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JP4865487B2 - シリンダ錠 - Google Patents
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本発明は、シリンダ錠に関するものである。
ドリルによる破壊操作を防止するために先端に硬質のキャップ部材を装着したシリンダ錠としては、特許文献1に記載されたものが知られている。
この従来例において、鍵(解錠キー)を挿入するための鍵孔(キー挿通孔)を備えて固定ケース(シリンダケース)に挿入されるロータ(プラグ本体)の先端には保護ディスク(硬質キャップ)が装着される。保護ディスクは耐ドリル切削性に優れた硬質材料により形成され、鍵孔から挿入したドリルによるロータの破壊が防止される。
特許第2881002号公報
しかし、上述した従来例において、硬質材料は一般に脆性を有するために、例えば、保護ディスクに開設された鍵挿入孔(キー挿入開口)にドライバ等の工具の先端を挿入して撃力を加えると、脆性破壊が発生する可能性がある。一旦保護ディスクが破断すると、ロータの鍵孔へのアクセスが可能になるために、例えばドリル等による攻撃を防止できない。
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、不正な攻撃に対する耐性の高いシリンダ錠の提供を目的とする。
本発明によれば上記目的は、
長手通しに形成されたキー挿通孔1に向けて進退自在なタンブラ2を保持したプラグ本体3の前端に、前記キー挿通孔1に連通するキー挿入開口6を備えた硬質キャップ4を装着したプラグ5を有し、
前記プラグ本体3の前端面と、硬質キャップ4との間には、硬質金属材料により前記プラグ本体3および硬質キャップ4とは別体に形成され、キー挿通孔1に連通し、キー挿入開口6にほぼ合同な連通開口7を中央部に備えた補強部材8が介装されるとともに、
前記硬質キャップ4には、補強部材8の外周を全周に亘って包囲する突条9が突設されるシリンダ錠を提供することにより達成される。
また、上記目的は、
長手通しに形成されたキー挿通孔1に向けて進退自在なタンブラ2を保持したプラグ本体3の前端に硬質キャップ4を装着したプラグ5を有し、
前記プラグ本体3の前端面と、キー挿通孔1に連通するキー挿入開口6を備えた硬質キャップ4との間には、キー挿通孔1に連通し、キー挿入開口6にほぼ合同な連通開口7を中央部に備えた補強部材8が介装されるとともに、
前記硬質キャップ4には、補強部材8の外周を全周に亘って包囲する突条9が突設されるシリンダ錠を提供することにより達成することが可能である。
プラグ本体3の前端に装着される硬質キャップ4は、ドリル等の切削工具に対して十分な耐性を有しており、プラグ本体3に対するドリルを使用した攻撃を防止することができる。
硬質キャップ4には、解錠キーをプラグ本体3に挿入するためのキー挿入開口6が開設され、突条9は、このキー挿入開口6を全周に亘って包囲するように形成されることにより、キー挿入開口6が設けられる領域周縁に肉厚部を形成する。
硬質キャップ4のキー挿入開口6にドライバ等の工具の先端を挿入して打撃を加えた場合、キー挿入開口6の隅角部等、応力集中箇所に発生したクラックは工具の挿入に伴って外周方に伝搬するが、キー挿入開口6周辺の肉厚に比して厚肉な突条9は、クラックの伝搬方向に対して直交する方向の肉質部を提供することにより、クラック進行の規制を期待できる。
また、クラックを材端まで伝搬させて硬質キャップ4を破断するためには、工具によりキー挿入開口6をさらに押し広げることが必要であり、キー挿入開口6とほぼ同一形状、寸法を有する補強部材8の連通開口7を押し広げる必要がある。補強部材8は硬質キャップ4と別体に形成されるために、連通開口7を押し広げるためには、新たに連通開口7にクラックを発生させ、あるいは塑性変形を与える力が必要がある。このための力は一旦発生したクラックの伝搬に要する力に比して大きなために、硬質キャップ4におけるクラック進行は上記補強部材8によって規制される。
したがってこの発明において、シリンダ錠先端部へのドリル切削攻撃に加え、塑性破壊操作による攻撃に対しても大きな耐性を発揮することができるために、不正破壊操作に対する耐性を高めることができる。
また、上記硬質キャップ4の拡径方向の変位をシリンダケース12により規制すると、クラック開口の広がりが防止されるために、クラック伝播が規制される。
さらに、硬質キャップ4への破壊操作に対する耐性を高めるために、シリンダ錠は、
前記補強部材8とプラグ本体3とは、連結ピン11により回転方向に連結されるとともに、連結ピン11破断状態において相対回転自在であり、
補強部材8と硬質キャップ4間は、硬質キャップ4の突条9と補強部材8とに形成された回り止め部10により回転方向に連結されるように構成することができる。
