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JP4862653B2 - 導電性ニッケルペースト - Google Patents
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JP4862653B2 - 導電性ニッケルペースト - Google Patents

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Description

この発明は、導電性ニッケルペーストに関するもので、特に、積層セラミック電子部品の内部電極を形成するために用いられる導電性ニッケルペーストに関するものである。
積層セラミックコンデンサのような積層セラミック電子部品は、複数のセラミック層が積層された構造を有する部品本体を備えている。部品本体の内部には、たとえば静電容量やインダクタンス等の形成のため、あるいは電気的配線のため、内部導体が、セラミック層間の特定の界面に沿って形成されている。
上述した部品本体を得るためには、複数のセラミックグリーンシートを用意し、特定のセラミックグリーンシート上に内部導体となる導電性ペースト膜を印刷により形成した後、複数のセラミックグリーンシートを積み重ねかつ圧着して生の積層体を得、この生の積層体を焼成することが行なわれる。上述の内部導体となる導電性ペースト膜を形成するために用いられる導電性ペーストは、導電成分として、たとえばニッケル、銅、銀−パラジウム合金等の粉末を有機ビヒクル中に分散させることによって作製される。
積層セラミック電子部品の小型化および高性能化、特に積層セラミックコンデンサにあっては高容量化を進めるためには、内部電極の厚みを極力薄くし、単位体積あたりの積層数を増大させることが必要である。内部電極の厚みを薄くすることを可能にするためには、導電性ペーストに用いられる導電性金属粉末の粒子の物理的サイズを極力小さくすることが有効である。
しかしながら、粒子サイズを小さくすると、焼結開始温度が低下し、そのため、内部電極のカバレージ(被覆率)が低下したり、内部電極とセラミックとの間での焼結による収縮の挙動差が原因となって、デラミネーションが発生したりすることがある。したがって、導電性ペーストに含まれる導電性金属粉末の焼結を抑制するための技術が望まれる。
上述のような焼結抑制技術として、導電性ペーストにセラミック成分を加えるという技術がある(たとえば、特許文献1および2参照)。
特許文献1では、たとえばニッケル粒子のような金属粒子と誘電体セラミック粒子とを含有する導電性ペーストが記載されている。また、特定的な実施態様では、誘電体セラミック粒子を金属粒子の表面に吸着させることが記載されている。
他方、特許文献2では、ニッケルとチタン酸塩とを粒状に一体化したニッケル複合導体を含有する導電性ペーストが開示されている。また、特定的な実施態様では、チタン酸塩をニッケル粒子の表面に被着させて一体化すること、あるいは、ニッケルとチタン酸塩とを混在させて一体化することが記載されている。また、ニッケルとチタン酸塩とを一体化するため、プラズマ溶射を適用することが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の導電性ペーストを用いて内部電極のための導電性ペースト膜を形成したとき、生の積層体を焼成する工程において、導電性ペースト中のニッケル粒子のような金属粒子が焼結を開始すると、誘電体セラミック粒子が内部電極あるいは導電性ペースト膜からセラミック層側へと吐き出されやすく、その結果、セラミック層の焼結温度域では、誘電体セラミック粒子による、内部電極に対する焼結抑制効果が失われてしまうことがある。
他方、特許文献2に記載の導電性ペーストを用いて内部電極のための導電性ペースト膜を形成した場合においても、焼結抑制効果が失われたり、十分な焼結抑制効果が得られなかったりすることがある。すなわち、チタン酸塩をニッケル粒子の表面に被着させた場合には、特許文献1の場合と同様の現象が起こり、焼結抑制効果が失われてしまうことがある。ニッケルとチタン酸塩とを混在させた場合には、依然として、ニッケル粒子同士がくっつきやすく、十分な焼結抑制効果が得られないことがある。また、ニッケルとチタン酸塩との一体化のため、プラズマ溶射を適用した場合には、プラズマ溶射の反応時間は一瞬であり、ニッケルとチタン酸塩との反応が十分でないため、ニッケルが還元される際に、ニッケルとチタン酸塩とが剥がれやすくなり、このことによっても、特許文献1の場合と同様の問題に遭遇する。
