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JP4832129B2 - 歯科用組成物 - Google Patents
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JP4832129B2 - 歯科用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、変色などの不具合の生じた歯の被覆、とくに知覚過敏の症状を有する歯牙などの被覆に有用な歯科用組成物に関する。
歯牙の着色改善は、大きく分類して、漂白によるか、あるいは歯牙色の遮蔽効果を持つ粒子を含んだ硬化性組成物の接着により、行われることが多い。
このうち、漂白はその多くが過酸化水素水を用いることにより行われている。過酸化水素による漂白は、表面に沈着した汚染物を分解するとともに、エナメル質表面を脱灰することにより、歯牙表面の光散乱性を上昇させることによって、見かけ上の歯牙色を白くみせる方法である。この場合、象牙質を被覆するエナメル質が脱灰され、象牙質が露出することにより、特にエナメル質厚の小さい歯頸部において知覚過敏が発生しやすいことが問題点としてあげられる。
また、歯牙色を遮蔽する効果を持つ粒子を含んだ硬化性組成物を塗布する際の治療方法としては、印象採取し、エナメル質を切削し、印象から得た硬化体の切削表面をエッチングし、その後に、歯科用セメント等を用いて切削表面に接着する方法がとられている。しかしながらこの場合、最初の切削時に、エナメル質に限局した切削が比較的困難であり、局所的に象牙質が露出する可能性があり、硬化体の接着までには硬化体作製の時間を要することから、この期間、重篤な知覚過敏の症状が発生しやすいことが問題点としてあげられる。
さらに、エナメル質の人為的な脱灰により、象牙質が露出した状況においては、象牙質の石灰化度がエナメル質のそれと比較して、格段に低いため、う蝕罹患の危険度(カリエスリスク)が上昇してしまうことが、問題となる。
象牙質知覚過敏においては、特許文献1に(メタ)アクリル酸エステルから誘導される繰返し単位、および官能基−SOR(Rは水素、アルカリ金属またはアンモニウムイオン)を有するビニル化合物から誘導される繰返し単位からなる乳化重合体のエマルジョンから誘導された接着性フィルムによる歯牙の被覆が提案されている。また、さらに、象牙細管を封鎖する技術としては、特許文献2において、カルシウム化合物と反応し、象牙細管径よりも大きな凝集体を形成する水性エマルジョンよりなる抗象牙質知覚過敏症組成物が提案されている。しかしながら、両者とも露出した象牙細管の封鎖に関してのみの記述であり、う蝕病原菌に対する抗菌性も述べられてはいない。さらにこれら組成物を用いると、着色改善のための治療ステップには、知覚過敏を抑制する作業が発生してしまうために、煩雑となる。
特開平6−57080号公報 特開平8−225424号公報
本発明の目的は、歯牙色の改善時に必要となる知覚過敏の抑制を効果的に行うために、象牙質の露出した歯質において、象牙細管の開口による知覚過敏を抑制するとともに、露出象牙質近傍の抗菌性を上昇させることができる歯科用組成物を提供することにある。
発明者らが鋭意検討した結果、本発明の上記目的は、
下記(A)、(B)、(C)および(D)成分からなりそして歯牙色遮蔽および/または知覚過敏抑制に用いられることを特徴とする歯科用組成物。
(A)分子内に酸性基を少なくとも1つ有する重合性単量体(Ma)の少なくとも1種に由来する単量体単位を有する重合体、
(B)アナターゼ型二酸化チタン粒子、
(C)溶媒および/または分散媒および
(D)水溶性酸性化合物。
によって、達成しうることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
歯牙色遮蔽作用と知覚過敏抑制作用とを有する本発明の歯科用組成物を用いることにより、漂白前の知覚過敏を抑制できるだけでなく、その後に行う漂白操作の代替となるか、あるいは漂白効果を向上できる可能性も見い出された。さらに、本発明の歯科用組成物を歯牙表面に塗布することにより、露出象牙質近傍の抗菌性を上昇させうることも見い出した。
以下、本発明を詳述する。以下、特別の断りのない限り「部」あるいは「%」は重量基準を示す。又、各パラメータ数値範囲において、「XX〜YY」(XX、YYは数値)というような標記は、原則として「XX以上および/またはYY以下」を意味するものとする。
本発明における(A)成分は分子内に酸性基を少なくとも1つ有する重合性単量体(Ma)の少なくとも1種に由来する単量体単位を有する重合体である。(A)成分は(Ma)に由来する単量体単位として含んでいれば、特に限定されるものではなく、1種の重合体であっても、2種類以上の重合体の混合物でもかまわない。(A)成分は(Ma)のみに由来する単量体単位のみを単量体単位として含んでいても、後述するような他の単量体(Mb)に由来する単量体単位をさらに含む共重合体であってもかまわない。
(Ma)は分子内に酸性基を少なくとも1つ有する重合性単量体である。重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、例えばビニル基、シアン化ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基などを挙げることができる。また、酸性基としては、例えばカルボキシル基、およびその酸無水基、リン酸基、チオリン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基などを例示することができる。あるいはカルボキシル基の酸無水基のように、実用条件において容易に分解して前記酸性基になるなど、実質上酸性基として機能するものも、酸性基と見なされる。
具体的な(Ma)として、分子中にカルボキシル基を有する重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸(以下、アクリル酸とメタアクリル酸の総称として、「(メタ)アクリル酸」と記載する。)、マレイン酸等のα−不飽和カルボン酸;
4−ビニル安息香酸等のビニル芳香環化合物;
