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JP4800580B2 - 二次電池 - Google Patents
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JP4800580B2 - 二次電池 - Google Patents

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本発明は、2種の溶媒からなる混合溶媒を用いた二次電池に関し、特に混合溶媒の組成が部分的に異なる二次電池に関する。
近年、携帯型電子機器が次々と開発されており、その電源として二次電池が重要な位置を占めるようになっている。特に最近では、携帯型電子機器の小型化および軽量化が進められており、それに伴い二次電池に対しても、機器内の収納スペースに応じるように小型であること、また機器の重量を極力増やさないように軽量であることが求められている。
このような要求に応える二次電池としては、リチウムイオン二次電池などがある。リチウムイオン二次電池は、例えば、非水溶媒に電解質塩を溶解させた電解液を用いており、非水溶媒は、例えば、誘電率および粘性が高く沸点が高い高沸点溶媒と、誘電率および粘性が低く沸点が低い低沸点溶媒とを混合して調製されている。このように高沸点溶媒と低沸点溶媒とを混合することにより高いイオン伝導率を得ることができるからである。
また、近年は、電解液を高分子化合物でゲル化させた電解質を用いたものも実用化されている(例えば、特許文献1参照)。このようにゲル状の電解質を用いれば、液漏れの心配がなく、金属加工の制限を受ける金属外装缶を用いる必要がないので、外装部材としてアルミラミネートフィルムを用いることができ、形状の自由度を高めることができると共に、小型化あるいは軽量化を実現することができる。
特開2001−167797号公報
しかしながら、ゲル状の電解質を用いた二次電池では、非水溶媒に高分子化合物と相溶性を有するものを用いる必要があり、しかも、低沸点溶媒を含んでいると、夏の自動車のような高温状態に放置された場合などに気化して電池が膨らんでしまうという問題があった。よって、ゲル状の電解質を用いた二次電池では、電解液を用いた二次電池のように低沸点溶媒を多く含ませることができず、イオン伝導率を十分に向上させることが難しかった。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたもので、その目的は、自らの膨れを抑制しつつ、性能を容易に向上させることができる二次電池を提供することにある。
本発明の二次電池は、正極集電体の上に正極活物質層が設けられた正極と負極集電体の上に負極活物質層が設けられた負極とが電解質およびセパレータを介して対向配置された電極積層体を有するものである。電極積層体は、正極、電解質、セパレータ、電解質、および負極がこの順に積層された構成、または正極、電解質を含浸したセパレータ、および負極がこの順に積層された構成を有する。電解質は、沸点が150℃以下である低沸点溶媒と沸点が200℃以上である高沸点溶媒との混合溶媒および電解質塩が高分子化合物によって保持されたゲル状のものである。セパレータに含浸される混合溶媒における低沸点溶媒の質量比率は、正極および負極のうちの少なくとも一方に含浸される混合溶媒における低沸点溶媒の質量比率の2倍以上である。
本発明の二次電池によれば、セパレータに含浸される混合溶媒における低沸点溶媒の質量比率を、正極および負極のうちの少なくとも一方に含浸される混合溶媒における低沸点溶媒の質量比率の2倍以上とするようにしたので、電池内部における低沸点溶媒の含有量を効果的に調整することができる。よって、低沸点溶媒による自らの膨れを抑制しつつ、低沸点溶媒によりイオン伝導率を向上させることができる。
特に、セパレータに含浸される混合溶媒における低沸点溶媒の質量比率を10質量%以上とし、正極および負極のうちの少なくとも一方に含浸される混合溶媒における低沸点溶媒の質量比率を10質量%以下とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、正極リード11および負極リード12が取り付けられた電極積層体20をフィルム状の外装部材31の内部に収納した構成を有している。
正極リード11および負極リード12は、それぞれ例えば短冊状であり、外装部材31の内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極リード11は、例えばアルミニウム(Al)などの金属材料により構成されており、負極リード12は、例えばニッケル(Ni)などの金属材料により構成されている。
外装部材31は、例えば、絶縁層、金属層および最外層をこの順に積層しラミネート加工などにより張り合わせた構造を有している。外装部材31は、例えば、絶縁層の側を内側として、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。
