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JP4832722B2 - 半導体積層構造およびトランジスタ素子 - Google Patents
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JP4832722B2 - 半導体積層構造およびトランジスタ素子 - Google Patents

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Description

本発明は、III族窒化物を用いたHEMT(高電子移動度トランジスタ)に関する。
GaNをはじめとするIII族窒化物半導体は、バンドギャップが大きく、破壊電界強度が高く、かつ高融点であることから、GaAs系材料に代わる、高出力、高周波、高温用の半導体デバイス材料として期待されており、特に、その物性を活かすデバイスであるHEMTの研究・開発が盛んである。(例えば、非特許文献1および特許文献1参照。)。
S.Keller et al. "Metalorganic Chemical vapor deposition of high mobility AlGaN/GaN heterostructures", JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, American Institute of Physics, volume 86,number 10, 1999 p.5850 特開2003−151996号公報
非特許文献1には、GaN層と、AlxGa1-xN層とからなるヘテロ構造が開示されており、Al混晶比xが大きくなるほど、ヘテロ接合界面における2次元電子ガスのシートキャリア濃度が高くなる一方、電子移動度はxが0.2を越えると減少することや、xが大きくなると、AlxGa1-xN層の表面に欠陥が増加し、島状成長をするようになることが開示されている。
特許文献1には、InxGa1-xNからなるチャネル層と、InyAlyGa1-x-yNからなるワイドバンドギャップ層からなるヘテロ構造を含む2次元電子ガスを用いた電子デバイスであって、ヘテロ界面から離れるに従って、Al混晶比zが減少することを特徴とするものが開示されている。ワイドバンドギャップ層のヘテロ界面におけるAl混晶比zが最大でも0.35という範囲においては、係る構造を取ることにより、非特許文献1に開示されているものよりも高い電子移動度が実現できることが示されている。
一方で、比較的高い電子移動度を維持しながらも、高いシートキャリア濃度を活かすべく、ヘテロ界面において、よりAlリッチな組成(全てのIII族元素に対するALの比が0.5以上)を有するデバイスが求められる場合がある。例えば、デバイスへの通電量を高めたい場合などがこれに相当する。しかしながら、非特許文献1に開示されているようなヘテロ構造では、Alリッチな組成を取る場合、上述のような欠陥に起因して生じるクラックが、GaN層にまで伝搬することが懸念される。さらには、このような表面における欠陥の存在は、HEMT素子においてゲート電極を設ける際の、良好なショットキー接合の形成を妨げることにもなる。
また、特許文献1においては、ヘテロ界面におけるAl混晶比zが0.35よりも大きな組成を有するデバイスについて、具体的な内容の開示はなされておらず、また、Al混晶比やシートキャリア濃度あるいは電子移動度と、表面形状との相関についての言及はない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、表面品質に優れ、かつ、高いシートキャリア濃度と電子移動度を有するHEMTを実現する半導体積層構造、およびトランジスタ素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、所定の基材と、前記基材の上に形成された緩衝層と、前記緩衝層の上に形成され、GaNからなるチャネル層と、前記チャネル層の上に形成され、AlおよびGaのうち少なくとも一方を含むIII族窒化物からなる電子供給層と、を備える半導体積層構造であって、前記電子供給層は、前記チャネル層の上に10nm以下の厚みで形成され、AlxGa1xNであって0.5≦x≦1.0なる範囲内で組成比が一定の前記III族窒化物からなる第1層と、前記第1層の上に形成され、AlyGa1yNであって前記xに対し0≦yxなる組成を有する前記III族窒化物からなり、かつ、空間分布において最下端部から最上端部までAlの存在比率を表すyの値が単調に減少し、最上端がGaNなる組成を有してなる傾斜組成層である第2層と、前記第2層の上に形成され、GaNからなる第3層と、を備えることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の半導体積層構造であって、前記第1層がAlNからなることを特徴とする。