11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(以下、アクリロイルとメタアクリロイルの総称として「(メタ)アクリロイル」と記載する。)等の(メタ)アクリロイルオキシ基とカルボン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在するカルボン酸化合物;
6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルナフタレン(ポリ)カルボン酸;
4−(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸(4−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸)等といった(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸;
4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸等のさらに水酸基を含有する化合物;
2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレ−ト(以下、アクリレートとメタアクリレートの総称として「(メタ)アクリレート」のように記載する。)等のカルボキシベンゾイルオキシを有する化合物;
N,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、O−(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、N,O−ビス((メタ)アクリロイルオキシ)フェニルアラニン等のN−および/またはO−モノまたはN,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシアミノ酸;
N−(メタ)アクリロイル−4−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノ安息香酸、2−または3−または4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−または5−(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸等のN−および/またはO−モノまたはジ(メタ)アクリロイル(アミノまたはオキシ)安息香酸系化合物;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トと無水マレイン酸または3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと不飽和ポリカルボン酸無水物の付加反応物;
2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン等)などのポリカルボキシベンゾイルオキシと(メタ)アクリロイルオキシを有する化合物;
N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレ−トとの付加物;
4−[N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3または4−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などのN−アルキル−N−(ヒドロキシ(メタ)アクリロイルオキシアルキル)アミノフタル酸化合物
などを挙げることができる。これらのうち、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸および4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸が好ましく用いられる。
少なくとも1個の水酸基がリン原子に結合している基および水中で容易に該基に変換し得る官能基として、例えばリン酸エステル基で水酸基を1個または2個を有する基を好ましく例示することができる。このような基を有する重合性単量体としては、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2−および/または3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシドホスフェート;
ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]アシドホスフェート、ビス[2−または3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アシドホスフェート等の2つ以上の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を有するアシドホスフェート;
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−p−メトキシフェニルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基とフェニレン基などの芳香環やさらには酸素原子などのヘテロ原子を介して有するアシドホスフェート
などを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基を、チオリン酸基に置き換えた化合物も例示することができる。これらのうち、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェートを好ましく使用することができる。
スルホン酸基あるいはスルホン酸基に容易に水中で変換し得る官能基を有する重合性単量体として、例えば2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−または1−スルホ−1−または2−プロピル(メタ)アクリレート、1−または3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート;
