JP4768935B2 - 生産管理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のロットそれぞれについて複数の工程からなる一連の処理を行う生産ラインにおける、複数のロットの処理順序を決定する生産管理方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数種の工程を実施する設備を含む複数の設備を有する生産ラインに、ロット単位で素材を投入し、一連の工程の流れ(工程フロー)に従って様々な処理を行うことによる製品の生産が、様々な産業において利用されている。例えば、半導体工場では、複数枚(例えば25枚)のロット単位で半導体基板(ウエハ)を生産ラインに投入し、複数の設備のうちのいずれかの設備を使用する工程での処理を繰り返すことにより、半導体基板上に半導体集積回路に必要な構造を順次に作り込んでいく製造プロセスが採用されている。
【0003】
この半導体集積回路生産においては、様々な処理工程にある複数のロットが生産ライン中に存在することが一般的である。また、複数の工程で同じ設備が使用されることもあり、これらのことから、一つの設備で複数のロットが処理を待たされ滞留してしまう場合がある。
【0004】
このような場合、従来では、滞留したロットをその一つの設備で処理する優先順位を決定する際の指標として、そのロットに対して要求されている納期と、その時点で予想されるそのロットの仕上がり予定時との差(時間的な納期余裕)が用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の指標は納期だけを意識した指標であるため、TAT(Turn−Around−Time;あるロットが生産ラインに投入されてから仕上がり工程を通過するまでの時間)のばらつきについては一切考慮されず、安定したTATを実現することは問題にされていない。加えて、このような指標では、納期に対して余裕がある仕掛かり中のロットは必要以上に滞留されやすく、ロットの偏在が発生しやすい。ロットの偏在が発生すると、投入時点で保たれていた各設備間の負荷バランスが崩れ、生産ライン全体としての操業度が低下してしまう恐れがある。さらに、納期に余裕があるからといって特定のロットを必要以上に長時間放置すると、半導体基板表面へ有機物が付着するなど表面状態が悪化してしまう恐れがあり、品質の面でも好ましくない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、納期を遅らせることなく、納期余裕のあるロットについても必要以上の滞留を抑制し、TATのバラツキを低減することができる生産管理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の生産管理装置は、複数種の工程を実施する設備を含む複数の設備を有する生産ラインにおける、複数のロットの投入から仕上がりに至るまでの処理を管理する生産管理装置であって、
上記複数のロットの中の、上記生産ラインの中の特定の設備を使用する工程に至った少なくとも2つのロットの処理順序を、それぞれのロットの、納期と現時点における仕上がり予定時との差であるslackと、投入時における仕上がり予定時と現時点における仕上がり予定時との差であるslack2との両方を考慮して決定する処理順序決定部を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の生産管理装置によれば、上記slackの他に、投入時における仕上がり予定時とこの方法によって処理順序を決定する時点における仕上がり予定時との差であるslack2も指標として用いるため、納期余裕のあるロットについても必要以上の滞留を抑制することができる。また、ここでslack,slack2は、差の絶対値ではなく、正負の概念を有する値として考慮される。TATのバラツキを低減することができる。
【0009】
また、本発明の生産管理装置において、上記少なくとも2つのロットの処理順序を、上記slackが閾値を越えるロットについては、上記slack2が小さい順に優先して決定する態様であることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明の生産管理装置において、上記少なくとも2つのロットの処理順序を、まず、上記slackが閾値以下であるロットについてそのslackが小さい順に、次に、上記slackが閾値を越えるロットについて上記slack2が小さい順に優先して決定する態様であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の生産管理装置において、上記少なくとも2つのロットの処理順序を、上記slackとslack2との小さい方が小さい順に優先して決定することも好ましい態様の一つである。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず、本発明のうちの生産管理装置に関する一実施形態について説明する。
【0014】
本実施形態の生産管理装置は、半導体基板上に半導体集積回路として必要な構造を順次に作り込んでいく一連のウェハ処理工程における複数のロットの処理順序を決定する際に用いられるものである。
【0015】
