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JP4826877B2 - 電気化学素子用電極およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents
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JP4826877B2 - 電気化学素子用電極およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

電気化学素子用電極およびそれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、キャパシタやリチウム二次電池等に用いられる電気化学素子用電極と、この電気化学素子用電極を用いたリチウム二次電池に関するものである。
近年、電子機器の小型軽量化や高機能化に伴い、これらに用いる電気化学素子として、高出力で長寿命のキャパシタや二次電池の開発が進められている。これら電気化学素子に用いられる電極には、通常、電子を蓄えたり放出できる機能を有する活物質が必要であるが、この活物質は電子伝導性が必ずしも高くなかったり、使用中に電子伝導性の低下が生じたりするため、活物質単独だけではうまく機能しない場合が多い。そこで活物質同士の間や活物質と集電体との間の導電パスをとるために、通常、活物質に、電子伝達機能を有する導電剤が混合使用されている。
この導電剤には、通常、有機物を高温で燃焼ないし焼成した良導電性の炭素質材料が用いられるが、その物性が電極ひいては電気化学素子の性能を大きく左右することが知られている。
以下に、例としてリチウム二次電池について説明するが、本発明の電気化学素子は、導電剤の効果が損なわれない限り、その種類が限定されるものではない。
電気化学素子の中で、リチウム二次電池ないしリチウムイオン二次電池と呼ばれる二次電池は、エネルギー密度及び出力密度等に優れ、小型化・軽量化が可能であるため、ノート型パソコン、携帯電話及びハンディビデオカメラなどの携帯機器やハイブリッド電気自動車用の電源として使用されており、さらに高性能化の研究が盛んである。
リチウム二次電池の電極活物質には、リチウムを吸蔵・放出可能な化合物が用いられる。より具体的には、正極活物質には通常スピネル構造を有するリチウムマンガン酸化物や、層状構造を有するリチウムコバルト酸化物等のリチウム遷移金属酸化物が、負極活物質には炭素物質や黒鉛等が用いられる。
電極には、これらの活物質を導電剤およびバインダーと共に集電体に付着させたものが用いられる。特に、正極は、活物質の電子伝導性が低く、導電剤がないとうまく作動しないため、導電剤の配合が必要とされる。
その導電剤としては、アセチレンブラックやケッチェンブラック等のカーボンブラックが広く用いられているが、特にアセチレンブラックが主に用いられている。
しかしながら、近年、電子機器のさらなる軽量化や、長時間作動等の高性能化の要求により、リチウム二次電池にもより一層の高出力化と長寿命化が求められている。そして、それに応じて、電極に用いる活物質の改良や、導電剤の改良が必要となっている。
電池の高出力化とは、従来より高い電流で電池を充放電させても、分極が少なく、高い容量を引き出せるようにすることであり、これには導電剤が電極の中で有効な導電パスを形成し、活物質本来の性能を十分に引き出すことが重要である。
一方、電池の長寿命化は、充放電の繰り返しサイクル数を従来より多くしても電池性能の劣化を抑えるということであり、これには導電剤が、充放電に伴う酸化や還元など、電気化学反応的に過酷な状況でも耐えうることが必要である。
導電剤の改良によるリチウム二次電池の高出力化の例としては、特許文献1が挙げられる。特許文献1では、導電剤として、ジブチルフタレート(DBP)吸収量が250cm/100g以下のカーボンブラック系炭素材を用いることで高出力化を図っている。
また、導電剤の改良によるリチウム二次電池の長寿命化の例としては、例えば特許文献2が挙げられる。特許文献2では、DBP吸収量が100cm/100g以上、400cm/100g以下で、かつI吸着量が120mg/g以上、1500mg/g以下のカーボンブラックを用いることで、より長い寿命を得たとしている。
特許文献3には、オイルファーネスカーボンブラックの製造条件と粒径及びストラクチャーとの関係について第0004〜0008段落に記述があり、また、同公報図2には窒素吸着比表面積(NSA)と24M4DBP吸収量でオイルファーネスブラックの製造限界が開示されている。なお、この特許文献3には長寿命電池用カーボンブラックとしての用途の記載はなされているが、具体的な使用形態についての記載はなされていない。また、カーボンブラックが含む水素量とカーボンブラック自体の体積固有抵抗については、非特許文献1(平成7年4月15日カーボンブラック協会発行)のP552〜555や図1.7にあるように、水素量が低下するとカーボンブラック自体の抵抗が低下することが開示されている。
一方、本出願人は、樹脂に導電性を付与するための導電性樹脂用カーボンブラックとして、製造装置の設計や製造過程の条件を制御することで、これまで実現できなかった理想の物性値を持つ新たなオイルファーネスカーボンブラックを開発し、先に特許出願した(特願2004−226894。以下「先願」という。)。
この先願で提案されるカーボンブラックは、次のような物性を満たすものである。
(1500℃×30分)脱水素量:1.2mg/g以下
24M4DBP吸収量:130cm/100g以上
結晶子サイズLc:10〜17Å
窒素吸着比表面積(NSA):好ましくは150〜300m/g
DBP吸収量:好ましくは150〜400cm/100g
従来提供されている主なカーボンブラックの物性は表1に示す通りであり、この表1より、脱水素量が1.2mg/g以下でかつ24M4DBP吸収量が130cm/100g以上のものは無く、両者を共に実現することが困難であったことが判る。
先願のカーボンブラックはこの両物性を実現したものである。
Figure 0004826877
特開平11−40139公報 特開2001−110424公報 特開2002−121422号公報 特願2004−226894 「カーボンブラック便覧」<第三版>
前述の如く、リチウム二次電池電極に配合される導電剤としてのカーボンブラックには、従来、その物性面からの改良が検討されているが、最近の電気化学素子にはさらなる高出力化ないし長寿命化、さらにはこれら両者の向上が同時に求められている。この両者を両立させるためには高度な電極の設計が必要である。そのためには導電剤としてのカーボンブラックの物性についても高度な設計が必要であり、従来公知の物性の範囲内のカーボンブラックでは不十分であった。
本発明は、電気化学素子の高出力化と長寿命化の両方の要求を満たすために、その電極に使用する好適なオイルファーネスカーボンブラックの物性設計に基き、このようなオイルファーネスカーボンブラックを用いて、電気化学素子の高出力化と長寿命化とを両立し得る電気化学素子用電極と、この電気化学素子用電極を用いたリチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、電気化学素子の高出力化と長寿命化を図るべく、電気化学素子用電極用導電剤として用いるオイルファーネスカーボンブラックと、これを用いた電気化学素子の電気化学的特性との相関について検討した結果、オイルファーネスカーボンブラックの物性のうち(1500℃×30分)脱水素量と24M4DBP吸収量が電池等の電気化学素子の出力と寿命に大きな影響を与えること、これらの物性が特定の値を有するオイルファーネスカーボンブラックが電気化学素子の出力と寿命の向上を同時に実現できることを見出し、本発明に至った。
本発明で用いるオイルファーネスカーボンブラックは、先願に記載されるカーボンブラックに基くものである。すなわち、先願は、主に導電性樹脂用に新たに開発したカーボンブラックに関するものであるが、本発明者らは、ほぼ同じ物性を有するオイルファーネスカーボンブラックを電気化学素子用電極の導電剤として用いた場合に、優れた特性を発揮することを見出した。
