簡単のためa=0とおき、bをCH1側出力に対する変化分とすれば、次のように表すことができる。
【0064】
Figure 0004748558
ここで、bが1より十分小さいとして近似値を求めると、
Figure 0004748558
ただし、
θ’=tan−1{SinX/(1+b)×CosX} (15)
ここで、(14)式の{ }の中は、位相変調信号epm(G)のエンベロープを表しており、基準振幅(1+b/2)に対し、bの符号、すなわち、CH1とCH2の出力の大小関係によって、極性が異なる振幅が(b/2)で、Xに対して2次の成分を有する正弦波状の信号が重畳している事が分かる。
【0065】
また、(15)式のθ’は変位量を表しているので、誤差がないときの理論値{θ=tan−1(SinX/CosX)}から減算すると、位相変調信号の理想からずれた、すなわち、両チャンネルの出力にずれがあった時の内挿誤差を表すことになる、今、Xに対して0から2πにわたる1波長内の内挿誤差をΔX(G)とおくと、内挿誤差ΔX(G)は、
ΔX(G)=tan−1{SinX/(1+b)×CosX}−tan−1(SinX/CosX)
であり、ここで、
α’={SinX/(1+b)×CosX}、
β’=(SinX/CosX)
とおけば、
ΔX(G)=tan−1(α’−β’)/(1+α’×β’)
ゆえ、
Figure 0004748558
となる。
【0066】
さらに、bが1に対して十分小さいときは、tan{ΔX(D)}=ΔX(D)に、分母は1と近似できる。
【0067】
したがって、出力レベルにずれが生じたときの誤差の近似式は次のように表すことができる。
【0068】
ΔX(G)=(−b/2×Cos2X) (17)
(17)式より明らかなように、出力レベルのみにずれが生じた時の内挿誤差ΔX(G)は、その振幅とその極性(出力の大小関係)が、bの絶対値と極性(両チャンネルの出力の大小関係)に比例し、位相が一定で、波長λの1周期に対して2周期の成分を有する正弦波状に変化する信号であることが分かる。
【0069】
単一誤差要因の場合の波長λの1周期内における振動の周期と極大(山)と極小(谷)の現れる位置を次の表2に示してある。この表2から各々の要因に対して独立なことが分かる。
【0070】
【表2】
Figure 0004748558
【0071】
次に、2つ以上の誤差要因が重畳した場合について説明する。
【0072】
同様に、2つ以上の誤差要因が重畳した場合としては、2つのヘッドにDCのずれが発生した場合と、いずれかのヘッドに対するDCのずれと出力レベルのずれが生じた場合である。
【0073】
(1)CH1ヘッドの正負のDCずれ(A>0,A<0)とCH2ヘッドの正負のDCずれ(B>0,B<0)とが重畳する4通りであり、これらが重畳したときの内挿誤差は、波長λに対して1周期の成分を持ち、各々の組合せにより極大(山)と極小(谷)の位置が変化する。簡単のために係数を1とおいた時の内挿誤差の例を図12〜図15に示す。
【0074】
(2)CH1ヘッドの正負のDCずれと出力レベルのずれが重畳する4通りであり、上記同様に係数を1とおいた時の内挿誤差の一例を図16に示す。波長λに対して2周期成分を持つが、一組の極大(山)と極小(谷)の位置が各々の組合せによって変化する。
【0075】
(3)CH2ヘッドの正負のDCずれと出力レベルのずれが重畳する4通りであり、上記同様に係数を1とおいた時の内挿誤差の一例を図17に示す。(2)と同様、波長λに対して2周期の成分を持っており、組合せによって極大(山)と極小(谷)の位置が変化し、かつ、(2)とは独立である。
【0076】
次に、3つ以上の要因が重畳した場合について説明する。
【0077】
3つ以上の誤差要因の重畳としては、出力レベルのずれと2つのヘッドのDCずれが同時に発生した場合である。
【0078】
(1)CH1の出力がCH2の出力より小さい状態で、CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳する4通りであり、図18に内挿誤差の一例を示す。波長λ内にただ1つの極大(山)又は極小(谷)を持ち、その位置が各々の組合せにより変化する。
【0079】
(2)CH1の出力がCH2の出力より大きい状態で、CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳した場合の4通りにおける内挿誤差の一例を図19に示す。上記同様、波λ内にただひとつの極大(山)又は極小(谷)をもち、かつ、上記(2)とは独立である。
【0080】
次の表3は、2つ以上の誤差要因による内挿誤差の周期と、極大(山)と(谷)の位置を一覧表に示したものである。
【0081】
【表3】
Figure 0004748558
【0082】
以上より、位相変調信号が理想状態からずれたときには、位相変調信号のエンベロープに対し、ずれの要因に応じて固有の周期と位相を持つリップル成分が重畳し、かつ、ずれの要因に固有な周期と位相をもつ内挿誤差が発生することが分かる。
【0083】
これらからも明らかなように、λmアドレスAjの切替え部は第1のスケール11の波長λmの整数倍に対応した位置であるが、第2のスケール21の波長λaに対しては、λmアドレスAjごとに、波長λaの1/16の整数倍ずつずれた位置に対応しているため、λmアドレス切替え部において検出されるΔφには、第2のスケール21の波長λaの内挿誤差が重畳するため位相差Δφの逆転現象が生じ、上記表1に示した関係をもとに、単純に検出されたΔφを区間位相量φZ(=2π/16)に対する商を求めるだけでは、λmアドレスAjの検出に誤動作を生じることになる。
【0084】
図20は、第2のスケール21のCH1検出ヘッド及びCH2検出ヘッドに正方向のDCのずれが生じた時、すなわち、(12)式に示す内挿誤差を波長λaの1周期にわたってプロットしたものであり、次の表4は、内挿誤差が重畳するλmアドレスAjとの対応関係を示したものである。
【0085】
【表4】
Figure 0004748558
【0086】