請求項の発明は、所定の基材と、前記基材の上に形成された緩衝層と、前記緩衝層の上に形成され、GaNからなるチャネル層と、前記チャネル層の上に10nm以下の厚みで形成され、AlおよびGaのうち少なくとも一方を含むIII族窒化物からなる電子供給層と、を備える半導体積層構造であって、前記電子供給層は、前記チャネル層の上に形成され、AlNからなる第1層と、前記第1層の上に形成され、最下端部における組成をAlxGa1xNと表すときに0.5≦x1.0をみたすxの値に対して0≦y≦xの範囲をみたすyについてAlyGa1-yNなる組成を有する前記III族窒化物からなり、かつ、空間分布において最下端部から最上端部までAlの存在比率を表すyの値が単調に減少し、最上端がGaNなる組成を有してなる傾斜組成層である第2層と、前記第2層の上に形成され、GaNからなる第3層と、を備えることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の半導体積層構造であって、前記第1層の厚みが10nm以下であることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の半導体積層構造であって、前記第2層の最上端がGaNなる組成を有してなることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の半導体積層構造であって、前記電子供給層の厚みが30nm以下であることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の半導体積層構造に、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極を形成してなる。
請求項1ないし請求項の発明によれば、電子供給層においてチャネル層近傍のAlの存在比率を高めることで、チャネル層表面に高濃度の2次元電子ガスを発生させる一方で、Alの存在比率を上方ほど小さくすることで、AlNとGaNとの格子定数差に起因して発生するクラックの発生を抑制することができるので、高品質のHEMTが提供可能となる。
また、請求項1ないし請求項5の発明によれば、Alの存在比率が高い第1層をごく薄く形成するので、クラックの発生をより効果的に抑制できる。
また、請求項1ないし請求項5の発明によれば、第2層の最表面をGaNとし、その上にGaNからなる第3層を形成することで、表面の結晶品質がより高められるので、ショットキー接合を良好に形成することが可能となる。また、デバイス特性への悪影響を及ぼす電流コラプス等の抑制も可能となる。
<第1の実施の形態>
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体積層構造1を用いて形成されたHEMT素子2の構成を示す概要図であり、図1(b)は、半導体積層構造1を構成する各層において、III族元素に対するAlの存在比率を示す図である。なお、図示の都合上、図1(a)における各層の厚みの比率は、実際の比率を反映したものではない。
半導体積層構造1は、基板(基材)3の上に、チャネル層4と、第1電子供給層5と、第2電子供給層6と、第3電子供給層7とを備える。なお、以下の説明において、第1電子供給層5と第2電子供給層6と第3電子供給層7とを単に、電子供給層と総称する場合がある。また、HEMT素子2は、係る半導体積層構造1に、ソース電極8s、ドレイン電極8d、およびゲート電極8gを形成してなる。なお、電子供給層の少なくとも一部領域に、例えばSiなどのn型のドーパントがドープされていてもよい。
