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JP4805879B2 - Rcスラブ - Google Patents
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本発明は、耐火性能を備えたRCスラブに関する。
RCスラブが火災加熱を受けると、徐々に下端鉄筋の温度が上昇し、下端鉄筋の温度が許容限界温度に達すると強度が低下して、RCスラブは荷重を保持することができなくなる。
RCスラブに要求される耐火性能は、建物の構造や用途等によって個々に決定されるべきで、経済上の見地からも一律に高くすればよいというものではない。このためには、設計段階で求めた耐火性能を、容易に施工現場で実現できるRCスラブの補強技術が求められている。
現状、設計段階で火災の継続時間が長いと予想され、標準的に設計したRCスラブの構造では要求される耐火性能が確保できない場合には、下記に示す措置1若しくは措置2の方法でRCスラブを補強し、下端鉄筋の温度上昇を遅延させている。
措置1は、下端主筋下部のコンクリート厚さを増やす方法である。
図5に示すように、RCスラブ50の内部には、上端主筋12及び上端配力筋14と、下端主筋16及び下端配力筋18が配筋されており、正曲げモーメントを受ける場合には下端主筋が引張力を負担する。下端主筋16の下部のコンクリート厚さ(かぶり厚)を標準的な厚さより厚くし(厚さL)、火炎22との距離を離すことで、下端主筋16の温度上昇を遅延させる方法である。
措置1を採用すれば、下端鉄筋16の温度上昇を遅延させることができる。しかし、かぶり厚を増やすことで中立軸の位置が上部に移動し、RCスラブの構造性能が低下する。また、かぶり厚が増えると、施工が煩雑になり管理が難しくなるという問題も生ずる。
措置2は、RCスラブの下面を耐火被覆で覆う方法である。
即ち、図6に示すように、RCスラブ60の下面に耐火被覆26を施すことで、下端主筋16の温度上昇を遅延させる方法である。RCスラブ60のかぶり厚は標準の厚さ(厚さL)としている。その他の構造はRCスラブ50と同じである。
措置2を採用すれば、下端鉄筋16の温度上昇を遅延させることができる。しかし、耐火被覆26で覆う被覆面積は広く、他の工事に与える影響も大きい。このため、施工性を著しく低下させるという問題がある。更に、大幅なコストアップとなる。
他に、RCスラブの補強技術として、RC造床スラブに鉄骨小梁の上部を埋設する方法が提案されている(特許文献1)。
しかし、この方法は、鉄骨の小梁の半分が露出し、火災による熱の影響を直接受けるため、小梁の強度低下が予想される。また、RC造床スラブに小梁の上部を埋設しなければならず、施工上の手間が増え現実的でない。
特開平7−42293号公報
本発明は、上記事実に鑑み、かぶり厚を厚くしたり、耐火被覆で覆うことなくRCスラブの耐火性能を向上させることを目的とする。
請求項1に記載の発明に係るRCスラブは、下端主筋とコンクリートで構成されるRCスラブであって、前記下端主筋より上部へ耐火補強筋を配筋したことを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、RCスラブは下端主筋とコンクリートで構成され、RCスラブには、下端主筋より上部へ耐火補強筋が配筋されている。ここに、耐火補強筋とは、火災加熱に対する耐熱性能の向上を目的に配筋される鉄筋をいう。
この結果、下階の火炎の熱により、先ず下端主筋の温度が上昇する。耐火補強筋は下端主筋の上部に配筋されているため、耐火補強筋の温度上昇は下端主筋の温度上昇より遅れる。このため、下端主筋の温度が許容限度に達し下端主筋の強度が低下しても、耐火補強筋の強度は未だ許容限度に達しておらず、耐火補強筋が荷重を負担する。耐火補強筋の温度が許容限度に達するまでRCスラブの強度は維持され、RCスラブの耐火時間を長くできる。
また、耐火補強筋をRCスラブに配筋するだけであり、施工上の手間が少ない。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のRCスラブにおいて、下端配力筋を前記下端主筋の上に前記下端筋と直交方向に配筋し、前記耐火補強筋を前記下端配力筋の上に前記下端配力筋と直交方向に配筋したことを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、RCスラブは、下端配力筋を下端主筋の上に下端筋と直交方向に配筋し、更に、耐火補強筋を下端配力筋の上に配力筋と直交方向に配筋している。