すなわち、本発明は、以下を要旨とするものである。
[1] 活物質と導電剤とを含む電気化学素子用電極であって、
活物質重量に対する導電剤の重量割合が0.5重量%以上、15重量%以下であり、
該導電剤が、
以下の測定法で求められる(1500℃×30分)脱水素量が1.2mg/g以下、かつ
JIS K6217に準拠した24M4DBP吸収量が130cm/100g以上
のオイルファーネスカーボンブラックを含むことを特徴とする電気化学素子用電極。
(測定法)
カーボンブラックを0.5g精秤し、アルミナ管に入れ、0.01Torr(1.3Pa)まで減圧した後、減圧系を閉じ、1500℃の電気炉内に30分間保持してカーボンブラックに存在する酸素化合物や水素化合物を分解・揮発させる。揮発成分は定量吸引ポンプを通じて、一定容量のガス捕集管に採取する。圧力と温度からガス量を求めると共に、ガスクロマトグラフにて組成分析し、水素(H )の発生量(mg)を求め、カーボンブラック1g当たりからの水素量に換算した値を計算する(単位はmg/g)。
[2] オイルファーネスカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が80m/g以上、300m/g以下であることを特徴とする[1]に記載の電気化学素子用電極。
[3] オイルファーネスカーボンブラックの結晶子サイズLcが10Å以上、40Å以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の電気化学素子用電極。
[4] 活物質が、リチウムを吸蔵・放出可能な化合物を少なくとも含有することを特徴とする[1]〜[3]に記載の電気化学素子用電極。
[5] リチウムを吸蔵・放出可能な化合物が、リチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする[4]に記載の電気化学素子用電極。
[6] リチウム遷移金属複合酸化物が、主として層状構造で同定される結晶構造を有し、下記(1)式で表される組成であることを特徴とする[5]に記載の電気化学素子用電極。
Li1+αNiMnCo1−x−y−z …(1)
(ただし、-0.1≦α≦0.2、0<x≦0.5、0<y<1.0、0≦z≦0.5、0.8≦x+y+z≦1.0であり、MはAl,Fe,Ti,Mg,Cr,Ga,Cu,Zn,Nb,及びZrの何れか1種以上)
[7] リチウム遷移金属複合酸化物が、一次粒子が凝集して二次粒子を形成して成り、該二次粒子の形状が球状ないし楕円球状である[5]または[6]に記載の電気化学素子用電極。
[8] 正極と、負極と、リチウム塩を含有する非水電解質とを含むリチウム二次電池であって、
正極および負極の少なくとも一方が、[4]〜[7]に記載の電気化学素子用電極であることを特徴とするリチウム二次電池。
本発明によれば、導電剤としてのオイルファーネスカーボンブラックの物性制御により、これを用いた電気化学素子用電極の性能の向上、ひいてはその電気化学素子の高性能化を達成することができ、特に、この電気化学素子用電極をリチウム二次電池の電極として用いる場合において、従来困難とされていたリチウム二次電池の高出力化と長寿命化を同時に達成することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に特定はされない。
[電気化学素子]
本発明における電気化学素子とは、主に電子機器等に用いられる小型の電池やキャパシタであるが、最近研究が盛んになってきている自動車用の電池やキャパシタ、燃料電池なども含まれる。電池としては、二酸化マンガンないしフッ化黒鉛とリチウムを用いたリチウム一次電池、マンガン乾電池、アルカリ乾電池等の一次電池、ニッケル水素二次電池やリチウム二次電池等の二次電池が挙げられる。またキャパシタとしては主に電気二重層キャパシタが挙げられる。
前述の如く、これらの電気化学素子に用いられる電極には、通常、電子を蓄えたり放出できる機能を有する活物質が必要であるが、その活物質は電子伝導性が必ずしも高くなかったり、使用中に電子伝導性の低下が生じるため、活物質単独だけではうまく機能しない場合が多い。そこで、活物質同士の間や活物質と集電体との間の導電パスをとるため、電子伝達機能を有する導電剤を混合するのが一般的である。
本発明ではこの電極に配合する導電剤の物性を設計制御し、より高性能の電極ひいては電気化学素子を提供する。
[導電剤]
本発明に係る導電剤は、
(1500℃×30分)脱水素量(以下、単に「脱水素量」とも言う。)が1.2mg/g以下、かつ
JIS K6217に準拠した24M4DBP吸収量が130cm/100g以上
のオイルファーネスカーボンブラックである。
従来知られているカーボンブラックをはじめとする導電剤としての炭素質材料は、窒素吸着比表面積を大きくしようとすると脱水素量が大きくなり、逆に脱水素量を低く抑えようとすると、比表面積が小さくなるため、24M4DBP吸収量も小さくなり、導電剤自体の電導度を高めつつ、寿命も向上させることが難しかった。
本発明においては、オイルファーネスカーボンブラックの製造条件を調節し、上記のような脱水素量と24M4DBP吸収量の範囲を達成することにより、電導度を高めて高出力に対応すると共に、電気化学的な寿命も高めた電極、ひいては高出力かつ長寿命の電気化学素子を実現する。
以下に、本発明における導電剤の物性パラメータについて説明する。
〈(1500℃×30分)脱水素量〉
(1500℃×30分)脱水素量は、カーボンブラックを真空中にて1500℃で30分間加熱し、この間に発生したガス中の水素量であり、具体的には後述のようにして測定される。
本発明における導電剤であるオイルファーネスカーボンブラック(以下、単に「カーボンブラック」とも言う。)の脱水素量は1.2mg/g以下、好ましくは1.1mg/g以下、より好ましくは1.0mg/g以下であることを特徴とする。
脱水素量は、カーボンブラックが受ける熱履歴と大きく関わっており、熱処理が不十分であると水素が多く残り、これが導電性と大きく関わると考えられる。脱水素量が多いものはカーボンブラック表面の炭素化が進んでいないため、電極中で導電性を向上させることができず、ひいては出力を出すことができないと考えられる。また、電池に用いられる場合は電気化学的安定性にも影響し、寿命を左右すると考えられる。これらのことから、通常、カーボンブラックの脱水素量は小さいほうが好ましいと考えられる。ただし、小さすぎると工業的に製造する際のコスト上昇につながることから、一般的には0.1mg/g以上、より好ましくは0.3mg/g以上が良い。
(測定法)
カーボンブラックを約0.5g精秤し、アルミナ管に入れ、0.01Torr(1.3Pa)まで減圧した後、減圧系を閉じ、1500℃の電気炉内に30分間保持してカーボンブラックに存在する酸素化合物や水素化合物を分解・揮発させる。揮発成分は定量吸引ポンプを通じて、一定容量のガス捕集管に採取する。圧力と温度からガス量を求めると共に、ガスクロマトグラフにて組成分析し、水素(H)の発生量(mg)を求め、カーボンブラック1g当たりからの水素量に換算した値を計算する(単位はmg/g)。
〈24M4DBP吸収量及びDBP吸収量〉
DBP吸収量は、JIS K6217に準拠して定義される量である(単位はcm/100g)。
24M4DBP吸収量は、DBP吸収量とは別のパラメータであるが、DBP吸収量と同様にJIS K6217に準拠した、圧縮試料についてのDBP吸収量である(単位は同じくcm/100g)。
本発明におけるオイルファーネスカーボンブラックは、上記脱水素量を満たすとともに、24M4DBP吸収量が130cm/100g以上、好ましくは140cm/100g、より好ましくは145cm/100g以上のものである。
24M4DBP吸収量が、上記下限未満では、電極作成時のストレスやサイクルや保存時のストレスによってストラクチャーが壊れやすいために、十分な導電パスが形成されず容量や出力が低下したり、形成された導電パスが壊れて寿命が低下したりしやすい。24M4DBP吸収量の上限は特に制限はないが、電極作成時の取り扱い易さの点から、通常200cm/100g以下である。
