以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の要部断面図である。図2は、図1のナットをII-II線で切断して矢印方向に見た図であるが、ねじ軸とボールは省略している。図1において、電動式パワーステアリング装置11は、不図示の車体に固定されたハウジング21を有する。ハウジング21を水平に貫通するようにして、ラック軸23が軸線方向移動自在に支持されている。図示していないが、ステアリングホイールに連結された入力軸の下方端にはピニオンが形成され、ラック軸23のラック歯に噛合しており、入力軸の回転によりラック軸23は図で左右に移動するようになっている。ラック軸23の両端は、操舵機構のタイロッド(不図示)に連結されている。
ラック軸23と軸線が平行になるようにして、電動モータ35がハウジング21に取り付けられている。電動モータ35の出力軸35aは、駆動軸37にセレーション結合で軸線方向相対変位可能且つ回転方向一体的に固定されている。駆動軸37は、軸受20,22によりハウジング21に対して回転自在に支持されており、軸受20,22に挟まれた部分に駆動ギヤ部37aを有している。
駆動軸37とラック軸23との間に、中間軸38が配置されている。中間軸38は、軸受24,25によりハウジング21に対して回転自在に支持されており、軸受24,25に挟まれた部分に、駆動ギヤ部37aに噛合する中間ギヤ部38aを有している。
ラック軸23の周囲に、ナット45が配置され、玉軸受26及び複列アンギュラ玉軸受27によりハウジング21に対して回転自在に支持されている。複列アンギュラ玉軸受27の内輪は、ナット45の内周に螺合する内輪抑え51により予圧を与えられつつ固定され、複列アンギュラ玉軸受27の外輪は、ハウジング21の内周に螺合する外輪抑え52により固定されている。従って、ナット45は軸線方向にガタが抑えられた状態で取り付けられている。
ナット45は、中央の中空円筒状の本体45aと、両端のデフレクタ45b(片側のみ図示)とからなる。本体45aは、図2に示すように、軸線方向に貫通する循環路45cを形成している。
図4は、図1の構成の矢印IVで示す部位を拡大して示す図であり、図5は、図4の構成をV-V線で切断して矢印方向に見た図である。本体45aにねじ止めされた固定板45hにより取り付けられた各デフレクタ45b(図4,5では一方のみ図示)は、転走してきたボール65を、図4に示すように、ねじ軸のリード角(θ)方向へすくい上げ、且つ図5に示すように、転走路(ねじ溝)の接線方向へすくい上げることで循環路45cに戻すすくい上げ片45dを形成している。
図1において、本体45の図で左端には、固定板45gがねじ止めされている。更に、本体45aの軸受26,27に挟まれた部分に、中間ギヤ部38aに噛合する従動ギヤ部(受け部)45eが設けられている。駆動ギヤ部37a、中間ギヤ部38a、従動ギヤ部45eにより歯車対を構成する。
ねじ軸と一体(別部品を連結してもよい)であるラック軸23の外周面の一部には、雄ねじ溝23bが形成されている。雄ねじ溝23bの周囲にはナット45が配置されており、雄ねじ溝23bに対向する本体45aの内周面に、雌ねじ溝45fを形成している。雄ねじ溝23bと雌ねじ溝45fとで形成する螺旋状の空間(転走路)内には、多数のボール65が転動自在に配置されている。ねじ軸23と,ナット45と,ボール65とでボールねじ機構(動力伝達機構)を構成する。
本実施の形態の動作について説明する。図示していないが、運転者がステアリングホイールを回転させると、その回転力が入力軸へと伝達される。入力軸が回転すると、それにピニオン噛合したラック歯が押され、ラック軸23が軸線方向に移動し、タイロッドを介して不図示の操舵機構を駆動することで、車輪の操舵が行われるようになっている。
このとき図示しないトルクセンサが操舵トルクを検出し、その量に応じて、不図示のCPUが電動モータ35に対して電力を供給するので、出力軸と共に駆動ギヤ部37aが回転し、それに中間ギヤ部38aを介して噛合したギヤ部45eが、所定の減速比で回転させられる。それによりナット45も回転し、かかる回転運動はボール65を介してラック軸23の軸線運動に変換される。転走路の一端まで転動したボール65は、デフレクタ45bによりすくい上げられ、循環路45cを介して他端へと戻されるようになっている。ラック軸23の軸線方向力を用いて、補助操舵力を出力できるようになっている。
本実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置11においては、ナット45が、転走路(23b、45f)からボール65を転走路の接線方向かつリード角方向へすくい上げるので、ボール65の転動方向を変化させることなく循環路45cへとすくい上げることができるため、円滑な転動を確保でき、作動音や振動などを低く抑えることができる。更に、デフレクタ45bを本体45aの両端に設けているので、本体45aの外周面にコマやチューブを設ける必要がなく、電動モータ35から伝達される動力を受ける受け部すなわち従動ギヤ部45eを転走路の半径方向外方の外周面中央に設けることができ、従って電動モータ35より動力が従動ギヤ部45eに伝達されたときに、ナット45のこじれを抑制して円滑な作動を可能とすることができる。又、電動モータ35から伝達される動力を受ける従動ギヤ部45eを転走路の半径方向外方の外周面に設けることで、ナット45の軸線方向長を抑えることもできる。
図3は、第2の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置111の要部断面図である。本実施の形態においては、図1、2に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、中間軸を省略する代わりに、駆動軸37のギヤ部37aと、本体45の従動ギヤ部45eに係合する歯付きベルト55を設けている。従って、電動モータ35の出力軸35aと共に、駆動ギヤ部37aが回転すれば、歯付きベルト55を介して、従動ギヤ部45eが所定の減速比で回転させられる。それによりナット45も回転するので、電動モータ35の動力をねじ軸23に伝達することができる。尚、歯付きベルトの替わりにチェーンを用いても良い。
図6は、第3の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置211の要部断面図である。図7は、ナットと従動ギヤの分解図であり、図8は、ナットからデフレクタを取り外した状態で軸線方向に見た図である。
図6において、電動式パワーステアリング装置211は、不図示の車体に固定されたハウジング121を有する。ハウジング121は、図6では3分割され、部材121A、121B、121Cからボルト止めにより一体化されている。ハウジング121を水平に貫通するようにして、ラック軸123が軸線方向移動自在に支持されている。図示していないが、ステアリングホイールに連結された入力軸の下方端にはピニオンが形成され、ラック軸123のラック歯に噛合しており、入力軸の回転によりラック軸123は図で左右に移動するようになっている。ラック軸123の両端は、操舵機構のタイロッド(不図示)に連結されている。
ラック軸123と軸線が平行になるようにして、電動モータ(不図示)がハウジング121に取り付けられている。電動モータの動力は、図6で一部のみ示す中間軸138に伝達される。中間軸138は、軸受124,125によりハウジング121に対して回転自在に支持されており、軸受124,125に挟まれた部分に、中間ギヤ部138aを有している。
ラック軸123の周囲に、ナット145が配置され、複列アンギュラ玉軸受127によりハウジング121に対して回転自在に支持されている。これを、より具体的に説明する。ハウジング121の部材121Aにおける内孔121aに嵌合するようにして、薄肉円筒状のスリーブ139が配置されている。又、内孔121aの底面(図6で左側)から順に、リング状部材130、第1緩衝部材131,複列アンギュラ玉軸受127の外輪127a、第2緩衝部材132が配置され、部材121Aに螺合されるロック部材133により固定されている。第1緩衝部材131は、リング状部材130に当接する弾性体131aを有している。又、第2緩衝部材132は、ロック部材133に当接する弾性体132aを有している。弾性体131a、132aが弾性変形することによって、複列アンギュラ玉軸受127は、制限される範囲内でナット145とともに軸線方向に移動可能となっている。外輪127aは、スリーブ139の内周面に嵌合している。
