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JP4766802B2 - 農業用マルチフィルム及び作物栽培方法 - Google Patents
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JP4766802B2 - 農業用マルチフィルム及び作物栽培方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マルチフィルム使用後の廃棄処理が不要になる農業用マルチフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、マルチ栽培の実情を見ると、図2に示すように、帯状のフィルム10が、畝11(通常長さが約50〜100m程度、高さが10〜15cm程度)の上面から側面にかけて被覆するようにしてあり、側面はフィルムが風等で飛散しないように土12が載せられている。従って、マルチフィルム10を長手方向に沿って見ると、栽培作物が植生される地上部域13(地表列域)と、飛散防止用の土中部域14(土中列域)に分けられていることになる。
【0003】
かかるマルチフィルムでは、植物栽培後のフィルムの取り外し作業やフィルムの再生処理の問題があり、かかる問題を解消するために、本発明者は先に特願平10−193694号において、ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂フィルムの両側を生分解性の樹脂で形成してなる農業用マルチフィルムを提案した。
【0004】
しかし、かかるマルチフィルムは、一般的なフィルム成形法であるインフレーション成形法により一体成形した場合、例えば地上部域(地表列域)の樹脂として低密度ポリエチレンを用い、土中部域(土中列域)の樹脂に生分解性樹脂を用いる場合に、低密度ポリエチレンの極性が小さく、生分解性樹脂の極性が大きいため、地表列域とその両側の土中列域の接着が難しい課題がある。また低密度ポリエチレンと生分解性樹脂の溶融張力に差があり、均一なブローアップができず、厚みコントロールができない課題がある。
【0005】
また、地上部域と土中部域の樹脂を全て同じ生分解樹脂を用いて形成すると、土中と地表でのフィルム分解、劣化速度に差が生じ、以下のような問題がある。
【0006】
生分解性の早い樹脂を用いた場合、土中部域のフィルムは土中微生物によって生分解され、1作終了時(2〜6ヶ月)にはほとんど消失するが、地上部域のフィルムも2〜3ヶ月で破れると言う問題がある。
【0007】
また生分解性の遅い樹脂を用いた場合は、土中部域のフィルムの土中微生物による生分解が進まず、土中にフィルムが残存すると、次の作付け、生育に不都合となる問題があり、地上部域のフィルムも残存強度が強いため、ロータリー耕耘機でフィルムを土中にすき込む際にローターにからみつく問題がある。
【0008】
特に地上部域フィルムは、土中にすき込んでも、短期(1〜2週間)に消失することはなく、直ぐ次作に移り難い。即ち、藩種、定植作業で残存フィルムが邪魔になり、作業上問題となる。そして何より心配なのは、畑地の生態系に負荷を掛けることであり、畑地をゴミ捨て場にしていることである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、地上部と土中部でフィルムライフを異ならせて、作物栽培の実情に合致させ、しかも栽培終了後にフィルム廃棄物処理が容易になる農業用マルチフィルム及び作物栽培方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係る農業用マルチフィルムは、帯状の農業用マルチフィルムにおいて、該フィルムの長手方向に沿って中央に地上部域を有し、該地上部域の一側または両側に土中部域を有し、前記地上部域のフィルムと前記土中部域のフィルムとは互いに生分解性能が異なる生分解性樹脂であり、且つ前記土中部域のフィルムは前記地上部域のフィルムよりも早く生分解される生分解性樹脂であることを特徴とし、好ましくは、前記土中部域のフィルムは作物栽培開始から2ヶ月間生分解させずに維持しその後生分解される生分解樹脂製であることを特徴とし、より好ましくは、前記地上部域のフィルムは、コンポスト化する温度及び湿度条件下で生分解する生分解樹脂製であることを特徴とする。
