JP4875253B2 - プリント配線板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スルーホールと非導通孔を有するプリント配線板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板としては、二層以上の導体回路を有するプリント配線板の異なる層の導体回路同士を導通化することにより電気的に接続する孔(本明細書中では「スルーホール」という)と、基板取り付け用や位置合わせ用等に用いられる、導体回路間を導通させない孔(本明細書中では「非導通孔」という)との両方を備えたものがある。
【0003】
このようなスルーホールと非導通孔とが併設されたプリント配線板の製造方法としては、従来、特開平04−62887号公報、特開昭55−102290号公報、特開平9−249718号公報等に開示されるように、一般的に「穴埋め法」と呼ばれる工程によりスルーホールと導体回路とを形成した後、非導通孔を穿設する方法が用いられていた。
【0004】
しかしながら、近年のプリント配線板の微細導体パターン化に伴い、上記のような「穴埋め法」とその後の非導通孔の穿設とを組み合わせた方法では、スルーホール用のスルーホールを穿設した後、非導通孔を別途穿設するので、スルーホール用の孔と非導通孔用の孔との相関位置にズレが生じ、実装部品が装着できなくなるなどの問題が生じている。
【0005】
また、スルーホール用と非導通孔用の各スルーホールを一度の孔あけ加工で穿設することで、それぞれのスルーホールの相関位置のズレを無くする工法も提案されている。
【0006】
このような先行技術としては、特開昭63−128789号公報、特開平10−13017号公報等に開示されるものを挙げることができる。これらの従来技術においては、アルカリ水溶液により剥離する孔埋めインクを用いているものであり、特開平10−13017号公報にはスルーホールが形成されると共にパネルメッキが施された基板にネガ型のレジストインクを塗布すると共にスルーホール用と非導通孔用の各スルーホールにそれぞれネガ型の孔埋めインクを充填する工程と、基板表面の導体パターンと非導通孔用のスルーホールを選択的に露光して硬化する工程と、弱アルカリ溶液による現像によりレジストインク及び孔埋めインクの非露光部分を除去してレジスト層を形成する工程と、エッチングにより基板表面とスルーホール内面のうちレジスト層にて被覆されていない部分の導体を除去する工程と、強アルカリ溶液による処理にてレジスト層を剥離する工程とを含むものである。
【0007】
しかしながら、上記のような従来技術では、スルーホール内に孔埋めインクを充填する場合に、プリント配線板製造用パネル2の表面におけるスルーホール5の周縁部(ホールエッジ)にてインクのひけが生じ、この部分でレジスト層が薄くなってレジスト層の脱落が生じやすいものであった。このため、このようなレジスト層の脱落を防止するためには、孔埋めインクを予め基板の表面から盛り上がるように形成した後、表面の盛りあがり部分を研磨して除去する必要があって、煩雑な手間がかかるものであった。
【0008】
また、現像時に非導通孔となるべきスルーホールに充填された非露光の孔埋めインクを除去する際には、現像に用いるアルカリ溶液等の現像液がスルーホール内に浸透しにくくなり、このためスルーホール内の孔埋めインクを除去するのが困難なものであり、スルーホール内の孔埋めインクを現像除去するためには十分な現像処理が必要となって、このときレジスト層の露光部分も一部除去されてしまう場合があった。このため、回路幅の狭い導体回路を形成する際には断線不良が生じやすくなり、高密度の導体回路(導体パターン)を形成することは困難であった。
【0009】
またエッチング処理後の剥離工程においては、ネガ型のインクの剥離は剥離液(強アルカリ溶液)によって硬化したインクが膨潤する過程を経るものであり、このためスルーホール内でインクが膨潤することにより、スルーホールからインクが剥離されなくなる場合があった。
【0010】