複列アンギュラ玉軸受127の2分割され軸線方向に並べられた内輪127b、127bは、ナット145の外周面に嵌合しており、図でその右端は、ナット145の右端近傍に形成された外周段部145hに当接している。また、内輪127b、127bの図で左端は、ねじ部材134の右端に当接して、それより予圧を付与されている。ねじ部材134は、ナット145の外周面に形成されたねじ部145kに螺合している。ねじ部材134のねじ込み量により予圧を調整できる。
図7において、ナット145は、中空円筒状の本体145aと、その両端に設けられたデフレクタ145bとからなる。本体145aは、軸線方向に貫通する循環路145c(図6参照)を形成しており、また各デフレクタ145bは、転走してきたボール165を、転走路の接線方向かつリード角方向へすくい上げ循環路145cに戻すすくい上げ片145dを形成している。デフレクタ145bは、図4,5に示すデフレクタ45bと同様の形状を有する。
図7で、ナット145の本体145aの左端には、デフレクタ145bが配置され、ねじ136により本体145aにねじ止めされたドーナツ円盤状の抑え板135によって固定されている。一方、ナット145の本体145aの右端には、デフレクタ145bが配置され、ナット145の右端内周に形成された大径部145jに圧入嵌合した環状の固定部材147により固定されている。環状部材147の内周には雌セレーション部147aが形成されている。
図6において、従動部材(外部の部材)である中空の従動ギヤ137は、ハウジング121に対して、両端を軸受126,129により回転自在に支持されており、中間ギヤ部138aに噛合する従動ギヤ部137aを有していると共に、左端外周に雄セレーション部137bを形成している。中間ギヤ部138a、従動ギヤ部137aにより歯車対を構成する。なお、ナット145等の組付けは、ハウジング121の部材121A、121Bを取り外した状態で、図の右方から行うことができる。
従動ギヤ137の雄セレーション部137bと、環状部材147の雌セレーション部147aとを係合させることによって、従動ギヤ137と固定部材147とは軸線方向に相対移動可能だが、回転方向に相対回転不能に連結される。従動ギヤ137と固定部材147とを軸線方向に相対移動可能としているのは、弾性体131a、132aの緩衝効果を発揮させるためである。従動ギヤ137の雄セレーション部137bと、環状部材147の雌セレーション部147aとの間に大荷重が伝達された場合でも、デフレクタ145bに直接応力が負荷されないので、その変形が抑制され、ボール165の転動不良は招くことがない。
このように、本実施の形態によれば、ナット145に雌セレーション部を形成することなく、雌セレーション部147aを形成した環状部材147を圧入嵌合することによって、ナット145の製造を容易にする利点、及びナット145の外径と雌セレーション部147aの内径とをが無関係となり、仕様に合わせてセレーションの外径や歯数などを変更した環状部材に任意に交換できるなどの点がある。
図6において、ねじ軸と一体(別部品として連結してもよい)であるラック軸123の外周面の一部には、雄ねじ溝123bが形成されている。雄ねじ溝123bの周囲にはナット145が配置されており、雄ねじ溝123bに対向する本体145aの内周面に、雌ねじ溝145fを形成している。雄ねじ溝123bと雌ねじ溝145fとで形成する螺旋状の空間(転走路)内には、多数のボール(転動体)165が転動自在に配置されている。ねじ軸123と,ナット145と,ボール165とでボールねじ機構(動力伝達機構)を構成する。
本実施の形態の動作について説明する。図示していないが、運転者がステアリングホイールを回転させると、その回転力が入力軸へと伝達される。入力軸が回転すると、それにピニオン噛合したラック歯が押され、ラック軸123が軸線方向に移動し、タイロッドを介して不図示の操舵機構を駆動することで、車輪の操舵が行われるようになっている。
このとき図示しないトルクセンサが操舵トルクを検出し、その量に応じて、不図示のCPUが電動モータに対して電力を供給するので、中間ギヤ部138aを介して噛合した従動ギヤ部137aが、所定の減速比で回転させられる。従って、従動ギヤ137から固定部材147を介してナット145に回転動力の伝達が行われ、かかるナット145の回転運動はボール165を介してラック軸123の軸線運動に変換される。転走路の一端まで転動したボール165は、デフレクタ145bによりすくい上げられ、循環路145cを介して他端へと戻されるようになっている。ラック軸123の軸線方向力を用いて、補助操舵力を出力できるようになっている。
図10は、第4の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置311の要部断面図である。本実施の形態においては、図6に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、中間軸を省略する代わりに、従動軸137のギヤ部137aに動力を伝達する歯付きベルト155を設けている。従って、不図示の電動モータからの動力は、歯付きベルト155を介して従動軸137に伝達され、これに連結されたナット145も回転するので、電動モータの動力をねじ軸123に伝達することができる。尚、歯付きベルトの替わりにチェーンを用いても良い。
図11は、第5の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の要部断面図である。図11において、電動式パワーステアリング装置1011は、不図示の車体に固定されたハウジング1021を有する。ハウジング1021を水平に貫通するようにして、ラック軸1023が軸線方向移動自在に支持されている。図示していないが、ステアリングホイールに連結された入力軸の下方端にはピニオンが形成され、ラック軸1023のラック歯に噛合しており、入力軸の回転によりラック軸1023は図で左右に移動するようになっている。ラック軸1023の両端は、操舵機構のタイロッド(不図示)に連結されている。
ラック軸1023と軸線が平行になるようにして、電動モータ1035がハウジング1021に取り付けられている。電動モータ1035の出力軸1035aは、駆動軸1037にセレーション結合で軸線方向相対変位可能且つ回転方向一体的に固定されている。駆動軸1037は、軸受1020,1022によりハウジング1021に対して回転自在に支持されており、軸受1020,1022に挟まれた部分に駆動ギヤ部1037aを有している。
駆動軸1037とラック軸1023との間に、中間軸1038が配置されている。中間軸1038は、軸受1024,1025によりハウジング1021に対して回転自在に支持されており、軸受1024,1025に挟まれた部分に、駆動ギヤ部1037aに噛合する中間ギヤ部1038aを有している。
ラック軸1023の周囲に、円筒状のスリーブ1050が配置され、玉軸受1026及びアンギュラ玉軸受1027、1027によりハウジング1021に対して回転自在に支持されている。スリーブ1050内には、ラック軸1023が貫通するナット1045が嵌合されており、その内周に螺合したねじ部材1051によって固定されている。従って、スリーブ1050とナット1045とは一体的に回転する。
アンギュラ玉軸受1027、1027の内輪は、スリーブ1050の内周に螺合する内輪抑え1052により予圧を与えられつつ固定され、アンギュラ玉軸受1027、1027の外輪は、ハウジング1021の内周に螺合する外輪抑え1053により固定されている。従って、スリーブ1050は軸線方向にガタが抑えられた状態で取り付けられている。
ナット1045は、中央の中空円筒状の本体1045aと、両端のデフレクタ1045b、1045bとからなる。本体1045aは、軸線方向に貫通する循環路1045cを形成しており、また各デフレクタ1045bは、転走してきた転動体であるボール1065を転走路の接線方向かつリード角方向へすくい上げ循環路1045cに戻すすくい上げ片1045dを形成している。更に、スリーブ1050の軸受1026,1027に挟まれた部分に、中間ギヤ部1038aに噛合する従動ギヤ部(受け部)1050aが設けられている。駆動ギヤ部1037a、中間ギヤ部1038a、従動ギヤ部1050aにより歯車対を構成する。