3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート等の前記のアルキル部にハロゲンや酸素などのヘテロ原子を含む原子団を有する化合物;
1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸等の前記アクリレートに換えてアクリルアミドである化合物など;
さらには4−スチレンスルホン酸、4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンゼンスルホン酸などのビニルアリールスルホン酸
などを挙げることができる。これらのうち、4−スチレンスルホン酸を好ましく使用することができる。これら化合物は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
また、重合体(A)を構成しえる(Ma)以外の他の単量体単位である酸性基を含まない単量体(Mb)としては、(Ma)と共重合しうるラジカル重合性基を有する単量体を好ましく使用することができる。具体的な化合物名としては、
例えばブタジエン,イソプレンなどの共役ジエン単量体;
スチレン,α−メチルスチレン,クロルスチレンなどの芳香族ビニル単量体;
塩化ビニル,臭化ビニル,塩化ビニリデン,臭化ビニリデンなどのハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン;
酢酸ビニル,プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、
2−ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのハイドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート;
アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート;
シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート;
(テトラハイドロフラン−2−イル)(メタ)アクリレートなどのヘテロ原子を含む環状アルキル(メタ)アクリレート;
パーフルオロオクチル(メタ)アクリレートおよびヘキサフルオロ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル;
3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレートなどの (メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物
あるいは、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリ(オキシアルキレン)ジ(メタ)アクリレート;
グリセロールジ(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンなどのブタントリオールのジ(メタ)アクリレート;
メソ−エリスリトールなどのブタンテトラオールのジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレート、ペンタントリオールのジ(メタ)アクリレート;
テトラメチロールメタンなどのペンタンテトラオールのジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレート;
キシリトール及びその異性体の水酸基を1〜2個有する多官能(メタ)アクリレート;
ヘキサントリオールのジ(メタ)アクリレート;
ヘキサンテトラオールのジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレート;
ヘキサンペンタオールの水酸基を1〜2個有する多官能(メタ)アクリレート;
ヘキサンヘキサオールの水酸基を1〜2個有する多官能(メタ)アクリレート;
あるいは下記式(1)
Figure 0004832129
〔式中、Rは少なくとも1個の芳香族環を有しかつ分子中に酸素原子または硫黄原子を有していてもよい2価の芳香族残基あるいはシクロアルキル残基、好ましくは下記式(2)
Figure 0004832129
から選択されるいずれかを示し、RおよびRは互いに独立して水素原子またはメチル基を示し、nおよびmは正の整数を示す〕で示される多官能(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
これらは単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
(A)成分は構成物全量を基準に、好ましくは0.1〜30%、より好ましくは0.2〜15%、さらに好ましくは0.5〜10%の範囲で用いられる。この範囲を下回ると、知覚過敏の抑制効果が発現され難く、上回ると、保存中の構成成分の凝集等が懸念され、ともに好ましくない。
また、単量体(Ma)に由来する単量体単位の含有量は重合体(A)を構成する単量体単位の全量に対して、好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは0.1〜2モル%、さらに好ましくは0.5〜10モル%の範囲である。この範囲を下回ると、知覚過敏抑制効果が発現され難く、上回ると、配合する(B)成分との凝集が懸念され、ともに好ましくない。
さらに、(A)成分は水性エマルジョンあるいは水溶性の性状を有していることが好ましい。なお、(A)成分の存在形態としては、水性エマルジョンあるいは水溶された状態だけでなく、溶媒が実質上除去された状態であるが溶媒を加えれば容易に水性エマルジョンあるいは水溶状態になりえる乾燥状態(粉末など)のものも包含するものである。ここで言う水性エマルジョンとは、水を含む分散媒中に、微細な粒子状の重合体が分散した状態を言う。また特に、水溶性である場合には、(A)の水に対する溶解度が30%以上であることが好ましい。