図1は、一連のウェハ処理工程のプロセスの開始から終了までの流れを示す工程フロー図である。
【0016】
この一連のウェハ処理工程は、公知のものであるため各工程についての説明は省略するが、酸化から不純物拡散までの各工程およびメタル工程が繰り返し行われる。酸化から不純物拡散までをフロント工程と称し、その後に行われるアルミ電極形成をメタル工程と称する。このウェハ処理工程においては、炉や露光機やエッチャ等の設備が、複数の工程で使用される。
【0017】
続いて、本実施形態の生産管理装置の特徴的な機能について、図2を用いて説明する。
【0018】
本発明の生産管理装置30は、例えば、生産ライン全体を管理する生産管理システム10の一部として実現される。すなわち、生産管理システムを構成するホストコンピュータのハードディスクに、他のさまざまな機能を実現するためのプログラムとともに、本発明の生産管理装置の機能を実現するためのプログラムが記憶される。そして、そのプログラムがメインメモリに読み込まれることによって、ホストコンピュータのCPUが、本発明の生産管理システムとしての機能を発揮する。
【0019】
本発明の生産管理装置30は、図2に示されるように、機能的に、入力部31,処理順序決定部32および出力部33に分けられる。入力部31は、生産管理システムが管理する複数のロットに関するデータを記憶するロット管理データベース11から、それぞれのロットの投入日、標準的なTAT、納期、現在位置(現時点における次の処理工程)、等のデータを取得する。
【0020】
処理順序決定部32は、入力部31が取得したデータを利用して後述するslackとslack2といった値を算出し、これらの値を指標に対象となる仕掛かり中の複数のロットの処理順序を決定するものである。
【0021】
出力部33は、処理順序決定部32によって決定された処理順序を生産管理システムの処理順登録部12に出力する。そして、処理順登録部が、それぞれの設備の処理順の登録を行い、それぞれの設備が、登録された処理順に従ってロットの処理を行う。
【0022】
続いて、この生産管理システム10を用いて実施する生産ラインの管理、特に、生産管理装置30を用いて行う、図1に示す一連のウェハ処理工程におけるロットの処理順序の決定作業について図3を用いて説明する。必要に応じて図4も参照する。
【0023】
図3は、あるロットの営業オーダが伝えられてから、そのロットの、図1に示す一連のウェハ処理工程における処理が終了するまでの生産管理処理ルーチンを示すフローチャートである。図4は、本実施形態の生産管理装置30が備えている処理順序決定部において算出されるslackとslack2それぞれの概念を説明するための図である。
【0024】
まず、受注内容に基づく営業オーダが伝えられると、担当者がその営業オーダの内容から、今回の営業オーダを受けても、生産ラインの処理能力内に収まるか否かを判定し(図3のステップS1)、収まらない場合は、その営業の納期もしくはすでに投入済のほかのロットの納期の調整等を行う。一方、生産ラインの処理能力内に収まる場合は、その生産ラインへその営業オーダに基づくロットを投入することを生産管理システムに対して指示する(図3のステップS2)。このとき、そのロットの投入日や納期等のデータが生産管理システムに入力され、生産管理システム内で算出される標準TAT等とともに、ロット管理データベース11に記憶される。続いて、生産管理システムが投入工程に対して行う指示に基づいて、ロットを生産ラインに投入する(図3のステップS3)。
【0025】
ここで、図2に示す入力部31が、図4に示す、投入日(Di)、過去の実績から予想されるそのロットの標準的なTAT(Ts)、およびそのロットの納期(Dd)を取得する。図4に示すグラフの横軸は時間(日付け)を表す。また、図4に示すグラフの縦軸は、図1に示す一連のウェハ処理工程の流れを示し、下に向かうにつれて最終(仕上り)工程に近づき、最下端は仕上り工程による処理が終了したことを表す。処理順序決定部32は、投入日(Di)と標準的なTAT(Ts)から図4に示す、投入時点での仕上がり予定日(Ds)を以下の式(1)に基づいて求める。
Ds=Di+Ts (1)
そして、処理順序決定部32は、図3のステップS4においてslack値とslack2値との双方を算出する。このステップS4では、まず、入力部31が、そのロットがウェハ処理工程の中のどの工程に現在あるかを示す現在位置X(図4参照)を取得する。そして、その現在位置Xから、図4に示すような標準進捗線(投入時点の位置(St)と投入時点での仕上がり予定日(Ds)とを結ぶ線と同じ傾きの線)を引くようにして、図4に示す、現時点における仕上がり予定日(Dx)を算出する。そして、以下の式(2)からslackを求めるとともに、式(3)からslack2を求める。
slack=Dd−Dx (2)
slack2=Ds−Dx (3)