基板3は、その上に形成するチャネル層4や電子供給層の組成や構造、あるいは各層の形成手法に応じて適宜に選択される。例えば、SiC(炭化ケイ素)やサファイアなどの単結晶を所定の厚みに切り出したものを用いる。あるいは、ZnO,LiAlO2,LiGaO2,MgAl24,(LaSr)(AlTa)O3,NdGaO3,MgOといった各種酸化物材料,Si,Geといった各種IV族単結晶、SiGeといった各種IV−IV族化合物,GaAs,AlN,GaN,AlGaNといった各種III―V族化合物およびZrB2といった各種ホウ化物の単結晶から適宜選択して用いてもよい。基板3の厚みには特段の材質上の制限はないが、取り扱いの便宜上、数百μm〜数mmの厚みのものが好適である。
チャネル層4は、不純物を含まないGaN(i−GaN)にて形成される。チャネル層4は、例えばMOCVD(Metal-Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属化学気相成長法)法などの公知の成膜手法にて形成される。なお、GaNの結晶品質を高める目的で、図示しないバッファ層を、例えば、AlNにて、基板3とチャネル層4との間に設けるのが好ましい。
チャネル層4の上面近傍には、電子供給層からキャリアとなる電子が供給されることにより、高濃度の2次元電子ガスが生成する2次元電子ガス領域4aが形成されることになる。チャネル層4は、この2次元電子ガス領域4aを確保するだけの厚みが必要である一方、あまりに厚みが大きすぎると、クラックが発生しやすくなることから、数μm程度の厚みに形成されるのが好適である。
電子供給層は、本実施の形態の場合、第1電子供給層5と第2電子供給層6と第3電子供給層7の3層にて形成されてなる。第1電子供給層5、第2電子供給層6、および第3電子供給層7はいずれも、例えばMOCVD法などの公知の成膜手法にて形成される。また、電子供給層は全体として、30nm以下に形成されるのが、2次元電子ガス領域4aの形成の点ならびにデバイス動作の点(すなわちゲート電圧印加に対する主電流の制御性という点)からは好ましい。
まず、チャネル層4の直上には、第1電子供給層5がAlNにて形成される。これにより、AlN/i−GaNのヘテロ界面が形成される。AlNを用いるのは、チャネル層4とのバンドギャップ差を大きくすることで、2次元電子ガス領域4aにおける2次元電子ガスの濃度を高めるためである。ただし、第1電子供給層5は、10nm以下の厚みに形成されることが好ましい。厚みが大きくなると、GaNとAlNとの格子定数差に起因してクラックが発生しやすくなるからである。
第2電子供給層6は、AlyGa1-yNなる組成を有するIII族窒化物にて形成される。ただし、yは、0.5≦x≦1.0をみたすxの値に対して0≦y≦xの範囲をみたすように定められるとともに、上方ほど、その値が小さくなるように定められる。すなわち、図1(b)に示すように、第2電子供給層6は、上方ほどAlの存在比率が小さくなり、Gaの存在比率が大きくなる傾斜組成層である。また、第2電子供給層6の最下端においてはy=xであり、0.5≦x≦1.0であることから、最下端に形成されるのは、0.5≦y≦1.0のAlyGa1-yN、つまりはAlリッチなIII族窒化物である。特に、x=1.0であってy=1.0である場合は、AlNとなる。よって、第2電子供給層6の最下端近傍においても、その直下の第1電子供給層5と同様に、チャネル層4とのバンドギャップ差が大きいことになり、2次元電子ガス領域4aにおける2次元電子ガスの濃度の向上に寄与している。また、好ましくは、図1(a)に示すように、その最上面がGaNとなるように、すなわち、y=0となるように形成される。なお、第2電子供給層6におけるAlの存在比率を表すyの値は、必ずしも図1(b)に示すように厚み方向に対して連続的に変化するように定められる必要はなく、厚み方向に対してステップ状に変化するように定められてもよいし、さらにこれらを適宜に組み合わせて定められてもよい。
第3電子供給層7は、GaNにて、数nm以下の厚みに形成される。なお、第3電子供給層7を設けなくとも、クラックを抑制するという本発明の効果を得ることはできるが、第3電子供給層7を設けることにより、非特許文献1に開示されているヘテロ構造に比して、電子供給層表面における結晶品質がより向上する。
ソース電極8sおよびドレイン電極8dは、第3電子供給層7の表面に、例えば、Ti/Au/Ni/Auにてオーミック接合により形成される。ソース電極8sおよびドレイン電極8dの形成に際しては、第3電子供給層7の表面の電極形成箇所に、所定のコンタクト処理がなされた上で行われてもよい。また、ゲート電極8gは、電子供給層7の表面に、例えば、Pd/Ti/Auにてショットキー接合により形成される。