(A)成分が水性エマルジョンの性状を有している場合、象牙質細管を封鎖するのに十分な深さにまで水性エマルジョンを侵入させるために、水性エマルジョン中の(A)成分の粒径は象牙質細管の直径よりも小さいことが必要である。象牙細管の直径は、位置や深さ、また個体差があるものの通常1〜3μmの範囲にある。従って、水性エマルジョンである(A)成分の粒子の平均粒径は3μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。
なお、象牙質細管の直径は、通常、抜去した歯牙のエナメル質を削り取って露出した象牙質表面を歯磨剤と歯ブラシを使って1分以上ブラッシングを行った後、水中で超音波洗浄を施し、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察することによって計測できる。
また、水性エマルジョンの性状を持つ(A)成分の粒径には分布があり、すべてのエマルジョン粒子の粒径が象牙細管径よりも小さい必要はない。(A)成分の水性エマルジョン粒子のうち、粒径が3μm未満のものが50%以上占めることが好ましく、90%以上のエマルジョン粒子の粒径が3μm未満であることがより好ましい。上記の条件に加えて、(A)成分の水性エマルジョン粒子のうち、粒径が1μm以下のものが65%以上占めることが特に好ましく、75%以上占めることがとりわけ好ましい。エマルジョン粒子が上記のような粒径分布を有することにより本発明の目的が優れて達成される。
さらに好ましい(A)成分として、例えば重合体のエマルジョン粒子を高速ミキサーやホモジナイザーなどの分散・粉砕器で、好ましくは直径3μm以下、より好ましくは直径1μm以下、最も好ましくは直径0.5μm以下のエマルジョン粒子となし、このエマルジョン粒子が(A)成分の中に0.5%以上存在するように調製して分散安定性を向上させたものを使用することができる。また、粒径が1.0μm以下の(A)のエマルジョン粒子が、エマルジョン粒子全体の50%以上、特には75%以上占めることが好ましく、そしてエマルジョン粒子の全体を占めることが最も好ましい。
(A)成分に含まれる象牙質細管径よりも小さい粒子径を有する(A)成分の水性エマルジョン粒子は、カルシウム化合物、例えば塩化カルシウムを(A)成分中に添加したときに、該カルシウム化合物と反応して象牙質細管径よりも大きな径を有する凝集体を形成し得る。
通常、該凝集体の径は3μmを超え、好ましくは10μm以上、より好ましくは50〜数千μmに達する。
上記カルシウム化合物の添加量は、エマルジョン中の不揮発性成分100重量部に対して、好ましくは10〜100重量部の範囲である。
このような性質を有する成分(A)を本発明の組成物に用いることにより、象牙質細管に侵入した小さい径の(A)成分のエマルジョン粒子は、主に象牙質細管を形成する管周象牙質中に存在するハイドロキシアパタイトから溶出したカルシウムイオンや象牙質中に含まれる髄液中のカルシウムイオンと反応して、大きな凝集体を多数形成する。
この形成された多数の大凝集体は、象牙質細管内の長さ方向に連続的に充填された状態(被膜)となる。このような状態が形成されることにより、該細管は封鎖される。該細管が封鎖された状態は、後述する(D)成分を使用することにより速かに形成される。またこの状態は、凝集体と象牙質の密着性が長く維持されるので、長期間保持される。
なお、上記酸性基あるいは当該官能基に水中で容易に変換し得る官能基は、エマルジョン中乃至は親水性溶媒溶液中に、好ましくは0.00001〜0.01モル/g、より好ましくは0.00002〜0.005モル/gで存在する。
(A)成分に含まれる重合体の数平均分子量Mnは、GPC法で測定した値として、好ましくは3,000以上であり、より好ましくは7,000以上、さらに好ましくは10,000以上である。数平均分子量の上限は通常500万である。(A)成分はエマルジョン粒子としての高分子重合体を、好ましくは0.1〜60重量%、より好ましくは0.5〜40重量%、さらに好ましくは1〜20重量%の範囲で含有することができる。
(A)成分としての好ましい水溶性を有する重合体(Aw)としては、重合体の分子中に、Maに由来する単量体単位として、(メタ)アクリルアマイドアルカンスルホン酸(HC=C(R)−CO−NH−R−SOH, R:H又はCH, R:2価の炭化水素基)に由来する単量体単位あるいは重合体の分子中に、水酸基を1つ以上有する炭素数4〜8の(ポリ)ハイドロキシアルキル(メタ)アクリルアマイド(HC=C(R)−CO−NH−R(OH),) R:H又はCH, R:炭化水素基、n:1以上の整数)に由来する単量体単位を水酸基モル比(前記単位中の水酸基モル数/重合体中の単量体単位の総モル数)にて、好ましくは0.7〜11.0、より好ましくは0.75〜10.5、更に好ましくは0.8〜10.0[モル/モル]で有するもを挙げることができる。
前記(メタ)アクリルアマイドアルカンスルホン酸単位と(ポリ)ハイドロキシアルキル(メタ)アクリルアマイド単位を有する共重合体(ここでは、以下、AS−HA重合体という)以外の共重合体(ここでは、以下、AS−HA相当重合体という)では、AS−HA相当重合体の重量に対するAS−HA相当重合体に含まれる酸性基(スルホン酸等)や水酸基のモル数の比率であるモル重量比[モル/g]の数値範囲が、AS−HA重合体の場合におけるモル比[モル/モル]の数値範囲に対応するモル重量比(但し、AS−HA重合体は2,3−ジハイドロキシプロピルメタクリルアマイドと2−アクリルアマイド−2−メチルプロパンスルホン酸よりなり、必要に応じてアクリル酸メチルを有する共重合体として比を計算)の範囲にあることが好ましい。
(A)成分として好ましい水性エマルジョン形態を有する重合体(As)は、Maに由来する単量体単位としてスチレンスルホン酸単位を有するものである。更に、重合体の分子中に、炭素数4〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位をモル比(前記単位のモル数/重合体中の重合単位の総モル数)にて、好ましくは70〜99.9、より好ましくは90〜99.9、更に好ましくは98〜99.5[モル/モル]有する共重合体をエマルジョン粒子として含有するエマルジョンである。
(A)成分の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いて製造することができる。