式(2)によって算出されるslackは、納期(Dd)と現時点における仕上がり予定日(Dx)との時間的な差であり、現時点における仕上がり予定が、納期に対してどれくらい時間的な余裕があるかを表すものである。すなわち、現時点における仕上がり予定は、slackがマイナスの値であると納期に対して遅れており、プラスの値であると納期に対して余裕があることになる。図4に示すグラフにおいては、現時点における仕上がり予定は納期に対して余裕がある。また、式(3)によって算出されるslack2は、投入時点における仕上がり予定日(Ds)と現時点における仕上がり予定日(Dx)との時間的な差であり、現時点における仕上がり予定が、投入時点における仕上がり予定に対してどれくらい時間的な余裕があるかを表すものである。すなわち、現時点における仕上がり予定は、slack2がマイナスの値であると投入時点における仕上がり予定に対して遅れており、プラスの値であると投入時点における仕上がり予定に対して余裕があることになる。図4に示すグラフにおいては、現時点における仕上がり予定は投入時点における仕上がり予定に対して遅れている。
【0026】
図1に示す一連のウエハ処理工程の中で、ロットの滞留が発生しがちの工程のそれぞれについて、その処理工程に至った複数のロットのslack,slack2を算出する。そして、処理順序決定部32は、slack,slack2の両方考慮して、こららの複数のロットを処理する優先順位を決定する(図3のステップS5)。この優先順位の決定の仕方については様々な態様があるが、本発明のうちの生産管理方法の実施形態が適用されているいくつかの例を、図5を用いて説明する。
【0027】
図5は、ある工程において優先順位決定の複数の仕方それぞれによって優先順位が決定された例を示す図である。
【0028】
図5には、(a)と(b)の2つの図が示されおり、各図とも、上方の図には、slackとslack2を指標に優先順位が決定された例が示されている。これらの上方の図では、横1列ずつ1ロットが示されており、左から優先順位、ロットナンバ、slackの値、slack2の値、レシピIDが表されている。ここで、各工程には様々な処理条件があり、レシピIDとは、優先順位を決定する工程における各処理条件ごとに付されたコードである。また、各図とも、下方の図には、上方の図に示された優先順位を同一のレシピIDでまとめ直した優先順位が示されている。
【0029】
図5(a)の上方の図には、slackの値に「0」という閾値を設け、slackの値が0より大きいロットよりもslackの値が0以下のロットを優先して処理順位が決定された例が示されている。この例では、slackの値が0以下のロットについては、slackの値が小さい順に優先順位が決定され、slackの値が0より大きいロットについては、slack2の値が小さい順に優先順位が決定されている。すなわち、優先順位が1位から4位までのロットは、slackの値が0以下の(現時点における仕上がり予定が製品納期に対して余裕が無い)ロットであり、これら4つのロット(ロットナンバA06,A07,A04,A05)はslackの値が小さい順に優先順位が決定されている。また、優先順位が5位以下の8つのロットそれぞれは、slackの値が0より大きい(現時点における仕上がり予定が製品納期に対して余裕がある)ロットであり、これら8つのロット(ロットナンバA08,A09,A12,A01,A11,A10,A03,A02)はslack2の値が小さい順に優先順位が決定されている。ここで、slackの値が0より大きいロットの中で、ロットナンバA11,A10,A03の3つのロットのようにslack2の値が同じものは、slackの値の小さい方が優先されている。なお、slackの値が0以下のロットにおいてはslackの値が同じものは、slack2の値の小さい方が優先される。このようにslackの値に所定の閾値を設け、その閾値以下のロットはslackを指標に優先順位を決定することで納期を優先することができる。またその閾値を越えるロットはslack2を指標に優先順位を決定することで滞留時間を短くすることができる。なお、slackの値の閾値は、各工程ごとに、最も適した値を採用することが好ましい。例えば、拡散炉等による処理時間の長い工程では、処理機会を一度逃すと長時間の処理待ちになりやすく、その結果、納期遅れも長くなりやすいため、閾値を大きめにして納期を優先する。一方、処理時間の短い(回転の速い)工程や制限時間のある工程では、閾値を小さめにして、なるべく滞留時間を短くする。
【0030】
また、図5(a)の下方の図には、図5(a)の上方の図に示された優先順位で上位のロットのレシピIDと同じレシピIDの下位のロットの順位を、その上位のロットの次に移動させた例が示されている。すなわち、図5(a)の上方の図に示された優先順位第1位のロットナンバA06のロットのレシピID「R4」と同じレシピIDのロットは、図5(a)の上方の図に示された優先順位第7位のロットナンバA12のロットであり、図5(a)の下方の図に示す例では、ロットナンバA06のロットの次(優先順位第2位)にロットナンバA12のロットを繰り上げている。そして、これら二つのロットを同時に処理することによりバッチ充填率を上げて生産性を高めている。また、この例では、図5(a)の上方の図に示された優先順位第2位と第3位のロット(ロットナンバA07,A04)のレシピIDが「R1」で同じためその順序はそのままとされている。レシピIDが「R1」のロットはこれらの他にも、図5(a)の上方の図に示された優先順位第8位と第9位のロット(ロットナンバA01,A11)の2つがある。しかしながら、各工程で一度に処理できるロット数は2つまでであり、このため、これら優先順位第8位と第9位のロット(ロットナンバA01,A11)の順位は繰り上げずにこの順序のままにしている。また、同様な理由から、レシピIDが「R2」のロットのうちの最下位のロット(ロットナンバA02)や、レシピIDが「R3」のロットのうちの最下位のロット(ロットナンバA03)の優先順位も繰り上げられていない。