このようなことから、内部電極を薄層化した場合、積層セラミック電子部品のための生の積層体の焼成中に内部電極となる導電性ペースト膜の焼結が進みすぎ、前述したような内部電極のカバレージの低下やデラミネーションといった問題が完全に解決されるには至っていない。
特開昭57−30308号公報 特開2000−232032号公報
そこで、この発明の目的は、カバレージの低下およびデラミネーションといった問題をより生じにくくすることができる、導電性ニッケルペーストを提供しようとすることである。
この発明は、ニッケル粉末とセラミック粉末と有機ビヒクルとを含む、導電性ニッケルペーストに向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、セラミック粉末として、その表面にニッケル化合物を付着させ、さらにその表面にニッケルを付着させているもの、またはその表面層にニッケル化合物を拡散させているものを用いることを特徴としている。
この発明において、セラミック粉末が、その表面にニッケル化合物を付着させ、さらにその表面にニッケルを付着させている場合には、このニッケル化合物は、水酸化ニッケルもしくは酸化ニッケルまたはこれら両者であることが好ましい。また、セラミック粉末が、その表面層にニッケル化合物を拡散させている場合、ニッケル化合物は、酸化ニッケルであることが好ましい。
また、この発明に係る導電性ニッケルペーストにおいて、ニッケルおよび/またはニッケル化合物の量は、セラミック粉末100モル部に対して、5〜100モル部であることが好ましい。
この発明に係る導電性ニッケルペーストは、セラミック粉末の表面および/または表面層に、ニッケルおよび/またはニッケル化合物だけでなく、さらに希土類元素化合物を存在させていることが好ましい。
上述した好ましい実施態様の場合には、ニッケルおよび/またはニッケル化合物の量は、セラミック粉末100モル部に対して、1〜100モル部であることが好ましい。他方、希土類元素化合物の量は、セラミック粉末100モル部に対して、0.01〜10モル部であることが好ましい。
この発明に係る導電性ニッケルペーストにおいて、セラミック粉末の粒径が50nm以下とされることが好ましい。
この発明によれば、セラミック粉末は、その表面および/または表面層に存在しているニッケルおよび/またはニッケル化合物の作用によって、ニッケルに対するなじみ(濡れ性)を良好なものとすることができる。そのため、焼成途中において、セラミック粉末を、内部電極となる導電性ニッケルペースト膜から吐き出されにくいものとすることができる。その結果、セラミック粉末が、たとえば誘電体セラミックの焼結温度域である900℃以上の温度まで内部電極中に十分に残存することができるようになり、上記のような高温域まで内部電極の焼結を抑制する効果を発揮することができる。そして、このようなことから、内部電極を薄層化しても、内部電極を構成する導体膜の連続性が上がり、カバレージを向上させることができる。また、デラミネーションについても、これを生じにくくすることができる。
上述のような効果は、セラミック粉末の表面および/または表面層に、さらに希土類元素化合物が存在しているとき、より顕著に発揮される。希土類元素化合物は、ニッケルおよび/またはニッケル化合物をセラミック粉末の表面および/または表面層に留めようとする作用を有しているためであると考えられる。
この発明に係る導電性ニッケルペーストにおいて、セラミック粉末の表面および/または表面層に存在しているニッケルおよび/またはニッケル化合物の量が、セラミック粉末100モル部に対して、5〜100モル部となるように選ばれると、あるいは、セラミック粉末の表面および/または表面層に希土類元素化合物が存在している場合には、ニッケルおよび/またはニッケル化合物の量が、セラミック粉末100モル部に対して、1〜100モル部となるように選ばれると、前述したような効果がより確実に達成されることができる。