また、特開昭62−287694号公報には、エッチングレジスト層の形成材料と孔埋めインクの内の何れか一方のみとして、有機溶剤で剥離するタイプのインクを使用するものが開示されており、このようなインクを用いれば選択的なインクの除去、剥離が可能となるが、有機溶剤を使用するため作業環境の悪化や、排水処理が困難となるという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、スルーホールと非導通孔の形成のための貫通孔の形成を同時に行うことができ、かつエッチングレジスト形成時のレジストの脱落やレジストの剥離時のスルーホール内におけるレジストの残存等の不良発生を防止して高密度の導体回路を形成することができるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係るプリント配線板の製造方法は、貫通孔17の内面に導体被覆7を施して形成されるスルーホール5を有すると共に表面に導体層6が形成されたプリント配線板製造用パネル2に対して、ポジ型感光性レジスト液を塗布して第一被膜8を形成する第一被膜形成工程と、第一被膜8が形成されたプリント配線板製造用パネル2に更にポジ型感光性レジスト液を塗布して第二被膜9を形成する第二被膜形成工程とを経ることによりプリント配線板製造用パネル2の表面とスルーホール5の内面に第一被膜8と第二被膜9とからなる感光性被膜10を形成し、次いで、プリント配線板製造用パネル2の表面において感光性被膜10に選択的露光を施す表面露光工程と、スルーホール5のうち後工程において非導通孔14に加工されるものの内面において感光性被膜10を露光するスルーホール露光工程と、現像により感光性被膜10の露光部分を除去して残存する感光性被膜10にてレジスト層12を形成する現像工程と、エッチングにより基板表面の導体層6のうちレジスト層12にて被覆されていない部分を除去して導体回路13を形成すると共に非導通孔14に加工されるスルーホール5aの内面の導体被覆7を除去するエッチング工程とを経ることを特徴とするものである。
また、第一被膜形成工程においてはポジ型感光性レジスト液をプリント配線板製造用パネルの表面とスルーホールの内面に塗布し、第二被膜形成工程においてはポジ型感光性レジスト液をプリント配線板製造用パネルの表面のみに塗布することを特徴とするものである。
【0013】
また請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、第一被膜形成工程において使用されるポジ型感光性レジスト液と、第二被膜形成工程において使用されるポジ型感光性レジスト液のうちの、少なくとも一方が、キノンジアジド基含有化合物、アルカリ可溶性樹脂及び有機溶剤を含有するものであることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項3の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、第一被膜形成工程において、プリント配線板製造用パネル2をポジ型感光性レジスト液中に浸漬した後引き上げることによりプリント配線板製造用パネル2の表面とスルーホール5内面にポジ型感光性レジスト液を塗布することを特徴とするものである。
【0015】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの構成に加えて、第一被膜形成工程において、プリント配線板製造用パネル2をポジ型感光性レジスト液中に浸漬した後引き上げることによりプリント配線板製造用パネル2の表面とスルーホール5内面にポジ型感光性レジスト液を塗布した後、送風によりスルーホール5内の過剰なポジ型感光性レジスト液を除去することを特徴とするものである。
【0016】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの構成に加えて、第二被膜形成工程において、ポジ型感光性レジスト液をロール式塗布法にて塗布することを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1,2を示して説明するが、本発明はこの実施の形態に限られるものではない。
【0019】
(プリント配線板製造用パネル作製工程)
まず、複数の導体層6が絶縁層3を介して積層成形されていると共に、貫通孔17の内面に導体被覆7が形成されたスルーホール5を有するプリント配線板製造用パネル2を作製する。
【0020】
