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JP4748701B2 - 低温焼成磁器組成物、およびそれを用いた配線基板 - Google Patents
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JP4748701B2 - 低温焼成磁器組成物、およびそれを用いた配線基板 - Google Patents

低温焼成磁器組成物、およびそれを用いた配線基板 Download PDF

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Description

【0001】
【本発明の属する技術分野】
本発明は、低温焼成磁器組成物およびそれを用いた配線基板に関し、特に、高周波用に適した低温焼成磁器組成物およびそれを用いた配線基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、LSIやICあるいはディスクリート部品などの電子部品が搭載された配線基板、あるいは、その配線基板内部に種々の厚膜印刷素子が作りこまれた配線基板として、比較的高密度の配線が可能な多層配線基板が多用されている。本明細書において、該多層配線基板も含め配線基板と総称する。
また、最近、携帯電話をはじめとする無線通信には、電波資源拡大と伝送容量の高密度化を測るために、マイクロ波帯からミリ波帯の高周波帯が積極的に採用されるようになり、これに使用される無線通信機器用の部品として、高周波信号を取り扱うための配線基板に対する需要が爆発的に増大しつつある。
【0003】
上述した高周波信号を取り扱う場合、電子部品の動作電源と電子部品とを繋ぐ配線がインダクタンスとして寄与するため、配線等にノイズが重畳されることによる誤動作の発生、電子部品の動作応答の遅延、または、高周波信号の伝送損失等の不具合が生じることがある。このような、低周波信号では問題にならなかった、高周波信号特有の不具合を抑制するためには、配線層をAg、Cu等の低抵抗率の材料から構成させ、他方、誘電体層を低比誘電率でかつ高周波帯においても誘電損失の低い材料より構成させた配線基板を用いることが必要とされる。
【0004】
しかし、配線層の材料として、融点が1000℃前後と低いAgやCuを採用した場合、配線層と絶縁層とを同時焼成して配線基板を形成するためには、絶縁層は、その焼成温度が800〜1050℃で低温焼成可能な材料で構成する必要がある。低温焼成が可能で、比誘電率が低く、かつ高周波帯においても誘電損失の低い材料として、ホウケイ酸ガラスを主体とし、焼成段階にて結晶を析出させた結晶化ガラスが種々提案されている。例えば、ガラスと、無機フィラーよりなるガラスセラミック材料として、ガラス中のB量を増やすことによって焼結性を確保する例が開示されている(特許文献1〜3)。
【0005】
【特許文献1】
特開平3−141153
【特許文献2】
特開平9−142876
【特許文献3】
特開平7−45958
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、B量の多いガラスを用いたガラスセラミック材料は、セラミックグリーンシートとした時のシート上にホウ酸の結晶が析出することがあり、ハンドリング性が損なわれるという問題があった。これはガラス中のBが化学的に不安定であり、空気中の水分と反応する為である。ホウ酸の結晶を抑制する方法として、特開平7−45958にはセラミックグリーンシート内に塩基を添加する方法が記載されている。しかしこの方法では添加物の種類や量によって、脱バインダ性や焼結体の特性が変動してしまうという問題があった。
また、ガラス組成物において、ガラス成分の溶融温度を1450℃程度とし、かつ、800〜1050℃程度にて低温焼成させる場合、アルカリ金属、Pb、AsおよびSb等の金属成分を添加させる必要があった。しかし、これら金属成分酸化物は、焼結体及び低温焼成磁器組成物よりなる配線基板の高周波帯における誘電損失を増大させてしまう。
【0007】
