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JP4830291B2 - 耐火コンクリート部材及び耐火セグメント部材 - Google Patents
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本発明は、鉄筋コンクリート造等の構造体の耐火構造に係り、特にトンネル等の壁面を形成するセグメント部材等として好適な耐火コンクリート部材に関するものである。
コンクリートは火災時などに急加熱されると、表面の急激な膨張やコンクリート内部に含まれている水分の急激な気化・膨張により、コンクリート部材の表面で爆裂がおこり、表層が剥離してしまうことがある。また、構造部材である鉄筋は約300℃、コンクリートは約350℃を越えると、その物理的特性を保つことができなくなり、構造上の耐力が低下してしまう。
そのため、コンクリート構造物の構築後に耐火パネルの設置や、耐火被覆材の吹き付け等の耐火工事を行う必要がある。しかし、これらの方法ではコンクリート打設もしくはプレキャストコンクリート設置後に別途耐火工事を行うため、工期及びコストが余計に必要となってしまう上に、コンクリート構造物の表面を覆い隠してしまうため、クラック、漏水状況等の確認が困難である。
そこで、上記のような問題を招くことなく、爆裂を防止するための耐火方法として、特許文献1には、超高強度コンクリート構造体の柱や梁等の外周に鋼材で形成した格子体を介在させ、外周コンクリート被覆させた耐火コンクリート被覆層を形成する耐火構造を用いる方法が記載されている。
特許第2860369号公報
しかし、上記の技術は柱や梁等が超高強度コンクリートで形成された建築物の柱や梁に係る耐火工法であり、トンネル等のセグメント材として利用することは適当ではない。
上記の問題に鑑みてなされたものであり、本発明は特に火災時に高温になり易い、トンネルあるいは地下空間等の壁面の耐火構造として適用し得る、耐爆裂性に優れたコンクリート部材を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、平面もしくは湾曲した板状の鉄筋コンクリート部材であって、同一種類のコンクリートからなるコンクリート部材の片側表面から所定のかぶり厚さの位置に格子状に構成された鉄筋が設けられていることを特徴とする耐火コンクリート部材である。
請求項2の発明は、請求項1記載の耐火コンクリート部材において、前記鉄筋コンクリートを構成するコンクリートに鋼繊維が混入されていることを特徴とする耐火コンクリート部材である。
請求項3の発明は、請求項1または2記載の耐火コンクリート部材が、トンネルあるいは地下空間の壁面形状に沿った湾曲形状に形成されてなることを特徴とするセグメント部材である。
コンクリート部材が高温に曝された場合、コンクリート中の水分が気化することで内部に発生する水蒸気圧が、表層コンクリートの耐力を超えた時に爆裂が起こる。これに対して、本発明の耐火コンクリート部材によれば、前記格子状鉄筋がコンクリート表層部を拘束し、内部の水分の気化・膨張により生じる内部圧を負担する。また、コンクリートと鉄筋の界面を介してコンクリート内部で生じた水蒸気が逸散できる。このためコンクリートの爆裂を抑制することが可能になる。
また、コンクリートに鋼繊維を混入することで、コンクリート構造体の拘束力が向上するとともに、コンクリートと鋼繊維との界面を介して内部の水蒸気が逸散して、内部水蒸気圧を減少させることができるので、より効果的に爆裂を抑制することが可能になる。
また、本発明の耐火コンクリート部材は板状コンクリート部材の一面に格子状鉄筋を埋設している構造であり、その一面のみが耐火性を持つ。このため、火災時に構造用コンクリートの表面が高温に曝されるトンネルや地下空間などの内部壁面への適用が容易である。
上記の発明のコンクリート部材の一実施形態について図面に基づき説明する。図1(a)は本発明の一実施形態である耐火コンクリート部材100の断面図、図1(b)は格子状鉄筋を含む高さの水平断面図を示す。
本実施形態の耐火コンクリート部材100は、構造部材用の鉄筋111およびコンクリート112からなる板状の鉄筋コンクリート部材110に、その片側表面130から所定のかぶり厚さの位置に格子状の鉄筋121を設けた構成である。そして、この格子状鉄筋121が設けられた側の表面層が耐火層120として機能する。本実施形態では耐火コンクリート部材100が平板形状である場合について示しているが、トンネル壁面のように湾曲した壁面に設置されるセグメント部材である場合は、耐火コンクリート部材100はその壁面形状に応じて湾曲した板状に形成される。
