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JP4784079B2 - 散水構造および該散水構造を用いた散水方法 - Google Patents
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散水構造および該散水構造を用いた散水方法 Download PDF

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構造物の外装に対して散水を行う散水構造および該散水構造を用いた散水方法に関する。
近年、外装材に親水性皮膜を施し、該親水性皮膜を施した外装材を設置した構造物に散水して外装材を洗浄する方法や、外装材表面の水の蒸発効果により、都市温暖化対策、省エネルギーをはかる提案がなされている。
このような提案の一つとして、特許文献1(特表2003-525744号公報)には、表面の少なくとも一部に、光触媒及び/又は親水性のコーティングを有する基体であって、このコーティングされた表面に水を分配する装置と組み合わせていることを特徴とする、表面の少なくとも一部に光触媒及び/又は親水性のコーティングを有する基体がある。
この提案は、外装材を清浄に維持するのに必要な清掃の頻度を、未処理の外装材または水の分配を伴わない外装材と比較して減少させることを目的としており、清掃の間隔をあけること、洗剤使用量の削減、コーティングに対する機械的負担の減少による耐久性の向上という効果を見込んでいる。
また、他の提案として特許文献2(特開2002-201727号公報)では、構造物壁面または屋根面の所定領域に、水膜を保持することのできる親水性の層を形成し、この親水性の層形成領域に水を供給し、蒸発に伴う潜熱により周辺空気および構造物を冷却することを特徴とする都市空間の冷却方法が提案されている。
なお、給水ヘッダー部分は定量散水ノズルが例示されている。
この提案においては、光触媒効果による超親水性により、水膜が非常に薄く形成でき、従来からある構造物への散水方法と比較して、蒸発効率がよく、給水量が非常に少なくてすむ利点があるとしている。
さらに、上記特許文献2と同一の発明者により、該特許文献2の発展・改良技術として特許文献3(特開2002-350026号公報)が提案されている。この特許文献3においては、導水口から外装材の表面に供給される水によって一様な水膜が形成されるようにするために、吐水口の長手方向の間隔を5cm以下にすることが提案されている。また、導水管から吐水された水が外装材表面でミスト状にならないようにするために外装材との距離を3cm以下に設定することも提案されている。
さらに、同特許文献3においては、散水量は幅1mあたり100〜300ml/分とされ、100ml/分未満では親水性を有する外装材表面を均一に濡らすことが出来ないとしている。
特表2003−525744号公報 特開2002−201727号公報 特開2002−350026号公報
外装材の表面に散水をして洗浄あるいは放熱効果を得るためには、外装材の表面で散水した水によって均一な水膜が形成されることが前提となる。
そして、水膜が形成されるという前提を満たしつつ、散水量を低減することが求められる。
この点、前記特許文献3においては、外装材表面において水膜を形成するという前提条件を満たすための工夫として、吐水口の長手方向の間隔を5cm以下とし、吐水口と外装材との距離を3cm以下にするとしている。
そして、上記の提案において、散水量は幅1mあたり100〜300ml/分とされ、100ml/分未満では親水性を有する外装材表面を均一に濡らすことが出来ないとしている。
ところで、散水量は、その目的により異なることが発明者の実験により明らかになっており、例えば、表面に付着するダストを流下、洗浄する場合には、水膜形成に必要な散水量とダストを流下させる水圧が必要となるために散水量は比較的多くなる。