本発明は、かかる問題を考慮してなされたものである。すなわち、本発明は、高周波信号における電気的特性に適し、セラミックグリーンシートとした時のホウ酸結晶の析出が無く、かつ、最適焼成条件の幅が広い低温焼成磁器組成物およびそれを用いた配線基板を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
上記課題を解決するための本発明の低温焼成磁器組成物は、SiO、B、Al、金属酸化物ROを含有し、SiO、B、Al、ROの合計量を100mol%としたとき、SiOの含有量が68〜72mol%、Bの含有量が14〜22mol%、Alの含有量が4〜11mol%、ROの含有量が4〜11mol%であるとともに、SiOとBとの合計量は92mol%以下であり、B/ROで表されるBとROのmol比が1.3〜4であり、前記金属酸化物ROのはCa、Sr、Mg、Znのうちから選ばれる少なくとも一種の成分からなるとともに、該金属酸化物ROの合計量を100mol%としたとき、CaOは含有量が60mol%以上であり、アルカリ金属、Pb、AsおよびSbを含まないガラスと、SiOあるいはAlの少なくともいずれか一方の無機フィラーとを含み、前記ガラスの含有量が55〜80体積%であり、前記無機フィラーの含有量が20〜45体積%であることを特徴とする。
【0009】
本発明のガラスは、SiOとBを主成分とするホウ珪酸ガラスであり、アルカリ金属含有量を含まない為、非晶質にもかかわらず誘電損失が低い。また焼成過程(1050℃以下)で結晶が析出しない組成とすることで、最適焼成条件の幅が広く量産性に優れたものとなる。
【0010】
該ガラスは、SiO、B、Al、RO(RはCa、Sr、Mg、Znのうちから選ばれる少なくとも一種)を含有する。該ガラス中のSiOとBとの合計量は84〜92mol%が好ましい。84mol%以下であると誘電率や誘電損失が高くなるからである。92mol%以上であるとSiO系の結晶(たとえばクリストバライト)が析出するからである。該ガラス中のSiOは、55mol%より小さいと誘電率が上昇してしまうからである。72mol%より大きいと焼結できなくなるからである。該ガラス中のB量は14〜26mol%であり、特に16〜24mol%、更には18〜22mol%が望ましい。14mol%より小さいと焼結できなくなるからである。26mol%より大きいと脱脂性が低下するからである。該ガラス中のAl量は4〜11mol%が望ましい。4mol%より小さいとガラス化が分相してしまったりSiO系結晶が析出するからである。11mol%より大きいとAl結晶や長石が析出するからである。該ガラスのRO量は4〜11mol%が望ましい。4mol%より小さいとガラスの溶融が困難だからである。11mol%より大きいと、誘電率や誘電損失が高くなるからである。RO量は特に8mol%以下、更には6mol%以下とすると誘電損失を著しく低くでき望ましい。
【0011】
該ガラスのB量とRO量との関係は、B/ROで表されるBとROのmol比が1.3〜4である。1.3より小さいと誘電損失が大きくなるからであり、特に2以上、更には3以上が望ましい。4より大きいと、セラミックグリーンシートとした時のシート上にホウ酸結晶が析出してしまうからである。
【0012】
本発明の低温焼成磁器組成物は、ガラス中のB量が多いにもかかわらず、セラミックグリーンシートとした時のシート上にホウ酸結晶が析出しないのは、以下の作用による。グリーンシート上にホウ酸の結晶が析出するのは、グリーンシートの保管中に空気中の水分とガラスとが反応し、水分中にB成分が一旦溶出し、それがHBOの板状結晶として再結晶化するからと考えられる。一方、ホウ酸はアルカリ(土類)酸化物と塩を形成し、形成される塩のROとBとの比率は、ROが1molに対しBが最大4molの八ホウ酸塩が存在することが知られている。このことから、ガラス中のB量をB/RO比で4以下としておけば、Bが水分中に溶出したとしても、同様に水分に対して溶出しやすいであろうRイオンとの塩を不足無く作るため、ホウ酸結晶は析出しないものと考えられる。
【0013】