一般に、カーボンブラックは一次粒子が葡萄房状に連なった独特のストラクチャー(凝集体構造)と称される連鎖体よりなる二次粒子を形成している。しかして、導電パスを確保しやすい点から、カーボンブラックは、ストラクチャーが発達したものであることが好ましい。また、カーボンブラックの一次粒子径を小さくすることによっても導電性が向上する。さらに、カーボンブラックの一次粒子の表面における官能基(酸素化合物)量を少なくすることによっても導電性が向上する。
DBP(ジブチルフタレート)は、カーボンブラックのストラクチャーの葡萄房状連鎖体の空隙部分等に吸収されるので、24M4DBP吸収量やDBP吸収量はカーボンブラックが有するストラクチャーの発達度合を示す重要な指標値である。
通常のDBP吸収量がカーボンブラックそのままの状態にDBPを吸収させて測定するのと違い、24M4DBP吸収量はカーボンブラックにストレスをかけて容易に壊れる部分を壊してからDBPを吸収させて測定するものである。電極にカーボンブラックを用いる場合、通常活物質との混合過程や電極の成形時等にカーボンブラックは種々ストレスを受けるため、DBP吸収量よりも24M4DBP吸収量のほうがカーボンブラックのストラクチャーを示す上で重要と考えられる。
そして、カーボンブラックの24M4DBP吸収量は電極の中で導電パスを形成する有効なストラクチャーの量と相関があるため、電池の向上と相関があり、しかも、電気化学素子のサイクル特性や保存特性などで活物質や電極の膨張収縮等が起きる際にも破壊されにくいストラクチャーの存在量を表していると考えられるので、寿命とも相関がある。つまり24M4DBP吸収量がある程度大きくないとこれら電気化学特性を引き出しにくいと考えられる。
このようなことから、本発明においては、カーボンブラックの24M4DBP吸収量を上記所定値以上とする。
〈窒素吸着比表面積(NSA)〉
窒素吸着比表面積(NSA)は、JIS K6217に準拠して定義される(単位はm/g)。
本発明で用いるカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)については、下限は80m/g以上が好ましく、より好ましくは100m/g以上、さらに好ましくは150m/g以上である。また上限は300m/g以下が好ましく、より好ましくは290m/g以下、さらに好ましくは280m/g以下である。
電気化学素子の電極中の活物質間の導電パスを確保し、高出力時の性能を出すには、導電剤の比表面積が大きい方が好ましい。一方、比表面積が大きすぎると、電極作成時の成形上不都合が生じるおそれがあり、電気化学的副反応等による不可逆的な反応が起きやすくなり、寿命が低下するおそれがある。
従って、導電剤としてのカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は上記範囲内にあることが好ましい。
〈結晶子サイズLc〉
本発明で用いるカーボンブラックは、結晶子サイズLcの下限が10Å以上、より好ましくは13Å以上であり、上限が40Å以下、好ましくは25Å以下、さらに好ましくは17Å以下であることが好ましい。オイルファーネスカーボンブラックでは結晶子サイズLcをこの特定の範囲とすることで、電極の導電性を最も高めることができる。この値が大きすぎても低すぎても、十分な導電性が得られないおそれがある。
なお、本発明に係る結晶子サイズLcは、X線回折装置(RINT−1500型 理学電機社製)を用いて測定される。測定条件は、管球にCuを用い、管電圧40KV、管電流250mAである。カーボンブラック試料は装置付属の試料板に充填し、測定角度(2θ)10゜〜60゜、測定速度0.5゜/分とし、ピーク位置と半価幅は装置のソフトにより算出する。また測定角度の校正にはX線標準用シリコンを用いる。この様にして得られた結果を用いて、Scherrerの式;(Lc(Å)=K×λ/(β×cosθ)(但しK:形状因子定数0.9、λ:特性X線の波長CuKα 1.5418(Å)、β:半価幅(ラジアン)、θ:ピーク位置(度)))により結晶子サイズLcを求める。
<製造方法>
本発明における導電剤としてのカーボンブラックは、オイルファーネス法により製造されるオイルファーネスカーボンブラックである。
上記特定の物性を有するカーボンブラックの具体的な合成法については、先願に記載する通りである。
オイルファーネス法によるカーボンブラックの製造装置は、燃料を燃焼させて高温燃焼ガス流を生じさせる第1反応帯域と、該第1反応帯域に引き続いて設置され、カーボンブラック原料炭化水素(以下、「オイル」ということがある。)を導入してカーボンブラック生成反応をさせる第2反応帯域と、該第2反応帯域に引き続いて設置され、カーボンブラック生成反応を停止させるための冷却手段を有した第3反応帯域とを備えている。
このカーボンブラック製造装置によってカーボンブラックを製造するには、第1反応帯域内に高温の燃焼ガス流を生じさせ、第2反応帯域内にカーボンブラック原料炭化水素(オイル)を噴霧し、該第2反応帯域内でカーボンブラックを生成させる。このカーボンブラックを含むガス流は、第3反応帯域内に導入され、該第3反応帯域内でスプレーノズルから水噴霧を受けて急冷される。第3反応帯域内のカーボンブラックを含むガス流は、その後煙道を経由してサイクロン又はバッグフィルター等の捕集手段に導入され、カーボンブラックが捕集される。
オイルファーネスカーボンブラックは、このような製造装置の設計や製造条件を制御することにより製造することができ、物性の制御を比較的容易に行うことができ、電気化学素子の電極に用いる場合の物性設計上、他の導電剤よりも有利である。
例えば、上述の第2反応帯域におけるカーボンブラック原料導入ノズルの位置と、第3反応帯域における冷却水供給ノズルの位置とを調整して炉内におけるカーボンブラックの滞留時間を特定範囲とすることによって、上述した様にカーボンブラックの24M4DBP吸収量と比表面積を特定範囲の値とし、結晶子サイズLcを過度に大きくせず特定の小さな値とし、且つカーボンブラック粒子表面の脱水素が進行した状態とすればよい。より具体的には、炉内温度を1500℃〜2000℃、好ましくは1600℃〜1800℃とし、カーボンブラックの炉内滞留時間、即ち原料導入点から反応停止位置までの移動に要する時間(カーボンブラック原料導入位置距離と反応停止位置距離を移動するに要する時間)が、40ミリ秒〜500ミリ秒、好ましくは50ミリ秒〜200ミリ秒とすれば良い。また、炉内温度が1500℃を下回るような低温の場合には、炉内滞留時間が500ミリ秒を越えて5秒以下、好ましくは1秒〜3秒とすればよい。
本発明に係るカーボンブラックは、特に脱水素量が少ないので、その製造には炉内での高温燃焼ガス流の温度を1700℃以上の高温とする方法や、カーボンブラック原料供給ノズルよりも下流側で更に炉内に酸素を導入してカーボンブラック表面の水素等を燃焼させ、この反応熱で高温下の滞留時間を長くすることが好ましい。このような方法によって、カーボンブラックの表面近傍の結晶化とカーボンブラック内部の脱水素が効果的に行えるので好ましい。
[電解化学素子用電極]
本発明の電気化学素子用電極は、活物質と、導電剤としての上述のような特定の物性を有するオイルファーネスカーボンブラックとを含むものであり、導電剤が、電気化学的に安定で、高い導電性を持つことにより、正極、負極、あるいはキャパシタ用電極のいずれにおいても同様に好適な性能を得ることができる。
なお、本発明の電気化学素子用電極においては、導電剤として、前述のカーボンブラックのうち、本発明で特定する範囲内の物性を有するカーボンブラックの1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明において、電極の活物質重量に対する導電剤の重量割合は0.5重量%以上、特に1重量%以上で、15重量%以下、特に12重量%以下が好ましい。導電剤の割合が少なすぎると性能向上効果が現れないおそれがあり、多すぎると相対的に活物質の割合が減るため電極の容量や出力が低下するおそれがある。