一方、蒸発効果による放熱を目的とする場合には、蒸発分を加味して水膜形成に必要な散水量だけでよい。蒸発水量は最大で概ね1kg/mh程度以下とみてよく、上記特許文献3(特開2002-350026号公報)で例示されている散水量は、これと比較して非常に多い事がわかる。
逆にいえば、特許文献3に示された散水方法では、本来の目的以上の散水量でなければ、均一な水膜形成ができないことが推測される。
実際のランニングコストを検討した場合、わが国では水道料金が高価であるために、冷房負荷軽減を目的に散水を実施する場合、前記特許文献3に示された散水量でかけ流す場合にはコスト面で不利である。
そのため、散水の回収や雨水利用も検討されているが、それらを貯留、処理する設備が必要となり、建設コストが上昇するという問題がある。散水量が蒸発水量よりも多い場合には、設備が大型化する方向であり、コスト的に不利であるのは言うまでもない。
本発明はかかる課題を解決するためになされたものであり、散水量を少なくして外装材の表面に水膜を形成することができる散水構造および該散水構造を用いた散水方法を得ることを目的としている。
外装材の表面に均一な水膜を形成するのに最も重要な条件は均一散水であり、この均一散水を行うためには給水部において既に水膜が形成されていることが重要である。
なぜなら、給水部で給水が筋状になるものは、外装材表面が親水性を有している場合であってもある程度の幅の広がりは認められるが、一定の幅以上には拡大しない。このため、散水量が少ない場合には、表面全体を覆うことは出来ないからである。
ちなみに、特許文献3(特開2002-350026号公報)で示されている方法によって幅1mあたり100ml/分未満の散水を行ったが、この量では均一な水膜形成は不可能であった。
本発明は、均一な水膜を形成するためには給水部において既に水膜を形成することの重要性を見出し、これを実現するにはいかにすべきかを鋭意研究して完成したものである。
(1)本発明に係る散水構造は、建築物に設置された外装材と、該外装材と所定間隔を離して水平方向に配設された配水管を備えた散水構造であって、該配水管には、管軸方向に所定の間隔で、前記外装材に向けて吐水する少なくとも一列の散水口が設けられ、
該散水口の向きが、前記外装材に対して正対よりも上向きで、前記散水口から吐水されて前記外装材に衝突した水が、前記外装材への到達位置よりも上方に行くように設定されていると共に、
前記外装材における受水部の下方に水流速度を低下させ、かつ水平方向に水膜を広げる水平方向に連続した凸条部、凹条部または断面L字状の突条部からなる抵抗手段が設けられていることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、外装材表面に親水層が形成されていることを特徴とするものである。
また、発明者は水膜の形成及び維持に必要な散水量についても検討した。表面に酸化チタンとシリカ化合物からなる親水層(接触角10°以下)を有する外装材表面に水膜を形成するべく、散水開始時点から少量の散水を行ったが均一な水膜形成は困難であった。
このように散水開始時点においては少量の散水では均一な水膜ができないことが判明した。他方、一旦水膜が形成された後は、水量を絞ってもある程度以上の水量であれば水膜が維持されることも判明した。このことから、親水層は水膜が形成された後の水膜持続性を有すると考えた。
そこで、幅1m当たり200ml/分の散水により水膜を形成した後、水量の絞り込みを行い、どの程度まで絞り込んでも水膜を維持できるかを調査した。その結果、幅1mあたり50ml/分以下の水量でも均一な水膜を維持することに成功した。更に絞り込むと蒸発水量と拮抗して外装材表面の下部から水膜が切れてくる現象が確認された。このことから、一度形成された水膜は、給水部分で連続性が図られる限り、水量を蒸発水量と拮抗する程度まで絞り込んでも持続させることができることを見出した。
(3)本発明に係る散水方法は、上記の知見を基になされたものであり、上記(1)又は(2)のいずれかに記載の散水構造を用いた散水方法であって、水膜を形成するために散水する第1散水工程と、該第1散水工程の後に該第1散水工程の散水量の1/5以下の水量で散水する第2散水工程とを備えたことを特徴とするものである。