図3は、上記のように形成された半導体積層構造1の表面のAFM(原子間力顕微鏡)像を示す図である。図3においては、第2電子供給層6の最下端のAlの存在比率、すなわちxの値を0.6から1.0の範囲で変えた場合の像を示している。また、図5は、図3との対比のために作製した、図8に示すような非特許文献1に開示されたものと同様の半導体積層構造21について、表面のAFM像を示す図である。図5においては、図8における電子供給層25ないし27におけるIII族窒化物元素のうちAlの存在比率、すなわち、AlzGa1-zNにおけるzを変えた場合の像を示している。
両者を比較すると、図5に示す半導体積層構造21においては、電子供給層25ないし27におけるAlの存在比率がz=0.58および0.70の場合に、多数のクラックが生じていることがわかる。これに対して、図3に示す本実施の形態に係る半導体積層構造1においては、x=1.0の場合であっても、クラックは生じていない。
図6(a)は、上記のように形成される半導体積層構造1を用いて形成された、HEMT素子2の主なホール特性を、一覧にして示すテーブルTBL1である。また、図6(c)は、対比のために、図8に示す半導体積層構造21を用いて形成された、HEMT素子のホール特性を、一覧にして示すテーブルTBL3である。両者を比較すると、本実施の形態に係るHEMT素子2は、シート電子濃度(シートキャリア濃度)に関しては、テーブルTBL3に示す値よりも若干劣るものの比較的高い値を維持しており、電子移動度やシート抵抗においては、優れた値を示している。
図7(a)は、上記のように形成される半導体積層構造1を用いて形成された、HEMT素子2のゲートリーク特性を評価すべく、ゲート−ソース電極間に40Vの電圧を印加した時のゲートリーク電流を一覧にして示すテーブルTBL4である。また、図7(c)は、対比のために、図8に示す半導体積層構造21を用いて形成されたHEMT素子についての値を、一覧にして示すテーブルTBL6である。両者を比較すると、本実施の形態に係るHEMT素子2のゲートリーク電流値は、Alリッチな組成範囲であっても、十分に低いといえる。これにより、本実施の形態に係るHEMT素子2のゲート電極2gについて、良好なショットキー接合が形成されていることがわかる。
このように、本実施の形態においては、第1電子供給層5をAlNによって薄く形成し、さらに第2電子供給層6として上記のような傾斜組成層を設けることにより、ヘテロ界面が格子定数差が大きいGaNとAlNとによって形成されているにも関わらず、該界面で生じる応力が傾斜組成層によって緩和され、電子供給層におけるクラックの発生が抑制される。また、表面にGaNを形成することによって、表面の結晶品質の向上がより図られている。これらにより、良好なショットキー接合を有するゲート電極の形成が実現される。また、デバイス特性への悪影響を及ぼす電流コラプス等の抑制も可能となる。このような効果に関しては、非特許文献1や特許文献1において示唆はなされていない。同時に、電子供給層が、ヘテロ界面近傍においてAlリッチな組成を有するように形成されることによって、高いシートキャリア濃度と高い電子移動度とが実現されてなる。
<第2の実施の形態>
図2(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体積層構造11を用いて形成されたHEMT素子12の構成を示す概要図であり、図2(b)は、半導体積層構造11を構成する各層において、III族元素に対するAlの存在比率を示す図である。なお、図示の都合上、図2(a)における各層の厚みの比率は、実際の比率を反映したものではない。
半導体積層構造11は、第1の実施の形態に係る半導体積層構造1と同様に、基板13の上に、チャネル層14と、第1電子供給層15と、第2電子供給層16と、第3電子供給層17とを備える。なお、以下の説明において、第1電子供給層15と第2電子供給層16と第3電子供給層17とを単に、電子供給層と総称する場合がある。また、HEMT素子12は、第1の実施の系他に係るHEMT素子2と同様に、半導体積層構造11に、ソース電極18s、ドレイン電極18d、およびゲート電極18gを形成してなる。なお、電子供給層の少なくとも一部領域に、例えばSiなどのn型のドーパントがドープされていてもよい。