電気化学素子が電池の場合、本発明の電気化学素子用電極を用いるのは、正極であっても負極であっても良く、電極中の活物質が少なくともリチウムを吸蔵・放出可能な化合物を含有することが好ましい。
[リチウム二次電池用正極]
次に、本発明の電気化学素子用電極のうち、リチウム二次電池用正極について説明する。
本発明におけるリチウム二次電池用正極は、本発明に係る導電剤としての特定のカーボンブラックと、活物質、及び結着剤(バインダー)を含有する正極活物質層を集電体上に形成してなるものである。
正極活物質層は、通常、導電剤と正極活物質と結着剤と更に必要に応じて用いられる増粘剤等を、乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、或いはこれらの材料を液体媒体中に溶解又は分散させてスラリー状にして、正極集電体に塗布、乾燥することによって作製される。
なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。
〈活物質〉
一般的に正極用活物質として用いられる、リチウムを吸蔵・放出可能な化合物として、リチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。これらはLiNiOやLiMnO、LiCoO等の層状構造を有する化合物や、LiMnに代表されるスピネル構造を有する化合物が挙げられる。本発明の電極の活物質にはこれらを使用することが好ましい。
特に、正極活物質としては、主として層状構造で同定される結晶構造を有し、下記(1)式で表される組成のリチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。
Li1+αNiMnCo1−x−y−z …(1)
(ただし、−0.1≦α≦0.2、0<x≦0.5、0<y<1.0、0≦z≦0.5、0.8≦x+y+z≦1.0であり、MはAl,Fe,Ti,Mg,Cr,Ga,Cu,Zn,Nb,及びZrの何れか1種以上)
なお、この組成式で酸素のモル比は、層状リチウム遷移金属複合酸化物であるLiCoO等とのアナロジーから、Ni,Mn,Co,Mのモル比の合計を1とした時に便宜上2としたもので、実際はLiおよび各遷移金属元素カチオンの価数とのバランスで決まるもので、2から多少数値が変動することがある。また、厳密には酸素欠損や酸素過剰がある場合にも影響があるが、変動値は通常2に比べてかなり小さいため、省略している。
また、αはLiの過不足を表す値で、合成時のLi原料の仕込み量に依存するが、αが小さすぎると電気化学特性が低下し、大きすぎると、合成後にLi原料が余剰のアルカリ分として表面に残り、劣化やガス発生等の原因になるので好ましくない。よって、−0.1≦α≦0.2が好ましく、0.02≦α≦0.1がより好ましい。
z(Coのモル比)は大きくても電池性能的に問題は無いが、Coは資源的に貴重であり、Co原料価格も高いので、経済的理由から0.5以下が好ましく、さらには0.35以下が好ましい。
x(Niのモル比)は大きすぎると、活物質が空気中で水分と反応しやすくなったり、充電状態(リチウムを電気化学的に脱離させた状態)で熱的に不安定になるので、0.5以下が好ましい。
Mは、主に電池の短絡や過充電など、誤使用時の安全性を高める目的で添加されるもので、Al,Fe,Ti,Mg,Cr,Ga,Cu,Zn,Nb,及びZrの何れか1種以上の元素が好ましく、さらにはAl,Mg,Ti等がより効果的で好ましい。ただし、この元素の割合が多い場合(x+y+zの値が小さい場合)は、活物質がリチウムの吸蔵・放出できる電気化学的容量(mAh/g)が小さくなるので、好ましくない。従って、x+y+zは、通常0.80以上、より好ましくは0.90以上、さらに好ましくは0.95以上である。
なお、本発明において、リチウム遷移金属酸化物が層状構造を有するか否かは、粉末X線回折測定により同定される。層状構造とは空間群
Figure 0004826877
に属するものである。通常、ミラー指数(003)のピーク面積とミラー指数(104)のピーク面積の比I(003)/I(104)が、層状構造の発達度合いを表すパラメータとしてよく用いられる。本発明で用いるリチウム遷移金属酸化物のI(003)/I(104)は通常1.0以上が好ましく、1.1以上であることがより好ましい。このパラメータが小さいと層状構造の発達が不十分で、活物質として十分機能しないおそれがある。
なお、粉末X線回折測定はCuKα線を用い、出力40kV、30mA、Continuousモード、読み込み幅0.05゜、Divergence Slit1゜、Scattering Slit1゜、Receiving Slit0.2mm、スキャン速度3.0゜/minで測定される。
また、前記(1)式のリチウム遷移金属酸化物の組成(モル比:α、x、y、z)は、サンプルを酸溶解後にICP発光分析法により求められる。
また、本発明におけるリチウム遷移金属酸化物は、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成して成り、その二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であることが好ましい。通常、電気化学素子はその充放電に伴い、電極中の活物質が膨張収縮をするため、そのストレスにより活物質の破壊や導電パスが切れるため劣化がおきやすい。そのため一次粒子のみの単一粒子活物質であるよりも、一次粒子が凝集して、二次粒子を形成したものである方が膨張収縮のストレスを緩和して、劣化を防ぐため好ましいと考えられる。また、板状等軸配向性の粒子であるよりも球状ないし楕円球状の粒子の方が、電極の成形時の配向が少ないため、充放電時の電極の膨張収縮も少なく、また電極を作成する際の導電剤との混合においても、均一に混合されやすいため好ましいと考えられる。
球状ないし楕円球状の活物質を作成するには種々の方法が考えられるが、例えば、Ni,Mn,Coなどの原料を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、攪拌をしながらpHを調節して球状の共沈水酸化物を作成回収し、これを乾燥して前駆体とし、これにLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法が挙げられる。また、同じくNi,Mn,Coなどの原料を水等の溶媒中に溶解ないし粉砕分散して、それをスプレードライ等で噴霧乾燥して球状ないし楕円球状の前駆体とし、これにLi源を加えて高温で焼成して活物質を得る方法等がある。
以下に本発明に使用されるリチウム遷移金属複合酸化物の粉体物性について述べる。
(嵩密度)
まず、嵩密度は1.2g/cc以上であることが好ましく、1.6g/cc以上であることがより好ましい。嵩密度が低すぎると電極密度が上がらないため、電池のエネルギ−密度の低下、ひいては出力が低下するおそれがある。
なお、本発明では、嵩密度は、リチウム遷移金属酸化物粉体5〜10gを10mlのガラス製メスシリンダーに入れ、ストローク約20mmで200回タップした時の粉体充填密度(タップ密度)g/ccを求めた。
(メジアン径d50
粒子のメジアン径d50(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子径)は通常3μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは9μm以上、最も好ましくは10μm以上で、通常20μm以下、好ましくは18μm以下、より好ましくは16μm以下、最も好ましくは15μm以下である。上記下限を下回ると、高嵩密度品が得られなくなるおそれがあり、上限を超えると粒子内のリチウムの拡散に時間がかかるため、電池性能の低下をきたしたり、電池の正極作成すなわち活物質と導電剤やバインダー等を溶媒でスラリー化し、薄膜状に塗布する際に、スジを引くなどの問題を生ずるおそれがあるため好ましくない。