セラミック粉末の表面および/または表面層に希土類元素化合物が存在している場合、希土類元素化合物の量が、セラミック粉末100モル部に対して、0.01〜10モル部となるように選ばれると、前述したような効果がより確実に達成されるとともに、当該導電性ニッケルペーストを用いて構成したセラミック電子部品の特性が劣化することを確実に防止することができる。
この発明に係る導電性ニッケルペーストにおいて、セラミック粉末の粒径が50nm以下であると、セラミック粉末が内部電極の薄層化およびカバレージ向上の障害となることを防止することができる。
図1は、この発明に係る導電性ニッケルペーストを用いて構成される積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
符号の説明
1 積層セラミックコンデンサ
2 セラミック層
3,4 内部電極
5 部品本体
6,7 外部電極
図1は、この発明に係る導電性ニッケルペーストを用いて構成される積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1を図解的に示す断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、誘電体セラミックからなる積層された複数のセラミック層2とセラミック層2間の特定の界面に沿って形成された内部電極3および4とからなる積層構造を有する部品本体5を備えている。部品本体5の各端部には、外部電極6および7がそれぞれ形成されている。外部電極6および7は、それぞれ、内部電極3および4と電気的に接続され、一方の外部電極6に電気的に接続される内部電極3と他方の外部電極7に電気的に接続される内部電極4とは積層方向に関して交互に配置されている。
このような積層セラミックコンデンサ1を製造するため、次のような工程が実施される。
まず、セラミック層2となるべきセラミックグリーンシートが用意されるとともに、内部電極3および4を形成するための導電性ニッケルペーストが用意される。
次いで、セラミックグリーンシート上に、導電性ニッケルペーストが印刷によって付与され、それによって、内部電極3および4となる導電性ニッケルペースト膜が形成される。
次に、複数のセラミックグリーンシートが積層されかつ圧着され、必要に応じてカット工程が実施されることによって、部品本体5となるべき生の積層体が得られる。
次に、生の積層体が焼成され、それによって、焼結した部品本体5が得られる。そして、部品本体5の両端部に外部電極6および7を形成すれば、積層セラミックコンデンサ1が完成される。
上述したように、内部電極3および4となるべき導電性ニッケルペースト膜を形成するために用いられる導電性ニッケルペーストは、ニッケル粉末と、その表面にニッケル化合物を付着させ、さらにその表面にニッケルを付着させているセラミック粉末、またはその表面層にニッケル化合物を拡散させているセラミック粉末と、有機ビヒクルとを含んでいる。
このような導電性ニッケルペーストを用いると、セラミック粉末の表面および/または表面層に存在しているニッケルおよび/またはニッケル化合物のため、ニッケルとのなじみ(濡れ性)が良好となり、上述した焼成工程において、セラミック粉末を、内部電極3および4から吐き出されにくいものとすることができる。そのため、セラミック層2の焼結温度域であるたとえば900℃以上までセラミック粉末が内部電極3および4中に残存することになり、このような高温域まで内部電極3および4の焼結を抑制する効果を持続させることができる。その結果、内部電極3および4が薄層化されても、内部電極3および4を構成する導体膜の連続性が上がり、カバレージを向上させることができる。
上述したように、導電性ニッケルペーストに含まれるセラミック粉末は、その表面にニッケル化合物を付着させ、さらにその表面にニッケルを付着させていても、その表面層にニッケル化合物を拡散させていてもよい。前者のように、セラミック粉末の表面に付着されている場合、ニッケル化合物は、水酸化ニッケルおよび/または酸化ニッケルであることが好ましい。また、後者のように、セラミック粉末の表面層にニッケル化合物を拡散させている場合、ニッケル化合物は酸化ニッケルであることが好ましい。