この結果、下端主筋、下端配力筋、耐火補強筋が順に配筋されることで、耐火補強筋のスラブ厚さ方向の位置が決まり、スラブ下面からの耐火補強筋のかぶり厚が確保される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のRCスラブにおいて、前記耐火補強筋を、前記下端主筋と前記下端主筋の間に千鳥状に配筋したことを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、下端主筋と下端主筋との間に千鳥状に耐火補強筋を配筋している。
この結果、RCスラブ内部の配筋が密になるが、耐火補強筋と下端主筋とが深さ方向において重なることはなく、鉄筋結束時の作業性が維持される。更に、鉄筋回りのコンクリートの未充填部分(空洞部)の発生が抑えられ、施工性を損ねることなく耐火補強筋を配筋することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のRCスラブにおいて、前記耐火補強筋の上部に、上端主筋が配筋されたことを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、上端主筋をRCスラブの耐火補強筋の上部に配筋している。
この結果、上端主筋の強度も期待できる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のRCスラブにおいて、要求されるRCスラブの耐火性能に応じて、前記耐火補強筋の径とピッチを選択することを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、RCスラブに配筋される耐火補強筋の径とピッチを選択することで、RCスラブの耐火性能を調節できる。
この結果、RCスラブに要求される耐火性能が、施工現場で容易に実現できる。例えば、RCスラブの耐火時間を長くする補強として、耐火補強筋となる鉄筋の径を太くし、かつ、鉄筋のピッチを密にすればよい。
RCスラブの耐火時間を少しだけ長くしたい場合には、下端主筋より小径の耐火補強筋を下端主筋よりも粗いピッチで配することにより経済的に耐火性能を向上させることが出来る。
本発明は、上記構成としてあるので、かぶり厚を厚くしたり、耐火被覆で覆うことなくRCスラブの耐火性能を向上できる。
図1に示すように本発明に係るRCスラブ10は、平板状に形成されたコンクリート20の下部には、コンクリート20の下面からかぶり厚Lの位置に、下端主筋16が配筋されている。下端主筋16は、外径Dの鋼棒で、ピッチPで同一方向に、複数本が配筋されている。
下端主筋16の上には下端配力筋18が配筋されている。下端配力筋18は、外径Dの鋼棒で、下端主筋16の上で下端主筋16と直交するように、ピッチP(図示せず)で複数本が配筋されている。
下端配力筋18の上には耐火補強用の耐火補強筋30が配筋されている。耐火補強筋30は、外径Dの鋼棒で、下端配力筋18の上に下端配力筋と直交するように、ピッチPで複数本が配筋されている。
またコンクリート20の上部には、上端主筋12が配筋されている。
上端主筋12は、外径Dの鋼棒で、コンクリート20の上面から深さLの位置(かぶり厚L)に、ピッチPで同一方向に複数本が配筋されている。
上端主筋12の下には上端配力筋14が配筋されている。上端配力筋14は、外径Dの鋼棒で、上端主筋12と直交する方向に、ピッチP(図示せず)で複数本が配筋されている。
本発明では、耐火補強筋30が下端主筋16の上に配筋される。このため、耐火補強筋30は、下端主筋16よりコンクリート20の内部に位置している。
この結果、火災時には、上昇する火炎22の熱により、先ず、RCスラブ10の中で最も下に配筋されている下端主筋16の温度が上昇する。コンクリート20の内部に位置する耐火補強筋30の温度上昇は、下端主筋16の温度上昇より遅れる。
火災が継続し、下端主筋16の温度が更に上昇し、許容限度に到達し下端主筋16の強度が低下して下端主筋16がスラブの荷重を負担できなくなっても耐火補強筋30の強度は未だ許容限度に達しておらず、耐火補強筋30がスラブの荷重を負担する。
火災が更に継続しても、耐火補強筋30の温度が許容限度に到達するまでは、RCスラブ10の耐火性能は維持される。このことにより、RCスラブ10の耐火時間を長くできる。
この結果、かぶり厚を厚くしたり、耐火被覆で覆うことなくRCスラブの耐火性能を向上できる。
更に、本発明では、耐火補強筋30を下端主筋16より上部に配筋するだけでよく、施工上の手間が少ない。