ねじ軸と一体(別部品を連結してもよい)であるラック軸1023の外周面の一部には、雄ねじ溝1023bが形成されている。雄ねじ溝1023bの周囲にはナット1045が配置されており、雄ねじ溝1023bに対向する本体1045aの内周面に、雌ねじ溝1045fを形成している。雄ねじ溝1023bと雌ねじ溝1045fとで形成する螺旋状の空間(転走路)内には、多数のボール1065が転動自在に配置されている。
本実施の形態の動作について説明する。図示していないが、運転者がステアリングホイールを回転させると、その回転力が入力軸へと伝達される。入力軸が回転すると、それにピニオン噛合したラック歯が押され、ラック軸23が軸線方向に移動し、タイロッドを介して不図示の操舵機構を駆動することで、車輪の操舵が行われるようになっている。
このとき図示しないトルクセンサが操舵トルクを検出し、その量に応じて、不図示のCPUが電動モータ1035に対して電力を供給するので、出力軸と共に駆動ギヤ部1037aが回転し、それに中間ギヤ部1038aを介して噛合した従動ギヤ1050aが、所定の減速比で回転させられる。それによりスリーブ1050と共にナット1045も回転し、かかる回転運動はボール1065を介してラック軸1023の軸線運動に変換される。転走路の一端まで転動したボール1065は、デフレクタ1045bによりすくい上げられ、循環路1045cを介して他端へと戻されるようになっている。ラック軸1023の軸線方向力を用いて、補助操舵力を出力できるようになっている。
本実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置1011においては、ナット1045は、スリーブ1050に対して内挿固定され一体的に回転するようになっているので、ナット1045の外周面の形状に関わらず、電動モータ1035から伝達される動力を受ける従動ギヤ部1050aをスリーブ1050における転走路(1023b、1045f)の半径方向外方の外周面などに設けることができ、それにより電動モータ1035より動力が従動ギヤ部1050aに伝達されたときに、ナット1045のこじれを抑制して円滑な作動を可能とすることができる。又、電動モータ1035から伝達される動力を受ける従動ギヤ部1050aを転走路(1023b、1045f)の半径方向外方の外周面などに設けることで、スリーブ1050及びナット1045の軸線方向長を抑えることもできる。更に、雌ねじ溝1045fを形成したナット1045を、従動ギヤ部1050aを形成したスリーブ1050に内挿固定しているので、両者を別々に加工できるから、製造コストを低減できる。
図12(a)は、第6の実施の形態にかかるボールねじ機構の軸線方向断面図であり、図12(b)は、図12(a)のナットをXIIB-XIIB線で切断して矢印方向に見た図であるが、ボールは省略している。図12において、スリーブ1150とナット1145とはセレーション結合されている。より具体的には、スリーブ1150の内周に形成された雌セレーション1150bと、ナット1145の外周に形成された同数の雄セレーション1145gとを係合させるようにして、スリーブ1150内にナット1145が内挿固定され、従って一体的に回転可能となっている。それにより、スリーブ1150とナット1145との間に高トルクが伝達されたような場合にも、両者の相対滑りを抑制できるようになっている。尚、それ以外の構成については、図11の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
図13(a)は、第7の実施の形態にかかるボールねじ機構の軸線方向断面図であり、図13(b)は、図13(a)のナットをXIIIB-XIIIB線で切断して矢印方向に見た図であるが、ボールは省略している。図13において、ナット1245の外周には、循環路1245cを覆うようにして(即ち、少なくとも一部が半径方向外方に位置するようにして)、凸部である隆起部1245gが軸線方向に延在するようにして設けられている。一方、スリーブ1250の内周には、隆起部1245gに対応する凹部である溝1250bが形成されている。隆起部1245gを溝1250bに係合させるようにして、スリーブ1250内にナット1245が内挿固定され、従って一体的に回転可能となっている。それにより、スリーブ1250とナット1245との間に高トルクが伝達されたような場合にも、両者の相対滑りを抑制できるようになっており、またナット1245の肉厚を減少させることができる。尚、それ以外の構成については、図11の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
尚、隆起部は、必ずしも一つに限らない。例えば、図14(a)に示す変形例のように、溝1250b’に対向する隆起部1245g’を2つ、180度位相で設けたり、図14(b)に示す変形例のように、溝1250b”に対向する隆起部1245g”を4つ、90度位相で設けたりできるが、数・位相がこれらに限られることはない。
又、ナットによっては、循環路を2つ設けている場合がある。そこで、例えば、図15(a)に示す変形例のように、溝1250b’に対向する隆起部1245g’を2つ、180度位相で設けられた循環路1245c’を覆うようにして形成したり、図15(b)に示す変形例のように、溝1250b”に対向する隆起部1245g”を4つ(うち2つについては、180度位相で設けられた循環路1245c”を覆うようにして)、90度位相で設けたりできる。
図16は、第8の実施の形態にかかるボールねじ機構の軸線直交方向断面図であるが、ボールは省略している。図16において、ナット1345の外周には、全周に外歯1345gが形成されており、一方、スリーブ1350の内周には、全周に内歯1350bが形成されている。ナット1345の外径は、スリーブ1350の内径より小さくなっており、従って外歯1345gと内歯1350bとは直接係合せず、それらの間に円筒状の歯付きベルト1353を内挿している。歯付きベルト1353は内外周に歯を形成しており、その内側の歯が外歯1345gに噛合し、その外側の歯が内歯1350bに噛合している。それにより、スリーブ1350とナット1345とは一体的に回転可能となっている。本実施の形態によれば、歯付きベルト1353が弾性体として機能するため、スリーブ1350とナット1345との間で伝達される衝撃力を緩和できる。尚、歯付きベルト1353の代わりに、スリーブ1350とナット1345との間にゴムや樹脂を溶着して弾性体として機能させても良い。
図17は、第9の実施の形態にかかるボールねじ機構の軸線直交方向断面図であるが、ボールは省略している。図17において、ナット1445の外周には、循環路1445cを覆うようにして(即ち、少なくとも一部が半径方向外方に位置するようにして)、凸部である隆起部1445gが軸線方向に延在するようにして設けられている。一方、スリーブ1450の内周には、隆起部1445gに対応する凹部である溝1450bが形成されている。溝1450bの幅は、隆起部1445gの幅よりも大きくなっており、隆起部1445gを溝1450bに係合させたとき、生じた周方向両方の空間に緩衝部材1453(ゴムや樹脂材からなると好ましい)を配置している。スリーブ1450とナット1445との間にトルク伝達が生じたときに、凸部である隆起部1445gは溝1450b内で相対移動するが、この際に衝撃力が生じた場合でも、緩衝部材1453がかかる衝撃力を緩和するようになっている。
尚、隆起部は、必ずしも一つに限らない。例えば、図18に示す変形例のように、溝1450b’に対向する隆起部1445g’を2つ、180度位相で設けたり、図19に示す変形例のように、溝1450b”に対向する隆起部1445g”を4つ、90度位相で設けたりできるが、数・位相がこれらに限られることはない。