また、用いられる導電性ニッケルペーストにおいて、ニッケルおよび/またはニッケル化合物の量が、セラミック粉末100モル部に対して、5〜100モル部であるとき、前述のような効果をより確実に発揮させることができる。
上述したような表面および/または表面層にニッケルおよび/またはニッケル化合物が存在しているセラミック粉末は、たとえば、次のようにして得ることができる。
すなわち、セラミック粉末を水中に分散させたスラリーを作製し、このスラリー中に、ニッケル塩溶液およびアルカリ水溶液を投入し、ニッケル水酸化物をセラミック粉末の表面に付着させ、その後、このセラミック粉末に対して熱処理および粉砕処理を施すことによって、前述したような表面および/または表面層にニッケルおよび/またはニッケル化合物が存在しているセラミック粉末を得ることができる。
上述の熱処理において付与される温度は、500℃以上かつ1000℃以下であることが好ましい。この範囲内であれば、内部電極の薄層化およびカバレージの向上に特に効果がある。なお、熱処理雰囲気が還元性である場合には、ニッケル化合物の一部またはすべてが還元され、その結果、セラミック粉末の表面および/または表面層には、必ずニッケル金属が存在することになる。
セラミック粉末は、その表面および/またはその表面層に、ニッケルおよび/またはニッケル化合物だけでなく、さらに希土類元素化合物を存在させていることが好ましい。希土類元素化合物としては、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、LuおよびYの各化合物のうちの少なくとも1種を用いることができる。セラミック粉末の表面および/または表面層での希土類元素化合物の存在は、内部電極3および4の焼結を抑制する効果をより高温域にまで持続させることを可能にする。希土類元素は、ニッケルおよび/ニッケル化合物がセラミック粉末の表面上または表面層中により留まりやすくするように作用するためであると考えられる。
このように、表面および/または表面層にニッケルおよび/またはニッケル化合物だけでなく希土類元素化合物をも存在させているセラミック粉末は、セラミック粉末にニッケルおよび/またはニッケル化合物と希土類元素化合物とを付着させ、次いで、このセラミック粉末に対して、熱処理および粉砕処理を施すことによって得られる。
セラミック粉末にニッケルおよび/またはニッケル化合物と希土類元素化合物とを付着させる方法としては、たとえば、セラミック粉末を水中に分散させたスラリーを作製し、このスラリー中に、ニッケル塩および希土類元素塩を含む溶液とアルカリ水溶液とを投入し、それによって、セラミック粉末にニッケル水酸化物および希土類元素水酸化物を付着させる方法がある。この方法のより具体的な例については、後述する実験例2において記載されている。
セラミック粉末にニッケルおよび/またはニッケル化合物と希土類元素化合物とを付着させる他の方法としては、ニッケルおよび希土類元素を含んだ有機脂肪酸塩溶液を準備し、これを、セラミック粉末を水中に分散させたスラリー中に投入し、十分に分散処理した後、有機溶媒を揮発させて、ニッケルおよび希土類元素を含有する脂肪酸塩をセラミック粉末に付着させる方法がある。この方法のより具体的な例を挙げると、次のとおりである。
まず、たとえばDyおよびNiの脂肪酸塩としてオクチル酸塩を準備する。次に、セラミック粉末としてのチタン酸バリウム粉末50gをアセトン500cc中に分散させ、十分に攪拌することによって、スラリーを作製する。次に、このスラリーに、予め所望の付着量となるように秤量しかつアセトンに溶解させたDyおよびNiオクチル酸塩を投入し、30分間攪拌しし、それによって、オクチル酸塩とスラリーとを十分になじませる。その後、オクチル酸塩とスラリーとの混合物に対してロータリーエバポレータを適用してアセトンを揮発させる。これによって、DyおよびNiのオクチル酸塩が付着したチタン酸バリウム粉末を得ることができる。
以上のような希土類元素化合物を付着させたセラミック粉末の場合であっても、その後の熱処理の温度は、500℃以上かつ1000℃以下であることが好ましい。