次に、本発明において適用される実際のシステム、すなわち、内挿誤差が発生した場合でも正しくλmアドレスAjを検出可能とする演算部17の構成及び動作について詳細に説明する。
【0087】
先ず、図21を参考にしながら、本発明におけるλmアドレスAjの確定にかかる基本的な原理を説明する。
【0088】
(1)λmアドレスAjの切替え部、すなわち、λmの両端部において検出される位相差Δφは、第2のスケール21の波長λaの内挿誤差Ieaに対応して位相量φieaだけ変動する。したがって、実際にはλmアドレスAjがjとして検出されるべきものが、その前後、すなわち、j−1又はj+1として検出される可能性がある。
【0089】
(2)しかしながら、上記誤検出される可能性を有する領域に対し、さらに第1のスケールにおける内挿誤差Iemに対応する位相量φiemだけ内側の領域においては、内挿誤差の影響を受けず、λmアドレスAjを一義的に決定できる領域がある。
【0090】
(3)さらに、上記(1)においても、第1のスケールにおいて検出された位相φmが、波長λm内のどの位置に属するかを、例えば、λmの中央値λm/2に対して左側(x≦λm/2)にあるか、又は右側(x>λm/2)に位置するかの判定条件を加え、該判定結果をもとに補正することにより、正しくλmアドレス(Aj)を判定できる。
【0091】
すなわち、λmアドレスAjの切替え部において、λmアドレス(Aj)の判定領域にヒステリシスを持たせ、該ヒステリシス領域内においては、第1のスケールλmの位置による判定条件を付加することにより、内挿誤差の影響を受けず誤動作のないλmアドレスAjの検出が実現できる。
【0092】
次に、本発明におけるλmアドレスAjの切替え部に付与すべきヒステリシス及びその他の判定条件の設定について、具体的な数値を適用し説明する。
【0093】
上述のように、位相差Δφはパルス数ΔDとして検出され、区間位相量φZ(=2π/16)は区間パルス数ND(=64)に対応している。
【0094】
第1のスケール及び第2のスケールの波長が略等しいので、システムにおいて想定される内挿誤差が略等しいとして、その振幅をIeとすれば、内挿誤差に対応する位相量φie及びパルス数Dieは次のように表すことができる。
【0095】
φie=2π×(Ie/λm) (17)
Die=M×φi/2π=1,024×(Ie/λm) (18)
すなわち、λmアドレス(Aj)の切替え部においては、パルス数ΔDはDieずつ変動する可能性がある。
【0096】
ここで、波長λに対する内挿誤差率Ie/λmは通常1%程度であり、そのときのDieは、(18)式から約10パルスであり、λmアドレスAjの切替え部においては、第2のスケールλaの内挿誤差により、区間パルス数ND(=64)に対して±10パルスの変動が生ずると考えることができる。さらに、第1のスケール11における内挿誤差の影響に伴うパルス数Dieも10パルスとすれば、この値を加えた区間パルス数ND(=64)に対して±20パルス分内側の領域、すなわち、パルス数ΔDが20以上(=0+20)から44未満(=64−20)の区間は、内挿誤差の影響を受けず一義的にλmアドレスAjを決定できる領域(以下、無条件判別領域)である。
【0097】
また、上記無条件判別領域の外側、すなわち、ΔDが0以上20未満の下側領域及びΔDが44以上64未満の上端領域においては、第1のスケールにおいて検出される位相量φmが、λmの中間値、すなわち、Dmが512パルス(1,024/2)位置を基準にして大小を判別する条件を付加し、該判定結果に応じて仮決定されたλmアドレスAjを補正すれば良い。
【0098】
次に、図22に示す処理フローに従い、本発明におけるλmアドレス(Aj)の判定手順を説明する。
【0099】
先ず、最初のステップS1では、サンプリング時刻tiにおいて、基準信号MODSが入力されると、CPU73が割り込み動作を開始し、上記第1のパルスカウンタ71の計数値Dm(ti)及び第2のパルスカウンタ72の計数値ΔD(ti)を取り込み、RAM74の所定のメモリ領域に格納する。
【0100】
次のステップS2において、CPU73は、上記ΔDを区間パルス数NZ(=64)で除算し、商jをλmアドレスの候補として、また、剰余Resをλmアドレス確定用のデータとしてRAM74の所定のメモリ領域に格納する。
【0101】
次のステップS3において、CPU73は、剰余Resの値に応じて3つの領域に分別し、次の判定処理によりλmアドレスAjを確定する。
【0102】
すなわち、0≦Res<20のときには(ステップS41)、Dm(ti)が中央値512を超えているか否かについての判定を行う(ステップS51)。
【0103】
そして、このステップS51における判定結果が”Yes”すなわちDm(ti)≧512である場合は、上記ステップS2において算出された商jから1を減算し、この値をλmアドレスAjとし(ステップS61)、また、判定結果が”No”すなわちDm(ti)<512である場合には、上記ステップS2で検出されたAjをそのままλmアドレスAjとする(ステップS62)。
【0104】
また、20≦Res<44のときには(ステップS42)、ステップS2で検出された商jをそのままλmアドレスAjとする(ステップS62)。
【0105】
さらに、44≦Res<64のときには(ステップS43)、Dm(ti)が中央値512より小さいか否かについて判定を行う。
【0106】
そして、このステップS53における判定結果が”Yes”すなわちDm(ti)<512である場合には、上記ステップS2において算出された商jに1を加算し、この値をλmアドレスAjとし(ステップS63)、また、判定結果が”No”すなわちDm(ti)≧512である場合は、上記ステップS2で検出されたAjをそのままλmアドレスAjとする(ステップS62)。
【0107】
次のステップS7では、上記の手順によってλmアドレスAjを確定した後、CPU73はλmアドレスAjに波長λmを乗じたのち、上記Dm(ti)と加算し、時刻tiにおける16λm区間内における絶対位置X(ti)を生成する。
【0108】