図20は、第10の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置1511の要部断面図である。本実施の形態においては、図11に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、中間軸を省略する代わりに、駆動軸1037のギヤ部1037aと、スリーブ1050の従動ギヤ部1050aに係合する歯付きベルト1055を設けている。従って、電動モータ1035の出力軸1035aと共に、駆動ギヤ部1037aが回転すれば、歯付きベルト1055を介して、従動ギヤ部1050aが所定の減速比で回転させられる。それによりスリーブ1050とナット1045も回転するので、電動モータ1035の動力をねじ軸1023に伝達することができる。尚、歯付きベルトの替わりにチェーンを用いても良い。又、図12〜19の変形例にかかるボールねじ機構を用いることができることは言うまでもない。
図21は、第11の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置1611の要部断面図である。図22は、本実施の形態にかかるナットとスリーブの分解斜視図であるが、軸受は省略している。図23(a)は、本実施の形態にかかるナットの端面を示す図であり、図23(b)は、図23(a)の構成をXXIIIB-XXIIIB線で切断して矢印方向に見た図であり、図23(c)は、デフレクタを示す図である。本実施の形態においては、図11に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、ナットとスリーブの構成が異なる。より具体的には、図22に示すように、スリーブ1650の底壁1650bには、周方向に90度間隔で4つの角柱状の突起1650cが軸線方向に突出して(底面から軸線方向に延在して)形成されている。
更に、ナット1645の本体1645aにおけるスリーブ1650に対向する端面には、周方向に90度間隔で4つの角柱状の突起1645gが軸線方向に突出して形成されている。ナット1645とスリーブ1650との間には、リング状の第1緩衝体(ゴムまたは樹脂製)1635が配置される。第1緩衝体1635は、周方向に45度間隔で8つの溝部1635aを形成している。溝部1635aの形状は、突起1645g、1650cに対応している。
組み付け時には、ナット1645の突起1645gが、第1緩衝体1635の溝部1635aを通過し、且つスリーブ1650の突起1650cが、第1緩衝体1635の残りの溝部1635aを通過するように配置される。すなわち、周方向に交互に並んだ突起1645g、1650cとの間に、第1緩衝体1635が位置するようになっている。かかる状態で、ねじ部材1051の雄ねじ部1051aを、スリーブ1650の端部内周に形成された雌ねじ部1650dに螺合させることで、ナット1645とスリーブ1650は一体的に回転するように組み付けられる。尚、スリーブ1650の外周に軸受1027,1027(図21参照)を嵌合させ、雌ねじ部1650dに、内輪抑え1052の雄ねじ部1052aを螺合させることで、軸受1027,1027の組付けを行える。
本実施の形態によれば、第1緩衝体1635が、ナット1645の突起1645gとスリーブ1650の突起1650cとの間に配置されているので、トルク伝達時に第1緩衝体1635が変形することにより、緩衝効果としてトルク伝達時の振動や騒音を抑制し、またナット1645とスリーブ1650間の軸線方向ガタを排除することができ、更にはミスアライメント抑制効果も期待できる。
尚、例えばナット1645(又はスリーブ1650)に、スリーブ1650の突起1650c(又はナット1645の突起1645g)に対応するくぼみを設けて、それに係合させても同様の機能を発揮できる。
更に、図22に示すように、ナット1645の本体1645aは、外周に軸線方向溝1645cを形成している。軸線方向溝1645cは、図23(b)で一点鎖線で示すスリーブ1650にナット1645が嵌合することにより、その内周面1650eによって外方を覆われ、循環路を形成するようになっている。上述した実施の形態では、循環路はいずれもナット本体を貫通しているが、これを形成するには長いドリルが必要となって加工が比較的困難である。これに対し本実施の形態によれば、フライス加工などにより軸線方向溝1645cを容易に加工できる。又、貫通孔形式の循環路では、図23(a)に点線で示すようにナット本体の肉厚が厚くなるが、本実施の形態では実線で示すように本体1645aの肉厚を薄くでき、慣性質量を低く抑えて加減速しやすいボールねじ機構を提供できる。
上述の実施の形態と同様に、本実施の形態においても、図23(c)に示すデフレクタ1645bは、ナット1645内の転走路を転動してきたボール1065を、図23(a)に示すように転走路の接線方向にすくい上げ、かつ図23(b)に示すようにリード角θ方向へすくい上げ軸線方向溝1645cに送り出すようになっている。
図24は、第12の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置1711の要部断面図である。本実施の形態においては、図21に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、中間軸を省略する代わりに、駆動軸1037のギヤ部1037aと、スリーブ1650の従動ギヤ部1650aに係合する歯付きベルト1055を設けている。従って、電動モータ1035の出力軸1035aと共に、駆動ギヤ部1037aが回転すれば、歯付きベルト1055を介して、従動ギヤ部1650aが所定の減速比で回転させられる。それによりスリーブ1650とナット1645も回転するので、電動モータ1035の動力をねじ軸1023に伝達することができる。尚、歯付きベルトの替わりにチェーンを用いても良い。
図25は、第13の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置1811の要部断面図である。図26は、本実施の形態にかかるナットと内輪抑えとを示す分解斜視図である。本実施の形態においては、図21に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、図26に示すように、ナット1845の内輪抑え1852側の端面には、周方向に90度間隔で4つの角柱状の突起1845hが軸線方向に突出して形成されている。
尚、上述の実施の形態と同様に、ナット1845のスリーブ底壁側の端面には、周方向に90度間隔で4つの角柱状の突起1845gが軸線方向に突出して形成されている。
ナット1845と内輪抑え1852との間には、リング状の第2緩衝体(ゴムまたは樹脂製)1835が配置される。第2緩衝体1835は、周方向に90度間隔で4つの溝部1835aを形成している。溝部1835aの形状は、突起1845hに対応している。
組み付け時には、ナット1845の突起1845hが、図25に示すように、第2緩衝体1835の溝部1835aに嵌入するように配置されるが、突起1845hは第2緩衝体1835を突き抜けることなく、内輪抑え1852の端面との間にスキマΔ2を画成する。一方、ナット1845の突起1845gが、図25に示す第1緩衝体1635の溝部に嵌入するように配置されるが、突起1845gは第1緩衝体1635を突き抜けることなく、スリーブ1650の底面との間にスキマΔ1を画成する。かかる状態で、スリーブ1650の外周に軸受1027,1027(図25参照)を嵌合させ、スリーブ1650に、内輪抑え1852の雄ねじ部1852aを螺合させることで、軸受1027,1027の組付けを行える。
本実施の形態によれば、ナット1845と内輪抑え1852との間にスキマΔ2が画成され、且つスリーブ1650との間にスキマΔ1が画成されるので、第1緩衝体1635又は第2緩衝体1835に弾性変形を与えることでナット1845は軸線方向に移動可能となり、それにより上述した緩衝効果を高めることができる。又、ナット1845の本体1845aの両端に設けたデフレクタ1845bが、第1緩衝体1635及び第2緩衝体1835により抑えられているので、動作時にボール1065がデフレクタ1845bに衝接したときに、その騒音や振動を抑制・吸収することもできる。