この発明に係る導電性ニッケルペーストに含まれるセラミック粉末の粒径は50nm以下であることが好ましい。50nmを超えると、内部電極の薄層化および内部電極のカバレージの向上といった効果を阻害することがあるからである。
また、この発明に係る導電性ニッケルペーストに含まれるニッケル粉末の粒径は0.2μm以下であることが好ましい。ニッケル粉末の粒径をこのように選ぶことにより、導電性ニッケルペースト膜の厚みを0.25〜0.3μmにまで薄くすることができ、その結果、内部電極の薄層化がより容易になるためである。
なお、本件明細書において、種々の粉末についての「粒径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)写真で測定した、1000個の対象についての粒径を算術平均して求めた平均値である。
次に、この発明による効果を確認するために実施した実験例について説明する。
1.実験例1
導電性ニッケルペーストに含有されるべきセラミック粉末として、表1に示すような各試料に係るセラミック粉末を準備した。
Figure 0004862653
表1において、「セラミック粉末種」は、用いられたセラミック粉末を構成するセラミックの組成を示している。「ニッケル成分量」は、セラミック粉末の表面および/または表面層に存在しているニッケル成分の、セラミック粉末100モル部に対するモル比率を示している。
まず、表1の「セラミック粉末種」に示した組成を有する粒径30nmのセラミック粉末を水に分散させたスラリーを作製した。次いで、スラリー中に、塩化ニッケルを水に溶解したものと、水酸化ナトリウムを水に溶解したものとを、それぞれ、10cm3 /分で投入しながら、これらを混合し、中和反応を起こさせることによって、セラミック粉末の表面にニッケル水酸化物を付着させた。
上述したような水溶液の投入を終えた後、10〜30分間熟成させ、その後、反応液の上澄みを純水で数回置換し、粉末を洗浄した。さらに、水分をアセトンで置換した後、粉末を、80℃の温度に設定されたオーブンで約2時間保持して乾燥させた。
この段階で、セラミック粉末の表面を、透過型電子顕微鏡(TEM)およびそれに付属しているエネルギー分散型X線分光による組成分析装置(EDX)で調べたところ、セラミック粉末の表面にニッケル水酸化物が付着していることが確認できた。なお、EDXによってニッケル水酸化物と推定されるものからも、「セラミック粉末種」がたとえばBaTiO3 の場合には、BaやTiが検出されている箇所もあったが、これは、分析領域がBaTiO3 粉末にもかかってしまったためであり、この段階で、ニッケルとBaTiO3 粉末とが反応していることはなかった。また、Cuがわずかに検出されたが、これは、TEM観察に際してセラミック粉末を固定するためのCuメッシュに由来するものであった。
なお、表1に示した試料17は、比較例となるもので、セラミック粉末として、ニッケル成分が表面あるいは表面層に存在しないBaTiO3 粉末を用いたものである。したがって、試料17については、上述のようなニッケル水酸化物の付着処理や後述する熱処理を行なわなかった。
また、試料2は、前述のように乾燥されたニッケル水酸化物が付着したセラミック粉末を用いるものであるが、これについても、以下のような熱処理を行なわなかった。
上記試料2および17を除く、試料1および3〜16については、前述のように乾燥されたニッケル水酸化物が付着したセラミック粉末を、表1の「熱処理温度」および「熱処理時間」にそれぞれ示した温度および時間をもって、大気中において熱処理した。
なお、試料12については、この熱処理の後、セラミック粉末を、800℃の温度であって、酸素分圧(PO2 )[MPa]がlog(PO2 )=−16となるような還元性雰囲気中において3時間熱処理した。
次に、上述のように熱処理を施した試料1および3〜16については、熱処理後において、ボールミルで12時間粉砕処理を行なった。
表1の「ニッケル成分の存在状態」の欄には、ニッケル成分の「形態」および「存在場所」が示されている。
ニッケル成分の「形態」に関して、「酸化物」と表示されているのは酸化ニッケルであり、「水酸化物」と表示されているのは水酸化ニッケルであり、「金属」と表示されているのは金属ニッケルである。なお、これらのニッケル成分の「形態」は、熱処理温度とそれに対応する平衡酸素分圧とから推定したもので、たとえば、大気中において1000℃の温度で熱処理した場合、平衡酸素分圧からは当然酸化物となっていると推定できるため、表1では「酸化物」と表示している。