絶縁層は、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレン,変性ポリプロピレンあるいはこれらの共重合体などのポリオレフィン樹脂により構成されている。水分透過性を低くすることができ、気密性に優れているからである。金属層は、箔状あるいは板状のアルミニウム, ステンレス,ニッケルあるいは鉄などにより構成されている。最外層は、例えば絶縁層と同様の樹脂により構成されていてもよいし、ナイロンなどにより構成されていてもよい。破れや突き刺し等に対する強度を高くすることができるからである。外装部材31は、絶縁層、金属層および最外層以外の他の層を備えていてもよい。
外装部材31と正極リード11および負極リード12との間には、正極リード11および負極リード12と、外装部材31の内側との密着性を向上させ、外気の侵入を防止するための密着フィルム32が挿入されている。密着フィルム32は、正極リード11および負極リード12に対して密着性を有する材料により構成され、例えば、正極リード11および負極リード12が上述した金属材料により構成される場合には、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されることが好ましい。
図2は、図1に示した電極積層体20のII−II線に沿った断面構造を表すものである。電極積層体20は、正極21と負極22とをセパレータ23および電解質24を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ25により保護されている。なお、図2では、電解質24が、正極21とセパレータ23との間および負極22とセパレータ23との間に層状に存在しているように表しているが、正極21および負極22とセパレータ23との間に層状に存在するのではなく、セパレータ23に含浸されて正極21と負極22との間に存在していてもよい。また、正極21および負極22とセパレータ23との間に層状に存在すると共に、セパレータ23にも含浸されて存在していてもよい。
正極21は、例えば、正極集電体21Aと、この正極集電体21Aの両面あるいは片面に設けられた正極活物質層21Bとを有している。正極集電体21Aには、例えば長手方向における一方の端部に正極活物質層21Bが設けらず露出している部分があり、この露出部分に正極リード11が取り付けられている。正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム箔などの金属箔により構成されている。
正極活物質層21Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料(以下、リチウムを吸蔵・離脱可能な正極材料という。)のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電剤およびポリフッ化ビニリデンあるいはポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤を含んでいてもよい。リチウムを吸蔵・離脱可能な正極材料としては、例えば、リチウムと遷移金属とを含むリチウム複合酸化物あるいはリチウムリン酸化合物が好ましい。これらは高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、高容量化を図ることができるからである。
リチウム複合酸化物としては、遷移金属として、コバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn),鉄,バナジウム(V)、チタン(Ti)、クロム(Cr)および銅(Cu)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが好ましく、特に、コバルト,ニッケルおよびマンガンからなる群のうちの少なくとも1種を含むものがより好ましい。このようなリチウム複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 ,LiNiO2 ,LiMn2 4 あるいはLiNi0.5 Co0.5 2 などが挙げられる。リチウムリン酸化合物としては、例えばLiFePO4 あるいはLiFe0.5 Mn0.5 PO4 が挙げられる。
負極22は、例えば、正極21と同様に、負極集電体22Aと、この負極集電体22Aの両面あるいは片面に設けられた負極活物質層22Bとを有している。負極集電体22Aには、例えば長手方向における一方の端部に負極活物質層22Bが設けられず露出している部分があり、この露出部分に負極リード12が取り付けられている。負極集電体22Aは、例えば、銅箔などの金属箔により構成されている。
負極活物質層22Bは、例えば、負極活物質としてリチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料(以下、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料という。)のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じてポリフッ化ビニリデンあるいはスチレンブタジエンゴムなどの結着剤を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、黒鉛,難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化炭素などの炭素材料が挙げられる。負極材料には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、また、平均粒子径の異なる2種以上を混合して用いてもよい。
リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、また、リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体,合金または化合物が挙げられる。なお、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうちの2種以上が共存するものがある。
リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素としては、例えば、ケイ素、ゲルマニウムあるいはスズが好ましく挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば化学式Ds t Liu で表されるものが挙げられる。この化学式において、Dはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、EはリチウムおよびD以外の元素のうちの少なくとも1種を表す。s、tおよびuの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0である。
このような合金あるいは化合物について具体的に例を挙げれば、SiB4 ,SiB6 ,Mg2 Si,Mg2 Sn,Ni2 Si,TiSi2 ,MoSi2 ,CoSi2 ,NiSi2 ,CaSi2 ,CrSi2 ,Cu5 Si,FeSi2 ,MnSi2 ,NbSi2 ,TaSi2 ,VSi2 ,WSi2 ,ZnSi2 ,SiC,Si3 4 ,Si2 2 O,SiOv (0<v≦2),SnOw (0<w≦2),SnSiO3 ,LiSiOあるいはLiSnOなどがある。
セパレータ23は、電気的に安定であると共に、正極活物質,負極活物質あるいは溶媒に対して化学的に安定であり、かつ電気伝導性を有していなければどのようなものを用いてもよい。例えば、高分子の不織布,多孔質フィルム,ガラスやセラミックスの繊維を紙状にしたものを用いることができ、これらを複数積層して用いてもよい。特に、多孔質ポリオレフィンフィルムを用いることが好ましく、これをポリイミド,ガラスあるいはセラミックスの繊維などよりなる耐熱性の材料と複合させたものを用いてもよい。
このようなセパレータ23は、サブミクロン程度の細かい穴の空いた状態、あるいは網目状態をしており、その空孔率は、20〜70%程度であり、30〜50%のものが好ましく用いられる。
電解質24は、電解質塩と、この電解質塩を溶解する溶媒と、これら電解質塩および溶媒を保持する保持体となる高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル状となっている。
電解質塩としては、例えば、LiClO4 ,LiPF6 ,LiBF4 ,LiN(SO2 CF3 2 ,LiN(SO2 2 5 2 ,あるいはLiAsF6 などのリチウム塩が挙げられる。電解質塩にはいずれか1種を用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
溶媒は2種以上の溶媒成分を含んでおり、例えば、大気圧(1.01325×105 Pa )において沸点が200℃以上である高沸点溶媒と、大気圧において沸点が150℃以下である低沸点溶媒とを、少なくとも1種ずつ含んでいる。高沸点溶媒は誘電率が高いのでリチウムイオンの数を増加させることができるが、粘度も高いのでリチウムイオンの移動度が低く、一方、低沸点溶媒は誘電率は低いが粘度も低いのでリチウムイオンの移動度を高くすることができるからである。
高沸点溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートあるいはこれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換したものが挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。高沸点溶媒としては、また例えば、γ−ブチロラクトンあるいはγ−バレロラクトンなどのラクトン類も挙げられる。低沸点溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートあるいはこれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換したものが挙げられる。