また、本発明では、下端配力筋18を下端主筋16の上に配筋し、さらに耐火補強筋30を下端配力筋18の上に配筋している。
この結果、耐火補強筋30のスラブ厚さ方向の位置が自動的に決まり耐火補強筋のスラブ下面からのかぶり厚が確保される。
また、本発明のRCスラブは、耐火補強筋30を下端主筋16の間に配筋している。即ち、下端主筋16と下端主筋16との間に耐火補強筋30を配置しており、断面視すると千鳥配筋となっている。
RCスラブ10に耐火補強筋30を追加した結果、RCスラブ10内部の配筋は密となる。しかし、耐火補強筋30と下端主筋16とは千鳥配筋にしてあり、耐火補強筋30と下端主筋16とが深さ方向において重なることはない。このことで、鉄筋結束時の作業性が維持される。
更に、耐火補強筋30を下端主筋16と千鳥配筋にすることで、鉄筋回りのコンクリートの未充填部分(空洞部)の発生が押さえられ、施工性を損ねることなく耐火補強筋30を配筋することができる。
また、RCスラブ10は、上端主筋12がコンクリート20の上部に配筋され、上端主筋12の下には上端配力筋14が、上端主筋12と直交する方向に配筋されている。
このことにより、上端主筋12で圧縮力が負担される。引張力を負担する下端主筋16及び耐火補強筋30の作用と相俟って、RCスラブ10の許容応力を高め、耐火性能を向上させることができる。
耐火補強筋30の具体的な効果は後述するが、RCスラブ10に配筋される耐火補強筋30の外径Dを大きくすれば、耐火補強筋30自体の機械的強度が増し、RCスラブの耐火性能を向上できる。また、耐火補強筋30のピッチPを密にすれば耐火補強筋30全体としての強度が増し、RCスラブの耐火性能を向上できる。
このように、補強筋30の外径D及びピッチPを任意に選択することで、RCスラブ10の耐火性能を調節できる。
この結果、RCスラブ10に要求される耐火性能が、施工現場で容易に実現できる。
なお、耐火補強筋30は、耐火性能の向上を経済的に実現させるものであり、耐火補強筋30の外径Dは下端主筋16の外径Dより小径でもよい。これにより鉄筋量を減らすことができる。
次に、本発明の効果について説明する。
図2(A)(B)に示すように、耐火補強筋30の耐火性能を測定する試験装置40は、底壁及び側壁が耐火材で形成され、上部が開放された加熱炉42を備えている。
加熱炉42の開放された上部には試験体(RCスラブ10)が配置され、加熱炉42の内部には加熱用のバーナ(図示せず)が備えられ、RCスラブ10の下面をバーナで加熱する。バーナの燃焼強度を調節することで、RCスラブ10の加熱温度が調節可能とされている。
加熱炉42の側壁上部の外側にはRCスラブ10の両端を水平に支持する棒状の支持部材46が備えられている。RCスラブ10の支持方法は単純支持とされ、支持部材46で長手方向の先端部が支持(支点間距離3390mm)されている。
RCスラブ10の上面には、上から下に向けて荷重をかける加圧装置(油圧ジャッキ)44が配置されている。加圧装置44の押圧部45は2つに分岐され、RCスラブ10の上面の2点に線状に当接している。押圧部45の荷重位置は3等分2点載荷(支点間距離1130mm)とした。
押圧部45でRCスラブ10に加える荷重Pは、RCスラブ10の中央部48の位置における曲げモーメントMが、常温時の終局曲げモーメントMuの値の0.606となる荷重とした。
ここに、曲げモーメントM及び終局曲げモーメントMuは次式で求められる。
M =0.606Mu
Mu=0.9aσD(kN・m)
:下端主筋の断面積(m
σ:下端主筋の降伏強度(kN/m
D:重心から圧縮側最外縁までの距離(m)
試験方法は、RCスラブ10の上面から押圧部45で荷重Pを加え、荷重Pを加えた状態でISO−834で規定する標準加熱温度曲線に従い、加熱炉42の内部のバーナでRCスラブ10の下面を加熱し続けた。
加熱開始からRCスラブ10が破壊に至るまで、連続してRCスラブ10の中央部48の撓み量を計測した。
試験体は、耐火補強筋30を配筋しているRCスラブ10と、耐火補強筋30を配筋せず、他の構成要素はRCスラブ10とすべて同一であるRCスラブ11とした。RCスラブ10とRCスラブ11を同一の加熱条件で試験することで、耐火補強筋30の効果を直接検証した。
図3(A)に示すように、RCスラブ11は、コンクリート20の上部に上端主筋12が配筋され、上端主筋12の下に上端配力筋14が配筋されている。また、コンクリート20の下部に下端主筋16が配筋され、下端主筋16の上に下端配力筋18が配筋されている。耐火補強筋30は配筋されていない。