この発明において、硬質キャップ4に対するドリルによる穿孔、あるいは硬質キャップ4へのパイプレンチ等を使用した強制回転操作等、硬質キャップ4への不正破壊操作が行われると、硬質キャップ4に加えられた回転トルクは回り止め部10を介して補強部材8に伝達される。施錠状態においてプラグ本体3はシリンダケース12に対して回転不能であるために、上記回転トルクはプラグ本体3と補強部材8との境界に発生し、プラグ本体3と補強部材8との相対回転を規制している連結ピン11に剪断力として作用する。
連結ピン11の剪断強度を上述した不正破壊操作による発生トルクに設定しておくと、硬質キャップ4に不正は開操作が加えられると、連結ピン11が破断してプラグ本体3と補強部材8、すなわち、硬質キャップ4がプラグ本体3に対して空転し、以後、硬質キャップ4への不正破壊操作が完全に不能となる。
また、連結ピン11は、補強部材8とプラグ本体3との境界に配置されるために、硬質キャップ4に連結ピン11を受容するための凹部を設ける必要がない。この結果、硬質キャップ4に不要な薄肉部を形成することによる新たなクラック伝播経路の発生を防止できる。
本発明によれば、プラグ前端に硬質キャップを配置することにより、プラグへの不正な破壊操作を確実に防止することができる。また、硬質キャップとプラグ本体との間に補強部材を配置することにより、硬質キャップの不正破壊に対する耐性も向上させることができる。
図1に自動車のハンドル装置に使用されたシリンダ錠を示す。この実施の形態において、ハンドル装置は、ドアに固定されるハンドルベース14と、ハンドルベース14に連結されるハンドル本体15とを備える。ハンドル本体15は、図1において実線で示す初期位置と、鎖線で示すドア開放操作位置との間で回転軸15a周りに回転操作可能であり、ハンドルベース14には、初期位置におけるハンドル本体15の背面に手を回すための手掛けスペースを提供する手掛け凹部14aが形成される。
ドアに固定した状態でハンドル本体15を回転操作位置まで回転させると、ドア内に配置される図外のドアロックの車体側との係止が解除され、ドアを開放操作することができる。
シリンダ錠は、ハンドル本体15による上記ドアロックへの操作を禁止、あるいは許容するためにドア内に配置される施錠部(図示せず)を操作するためにハンドルベース14に固定される。この実施の形態において、施錠部へのアクセス手段として、上述したシリンダ錠に加え、図外の認証手段における認証成立を条件に駆動されるアクチュエータを使用した電気的アクセス手段が用意され、シリンダ錠は、予備的アクセス手段として使用される。
図2以下にシリンダ錠を示す。シリンダ錠は、シリンダケース12内にプラグ5を回転自在に挿入して形成され、アダプタ16を介してハンドルベース14に固定される。アダプタ16はシリンダケース12が挿入する筒部16aの外周から固定翼片16bを突出させて形成され、固定翼片16bにおいてハンドルベース14に固定される。アダプタ16の筒部16a前端には、挿入されるシリンダケース12との間隙を閉塞するためのOリング16cが装着される。
プラグ5は、長手通しに形成されたキー挿通孔1に向けて進退可能な複数のタンブラ2を保持するプラグ本体3と、プラグ本体3の前方に配置される硬質キャップ4と、プラグ本体3と硬質キャップ4との間に介装される補強部材8とを有する。硬質キャップ4と補強部材8には、プラグ本体3のキー挿通孔1に連通するキー挿入開口6と連通開口7とが各々形成される。
プラグ本体3が施錠回転位置にあるときにプラグ本体3のタンブラ2は、シリンダケース12側に配置され、圧縮スプリング12aによりプラグ本体3側に付勢されるドライブピン12bに正対してキー挿通孔1内に突出する。解錠キー17を挿入しない状態、あるいは真正でない解錠キー17をキー挿通孔1に挿入した状態でドライブピン12bはシリンダケース12とプラグ本体3との回転境界に位置して当該回転境界を閉塞し、プラグ本体3への回転操作を規制する。この施錠状態から図3(b)に示すように、真正な解錠キー17を挿入すると、ドライブピン12bとタンブラ2との境界がシリンダケース12とプラグ本体3との回転境界に移動し、プラグ本体3への回転操作が可能になる。なお、図2において12cはドライブピン12bの飛び出しを規制するためのカバープレートを示す。
硬質キャップ4は、クロムモリブデン鋼等のドリル等による耐切削性能の良好な硬質金属材料により形成される。この硬質キャップ4は、シリンダケース12の前端部に外嵌され、シリンダケース12の外周壁と硬質キャップ4の内周壁との間に介装されるC形止め輪18を使用して空転自在に装着される。
硬質キャップ4は、前端中心部から突出し、後述するキャップ部材の雌ねじがねじ込まれる雄ねじが切られる突部4aと、プラグ本体3側に向けて突出するリング状の突条9とを備える。図4(b)に示すように、突条9は外周壁がプラグ本体3の回転中心と同心の円形で、内周壁がキー挿入開口6の辺縁に接触しない大きさに形成される。また、この突条9の外周は、シリンダケース12から突設されるリング状の規制壁13に摺接し、拡径方向の移動が規制される。