高分子化合物は、溶媒を吸収してゲル化するものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデンあるいはビニリデンフルオロライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレンオキサイドあるいはポリメタクリニトリルを繰返し単位として含むものなどが挙げられる。特に、酸化還元安定性の点からは、フッ素系高分子化合物が望ましい。また、高分子化合物には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、この高分子化合物はセパレータ23に含浸されていない場合もあるが、溶媒はセパレータ23に含浸されており、更に、溶媒は正極21および負極22にも含浸されている場合もある。
図3は、図1に示した電極積層体20を巻回する前のように展開した状態で表したものである。電極積層体20は、セパレータ23と、電極、すなわち正極21および負極22のうちの少なくとも一方とで、検出される溶媒の組成が異なっている。これらセパレータ23の溶媒と電極の溶媒とでは、溶媒成分のうちの少なくとも1種について、セパレータ23の溶媒における質量比率RAの方が、電極の溶媒における質量比率RBの2倍以上となっていることが好ましく、例えば低沸点溶媒の少なくとも1種がこのような質量比率の関係を有していることが好ましい。低粘度溶媒は高温において蒸気圧が高く、電池の膨れの原因となる可能性があるので、全体としては少ない量で効率よく用いることが好ましく、特に、過酸化状態である正極21と反応して炭酸ガスを発生することを防ぐため、低沸点溶媒の含有量を電極においては低くし、セパレータ23には少量を集中的に存在させる方が、リチウムイオンのイオン伝導率を向上させるのに効率がよいからである。
この場合、セパレータ23の溶媒における低沸点溶媒の質量比率RAは低沸点溶媒を複数種含む場合にはその合計で10質量%以上であることが好ましい。低沸点溶媒の質量比率RAがあまり低いと、リチウムイオンの移動度を高くする効果が低くなってしまうからである。また、電極(正極21および負極22のうち少なくともいずれか一方)における低沸点溶媒の質量比率RBは低沸点溶媒を複数種含む場合にはその合計で10質量%以下であることが好ましい。低沸点溶媒の質量比率RBがあまり高いと、高温保存時における電池の膨れを抑制する効果が低くなってしまうからである。
なお、セパレータ23の溶媒と電極の溶媒とを比較する際には、例えば、積層方向Xに延長された同一直線上に位置する領域について比較することが望ましい。具体的に例を挙げれば、例えば、図3に示したような展開した状態において電極積層体20を任意の位置で積層方向Xに、例えば図4に示したように切断し、この切断された積層体から例えば直径3mmの円板状のセパレータ23と正極21および負極22のうちの少なくとも一方とを取り出し、そこから検出される溶媒成分を比較するのが好ましい。
このような構成を有する二次電池は、例えば次のようにして製造することができる。
図5〜図7は、本実施の形態に係る二次電池の製造工程を表すものである。まず、例えば、正極活物質と導電剤と結着剤とを混合して正極合剤を調製し、N−メチルピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。次いで、図5(A)に示したように、正極合剤スラリーを正極集電体21Aの両面あるいは片面に塗布し乾燥させ、圧縮成型して正極活物質層21Bを形成し、正極21を作製する。続いて、例えば、正極集電体21Aに正極リード11を、例えば超音波溶接あるいはスポット溶接により接合する。そののち、溶媒成分の一部、例えば高沸点溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶媒とを含む前駆溶液を用意し、正極活物質層21Bの上、すなわち正極21の両面あるいは片面に塗布し、混合溶媒を揮発させて、電解質24の前駆体である塗布層41を形成する。混合溶媒としては、例えば、エチルメチルカーボネートあるいはジメチルカーボネートを用いる。
また、例えば、負極活物質と結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチルピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。次いで、図5(B)に示したように、負極合剤スラリーを負極集電体22Aの例えば両面あるいは片面に塗布し乾燥させ、圧縮成型して負極活物質層22Bを形成し、負極22を作製する。続いて、負極集電体22Aに負極リード12を、例えば超音波溶接あるいはスポット溶接により接合すると共に、負極活物質層22Bの上、すなわち負極22の両面あるいは片面に、正極21と同様にして塗布層41を形成する。
続いて、例えば、塗布層41を形成した負極22、セパレータ23、塗布層41を形成した正極21、およびセパレータ23をこの順に積層し、巻回して最外周部に保護テープ25を接着し、電極積層体20の前駆体である積層体42を形成する。積層体42を形成したのち、図6に示したように、例えば、一枚の外装部材31の間に積層体42を挟み込み、外装部材31の一辺を除く外周縁部を熱融着する。その際、正極リード11および負極リード12と外装部材31との間には密着フィルム32を挿入する。