ニッケル成分の「存在場所」については、TEM観察によって、セラミック粉末の表面に付着しているままか、あるいは反応して固溶(拡散)しているかを確認したもので、「表面」と示したものは、セラミック粉末の表面に付着していることを示し、「表面層」と表示したものは、セラミック粉末の表面層に固溶(拡散)していることを示している。
次に、粒径0.15μmのニッケル粉末を用意し、このニッケル粉末と表1に示した各試料に係るセラミック粉末とを、90:10の重量比となるように調合した。他方、エチルセルロース系バインダとテルピネオールとが10:90の重量比となるように調合された有機ビヒクルを用意し、前述した粉末成分とこの有機ビヒクルとテルピネオールとを、50:40:10の重量比になるように調合し、3本ロールミルにより入念に分散混合処理を行なうことによって、良好な分散状態の各試料に係る導電性ニッケルペーストを得た。
他方、公知の組成であるBaTiO3 系の非還元性誘電体セラミック組成物の粉末に、ポリビニルブチラール系バインダおよびエタノール等の有機溶剤を加えて、ボールミルにより湿式混合して、セラミックスラリーを作製した。次いで、このセラミックスラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、厚み5.0μmのセラミックグリーンシートを得た。
次に、セラミックグリーンシート上に、前述した各試料に係る導電性ニッケルペーストをスクリーン印刷し、内部電極となる導電性ニッケルペースト膜を形成した。このとき、スクリーンパターンの厚みを調整することによって、導電性ニッケルペースト膜の厚みが0.5μmとなるようにした。
次に、複数のセラミックグリーンシートを積層しかつ圧着することによって、内部電極となる導電性ニッケルペースト膜が10層形成された積層ブロックを作製し、この積層ブロックを所定の寸法にカットして、積層セラミックコンデンサの部品本体となる生の積層体を得、これを還元性雰囲気中において1150℃の温度で焼成し、焼結した部品本体を得た。
このようにして得られた各試料に係る部品本体について、内部電極のカバレージおよび内部電極の厚みをそれぞれ測定した。その結果が、表1の「内部電極カバレージ」および「内部電極厚み」の各欄にそれぞれ示されている。
表1を参照して、試料1〜16によれば、内部電極の厚みが薄くても、高いカバレージが得られていることがわかる。特に、ニッケル成分量が5〜100モル部である試料1〜14によれば、内部電極の薄層化およびカバレージの向上についての効果がより高いことがわかる。
また、試料1〜11と試料12とを比較すれば、セラミック粉末の表面および/または表面層に存在しているニッケル成分がニッケル化合物であっても金属ニッケルであっても、内部電極の薄層化およびカバレージの向上について実質的に同様の効果を発揮し得ることがわかる。
また、試料1〜12と試料13と試料14とを比較すれば、セラミック粉末の組成に関わらず、内部電極の薄層化およびカバレージの向上について実質的に同様の効果があることがわかる。
他方、試料17によれば、セラミック粉末の表面または表面層にニッケル成分が存在していないため、内部電極の厚みが厚く、カバレージも低いことがわかる。
2.実験例2
導電性ニッケルペーストに含有されるべきセラミック粉末として、表2に示すような各試料に係るセラミック粉末を準備した。
Figure 0004862653
表2の「セラミック粉末」における「種類」は、用いられたセラミック粉末を構成するセラミックの組成を示し、同「粒径」は、用いられたセラミック粉末の粒径を示している。「ニッケル成分量」は、セラミック粉末の表面および/または表面層に存在しているニッケル成分の、セラミック粉末100モル部に対するモル比率を示している。「希土類元素」における「種類」は、セラミック粉末の表面および/または表面層に存在している希土類元素化合物に含まれる希土類元素の種類を示し、同「成分量」は、希土類元素化合物の、セラミック粉末100モル部に対するモル比率を示している。