なお、本実施形態では鉄筋コンクリート部材110の表面から所定のかぶり厚さの位置に格子状鉄筋121を設ける構成としたが、鉄骨コンクリート部材あるいは鉄骨鉄筋コンクリート部材の表面からかぶり厚さの位置に格子状鉄筋を設ける構成としてもよい。
以上の構成によれば、耐火コンクリート部材100の耐火層120が高温にさらされた場合にも、所定のかぶり厚さの位置に格子状の鉄筋121が埋設されているため、コンクリート中の水分が水蒸気となってコンクリート内に大きな圧力を生じさせても、その圧力による荷重を格子状鉄筋121が負担する。また、コンクリート122と格子状鉄筋121との界面より上記の水蒸気が逸散し内部圧を低下させるという効果もある。このように、格子状鉄筋121が埋設されているので、コンクリート部材の爆裂を抑制することが可能になる。
また、加熱面から爆裂が発生した場合でも、爆裂の進行が耐火層120の格子状鉄筋121で止まるため、構造部材の断面欠損を防止することができ、構造部材の耐力低下を防ぐことができる。また、爆裂せずに残ったコンクリート122が断熱層として機能をすることで、内部温度の上昇を抑制して爆裂の進展を抑制できる。
ここで、本発明の耐火コンクリート部材の耐爆裂性能に関する実験について説明する。本実験では、表1に示すように格子状鉄筋121に鉄筋径6mmを用いて、格子ピッチを100mm、鉄筋のかぶり厚さを25mmにした場合(実施例I)、実施例Iと直径及びかぶり厚は変えずに格子のピッチを50mmにした場合(実施例II)、実施例IIと格子のピッチと鉄筋のかぶり厚は変えずに鉄筋の直径を13mmにした場合(実施例III)、実施例IIIと鉄筋の直径と格子のピッチは変えずにかぶり厚を50mmにした場合(実施例IV)、前記の耐火層120における格子状鉄筋121が無い場合(比較例)について比較を行った。
[表1]
実験に用いたシステムについて図2に基づき説明する。試験炉200に本発明のコンクリート部材の供試体210を取り付け、バーナー220により加熱し、加熱面から50mm、100mm、150mm、200mmの点の温度を熱電対を用いて計測することで耐火性能を比較した。加熱条件としてはトンネル内の気温上昇を模擬したRABT曲線を用い、格子状鉄筋121を実施例I〜IV、比較例として形成した供試体210についてそれぞれ測定を行った。
表2には各条件における、爆裂により削り取られてしまったコンクリート部材の深さ(以下爆裂深さという)を示す。格子状鉄筋を設けない比較例と各条件を比較すると、実施例I〜IVの爆裂深さの平均値は比較例よりも小さくなっている。
[表2]
格子状鉄筋121を加熱面130より所定の深さの位置に設けることで、爆裂を抑えることができることが確認できる。
また、図3は各条件についての上記の測定点における最高温度を示す。格子状鉄筋121を設けていない比較例と比較して、その他の実施例I〜IVは全ての深さにおいて最高温度が低い。これは、比較例では爆裂により表面が削られコンクリートの断熱効果が低減し、実施例I〜IVよりも温度が伝達してしまうためであり、このことからも格子状鉄筋121を設けることで、耐火性を向上し爆裂を防止することが可能になることを確認できる。
さらに、実施例Iと実施例II、実施例Iと実施例III、実施例IIIと実施例IVを比較すると、以下のことが確認できる。実施例Iと実施例IIのように、他の条件は同一で格子状鉄筋121の格子幅のみを変化させる場合、格子幅を狭める方が耐火性は強くなる。また、実施例Iと実施例IIIのように、鉄筋の径を比較すると鉄筋の径が大きい方が耐火性は強くなる。
鉄筋の本数を増やしたり、鉄筋の径を大きくしたりすることにより、鉄筋の断面積の合計値が増加する。鉄筋の拘束力は鉄筋の断面積に比例するため、コンクリートに対する拘束力が強くなる。また、鉄筋とコンクリートの界面の面積も増加するため、コンクリート内部の水蒸気の逸散量が増加し、内部圧を低減することができる。このように、鉄筋の径を大きくしたり、格子幅を狭めたりすると、耐爆裂性が向上することを上記の結果により確認できる。
さらに、実施例IIIと実施例IVを比較すると、かぶり厚は小さいほうが耐火性は強くなることが確認できる。これは、格子状鉄筋により爆裂の進行が止められるため、かぶり厚の大きいほうが、爆裂により表層部が削り取られるため、断熱効果が低下しコンクリート内部まで熱が伝達してしまうためである。
次に、コンクリート部材へ鋼繊維を混入することの効果に関する実験について説明する。鋼繊維を含まないコンクリートを用いた耐火コンクリート部材(条件A)と鋼繊維を含むコンクリートを用いた本発明の耐火コンクリート部材(条件B)とについて前記の試験と同じシステムを用いて加熱試験を行った。なお、条件A、条件Bともに表面付近に格子状鉄筋は埋設していない。