以下、サンプリング時刻ごとに同様の手順(S1〜S7)を繰り返し、16λm区間内における絶対位置を求める。また、生成された絶対位置X(ti)は、例えば表示として利用する、又は測定データとして外部のシステムに出力するなど、必要に応じて利用できる。
【0109】
ところで、本発明に係る位相検出型のアブソリュートエンコーダ100では、λmアドレス切替え部にあらかじめシステムに想定される内挿誤差を見越した判定ゾーンを設け、上記λmアドレスAjの検出に伴う誤動作を防いでいる。
【0110】
しかしながら、出荷時においては高精度であっても、例えば、構成部品の劣化や調整状態の変化などにより内挿誤差が悪化し、あらかじめ想定した内挿誤差の見積量を超え、結果としてλmアドレスAjの検出に誤差を生じる。
【0111】
さらには、これらの内挿誤差を多めに見積もると上記Nを大きくできず、結果としてアブソリュートで計測区間が狭まる等の問題がある。
【0112】
そこで、このアブソリュートエンコーダ100では、内挿誤差の劣化等を監視し、必要に応じて自動調整機能を起動することによって内挿誤差を常に適正なレベル以下に保つことを保証し、上記Nとして大きな値を設定可能とし、もって高精度かつ広いアブソリュート計測区間の実現を可能としている。
【0113】
ここで、このアブソリュートエンコーダ100における内挿誤差の監視及び自動調整ついて説明する。
【0114】
すなわち、このアブソリュートエンコーダ100は、例えば、図23に示すような構成のλaパルス生成部16を備える。このλaパルス生成部16は、上記第2の変位量検出部23から位相変調信号epaが波形整形回路61を介して供給されるD型フリップフロップ62と、このD型フリップフロップ62の出力が入力される同期微分回路63とを備え、上記タイミング信号生成部18から基準信号MODSがD型フリップフロップ62に供給されるとともに、クロックパルスM×fが同期微分回路63に供給されている。そして、このλaパルス生成部16から出力されるλaパルスが、図11に示した演算部17のCPU73に入力されており、必要に応じてCPU73に対する割り込み信号として機能する。また、上記演算部17のRAM74の一部は、不揮発メモリで構成されている。
【0115】
次に、上記に示す内挿誤差の監視と自動調整の実現にかかる基本的な原理について説明する。
【0116】
一般に、第1のスケール11及び第2のスケール21の目盛り(波長)は光波干渉計を基準として形成(記録)するため極めて高精度である。また、上記12式あるいは17式からも明らかなように、Xの周期、すなわち、波長λaの移動ごとに発生するλaパルスのピッチは、たとえDCのずれや出力レベルのずれに拘わらず常に一定の値となる。
【0117】
2)図1に示す第1のλパルス生成部16は、アブソリュート計測区間において、第2のスケール21の波長λaの移動毎にλaパルスを生成し、アブソリュート計測区間における移動に伴って17ヶのλaパルスを発生する。ここで、第2のスケール21の波長λaの各アドレス毎に発生するλaパルスを特定するため、λaアドレス(Ak)がkからk+1に変化するとき発生するλaパルスをλa(k)と表すことにすれば、λaパルス(λa(k))の発生位置に対応する第1のスケール11の波長λm内の位置は(16−k)×λm/17となる。
【0118】
次に、各スケール11,21の記録条件が一定であり、スケール素材が一定の品質を保っていれば、比較的狭い範囲、例えば、アブソリュート計測区間における各波長内の内挿誤差は類似性を有すると考えられる。
【0119】
したがって、上記アブソリュート計測区間に亘る移動に際して正確なピッチで発生する17ヶのλaパルス(λa(k))は、第1のスケール11の1波長内をλm/17ピッチでサンプルしたことに相当する。
【0120】
ここで、次の表5はλaパルス(λa(k))によってサンプリングされる波長λm内の位置(16−k)×λm/17と該位置に対応するパルス数の理論値Dmt(k)を示したものであり、実際には各々のスケールにおける内挿誤差によりずれを生ずる。
【0121】
【表5】
Figure 0004748558
【0122】
したがって、実際に計測された値と、上記表5に示す理論値との差異を検出することにより、各スケール11,21における内挿誤差を測定したことになる。
【0123】
ところで、この実施の形態においては、第1のスケール11の波長λm内を17回サンプリングしており、上述のようにDCのずれや出力レベルのずれによって発生する内挿誤差の周期は、波長λに対して最大でも2周期成分しか含まない。したがって、サンプリング定理からも明らかなように、これらの要因に伴う内挿誤差を完全に評価できる。
【0124】
次に、このアブソリュートエンコーダ100における内挿誤差の監視と自動調整にかかる具体的な方法について説明する。
【0125】
内挿誤差の自動調整を行う場合、適切なタイミングで内挿誤差の監視を行い、該監視結果を所定の判定値と比較して自動調整を起動し、当該製品として許容する内挿誤差を維持するように構成する必要がある。
【0126】
1)「内挿誤差の規格値」の設定
既に述べたとおり、波長λに対する内挿誤差の比率(Ie/λ)は通常1%程度である。したがって、上記の値より大きく、かつ製品として許容し得る内挿誤差の規格値Irとして、例えば2%に設定すれば内挿誤差の規格値Irは0.002×λとなり、この実施の形態では例えば20μmと設定することができる。
【0127】
この内挿誤差の規格値Irを演算部17のRAM74内の所定の不揮発領域に格納し、内挿誤差の監視時等に参照できるようにすればよいが、演算処理の面からは分解能単位のパルス数Drとして格納するのが好都合である。
【0128】
2)出荷時における内挿誤差の取得
上述のように、製品に許容する「内挿誤差の規格値Ir」を自動調整起動に際しての判定値とすることができる。
【0129】
しかしながら、同一の製品であっても個々の製品毎に内挿誤差の様子が異なること、さらには、経時的な変化を監視し、該監視結果に基づいて自動調整機能を起動することによって常に最良の精度を維持するという観点からは、当該製品の最良状態と想定される出荷時における内挿誤差を取得し、該取得された内挿誤差に所定のマージンを上乗せした値を判定値と設定する方が好都合な場合もある。
