JP4872155B2 - Itoパターン付き基板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子等の各種表示装置に用いることのできるITOパターン付き基板、家庭用テレビ及び高度な情報処理端末表示装置としての発光型ディスプレイである有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板および有機エレクトロルミネッセンス表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラットパネルディスプレイの一つである有機エレクトロルミネッセンス表示素子(以下、エレクトロルミネッセンスをELと称す)は、有機発光媒体を陽極と陰極で挟持した構造になっており、電流を流すとことで発光が起こる。発光媒体としては、通常、複数の有機媒体層を積層したものが用いられる。自己発光型であるため高輝度、高視野角でありかつ低電圧駆動という特徴を有している。
【0003】
有機EL表示素子としては、複数の透明陽極ラインと複数の陰極ラインを交差させたマトリクス構造が用いられる。基板上に透明陽極ラインを形成し、発光媒体を挟んで透明陽極ラインと交差するように少なくとも陰極ラインを形成する。
【0004】
一般に、透明陽極に用いられるのはITO導電膜である。スパッタリング法で作製したITO膜が二種類ある。一種類は基板を加熱しながら成膜することによって作製される(成膜と同時に膜が結晶化する)。もう一種類は基板をITO膜の結晶化温度以下に維持しながらアモルファスのITO膜を形成し、その後パターニングを行ってから、加熱処理をすることによってITOパターンを形成すると同時に比抵抗を低下させる。
【0005】
通常の場合には基板を加熱しながら成膜したITO膜を使用する。しかしこのITO膜の表面に結晶模様が出て、凸凹であり、また、エッチングする時にラインのエッジ部分にギザギザになる特徴がある。このようなITOパターン(ITOラインともいう)の表面に有機発光媒体を形成すると均一の発光膜を得ることができなくなる。また、ITOラインに電圧をかけると、表面の先端部に電界が集中し、素子を破壊し易くするため、素子の寿命が短くなる。これらの問題を解決するために、以下の方法が用いられている。まず、研磨でITOライン表面の凸凹を消す。それから、有機或いは無機膜でITOラインのエッジを覆う。しかし、研磨でITOライン表面を平坦化する方法と有機或いは無機膜でITOラインのエッジを覆う方法を取るときに、工程数が増え、有効発光面積が減り、またトータルの歩留まりを低くし、高コストに繋がってしまう問題がある。
【0006】
基板をITO膜の結晶化温度以下に維持しながら成膜したアモルファスITO膜を使用すると、ITO膜の表面に結晶模様がなく、平坦になり、またエッチングする時にラインのエッジ部分に平坦なテーパになって、後で加熱処理しても変化がない特徴がある。しかし、完全なアモルファスITO膜を作製することが困難で、作製したアモルファスITO膜は中に微結晶構造が混在した膜となる。このような微結晶がITOパターンを形成するエッチングの際に残渣として基板上に残ってしまう。この問題を解決するために、オーバーエッチング法が取られている。つまりエッチング時間を、残渣を殆ど無視できる程度まで延長する。しかし、オーバーエッチングするとサードエッチングも進み、ITOラインを必要以上に細くしてしまう問題がある。なお、エッチングの際の液温はパターニング速度の点から、例えば60℃以上に加熱されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、基板を加熱しながら成膜したITO膜を使用すると、ITOライン表面を平坦化し、ギザギザのエッジを覆うには、工程数が増え、有効発光面積が減り、またトータルの歩留まりを低くし、高コストに繋がってしまう問題があった。また、基板をITO膜の結晶化温度以下に維持しながら成膜したアモルファスITO膜を使用すると、膜中に混在した微結晶がエッチングする時に残渣として基板上に残ってしまう問題があった。
【0008】