半導体積層構造11は、第1の実施の形態に係る半導体積層構造1と、第1電子供給層15と第2電子供給層16の組成が、対応する第1電子供給層5と第2電子供給層6の組成と異なっているが、他の各層については、第1の実施の形態における各層と同じであるので、これらの説明は省略する。
半導体積層構造11において、第1電子供給層15は、AlxGa1-xNなる組成を有するIII族窒化物にて形成される。ただし、xの値は、0.5≦x≦1.0を満たすように定められる。すなわち、第1電子供給層15は、AlリッチなIII族窒化物にて形成されてなる。これにより、チャネル層14と第1電子供給層15とのバンドギャップ差が大きくなることから、半導体積層構造11においても、2次元電子ガス領域14aにおいて高い濃度の2次元電子ガスが生成する。なお、第1電子供給層15は、10nm以下の厚みに形成されることが好ましいのは、第1の実施の形態と同様である。
第2電子供給層16は、AlyGa1-yNなる組成を有するIII族窒化物にて形成される。ただし、yは、第1電子供給層15のxの値に対して0≦y≦xの範囲をみたすように定められるとともに、上方ほど、その値が小さくなるように定められる。すなわち、図2(b)に示すように、第2電子供給層16は、上方ほどAlの存在比率が小さくなり、Gaの存在比率が大きくなる傾斜組成層である。また、第2電子供給層16の最下端においてはy=xであることから、最下端に形成されるのは、第1電子供給層15と同じ組成のAlリッチなIII族窒化物である。よって、第2電子供給層16の最下端近傍においても、その直下の第1電子供給層15と同様に、チャネル層14とのバンドギャップ差が大きいことになり、2次元電子ガス領域14aにおける2次元電子ガスの濃度の向上に寄与している。また、好ましくは、図2(a)に示すように、その最上面がGaNとなるように、すなわち、y=0となるように形成される。
図4は、上記のように形成された半導体積層構造11の表面のAFM像を示す図である。図4においては、第2電子供給層6の最下端のAlの存在比率、すなわちxの値を0.6から1.0の範囲で変えた場合の像を示している。図4に示すように、半導体積層構造11の場合も、第1の実施の形態に係る半導体積層構造1と同様に、Alリッチな組成範囲でも、クラックは生じていない。
図6(b)は、上記のように形成される半導体積層構造11を用いて形成された、HEMT素子12の主なホール特性を、一覧にして示すテーブルTBL2である。テーブルTBL2をみると、本実施の形態に係るHEMT素子12も、第1の実施の形態に係るHEMT素子2と同様に、シート電子濃度に関しては、テーブルTBL3に示す値よりも若干劣るものの、比較的高い値を維持しており、電子移動度やシート抵抗においては、優れた値を示している。
図7(b)は、上記のように形成される半導体積層構造1を用いて形成された、HEMT素子2のゲートリーク特性を評価すべく、ゲート−ソース電極間に40Vの電圧を印加した時のゲートリーク電流を一覧にして示すテーブルTBL5である。テーブルTBL5をみると、本実施の形態に係るHEMT素子12のゲートリーク電流値も、第1の実施の形態に係るHEMT素子2と同様に、Alリッチな組成範囲であっても、十分に低いといえる。これにより、本実施の形態に係るHEMT素子12のゲート電極18gについても、良好なショットキー接合が形成されていることがわかる。
このように、本実施の形態においても、第1電子供給層15をAlリッチなAlxGa1-xNによって薄く形成し、さらに第2電子供給層16として上記のような傾斜組成層を設けることにより、ヘテロ界面が格子定数差が大きいAlxGa1-xNとAlNとによって形成されているにも関わらず、該界面で生じる応力が傾斜組成層によって緩和され、電子供給層におけるクラックの発生が抑制される。また、表面にGaNを形成することによって、表面の結晶品質の向上がより図られている。これらにより、良好なショットキー接合を有するゲート電極の形成が実現される。また、デバイス特性への悪影響を及ぼす電流コラプス等の抑制も可能となる。このような効果に関しては、非特許文献1や特許文献1において示唆はなされていない。同時に、電子供給層が、ヘテロ界面近傍においてAlリッチな組成を有するように形成されることによって、高いシートキャリア濃度と高い電子移動度とが実現されてなる。