【0130】
以下、生産工程あるいは出荷時において実施される内挿誤差の取得について説明する。
【0131】
手順11 第1のスケール11における最適な電気調整が終了した時点で、演算部17の制御入力に所定の信号を与え「内挿誤差保存モード」を起動する。この内挿誤差保存モードにおいては、例えば、λaパルスλa(k)によってCPU73に割り込みをかけ、パルスカウンタ72の計数値、すなわち、上記λaパルスλa(k)に対応する波長λm内の絶対値を読込むように構成するのが好都合である。
【0132】
手順12 上記λaパルスλa(k)に対応する第1のスケール11の波長λm内の理論的な絶対位置、すなわち、(16−k)×λm/17に対応するパルスカウンタ71の計数値Dm(k)を取り込む。
【0133】
手順13 次に、パルスカウンタ72の計数値ΔD(k)を取り込み、上述のλmアドレス特定手順に準じて、上記λa(k)が発生したλaアドレスkを特定し、該特定されたkを用いて上記λa(k)に対応する波長λm内の位置、すなわち、(16−k)×λm/17位置における理論値Dmt(k)との差として該位置における内挿誤差Ies(k)を計測し、アドレスkをインデックスとして、不揮発メモリの所定の領域(以下、出荷時内挿誤差テーブルTis(k))に格納する。
【0134】
手順14 上記の手順11〜手順13を、全てのλa(k)、すなわち、k=0〜16まで繰り返し、波長λm内の全域に亘って、λm/17単位の内挿誤差を取得し、出荷時内挿誤差テーブルTis(k)に格納する。
【0135】
もし、上記によって計測された内挿誤差が製品に許容すべき内挿誤差Irより大きいときは、再度電気調整をやり直した上で上記手順11〜手順14を繰り返す。
【0136】
ここで、λaアドレスの特定は、λmとλaとの関係を入れ換え、かつλaアドレスの1区間に対応するパルス数をM/17(約60)とし、さらに、上記Dm(k)とΔD(k)とを加算することによって、波長λa内の絶対値Da(k)を求めることにより、上述のλmアドレスと同様の手順でλaアドレスを特定することができるが、該λa(k)パルスが入力されたときの波長λmのN倍区間における絶対位置X(k)を求め、該X(k)をλaで除算する等の方法で実現できる。
【0137】
3)内挿誤差の監視
内挿誤差の監視は、通常ユーザ側において実施され、例えば、ユーザがキーボード等を介し、又は、電源投入時に自動的に「内挿誤差監視モード」を起動し、あらかじめ、当該製品の内挿誤差の規格値Irもしくは出荷時に取得され出荷時内挿誤差テーブルTis(k)に格納された値Ies(k)に所定のマージンを持たせた値Iec(k)を、RAM74内の所定の領域に設けた内挿誤差判定値テーブルTic(k)に格納し、波長λm内の所定の位置(λm/17ピッチ)毎の判定値とするように構成するのが好都合である。また、このモードにおいては、規準信号MODSでの割り込みによる通常の絶対位置計測と、λaパルスでの割り込みによる内挿誤差監視とが同時並行的に実行するように構成するのが好都合であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に選択することができる。
【0138】
ここでは、説明を簡単にするため内挿誤差の監視機能についてのみ説明する。
【0139】
手順21 演算部17にλa(k)が入力されると、CPU73は割り込み動作を開始し、パルスカウンタ71の計数値Dm(k)を取り込み、RAM74の一時記憶領域に保存する。
【0140】
手順22 同時に、パルスカウンタ72の計数値ΔD(k)を取り込み、λaアドレスkを特定し、該特定されたkを用いて上記λa(k)に対応する波長λm内の位置、すなわち、(16−k)×λm/17位置における理論値Dt(k)との差として該位置における内挿誤差Ie(k)を検出し、アドレスkをインデックスとして所定の領域(以下、監視時内挿誤差テーブルTi(k))に格納する。
【0141】
手順23 次に、該計測された内挿誤差Ie(k)を、RAM74の内挿誤差判定値テーブルTic(k)内の所定の領域に格納された内挿誤差の判定値Iec(k)と比較し、該規格値を超えた時は、上記監視時内挿誤差テーブルTi(k)の対応する位置に内挿誤差エラーEr(k)を書き込む。
【0142】
手順24 上記の手順21〜手順23を、全(すべ)てのλa(k)に対して実行し、波長λin内におけるλm/17単位のすべての位置における内挿誤差Ie(k)及び内挿誤差エラーEr(k)を計測し、それらの結果を監視時内挿誤差テーブルTi(k)に格納する。
【0143】
4)内挿誤差エラーの判定
上記3)の内挿誤差の監視において計測されたIe(k)を内挿誤差判定値Iec(k)と比較し、最初の内挿誤差エラーEr(k)が検出された時点で直ちに内挿誤差が判定値を超過したものと判定し、直ちに警報信号を出力することもできる。しかしながら、ただ1回の内挿誤エラーEr(k)のみで判定すると、例えばノイズ等による一時的な反応と混同し、過剰な警報信号となり得る。また、後述のように、通常、内挿誤差は波長λ内において1周期若しくは2周期で振動する信号である。
【0144】
したがって、次のように判定することにより、誤動作のない確実な内挿誤差エラーの判定が可能となる。
【0145】
波長λmの1周期内で発生した内挿誤差エラーEr(k)の個数を計数し、その個数に応じて次の処理を行う。
【0146】
処理1 1箇所のみで発生した時は、次のサイクルにおいても同じ位置、すなわち、同一のλa(k)で内挿誤差エラーEr(k)された場合のみ、内挿誤差エラーが発生したものと判定する。
【0147】
処理2 波長λm内の2箇所以上で内挿誤差エラーEr(k)発生した時は、無条件に内挿誤差エラーが発生したものと判定する。
5)内挿誤差要因の特定
内挿誤差エラーと判定されると、CPU73は、該誤差要因を補正する電子ボリュームDC1,DC2,GAJに適切な調整信号ADJを与えるための前準備としての誤差要因の特定処理を開始する。
【0148】