具体的には、(A)成分が水溶性を有する場合には、水あるいは水溶性有機溶媒等の溶媒、重合開始剤、単量体を撹拌しながら加温し、重合の後、再沈殿などにより精製し得る方法を挙げることができる。
(A)成分が水性エマルジョンの場合においては重合開始剤を含んだ分散媒を加温し、高速回転の下、単量体を滴下して重合させ、濃縮あるいは噴霧乾燥等により(A)成分を得る方法、あるいは単量体、重合開始剤、溶媒を撹拌しながら加熱して、(A)成分を得る方法などを挙げることができる。
重合温度は、好ましくは40〜200℃の範囲である。
本発明における(B)成分はアナターゼ型二酸化チタン粒子である。変色した歯の色を遮蔽して目立たないようにする効果と、光触媒効果で細菌を無活性化する効果とを示す。
二酸化チタンの結晶形は、アナターゼ型である。アナターゼ型二酸化チタンは、光触媒性を有するので形状、性状に限定されない。さらに、二酸化チタンに白金を担持させることによって光触媒活性を向上させたもの、あるいは二酸化チタンにプラズマ処理等を行うことによって、可視光領域の光に応答して光触媒作用を示すものも用いることができる。二酸化チタンは、粉末状態のものでも水などの媒体に分散したゾル状態のものであってもよい。二酸化チタンの1次粒子の平均粒径は好ましくは1〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。また、この1次粒子の幾つかは粒子同士で凝集していてもよい。凝集後の粒子径は好ましくは5nm〜50μmの範囲であり、より好ましくは10nm〜30μmの範囲である。もっとも好ましくは、アナターゼ型[要件(d1)]であり、平均粒径が前記条件(1次粒子の平均粒径が1〜500nm等)[要件(d2)]である二酸化チタン粒子である。これは、一つ一つの粒子が(d1)と(d2)を同時に満たすということであり、これと比べて、(d1)かつ非(d2)の粒子と非(d1)かつ(d2)の粒子の混合物では、余り効果が期待できない。
本発明における(B)成分は構成物の全量に対して、好ましくは0.01〜24%、より好ましくは0.1〜12%、さらに好ましくは0.1〜8%の範囲で配合することができる。この範囲を下回る0.01%未満においては所望の歯牙色遮蔽効果が発揮できず、この範囲を上回ると、保管中に(B)成分および(A)成分と反応し、著しい凝集を引き起こし、ともに好ましくない。
本発明における(C)成分は溶媒および/または分散媒である。生体への為害性を考慮して使用すべきであり、エタノール、アセトン、水を好ましく使用することができ、特に水の使用が好ましい。水の種類については特に限定するものではないが、日本薬局方精製水に準じた水の使用が好ましい。
本発明における(D)成分は水溶性酸性化合物である。該水溶性酸性化合物のカルシウム塩は、水不溶性あるいは難溶性塩である。水不溶性または難溶性は、(D)成分を含む溶液とカルシウムイオンを含む溶液を混合した際の沈殿生成の有無で判別される。沈澱生成の有無は、一般的に溶解度積とイオン積の関係で知ることができる。すなわち、(D)成分のカルシウム塩のイオン積が溶解度積と等しい場合、もしくはイオン積が溶解度積よりも大きい場合に水難溶性および水不溶性とすることができる。簡便な沈澱生成の目安として、水溶性有機酸またはその水溶性塩成分の1〜5%の濃度範囲の水溶液と同濃度範囲の塩化カルシウム水溶液を混合した場合に肉眼的に沈澱の生成を確認する方法がある。
本発明において(D)成分は水中において酸性の性状を有していれば、特に限定されるものではないが、(A)よりも有意に低分子量例えば、分子量200以下の水溶性弱酸および/またはその塩が好ましく、該酸のカルシウム塩は水不溶性あるいは難溶性である。ここで塩は金属塩、アンモニウム塩、アミン塩である。水溶性の目安は、25℃における水への溶解度が0.5g/100g以上である。具体的には、シュウ酸、クエン酸、酒石酸,プロピオン酸および/またはその塩を好ましく使用することができる。又、(D)成分としては、エチレン性二重結合を有しないものが好適に用いられる。
本発明において、(D)成分の配合量は組成物の全量に対し、好ましくは0.01〜50%、より好ましくは0.02〜30%、さらに好ましくは0.1〜10%である。上記の濃度範囲から外れた低い濃度では管周象牙質、あるいは歯牙表面からのカルシウム析出量が少なかったり、得られる該酸のカルシウム塩の結晶サイズが小さ過ぎたりするため、期待される効果が十分に発揮されないことがあり、上記の範囲から外れた高い濃度では、飽和濃度に達して溶液から析出したり、保管中の著しい凝集が起こる可能性がある。
本発明の歯科用組成物には、所望により防腐剤および/または抗菌剤を使用することができる。本発明において好適に使用しうる防腐剤および/または抗菌剤(D)成分として,歯科用予防剤として知られている塩酸クロルヘキシジン,塩化セチルピリジニウム,キシリトール,グルコン酸クロルヘキシジン,グリチルリチン酸ジカリウムなどが挙げられるが,さらには,エタノール,プロパノール,イソプロパノ−ルなどの脂肪族アルコール;
クロロブタノールや2−ブロモ−2−ニトロ−プロパノル−1,3−ジオールなどのハロゲン化脂肪族アルコール;
2,4−ジクロロベンジルアルコール,2−フェノキシエタノール,フェノキシイロプロパノール,フェニルエチルアルコール,3−(4−クロロフェノキシ)−1,2−プロパンジオールなどの芳香族アルコール;
5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン,ホルムアルデヒド,パラホルムアルデヒド,グルタルアルデヒドなどのアルデヒドおよびヘキサメチレンテトラミン,モノメチロールジメチルヒダントイン,ジメチロールメチルヒダントインなどの酸性条件下でアルデヒドを生成させうるアルデヒド徐放剤;
クロロアセトアマイドなどのアマイド;
N,N’−メチレン−ビス(N’−(1−(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)ウレア,N−(ヒドロキシメチル)−N−(1,3−ジヒドロキシメチル−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)−N’ −(ヒドロオキシメチル)ウレアなどのウレア;