該ROのRは、Ca、Sr、Mg、Znのうちから選ばれる少なくとも一種であるが、量産時に安定した焼結性と高い歩留まりを得るためには、Caを必須成分とし、ROの合計量を100mol%としたときのCaOの含有量が60〜100mol%であり、Sr、Mg、Znは任意成分であることが好ましい。CaOはガラス化範囲が広く、分相や結晶化が起こりにくいからである。CaOが60mol%より小さいと結晶化が起こったり、粘度が上昇し焼結性が低下することがある
【0014】
従来、上記結晶化ガラスもしくは、結晶析出させずに非晶質のままとするガラス組成物において、ガラス成分の溶融温度を1450℃程度とし、かつ、800〜1050℃程度にて低温焼成させる場合、アルカリ金属、Pb、AsおよびSb等の金属成分を添加させる必要があった。しかし、これら金属成分酸化物は、焼結体及び低温焼成磁器組成物よりなる配線基板の高周波帯における誘電損失を増大させてしまう。
【0015】
本発明の低温焼成磁器組成物は、アルカリ金属、Pb、AsおよびSb等の金属成分を含有させずに、1050℃以下で低温焼成が可能であるとともに、該低温焼成後においても非晶質のままとすることが可能である。その結果、金属成分酸化物による高周波帯での誘電損失増大といった不具合を抑制することができ、ひいては、本発明の低温焼成磁器組成物よりなる配線基板の高周波帯における誘電損失をさらに低減することが可能となる。
【0016】
また、本発明の低温焼成磁器組成物は、高周波信号に対応した、低比誘電率化および、誘電損失の低減を可能とする効果を有する。さらに、アルカリ金属、Pb、AsおよびSb等の他の構成成分を含有しないために、焼成過程において形成される異相粒界を低減させることが可能となり、結晶析出といった非晶質性が損なわれる不具合を抑制することが可能となる。その結果、低温焼成磁器組成物に含まれるガラスマトリックが結晶化しないとともに、上記したアルカリ金属等を添加させた場合に発生する不具合を抑制することが可能となるので、高周波帯における誘電損失を低減することができる。
【0017】
該ガラスは、その屈伏点が700〜900℃であることが好ましい。低温焼成磁器組成物を構成する構成成分とともに、通常、有機材料よりなるバインダを含有させた状態で焼成が行なわれる。該有機材料よりなるバインダは、焼成段階にて、脱脂することにより除去されるが、低温焼成磁器組成物の屈伏点が700℃未満であると、脱脂によるバインダの除去が完了する前に緻密化が進んでしまうため、炭素成分が残留する不具合が起こりやすくなる。他方、屈伏点が880℃以上であると、配線基板の配線層を低抵抗率のCuやAgより構成させた場合、配線層と絶縁層との焼成収縮のタイミングが合わなくなるため、絶縁層と配線層とを同時焼成させることが困難となる。特に好ましくは750〜880℃、更に好ましくは800〜880℃である。
【0018】
本発明の無機フィラーはSiOあるいはAlの少なくともいずれか一方を含み、該無機フィラーは、アルミナ、ムライト、石英、シリカガラス、及びそれらの混合物が好ましく、特にはアルミナが好ましい。アルミナは高純度の原料が入手しやすいため誘電損失を低減させやすく、かつ、焼結体の強度が向上するからである。また該無機フィラーは、アルカリ金属、アルカリ土類金属を含有しないことが好ましい。アルカリ金属、アルカリ土類金属を含有すると、焼成体である低温焼成磁器組成物の誘電損失が大きくなってしまうからである。
【0019】
前記ガラスは、前記SiOの含有量が68〜72mol%である。SiO含有量が多くなると耐メッキ性が向上し、メッキ処理での不具合が低下するからである。
【0020】
前記ガラスは、RO/Alで表されるAlとROのmol比が1より大きく2以下であることが望ましい。上記ガラス粉末は誘電損失を低下させる為にRO量が少なく、ホウ酸結晶の析出を抑制する為にB量の上限はRO量によって制限される。このためガラスの粘性が上昇し焼結性が低下してしまう傾向にある。RO/Alのmol比を1より大きくすることによって、RO量が少なく、Sb,Pb等の有害成分を含まない組成でも良好な焼結性を確保できる。RO/Al量が2より大きいと、電極と同時焼成する際に電極部に反りが発生したり、分相したりするため望ましくない。
【0021】
O/Al比が1以下の場合には、ROはガラス形成酸化物の四面体構造を切断する非架橋酸素を与えられず、焼成温度でのガラス粘度が高すぎ、焼結できないと考えられる