(実施例1)
本実施例においては、第1の実施の形態に係る半導体積層構造1と、これを用いたHEMT素子2とを作製した。まず、半導体積層構造1の作製においては、基板3として4インチ径の厚さ630μmのC面サファイア単結晶を用い、これを所定のMOCVD装置の反応菅内に設置した。MOCVD装置は、反応ガスあるいはキャリアガスとして、少なくともH2、N2、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、およびNH3が、反応管内に供給可能とされている。キャリアガスとして、水素を流速2m/secで流しながら、基板3を1200℃まで昇温した後、10分間保持し、基板3のサーマルクリーニングを実施した。
その後、基板温度を500℃まで低下させ、TMGとそのキャリアガスである水素とを流速が全体として2m/secとなるように供給するとともに、アンモニアガスとそのキャリアガスである水素とを流速が全体として2m/secであるように供給することにより、25nmの厚さの低温GaNバッファ層を成長させた。そして、再び1100℃に昇温し、TMGとNH3とを供給して、チャネル層4として厚さ3μmのGaN層を形成した。この際、成膜速度を約3μm/hrとなるように、TMG及びNH3の供給量を設定した。
GaN層の形成後、1100℃に保ったまま、引き続き、TMAとNH3とを供給して、第1電子供給層5として厚さ1nmのAlN層を形成した。この際、成膜速度を約0.5μm/hrとなるように、TMA及びNH3の供給量を設定した。
AlN層の形成後、1100℃に保ったまま、引き続き、TMAとTMGとNH3とを供給して、第2電子供給層6として厚さ21nmの傾斜組成層を形成した。傾斜組成層は、最下端すなわち成膜開始時の組成をAl0.7Ga0.3N、すなわちy=0.7、最上端すなわち成膜終了時の組成をGaN、すなわちy=0とした。このような傾斜組成層の形成は、TMGの供給量を約30μmol/minと一定とし,TMAの供給量を約40μmol/minから0μmol/minと可変させることにより行った。
さらに、その後、1100℃に保ったまま、TMGとNH3とを供給して、第3電子供給層7として厚さ3nmのGaN層を形成した。成膜速度を約0.3μm/hrとなるように、TMG及びNH3の供給量を設定した。これにより、半導体積層構造1を得た。
このようにして得られた半導体積層構造1の表面、つまりは第3電子供給層7の表面をAFMにて観察することにより、図3(b)の像が得られた。また、このときの表面粗さは約0.4nmであった。これにより、半導体積層構造1は、その表面にクラックを有することがなく、良好な表面品質を有することが確認された。
さらに、半導体積層構造1の表面の所定位置に、Ti/Au/Ni/Auからなるソース電極8sおよびドレイン電極8dをオーミック接合にて形成し、Pd/Ti/Auからなるゲート電極8gを、ショットキー接合にて形成し、HEMT素子2を得た。
このようにして得られたHEMT素子2について、ホール特性を評価したところ、図6(a)のNo.2に示す結果が得られた。また、ゲート−ソース電極間に40Vの電圧を印加した時のゲートリーク特性を評価したところ、図7(a)のNo.2に示す結果が得られた。
また、第2電子供給層6の組成比が異なる半導体積層構造1およびこれを用いたHEMT素子2を同様に形成し、これらについて、図3、図6(a)、および図7(a)に示すような物性が確認された。
(実施例2)
本実施例においては、第2の実施の形態に係る半導体積層構造11と、これを用いたHEMT素子12とを作製した。まず、半導体積層構造11の作製においては、基板13として4インチ径の厚さ630μmのC面サファイア単結晶を用い、実施例1と同様にチャネル層14として厚さ3μmのGaN層を形成した。
GaN層の形成後、1100℃に保ったまま、引き続き、TMAとTMGと、NH3とを供給して、第1電子供給層15として厚さ7nmのAl0.7Ga0.3N層を形成した。この際、成膜速度を約0.8μm/hrとなるように、TMG及びNH3の供給量を設定した。