図27は、第14の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置1911の要部断面図である。本実施の形態においては、図25に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、中間軸を省略する代わりに、駆動軸1037のギヤ部1037aと、スリーブ1650の従動ギヤ部1650aに係合する歯付きベルト1055を設けている。従って、電動モータ1035の出力軸1035aと共に、駆動ギヤ部1037aが回転すれば、歯付きベルト1055を介して、従動ギヤ部1650aが所定の減速比で回転させられる。それによりスリーブ1650とナット1845も回転するので、電動モータ1035の動力をねじ軸1023に伝達することができる。尚、歯付きベルトの替わりにチェーンを用いても良い。
尚、以上述べた実施の形態において、第1緩衝体を介在させることなく、ナットとスリーブの突起同士、或いは突起とくぼみ同士を直接係合させることで、トルク伝達を行うようにしても良い。
図28は、第15の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置2011の要部断面図である。図29は、図28の構成をXXIX-XXIX線で切断して矢印方向に見た図であるが、ねじ軸とボールは省略している。本実施の形態においては、図11に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、ナットとスリーブとをキーにより連結している。より具体的には、図29において、ナット2045の外周面には軸線方向に延在するキー溝2045jが形成され、それに対向してスリーブ2050の内周面には、軸線方向に延在するキー溝2050fが形成されている。キー溝2045j、2050fにより形成される空間には、角柱状のキー2035が配置されているので、キー2035の剪断力を利用してスリーブ2050からナット2045へのトルク伝達が可能となる。
図30は、第16の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置2111の要部断面図である。本実施の形態においては、図28に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、中間軸を省略する代わりに、駆動軸1037のギヤ部1037aと、スリーブ2050の従動ギヤ部2050aに係合する歯付きベルト1055を設けている。従って、電動モータ1035の出力軸1035aと共に、駆動ギヤ部1037aが回転すれば、歯付きベルト1055を介して、従動ギヤ部2050aが所定の減速比で回転させられる。それによりスリーブ2050とナット2045も回転するので、電動モータ1035の動力をねじ軸1023に伝達することができる。尚、歯付きベルトの替わりにチェーンを用いても良い。
図31は、第17の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の要部断面図である。図32は、ナットと固定部材のアッセンブリ断面図であり、図33は、図32のナットを矢印XXXIII方向に見た図である。
図31において、電動式パワーステアリング装置3011は、不図示の車体に固定されたハウジング3021を有する。ハウジング3021は、図31では3分割され、部材3021A、3021B、3021Cからボルト止めにより一体化されている。ハウジング3021を水平に貫通するようにして、ラック軸3023が軸線方向移動自在に支持されている。図示していないが、ステアリングホイールに連結された入力軸の下方端にはピニオンが形成され、ラック軸3023のラック歯に噛合しており、入力軸の回転によりラック軸3023は図で左右に移動するようになっている。ラック軸3023の両端は、操舵機構のタイロッド(不図示)に連結されている。
ラック軸3023と軸線が平行になるようにして、電動モータ(不図示)がハウジング3021に取り付けられている。電動モータの動力は、図31で一部のみ示す中間軸3038に伝達される。中間軸3038は、軸受3024,3025によりハウジング3021に対して回転自在に支持されており、軸受3024,3025に挟まれた部分に、中間ギヤ部3038aを有している。
ラック軸3023の周囲に、ナット3045が配置され、複列アンギュラ玉軸受3027によりハウジング3021に対して回転自在に支持されている。これを、より具体的に説明する。ハウジング3021の部材3021Aにおける内孔3021aに嵌合するようにして、薄肉円筒状のスリーブ3039が配置されている。又、内孔3021aの底面(図31で左側)から順に、リング状部材3030、第1緩衝部材3031,複列アンギュラ玉軸受3027の外輪3027a、第2緩衝部材3032が配置され、部材3021Aに螺合されるロック部材3033により固定されている。第1緩衝部材3031は、リング状部材3030に当接する弾性体3031aを有している。又、第2緩衝部材3032は、ロック部材3033に当接する弾性体3032aを有している。弾性体3031a、3032aが弾性変形することによって、複列アンギュラ玉軸受3027は、制限される範囲内でナット3045とともに軸線方向に移動可能となっている。外輪3027aは、スリーブ3039の内周面に嵌合している。
複列アンギュラ玉軸受3027の2分割され軸線方向に並べられた内輪3027b、3027bは、ナット3045の外周面に嵌合しており、図でその右端は、ナット3045の右端近傍に形成された外周段部3045hに当接している。また、内輪3027b、3027bの図で左端は、ねじ部材3034の右端に当接して、それより予圧を付与されている。ねじ部材3034は、ナット3045の外周面に形成されたねじ部3045kに螺合している。ねじ部材3034のねじ込み量により予圧を調整できる。
図32において、ナット3045は、中央の中空円筒状の本体3045aと、両端のデフレクタ3045bとからなる。本体3045aは、軸線方向に貫通する循環路3045cを形成しており、また各デフレクタ3045bは、転走してきたボール3065を、転走路の接線方向かつリード角方向へすくい上げ循環路3045cに戻すすくい上げ片3045dを形成している。ねじ軸3023と,ナット3045と,ボール3065とでボールねじ機構(動力伝達機構)を構成する。
図32で、ナット3045の本体3045aの左端には、デフレクタ3045bが配置され、ねじ3036により本体3045aにねじ止めされたドーナツ円盤状の抑え板3035によって固定されている。一方、ナット3045の本体3045aの右端には、デフレクタ3045bが配置され、4本のねじ3048によりナット3045にねじ止めされた円筒状の固定部材3047の左端面で固定されており、両者は一体的に回転するようになっている。図33に示すように、本体3045aの端面は、デフレクタ3045bの周辺以外は平面となっており、従ってねじ3048を螺合させるねじ孔3045mを任意の位置・数で設けることができる。
図32において、固定部材3047の右端近傍には雄セレーション部3047aが形成されている。なお、固定部材3047は、ナット3045と別体であるので、雄セレーション部3047aの外径を任意に設定でき、設計の自由度が高まる。
図31において、従動部材である中空の従動ギヤ3037は、ハウジング3021に対して、両端を軸受3026,3029により回転自在に支持されており、中間ギヤ部3038aに噛合する従動ギヤ部3037aを有していると共に、左端内周に雌セレーション部3037bを形成している。中間ギヤ部3038a、従動ギヤ部3037aにより歯車対を構成する。なお、ナット3045等の組付けは、ハウジング3021の部材3021A、3021Bを取り外した状態で、図の右方から行うことができる。
従動ギヤ3037の雌セレーション部3037bと、固定部材3047の雄セレーション部3047aとを係合させることによって、従動ギヤ3037と固定部材3047とは軸線方向に相対移動可能だが、回転方向に相対回転不能に連結される。従動ギヤ3037と固定部材3047とを軸線方向に相対移動可能としているのは、弾性体3031a、3032aの緩衝効果を発揮させるためである。