上記(3)に示した水膜形成方法により、蒸発潜熱を利用した放熱建材に向けて、散水量を絞り込むことが可能となる。しかし、絞り込む水量を水膜維持に必要な量にした場合には、表面が湿っている状態を維持することはできるが、水流を維持するのは困難である。
そのため、空気中を飛来するダスト類が表面に付着しやすく、また水流が殆どないために、付着したダストを洗浄することが出来ない。
そこで、発明者は水量を絞り込むことが可能であり、かつ、外装材表面を清浄に保つためにはいかにすべきかという課題を検討した。
そして、水膜の形成、水膜の維持、水膜を維持しつつ外装材表面を洗浄するというそれぞれ異なる目的には異なる散水量が必要であることに着目して、これら異なる目的に必要な散水量の供給をくり返し行うことで、上記課題を解決できるとの知見を得た。
(4)本発明は係る知見に基づくものであり、上記(1)又は(2)のいずれかに記載の散水構造を用いた散水方法であって、水膜を形成するために散水する初期散水工程と、該初期散水工程後に該初期散水工程の散水量の1/5以下の水量で散水する少量散水工程と、該少量散水工程後に該少量散水工程の散水量よりも多量の散水を行う多量散水工程と、該多量散水工程と前記少量散水工程を交互に繰り返す繰返し散水工程とを備えたことを特徴とするものである。
本発明においては、配水管の散水口の向きを、前記外装材に対して正対よりも上向きで、前記散水口から吐水されて外装材に衝突した水が、外装材への到達位置よりも上方に行くように設定すると共に、前記外装材における受水部の下方に水流速度を低下させ、かつ水平方向に水膜を広げる水平方向に連続した凸条部、凹条部または断面L字状の突条部からなる抵抗手段を設けたので、散水口から吐水されて外装材に衝突した水が、外装材への到達位置よりも上方に行き、この上方に行った水が流下して散水口から吐水された水に当って広がり、抵抗手段によって流下速度が低減され、幅方向に広がって水膜となるので、確実な水膜が形成できる。
[実施の形態1]
図1は本発明の一実施形態に係る散水構造の斜視図、図2は図1の矢視A−A断面図である。
本実施の形態に係る散水構造は、建築物の外壁に設置された外装材1と、外装材1と所定間隔を離して水平方向に配設された配水管3を備えた散水構造であって、配水管3には、管軸方向に所定の間隔で、外装材1に向けて吐水する少なくとも一列の散水口5が設けられ、散水口5の向きが、外装材1に対して正対よりも上向きに設定されている。
配水管は、固定具7によって外装材1に取付けられている。
図3は本実施の形態の作用を説明する説明である。以下、図2及び図3に基づいて本実施の形態の作用を説明する。
上記のように構成された本実施の形態に係る散水構造においては、散水口5から外装材1に対して水が供給される。このとき、散水口5からの吐水方向を外装材1の表面に対して正対よりも上向きに設定していることにより、吐水された供給水9が外装材表面に到達(この部分を到達点11とする)すると、到達点11よりも上方に行く水13が存在する。
この上方に行った水13が流下して、到達点11で供給水9と衝突し、これによって流下する水が外装材表面方向に広がると共に、供給水9の到達点11において点状の接触部をある幅をもつ面とすることにより、水膜形成が容易になる。
以上のように、本実施の形態においては、散水口5からの吐水方向を外装材1の表面に対して正対よりも上向きに設定したことにより、給水部で既に水膜が形成されるので、外装材1の表面に均一な水膜を形成することができる。
なお、本実施の形態の散水構造は、屋根のような傾斜面に対しては特に有効であり、同じ散水量であれば、吐水口間隔を拡大でき、同じ吐水口間隔であれば、散水量を減らすことができる。
上記の実施の形態における外装材1の表面には親水層を設けていないが、外装材表面に親水層を設けることにより、水膜形成の効果が飛躍的に高まる。親水層は、酸化チタン等の光触媒やシリカ化合物を含むものを外装材にコーティングしてもよいし、あるいは、外装材表面を多孔質層としてもよい。