誤差要因の特定方法としては、波長λaの1周期にわたって検出され、監視時内挿誤差テーブルTi(k)に格納された内挿誤差Ie(k)をフーリエ解析によって分析し、波長λmに対する1周期若しくは2周期成分のレベルと位相とに分解することにより誤差要因を特定することもできる。
【0149】
しかしながら、誤差の要因が極めて限られていること、また、表2にも示すごとく、波長λ内における内挿誤差の周期と位相は各々の誤差要因に対して独立なパターンを有することを利用し、波長λ内において検出された内挿誤差の周期と、該内挿誤差の極大(山)となる位置と極小(谷)となる位置のとの関係を利用し、所定の判定ルールに照らして誤差要因を特定するのがコスト的な面や処理速度の面からも好都合である。
【0150】
図24は、誤差要因の特定に関する手順を示したものであり、以下詳細に説明する。
【0151】
先ず、Er(k)の発生した位置に対し、kの降順、すなわち、波長λm内の0側から内挿誤差Ie(k)を検査し、符号を考慮して最大の内挿誤差Ie(k)maxが検出されたλa(k)max及び最小の内挿誤差Ie(k)minが検出されたλa(k)minを探す(ステップS11)。
【0152】
次に、最大の内挿誤差Ie(k)maxが検出されたλa(k)max及び最小の内挿誤差Ie(k)minが検出されたλa(k)minから波長λk内の位置を求め、第1の極大値(山)及び第1の極小値(谷)としてRAM74の所定の記憶領域に記憶する(ステップS12)。ここで、λa(k)に対応する第1のスケール11の波長λm内の位置は(16−k)×λm/17として求まることは既に述べたとおりである。
【0153】
次に、上記ステップS12で検出された第1の極大値(山)と第1の極小値(谷)の数を判定する(ステップS13)。
【0154】
そして、第1の極大(山)と第1の極小値(谷)が各々1箇ずつ検出された時はステップS14に移り、また、第1の極大(山)すなわちIe(k)max若しくは第1の極小(谷)すなわちIe(k)minのいずれかしか検出されなかった時は、3要因によるものと判定してステップS22に移る。
【0155】
次のステップS14では、上記Ie(k)max及びIe(k)minを除く位置で、2番目に大きな内挿誤差Ie(k)max2が検出された第2の極大値(山)と2番目に小さい内挿誤差Ie(k)min2が検出された第2の極小値(谷)を探す。そして、第2の極大値(山)及び第2の極小値(谷)の位置を求め(ステップS15)、その有無と数を判定し(ステップS16)、次の処理を行う。
【0156】
すなわち、上記Ie(k)max2とIe(k)min2のいずれも検出されなかった時は、1周期成分、すなわち、DCのずれのみと判定し、上記RAM74に格納されている第1の極大値(山)と第1の極小値(谷)の値を表2及び表3のルールを用いて分析し、DCの重畳しているヘッドの数(単独若しくは両方)と帯磁の方向(A及びB符号)を判定する(ステップS17)。
【0157】
また、Ie(k)max2とIe(k)min2が検出された時、すなわち、2周期成分が検出された時は、該検出された第2の極大値(山)及び第2の極小値(谷)をRAM74の所定の記憶領域に格納し、上記RAM74に格納されているこれら2組の極大値と極小値の大小関係を判定し(ステップS18)、その判定結果に基づいて、単独要因によるものか、2つの要因によるものかを判定する(ステップS19)。
【0158】
ステップS20では、Ie(k)maxとIe(k)max2及びIe(k)minとIe(k)min2のレベルに明らかな差が認められるときに、片側のヘッドのDCずれと出力レベルのずれが重畳しているものと判断し、上記RAM74に格納されている第1の極大値(山)と極小値(谷)の位置を表3に示すルールを用いて分析し、帯磁しているヘッド(A又はB)とずれの方向(正負)及び出力レベルのずれの方向(bの符号)を特定する。
【0159】
ステップS21では、Ie(k)maxとIe(k)max2及びIe(k)minとIe(k)min2のレベル、すなわち内挿誤が略等しいときに、CH1出力レベルとCH2出力レベルのずれによる要因と判定し、上記2組の極大値(山)及び極小値(谷)を表2のルールを用いて分析し、出力レベルの大小関係、すなわち、誤差要因b符号を特定する。
【0160】
ステップS22では、Ie(k)max(極大(山))若しくはIe(k)min(極小(谷))のいずれかしか検出できなかった時に、両チャンネルのヘッドのDCずれと出力レベルのずれとその方向(A,B,bの極性)を特定する。
【0161】
そして、以上の手順により特定された誤差要因(A,B,b)と、該ずれの方向(正負)とをRAM74の所定の記憶領域に格納した後(ステップS23)、警報信号を出力する(ステップS24)。
【0162】
ところで、今までの説明においては、理解を容易にするため、2チャンネルのヘッドのDCずれに関してはずれの絶対値を等しいものとして説明した。
【0163】
しかしながら、実際にはずれの絶対値が等しくならないことの方が多く、その場合においては、上述の(13)式からも明らかなように、極大値(山)と極小値(谷)の位置がλ/8(π/4)単位の位置とずれることがあり、その前後、例えば、本事例におけるごとく波長λ/16単位でサンプルしている場合についてはその前後において極大(山)と極小(谷)が検出されることを考慮する必要がある。
【0164】
また、この実施の形態では、表3を波長λ間を16分割したテーブルで示したが、17分割し、端数を丸めた値として計算し、該丸めた位置における極大(山)又は極小(谷)を理論的に算出し、その値を比較のためのテーブルとすれば良い。
【0165】
5)自動調整
警報信号が出力されると、システムは「自動調整モード」を起動し、上記の特定された誤差要因の情報をもとに自動調整を開始することができる。
【0166】
「自動調整モード」への移行方法としては、例えば、警報信号の出力と連動して自動的に移行する方法や、ユーザや他の機器等が警報信号の出力されたことを認識し、キーボードや外部からの指令信号等を介して起動する等の方法があり、必要に応じて選択すればよい。
【0167】