次いで、図7に示したように、外装部材31の内部に溶媒成分の一部、例えば低沸点溶媒を含む注入溶液43を注入し、電解質24および電極積層体20を形成する。その際、低沸点溶媒は正極21および負極22よりもセパレータ23との親和性が高いので、正極21および負極22よりもセパレータ23に対して多く含浸される。注入溶液43には、低沸点溶媒に加えて電解質塩を添加してもよい。この場合、電解質塩は塗布層41に含まれるものと同一でも異なっていてもよい。そののち、外装部材31の開口部を減圧下で熱融着し、図1に示した二次電池を組み立てる。
また、上述の二次電池は次のように作製してもよい。まず上述したようにして正極21および負極22を作製し、正極21および負極22に正極リード11および負極リード12を取り付けたのち、正極21と負極22とをセパレータを介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ25を接着して、電極積層体20の前駆体である積層体を形成する。次いで、この積層体を外装部材31で挟み、一辺を除く外周縁部を熱融着して袋状とし、外装部材31の内部に収納する。続いて、溶媒成分の一部、例えば高沸点溶媒と、電解質塩と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を用意し、外装部材31の内部に注入する。
モノマーは、重合により溶媒などを保持可能な高分子化合物を形成しうるものであればどのようなものでもよい。モノマーとしては、例えば、エーテル基あるいはエステル基を有するものを用いることができ、末端にアクリレート基あるいはメタクリレート基などの重合可能な官能基を有するものが好ましい。具体的には、例えば化1で表される化合物が挙げられる。モノマーはいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 0004800580
(化1において、nは4〜12の整数を表す。)
電解質用組成物を注入したのち、外装部材31の開口部を真空雰囲気下で熱融着し密閉し、次いで熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とし、ゲル化する。続いて、外装部材31の一辺を開口し、この開口から溶媒成分の一部として例えば低沸点溶媒を含む注入溶液43を注入したのち、外装部材31の開口部を減圧下で熱融着し、図1に示した二次電池を組み立てる。
この二次電池では、充電を行うと、正極21からリチウムイオンが離脱し、電解質24を介して負極22に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが離脱し、電解質24を介して正極21に吸蔵される。このとき、セパレータ23に低沸点溶媒が多く含まれているので、リチウムイオンの移動度が高くなる。また、一方で、高温状態で保存された場合などには、正極21または負極22における低沸点溶媒の含有量が少なくなっているので、電池の膨れが抑制される。
このように本実施の形態の二次電池によれば、溶媒成分のうちの少なくとも1種、例えば低沸点溶媒の少なくとも1種について、セパレータ23の溶媒における質量比率を電極の溶媒における質量比率の2倍以上とするようにしたので、低沸点溶媒の含有量を効果的に調整することができる。よって、低沸点溶媒による電池の膨れを抑制しつつ、低沸点溶媒によりイオン伝導率を向上させることができる。
特に、セパレータ23の溶媒におけるその溶媒成分の質量比率を10質量%以上とし、電極の溶媒におけるその溶媒成分の質量比率を10質量%以下とするようにすれば、より高い効果を得ることができる。
更に、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1〜3)
まず、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2 )を92質量%と、結着剤として粉末状ポリフッ化ビニリデンを3質量%と、導電剤として粉末状黒鉛を5質量%とを、溶剤であるN−メチルピロリドンを用いてプラネタリーミキサーによって混練し、正極合剤スラリーを作製した。次いで、図5(A)に示したように、正極合剤スラリーを塗工装置を用いてアルミニウム箔よりなる正極集電体21Aの両面に均一に塗布し、120℃で乾燥させたのち、再度、減圧状態において120℃で24時間乾燥させた。続いて、ロールプレス機で圧縮成型して正極活物質層21Bを形成したのち、幅48mm、長さ300mmに裁断して正極21を作製した。そののち、正極21の端部にアルミニウムリボンよりなる正極リード11を溶接した。
また、負極活物質としてメソフェーズ系球状黒鉛を90質量%と、結着剤として粉末状ポリフッ化ビニリデンを10質量%とを、溶剤であるN−メチルピロリドンを用いてプラネタリーミキサーによって混練し、負極合剤スラリーを作製した。次いで、図5(B)に示したように、負極合剤スラリーを塗工装置を用いて銅箔よりなる負極集電体22Aの両面に均一に塗布し、120℃で乾燥させたのち、再度、減圧状態において120℃で24時間乾燥させた。続いて、ロールプレス機で圧縮成型して負極活物質層22Bを形成したのち、幅50mm、長さ310mmに裁断して負極22を作製した。そののち、負極22の端部にニッケルリボンよりなる負極リード12を溶接した。