図示の例では、プリント配線板製造用パネル2の作製に用いられる基板16は、絶縁層3の上下両面に、銅等からなるシート状の導体4を全面に設けることにより構成されている。
【0021】
この基板16には、図1(a)に示すように、レーザ加工やドリル加工等によって、上下両面に開口する貫通孔17が形成される。
【0022】
次に、貫通孔17の内面を含む基板の全面にめっき処理を施して導体めっき被覆を形成する。この導体めっき被覆の形成にあたっては、まず基板16に対して無電解めっき処理を施した後に、電解めっきを施すなどして、銅めっき被覆などの金属めっき被覆を形成することができる。このとき基板16の上下両面には、図1(b)に示すように、予め形成されているシート状の導体4と、導体めっき被覆とが一体となった導体層6が形成され、貫通孔17の内面には導体めっき被覆のみからなる導体被覆7が形成されて、スルーホール5が形成される。このスルーホール5としては、プリント配線板1の導体回路13間を接続するスルーホール15として加工されもの(スルーホール5b)と、後工程において非導通孔14として加工されるもの(スルーホール5a)とが、共に形成される。これにより、プリント配線板製造用パネル2が得られる。
【0023】
尚、プリント配線板製造用パネル2の作製は、上記の図1(a)(b)に示す過程にて作製するものには限られず、適宜の手法によって作製することができる。例えば、まず、絶縁層3のみからなる基材の所望個所に貫通孔17を穿設し、その後、例えば、無電解めっきと電解めっきの併用により基板の両面に導体層6を形成すると同時に貫通孔17の内面に導体被覆7を形成することにより、プリント配線板製造用パネル2を得ることができる。また、これ以外の種々の公知、慣用の方法でプリント配線板製造用パネル2を作製することもできる。
【0024】
上記のようなプリント配線板製造用パネル2を構成する絶縁層3としては、特に限定されるものではなく、例えば紙基材フェノール樹脂、紙基材エポキシ樹脂、紙基材ポリエステル樹脂、ガラス基材エポキシ樹脂、ガラス基材テフロン(R)樹脂、ガラス基材ポリイミド樹脂若しくはコンポジット樹脂などの合成樹脂基板、アルミニウム若しくは鉄などの金属をエポキシ樹脂などで覆って絶縁処理をした金属系絶縁基板、あるいはアルミナセラッミック、低温焼成セラッミック若しくは窒化アルミニウムセラッミックなどのセラッミック基板からなるもの等、種々の材質からなるものを用いることができる。
【0025】
(第一被膜形成工程)
上記に例示するような工程で作製されたプリント配線板製造用パネル2に対して、ポジ型感光性レジスト液を塗布した後、必要に応じて乾燥することにより、第一被膜8を形成する。乾燥を行う場合には、ポジ型感光性レジスト液が塗布されたプリント配線板製造用パネル2を室温で一定時間放置することもできるが、ポジ型感光性レジスト液の性状によっては、必要に応じて積極的に加熱乾燥を施しても良い。
【0026】
第一被膜8は、図1(c)に示すように、プリント配線板製造用パネル2の上下両面の表面に形成するものであり、このとき第一被膜8はスルーホール5内にも形成することが好ましい。このときスルーホール5内においては、第一被膜8はスルーホール5の内面に形成されるようにし、ポジ型感光性レジスト液にてスルーホール5内が閉塞されないようにする。また、このようにスルーホール5内に第一被膜8を形成する場合は、プリント配線板1のスルーホール15として加工されるスルーホール5bと、非導通孔14に加工されるスルーホール5aの双方共に、第一被膜8を形成する。
【0027】
第一被膜8を形成するにあたってのポジ型感光性レジスト液の塗布方法は特に限定されず、浸漬塗布法(ディッピング法)、ロール式塗布法、スプレー塗布法等の種々の方法により塗布することができる。これらのうちで、特に浸漬塗布法を適用することが好ましく、この場合は、プリント配線板製造用パネル2の表面とスルーホール5の内面とに同時にポジ型感光性レジスト液を塗布することができる。すなわち、プリント配線板製造用パネル2をポジ型感光性レジスト液中に浸漬すると、プリント配線板製造用パネル2の表面にポジ型感光性レジスト液が付着すると共に、スルーホール5内にポジ型感光性レジスト液が浸入し、これによりプリント配線板製造用パネル2の表面とスルーホール5の内面とに同時に第一感光層が形成されるものである。
【0028】