なお、メジアン径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって、屈折率1.24を設定して測定されたものである。本発明では、粒度分布計としてHORIBA社製LA−920を用い、測定の際に用いる分散媒としては、0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用い、5分間の超音波分散後に測定を行った
(平均一次粒子径)
一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には、リチウム遷移金属酸化物の平均一次粒子径としては、通常0.1μm以上、好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.3μm以上、最も好ましくは0.4μm以上で、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下、最も好ましくは0.6μm以下である。上記上限を超えると球状の二次粒子を形成し難く、粉体充填性に悪影響を及ぼしたり、比表面積が大きく低下するために、出力特性等の電池性能が低下する可能性が高くなるため好ましくない。逆に、上記下限を下回ると、通常、結晶が未発達であるために充放電の可逆性が劣る等の問題を生ずるおそれがあるため好ましくない。
なお、本発明では、平均一次粒子径は、30,000倍で観察したSEM画像より求めた。
(BET比表面積)
リチウム遷移金属複合酸化物のBET比表面積は、0.2m/g以上、好ましくは0.3m/g以上、更に好ましくは0.4m/g以上で、4.0m/g以下、好ましくは2.5m/g以下、更に好ましくは1.5m/g以下である。BET比表面積がこの範囲よりも小さいと電池性能が低下しやすく、大きいと嵩密度が上がりにくくなったり、正極活物質形成時の塗布性に問題が発生しやすい。
なお、比表面積は、公知のBET式粉体比表面積測定装置によって測定できる。本発明では、カンタクローム社製オートソーブ1を用い、吸着ガスに窒素、キャリアガスにヘリウムを使用し、連続流動法によるBET1点式法測定を行った。具体的には粉体試料を混合ガスにより150℃の温度で加熱脱気し、次いで液体窒素温度まで冷却して混合ガスを吸着させた後、これを水により室温まで加温して吸着された窒素ガスを脱着させ、その量を熱伝導度検出器によって検出し、これから試料の比表面積を算出した。
なお、本発明において、正極活物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層中の正極活物質の割合は、通常75重量%以上、好ましくは80重量%以上で、通常98重量%以下、好ましくは95重量%以下である。正極活物質の割合が低過ぎると電池の容量や出力が低下し、一方高過ぎると相対的に結着剤の量が低下し、電極の機械的強度が低下する。
〈結着剤〉
正極活物質層の製造に用いる結着剤としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解または分散される材料であれば良いが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレンスチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは3重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまうおそれがある。一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながるおそれがある。
〈導電剤〉
導電剤には前述したカーボンブラックを用いるが、それと併用して、銅、ニッケル等の金属材料や、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料の1種又は2種以上を混合して用いても良い。
正極活物質層中の導電剤の割合は、前述の如く、活物質重量に対して0.5重量%以上、特に1重量%以上で、15重量%以下、特に12重量%以下が好ましい。導電剤の割合が少なすぎると性能向上効果が現れないおそれがあり、多すぎると相対的に活物質の割合が減るため電極の容量や出力が低下するおそれがある。
なお、本発明に係るカーボンブラックによる効果を十分に得るために、導電剤として、前述したカーボンブラック以外の導電剤を含む場合、その割合は全導電剤量の90重量%以下であることが好ましい。
〈液体媒体〉
スラリーを形成するための液体媒体としては、正極活物質であるリチウムニッケル系複合酸化物粉体、導電剤、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いても良い。水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられ、有機系溶媒の例としてはN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。特に、水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化することが好ましい。
なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
〈集電体〉
正極集電体の材質としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料が好ましく、アルミニウムが特に好ましい。また、形状としては、金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されているため好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。
正極集電体として薄膜を使用する場合、その厚さは任意であるが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、また通常100mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは50μm以下の範囲が好適である。上記範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足するおそれがある一方で、上記範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれるおそれがある。
[リチウム二次電池用負極]
次に、本発明の電気化学素子用電極のうち、リチウム二次電池用負極について説明する。
本発明におけるリチウム二次電池用負極は、通常、上述のリチウム二次電池用正極と同様に、負極集電体上に負極活物質層を形成して構成される。
負極活物質層は、通常は正極活物質層の場合と同様に、負極活物質と導電剤、さらには結着剤と、必要に応じて増粘剤とを液体媒体でスラリー化したものを負極集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。スラリーを形成する液体媒体や結着剤、増粘剤、その他の導電剤等としては、正極活物質層について上述したものと同様のものを同様の割合で使用することができる。
〈活物質〉
負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に他に制限はないが、通常は安全性の高さの面から、リチウムを吸蔵、放出できる炭素材料が用いられる。
炭素材料としては、その種類に特に制限はないが、人造黒鉛、天然黒鉛等の黒鉛(グラファイト)や、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物が挙げられる。有機物の熱分解物としては、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチの炭化物、石油系ピッチの炭化物、或いはこれらピッチを酸化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭化物等及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。中でも黒鉛が好ましく、特に好適には、種々の原料から得た易黒鉛性ピッチに高温熱処理を施すことによって製造された、人造黒鉛、精製天然黒鉛、又はこれらの黒鉛にピッチを含む黒鉛材料等であって、種々の表面処理を施したものが主として使用される。これらの炭素材料は、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