基本的には、上述のごとく誤差要因とそのずれの方向が明らかとなっているため、その要因を特定し、CPU73から調整信号ADJを与え、該要因を打ち消す方向に電子ボリュームDC1、DC2、GAJを制御すれば良い。
【0168】
以下、「自動調整モード」が起動された時の自動調整の処理について説明する。
【0169】
なお、実際の調整動作においては、調整時における内挿誤差を格納する一次記憶用のテーブル領域を確保しておく必要があるが、説明を簡単にするため省略する。
【0170】
自動調整の処理は、原理的に次の手順31〜手順35にしたがって実行される。
【0171】
手順31 「自動調整モード」が起動されると、CPU73は上記誤差要因を格納しているRAM74を参照し、該誤差要因から調整対象とすべき電子ボリュームDC1,DC2,GAJを特定し、調整信号ADJの選択信号SLTにより選択指定される該電子ボリュームに選択信号CS1,CS、CS3を供給する。
【0172】
手順32 次に、上記RAM74からずれの方向を参照し、該ずれの方向を補整する向きに電子ボリュームDC1,DC2,GAJのワイパー位置を可変するワイパー制御信号(U/D,INC)を与える。
【0173】
手順33 しかる後、該誤差要因において特定される極大(山)位置における内挿誤差Ie(k)maxと極小(谷)位置における内挿誤差Ie(k)minを計測する。そして、該位置における内挿誤差が低減する方向に変化していれば、該検出された内挿誤差を出荷時の内挿誤差テーブルTis(k)に格納されている値と比較し、その差異が最小になるまで上記手順32を繰り返す。また、検出された内挿誤差が増加する方向へ変化している時は、上記電子ボリュームのワイパーを反対方向へ移動する向きにワイパー制御信号を与え、該検出された内挿誤差を出荷時における内挿誤差テーブルTis(k)と比較し、その差異が最小になるまで上記手順32を繰り返す。
【0174】
手順34 上記の手順31〜手順33により、最良の調整状態における内挿誤差が出荷時の内挿誤差Ies(k)を再現できたら終了信号を出力し、「自動調整モード」を終了する。
【0175】
以上、自動調整の基本的な処理について説明した。しかしながら、実際には、複数の誤差要因が重畳する場合もあり、調整の順序等も考慮する必要がある。この場合は、誤差パターンの特性を顧慮して、次のような順序で調整するのが好都合である。
【0176】
(a)DCのずれと出力レベルのずれか重畳している場合は、最初にDCのずれを調整し、第1の極大値(山)における内挿誤差Ie(k)maxと第2の極大値(山)における内挿誤差Ie(k)max2(又は、第1の極小値(谷)における内挿誤差Ie(k)minと第2の極小値における内挿誤差Ie(k)min2における差異を最小にするように調整した後、出力レベルの調整に移るのが好都合である。
【0177】
(b)2チャンネルのDCずれと出力レベルのずれが重畳している場合においては、先ず、出力レベルの調整を行い、DGのずれによる内挿誤差パターンを再現した後、波長λに対する1周期の成分とし、しかる後、極大点の位相からDCずれの大きい側のヘッドを特定して調整し、最後にDCずれの小さいほるのヘッドのDCずれを調整するのが好都合である。
【0178】
また、これら複数の要因が重畳している場合には、最良状態に調整でき、かつ、調整された結果が規格値を満足できた場合においても必ずしも出荷時における内挿誤差Ies(k)のパターン、例えば、誤差の周期や(山)と極小(谷)の位置等が一致しない場合もあり得る。
【0179】
この場合は、最良状態に調整した時点での内挿誤差を次回に自動調整が起動された時の判定基準とする、例えば、出荷時内挿誤差テーブルTis(k)の内容を、上記最良調整状態での内挿誤差テーブルTi(k)の値で書き換え、次回はこの値を基準として調整するなど、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に対応できる。
【0180】
本発明の具体的な実施の形態として、所望の分解能Rを1μm得るために、第1のスケール11の波長λmを所望の分解能1μmの1,024倍とし、位相変調信号のキャリア周波数fの1,024(M=1,024)倍のクロックパルスを用いて内挿するとともに、第1スケール11の波長λmの16倍区間(N=16)の絶対位置を検出するため、第1のスケール11の波長λmと第2のスケール21の波長λaとの関係を16×λm=17×入aなる2進系列の数値を設定した事例について説明した。
【0181】
しかしながら、上述のごとく、所望の分解能λm/Mを得るため第1のスケールの波長λm及び設計条件M、Nは10進系列の値、例えば、λm=l,000、M=1000、N=20のよう設定し得ることは言うまでもない。
【0182】
また、本実施例において、第1のスケールと第2のスケールの位相差Δφを第2の位相比較部24を用いて直接算出している。
【0183】
しかしながら、第1の位相比較部14におけるごとく、第2の位相比較部24においても、位相変調信号epaと上記基準信号との位相比較により第2のスケール21の波長λa内の絶対位置として検出し、該位相差をφa(ti)として検出した後、第2のゲート回路25及びパルスカウンタ72を介してパルス数Da(ti)として検出し、演算部17により演算処理ΔD=Da(ti)−Dm(ti)として検出できることは言うまでもない。
【0184】
また、本発明においては、測尺の基準となる第1のスケール11、すなわち、第1の変位量検出部13のみを調整する例を説明したが、図1において破線で示したごとく、第1の変位量検出部13からの出力と基準信号を供給して第2のλパルス生成部26から出力されるλmパルスを用い、第2の変位量検出部23の自動調整を行うように構成することもできる。
【0185】
さらに、内挿誤差の監視においても、システムに電源が投入された時点、あるいはタイマー等により定期的なタイミングで監視を起動するなど、本発明の主旨を逸脱しない範囲で様々な方法が適用できる。
【0186】
また、自動調整の開始においても、警報信号の出力とともに自動的に調整モードを起動するだけでなく、例えば、ユーザは外部からの制御信号を入力した時点で自動調整を起動するなど、様々な態様に適用可能である。