Al0.7Ga0.3N層の形成後、1100℃に保ったまま、引き続き、TMAとTMGとNH3とを供給して、第2電子供給層16として厚さ15nmの傾斜組成層を形成した。傾斜組成層は、最下端すなわち成膜開始時の組成を第1電子供給層15と同じAl0.7Ga0.3N、すなわちy=0.7、最上端すなわち成膜終了時の組成をGaN、すなわちy=0とした。このような傾斜組成層の形成は、TMGの供給量を約30μmol/minと一定とし,TMAの供給量を約40μmol/minから0μmol/minと可変させることにより行った。
さらに、その後、実施例1と同様に、厚さ3nmのGaN層を形成した。これにより、半導体積層構造11を得た。
このようにして得られた半導体積層構造11の表面、つまりは第3電子供給層7の表面をAFMにて観察することにより、図4(b)の像が得られた。また、このときの表面粗さは約0.4nmであった。これにより、半導体積層構造11は、その表面にクラックを有することがなく、良好な表面品質を有することが確認された。
さらに、半導体積層構造11の表面の所定位置に、実施例1と同様にソース電極18sおよびドレイン電極18dをオーミック接合にて形成し、ゲート電極18gを、ショットキー接合にて形成し、HEMT素子12を得た。
このようにして得られたHEMT素子12について、ホール特性を評価したところ、図6(b)のNo.2に示す結果が得られた。また、ゲート−ソース電極間に電圧40V印加した時のゲートリーク特性を評価したところ、図7(b)のNo.2に示す結果が得られた。
また、第1電子供給層15および第2電子供給層16の組成比が異なる半導体積層構造11およびこれを用いたHEMT素子12を同様に形成し、これらについて、図4、図6(b)、および図7(b)に示すような物性が確認された。
(比較例)
比較例として、図8に示すような、非特許文献1に開示されたものと同様の半導体積層構造21と、これを用いた図示しないHEMTとを形成した。半導体積層構造21は、基板23の上に、チャネル層24と、第1電子供給層25と、第2電子供給層26と、第3電子供給層27とを備える。基板23およびチャネル層24は、第1および第2の実施の形態に係る半導体積層構造に係る基板とチャネル層と同様に構成される。第1ないし第3電子供給層25ないし27は、いずれも、AlzGa1-zNなる組成を有するIII族窒化物にて形成される。ただし、第2電子供給層26には、n型ドーパントとしてSiがドープされてなる。
本比較例では、実施例1および2と同様に基板23にチャネル層24を形成した後、引き続いて、MOCVD装置内にて、TMAとTMGとNH3とを供給することにより、第1電子供給層25を3nmの厚みに形成した。さらに、これらに加えて、シランガスを供給することにより、Siがドープされた第2電子供給層26を25nmの厚みに形成した。さらに、シランガスの供給のみを停止することにより、第3電子供給層27を3nmの厚みに形成して、半導体積層構造21を得た。zの値を違えることにより、いくつかの半導体積層構造21を得た。
このようにして得られたz=0.26、0.39、0.58、0.70の場合の半導体積層構造21の表面、つまりは第3電子供給層25の表面をAFMにて観察することにより、図5(a)〜(d)の像が得られた。これらの表面粗さは,(a)が約0.4nm、(b)が0.6nm、(c)が0.8nm、(d)が1.0nmであった。
さらに、これらの半導体積層構造21のそれぞれに対して、実施例1および2と同様に電極形成を行うことによって、図示しないHEMT素子を得た。これらについて、図6(c)、および図7(c)に示すような物性が確認された。
実施例1および実施例2と比較例とを比較すると、上述したように、実施例1および実施例2においては、ヘテロ界面が格子定数差が大きいGaNとAlNあるいはAlxGa1-xNとによって形成されているにも関わらず、電子供給層におけるクラックの発生が抑制されていることが確認された。また、良好なショットキー接合を有するゲート電極の形成が実現されていることが確認された。さらに、高いシートキャリア濃度と高い電子移動度とが実現されてなることが確認された。
<変形例>
第1および第2の実施の形態においては、第2電子供給層6および16を傾斜組成層として形成しているが、GaNのみにて形成することによっても、HEMT素子を形成することは可能である。