【0022】
前記ROは、MgOを必須の成分とすることが望ましい。MgOは誘電率と誘電損失を低下させるからである。ROの合計量を100mol%としたとき、MgO量は40mol%以下、特に20mol%以下が望ましい。40mol%より大きいと結晶化しやすくなるからである。
【0023】
前記ガラスと前記無機フィラーを含む低温焼成磁器組成物において、該ガラスの含有量が55〜80体積%であり、該無機フィラーの含有量が20〜45体積%である。ガラスが55体積%より少ないと、緻密な焼結体が得られないからである。80体積%以上であると脱バインダ性が低下したり、焼成体の寸法変動が大きくなるからである。特に好ましくは、該ガラスの含有量が55〜70体積%であり、該無機フィラーの含有量が30〜45体積%である。更に好ましくは、該ガラスの含有量が55〜65体積%であり、該無機フィラーの含有量が35〜45体積%である。
【0024】
前記低温焼成磁器組成物は850〜1050℃で焼成された後において、含まれる結晶相は、上記無機フィラー中に含有される結晶相のみである。ガラス粉末の結晶化に起因する結晶が存在しない為、焼結体中の結晶相は、無機フィラー中に含有される結晶相のみである。ガラス粉末の結晶化に起因する結晶が存在すると、焼成条件によって結晶化度が変わる為、高周波特性が焼成条件に大きく依存してしまう。このため、最適焼成条件が狭く、条件だしが難しい。また結晶化するガラスは、焼成過程で一旦軟化し、その後結晶化に伴い流動性を失う。このため、焼成過程で発生する基板の反りを、焼成条件で修正することが難しい。本発明の低温焼成磁器組成物は結晶化しないガラスからなる為、上の問題は起こりにくく最適焼成条件の幅を広くできる。
【0025】
なお、本明細書における本発明のガラスが非晶質である、および焼結体は、ガラスに起因する結晶を析出していないとは、1050℃以下の焼成やアニーリング等の熱処理後においても、ガラスの構成成分(無機フィラーとして結晶性フィラー粒子を添加した場合は、この無機フィラーを除く。例えば、SiO、Al、ムライト、エンスタタイト等の無機フィラー。)に起因して結晶化した結晶相がガラスマトリックス(ガラスよりなる部分)中に形成されていないことを意味する。さらに、該結晶相が形成されていないとは、低温焼成磁器組成物を用いた成形体を1050℃以下の熱処理にて得られる焼結体をX線回折測定した際に、ガラスの構成成分(無機フィラーとして結晶性フィラー粒子を添加した場合は、この無機フィラーを除く。例えば、SiO、Al、ムライト、エンスタタイト等の無機フィラー。)に起因した結晶相が存在した場合に観測される回折パターンが現れないものを言う。
【0026】
前記低温焼成磁器組成物によれば、比誘電率は7以下、10GHzにおける誘電損失は0.003以下という、高周波特性に優れた磁器が得られる。比誘電率としては、通常は3以上であり、特に6.5以下、更には6以下が好ましい。誘電損失としては特に0.002以下、更には0.0015以下が好ましい。このように、低比誘電率であり、かつ高周波帯における誘電損失が低減された、本発明の低温焼成磁器組成物より、高周波信号を取り扱う場合に問題となった高周波信号の伝送損失等の不具合を抑制することが可能となる。ここで誘電率および誘電損失は公知の方法で測定すれば良い。例えば、JIS R 1627に記載の両端短絡型誘電体共振器法のTE011モードで測定できる。
【0027】
基板の表面および/または内部に配線層が形成された配線基板において、絶縁層に本発明の低温焼成磁器組成物を用いることにより、同時焼結性に優れ、かつ高周波信号に適した配線基板とすることができる。従来、基板に上記した結晶化ガラスを用いて、配線層と同時焼成させると、ガラス成分の流動化が焼成段階で抑制されることにより、形成された配線基板にそりがでる場合があった。しかしながら、本発明の低温焼成磁器組成物が含むガラスマトリックは結晶化しないので、形成される配線基板のそり発生を抑制することができ、ひいては、電気信号の伝送損失低減などの電気的特性向上を可能とする。ところで、低温焼成磁器組成物の構成成分としてガラス以外に無機フィラーとして結晶性のもの(例えば、アルミナ、石英、ガーナイト、ディオプサイド、スピネル、エンスタタイト、コージェライト、アノーサイト等)を添加物として併用した場合には、ガラスマトリックス自体は結晶化した結晶相がない非晶質なものであるが、焼結体全体としては結晶化した結晶相を含有するものとなる。このような場合においても、ガラスマトリックス自体が結晶化しない限りにおいては、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0028】