【0187】
さらに、上述の実施の形態においては磁気式について説明したが、本発明は、磁気式に制約されることなく、例えば光学方式のごとくスケールとヘッドとの相対移動に対応した2チャンネルの直交する正弦波信号が出力されるようなシステムにおいても、該検出された2相の正弦波信号を、キャリア周波数fの信号で直交変調した後加算することにより、位相変調信号を取り出すようにすれば同様に適用できる。
【0188】
さらに、本発明においてはリニアエンコーダヘの適用について説明したが、繰り返し区間を円周長と一致させることにより回転量のアブソリュート検出にも適用可能である。
【0189】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、トラック数が少ないため、システムの構造が簡単になり、小型・低コストで絶対位置検出システムを実現できる。
【0190】
また、位相変調信号を用いた位置検出システムのため、該位相変調信号のキャリア周波数fに対し、クロックパルスの周波数M×fを高く、すなわち、Mを大きくするだけで容易に高分 解能を実現することができる。また、交流結合方式のため、例えば、差動トランス方式におけるようなDCドリフトの影響を受けないため、ウオームアップなしで直ちに測定できる。さらに、差動トランス方式においては出力レベルの変動が直ちに誤差の要因となるが、本方式においては、たとえ2チャンネルの検出ヘッドからの出力レベルが変化しても、出力の比が変動しない限り誤差の要因とならず、安定かつ高精度なリニアエンコーダを実現できる。
【0191】
また、他の計測システムの助けを借りることなく、本システム単独で内挿誤差を監視することができるだけでなく、計測された内挿誤差を分析し、該内挿誤差の発生要因を特定することができる。
【0192】
したがって、内挿誤差が所定のレベルを超えた時点で警報信号を出力することができるだけでなく、警報信号を検出して時点で自立的若しくは外部の制御信号の指令により自動調整を実行することができるため、取付け状態の変化や部品の劣化等に起因する内挿誤差の悪化を事前に検出し補正することができ、長期間にわたって高精度な検出が実現できる。
【0193】
さらに、内挿誤差を所定のレベルに維持することが可能なため、内挿誤差に起因するλアドレスの誤動作を防ぐために設定したλアドレスの切替え領域における判定ゾーンを最小に設定でき、結果としてNを大きく選ぶことができ、アブソリュート計測範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアブソリュートエンコーダの構成を示すブロック図である。
【図2】上記アブソリュートエンコーダにおける第1の変位量検出部の構成を示すブロック図である。
【図3】上記アブソリュートエンコーダにおける検出ヘッドを構成するMRセンサの構成例を示す図である。
【図4】上記第1の変位量検出部に備えられる加算増幅器の構成例を示す図である。
【図5】上記第1の変位量検出部に備えられる電子ボリュームの構成例を示す図である。
【図6】上記第1の変位量検出部に備えられる調整信号制御回路の構成例を示す図である。
【図7】上記アブソリュートエンコーダにおける第1の位相比較部の構成を示すブロック図である。
【図8】上記第1の位相比較部の動作タイミングを示す図である。
【図9】アブソリュート計測区間において第1の変位量検出回路で検出された位相量φmと、第2の変位量検出回路で検出された位相量φaとの関係を示す図である。
【図10】第1の変位量検出部で検出された位相量φmと、φaとφmとの位相差Δφ(=φa−φm)との関係を示す図である。
【図11】演算部の構成例を示すブロック図である。
【図12】CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳した内挿誤差の一例を示す図である。
【図13】CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳した内挿誤差の一例を示す図である。
【図14】CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳した内挿誤差の一例を示す図である。
【図15】CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳した内挿誤差の一例を示す図である。
【図16】CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳した内挿誤差の一例を示す図である。
【図17】CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳した内挿誤差の一例を示す図である。
【図18】CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳した内挿誤差の一例を示す図である。
【図19】CH1ヘッド及びCH2ヘッドの正負のDCずれが重畳した内挿誤差の一例を示す図である。
【図20】DC偏倚が乗じたときの第1のスケールの内挿誤差ΔXの例を示す図である。
【図21】λmアドレスAjの確定にかかる基本的な考え方を説明する図である。
【図22】λmアドレスAjの判定手順を示すフローチャートである。
【図23】上記アブソリュートエンコーダに備えれるλパルス生成部の構成例を示すブロック図である。
【図24】誤差要因の特定に関する手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11 第1のスケール、12A,12B MRセンサ、12 第1の検出ヘッド、12A,12A,12A,12A,12B,12B,12B,12B MR素子、13 第1の変位量検出部、14 第1の位相比較部、15 第1のゲート回路、17 演算部、18 タイミング信号生成部、21 第2のスケール、22 第2の検出ヘッド、23 第2の変位量検出部、24 第2の位相比較部、25 第2のゲート回路、31,32 乗算器、33 加算増幅器、34 調整信号制御回路、34A デコーダ、41 波形整形回路、42,43 第1及び第2の同期微分回路、44 JKフリップフロップ、61 波形整形回路、62 D型フリップフロップ、63 同期微分回路、71,72パルスカウンタ、73 CPU、74 RAM、91 アップダウンカウンタ、92 ポジションデコーダ、93 可変抵抗器、DC1,DC2,GAJ 電子ボリューム、100 アブソリュートエンコーダ

