JP4804518B2 - ポリエステル複合モノフィラメント - Google Patents
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Description
更に、高強度を出すために可能な限り延伸倍率を高めて延伸するので、巻き取りパッケージ中にて応力緩和起因によるパーン曳けが発生し、メッシュ織物中に筋が多く発生する等の問題が多かった。
なかでも、芯成分が鞘成分より重合度が高く、芯成分の極限粘度が上記の範囲で鞘成分には第3成分を共重合したものを用い、かつ、芯成分と鞘成分の比率がこの範囲であると、本発明の初期弾性率や強度2.5cN/dtex時の伸度を満たす複合モノフィラメントを得るのが容易となり好適である。
なお、特許文献1に記載されるような70:30を超える比率であれば、モノフィラメントは剛直となり筬による摩擦削れが発生し易く、削れ屑がメッシュ織物に混入してメッシュ開口率を低下させる傾向がある。
初期弾性率(cN/dtex)=(点Aの強度―点Bの強度)/〔(点Aの伸度―点Bの伸度)/100〕
初期弾性率が80cN/dtex未満の場合、メッシュ織物強度が弱く形状保持性が悪くなる。100cN/dtexを超える場合、モノフィラメントは堅く脆いものとなり製織時に繊維表面が筬により削られ易くなるという問題がある。
すなわち、本発明における複合モノフィラメントのSS曲線は2つの明確な変曲点を持ち、伸度の低い第1降伏点をY1、伸度の高い第2降伏点をY2とすると、降伏点Y1と降伏点Y2の間が図2の曲線Yの如き降伏点Y1と降伏点Y2を結ぶ線よりも下方に凸の形状を取るのが好ましい。この第1降伏点Y1と第2降伏点Y2間の曲線は、Y1−Y2間を結ぶ直線よりも伸度軸方向(図2において下方)に凸の形状とせしめた曲線であるのが好ましい。そして、図2に示すように、本発明においては強度2.5cN/dtex時の伸度が5〜8%であることが重要である。
この降伏点Y1と降伏点Y2の間は、繊維中の非晶鎖の伸長力を現しており、曲線Xの場合、曲線Yよりも非晶部分の配向度が高いものと考えられる。この部分の分子配向が高いと、モノフィラメント製造時にパーン曳けが発生し易くなり、また製織時には筬により繊維表面磨耗が激しくなることを本発明者等は見出した。すなわち、非晶部分の分子の配向度が低いものがよいことになるが、このことにより外部から張力をかけられたときにもフィラメント内の非晶部分の分子がある程度自由に動くことができる。この結果、フィラメント自身がしなやかさと柔軟性をもつことができるので、パーン曳けや筬削れの防止ができるものと考えられる。なかでも、本発明では、強度2.5cN/dtex時の伸度にパーン曳けや筬削れ対策などに大きく寄与することに着目した。強度2.5cN/dtexにおける、伸度が5%未満の場合、例え曲線Yの如く降伏点Y1と降伏点Y2を結ぶ線よりも下に凸の形状をなしても製織時の筬による繊維表面削れが大きくなるという問題が生じる。該伸度が8%を超える場合、筬による削れ発生率は低減するものの、強度が低く伸度が高くなるために、メッシュ織物としての形状保持性は悪いものとなる。
極限粘度[η]は、フェノール/テトラクロロエタン=6/4の混合溶剤中20℃にて常法により測定した。
オートグラフ引張り試験機(島津製作所製)を用い、初期長200mm、歪速度100%/分、初荷重1/30cN/dtexとして破断するまで引張り試験を実施した。初期弾性率は、上述した方法で算出した。
上述した引張り試験にて、強度が2.5cN/dtexにおける伸度を求めた。
上述した引張り試験にて破断強度及び破断伸度を求めた。
該複合モノフィラメントを用いて130メッシュのメッシュ織物を製織するにあたり、筬によって繊維表面が磨耗されているかどうか、或いは白粉スカムが発生しているかどうかを織りあがったメッシュ織物を検反すること、及び筬やヘルドに白粉が付着しているかどうかを以下の基準で評価した。
◎: 筬による磨耗・スカム発生が全く無い
○: 経糸方向5000m製織後磨耗・スカム発生が無い
△: 一部磨耗・スカムが見られる
×: 磨耗・スカムが多い
メッシュ製織工程における、メッシュ織物のA反率とは、白粉スカムや筬による磨耗片がメッシュ織物組織中に詰まることによる経糸切れ、経筋斑、ゆるみ等を透かし検反により確認し検反専門家が点数付けを行い判定する。該メッシュ織物ではA反率が90%以上のものを合格とした。A反率が90%未満のものは、次の蒸着工程に投入することはできない。
A反として上がったメッシュ織物を、ニッケル、銅及びカーボン等の導電体にてスパッタ蒸着し、PDP用電磁波スクリーンを製作した。該メッシュ織物の形状保持性、目開きが良好でPDPに使用可能な物を◎、使用可能であるが目開き性にやや問題あるものを○、形状保持性・目開きが不十分なものを△、使用不可のものを×として評価した。