[実施の形態2]
図4は本発明の実施の形態2の説明図である。
本実施の形態に係る散水構造は、図1に示した実施の形態1と同様に、外装材1の水平方向に、外装材1と所定間隔を離して配設された配水管を備えた散水構造であって、配水管の散水口の向きが、外装材に対して正対若しくは正対よりも上向きに設定され、外装材表面に親水層が形成されると共に該外装材における受水部の下方に水流速度を低下させる抵抗手段としての凸部15を設けたものである。
本実施の形態によれば、受水部14の下方に水流速度を低下させる凸部15を設けたことにより、
配水管から供給されて外装材に当った水が流下し、受水部14の近傍下方に設けられた凸部15によって、流下速度が低減され、幅方向に広がって水膜となる。その後は、水膜を維持したまま下方に流下する。
このように、本実施の形態によれば、配水管から吐水される受水部14において均一な水膜が形成できない場合においても、確実な水膜が形成できる。なお、凸部15が親水性を有する場合にはこの水膜形成の効果はより高まる。
なお、上記の例においては、外装材表面に親水層が形成された場合について説明したが、外装材表面に親水層が形成されていない場合であっても、本実施の形態の構成を採用することで、外装材表面への水膜形成を容易にするという一定の効果を奏する。
また、上記の例においては、受水部14の下方に凸部15を設けた例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、配水管から供給されて流下する水の速度を低下させるために抵抗となる手段であればよく、凹条部あるいは断面L字状の凸部であってもよい。
また、凹凸の立ち上がり寸法あるいは深さ寸法は、一般的には5mm〜10mm前後に設定するが、特にこれに限定されるものではなく、散水量と流速の関係から適宜決定すればよい。
また、抵抗手段となる凹凸部は外装材形状そのものを成形して形成してもよいし、あるいは外装材の表面に後付け部材として取付けてもよい。
また、抵抗手段の他の例として、透水性、保水性を有する部材を受水部14の下方の外装材表面に貼り付けてもよい。この場合には、配水管から供給された水が透水性、保水性を有する部材を貼り付けた部位で一定量まで保持されて、該部位全体に広げる効果を有し、水膜の形成を容易にする。
なお、このような透水性、保水性を有する部材は、外装材表面に貼り付ける他、配水管部分に取り付けて外装材表面まで延出させてもよい。また、若干の隙間を設けて設置してもよい。さらにまた、外装材に凹部を設け、この凹部にはめ込んでもよい。
[実施の形態3]
本実施の形態は、屋根の表面に親水層を形成すると共に該屋根の上部に幅方向に立上り部を形成し、この立上り部と所定間隔を離して配水管を配設した散水構造であって、配水管から立上り部に向けて吐水するようにしたものである。
上記のように構成された本実施の形態においては、立上り部と屋根面との連結部で水流の流速を低下せしめ、屋根最上部から均一な水膜を形成することができる。
なお、立上り部の寸法は、任意の寸法に設定すればよい。
配水管からの吐水が立上り部に対する吐水の向きは、実施の形態と同様に、吐水が立上り部に対して正対よりも上向きにするのが好ましい
もっとも、立上り部の寸法を大きく取ることができず、配水管からの吐水が立上り部に対して正対よりも上向きにできない場合でも、立上り部に対して吐水することで水膜形成を容易にするという一定の効果を得ることができる。
なお、上記の例においては、屋根の表面に親水層が形成された場合について説明したが、屋根の表面に親水層が形成されていない場合であっても、本実施の形態の構成を採用することで、屋根の表面への水膜形成を容易にするという一定の効果を奏する。
[実施の形態4]
本実施の形態に係る散水方法は、上記実施の形態1〜3に記載した散水構造を用いた散水方法であって、水膜を形成するために散水する初期散水工程と、該初期散水工程後に該初期散水工程の散水量の1/5以下の水量で散水する少量散水工程と、該少量散水工程後に該少量散水工程の散水量よりも多量の散水を行う多量散水工程と、該多量散水工程と前記少量散水工程を交互に繰り返す繰返し散水工程とを備えたものである。