Claims (5)

  1. 波長λmの目盛りが形成された第1のスケールと、該第1のスケールの信号を検出する第1の検出ヘッドと、上記第1のスケールと第1の検出ヘッドの相対的な変位量をキャリア周波数fの位相変調信号として取り出すように構成された第1の変位量検出手段と、上記第1のスケールと異なる波長λaの目盛りが形成された第2のスケールと、該第2のスケールの信号を検出する第2の検出ヘッドと、上記第2のスケールと第2の検出ヘッドとの相対的な変位量をキャリア周波数fの位相変調信号として取り出すように構成された第2の変位量検出手段と、上記第1の変位量検出手段より得られる位相変調信号と、第2の変位量検出手段から得られる位相変調信号との位相差を検出し、該位相差を用いて、第1のスケールの波長λmのN倍波長で繰り返す周期的な信号を得て、上記第1のスケールの波長のN倍区間をアブソリュートに検出するように構成したアブソリュートエンコーダにおいて、
    上記第1の変位量検出手段から得られるキャリア周波数fの位相変調信号を周波数fの基準信号と位相比較して第1のスケールの波長λm内における第1の検出ヘッドの絶対位置に対応したパルス幅変調信号を生成する第1の位相比較手段と、
    この第1の位相比較手段により生成されたパルス幅変調信号にキャリア周波数fのM倍のクロックパルスを内挿して第1のスケールの波長λm内における第1の検出ヘッドの絶対位置に対応した分解能λm/Mのパルス列に変換する第1のゲート回路と、
    上記第1の変位量検出手段から出力される位相変調信号と第2の変位量検出手段から出力される位相変調信号の位相差に対応するパルス幅変調信号を生成する第2の位相比較手段と、
    この第2の位相比較手段により生成されたパルス幅変調信号にキャリア周波数fのM倍のクロックパルスを内挿し、上記位相差に対応したパルス列に変換する第2のゲート回路と、
    上記第2の変位量検出手段と上記基準信号とを比較して第2のスケールの波長λaに対応する変位量ごとのパルス(以下、λaパルス)を生成するパルス生成手段と、
    上記第2のゲート回路の出力を利用して第1のスケールの波長λmのアドレス(以下、λmアドレス)として特定するようになし、上記第1のゲート回路から出力されるパルス列を計数して第1のスケールの波長λm内の絶対位置を得て、上記特定されたλmアドレスとを合成することにより、第1のスケールの波長λmのN倍区間に亘って分解能λm/Mで検出するとともに、上記第2のパルス生成手段から出力されるλaパルスの発生位置に対応する第1のスケールの波長λm内の絶対位置を計測し、該計測値の理論値からのずれ量を内挿誤差として検出し、該検出された内挿誤差とあらかじめ設定された規格値とを記憶手段に保存し、上記検出された内挿誤差を分析して上記第1の変位量検出手段に設けられた電子的調整手段に調整信号を供給して第1のスケールにおける内挿誤差を最小にするように電気調整を行う演算手段と
    を備えることを特徴とするアブソリュートエンコーダ。
  2. 上記演算手段は、アブソリュート計測区間内の移動に対応して上記パルス生成手段から出力されるλaパルスの発生位置に対応する第1のスケールの波長λm内の位置を検出し、該検出された値と該位置における理論値との差異を、第1のスケールにおける波長λm内の内挿誤差の代表値とみなし、該代表値をフーリエ分析することによって第1のスケール内に重畳する内挿誤差の周期と位相成分を特定し、該特定された周期と位相とにより誤差要因の大きさとずれの方向を特定し、該特定された誤差要因の大きさとずれの方向を打ち消す方向に上記第1の変位量検出手段に設けられた電子的調整手段に調整信号を供給して第1のスケールにおける内挿誤差を最小にするように自動調整を行うことを特徴とする請求項1記載のアブソリュートエンコーダ。
  3. 上記演算手段は、アブソリュート計測区間内の移動に対応して上記パルス生成手段から出力されるλaパルスの発生位置に対応する第1のスケールの波長λm内の位置を検出し、該検出された値と該位置における理論値との差異を、第1のスケールにおける波長λm内の内挿誤差の代表値とみなし、該代表値が第1のスケールの波長λmにおいて極大値又は極小値をとる周期と位置とを検出し、内挿誤差の発生要因に固有な極大値又は極小値をとる周期と位置とを基準として誤差要因の大きさとずれの方向を特定し、該特定された誤差要因の大きさとずれの方向を打ち消す方向に上記第1の変位量検出手段に設けられた電子的調整手段に調整信号を供給して第1のスケールにおける内挿誤差を最小にするように自動調整を行うことを特徴とする請求項1記載のアブソリュートエンコーダ。
  4. 上記演算手段は、あらかじめ設定された規格値として所定のメモリに格納された値を基準として計測時における内挿誤差を監視し、該検出された内挿誤差が上記規格値を超えたことを検出した時点で該検出された内挿誤差を分析し、該分析結果に基づいて上記第1の変位量検出手段の電子的調整手段に調整信号を供給し、該検出された内挿誤差を最小にする自動調整モードを実行することを特微とする請求項1記載のアブソリュートエンコーダ。
  5. 上記演算手段は、あらかじめ設定された規格値として所定のメモリに格納された値を基準とし計測時における内挿誤差を監視し、該検出された内挿誤差が上記規格値を超えたことを検出して警報信号を出力するとともに、該警報信号若しくは外部から供給される指令信号に基づいて内挿誤差を分析し、該分析結果に基づいて上記第1の変位量検出手段の電子的調整手段に調整信号を供給し、該検出された内挿誤差を最小にする自動調整モードを実行するように構成したことを特徴とする請求項1記載のアブソリュートエンコーダ。
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