図31において、ねじ軸と一体(別部品として連結してもよい)であるラック軸3023の外周面の一部には、雄ねじ溝3023bが形成されている。雄ねじ溝3023bの周囲にはナット3045が配置されており、雄ねじ溝3023bに対向する本体3045aの内周面に、雌ねじ溝3045fを形成している。雄ねじ溝3023bと雌ねじ溝3045fとで形成する螺旋状の空間(転走路)内には、多数のボール(転動体)3065が転動自在に配置されている。
本実施の形態の動作について説明する。図示していないが、運転者がステアリングホイールを回転させると、その回転力が入力軸へと伝達される。入力軸が回転すると、それにピニオン噛合したラック歯が押され、ラック軸3023が軸線方向に移動し、タイロッドを介して不図示の操舵機構を駆動することで、車輪の操舵が行われるようになっている。
このとき図示しないトルクセンサが操舵トルクを検出し、その量に応じて、不図示のCPUが電動モータに対して電力を供給するので、中間ギヤ部3038aを介して噛合した従動ギヤ部3037aが、所定の減速比で回転させられる。従って、従動ギヤ3037から固定部材3047を介してナット3045に回転動力の伝達が行われ、かかるナット3045の回転運動はボール3065を介してラック軸3023の軸線運動に変換される。転走路の一端まで転動したボール3065は、デフレクタ3045bによりすくい上げられ、循環路3045cを介して他端へと戻されるようになっている。ラック軸3023の軸線方向力を用いて、補助操舵力を出力できるようになっている。
本実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置3011においては、固定部材3047に、デフレクタ3045bをナット3045の本体3045aに固定する機能と、従動ギヤ3037からナット3045へ動力を伝達する機能の双方を持たせているので、部品点数が削減され、組付性も向上し、さらには省スペース化も図れる。従って、本体3045aに直接動力伝達がなされることから、ナット3045の外径を拡大させる必要もなく、デフレクタ3045bにはいかなる動力も伝達されず、動力伝達に起因する変形や破損は生じない。
図34は、第18の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置3111を示す断面図である。本実施の形態においては、図31〜33に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
図34において、ナット3045の本体3045aの右端面には、環状部3045gが同軸に形成されている。一方、それに対向する固定部材3047の左端面には、環状部3045gの内径にほぼ一致する外径を有する縮径円筒部3047bが同軸に形成されている。従って、環状部3045gに縮径円筒部3047bを嵌合させることによって両者の半径方向の位置決めを図り、即ち本体3045aと固定部材3047とを同軸に連結することで、高回転時におけるナット3045の振れ回りなどを抑制することができる。環状部3045gと縮径円筒部3047bとでインローを構成する。
図35は、図31,34に示す電動式パワーステアリング装置に用いることができる別の実施の形態にかかるナットの本体の上面図であり、図36は、図35に示すナットの本体を矢印XXXVI方向に見た図であり、図37は、図36に示すナットの本体をXXXVII-XXXVII線で切断して矢印方向に見た図であり、図38は、図37に示すナットの本体をXXXVIII-XXXVIII線で切断して矢印方向に見た図である。図39は、ナットの本体に軸受を組み付けた状態で示す図であり、図40は、図39の構成をXXXX-XXXX線で切断して矢印方向に見た図である。
図35、37に示すように、本体3145aの循環溝3145cは、一部が半径方向外方に開口(3145j)している。図33に示す本体3045aにおいては、循環路3045cを長いドリルで加工しなくてはならず、加工時間が長くなるという問題がある。これに対し、本実施の形態においては、長穴状の開口3145jはエンドミル等で容易に溝加工できるため、加工時間が少なくコスト低減を図れる。なお、ナット3145の外周面に形成されたねじ部3145kや、雌ねじ溝3145f、循環路3145cと雌ねじ溝3145fとの連結部等は、従来と同様に軸線方向から容易に加工できる。
図39,40に示すように、本体3145aを電動式パワーステアリング装置に組み付けたときに、開口3145jは、段部3145hに付き当てた軸受3027により半径方向外方から覆われことで全周が閉じた循環路を形成できるため、ボール3065が開口3145jを介して外方に抜け出すことはない。即ち、開口3145jを覆うために、別個の部材を用いる必要がなく、部品点数の削減やコスト低減を図れる。
ただし開口3145jを形成したために、循環路3145cを通過するボール3065の転動が阻害される恐れがある。以下の変形例では、かかる問題を解消している。
図41は、変形例にかかるナットの本体の上面図であり、図42は、図41に示すナットの本体を矢印XXXXII方向に見た図であり、図43は、図42に示すナットの本体をXXXXIII-XXXXIII線で切断して矢印方向に見た図であり、図44(a)は、図43に示すナットの本体をXXXXIV-XXXXIV線で切断して矢印方向に見た図であり、図44(b)は、ナット本体に組み付けられる蓋部材の正面図である。図45は、ナットの本体に軸受を組み付けた状態で示す図であって、図40と同様な断面図である。
本変形例が、図35〜40に示す実施の形態と異なる点は、開口3145jを覆う(遮蔽する)蓋部材3150と、その蓋部材3150を取り付けるための開口段部3145sを本体3145a’に形成した点である。共通する構成については、同じ符号を付すことで説明を省略する。
より具体的に本変形例を説明すると、図41、44に示すように、本体3145a’には、開口3145jの周囲に、外周から一段下がった開口段部3145sが形成されている。蓋部材3150は、開口段部3145sに取り付けられることで開口3145j内への落ち込みを防止するフランジ部3150aと、フランジ部3150aの一面に形成された円筒溝3150bとからなる。円筒溝3150bの断面形状(半径R)は、循環溝3145cの断面形状(半径R)に対応した形状となっており、それらで形成される断面が、半径Rの約円形になると好ましい。即ち、循環溝3145cと蓋部材3150とで形成される空間は、ドリルで形成したような円筒状の孔となる。又、蓋部材3150のフランジ部3150aは、本体3145a’に組み付けた状態で、蓋部材3150の外面が本体3145a’の外周面と面一となるような寸法を有している。
図45に示すように、蓋部材3150を本体3145a’に取り付けた状態で、電動式パワーステアリング装置に組み付けると、蓋部材3150のフランジ部3150aは、開口段部3145sと軸受3027とに挟持され固定されるので、循環ボール3065が循環溝3145cを通過する際に、開口3145jを介して外方に抜け出すことはないし、蓋部材3150の円筒溝3150bにより、開口3145jを設けたことにより生じた段差部がなくなるので、ボール3065の転動が円滑になり、異音や振動を抑制することができる。又、蓋部材3150は、軸受3027により本体3145a’からの分離が阻止される。
図46は、図41〜45に示す変形例を用いた電動式パワーステアリング装置3211を示す断面図である。本実施の形態においては、図31〜33に示す実施の形態に対して、開口3145jと蓋部材3150とを設けた点のみが異なるため、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
図47は、第19の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置3311の断面図である。本実施の形態においては、図46に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、中間軸を省略する代わりに、従動軸3037のギヤ部3037aに動力を伝達する歯付きベルト3055を設けている。従って、不図示の電動モータからの動力は、歯付きベルト3055を介して従動軸3037に伝達され、これに連結されたナット3145も回転するので、電動モータの動力をねじ軸3023に伝達することができる。尚、歯付きベルトの替わりにチェーンを用いても良い。このようなベルトやチェーンは、図31,34の実施の形態にも用いることができる。