補強部材8は、上記突条9に周囲を囲まれて硬質キャップ4に形成される凹部4bに嵌合する板状体であり、硬質キャップ4と同様に硬質金属材料により形成される。補強部材8と凹部4bの外周壁には、平面からなる回り止め部10が形成され、相対回転が禁止される。また、補強部材8は、プラグ本体3の前端面上に載置されており、所定の剪断力により破断する連結ピン11により相互の空転が規制される。
したがってこの実施の形態において、硬質キャップ4に回転トルクが負荷されると、プラグ本体3と、回り止め部10を介して硬質キャップ4への回転トルクが伝達される補強部材8との間に相対回転トルクが発生し、連結ピン11に剪断力が作用する。ドリル等を使用した硬質キャップ4への攻撃の結果、硬質キャップ4に所定の回転トルクが負荷された際には、連結ピン11が剪断破壊し、以後、硬質キャップ4がプラグ本体3に対して空転してさらなる破壊トルクの付与を防止する。
また、硬質キャップ4のキー挿入開口6隅角からのクラックの伝播を抑制することができるために、キー挿入開口6にドライバ等を打ち込んでキー挿入開口6を押し広げ、高質キャップを破壊しようとする不正破壊操作に対して高い体制を破棄することができる。
以上のように構成されるシリンダ錠は、図5に示すように、硬質キャップ4の突部4aをハンドルベース14の手掛け凹部14aに開設された透孔14b内に挿入した姿勢でハンドルベース14に固定される。突部4aは、ハンドル装置を自動車ドアに固定した状態で、図5(a)に示すように、初期位置にあるハンドル本体15の陰に隠れて外部から目視することはできず、ハンドル本体15を回転操作位置まで回転させるとハンドル本体15による視界の遮蔽が解消されて目視可能となる。
さらに、このシリンダ錠の突部4aにはキャップ部材19が着脱自在に装着される。キャップ部材19は、一端が閉塞された筒状部材であり、内周壁に形成された雌ねじを突部4aの雄ねじにねじ込んでシリンダ錠に装着される。キャップ部材19のねじ込み操作を容易にするために、キャップ部材19の閉塞端面には硬貨の板厚よりやや幅広の操作スリット19aが形成される。
キャップ部材19を装着した状態において、シリンダ錠の突部4a全体はキャップ部材19により覆われてキー挿通孔1が完全に閉塞され、プラグ5内への塵埃、水等の侵入が防止される。
また、上記キャップ部材19の外周には、シールリング20が巻装されるとともに、透孔14bの内周壁面は車幅方向に向かうにしたがって漸次拡径するテーパ面とされており、ドア外表面側からキャップ部材19を突部4aにねじ込むと、図5(b)に示すように、シールリング20が透孔14bのテーパ面に圧接して透孔の周縁がシールされ、以後、透孔周縁からパネル内部への漏水等が防止される。
ハンドル装置を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の1B-1B線断面図である。 シリンダ錠の分解斜視図である。 シリンダ錠を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)の3B-3B線断面図である。 シリンダ錠の断面図で、(a)は図3(a)の4A-4A線断面図、(b)は図3(b)の4B-4B線断面図である。 ハンドル本体への取付状態を示す断面図で、(a)はキャップ部材装着前、(b)はキャップ部材装着後を示す。
符号の説明
1 キー挿通孔
2 タンブラ
3 プラグ本体
4 硬質キャップ
5 プラグ
6 キー挿入開口
7 連通開口
8 補強部材
9 突条
10 回り止め部
11 連結ピン
12 シリンダケース
13 規制壁

Claims (4)

  1. 長手通しに形成されたキー挿通孔に向けて進退自在なタンブラを保持したプラグ本体の前端に、前記キー挿通孔に連通するキー挿入開口を備えた硬質キャップを装着したプラグを有し、
    前記プラグ本体の前端面と、硬質キャップとの間には、硬質金属材料により前記プラグ本体および硬質キャップとは別体に形成され、キー挿通孔に連通し、キー挿入開口にほぼ合同な連通開口を中央部に備えた補強部材が介装されるとともに、
    前記硬質キャップには、補強部材の外周を全周に亘って包囲する突条が突設されるシリンダ錠。
  2. 前記補強部材と硬質キャップとを、硬質キャップの突条と補強部材とに形成された回り止め部により回転方向に連結するとともに、補強部材とプラグ本体間を、連結ピンにより回転方向に連結して硬質キャップへの回転操作力に対する抗力を連結ピンに負担させ、
    硬質キャップに過大な回転力が負荷された際に連結ピンを剪断破壊させてプラグ本体に対して空転自在とする請求項1記載のシリンダ錠。
  3. 前記プラグを回転自在に保持するシリンダケースに硬質キャップの拡径を規制する規制壁が設けられる請求項1または2記載のシリンダ錠。
  4. 前記硬質キャップは、シリンダケースに回転自在に連結されてシリンダケースの前端を覆うとともに、前記突条の外周はプラグの回転中心を中心とする円形状に形成され、
    前記規制壁が突条の外周に摺接する請求項3記載のシリンダ錠。
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