上記の各工程に必要な散水量は、建物の規模(流下長さ)により異なる。しかし、表面に酸化チタンとシリカ化合物からなる親水層(接触角10°以下)を有する外装材表面に初期状態で均一な水膜を形成するのに必要な水量(初期散水工程の水量)として幅1m当たり200ml/分の散水量で足りることを確認している。
また、同様の外装材表面に一旦水膜を形成した後、その水膜を維持するのに必要な水量(少量散水工程の水量)として幅1m当たり50ml/分で足りることを確認した。
さらに、外装材の表面に付着するダストを洗浄するのに必要な水量(多量散水工程の水量)として200ml/分程度あればよいことを確認した。
なお、外装材の表面に付着するダストの洗浄は、外装材最下部でも必要なことから、必要な散水量とは、外装材最下部において決定するのが望ましい。そのため、水膜を形成する水が外装材最上部から最下部に流下する間に蒸発する量を考慮して散水量を決定する。
上記の例においては必要な水量を例示したが、この水量は、外壁の形状、傾斜角度や規模により異なり、傾斜角が緩いほうが洗浄時の水量を多量に必要とする。
また、水膜維持に必要な散水量も外壁の形状、傾斜角度や規模により異なるが、100ml/分程度あれば問題はない。
なお、洗浄効果を高めるためには大量に散水するのが効率的であるため、多量散水工程における水量の上限は規定しないが、散水時間と水量の関係を見極め、時間と散水量の積で求まる適正レベルとするのが望ましい。
また、上記各工程のスケジュールは周囲の空気の汚れや、建物の状態を勘案して任意に決定すれば良いが、少なくとも散水終了時に大量散水をして外装表面を洗浄すれば、汚れの固着を防止することができる。
以上のように、本実施の形態においては、外装材表面に対する水膜の形成を、その目的に応じて、初期散水工程、少量散水工程、多量散水工程に分け、目的に必要な散水量にて散水するようにしたので、従来技術よりも少ない水量で、外装材表面に均一な水膜を形成することが出来、コスト低減が可能となる。
また、蒸発潜熱を利用した放熱建材とする場合には、水膜厚さが薄くなるため、効率が高まるという効果もある。
上記の実施の形態2に示した散水構造及び散水方法の具体例を示す。
傾斜角35°で設置した、酸化チタンをコートしたパネル状の外壁材上に、1m間隔で、配水管保持用のサドルを取り付け、配水管を配置した。
配水管は24φの樹脂製ホースで、20mm間隔で0.3φの吐水口を設けている。配水管は剛性確保のために、内径24φの塩化ビニール製パイプをC型に加工した保持パイプにはめ込んでいる。
吐水口の向きは、外装材に対して5°の角度で上向きとした。また、外装材との間隔は15mmに設定した。
外壁材には、配水管の下方30mmの位置に、高さ3mm、幅2mmで水平方向に連続する線状の突起をプレス成型で一体に形成してある。
上記のように構成した散水構造における散水方法は、散水開始時に、500cc/分・mの水量で散水を行い、大量散水によって早期に水膜を形成する。これは、前述したように、少量散水で開始すると、水膜が全体に広がりにくく、水膜形成に多くの時間を有し、逆に効率が悪くなるからである。
配水管から散水されて下方に流下する水流は、配水管の下方に形成した突起部にぶつかって流速を低下し、ここで水平方向へ広がる。そのため、仮に、散水管から吐出された部分で、水膜が完全に広がっていなくても、突起部で全面に広げることができる。水平方向に広がった水膜は、その後突起部を乗り越える。一度、全体に水膜が広がると、それより下部の部分は、散水量が不足しない限り水膜を保持しつづける。
水膜形成後は、散水量を絞り込み、100cc/分・mまで絞り込む。水膜形成状況が良好であれば、さらに絞り込んでも良い。ここで、小水量の散水による水膜は、壁面上には水流を確認できないくらいに薄く、表面に付着した汚れを洗浄するだけの勢いがない。また、水流が殆どなく、表面がわずかに濡れているだけなので飛来した土埃などが、付着しやすくなる。