また、HEMT素子においては、電極をリセス構造にて形成してもよい。図9は、第1の実施の形態に係る半導体積層構造1を用い、係るリセス構造を有するHEMT素子32を形成した場合の構成を示す概要図である。HEMT素子32においては、半導体積層構造1の一部を選択的にエッチングすることによって、ゲート電極38gを第1電子供給層5の直上にまで達するように形成してなる場合を示している。なお、HEMT素子32の表面に、SiO2からなる保護層39が設けられていてもよい。
第1の実施の形態に係るHEMT素子2の構成を示す概要図および、半導体積層構造1における、III族元素に対するAlの存在比率を示す図である。 第2の実施の形態に係るHEMT素子12の構成を示す概要図および、半導体積層構造11における、III族元素に対するAlの存在比率を示す図である。 半導体積層構造1の表面のAFM(原子間力顕微鏡)像を示す図である。 半導体積層構造11の表面のAFM(原子間力顕微鏡)像を示す図である。 半導体積層構造21の表面のAFM(原子間力顕微鏡)像を示す図である。 HEMT素子の主なホール特性を一覧にして示す図である。 HEMT素子のゲートリーク特性を一覧にして示す図である。 比較例の半導体積層構造21の構成を示す概要図である。 リセス構造を有するHEMT素子の構成を示す概要図である。
符号の説明
1、11 半導体積層構造
2、12、32 HEMT素子
3,13 基板
4、14 チャネル層
4a、14a 次元電子ガス領域
5、15 第1電子供給層
6、16 第2電子供給層
7、17 第3電子供給層
8d、18d、38d ドレイン電極
8g、18g、38g ゲート電極
8s、18s、38s ソース電極

Claims (5)

  1. 所定の基材と、
    前記基材の上に形成された緩衝層と、
    前記緩衝層の上に形成され、GaNからなるチャネル層と、
    前記チャネル層の上に形成され、AlおよびGaのうち少なくとも一方を含むIII族窒化物からなる電子供給層と、
    を備える半導体積層構造であって、
    前記電子供給層は、
    前記チャネル層の上に10nm以下の厚みで形成され、AlxGa1xNであって0.5≦x≦1.0なる範囲内で組成比が一定の前記III族窒化物からなる第1層と、
    前記第1層の上に形成され、AlyGa1yNであって前記xに対し0≦yxなる組成を有する前記III族窒化物からなり、かつ、空間分布において最下端部から最上端部までAlの存在比率を表すyの値が単調に減少し、最上端がGaNなる組成を有してなる傾斜組成層である第2層と、
    前記第2層の上に形成され、GaNからなる第3層と、
    を備えることを特徴とする半導体積層構造。
  2. 請求項1に記載の半導体積層構造であって、
    前記第1層がAlNからなることを特徴とする半導体積層構造。
  3. 所定の基材と、
    前記基材の上に形成された緩衝層と、
    前記緩衝層の上に形成され、GaNからなるチャネル層と、
    前記チャネル層の上に形成され、AlおよびGaのうち少なくとも一方を含むIII族窒化物からなる電子供給層と、
    を備える半導体積層構造であって、
    前記電子供給層は、
    前記チャネル層の上に10nm以下の厚みで形成され、AlNからなる組成比が一定の第1層と、
    前記第1層の上に形成され、最下端部における組成をAl x Ga 1 x Nと表すときに0.5≦x<1.0をみたすxの値に対して0≦y≦xの範囲をみたすyについてAl y Ga 1 y Nなる組成を有する前記III族窒化物からなり、かつ、空間分布において最下端部から最上端部までAlの存在比率を表すyの値が単調に減少し、最上端がGaNなる組成を有してなる傾斜組成層である第2層と、
    前記第2層の上に形成され、GaNからなる第3層と、
    を備えることを特徴とする半導体積層構造。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の半導体積層構造であって、
    前記電子供給層の厚みが30nm以下であることを特徴とする半導体積層構造。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の半導体積層構造に、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極を形成してなるトランジスタ素子。
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