ここで、浸漬塗布法により第一感光層を形成する場合には、プリント配線板製造用パネル2をポジ型感光性レジスト液中から引き上げた後、このプリント配線板製造用パネル2に対してスルーホール5の貫通方向と略平行方向の気流を送風することが好ましい。このときスルーホール5内がポジ型感光性レジスト液にて閉塞されている場合や、スルーホール5内におけるポジ型感光性レジスト液の付着量が多い場合には、スルーホール5内における過剰なポジ型感光性レジスト液が吹き飛ばされて、スルーホール5の閉塞が防止されると共にスルーホール5内におけるポジ型感光性レジスト液の過剰な付着が防止され、スルーホール5内に均一な膜厚を有する第一被膜8が形成されるものである。このときの気流の送風は適宜の手段を用いて行うことができ、例えばファンやブロア等の送風手段を用いることができる。また送風時の送風量はポジ型感光性レジスト液の性状やスルーホール5の寸法等によって適宜設定されるものであり、スルーホール5内に所望量のポジ型レジストインキが残存する条件で送風を行うものである。
【0029】
第一被膜8の形成に使用されるポジ型感光性レジスト液の種類は特に限定されるものではなく、適宜のものを用いることができる。
【0030】
また、特に、ポジ型感光性レジスト液中に含まれる有機溶剤としては、この有機溶剤の全量中に、沸点が120〜220℃の範囲の有機溶剤を20〜60重量%含んでいることが好ましい。この場合は、浸漬塗布法により第一感光層を形成するにあたって、プリント配線板製造用パネル2をポジ型感光性レジスト液中に浸漬した後にインク中から引き上げた際に、スルーホール5内に付着したポジ型感光性レジスト液の急激な乾燥を防止して、過剰なポジ型感光性レジスト液の送風による除去を容易に行うことができ、スルーホール5内に均一な膜厚の第一被膜8を形成することができるものである。このとき上記の有機溶剤の沸点が120℃以上であることから、プリント配線板製造用パネル2をポジ型感光性レジスト液から引き上げた際にプリント配線板製造用パネル2に付着したポジ型感光性レジスト液から有機溶剤が急激に揮発することが抑制されて、送風時にスルーホール5内に付着した過剰なポジ型感光性レジスト液を容易に除去することができるものであり、またこの沸点が220℃以下であることから、ポジ型感光性レジスト液の良好な乾燥成膜性を維持して、第一被膜8を容易に成膜することができるものである。
【0031】
また、このポジ型感光性レジスト液は、粘度を5〜300mPa・sの範囲に調整するか、あるいはチキソトロピー指数が1〜1.4の範囲となるように調整することが好ましい。このようにすると、スルーホール5内に均一な膜厚を有する第一被膜8を容易に形成することができ、また後述する現像工程におけるスルーホール5内からの第一被膜8の除去が容易となるものである。
【0032】
また上記の有機溶剤の沸点及び配合量、粘度、並びにチキソトロピー指数のうち、2以上の条件を満たすポジ型感光性レジスト液を用いると、特に良好な結果が得られるものであり、更に好ましくは3つの条件を全て満たすポジ型感光性レジスト液を用いるものである。
【0033】
(第二被膜形成工程)
第一被膜8が形成されたプリント配線板製造用パネル2には、更にポジ型感光性レジスト液を塗布した後、必要に応じて乾燥することにより、第二被膜9を形成する。乾燥を行う場合には、ポジ型感光性レジスト液が塗布されたプリント配線板製造用パネル2を室温で一定時間放置することもできるが、ポジ型感光性レジスト液の性状によっては、必要に応じて積極的に加熱乾燥を施しても良い。
【0034】
第二被膜9は、図1(d)に示すように、第一被膜8の表面に形成するものであり、このとき第二被膜9はプリント配線板製造用パネル2の上下両面における第一被膜8の表面に形成し、スルーホール5の内面においては第二被膜9を形成しないようにすることが好ましい。
【0035】
第二被膜9を形成するにあたってのポジ型感光性レジスト液の塗布方法は特に限定されず、浸漬塗布法(ディッピング法)、ロール式塗布法、スプレー塗布法等の種々の方法により塗布することができる。これらのうちで、特にロール式塗布法を適用することが好ましく、この場合は、プリント配線板製造用パネル2の両面の表面においてポジ型感光性レジスト液を均一な膜厚に形成すると共に、スルーホール5内へはポジ型感光性レジスト液が殆ど浸入せず、第二被膜9をプリント配線板製造用パネル2の上下両面における表面に形成すると共に、スルーホール5の内面においては第二被膜9を形成しないようにすることができる。