【0011】
また上記課題を解決する本発明に係る作物栽培方法は、上記の農業用マルチフィルムを用いた作物栽培方法であって、前記土中部域のフィルムが生分解された後、作物そのものによって前記地上部域のフィルムが飛散するのを防止することを特徴とする。又は、上記の農業用マルチフィルムを用いた作物栽培方法であって、前記土中部域のフィルムが生分解された後、作物そのものによって前記地上部域のフィルムが飛散するのを防止すると共に、作物栽培終了後、前記地上部域のフィルムを所定の温度及び湿度でコンポスト化することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
本発明に係る農業用マルチフィルムは、図1に示すように、フィルムの長手方向に沿って中央に地上部域1を有し、地上部域1の両側に土中部域2、2を有している。
【0014】
地上部域1のフィルムの第1の特徴は、作物栽培終了まで劣化破損しない生分解樹脂製であり、第2の特徴は作物栽培終了まで劣化破損せず、作物栽培終了後回収したフィルムは、コンポスト原料(ワラ、野菜残渣、家畜糞尿等)と混合し、コンポスト化する温度及び湿度条件下で生分解する生分解樹脂製であることである。
【0015】
第1の特徴における作物栽培終了までというのは、栽培開始から2〜6ヶ月である。栽培期間(フィルム使用期間)は、作物種類、栽培時期、栽培方法(露地、トンネル、ハウス栽培か等)や、栽培地域等により異なる。即ち、同一作物でも栽培期間には幅がある。具体的には2型(栽培開始から2ヶ月)、3型(栽培開始から3ヶ月)、4型(栽培開始から4ヶ月)、5型(栽培開始から5ヶ月)、6型(栽培開始から6ヶ月)のように耐用期間ごとにタイプを用意しておくことが好ましい。また月別でなく、3.5型(栽培開始から3.5ヶ月)のように0.5ヶ月ごとにタイプ分けして用意しておくこともできる。
【0016】
劣化破損というのは、ロータリー耕耘機でフィルムを土中にすき込む際に残存強度を失い、ローターにからみつかなくなる程度に劣化破損されていることを意味しており、具体的には第2の特徴で規定したように、作物栽培終了後コンポスト化する条件下で生分解する程度である。
【0017】
フィルムの特性としては、地上部に存在している際に紫外線による劣化破損の影響もあるので、その劣化を見込んで、第2の特徴の生分解を生起させる特性とすることが好ましい。
【0018】
コンポスト化する温度及び湿度とは、例えば生ごみ等がコンポスト化される温度及び湿度であり、温度は例えば60〜90℃程度が好ましく、湿度(相対湿度)は例えば50%RH〜100%RHの範囲が好ましい。従って、生ごみ等を原料としてコンポスト肥料を製造する際に、当該原料に地上部域1のフィルムを混ぜてコンポストを同条件で製造できるような地上部域1のフィルム特性であることが好ましい。即ち、地上部域1のフィルムはコンポスタブル特性を有していることが好ましい。
【0019】
以下に、地上部域1のフィルムを製造する際の原料となる生分解樹脂を挙げると、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリエステルカーボネート、ポリヒドロキシブチレート/ヒドロキシバリレート、等の脂肪族ポリエステルや脂肪族芳香族ポリエステル共重合体、ポリセルロースアセテート等のセルロース系樹脂、変性ポリビニールアルコール、さらにこれらと澱粉や木粉、椰子殻粉等の有機微粉末との混合物、炭酸カルシウムや二酸化珪素等無機微粉末との混合物、二酸化チタン、カーボンブラック、アルミ粉等着色顔料を配合した物が挙げられる。
【0020】
次に、土中部域2、2のフィルムは、作物栽培開始から2ヶ月間生分解させずに維持しその後生分解される特性を有する。地上部域1のフィルムがマルチ効果を発揮するのは生育初期の2ヶ月間である。従って、生育当初2ヶ月は土で土中部域のフィルムを抑え、地上部域1のフィルムがしっかりと畦面に展張されている必要がある。
【0021】
そして2ヶ月以降は土中部域2のフィルムが生分解されても、作物そのものが大きくなり、風等でフィルムが飛散するのを防止する。つまり畦面上に浮いた状態でかけられた状態、所謂ベタガケ状態になる。一方、土中部域2はいち早く生分解されフィルム残存の問題もなく、土中部域2のみで少なく、土壌への負荷や汚染の問題もなくなり好ましい。