負極活物質として黒鉛材料を用いる場合、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、通常0.335nm以上、また、通常0.340nm以下、特に0.337nm以下であるものが好ましい。
また、黒鉛材料の灰分が、黒鉛材料の重量に対して通常1重量%以下、中でも0.5重量%以下、特に0.1重量%以下であることが好ましい。
更に、学振法によるX線回折で求めた黒鉛材料の結晶子サイズ(Lc)が、通常30nm以上、中でも50nm以上、特に100nm以上であることが好ましい。
また、レーザー回折・散乱法により求めた黒鉛材料のメジアン径が、通常1μm以上、中でも3μm以上、更には5μm以上、特に7μm以上、また、通常100μm以下、中でも50μm以下、更には40μm以下、特に30μm以下であることが好ましい。
また、黒鉛材料のBET法比表面積は、通常0.5m/g以上、好ましくは0.7m/g以上、より好ましくは1.0m/g以上、更に好ましくは1.5m/g以上、また、通常25.0m/g以下、好ましくは20.0m/g以下、より好ましくは15.0m/g以下、更に好ましくは10.0m/g以下である。
更に、黒鉛材料についてアルゴンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析を行った場合に、1580〜1620cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iと、1350〜1370cm−1の範囲で検出されるピークPの強度Iとの強度比I/Iが、0以上0.5以下であるものが好ましい。また、ピークPの半価幅は26cm−1以下が好ましく、25cm−1以下がより好ましい。
なお、上述の各種の炭素材料の他に、リチウムの吸蔵及び放出が可能なその他の材料を負極活物質として用いることもできる。炭素材料以外の負極活物質の具体例としては、リチウムと合金を作る錫やケイ素等の元素およびその化合物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金などが挙げられる。これらの炭素材料以外の材料は、それぞれ1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述の炭素材料と組み合わせて用いても良い。
〈集電体〉
負極集電体の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料や、カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素材料が用いられる。中でも金属材料の場合、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜等が、炭素材料の場合、炭素板、炭素薄膜、炭素円柱等が挙げられる。中でも、金属薄膜が、現在工業化製品に使用されていることから好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成しても良い。
負極集電体として金属薄膜を使用する場合、その好適な厚さの範囲は、正極集電体について上述した範囲と同様である。
[リチウム二次電池]
次に、本発明のリチウム二次電池について説明する。
リチウム二次電池は、正極、負極、リチウム塩を電解塩とする非水電解質とを備え、正極および負極のいずれか一方または双方が、上述した本発明の電気化学素子用電極であることを特徴とする。
本発明のリチウム二次電池はさらに正極と負極との間に、非水電解質を保持するセパレータを備えていても良い。正極と負極との接触による短絡を効果的に防止するには、このようにセパレータを介在させるのが望ましい。
本発明のリチウム二次電池は通常、上述した本発明のリチウム二次電池用正極および/または負極と、電解質と、必要に応じて用いられるセパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。更に、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。
〈電解質〉
電解質としては、例えば公知の有機電解液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いることができるが、中でも有機電解液が好ましい。有機電解液は、有機溶媒に溶質(電解質)を溶解させて構成される。
ここで、有機溶媒の種類は特に限定されないが、例えばカーボネート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、ラクトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、アミン類、エステル類、アミド類、リン酸エステル化合物等を使用することができる。代表的なものを列挙すると、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジクロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が挙げられ、これらの単独若しくは2種類以上の混合溶媒が使用できる。
上述の有機溶媒には、電解塩を解離させるために、高誘電率溶媒を含めることが好ましい。ここで、高誘電率溶媒とは、25℃における比誘電率が20以上の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及び、それらの水素原子をハロゲン等の他の元素又はアルキル基等で置換した化合物が、電解液中に含まれることが好ましい。高誘電率溶媒の電解液に占める割合は、好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。高誘電率溶媒の含有量が上記範囲よりも少ないと、所望の電池特性が得られない場合がある。
電解塩の種類も特に限定されず、従来公知の任意の溶質を使用することができる。具体例としては、LiClO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiB(C、LiCl、LiBr、CHSOLi、CFSOLi、LiN(SOCF、LiN(SO、LiC(SOCF、LiN(SOCF等が挙げられる。これらの電解塩は任意の1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
電解塩のリチウム塩は電解液中に、通常0.5mol/L以上、1.5mol/L以下となるように含有させる。この濃度が0.5mol/L未満でも1.5mol/Lを超えても電気伝導度が低下し、電池特性に悪影響を与えることがある。特に、下限としては0.75mol/L以上、上限として1.25mol/L以下が好ましい。
また、電解液には、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、CO、NO、CO、SO等のガスやポリサルファイドS 2−など負極表面にリチウムイオンの効率良い充放電を可能にする良好な被膜を形成するための添加剤を、少量添加しても良い。
高分子固体電解質を使用する場合にも、その種類は特に限定されず、固体電解質として公知の任意の結晶質・非晶質の無機物を用いることができる。結晶質の無機固体電解質としては、例えば、LiI、LiN、Li1+xTi2−x(PO(J=Al、Sc、Y、La)、Li0.5−3xRE0.5+xTiO(RE=La、Pr、Nd、Sm)等が挙げられる。また、非晶質の無機固体電解質としては、例えば、4.9LiI−34.1LiO−61B、33.3LiO−66.7SiO等の酸化物ガラス等が挙げられる。これらは任意の1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いても良い。