亜硫酸ナトリウム,亜硫酸カリウム,重亜硫酸ナトリウム,重亜硫酸カリウム,ピロ亜硫酸ナトリウム,ピロ亜硫酸カリウムなどの無機亜硫酸塩,重亜硫酸塩およびピロ亜硫酸塩;ホウ酸などの無機酸;
ギ酸,プロピオン酸,10−ウンデセン酸,ソルビン酸,安息香酸,サリチル酸,2−アセチル−5−ヒドロキシ−3−オキソ−4−ヘキサン酸−β−ラクトンなどの有機酸化合物;
2,6−ジアセチル−7,9−ジヒドロキシ−8,9b−ジメチル−1.3−(2H,9bH)−ジベンゾフランジオンなどの抗生物質;
p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−プロピルならびにイソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチルまたはイソブチルまたはt−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジルなどのp−ヒドロキシ安息香酸エステル化合物;
4−クロル−3−メチルフェノール、4−クロル−3,5−キシレノール、3,4,5,6−テトラブロモ−o−クレゾ−ル、2,4−ジクロロ−3,5−キシレノール、2−ベンジル−4−クロロフェノール、2,2’−メチレンビス(4−クロロフェノール)、3,3’−ジブロモ−5,5’ −ジクロロ−2,2’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、2,2’−メチレンビス(3,4,6−トリクロロフェノール)などのハロゲン化フェノール化合物;
3,4,4’−トリクロロカルバニリド、4,4’−ジクロロ−3−(3−フルオロメチル)カルバニリドなどのカルバニリド化合物;4,4’−ジアミジノ−α,ω−ジフェノキシプロパンイセチオネート、4,4’−(トリメチレンジオキサン)−ビス−(3−プロモベンザミジン)ジイセチオネート、1,6−ジ(4−アミジノフェノキシ)−n−ヘキサンなどのベンザミジン化合物;
ピリジン−1−オキサイド−2−チオール−ナトリウム塩、ジンクビス−(2−ピリジンチオ−ル−1−オキサイド)ビス−(2−ピリジルチオ)ジンク−1,1’−ジオキサイド(ジンクピリジオン)などの環状チオヒドロキサム酸またはその塩;
5−アミノ−1,3−ビス(2−エチルヘキシル)−5−メチルヘキサヒドロピリミジン、トリス−ヒドロキシエチルヘキサヒドロトリアジンなどのN−アセタール化合物;N−(トリクロロメチルチオ)−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシミドなどのフタルイミド誘導体;
6−アセトキシ−2,4−ジメチル−m−ジオキサンなどのo−アセタール化合物;
4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリジンなどのオキサゾリジン化合物;
8−ヒドロキシキノリンなどのキノリン化合物;
ビス(p−クロロフェニルジグアナイド)ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩などの陽イオン性物質;
アルキルトリメチルアンモニウムブロマイド、N−ドデシル−N,N−ジメチルベンジルアンモニウム、N,N−ジメチル−N−(2−(2−(4−(1,1,3,4−テトラメチルブチル)フェノキシ)エトキシ)エチル)ベンゼンメタンアンモニウムクロライドなどの4級塩化合物;
エチルマーキュリーチオサリシレート、酢酸フェニル水銀などの有機水銀化合物;
よう素酸ナトリウムなどのよう素化合物;
グリセリルモノラウレート;
1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2−(1H)−ピリドンエタノールアミン塩などのピリドン誘導体
などを挙げることができる。これらの防腐剤は使用する(A)成分の著しい凝集を引き起こさないものを選択使用することが好ましい。
防腐剤成分(E)は,通常、0.01〜50%,より好ましくは0.02〜30%,さらに好ましくは0.05〜10%の範囲で使用できる。
歯牙色遮蔽効果と知覚過敏抑制作用を有する本発明の組成物には、所望により、水中においてフッ化物イオンを放出する化合物(F)を含有させることができる。かかる化合物としては、可溶性の有効フッ素イオンを組成物中に放出するものであれば、いずれのものも使用しうる。例えば、フルオロリン酸二ナトリウム、フッ化スズ、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ケイ素ナトリウム、フルオロアルミノシリケ−トガラス、フッ化アンモニウム等を使用しうる。中でもフッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズの使用が特に好ましい。その配合量は、本発明の歯牙色遮蔽効果を有する知覚過敏抑制材の使用量と適用頻度、ならびに耐酸性や再石灰化の有効性と人体への影響を考慮して適宜設定される。(F)成分の存在により、歯質自体の耐酸性の向上効果が期待できる。本発明において、(F)成分は、組成物中のフッ素イオン濃度として好ましくは0.0001〜5%、より好ましくは0.001〜2%、特に好ましくは0.01〜1%の範囲である。0.0001%未満では、所望の歯質の耐酸性効果や再石灰化効果が十分に表れず、5%を超えると、生体への為害性が懸念される。
また、本発明の組成物には、所望により、発明の効果を損なわない範囲において、例えば塩化カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどの無機カルシウム塩や有機酸カルシウム塩などを使用することができる。
又、本発明の組成物には、エチレン性二重結合を有する低分子量、例えば400以下、好ましくは200以下の単量体乃至はトリマー以下のオリゴマーが少量含まれていても良い。その配合量は組成物の全量を基準に、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下、特段に好ましくは0.2%以下、もっとも好ましくは0.1%以下である。
本発明の組成物の使用の形態としては、好ましくは、次に挙げる様式が選択される。