図48は、第20の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の要部断面図である。図48において、電動式パワーステアリング装置4011は、不図示の車体に固定されたハウジング4021を有する。ハウジング4021は、図48では3分割され、部材4021A、4021B、4021Cからボルト止めにより一体化されている。ハウジング4021を水平に貫通するようにして、ラック軸4023が軸線方向移動自在に支持されている。図示していないが、ステアリングホイールに連結された入力軸の下方端にはピニオンが形成され、ラック軸4023のラック歯に噛合しており、入力軸の回転によりラック軸4023は図で左右に移動するようになっている。ラック軸4023の両端は、操舵機構のタイロッド(不図示)に連結されている。
ラック軸4023と軸線が平行になるようにして、電動モータ(不図示)がハウジング4021に取り付けられている。電動モータの動力は、図48で一部のみ示す中間軸4038に伝達される。中間軸4038は、軸受4024,4025によりハウジング4021に対して回転自在に支持されており、軸受4024,4025に挟まれた部分に中間ギヤ部4038aを有している。
ラック軸4023の周囲に、ナット4045が配置され、複列アンギュラ玉軸受4027によりハウジング4021に対して回転自在に支持されている。これを、より具体的に説明する。ハウジング4021の部材4021Aにおける内孔4021aに嵌合するようにして、薄肉円筒状のスリーブ4039が配置されている。又、内孔4021aの底面(図48の左側)から順に、リング状部材4030、第1緩衝部材4031,複列アンギュラ玉軸受4027の外輪4027a、第2緩衝部材4032が配置され、部材4021Aに螺合されるロック部材4033により固定されている。第1緩衝部材4031は、リング状部材4030に当接する弾性体4031aを有している。又、第2緩衝部材4032は、ロック部材4033に当接する弾性体4032aを有している。弾性体4031a、4032aが弾性変形することによって、複列アンギュラ玉軸受4027は、制限される範囲内でナット4045とともに軸線方向に移動可能となっている。外輪4027aは、スリーブ4039の内周面に嵌合している。
図49は、本実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置のナットをアッセンブリ状態で示す断面図である。複列アンギュラ玉軸受4027の2分割され軸線方向に並べられた内輪4027b、4027bは、ナット4045の外周面に嵌合しており、図でその右端は、ナット4045の右端近傍に形成された外周段部4045hに当接している。また、内輪4027b、4027bの図で左端は、軸受を固定する締結手段であるねじ部材4034の右端に当接して、それより予圧を付与されている。ねじ部材4034は、ナット4045の外周面に形成されたねじ部4045kに螺合する円筒部4034aと、円筒部4034aの左端から半径方向内方に延在するフランジ部4034bとからなり、円筒部4034aのねじ込み量により予圧を調整できるようになっている。フランジ部4034bは、リング状の弾性体(ゴムもしくは樹脂製)4046を介して、図で左側のデフレクタ4045bに当接し、これを固定している。弾性体4046は、押圧されることである程度の範囲で弾性変形可能であるために、複列アンギュラ玉軸受4027の予圧を優先して、ねじ部材4034を締め付けても特に問題はない。
図48において、ナット4045の図で右側のデフレクタ4045bは、ロック部材4033の半径方向内方において、ナット4045の右端にねじ止めされたスプライン部材4035により固定されている。スプライン部材4035は、ナット4045に対して軸線方向に隔置配置された従動ギヤ4037にスプライン結合しており、動力伝達経路において衝撃力が生じた場合などにおいて、緩衝部材4031,4032の緩衝効果を発揮できるように、ナット4045と従動ギヤ4037との相対移動を可能にしている。
従動ギヤ4037は、ハウジング4021に対して、両端を軸受4026,4029により回転自在に支持されており、中間ギヤ部4038aに噛合する従動ギヤ部4037aを有している。中間ギヤ部4038a、従動ギヤ部4037aにより歯車対を構成する。なお、ナット4045等の組付けは、ハウジング4021の部材4021A、4021Bを取り外した状態で、図の右方から行うことができる。
ナット4045は、中央の中空円筒状の本体4045aと、両端のデフレクタ4045bとからなる。本体4045aは、軸線方向に貫通する循環路4045cを形成しており、また各デフレクタ4045bは、転走してきたボール4065を、転走路の接線方向かつリード角方向へすくい上げ循環路4045cに戻すすくい上げ片4045dを形成している。
ねじ軸と一体(別部品として連結してもよい)であるラック軸4023の外周面の一部には、雄ねじ溝4023bが形成されている。雄ねじ溝4023bの周囲にはナット4045が配置されており、雄ねじ溝4023bに対向する本体4045aの内周面に、雌ねじ溝4045fを形成している。雄ねじ溝4023bと雌ねじ溝4045fとで形成する螺旋状の空間(転走路)内には、多数のボール(転動体)4065が転動自在に配置されている。ラック軸(ねじ軸)4023と,ナット4045と,ボール4065とでボールねじ機構(動力伝達機構)を構成する
本実施の形態の動作について説明する。図示していないが、運転者がステアリングホイールを回転させると、その回転力が入力軸へと伝達される。入力軸が回転すると、それにピニオン噛合したラック歯が押され、ラック軸4023が軸線方向に移動し、タイロッドを介して不図示の操舵機構を駆動することで、車輪の操舵が行われるようになっている。
このとき図示しないトルクセンサが操舵トルクを検出し、その量に応じて、不図示のCPUが電動モータに対して電力を供給するので、中間ギヤ部4038aを介して噛合した従動ギヤ部4037aが、所定の減速比で回転させられる。従って、従動ギヤ4037とスプライン部材4035を介して連結されたナット4045も回転し、かかる回転運動はボール4065を介してラック軸4023の軸線運動に変換される。転走路の一端まで転動したボール4065は、デフレクタ4045bによりすくい上げられ、循環路4045cを介して他端へと戻されるようになっている。ラック軸4023の軸線方向力を用いて、補助操舵力を出力できるようになっている。
本実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置4011においては、図で左側のデフレクタ4045bが、ナット4045を支持する複列アンギュラ玉軸受4027を固定するねじ部材4034を用いて、ナット4045に固定されるので、組み付けに当たり必要な部品点数が削減され、また組み付けも容易になる。更に、デフレクタ4045bとねじ部材4034との間に弾性体4046を介在させているので、かかる弾性体4046により、動作時にボール4065がデフレクタ4045bに衝突する際の振動や騒音の低減を図ることができる。
図50は、第21の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置のナットをアッセンブリ状態で示す断面図である。本実施の形態においては、図48、49に示す実施の形態に対して異なる点のみを説明し、共通する構成に関しては同じ符号を付すことで説明を省略する。
本実施の形態においては、弾性体を省略する代わりに、デフレクタ4045bに設けた半球状の突起4045gを、ねじ部材4034のフランジ部4034bに当接させている。突起4045gは、押圧されることである程度の範囲で弾性変形可能であるために、若干大きめに形成しておき、複列アンギュラ玉軸受4027の予圧付与時に弾性変形させながら組み付けると好ましい。
図51は、第22の実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置の要部断面図である。図52は、ナット単体の断面図であり、図53は、図52のナットを矢印XXXXXIII方向に見た図であり、図54は、ナットと従動ギヤとの分解斜視図である。