そこで、例えば、1時間ごとに500cc/分・mの散水を繰り返すことで、表面の洗浄を行う。
なお、外装材の傾斜角、配水管保持用のサドルの取り付け間隔、配水管の諸寸法は、ここに記載のものに限定しない。散水面の大きさ等によって、必要散水量が決まるため、その水量に合わせた配管径、吐水口の大きさ、間隔を定めるが、散水量が少ない場合には、外装材と吐出口の距離は小さいほうが良い。
実施例1で示した外装材の突起部分の変更例として、散水ヘッダーの下方30mmの位置に、深さ5mm、幅10の水平方向に連続した窪みを設けて同様の散水を行った。このとき、窪み部分の上部から滴下した水滴が、窪み部分の下部の隅部で水平方向に広がる。水滴として落下しないものは、窪み部分の内部で水平方向に広がり、上述の例と同様に水膜を水平方向に広げるという効果が得られた。
実施例2で示したパネル状の外装材の窪み部に、高さ10mm、幅10mmの多孔質の材料を取り付けた。スポンジ状材料は、ウレタンなどの合成樹脂系、ロックウールのような鉱物系、ALCのようなセメント系など、素材に拘らず、所定の保水、透水性を有するものであれば、素材は限定しない。
また、ここでは、外装材に窪み部を形成してはめ込んだものを紹介したが、平面上に布状、板状、あるいは棒状の部材を取り付けてもよい。
本実施例によれば、実施例2よりもさらに水膜を水平方向にスムーズに広げることができた。
実施の形態3で示した屋根に対する散水構造の具体例として以下のものを実施した。
屋根上部(棟納め)部分に高さ100mmの垂直立ち上がり部を形成し、その部分はL形状の水切りを取り付けた。水切りには、光触媒をコーティングした。水切りの垂直部に配水管を取り付け、実施例1と同様に垂直部分に吐水した。
吐水された水は水切りの水平部分で水流の流速が低下して全体に広がり、その後屋根面へ流下して屋根最上部から均一な水膜を形成することができた。
なお、屋根に関する配水管の取り付け方法は、実施例1のように、散水対象面である屋根材に取り付ける方法でもよいが、本実施例の方法は、耐久性、防水性などの問題から、屋根材にビス止めする工程が好ましくない場合に好適である。
本発明の実施形態1に係る散水構造の説明図である。 図1の矢視A−A断面図である。 本発明の実施形態1の作用を説明する説明図である。 本発明の実施形態2の作用を説明する説明図である。
符号の説明
1 外装材、3 配水管、5 散水口。

Claims (4)

  1. 建築物に設置された外装材と、該外装材と所定間隔を離して水平方向に配設された配水管を備えた散水構造であって、該配水管には、管軸方向に所定の間隔で、前記外装材に向けて吐水する少なくとも一列の散水口が設けられ、
    該散水口の向きが、前記外装材に対して正対よりも上向きで、前記散水口から吐水されて前記外装材に衝突した水が、前記外装材への到達位置よりも上方に行くように設定されていると共に、
    前記外装材における受水部の下方に水流速度を低下させ、かつ水平方向に水膜を広げる水平方向に連続した凸条部、凹条部または断面L字状の突条部からなる抵抗手段が設けられていることを特徴とする散水構造。
  2. 外装材表面に親水層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の散水構造。
  3. 請求項1又は2に記載の散水構造を用いた散水方法であって、水膜を形成するために散水する第1散水工程と、該第1散水工程の後に該第1散水工程の散水量の1/5以下の水量で散水する第2散水工程とを備えたことを特徴とする散水方法。
  4. 請求項1又は2に記載の散水構造を用いた散水方法であって、
    水膜を形成するために散水する初期散水工程と、該初期散水工程後に該初期散水工程の散水量の1/5以下の水量で散水する少量散水工程と、該少量散水工程後に該少量散水工程の散水量よりも多量の散水を行う多量散水工程と、該多量散水工程と前記少量散水工程を交互に繰り返す繰返し散水工程とを備えたことを特徴とする散水方法。
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