まず、表2の「セラミック粉末」に示した組成および粒径を有する50gのセラミック粉末を1リットルの純水に分散させ、十分に攪拌することによって、スラリーを作製した。
他方、塩化ニッケルと希土類元素の塩化物とが溶解した水溶液、ならびに水酸化ナトリウム水溶液を準備した。ここで、前者の塩化ニッケルと希土類元素の塩化物とが溶解した水溶液については、セラミック粉末100モル部に対して、表2の「ニッケル成分量」に示したモル部をもって塩化ニッケルが含まれ、かつ、表2の「希土類元素」の「種類」に示した希土類元素の塩化物が同「成分量」に示したモル部をもって含まれるようにした。後者の水酸化ナトリウム水溶液については、セラミック粉末100モル部に対して、0.1モル部の水酸化ナトリウムが含まれるようにした。
次に、上記スラリーを十分に攪拌しながら、スラリー中に、塩化ニッケルと希土類元素の塩化物とが溶解した水溶液と、水酸化ナトリウム水溶液とを、10cm3 /分で投入しながら、これらを混合し、中和反応を起こさせることによって、セラミック粉末の表面にニッケル水酸化物および希土類元素水酸化物を付着させた。なお、このとき、塩化ニッケルと希土類元素の塩化物とが溶解した水溶液と水酸化ナトリウム水溶液との投入量を互いに同量とするため、前者の水溶液中における、塩化ニッケルおよび希土類元素の塩化物の濃度を調整した。
上述したような水溶液の投入を終えた後、10〜30分間熟成させ、その後、反応液の上澄みを純水で数回置換し、粉末を洗浄した。さらに、水分をアセトンで置換した後、粉末を80℃の温度に設定されたオーブンで約2時間保持して乾燥させた。
以上のような処理を施した各試料に係る粉末を、表2の「熱処理温度」、「熱処理雰囲気」および「熱処理時間」の各欄に示した条件で熱処理した。なお、試料38および39については、N2 雰囲気中において1000℃の温度で2時間熱処理した後、0.1%H2 +N2 の雰囲気中において500℃の温度で3時間熱処理した。
その後、各試料に係る粉末をボールミルで12時間で粉砕処理した。
表2の「ニッケル成分の存在状態」および「希土類成分の存在状態」の各欄には、表1の対応の欄の場合と同様の要領で、それぞれ、ニッケル成分の「形態」および「存在場所」、ならびに希土類元素成分の「形態」および「存在場所」が示されている。
次に、表2に示した各試料に係るセラミック粉末を用いて、実験例1の場合と同様の操作を実施することによって、導電性ニッケルペーストを得た。
他方、実験例1の場合と同様の操作を経て、厚み5.0μmのセラミックグリーンシートを作製し、次いで、セラミックグリーンシート上に、各試料に係る導電性ニッケルペーストからなる厚み0.5μmの導電性ニッケルペースト膜を形成し、次に、複数のセラミックグリーンシートの積層および圧着工程、積層ブロックのカット工程を順次実施し、得られた生の積層体を焼成することによって、焼結した部品本体を得た。
このようにして得られた各試料に係る部品本体について、実験例1の場合と同様の方法によって、内部電極のカバレージおよび内部電極の厚みをそれぞれ測定した。その結果が表2の「内部電極カバレージ」および「内部電極厚み」の各欄にそれぞれ示されている。
表2において、試料21〜26の間では、ニッケル成分量が異ならされている。したがって、試料21〜26の間で比較すれば、ニッケル成分量の違いによる効果の大小を把握することができる。すなわち、ニッケル成分量が1〜100モル部の範囲にある試料23〜26において、ニッケル成分量が1モル部未満の試料21および22と比較して、内部電極のカバレージが向上し、かつ内部電極の薄層化が図られていることがわかる。
試料27〜30の間では、希土類元素であるDyの成分量が異ならされている。したがって、試料27〜30の間で比較すれば、希土類元素成分量の違いによる効果の大小を把握することができる。すなわち、希土類元素成分量が0.01〜10モル部の範囲内にある試料28〜30によれば、0.01モル部未満の試料27に比べて、内部電極カバレージが向上し、かつ内部電極の薄層化が図られていることがわかる。
なお、表2では示されていないが、希土類元素としてのDyの成分量が15モル部と多くされた場合、得られた積層セラミックコンデンサの誘電率温度特性がJIS規格のB特性を満たさないという不具合が生じた。このことと前述したこととから、希土類元素の成分量は、0.01〜10モル部の範囲内であることが好ましいことがわかる。