次いで、高沸点溶媒としてエチレンカーボネート(EC)を40質量%と、プロピレンカーボネート(PC)を60質量%とを混合し、この高沸点溶媒混合物に、電解質塩として高沸点溶媒混合物の質量に対して0.78mol/kgのLiPF6 を添加して溶解させた。続いて、高分子化合物として、ヘキサフルオロプロピレンが6質量%の割合で共重合したヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンとの共重合体を用意し、この高分子化合物と、高沸点溶媒混合物に電解質塩を溶解させた溶液と、混合溶媒としてジメチルカーボネートとを混合し、ゾル状の前駆溶液を作製した。得られた前駆溶液を、正極21および負極22のそれぞれにバーコーターを用いて塗布したのち、混合溶媒を揮発させゲル状の塗布層41を形成した。
そののち、塗布層41をそれぞれ形成した正極21と負極22とを、厚み10μmの多孔質ポリエチレンフィルムからなるセパレータ23を介して貼り合わせ、扁平巻回して積層体42を形成した。このとき積層体42に含まれる高沸点溶媒混合物に電解質塩を溶解させた溶液の含有量は2.0gとした。
得られた積層体42を、図6に示したように、アルミ箔の両面を樹脂フィルムで挟んだアルミラミネートフィルムよりなる外装部材31に挟んだ。その際、正極リード11および負極リード12と外装部材31との間にはプロピレンよりなる密着フィルム32を挿入した。次いで、外装部材31の外縁部を一辺のみを除いてヒートシールにより貼り合わせた。なお、外装部材31の内側の樹脂フィルムの一部には切れ込みを入れ、電池内の内圧が上昇した際に開口するようにした。
続いて、図7に示したように外装部材31の外縁部の貼り合わせられていない部分から、低沸点溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)に電解質塩として2.0mol/kgのLiPF6 を溶解させた注入溶液43を注入した。注入溶液43の注入量は、実施例1〜3において0.5g〜2.0gの間で変化させた。そののち、真空下で外装部材31の外縁部の残りの一辺をヒートシールにより貼り合わせ、図1および図2に示した厚み4.0mmの二次電池を作製した。
作製した実施例1〜3の二次電池について、外装部材31から電極積層体20を取り出し、展開したのち、直径が3mmの型抜きポンチで積層方向Xに全体について切り出し試料片を得た。この試料片からセパレータ23と電極(正極21および負極22)部分とを剥がし、セパレータ試料片および電極試料片を得た。これらの試料片について、含まれる溶媒の組成をガスクロマトグラフィー−マススペクトロスコピー分析装置(GCMS装置)を用いてそれぞれ測定した。この測定は、試料片を高沸点溶媒であるECおよびPCの沸点よりも高い温度で加熱して得られたガスを分析することにより行った。その結果を表1に示す。
実施例1〜3の比較例1〜4として、比較例1では注入溶液43の注入量を0.02gにしたことを除き、比較例2では注入溶液43の注入量を5.0gにしたことを除き、比較例3では、注入溶液43の注入量を10.0gにしたことを除き、比較例4では注入溶液43を注入しなかったことを除き、実施例1〜3と同様にして電池を作製した。
また、実施例1〜3の比較例5〜8として、次のようにして電池を作製した。
まず、実施例1〜3と同様にして正極21および負極22を作製し、正極21および負極22に正極リード11および負極リード12を取り付けたのち、正極21と負極22とをセパレータを介して積層して巻回し、最外周部に保護テープ25を接着して、電極積層体20の前駆体である積層体を形成した。正極リード11、負極リード12およびセパレータ23には実施例1〜3と同様のものを用いた。
次いで、この積層体を外装部材31の内部に収納し、電解質用組成物を注入した。その際、電解質用組成物は、高沸点溶媒であるエチレンカーボネートおよび低沸点溶媒であるエチルメチルカーボネートに電解質塩として2.0mol/kgのLiPF6 を溶解させ、更に、高分子化合物の原料であるモノメチルマレイン酸エステルとフッ化ビニリデンとを混合したゾル状態のものを用いた。また、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの割合は、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの質量比で、比較例5では75:25、比較例6では50:50、比較例7では35:65、比較例8では20:80とした。
電解質用組成物を注入したのち、外装部材31の開口部を真空雰囲気下で熱融着し密閉し、次いで熱を加えてモノマーを重合させて高分子化合物とし、ゲル化して比較例5〜8の二次電池を作製した。
比較例1〜8の二次電池についても、実施例1〜3と同様にして解体し展開したのち、電極積層体20を直径が3mmの型抜きポンチで積層方向Xに全体について切り出し試料片を得た。この試料片からセパレータと電極(正極21および負極22)部分とを剥がし、含まれる溶媒の組成を測定した。得られた結果を表1に併せて示す。