RCスラブ11の幅Lは1000mm、奥行きL(支点間距離)は3390、厚さTは150mmとした。
上端主筋12の外径Dと下端主筋16の外径Dはいずれも13mm、ピッチPはいずれも200mmとし、上端配力筋14の外径Dと下端配力筋18の外径Dはいずれも10mm、ピッチP(図示せず)はいずれも200mmとした。
また、下端主筋16のかぶり厚Lは20mm、上端主筋12のかぶり厚Lは30mmとした。
図3(B)に示すように、RCスラブ10は、コンクリート20の上部に上端主筋12が配筋され、上端主筋12の下に上端配力筋14が配筋されている。また、コンクリート20の下部に下端主筋16が配筋され、下端主筋16の上に下端配力筋18が配筋され、下端配力筋18の上に耐火補強筋30が配筋されている。
耐火補強筋30の外径Dは10mm、ピッチPは200mmとした。他の寸法はRCスラブ11と同一である。
試験結果は図4に示されている。図4において、横軸は経過時間(分)を、縦軸はRCスラブ10の中央部48の撓み量を示している。破線AはRCスラブ11の特性を示し、実線BはRCスラブ10の特性を示している。
なお、ISO−834「建築構造部材の耐火試験方法」では、曲げモーメントを受ける荷重支持部材の限界を、試験体の撓み量(δa)又は撓み速度(δa/dt)のいずれかが下記の値に達した時と規定されている。
δa =L/(400×d) (mm) (1)
δa/dt=L/(9000×d)(mm/分)(2)
ここに、L:支点間距離(mm)
d:部材成 (mm)
そこで、RCスラブ10及びRCスラブ11が、荷重を受けて変位したときの撓み量の限界を(1)式で求め1点鎖線Cで示した。また、RCスラブ10及びRCスラブ11が、荷重を受けて変位したときの撓み速度限界を(2)式で求め、2点鎖線Dで示した。
図4に示すように、破線A及び実線Bは、いずれも時間経過と共に変位が増大している。しかし、破線Aで示すRCスラブ11の変位量の方が実線Bで示すRCスラブ10より変位が大きく、撓み限界である1点鎖線Cに早く到達している。RCスラブ11が試験開始後、撓み限界に到達するまでの時間は151分(P点)であった。
一方、実線Bで示すRCスラブ10は、撓み限界である1点鎖線Cに到達するまでの時間は、試験開始後188分(Q点)であった。
耐火補強筋30を配筋することで、撓み限界に到達するまでの時間で37分間の遅延効果がみられ、耐火補強筋30の効果が検証された。
なお、破線A及び実線Bは、いずれも撓み速度限界(2点鎖線Dの傾斜角度)に到達する前に撓み限界となり、撓み速度限界での評価は行っていない。
なお、本実施例では、上端主筋12を配筋したRCスラブ10で試験を行ったが、上端主筋12がなくても十分な遅延効果を発揮できる。
また、下端主筋16の上の下端配力筋18は、設計計算上は必ずしも必要ではなく、耐火補強筋30があれば、撓み限界に到達するまでの時間を延ばすことができる。
本発明のRCスラブの基本構造を示す断面図である。 RCスラブの耐火試験装置を示す断面図である。 試験体の基本構造を示す断面図である。 本発明のRCスラブの試験結果の一例を示す図である。 従来のRCスラブの基本構造を示す断面図である。 従来のRCスラブの基本構造を示す断面図である。
符号の説明
10 RCスラブ
12 上端主筋
14 上端配力筋
16 下端主筋
18 下端配力筋
20 コンクリート
30 耐火補強筋

Claims (5)

  1. 下端主筋とコンクリートで構成されるRCスラブであって、
    前記下端主筋より上部へ耐火補強筋を配筋したことを特徴とするRCスラブ。
  2. 下端配力筋を前記下端主筋の上に前記下端筋と直交方向に配筋し、前記耐火補強筋を前記下端配力筋の上に前記配力筋と直交方向に配筋したことを特徴とする請求項1に記載のRCスラブ。
  3. 前記耐火補強筋を、前記下端主筋間に千鳥状に配筋したことを特徴とする請求項2に記載のRCスラブ。
  4. 前記耐火補強筋の上部に、上端主筋が配筋されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のRCスラブ。
  5. 要求されるRCスラブの耐火性能に応じて、前記耐火補強筋の径とピッチを選択することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のRCスラブ。
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