(1)(A)成分、(B)成分、(C)成分と(D)成分とを一緒に含む組成物を混合して容器に保存し、筆やスポンジ等を用いて直接患部に塗布し、被膜を形成して使用する方法、
(2)(A)成分、(B)成分と(C)成分とを含む組成物の入った容器Iと(B)成分を含む組成物の入った容器IIによって保存して、それぞれの組成物を任意の順で逐次的に塗布または使用直前に混合し、筆やスポンジ等を用いて直接患部に塗布し、被膜を形成して使用する方法、
(3)(A)成分と(C)成分とを含む組成物の入った容器IIIと(B)成分と(D)成分とを含む組成物の入った容器IVによって保存し、それぞれの組成物を任意の順で逐次的に塗布または使用直前に混合し、筆やスポンジ等を用いて直接患部に塗布し、被膜を形成して使用する方法、
(4)(A)成分と(C)成分とを含む組成物の入った容器V、(B)成分と(C)成分とを含む組成物の入った容器VI、(C)成分と(D)成分とを含む組成物の入った容器VIIによって保存し、それぞれの組成物を任意の順で逐次的に塗布または使用直前に混合し、筆やスポンジ等を用いて直接患部に塗布し、被膜を形成して使用する方法、
などを例示することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
<象牙質モデルの作製>
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結し保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍したウシ歯を低速回転式ダイヤモンドカッター(ISOMET、BUEHLER)にて注水下で約10×10×2mmの象牙質板を切り出した。耐水研磨紙(#600)で切削面を研磨し平滑にした後、象牙質表面の片面を歯磨剤(ホワイトアンドホワイト、ライオン)のついた歯ブラシ(ガム、バトラー)で注水下20〜30g/cmの力で3分間ブラッシングした。精製水で洗浄の後、さらに精製水中で35分超音波をかけることによって洗浄し、ブラッシングした表面を象牙質モデルとした。
<象牙細管封鎖の評価方法>
水中から取り出した象牙質モデル表面からエアブローによって見かけ上の水分を取り除き乾燥した。実施例で示す組成物を充分に浸したフェルトチップ(MSコート付属フェルトチップ、サンメディカル)を用いて象牙質モデル表面に塗布して20秒間静置、さらに液が飛散しないようにエアブローによって乾燥することによって象牙細管封鎖のための被膜を形成した。被膜形成した象牙質モデルは、条件(i)水中において超音波をかける処理を行った後に、あるいは条件(ii)歯ブラシを用いて注水下100gの荷重で1,000回ブラッシングし水洗する処理を行った後に、象牙細管の封鎖状況を1,000倍に拡大した走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5610、日本電子)写真にて観察した。象牙細管の封鎖状況は、次式の象牙細管の封鎖率によって評価した。
Figure 0004832129
上記評価を行うに当たり、条件(i)を行うことによって表面の被膜に吸着した異物を除去して被膜による象牙細管の封鎖状態のみを評価することができる。条件(ii)によって被膜の歯ブラシ摩耗耐久性と封鎖耐久性を評価することができ、実際の口腔内における耐久性を評価することができる。
<歯牙色の遮蔽性試験>
水中から取り出した象牙質モデル表面からエアブローによって見かけ上の水分を取り除き乾燥した。実施例で示す組成物を充分に浸したフェルトチップ(MSコート付属フェルトチップ、サンメディカル)を用いて象牙質モデル表面に塗布して20秒間静置、さらに液が飛散しないようにエアブローによって乾燥することによって象牙細管封鎖のための被膜を形成した。その後、組成物塗布面を肉眼で確認し、遮蔽性を以下の区分で評価した。
×明確に見える(遮蔽性なし)、
△不明確だが見える(弱い遮蔽性あり)、
○見えない(遮蔽性あり)
<水性エマルジョンの製造例>
撹拌装置、滴下ロート、温度計、窒素導入口を備えたガラス製反応容器に、日本薬局方精製水50gを60℃に昇温し、窒素ガスを1時間バブリングした。窒素雰囲気下、メチルメタクリレート2.0g、スチレンスルホン酸ナトリウム0.54g、過硫酸カリウム30mg、亜硫酸水素ナトリウム10mgを添加し、2.5時間60℃で激しく攪拌した。さらに、メチルメタアクリレート1.0g、過硫酸カリウム15mg、亜硫酸水素ナトリウム7mgを30分間隔で4回添加した後、さらに19.5時間激しく攪拌した。室温に冷却後、濃塩酸0.19mlを加えて2時間攪拌し、透析チュ−ブに入れて蒸留水を5日間毎日交換しながら透析を繰り返した。このチュ−ブを常温、常圧下、乾燥して、固形分10.9%のエマルジョンを得た。元素分析からこの重合体のメチルメタアクリレートユニットの含量は96.9mol%であった。得られた重合体を分子量既知のポリメタクリル酸メチルを標準試料としてゲル除外クロマトグラフィを用いて分析したところ数平均分子量(Mn)は1.0×10であった。透過型顕微鏡観察より、この乳化重合体エマルジョン粒子は直径0.1〜0.5μmの範囲にあり、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−910、堀場製作所)により全ての重合体のエマルジョン粒子の直径が1μm以下であることが確認された。以下、このエマルジョンをMSEと略記する。
上記エマルジョンMSEを蒸留水で希釈して、不揮発性成分5重量%とし、これとカルシウム化合物としての塩化カルシウムを1重量%溶解する水溶液を等重量添加し、攪拌した後、粒度分布測定装置LA−910にて同様に粒径を測定した。エマルジョンMSEに存在していた重合体エマルジョン粒子は、凝集しており、その粒径は0.1〜700μmの広範囲に分布し、約0.3および約40μmにピークを有していた。なお、重合体に対する400以下の低分子量体乃至はトリマー以下のオリゴマーの比率は0.2%以下であった。
<水溶性ポリマーの製造例>