Figure 0004800580
表1に示したように、実施例1〜3の二次電池では、セパレータ23における低沸点溶媒の質量比率RAが電極における低沸点溶媒の質量比率RBの2倍以上であったのに対して、比較例1〜8では2倍未満であった。
また、作製した実施例1〜3および比較例1〜8の二次電池について次のようにして高温保存特性を測定した。まず、23℃の環境において、上限電圧4.2V、電流1Cの条件で充電時間の総計が3時間に達するまで低電流低電圧充電を行ったのち、保存前の厚みを測定した。なお、1Cは理論容量を1時間で放電できる電流値である。次いで、この電池を温度90℃、湿度60%の恒温槽に6時間保存し、恒温槽から取り出して3分以内に23℃の環境において保存後の厚みを測定した。高温特性は、[(保存後の電池の厚み)−(保存前の電池の厚み)]として求めた。得られた結果を表2に示す。なお、このときに電池の膨らみが0.8mm以下のものを良品とした。
実施例1〜3および比較例1〜8の二次電池について次のようにして低温特性を評価した。まず、23℃の環境中において、上限電圧4.2V、電流1Cの条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち23℃の環境中において、電流0.5C、終止電圧3Vの条件で定電流放電を行った。次いで、23℃の環境中において、上限電圧4.2V、電流1C条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち、−20℃の環境中において、電流0.5C、終止電圧3Vの定電流放電を行った。低温特性は、[(−20℃での放電容量)/(23℃での放電容量)] ×100として求めた。得られた結果を表2に示す。なお、このときの容量維持率が40%以上であるものを良品とした。
低温特性は、また、次のようにして評価した。まず、23℃の環境中において、上限電圧4.2V、電流1Cの条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち23℃の環境中において、電流1C、終止電圧3Vの条件で定電流放電を行った。次いで、23℃の環境中において、上限電圧4.2V、電流1C条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち、−10℃の環境中において、電流1C、終止電圧3Vの定電流放電を行った。低温特性は、[(−10℃での放電容量)/(23℃での放電容量)]×100として求めた。得られた結果を表2に示す。なお、このときの容量維持率が20%以上のものを良品とした。
低温特性は、更に、次のようにして評価した。まず、23℃の環境中において、上限電圧4.2V、電流1Cの条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち23℃の環境中において、2Aで0.5m秒のパルスと、0.2Aで6m秒のパルスとにより連続パルス放電を行い、大電流パルスの際の最も大きな電圧の降下が3Vに達したときにパルス放電を終了した。次いで、23℃の環境中において、上限電圧4.2V、電流1C条件で充電時間の総計が2.5時間に達するまで定電流定電圧充電を行ったのち、−20℃の環境中において、2Aで0.5m秒のパルスと、0.2Aで6m秒のパルスとにより連続パルス放電を行い、大電流パルスの際の最も大きな電圧の降下が3Vに達したときにパルス放電を終了した。低温特性は、[(−20℃でのパルス放電の際の放電容量)/(23℃でのパルス放電の際のパルス放電容量)]×100として求めた。得られた結果を表2に示す。なお、このときの容量維持率が30%以上のものを良品とした。
Figure 0004800580
表1および表2に示したように、実施例1〜3によれば、比較例2,3,5〜8のように、膨れ量が0.8mmを超えることがなく、また、比較例1,4のように容量維持率が低下することがなかった。すなわち、セパレータ23における低沸点溶媒の質量比率RAを電極における低沸点溶媒の質量比率RBの2倍以上とするようにすれば、電池の膨れを抑制することができると共に、より高い性能を得られることが分かった。
また、実施例1〜3によれば、セパレータ23における低沸点溶媒の質量比率RAが10質量%未満である比較例1,4よりも容量維持率が良好であった。また、電極における低沸点溶媒の質量比率RBが10質量%超である比較例2,3,5〜8よりも高温保存時の膨れ量が0.8mm以下と小さく良好であった。すなわち、セパレータ23における低沸点溶媒の質量比率RAを10%以上とし、かつ、電極における低沸点溶媒の質量比率RBを10%以下とすれば、電池の膨れを抑制することができると共に、より高い性能を得られることが分かった。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態および実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、電極積層体20が巻回されている場合について説明したが、例えば図8に示したように、一対の正極21と負極22とをセパレータ23および電解質24を介して積層したカード型の電極積層体50を備える場合、または、例えば図9に示したように、2以上の正極21と負極22とをセパレータ23および電解質24を介して交互に積層した積層型の電極積層体60を備える場合、または、一対の正極21と負極22とをセパレータ23および電解質24を介して積層しつづら折りにした電極積層体を備える場合についても、本発明を同様に適用することができる。