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものであり、研磨工程を無くし、短絡防止絶縁層を必要とせず、また残渣のないITOパターン付き基板、有機EL表示素子用基板及び有機EL表示素子を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明において上記課題を解決するために、請求項1としては、基板上に設けられたITOパターンのエッジ部がテーパ状になっており、かつ、基板上の前記パターンが設けられていない部位には実質上微結晶の残渣が存在しないことを特徴とするITOパターン付き基板である。
請求項2としては、InとSnの酸化物をターゲットとして用い、基板温度をITO膜の結晶化温度以下に維持しながら、基板上にスパッタリング法でITO膜を作製し、液温が35℃以下のエッチング液を用いたITO膜のエッチングによりITOパターンを形成した後、加熱処理を施したことを特徴とする請求項1記載のITOパターン付き基板である。
請求項3としては、前記ITOパターンが複数のラインからなるパターンであることを特徴とする請求項1〜2に記載のITOパターン付き基板である。
請求項4としては、請求項1〜3に記載のITOパターン付き基板上に、ITOパターンと交差する方向に延びる複数の隔壁を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板である。
請求項5としては、前記隔壁は上部にひさし、下部にすそを有し、かつ、ひさしよりすその方が長いことを特徴とする請求項4に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板である。
請求項6としては、請求項4〜5に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示素子用基板上に発光用媒体と陰極ラインを設けたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示素子である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1〜図4を使い製造工程に従って詳細に説明する。
【0011】
本発明のITO付き基板及び有機EL表示素子用基板における基板1としては、石英、ガラス、プラスチック等の透光性絶縁基板が使用できる。
【0012】
次に、In2 O3 にSnO2 を10wt%添加した焼結体ターゲットを用い、基板をITO膜の結晶化温度以下に維持しながら、Arガスを導入して、DC或いはRFマグネトロンスパッタリング法でアモルファスITO膜を基板上に形成する。
【0013】
作製したアモルファスITO膜の構造を調べ、膜が完全なアモルファス膜ではなく、結晶ピーク1が観察されることから微結晶が含まれていることがわかる(図1参照)。
【0014】
次に、フォトリソグラフィなどでアモルファスITO膜をパターニングする。加熱した弱酸からなるエッチング液を用いてパターニングした後、SEMで観察を行なうと、基板上の前記パターンが設けられていない部位から微結晶の残渣が観察された。しかし、35℃以下のエッチング液を用いてパターニングした後、SEMで観察を行なうと、基板上の前記パターンが設けられていない部位には実質上微結晶が観察されず、テーパ状の形成されていることがわかる。なお、本明細書で実質上微結晶の残渣が存在しないとは、ITO付き基板を有機エレクトロルミネッセンス表示素子等の製造に用いるとき、特性に影響を与えない程度まで微結晶の残渣が減少していることをいう。
【0015】
次に、パターニングされたアモルファスITOパターンを真空中及び大気中において熱処理を行い、ITO膜の比抵抗を低下させる。その時ITOラインの表面2とエッジ部分3に変化が見られなかった(図2参照)。
【0016】
次に、ガラス基板4上の陽極となるITOパターン5(複数のライン状)と交差するように複数の陰極ライン分離用の隔壁6を形成し、本発明の有機EL表示素子用基板を形成する(図3参照)。前記隔壁はドライプロセスでの有機発光媒体、陰極の分離を行なうものであり、その形状は、上部にひさし、下部にすそを有し、かつ、ひさしよりすその方が長いものであることが好ましい。なお、そのような隔壁の形成は、特開2000−21579に記載されているように、UV吸収材等を分散させた感光性樹脂にライン状のパターンを有するフォトマスクを介して両側からUV光を露光し、現像することにより行なうことができる。
【0017】
その後、有機発光媒体7及び陰極8を蒸着し、最後に、封止層9を形成することによって、本発明の有機EL表示素子を作製する(図4参照)。