[表3]
表3は爆裂深さの測定結果を示す。爆裂深さを比較すると、最大値、平均値ともに鋼繊維を含むコンクリート部材のほうが小さい。これにより、鋼繊維を混入することで、コンクリート剥離に対する抵抗性が強化されたこと及び耐爆裂性が向上していることを確認できる。
次に、本発明の一実施形態である耐火セグメント部材について、図4及び図5に基づき説明する。図4は本実施形態の耐火セグメント部材400の断面図であり、図5はこの耐火セグメント部材400を用いて形成したトンネルの内壁の模式図である。図5に示すように耐火セグメント部材400は、接するセグメント部材間を相互に連結して円筒体を組み立て、掘削の進行とともにトンネル軸方向に沿って連結して、トンネルの内壁面を形成していくものである。
このような耐火セグメント部材400は、円筒形のリング体を周方向に沿って複数に分割された曲面形状に形成されている。本発明の耐火セグメント部材400は、セグメント部材を組み立てた際にトンネル内壁面となる側に、表面から所定のかぶり厚さの位置に格子状に構成された鉄筋421を埋設することで表面付近が耐火層420として機能する。
このように構成した耐火セグメント部材400によれば、セグメント部材の内壁側430に格子鉄筋421を設けることにより、火災により急激な温度上昇が起こった時に、内部水蒸気圧に対し格子状鉄筋421が抵抗し、セグメント部材400の爆裂を抑止することができる。
鉄筋411は約300℃、コンクリート412は約350℃を超えると、その物理的特性を保つことができなくなり、構造上の耐力が低下する。これに対して、本実施形態によれば、格子状鉄筋421を用いることで耐火被覆層420の破損を防止し、コンクリート412及び鉄筋411の温度上昇を抑えることができ、構造上の耐力が保たれトンネルの崩壊等を防ぐことができる。
この耐火セグメント部材400を構成するコンクリート412及び422は、通常配合のものを用いることができるが、鋼繊維を混入したコンクリートであることが望ましい。鋼繊維コンクリートを用いることで、鋼繊維界面から水蒸気が逸散し、内部水蒸気圧を低下させることができるため、爆裂を防止することが可能になる。
さらに、鋼繊維をコンクリートに混入することで、表層部に存在する鋼繊維が腐食し、外部より侵入した塩素イオンや酸素のコンクリート内部への侵入を防ぐことができ、構造部材の鉄筋の腐食を防止する防食効果も有する。
通常のコンクリート構造物においては、耐火性能が十分ではないため、コンクリート打設後もしくはプレキャストコンクリートの設置後に、耐火パネルの取り付けや耐火被覆の吹き付け等の耐火工事が別途必要である。しかし、本発明のコンクリート部材を用いることで、耐火工事を行う必要がなくなるため工期の短縮やコストの低減が可能になる。
また、本発明のコンクリート部材は別途に耐火被覆を必要としないため、コンクリート表面が露出する。このため、目視によるクラックや漏水状況の確認が可能となる。
図1(a)は本発明のコンクリート部材の断面図であり、図1(b)は本発明のコンクリート部材の格子状鉄筋の介在する面における水平断面図である。 本発明のコンクリート部材について耐火実験を行う設備の概略図である。 本発明のコンクリート部材を用いて、各種条件における耐火試験の最高温度について比較したグラフである。 本発明のセグメント部材の断面図である。 本発明のセグメント部材を用いて形成したトンネル内壁面の模式図である。
符号の説明
100 本発明の耐火コンクリート部材 110 鉄筋コンクリート
111 鉄筋 112 構造用コンクリート
120 耐火層 121 格子状鉄筋
122 耐火被覆用コンクリート 130 加熱面
200 試験炉 210 供試体
220 バーナー 400 耐火セグメント部材
410 構造部材 411 構造用鉄筋
412 構造用コンクリート 420 耐火層
421 格子状鉄筋 422 耐火被覆用コンクリート
430 加熱面(トンネル内壁面)

Claims (3)

  1. 平面もしくは湾曲した板状の耐火コンクリート部材であって、同一種類のコンクリートからなるコンクリート部材の片側表面から所定のかぶり厚さの位置に格子状に構成された鉄筋が設けられていることを特徴とする耐火コンクリート部材。
  2. コンクリートに鋼繊維が混入されていることを特徴とする請求項1記載の耐火コンクリート部材。
  3. 請求項1または2の耐火コンクリート部材が、トンネルあるいは地下空間の壁面形状に沿った湾曲形状に形成されてなることを特徴とするセグメント部材。

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