また、上記実施の形態および実施例においては、溶媒と電解質塩とを高分子化合物に保持させたゲル状の電解質を用いるようにしたが、保持体として無機化合物を用いてもよく、高分子化合物と無機化合物を複合して用いてもよい。
更に、上記実施の形態および実施例では、電極反応にリチウムを用いる場合を説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属,またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その場合、正極活物質, 負極活物質および電解質塩については、その軽金属に応じた物質が用いられる。他は上記実施の形態と同様に構成することができる。
加えて、本発明は二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
本発明の一実施の形態に係る二次電池の構成を表す部分断面斜視図である。 図1に示した電極積層体のII−II線に沿った構成を表す断面図である。 図1に示した電極積層体を展開して表した斜視図である。 図3に示した電極積層体の切断面を表す図である。 図1〜3に示した二次電池の製造工程を表した斜視図である。 図5に続く製造工程を表した斜視図である。 図6に続く製造工程を表した斜視図である。 本発明の変形例に係る電極積層体の構成を表した断面図である。 本発明の他の変形例に係る電極積層体の構成を表した断面図である。
符号の説明
11…正極リード、12…負極リード、20,50,60…電極積層体、21…正極、21A…正極集電体、21B…正極活物質層、22…負極、22A…負極集電体、22B…負極活物質層、23…セパレータ、24…電解質、25…保護テープ、31…外装部材、32…密着フィルム、41…塗布層、42…積層体、43…注入溶液

Claims (7)

  1. 正極集電体の上に正極活物質層が設けられた正極と負極集電体の上に負極活物質層が設けられた負極とが電解質およびセパレータを介して対向配置された電極積層体を有する二次電池であって、
    前記電極積層体は、前記正極、電解質、セパレータ、電解質、および負極がこの順に積層された構成、または前記正極、電解質を含浸したセパレータ、および負極がこの順に積層された構成を有し、
    前記電解質は、沸点が150℃以下である低沸点溶媒と沸点が200℃以上である高沸点溶媒との混合溶媒および電解質塩が高分子化合物によって保持されたゲル状のものであり、
    前記セパレータに含浸される混合溶媒における前記低沸点溶媒の質量比率は、前記正極および負極のうちの少なくとも一方に含浸される混合溶媒における前記低沸点溶媒の質量比率の2倍以上である
    ことを特徴とする二次電池。
  2. 前記セパレータに含浸される混合溶媒における前記低沸点溶媒の質量比率は10質量%以上であり、前記正極および負極のうちの少なくとも一方に含浸される前記低沸点溶媒の質量比率は10質量%以下であることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  3. 前記低沸点溶媒は、ジメチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ジエチルカーボネートおよびこれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換したものからなる群のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  4. 前記高沸点溶媒は、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネートおよびこれらの少なくとも一部の水素をハロゲンで置換したものからなる群のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  5. 前記電極積層体は、巻回されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  6. 前記電極積層体は、前記正極と前記負極とを1以上ずつ交互に積層して有することを特徴とする請求項1記載の二次電池。
  7. 前記電極積層体の積層方向に延長された同一直線上に位置する領域において、
    前記セパレータに含浸される前記低沸点溶媒の質量比率が、前記正極および負極のうちの少なくとも一方に含浸される前記低沸点溶媒の質量比率の2倍以上である
    ことを特徴とする請求項1記載の二次電池。
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