〈セパレータ〉
電解質として前述の有機電解液を用いる場合には、電極同士の短絡を防止するために、正極と負極との間にセパレータが介装される。セパレータの材質や形状は特に制限されないが、使用する有機電解液に対して安定で、保液性に優れ、且つ、電極同士の短絡を確実に防止できるものが好ましい。好ましい例としては、各種の高分子材料からなる微多孔性のフィルム、シート、不織布等が挙げられる。高分子材料の具体例としては、ナイロン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン高分子が用いられる。特に、セパレータの重要な因子である化学的及び電気化学的な安定性の観点からは、ポリオレフィン系高分子が好ましく、電池におけるセパレータの使用目的の一つである自己閉塞温度の点からは、ポリエチレンが特に望ましい。
ポリエチレンからなるセパレータを用いる場合、高温形状維持性の点から、超高分子ポリエチレンを用いることが好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、更に好ましくは100万、最も好ましくは150万である。他方、分子量の上限は、好ましくは500万、更に好ましくは400万、最も好ましくは300万である。分子量が大きすぎると流動性が低くなりすぎてしまい、加熱された時にセパレータの孔が閉塞しない場合があるからである。
〈形状〉
本発明のリチウム二次電池の形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。一般的に採用されている形状の例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプなどが挙げられる。また、電池を組み立てる方法も特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
〈用途〉
本発明のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ、電気自動車、電動スクーター、電動自転車用等を挙げることができる。
以上、本発明のリチウム二次電池の一般的な実施形態について説明したが、本発明のリチウム二次電池は上記実施形態に制限されるものではなく、その要旨を超えない限りにおいて、各種の変形を加えて実施することが可能である。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に制限されるものではない。
[導電剤]
以下の実施例および比較例で用いた導電剤の種類と物性は下記の通りである。
Figure 0004826877
導電剤CB−A〜CB−Dは先願に記載の方法に従って合成したオイルファーネスカーボンブラックであり、それぞれ
CB−A;先願記載の実施例3と同等
CB−B;先願記載の実施例4と同等
CB−C;先願記載の比較例4と同等
CB−D;先願記載の比較例1と同等
である。
比較例に用いた導電剤HS100は市販品(電気化学工業社製アセチレンブラック)で、従来のリチウム電池用正極の導電剤としてよく用いられるものである。
なお、導電剤の物性は、前記記載の方法に従って、(1500℃×30分)脱水素量、24M4DBP吸収量、窒素吸着比表面積(NSA)、結晶子サイズLc、DBP吸収量を求めた。
[活物質(リチウム遷移金属酸化物)]
以下の実施例および比較例で用いた活物質(リチウム遷移金属酸化物)の種類と物性は下記の通りである。
Figure 0004826877
活物質NMCは、以下に示す方法で合成したリチウム遷移金属複合酸化物であり、組成式Li1.03Ni0.33Mn0.33Co0.34で表される。
活物質C8Gは市販品(日本化学工業社製コバルト酸リチウム)で組成式Li1.03CoOで表されるリチウムコバルト酸化物である。
活物質の物性としては、前記記載の方法に従って、X線回折測定、組成(α、x、y、z)分析を行い、嵩密度(タップ密度)、平均一次粒子径(SEM)、メジアン径d50、BET比表面積測定を行った。
(活物質NMCの合成)
Ni(OH)、Mn及びCo(OH)を、Ni:Mn:Co=1:1:1のモル比となるように秤量して混合した後、これに純水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌型湿式粉砕機を用いて、スラリー中の固形分をメジアン径0.15μmに粉砕した。
次にスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥して、得られた粒子状粉末に、粉砕したLiOH粉末を添加しよく混合した。この焼成前混合物をアルミナ製るつぼに仕込み、電気炉で空気流通下、990℃で10時間保持焼成(昇降温速度5℃/min)した後、解砕して、組成がLi1.03Ni0.33Mn0.33Co0.34の層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
この活物質は、大部分が一次粒子が凝集し二次粒子を形成した球状ないし楕円球状の粒子で、SEM観察により平均一次粒径は0.5μmで、メジアン径d50は10μm、嵩密度は2.1g/cc、BET比表面積は0.7m/gであった。
[試験用セルの作成]
試験用セルは以下のように作成した。
〈導電剤と活物質の種類と組み合わせ〉
実施例及び比較例における正極の導電剤と活物質の種類と組み合わせは以下のとおりである。
実施例1 導電剤:CB−A /活物質:NMC
実施例2 導電剤:CB−B /活物質:NMC
比較例1 導電剤:CB−C /活物質:NMC
比較例2 導電剤:CB−D /活物質:NMC
比較例3 導電剤:HS100/活物質:NMC
実施例3 導電剤:CB−B /活物質:C8G
比較例4 導電剤:HS100/活物質:C8G
〈正極の作成〉
まず、正極活物質としての表1に示すリチウム遷移金属複合酸化物、表1に示す導電剤、結着剤(PVdF/NMP溶液;呉羽化学工業社製KFポリマー#1320)を、重量割合で、活物質:導電剤:PVdF(固形分として)=94:3:3となるよう秤量混合し、さらに溶媒NMPを固形分約60重量%になるように加え、ホモジナイザーで10分間分散し、均一なスラリーとした。次にこのスラリーをブレードコーターで集電体としてのアルミ箔(厚さ20μm)上に塗布し、120℃の通風乾燥機で1時間乾燥した。なお、塗布時にブレードコーターのギャップを調整することにより、単位面積あたりの活物質量を目的の目付け量に調整した。
この正極を電池評価用試験極にする際、9mmφまたは12mmφの打ち抜きポンチで円形に打ち抜いた後、ハンドプレスで目的の電極密度になるよう調整した。
本実施例、比較例で活物質目付けは約25〜28mg/12mmφ、電極密度は合剤全重量に対し約3.1g/ccとした。
なお、サイクル試験で負極と組み合わせる場合の目付けは、厳密には後述する負極と正極の重量バランスの計算によって決定した。
〈負極の作成〉
まず、負極活物質としての平均粒径9μmの黒鉛粉末(d002=3.35Å)と結着剤(PVdF/NMP溶液;呉羽化学工業社製KFポリマー#1320)を、重量割合で、活物質:PVdF(固形分として)=92.5:7.5となるよう秤量混合し、さらに溶媒NMPを固形分約50重量%になるように加え、ホモジナイザーで10分間分散し、均一なスラリーとした。次に、このスラリーをブレードコーターで集電体としての銅箔(厚さ20μm)上に塗布し、120℃の通風乾燥機で1時間乾燥した。この時ブレードコーターのギャップを調整することにより、単位面積当たりの活物質量を目的の目付け量に調整した。
この負極は電池評価用試験極にする際、12mmφの打ち抜きポンチで円形に打ち抜いた後、ハンドプレスで目的の電極密度になるよう調整した。
本実施例、比較例では活物質目付けは約12mg/12mmφ、電極密度は合剤全重量に対し約1.6g/ccとした。
〈コインセルの作成〉
試験用の電池セルはすべて2032型のコインセルを用いた。