試料31〜34の間では、熱処理温度が異ならされている。したがって、試料31〜34の間で比較すれば、熱処理温度についての好ましい範囲を見出すことができる。すなわち、熱処理温度が500〜1000℃の範囲内にある試料32および33において、内部電極カバレージおよび内部電極厚みについて特に良好な結果が得られている。熱処理温度が300℃と低い試料31では、ニッケルの拡散が十分に進まず、低温度域でニッケルの還元が進み、このことが、内部電極カバレージの向上および内部電極の薄層化に対して十分な効果を及ぼし得なかった理由と考えられる。他方、熱処理温度が1200℃と高い試料34では、粒成長が進みすぎ、微粒な誘電体が得られなかったため、内部電極カバレージの向上および内部電極の薄層化に対して十分な効果が得られなかったと考えられる。
試料35〜37の間では、セラミック粉末の粒径が異ならされている。したがって、試料35〜37の間で比較すれば、セラミック粉末の粒径の違いによる効果の大小を把握することができる。すなわち、セラミック粉末の粒径がそれぞれ10nmおよび50nmである試料35および36では、内部電極カバレージの向上および内部電極の薄層化に対して比較的大きな効果が得られているが、セラミック粉末の粒径が70nmと大きい試料37では、これらの効果が比較的小さくなっていることがわかる。
試料38および39は、他の試料と比較して、還元処理を熱処理段階で行なった点で異なっている。これら試料38および39と他の試料とを比較すれば、還元処理を加えても、このような還元処理を施さない場合と実質的に同様の効果が得られることがわかる。なお、還元処理は、セラミック粉末に十分拡散しなかった余分のニッケル化合物を予め還元しておくことで、焼成時のニッケル化合物収縮に伴う内部電極の収縮を抑制することを目的としている。
試料40では、セラミック粉末として、チタン酸バリウムの代わりに、Tiの一部をZrに置換した材料からなるものを用いている。この試料40と他の試料とを比較すれば、セラミック粉末として、チタン酸バリウムの代わりに、Tiの一部をZrに置換した材料からなるものを用いても、実質的に同様の効果が得られることがわかる。
試料41では、希土類元素成分が含まれていない。この試料41と、希土類元素の含有の点でのみ異なる試料25、29、30、33および36とを比較すれば、希土類元素化合物の含有によって、内部電極カバレージの向上および内部電極の薄層化の効果が一層高められることがわかる。

Claims (9)

  1. ニッケル粉末と、その表面にニッケル化合物を付着させ、さらにその表面にニッケルを付着させているセラミック粉末と、有機ビヒクルとを含む、導電性ニッケルペースト。
  2. 前記ニッケル化合物は、水酸化ニッケルおよび/または酸化ニッケルである、請求項1に記載の導電性ニッケルペースト。
  3. ニッケル粉末と、その表面層にニッケル化合物を拡散させているセラミック粉末と、有機ビヒクルとを含む、導電性ニッケルペースト。
  4. 前記ニッケル化合物は、酸化ニッケルである、請求項3に記載の導電性ニッケルペースト。
  5. 前記ニッケルおよび/またはニッケル化合物の量は、前記セラミック粉末100モル部に対して、5〜100モル部である、請求項1または3に記載の導電性ニッケルペースト。
  6. 前記セラミック粉末の表面および/または表面層に、さらに希土類元素化合物が存在している、請求項1または3に記載の導電性ニッケルペースト。
  7. 前記ニッケルおよび/またはニッケル化合物の量は、前記セラミック粉末100モル部に対して、1〜100モル部である、請求項6に記載の導電性ニッケルペースト。
  8. 前記希土類元素化合物の量は、前記セラミック粉末100モル部に対して、0.01〜10モル部である、請求項6に記載の導電性ニッケルペースト。
  9. 前記セラミック粉末の粒径が50nm以下である、請求項1ないし8のいずれかに記載の導電性ニッケルペースト。
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