【0031】
図5(b)の上方の図には、slackとslack2とのうちの小さい方の値を基準値として、複数のロットの各基準値を比較し、その基準値の小さい順に優先順位を決定した例が示されている。すなわち、各ロットの基準値は、ロットナンバA06のロットでは「−3」、A08でも「−3」、A07では「−2」、A04でもA09でもともに「−2」、A12では「−1」、A01でも「−1」、A05では「0」、A11、A10、およびA03ではいずれも「0」、A02では「2」である。ここでこの例では、基準値が同じ値であるときには、まずは、その基準値がslackの値かslack2の値かを判定し、slackの値の基準値の方を上位にする。次に、slackの値を基準値としたものが同じ値であったり、slack2の値を基準値としたものが同じ値であったりするときには、基準値としなかった他方(slackの値を基準値としたものはslack2の値、slack2の値を基準値としたものはslackの値)どうしの値を比較して、小さい値のロットを優先する。すなわち、ロットナンバA07のロットと、ロットナンバA04のロットと、ロットナンバA09のロットの3つのロットそれぞれの基準値はいずれも「−2」であるが、これらのうち、ロットナンバA07のロットのみがslackの値を基準値とするものであるためロットナンバA07のロットが3つのロットのうちで上位となる。そして、ロットナンバA04のロットの、基準値としなかった他方(slack2の値)は「−1」であり、ロットナンバA09のロットの、基準値としなかった他方(slack2の値)は「6」であり、このため、ロットナンバA04のロットが3つのロットのうちで中位となり、ロットナンバA09のロットが3つのロットのうちで下位となる。
【0032】
また、図5(b)の下方の図には、図5の(a)の下方の図と同様、図5の(b)の上方の図に示された優先順位で上位のロットのレシピIDと同じレシピIDの下位のロットの順位を、その上位のロットの次に移動させた例が示されている。
【0033】
そして、このようにして決定した優先順位が処理順登録部に出力され、処理順序決定対象の設備の処理順序の登録が行われる(図3のステップS6)。この図3に示す例では、ロットが投入されてから仕上り工程における処理が終了するまで、1日1回、ステップS4からステップS6までの処理が実行される。図1に示す一連のウェハ処理工程における処理が終了すると、この図3に示す生産管理処理ルーチンを終了する。
【0034】
以上のような生産管理処理ルーチンを実行することで、ロットを決まった納期までに生産することができる。また、ロットが滞留しがちな、処理能力以上の処理を要求されることがあるいわゆる高負荷工程や、メンテナンスを頻繁に行う必要のある装置や、メンテナンスに長時間を要する装置によって処理する工程などで、納期に対する余裕があるロットが必要以上に滞留することを防ぎ、生産ラインの負荷バランスをロットの投入時に近いかたちに保つことができる。さらに、TATのバラツキを低減することもできる。
【0035】
ここで、過去の実績から予想される平均的なTATに対する、slackの値のみを指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときのTATのばらつきと、本発明のうちの生産管理方法の一実施形態である、slackとslack2との双方の値を指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときのTATのばらつきとを比較してみる。ここでのslackとslack2との双方の値を指標にした優先順位の決定の仕方は、図5(b)の上方の図を用いて説明した、基準値を用いた優先順位の決定の仕方である。
【0036】
まず、過去の実績から算出される、図1に示すフロント工程の平均的なTATは23.10日である。そして、TATのばらつきを標準偏差を用いて表すと、slackの値のみを指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときには2.64日であるのに対して、slackとslack2との双方の値を指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときには2.31日である。また、TATのばらつきを3シグマを用いて表すと、slackの値のみを指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときには7.92日であるのに対して、slackとslack2との双方の値を指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときには6.93日であり、本発明の実施形態の方が0.99日の改善が見られる。
【0037】