極限粘度が0.688のポリエチレンテレフタレートポリマーを芯成分とし、極限粘度が0.668で平均分子量が600のポリエチレングリコールをポリエステル中に4.8重量%共重合させた共重合ポリエステルを鞘成分として用いた。該ポリエステルを各々表1記載の芯鞘比率となる様に溶融計量し、ノズル孔径0.45mmの口金から同心円芯鞘構造の複合モノフィラメントを吐出して、冷却後油剤を付与し1500m/分にて一旦巻き取った。次いで、該未延伸糸を83℃に加熱したローラーと加熱しないローラー間で表1記載の延伸倍率にて延伸し、次いで非加熱ローラーとの間に設置した130℃の加熱板との間で表1記載のオーバーフィード(OF)を掛けてパーンに巻き取った。いずれも、パーン曳けは無く、引張り試験におけるSS曲線は図2の曲線Yの形状をなしていた。また、初期弾性率、強度2.5cN/dtex時の伸度は表1記載の通り本発明範囲内であった。次に、該モノフィラメントを用いて130メッシュのメッシュ織物を製織したところ表1記載の判定となり、いずれもPDP用電磁波シールドスクリーンには有用であった。
鞘成分のポリエステルとして、極限粘度が0.637のポリエステルを用いる以外は実施例1と同様に複合モノフィラメントを製造した。該モノフィラメントは鞘成分が柔軟な共重合ポリエステルでないために、筬による削れが若干発生したが、メッシュ織物に使用することは可能であった。
実施例1と同様の方法で、表1記載の条件にて延伸したところ比較例1,5は、初期弾性率または強度2.5cN/dtex時の伸度が本発明範囲を外れており、製織時には筬による磨耗が大きくA反率も低いものとなった。比較例2は筬による削れが無く、A反率も高いものの弾性率が低いためにメッシュ織物の形状保持性が無く魅力あるものではなかった。比較例3は、初期弾性率が高すぎて、製織時に筬により表面が削られ、そのスカム混入により光透過性が低いものとなった。比較例4は初期弾性率が低く、スカム発生はないものの、メッシュを形成した時の形態安定性が不良であった。比較例6は、初期弾性率、強度が高く伸度が低いため、製織時の筬による削れが多発し、製織性は極めて悪かった。比較例7は、芯成分比率が低く製織性はよいものの、弾性率及び強度が低く、メッシュ織物の形態安定性が不良であった。
極限粘度0.688のポリエステルのみを用いた単独モノフィラメントを1500m/分にて巻き取った。延伸加熱ローラー温度を85℃として、130℃加熱ローラーとの間で表1記載の倍率で延伸し、次に140℃加熱ローラーとの間で3%のオーバーフィードを掛けた後に巻き取った。該モノフィラメントのSS曲線は図2の曲線Xの形状をなしており、該モノフィラメントを使用してメッシュ織物を作成すると筬による表面削れが頻発し、A反率も35%と極めて悪いものであった。
Y2 第2降伏点
曲線X 従来のモノフィラメントのSS曲線
曲線Y 本発明の複合モノフィラメントのSS曲線
Claims (9)
- 芯鞘型複合ポリエステルからなり、初期弾性率が80〜100cN/dtexであり、強度2.5cN/dtex時の伸度が5〜8%であることを特徴とするポリエステル複合モノフィラメント(ただし、初期弾性率及び強度2.5cN/dtex時の伸度は、歪速度100%/分の引っ張り試験においてのものである)。
- 複合モノフィラメントのSS曲線は、2箇所の降伏点を有し、第1の降伏点Y1と第2の降伏点Y2間の曲線は、Y1とY2を結ぶ直線よりも下方に凸の形状とせしめた曲線である請求項1記載のポリエステル複合モノフィラメント。
- 鞘成分がポリエチレングリコールを共重合したポリエステルであることを特徴とする請求項1又は2項に記載のポリエステル複合モノフィラメント。
- 芯成分が極限粘度が0.65〜0.75のポリエステルであることを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のポリエステル複合モノフィラメント。
- 芯成分と鞘成分の比率が、40:60〜70:30であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のポリエステル複合モノフィラメント。
- 請求項1〜5いずれか一項に記載のポリエステル複合モノフィラメントからなるメッシュ織物。
- 請求項6記載のメッシュ織物にニッケル又は銅にて表面を蒸着せしめたメッシュ織物。
- 請求項6又は7記載のメッシュ織物からなる電磁波シールド用メッシュ織物。
- 請求項6〜8いずれか一項に記載のメッシュ織物からなる電磁波シールド光透過性窓材。
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