図51において、電動式パワーステアリング装置5011は、不図示の車体に固定されたハウジング5021を有する。ハウジング5021は、図51では3分割され、部材5021A、5021B、5021Cからボルト止めにより一体化されている。ハウジング5021を水平に貫通するようにして、ラック軸5023が軸線方向移動自在に支持されている。図示していないが、ステアリングホイールに連結された入力軸の下方端にはピニオンが形成され、ラック軸5023のラック歯に噛合しており、入力軸の回転によりラック軸5023は図で左右に移動するようになっている。ラック軸5023の両端は、操舵機構のタイロッド(不図示)に連結されている。
ラック軸5023と軸線が平行になるようにして、電動モータ(不図示)がハウジング5021に取り付けられている。電動モータの動力は、図51で一部のみ示す中間軸5038に伝達される。中間軸5038は、軸受5024,5025によりハウジング5021に対して回転自在に支持されており、軸受5024,5025に挟まれた部分に、中間ギヤ部5038aを有している。
ラック軸5023の周囲に、ナット5045が配置され、複列アンギュラ玉軸受5027によりハウジング5021に対して回転自在に支持されている。これを、より具体的に説明する。ハウジング5021の部材5021Aにおける内孔5021aに嵌合するようにして、薄肉円筒状のスリーブ5039が配置されている。又、内孔5021aの底面(図51で左側)から順に、リング状部材5030、第1緩衝部材5031,複列アンギュラ玉軸受5027の外輪5027a、第2緩衝部材5032が配置され、部材5021Aに螺合されるロック部材5033により固定されている。第1緩衝部材5031は、リング状部材5030に当接する弾性体5031aを有している。又、第2緩衝部材5032は、ロック部材5033に当接する弾性体5032aを有している。弾性体5031a、5032aが弾性変形することによって、複列アンギュラ玉軸受5027は、制限される範囲内でナット5045とともに軸線方向に移動可能となっている。外輪5027aは、スリーブ5039の内周面に嵌合している。
複列アンギュラ玉軸受5027の2分割され軸線方向に並べられた内輪5027b、5027bは、ナット5045の外周面に嵌合しており、図でその左端は、ナット5045の左端に形成された外周段部5045hに当接している。また、内輪5027b、5027bの図で右端は、ねじ部材5034の左端に当接して、それより予圧を付与されている。ねじ部材5034は、ナット5045の外周面に形成されたねじ部5045kに螺合している。ねじ部材5034のねじ込み量により予圧を調整できる。
ナット5045は、中央の中空円筒状の本体5045aと、両端のデフレクタ5045b(図51で一方のみ図示)とからなる。本体5045aは、軸線方向に貫通する循環路5045cを形成しており、また各デフレクタ5045bは、転走してきたボール5065を、転走路の接線方向かつリード角方向へすくい上げ循環路5045cに戻すすくい上げ片5045dを形成している。ねじ軸5023と,ナット5045と,ボール5065とでボールねじ機構(動力伝達機構)を構成する。
図52で、ナット5045の本体5045aの右端面には、周方向に90度間隔で(図53参照)4つの角柱状の突起5045jが軸線方向に突出して(前記端面から軸線方向に延在して)形成されている。図53に示すように、2つの突起5045jの間に循環路5045cが配置され、ここにデフレクタ5045bが取り付けられるので、突起5045jはその配置の障害にならない。
図51において、従動部材である中空の従動ギヤ5037は、ハウジング5021に対して、両端を軸受5026,5029により回転自在に支持されており、中間ギヤ部5038aに噛合する従動ギヤ部5037aを有している。中間ギヤ部5038a、従動ギヤ部5037aにより歯車対を構成する。なお、ナット5045等の組付けは、ハウジング5021の部材5021A、5021Bを取り外した状態で、図の右方から行うことができる。
図54において、ナット5045の本体5045aに対向するようにして、従動ギヤ5037の端面から周方向に90度間隔で4つの角柱状の突起5037bが軸線方向に突出して形成されている。本体5045aと従動ギヤ5037との間には、リング状の弾性体(ゴムまたは樹脂製)5035が配置される。弾性体5035は、周方向に45度間隔で8つの溝部5035aを形成している。溝部5035aの形状は、突起5045j、5037bに対応している。
組み付け時には、本体5045aの突起5045jが、弾性体5035の溝部5035aを通過し、且つ従動ギヤ5037の突起5037bが、弾性体5035の残りの溝部5035aを通過するように配置される。すなわち、周方向に交互に並んだ突起5045j、5037bとの間に、弾性体5035が位置するようになっている。なお、緩衝部材5031,5032の緩衝効果を発揮できるように、突起5045jの先端が従動ギヤ5037の対向端面に当接せず、且つ突起5037bの先端が本体5045aの対向端面に当接しないようにスキマを空けて配置されると好ましい。
図51において、ねじ軸と一体(別部品として連結してもよい)であるラック軸5023の外周面の一部には、雄ねじ溝5023bが形成されている。雄ねじ溝5023bの周囲にはナット5045が配置されており、雄ねじ溝5023bに対向する本体5045aの内周面に、雌ねじ溝5045fを形成している。雄ねじ溝5023bと雌ねじ溝5045fとで形成する螺旋状の空間(転走路)内には、多数のボール(転動体)5065が転動自在に配置されている。
本実施の形態の動作について説明する。図示していないが、運転者がステアリングホイールを回転させると、その回転力が入力軸へと伝達される。入力軸が回転すると、それにピニオン噛合したラック歯が押され、ラック軸5023が軸線方向に移動し、タイロッドを介して不図示の操舵機構を駆動することで、車輪の操舵が行われるようになっている。
このとき図示しないトルクセンサが操舵トルクを検出し、その量に応じて、不図示のCPUが電動モータに対して電力を供給するので、中間ギヤ部5038aを介して噛合した従動ギヤ部5037aが、所定の減速比で回転させられる。従って、従動ギヤ5037から弾性体5035を介してナット5045に回転動力の伝達が行われ、かかるナット5045の回転運動はボール5065を介してラック軸5023の軸線運動に変換される。転走路の一端まで転動したボール5065は、デフレクタ5045bによりすくい上げられ、循環路5045cを介して他端へと戻されるようになっている。ラック軸5023の軸線方向力を用いて、補助操舵力を出力できるようになっている。
本実施の形態にかかる電動式パワーステアリング装置5011においては、ナット5045の本体5045aの端面に軸線方向に延在する突起5045jを設け、これを介して電動モータの動力が伝達されるようにしているので、ナット5045の外径を拡大させることなく動力伝達が可能となる。又、本体5045aに直接動力伝達がなされることから、デフレクタ5045bにはいかなる動力も伝達されず、動力伝達に起因する変形や破損は生じない。
更に、動力伝達は、従動ギヤ5037の突起5037bより弾性体を介して、突起5045jに伝達されるので、突起5045j、5037bが直接当接し合う場合に比べ、打音の発生を防止し、ガタの排除も行える。
なお、ナットの突起及び従動ギヤの突起の形状は、角柱状に限らず、円筒状でも角錐状でもかまわない。又、ナットの端面から軸線方向にくぼんだ凹部を設け、従動ギヤの突起をそれに係合させてもよいし、逆に従動ギヤに同様な凹部を設け、ナットの突起をそれに係合させてもよい。電動モータからナットへの動力伝達は、歯車対の代わりに歯付きベルトやチェーンを用いても良い。
以上、実施の形態を参照して本発明を詳細に説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきでなく、その趣旨を損ねない範囲で適宜変更、改良可能であることはもちろんである。本発明は、ステアリングホイールとラック軸とが機械的に連結されていない、いわゆるステアバイワイヤ(SBW)式操舵機構や、4輪操舵(4WS)車に用いる後輪操舵機構などにも適用可能である。