また、高周波信号に対応した配線基板においては、配線層は低抵抗率のCu、Ag、Au等の材料を用いることが要求される。その場合、Cu、Ag、Auは、融点が低いために、配線層と基板とを同時焼成させるためには、基板に用いる材料を800〜1050℃程度の低温焼成にて形成可能なものとする必要がある。本発明の低温焼成磁器組成物は、焼成温度を1050℃以下とすることができるので、低温焼成磁器組成物を用いて基板を形成することが可能であり、さらに高周波信号に適した配線基板とすることができる。
【0029】
特に、上記Cu、Ag、Auの中において、Cu、Agは低抵抗率であるので、配線層の材料に適しており、さらに、Agより耐マイグレーション性に優れたCuが最適である。しかし、Cuは、大気を含む酸化雰囲気中で焼成すると酸化され、配線層の抵抗増大などの不具合が起こる。そのために、通常、基板とCuを用いた配線層とを同時焼成させる際には、還元もしくは中性雰囲気でおこなわれている。この際、上記のように基板は、基板の構成成分である低温焼成磁器組成物とともに、通常、有機材料よりなるバインダが含有された状態で焼成される。該バインダは、焼成段階において脱脂により除去させるが、焼成温度が高いほど、バインダ除去効果は上がる。しかし、焼成温度が高くなると、配線層に用いられるCuの融点に近づきすぎて、焼成過程においてCuが仮焼結してしまい、基板との同時焼成が困難となる。また、焼成体のサイズや形状によってバインダの除去条件が変化するために、低温焼成磁器組成物と、Cuよりなる配線層とを同時焼成させる際には、焼成温度等の焼成条件の最適化の幅は広いほどよい。
【0030】
本発明においては、上記したように低温焼成磁器組成物を、従来の結晶化ガラスに比べて、焼成温度等の焼成条件の最適化の幅を広げて焼成させることが可能である。そのために、本発明の低温焼成磁器組成物と、Cuを用いた配線層とを同時焼成させることで、同時焼結性に優れ、そり等の不具合を抑制させた配線基板を形成させることが可能である。
【0031】
その結果、さらに、高周波信号に適した配線基板となるとともに、該配線基板の歩留まり等の生産性をも向上させることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の低温焼成磁器組成物の製造方法であるが、特に限定されないがその一例を示す。ガラスを構成する原料における原料元素の酸化物を焼成後の組成が前記含有量となるように、秤量して混合後、例えば、ルツボ中で、1600℃程度にて溶融を行なった後、ボールミール等により粉砕することにより、本発明の低温焼成磁器組成物の構成成分となるガラス粉末を得る。
【0033】
該ガラス粉末の平均粒経は1〜3μmの範囲となるように粉砕するのがよい。平均粒径が3μmより大きくなると、焼結性が低下し、他方、平均粒径が1μm未満となると、脱バインダ性が低下するからである。
【0034】
上記のように作製したガラス粉末に、無機フィラーと、有機材料よりなるバインダと溶剤等とを加え混練するとともに、シート状に成形させる。その後、成形させた成形体を多孔質セラミックセッター上にて焼成させることで、焼結体を得ることができる。
【0035】
上記バインダとしては、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリt−ブチルメタクリレート)、セルロースアセテートブチレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどを挙げることができ、溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、ブロムクロロメタン、エタノール、ブタノール、プロパノール、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