上記正極、負極或いは打ち抜きポンチで打ち抜いたLi金属箔との間にセパレータを入れ、電解液を適量加えて、コインセル用カシメ機を用いてカシメることで作成した。
電解液としてはEC(エチレンカーボネート):DMC(ジメチルカーボネート):EMC(エチルメチルカーボネート)=3:3:4(体積比)の溶媒にLiPFを1mol/Lで溶解した電解液を用い、セパレータには厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルムを円形に切り使用した。
なお、電池作成用の部材は真空乾燥し、電池の作成は全て、Arボックス中で行い、水分の影響を受けないようにした。
[正極および負極の容量の決定]
正極および負極の容量は次のようにして決定した。
〈負極の初期充電容量Qf〉
まず、上記負極の初期充電容量Qf(c)(mAh/g)を決定するため、負極を試験極、対極をLi金属箔で上記要領でコインセルを組み、活物質重量あたりの電流密度0.2mA/cmで負極にリチウムイオンを吸蔵させる方向、すなわち
C(黒鉛)+xLi → C・Lix
で表される反応が起きるように定電流を流し、さらにリチウム金属が析出しないように3mVに到達した時点で定電圧に切り替え、電流が約0.05mAになった時点で停止し、トータルで流れた電気量から初期充電容量Qf(c)を求めた。
本実施例に用いた、負極は初期充電容量Qf(c)が390mAh/gであった。
〈正極の初期充電容量Qs(c)と初期放電容量Qs(d)〉
上記正極の初期充電容量Qs(c)(mAh/g)と初期放電容量Qs(d)(mAh/g)を求めるため、上記正極を試験極、対極をLi金属箔で上記要領でコインセルを組み、活物質重量当たりの電流密度が0.2mA/cmで、正極からリチウムイオンが放出される方向、すなわち
LiMeO →Li1-mMeO+mLi(Meは遷移金属の意味)
で表される充電反応が起きるように定電流を流し、4.2Vに到達した時点で停止し、充電時に流れた電気量から初期充電容量Qs(c)を求めた。
さらに続けて、0.2mA/cmの電流密度で正極にリチウムイオンが吸蔵される方向、すなわち
Li1-aMeO+bLi→Li1-a+bMeO
で表される放電反応が起きるように定電流を流し、3.0Vに到達した時点で停止し、放電時に流れた電気量から初期放電容量Qs(d)を求めた。
本実施例に用いた、正極は、NMCが初期充電容量Qs(c)=169mAh/g、初期放電容量Qs(d)=149mAh/g、C8Gが初期充電容量Qs(c)=152mAh/g、初期放電容量Qs(d)=149mAh/gであった。
[電池評価(特性判定試験)]
試験用電池セルの評価特性判定試験は次の方法で行った。
〈出力特性評価〉
試験極に上記正極(9mmφ)を、対極にLi金属箔(12mmφ)を使用し、上記要領でコインセルを作成し、25℃で評価を行った。
放電時の出力特性の評価として、0.2mA/cmおよび11mA/cmで定電流放電を行った。ただし、充電は4.2Vまで0.5mA/cmの定電流で統一し、放電は3.0Vでカットした。
出力の優劣は0.2mA/cm時の放電容量に対する11mA/cm時の放電容量の割合(%)をとり、その値が大きいほど出力特性が高いと判断した。
〈サイクル特性評価(寿命試験)〉
上記正極(12mmφ)と負極(12mmφ)の組み合わせで、上記要領でコインセルを作成した。
なおこの時、正極活物質の重量と負極活物質重量のバランスは、以下の式を満たすように設定した。
負極活物質重量/正極活物質重量=1.1[Qs(c)/Qf(c)]
まず、25℃で、初期コンデショニングとしてこのコインセル電池を上限4.2V、下限3.0Vで0.2Cの定電流で2回充放電した。1Cの定義は1C=[Qs(d)×正極活物質重量](mA)とした。ただし、2サイクル目の放電容量(mAh)を再度1C(mA)として定義し直し、サイクル試験時の電流値の設定に用いた。
サイクル特性評価は上限4.2V、下限3.0Vの1Cの定電流充放電サイクルを行った。ただし、充電時は4.2Vで定電圧を1時間入れ、充電終了と放電終了の間には10分間の休止を入れた。
寿命の優劣は初期サイクルの放電容量に対する200サイクル目の放電容量の割合(%)をとり、その値が大きいほど寿命が良いと判断した。
電池評価結果を表4にまとめて示す。
Figure 0004826877
表4より、同じ活物質を使用した実施例と比較例を比較すると、実施例は明らかに比較例よりも出力特性とサイクル特性の両方に勝ることが判る。
すなわち本発明における、脱水素量が1.2mg/g以下、かつ24M4DBP吸収量が130cm/100g以上のカーボンブラックを導電剤として用いた電極は、従来の電極よりも出力特性とサイクル特性の両方が同時に向上することが判る。
上述の実施例では、正極のみに本発明の電極を適用しているが、負極に対して本発明の電極を用いた場合も同様の効果が得られる。

Claims (8)

  1. 活物質と導電剤とを含む電気化学素子用電極であって、
    活物質重量に対する導電剤の重量割合が0.5重量%以上、15重量%以下であり、
    該導電剤が、
    以下の測定法で求められる(1500℃×30分)脱水素量が1.2mg/g以下、かつ
    JIS K6217に準拠した24M4DBP吸収量が130cm/100g以上
    のオイルファーネスカーボンブラックを含むことを特徴とする電気化学素子用電極。
    (測定法)
    カーボンブラックを0.5g精秤し、アルミナ管に入れ、0.01Torr(1.3Pa)まで減圧した後、減圧系を閉じ、1500℃の電気炉内に30分間保持してカーボンブラックに存在する酸素化合物や水素化合物を分解・揮発させる。揮発成分は定量吸引ポンプを通じて、一定容量のガス捕集管に採取する。圧力と温度からガス量を求めると共に、ガスクロマトグラフにて組成分析し、水素(H )の発生量(mg)を求め、カーボンブラック1g当たりからの水素量に換算した値を計算する(単位はmg/g)。
  2. オイルファーネスカーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)が80m/g以上、300m/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学素子用電極。
  3. オイルファーネスカーボンブラックの結晶子サイズLcが10Å以上、40Å以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電気化学素子用電極。
  4. 活物質が、リチウムを吸蔵・放出可能な化合物を少なくとも含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電気化学素子用電極。
  5. リチウムを吸蔵・放出可能な化合物が、リチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする請求項4に記載の電気化学素子用電極。
  6. リチウム遷移金属複合酸化物が、主として層状構造で同定される結晶構造を有し、下記(1)式で表される組成であることを特徴とする請求項5に記載の電気化学素子用電極。
    Li1+αNiMnCo1−x−y−z …(1)
    (ただし、−0.1≦α≦0.2、0<x≦0.5、0<y<1.0、0≦z≦0.5、0.8≦x+y+z≦1.0であり、MはAl,Fe,Ti,Mg,Cr,Ga,Cu,Zn,Nb,及びZrの何れか1種以上)
  7. リチウム遷移金属複合酸化物が、一次粒子が凝集して二次粒子を形成して成り、該二次粒子の形状が球状ないし楕円球状であることを特徴とする請求項5または6に記載の電気化学素子用電極。
  8. 正極と、負極と、リチウム塩を含有する非水電解質とを含むリチウム二次電池であって、
    正極および負極の少なくとも一方が、請求項4ないし7のいずれか1項に記載の電気化学素子用電極であることを特徴とするリチウム二次電池。
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