次に、過去の実績から算出される、図1に示すメタル工程の平均的なTATは15.00日である。そして、TATのばらつきを標準偏差を用いて表すと、slackの値のみを指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときには3.84日であるのに対して、slackとslack2との双方の値を指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときには3.42日である。また、TATのばらつきを3シグマを用いて表すと、slackの値のみを指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときには11.52日であるのに対して、slackとslack2との双方の値を指標にした優先順位の決定の仕方を用いたときには10.26日であり、本発明の実施形態の方が1.26日の改善が見られる。
【0038】
そして、TATのばらつきを3シグマを用いて表した結果に着目すると、図1に示すフロント工程のばらつき(最大値−最小値)は1.98日短縮され、図1に示すメタル工程のばらつき(最大値−最小値)は2.52日短縮される。したがって、図1に示す一連のウェハ処理工程全体では、TATのばらつきの幅は4.5日も小さくなる。
【0039】
上記の例では日単位でslack、slack2を算出した。しかし、管理対象のラインの種類によっては他の算出単位を選択してもよい。
【0040】
本発明の生産管理方法は、一つの工程フローで生産される単一の品種の製品を生産する生産ラインにおいて適用することも可能である。しかし、slack、slack2という、異なる工程フローで生産する製品においても共通に算出できる指標を用いるため、様々な工程フローで製造する様々な品種の製品を生産するラインにおいて好適に適用できる。
【0041】
本発明の生産管理方法によるロット処理順序の決定は、他の方法と組み合わせて利用することも可能である。例えば、納期の達成が困難なロットは特急ロットに指定し、本発明のslack、slack2を利用した優先順位決定よりもさらに優先して、処理を行うことが可能である。
【0042】
ロットを構成する半導体基板の枚数が、例えば25枚の一定枚数である場合に限られず、変動を許す生産ラインにおいても本発明の生産管理方法は適用可能である。最近の半導体基板の大型化によって、25枚よりも少ない枚数でロットを構成することも増えている。極端な場合には、1枚の半導体基板のみでロットを構成することを許す生産ラインも提案されている。このような場合でも本発明の生産管理方法は適用可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の生産管理方法および装置によれば、納期を遅らせることなく、納期余裕のあるロットについても必要以上の滞留を抑制し、TATのバラツキを低減することができる。滞留を抑制することにより、生産ラインの能力を有効に利用し、生産能力を高めることができる。また、TATのバラツキを低減することにより、図3のステップS1における能力判定の確度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一連のウェハ処理工程のプロセスの開始から終了までの流れを示す工程フロー図である。
【図2】本発明の生産管理装置の機能ブロック図である。
【図3】あるロットの営業オーダが伝えられてから、そのロットの、図1に示す一連のウェハ処理工程における処理が終了するまでの生産管理処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の生産管理装置が備えている処理順序決定部において算出されるslackとslack2それぞれの概念を説明するための図である。
【図5】ある工程において優先順位決定の複数の仕方それぞれによって優先順位が決定された例を示す図である。
【符号の説明】
10 生産管理システム
11 ロッド管理データベース
12 処理順登録部
30 生産管理装置
31 入力部
32 処理順序決定部
33 出力部
Claims (4)
- 複数種の工程を実施する設備を含む複数の設備を有する生産ラインにおける、複数のロットの投入から仕上がりに至るまでの処理を管理する生産管理装置であって、
前記複数のロットの中の、前記生産ラインの中の特定の設備を使用する工程に至った少なくとも2つのロットの処理順序を、それぞれのロットの、納期と現時点における仕上がり予定時との差であるslackと、投入時における仕上がり予定時と現時点における仕上がり予定時との差であるslack2との両方を考慮して決定する処理順序決定部を有することを特徴とする生産管理装置。 - 前記処理順序決定部は、前記少なくとも2つのロットの処理順序を、前記slackが閾値を越えるロットについては、前記slack2が小さい順に優先して決定するものであることを特徴とする請求項1に記載の生産管理装置。
- 前記処理順序決定部は、前記少なくとも2つのロットの処理順序を、まず、前記slackが閾値以下であるロットについて該slackが小さい順に、次に、前記slackが閾値を越えるロットについて前記slack2が小さい順に優先して決定するものであることを特徴とする請求項1に記載の生産管理装置。
- 前記処理順序決定部は、前記少なくとも2つのロットの処理順序を、前記slackとslack2との小さい方が小さい順に優先して決定することを特徴とする請求項1に記載の生産管理装置。
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