【0036】
次に本発明の配線基板を形成した場合の一実施形態を図1に示す。
図1は、配線基板1の概略断面図を模式的に示すものであり、基板2の内部に、配線層3が形成されているとともに、必要に応じてその表面には半導体素子51が実装される。各配線層3は、配線層3を厚さ方向に貫くビアホール35により互いに電気的に接続される。配線基板1は、例えば高周波用多層セラミック配線基板として機能させるため、高周波用パッケージや、それ自身が高周波信号処理能力を有した能動素子機能を備えたものであってもよいし、別途構成されたアンテナスイッチモジュール等の高周波用素子を搭載するための電子部品であってもよい。
【0037】
本実施形態の配線基板1では、配線層3は、ノイズ防護用のシールド部として機能する接地導体(図示せず)が随伴したものとして構成されている。さらに、本実施形態の配線基板1では、配線層3のほかに、コンデンサ54、インダクタ53及び抵抗器55などの種々の厚膜回路素子が作りこまれているが、厚膜回路素子を特に有さない、配線層のみを有する基板として構成することも可能である。また、配線基板1を高周波用多層セラミック配線基板とした場合、配線層3の一部をストリップラインとして構成されることももできる。また、図1における配線基板1は、多層配線基板をなしているが、本発明の適用は、配線層3を有しないもの、もしくは、高周波用のスロットライン、コプレーナウェーブガイドなどの高周波用金属配線よりなる形態など、公知の配線基板に適用可能である。さらに、電子部品51を搭載させる際の配線基板1の表面に形成される接続端子を、本発明の配線層3の一部に接合させることもできる。
【0038】
図1に示した配線基板1において、電子部品51が搭載される側とは反対側の面がマザーボードなどの上に配置されるための複数の端子を有する配線基板にたいしても、適用可能である。つまり、本発明においては、配線基板1の母体となる基板2の形成時のそりが抑制されることにより接続信頼性が向上される、内部にコンデンサ54などの電子部品が形成されたもの、電子部品51またはマザーボートと接続される接続端子が表面もしくは裏面に形成された公知の配線基板に適用可能である。
【0039】
次に、図1に示したような配線基板を代表させて、その製造工程の一例を以下に説明する。
基板2となるべきグリーンシートを用意する。グリーンシートは、上記と同工程にて形成可能な平均粒径が1〜3μmの範囲となるガラス粉末と、無機フィラーと、上記同様なバインダおよび溶剤と、さらに、可塑剤(ブチルベンジルフタレート、ジブチルフタレート、ジメチルフタレート、フタル酸ジ2エチルヘキシル、アジピン酸エステル、ポリエチレングリコール誘導体、トリクレゾールホスフェートなど)、解膠剤(脂肪酸(グリセリントリオレートなど)、界面活性剤(ベンゼンスルホン酸など)、湿潤剤(アルキルアリルポリエーテルアルコール、ポチエチレングリコールエチルエーテル、ニチルフェニルグリコール、ポリオキシエチレンエステルなど)などの添加剤を配合して混練し、ドクターブレード法等によりシート状に成形したものである。
【0040】
このように得られたグリーンシート上に配線層(厚膜回路素子を作りこむ場合は、その素子のパターンも含む)となるべき配線パターンを複数、公知のスクリーン印刷法により形成を行なう。
【0041】
こうしてパターン形成が完成すれば、多層配線基板を作製する場合、その上に別のセラミックグリーンシートを重ね、さらにパターン形成/グリーンシート積層の工程を繰り返し、熱圧着積層することにより、その積層体を得る。なお、ビアホール35を形成する場合は、グリーンシートのビア形成位置にドリル等を用いて穿孔しておき、ここに金属ペーストを充填するようにする。
【0042】