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入口、滴下ロートを取り付けた反応装置に蒸留水200g、2,3−ジハイドロキシプロピルメタクリルアマイド31.8g(0.2mol)、2−アクリルアマイド−2−メチルプロパンスルホン酸10.4g(0.05mol)、過硫酸アンモニウム1.1g、亜硫酸ナトリウム0.6gを装入、15分間窒素バブリングし、撹拌しながら内温を70℃に昇温し、2時間重合を行った後、室温に冷却した。反応マスをアセトン/メタノールで再沈殿精製し、乾燥、無色のポリマー30gを得た。得られたポリマーの分子量は980,000であった。以下、このポリマーをMCPと略記する。なお、重合体に対する400以下の低分子量体乃至はトリマー以下のオリゴマーの比率は0.2%以下であった。
実施例1
上記エマルジョンMSEを4.58g、アナターゼ型酸化チタン(スーパーチタニア、昭和電工、平均粒径6nm、凝集後の粒子はSEM15,000倍で、0.1〜2μmの粒子が確認できた。)4.8mg、日本薬局方精製水5.42gを激しく混合し、最終濃度がエマルジョンの固形分5%、二酸化チタン0.048%となる組成物A1を調製した。一方、シュウ酸0.3gを脱イオン蒸留水9.7gに完全に溶解させ、組成物Bを得た。組成物A1およびBよりそれぞれ0.05gずつ取り出し、使用直前に混合し、液の混合から1分以内に上記象牙細管の封鎖性評価、歯牙色遮蔽性評価を行った。結果を表1に記す。
実施例2
上記エマルジョンMSEを4.58g、アナターゼ型酸化チタン(スーパーチタニア、昭和電工、平均粒径6nm、凝集後の粒子はSEM15,000倍で、0.1〜2μmの粒子が確認できた)4.8mg、シュウ酸0.3g、日本薬局方精製水5.11gを激しく混合し、最終濃度がエマルジョンの固形分5%、二酸化チタン0.048%、シュウ酸1.5%となる組成物Cを調製した。組成物Cより0.1g取り出し、上記象牙細管の封鎖性評価、歯牙色遮蔽性評価を行った。結果を表1に記す。
実施例3
上記ポリマーMCPを0.5g、アナターゼ型酸化チタン(スーパーチタニア、昭和電工、平均粒径6nm、凝集後の粒子はSEM15,000倍で、0.1〜2μmの粒子が確認できた。)4.8mg、日本薬局方精製水9.5gを激しく混合し、最終濃度が重合体5%、二酸化チタン0.048%となる組成物A2を調製した。一方、シュウ酸0.3gを脱イオン蒸留水9.7gに完全に溶解させ、組成物Bを得た。組成物A2およびBよりそれぞれ0.05gずつ取り出し、使用直前に混合し、液の混合から1分以内に上記象牙細管の封鎖性評価、歯牙色遮蔽性評価を行った。結果を表1に記す。
実施例4
上記ポリマーMCPを0.5g、アナターゼ型酸化チタン(スーパーチタニア、昭和電工、平均粒径6nm、凝集後の粒子はSEM15,000倍で、0.1〜2μmの粒子が確認できた。)4.8mg、シュウ酸0.15g、日本薬局方精製水9.35gを激しく混合し、最終濃度が重合体5%、二酸化チタン0.048%、シュウ酸1.5%となる組成物Dを調製した。組成物Dより0.1g取り出し、上記象牙細管の封鎖性評価、歯牙色遮蔽性評価を行った。結果を表1に記す。
比較例1
実施例1において、組成物A1およびBに代えて、どちらも脱イオン精製水を使用した以外は同様に操作した。結果を表1に記す。
比較例2
上記エマルジョンMSEを4.58g、日本薬局方精製水5.42gを激しく混合し、最終濃度がエマルジョンの固形分5%となる組成物Eを調製した。一方、シュウ酸0.3gを脱イオン蒸留水9.7gに完全に溶解させ、組成物Bを得た。組成物EおよびBよりそれぞれ0.05gずつ取り出し、使用直前に混合し、液の混合から1分以内に上記象牙細管の封鎖性評価、歯牙色遮蔽性評価を行った。結果を表1に記す。
比較例3
上記エマルジョンMSEを4.58g、シュウ酸0.3g、日本薬局方精製水5.11gを激しく混合し、最終濃度がエマルジョンの固形分5%、シュウ酸1.5%となる組成物Fを調製した。組成物Fより0.1g取り出し、上記象牙細管の封鎖性評価、歯牙色遮蔽性評価を行った。結果を表1に記す。
Figure 0004832129

Claims (7)

  1. 下記(A)、(B)、(C)および(D)成分からなりそして歯牙色遮蔽および/または知覚過敏抑制に用いられることを特徴とする歯科用組成物。
    (A)分子内に酸性基を少なくとも1つ有する重合性単量体(Ma)の少なくとも1種に由来する単量体単位を有する重合体、
    (B)アナターゼ型二酸化チタン粒子、
    (C)溶媒および/または分散媒および
    (D)水溶性酸性化合物。
  2. (A)成分は、
    象牙細管径よりも小さい粒子径を有する水性エマルジョン形態を有する重合体(As)および/または水溶性重合体(Aw)
    でありそしてカルシウム化合物と反応して象牙細管径よりも大きな凝集体を形成する請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. (B)成分が1次粒子の平均粒径が1〜500nmである、請求項1または2に記載の歯科用組成物。
  4. 重合性単量体(Ma)が、4−スチレンスルホン酸、((メタ)アクリルアマイド)アルカンスルホン酸、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸、2−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフォスフェート、11−(メタ)アクリロキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸およびそれぞれの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜のいずれかに記載の歯科用組成物。
  5. (C)成分が水である請求項1〜のいずれかに記載の歯科用組成物。
  6. (D)成分がシュウ酸、クエン酸、酒石酸およびそれぞれの塩からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜のいずれかに記載の歯科用組成物。
  7. 水中にてフッ化物イオンを放出する化合物(F)をさらに含有する請求項1〜のいずれかに記載の歯科用組成物。
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