【0018】
【実施例】
<実施例1>
In2 O3 にSnO2 を10wt%添加した焼結体ターゲットを用い、基板を室温以下に維持しながら、Arガスを導入して、RFマグネトロンスパッタリング法でアモルファスITO膜を基板上に形成した。
【0019】
スパッタリング装置の到達真空度は10-4Pa以下で、スパッタリング圧力を0.31Paに設定した。ターゲットと基板を対向して配置し、その間の距離は175mmであった。
【0020】
その後、X線回折パターン図に結晶ピークが見られることから、微結晶がアモルファスITO膜に混在していることが確認された(図1参照)。
【0021】
次に、弱酸からなるエッチング液を23℃に維持しながら、アモルファスITO膜をパターニングした。SEMで基板の状況を調べることによって、テーパー状のエッジが形成される(オーバーエッチングがない)と同時に残渣は観察されなかった。
【0022】
その後、ITO膜の比抵抗を低下させるために、大気中で300℃1h時間の加熱処理を行い、ITOパターン(複数のライン状)付き基板を形成した。また、加熱を行ってもITOラインの表面とエッジ部分に変化が見られず、残渣も確認されなかった(図2参照)。
【0023】
<実施例2>
実施例1で作製した微結晶の混在したアモルファスITO膜に対して、エッチング液を35℃に維持しながら、パターニングを行った。SEMで基板の状況を調べても、エッジ部分に変化は見られなかった。
【0024】
<実施例3>
実施例1及び2で作製した陽極となるITOパターン(複数のライン状)付き基板に、UV吸収材等を分散させた感光性樹脂を塗布し、ITOパターンと直角に交差するライン状のパターンを有するフォトマスクを介して両側からUV光を露光し、現像することにより、陽極ITOパターンと交差する複数の陰極ライン分離用の隔壁を形成し、本発明の有機EL表示素子用基板を形成した(図3参照)。
【0025】
その後、有機発光媒体及び陰極を蒸着し、最後に、封止を行うことによって、本発明の有機EL表示素子を作製した(図4参照)。前記有機EL表示素子は、良好な特性を有していた。
【0026】
<比較例>
実施例1で作製した微結晶の混在したアモルファスITO膜に対して、エッチング液を45℃に維持しながら、パターニングを行った。SEMで基板の状況を調べることによって、オーバーエッチングはないが、残渣が観察された。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、微結晶を混在しているアモルファスITO膜をパターニングしても、平坦な表面とエッジを有し、基板上に残渣がないITOパターン付き基板を提供することができる。このような基板上に隔壁を形成すれば、有機EL表示素子用基板を作製でき、さらに発光媒体・陰極・封止層を形成すれば、耐電圧の高い、寿命の長い有機EL表示素子を作製することができる。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】微結晶が混在しているアモルファスITO膜のX線回折パターン図である。
【図2】室温でパターニングされたアモルファスITOラインの表面とエッジ部分のSEM写真である。
【図3】本発明の有機EL表示素子用基板の断面図である。
【図4】本発明の有機EL表示素子の断面図である。
【符号の説明】
1 結晶ピーク
2 ITOラインの表面
3 ITOラインのエッジ部分
4 ガラス基板
5 ITOパターン
6 隔壁
7 有機発光媒体
8 陰極
9 封止層
Claims (2)
- 基板上に設けられたITOパターンのエッジ部がテーパ状になっており、かつ、基板上の前記パターンが設けられていない部位には実質上微結晶の残渣が存在しないことを特徴とするITOパターン付き基板の製造方法であって、
InとSnの酸化物をターゲットとして用い、基板温度をITO膜の結晶化温度以下に維持しながら、基板上にスパッタリング法でITO膜を作製し、液温が35℃以下のエッチング液を用いたITO膜のエッチングによりITOパターンを形成した後、加熱処理を施することを特徴とするITOパターン付き基板の製造方法。 - 前記ITOパターンを複数のラインからなるパターンに形成することを特徴とする請求項1に記載のITOパターン付き基板の製造方法。
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