上記した配線層の形成に使用される金属の材質は、銀系(銀単体、銀−金属酸化物(マンガン、バナジウム、ビスマス、アルミニウム、ケイ素、銅等の酸化物)、銀−ガラス添加、銀−パラジウム、銀−白金、銀−ロジウム等)、金系(金単体、金−金属酸化物、金−パラジウム、金−白金、金−ロジウム等)、銅系(銅単体、銅−金属酸化物、銅−パラジウム、銅−白金、銅−ロジウム等)等の低抵抗材料を用いることができる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実験結果について説明する。
【0044】
(実施例1)
上記した製造工程に従い、SiO、B、Alおよびアルカリ土類金属酸化物のCaO、MgOとからなる下表1に示されるガラス組成で構成される平均粒径が3μmガラス粉末と無機フィラーであるアルミナ(Al)フィラーとを準備した。これらを、ガラス粉末64体積%、アルミナフィラーを36体積%の混合比で混合し、混合粉末100重量部に対して、アクリル樹脂系のバインダ4重量部と溶剤を加えて調製した。その後、調製した造粒粉を一軸形成した後、150MPaにてCIPを行い成形体を得た。次いで、この成形体を多孔質セラミックセッター(イソライト工業製ILS−ZRI)上に乗せて、950℃の温度にて、大気中で2時間の焼成を行ない、焼結体を得た。本実施例における低温焼成磁器組成物の試料番号に対する、ガラスを構成する各成分の含有量(mol%)、B/ROで表されるBとROのmol比、及びRO/Alで表されるAlとROのmol比を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
上記の成形体を40℃、湿度80%環境に放置7日放置後、表面に結晶が析出しているかを観察してホウ酸結晶析出の有無を確認した。
上記実施例にて作製された焼結体に対してX線回折測定により、ガラスマトリックスが非晶質か否かの判定を行なった。ここでは、結晶化に伴う回折パターンが観測されないものを非晶質と判定する。また、JIS C 2141の方法により吸水率を測定した。
耐メッキ性の評価にあっては、50×60mmで厚み1mmの焼成サンプルを得た。上記焼成サンプルを10ml/lの硫酸で洗浄した後、プレディップ、Pd活性処理を経て、無電解Ni−Pメッキ液に浸漬した。更に水洗した後、置換Auメッキ液に浸漬し、更に無電解Auメッキ液に浸漬した。上記メッキ処理前のサンプルとメッキ処理後のサンプルをそれぞれSEM観察し、画像処理によりサンプル表面のガラス成分の面積を算出した。上記メッキ前の面積に対するメッキ後の面積の減少率が0〜10%のものを◎、10〜20%のものを○、20〜40%のものを△。
また、上記焼結体を直径15〜16mm×厚さ7.5〜8mmの大きさに加工した。その後、この低温焼成磁器組成物の比誘電率及び誘電損失をTE011モード及び共振周波数8〜12GHzの条件でJIS R 1627の方法により測定した。これらの測定結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
試料番号1〜15はB/RO比を4以下としたものである。これらのガラス組成で作成された低温焼成磁器組成物はSiO添加量、Al添加量にかかわらず、プレス体表面にホウ酸結晶が析出しなかった。試料番号16〜18はB/RO比が4より大きいものであるが、プレス体表面にホウ酸の結晶が析出していることが観察された。試料番号19はB/RO比が1より小さいものであるが、このガラス組成で作成された低温焼成磁器組成物は誘電損失が大きすぎ、測定できなかった。
【0049】
試料番号6、7、14、16、18はRO/Al比が1のものである。これらのガラス組成で作成された低温焼成磁器組成物は、吸水率が0.1%を超えており、緻密化が不十分であった。試料番号10はRO/Al比が2以上のものであるが、溶融後のガラスに若干の分相があり、ガラスが白化していた。
【0050】
試料番号1〜6はROが6mol%以下のものであるが、これらのガラス組成で作成された低温焼成磁器組成物は、誘電損失が0.0015以下であり特に良好であった。試料番号13はROが14mol%と大きいものであるが、これらのガラス組成で作成された低温焼成磁器組成物は、誘電損失が著しく大きくなってしまった。
【0051】