【0022】
以下に、土中部域2のフィルムを製造する際の原料となる生分解樹脂を挙げると、地上部域1と同じ樹脂から目的の分解性のものが選ばれる。分解性の遅い樹脂は有機微粉末や無機微粉末との混合物にして目的の分解性に設計される。
【0023】
本発明において、地上部域1のフィルムに着色顔料を配合して、土中部域2のフィルムは無配合あるいは有機、無機微粉末を配合した物が好ましく、特に地上部域1のフィルムにカーボンブラックを配合した物が好ましい。
【0024】
本発明の農業用マルチフィルムの製造法としては、上記の原料を用い、インレフレダイやTダイ等を用いて3列同時押し出し成形によって形成できる。
【0025】
本発明の農業用マルチフィルムの厚みは、3〜50μm程度が好ましく、より好ましくは5〜35μmの範囲である。
【0026】
更に、本発明の農業用マルチフィルムにおいては、従来公知の界面活性剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、アンチブロッキング剤等を添加することもできる。
【0027】
また、本発明の農業用マルチフィルムは、適当な色濃度の黒色系や銀色系等の着色フィルム層としてもよい。特に黒色顔料としてのカーボンブラック粉体はその表面構造が多孔質でしかも化学的にも活性を有しており、各種生分解樹脂の耐光性や生分解性を改変できる。具体的には、太陽光のエネルギーを吸収して無害な熱エネルギーにして生分解性樹脂の劣化を防ぎ、配合量を調整することで元々の生分解性樹脂の耐候性を数割から数倍に向上させることができる。土中においては分解性を遅らせることができる。機構は明らかではないが、分解を促進する酵素を吸着して徐々に分解させるよう制御していると推定される。
【0028】
また、各種害虫の飛来を抑制する手段を施してもよい。
【0029】
以上、本発明の農業用マルチフィルムの実施の形態において、地上部域1の両側に土中部域2、2を有している例を説明したが、土中部域2が地上部域1の一側である場合にも本発明の効果を発揮し得る。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、地上部と土中部でフィルムライフを異ならせて、作物栽培の実情に合致させ、しかも栽培終了後にフィルム廃棄物処理が容易になる農業用マルチフィルム及び作物栽培方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の農業用マルチフィルムの一例を示す断面図
【図2】農業用マルチフィルムの使用例を示す断面図
【符号の説明】
1:地上部域
2:土中部域

Claims (5)

  1. 帯状の農業用マルチフィルムにおいて、該フィルムの長手方向に沿って中央に地上部域を有し、該地上部域の一側または両側に土中部域を有し、
    前記地上部域のフィルムと前記土中部域のフィルムとは互いに生分解性能が異なる生分解性樹脂であり、
    且つ前記土中部域のフィルムは前記地上部域のフィルムよりも早く生分解される生分解性樹脂であることを特徴とする農業用マルチフィルム。
  2. 前記土中部域のフィルムは作物栽培開始から2ヶ月間生分解させずに維持しその後生分解される生分解樹脂製であることを特徴とする請求項1記載の農業用マルチフィルム。
  3. 前記地上部域のフィルムは、コンポスト化する温度及び湿度条件下で生分解する生分解樹脂製であることを特徴とする請求項1又は2記載の農業用マルチフィルム。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の農業用マルチフィルムを用いた作物栽培方法であって、
    前記土中部域のフィルムが生分解された後、作物そのものによって前記地上部域のフィルムが飛散するのを防止することを特徴とする作物栽培方法。
  5. 請求項3記載の農業用マルチフィルムを用いた作物栽培方法であって、
    前記土中部域のフィルムが生分解された後、作物そのものによって前記地上部域のフィルムが飛散するのを防止すると共に、
    作物栽培終了後、前記地上部域のフィルムを所定の温度及び湿度でコンポスト化することを特徴とする作物栽培方法。
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