試料番号2〜6はROをCaOの一部をMgOに置換したものである。これらのガラス組成で作成された低温焼成磁器組成物は誘電率と誘電損失が小さくなった。しかし置換量が多い試料番号4は、これらのガラス組成で作成された低温焼成磁器組成物は、結晶化が起こり緻密化が阻害されてしまった。結晶化した結晶相は2Al・Bであった。
【0052】
試料番号1〜6、12、15は、SiOの含有量が68mol%以上のものである。これらのガラス組成で作成された低温焼成磁器組成物は、耐メッキ性が特に良好な結果となっている。
【0053】
(実施例2)
表1の試料番号5及び試料番号8のガラス組成割合のガラス粉末62体積%とアルミナフィラー38体積%との混合粉末100重量部に対してアクリル樹脂系バインダ20重量部、可塑剤(フタル酸ジブチル)10重量部、溶剤(トルエンとイソプロピルアルコールの混合液)75重量部とを混和し、スラリーを作製した。次に、ドクターブレード法により厚さ250μmのグリーンシートを作製した。得られたグリーンシートの表面にCuペーストをスクリーン印刷法にてパターン印刷することで配線層を形成するとともに、さらに、形成された配線層を被覆する形にてグリーンシートを積層させ未焼成積層体を形成させた。その後、未焼成積層体を、湿潤窒素雰囲気下にて、850℃にて脱脂させるとともに、窒素雰囲気下にて1000℃の温度にて2時間焼成させることで、配線基板を得た。
【0054】
実施例2にて形成された配線基板は、目視にて、そりのない配線基板となっていることが確認された。
このように、本発明の低温焼成磁器組成物を配線基板に用いることで、Cuなどの低抵抗率であり低融点である材料より配線層を形成しても、700〜1050℃の範囲にて同時焼成可能であり、配線基板のそり発生が抑制された、高周波信号に対応したものとすることができる。またセラミックグリーンシートにホウ酸結晶が析出せず生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の一実施形態を示す概略断面図。
【符号の説明】
1 配線基板
2 基板
3 配線層

Claims (6)

  1. SiO、B、Al、金属酸化物ROを含有し、SiO、B、Al、ROの合計量を100mol%としたとき、SiOの含有量が68〜72mol%、Bの含有量が14〜22mol%、Alの含有量が4〜11mol%、ROの含有量が4〜11mol%であるとともに、SiOとBとの合計量は92mol%以下であり、B/ROで表されるBとROのmol比が1.3〜4であり、前記金属酸化物ROのはCa、Sr、Mg、Znのうちから選ばれる少なくとも一種の成分からなるとともに、該金属酸化物ROの合計量を100mol%としたとき、CaOは含有量が60mol%以上であり、アルカリ金属、Pb、AsおよびSbを含まないガラスと、
    SiOあるいはAlの少なくともいずれか一方の無機フィラーとを含み、
    前記ガラスの含有量が55〜80体積%であり、前記無機フィラーの含有量が20〜45体積%であることを特徴とする低温焼成磁器組成物。
  2. 前記ガラスは、RO/Alで表されるAlとROのmol比が1より大きく2以下であることを特徴とする請求項1に記載の低温焼成用磁器組成物。
  3. 前記ROは、MgOを必須の成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の低温焼成磁器組成物。
  4. 850〜1050℃で焼成された後において含まれる結晶相は、前記無機フィラー中に含有される結晶相のみであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の低温焼成磁器組成物。
  5. 10GHzにおける比誘電率が7以下であり、10GHzにおける誘電損失が0.003以下であることを特徴とする請求項に記載の低温焼成磁器組成物。
  6. 絶縁体と導体とを850〜1050℃で同時焼成することによって製造される配線基板において、該絶縁体は上記請求項1乃至のいずれか1項に記載の低温焼成磁器組成物よりなり、該導体はAg、Au、Cuのうちから選ばれる少なくとも一種よりなることを特徴とする配線基板。
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