【0036】
またこのときプリント配線板製造用パネル2の表面におけるスルーホール5の周縁部(ホールエッジ)においても十分な膜厚の感光性被膜10を形成することができて、ホールエッジにおけるレジスト層12の脱落を更に確実に防止することができるものである。
【0037】
上記のような第一被膜8と第二被膜9とによって、プリント配線板製造用パネル2の表面及びスルーホール5の内面を被覆する感光性被膜10が形成される。
【0038】
このように感光性被膜10を二段階の塗布工程を経て形成することにより、スルーホール5内の第一被膜8とプリント配線板製造用パネル2表面の感光性被膜10の膜厚を適宜調整することができる。
【0039】
例えば、上記のように、第一被膜形成工程においてはポジ型感光性レジスト液を浸漬塗布法等によってプリント配線板製造用パネル2の表面とスルーホール5の内面に塗布して第一被膜8を形成し、第二被膜形成工程においてはポジ型感光性レジスト液をロール式塗布法等によってプリント配線板製造用パネル2の表面のみに塗布するようにすると、プリント配線板製造用パネル2の表面においては感光性被膜10は第一被膜8と第二被膜9とから形成される。一方、スルーホール5の内面では、第二被膜形成工程では第二被膜9がスルーホール5の内面に形成されないか、スルーホール5内にポジ型感光性レジスト液が僅かに流入して極く薄い第二被膜9が形成されるだけであるので、スルーホール5の内面においては感光性被膜10は第一被膜8のみから形成されるか、あるいは第一被膜8と第二被膜9とから形成されるとしても第二被膜9の膜厚がごく薄い感光性被膜10から構成されることとなり、スルーホール5内の感光性被膜10の膜厚を充分薄くすると共にプリント配線板製造用パネル2表面の感光性被膜10の膜厚を厚く形成することができる。このため、後述する露光工程において、非導通孔14に加工されるスルーホール5a内における感光性被膜10と、プリント配線板製造用パネル2の表面の感光性被膜10の現像時間を近づけることができ、スルーホール5a内とプリント配線板製造用パネル2の表面において感光性被膜10を同時に現像することができる。この点については、露光工程の説明において詳しく説明する。
【0040】
第二被膜9の形成に使用されるポジ型感光性レジスト液の種類は特に限定されるものではなく、適宜のものを用いることができる。
【0041】
また、特に、ポジ型感光性レジスト液中に含まれる有機溶剤としては、この有機溶剤の全量中に、沸点が120〜220℃の範囲の有機溶剤を20〜60重量%含んでいることが好ましく、このため、塗布時にポジ型感光性レジスト液がスルーホール5内に侵入することを更に抑制することができるものである。この場合は、沸点を120℃以上とすることで、特にロール式塗布装置のロール上でのレジスト液の乾燥を防止できるので、用意に均一な膜厚に形成することが可能となり、また沸点を220℃以下とすることで、成膜性の維持と、レジスト液のスルーホール5内への侵入抑制の各効果のバランスが良好なものとなる。
【0042】
また、ポジ型感光性レジスト液中に界面活性剤としてシリコーン系またはフツ素系界面活性剤を0.0001〜5重量%含有させると、第一被膜8の表面にポジ型感光性レジスト液を塗布する際の濡れ性が向上し、塗膜のレベリング性が向上して、特にスルーホール5のホールエッジにおけるポジ型感光性レジスト液の引けの発生が抑制されて、露光後の現像時にプリント配線板1のスルーホール15に加工されるスルーホール5aのホールエッジにおけるレジスト層12に剥離等が生じることがなく、断線の発生を防止して微細な導体回路13の形成が可能となるものである。
【0043】
また、ポジ型感光性レジスト液を粘度100〜3000mPa・sに調整し、あるいはチキソトロピー指数を1〜1.4に調整することでも、ロール式塗布法による塗布時にポジ型感光性レジスト液がスルーホール5内に流れ込む量を更に減少させることができる。
【0044】
また、上記の有機溶剤の沸点及び配合量、粘度、界面活性剤の含有の有無、チキソトロピー指数のうち2つ又は3つ以上が上記の好適な範囲となるときに最適な結果が得られる。
【0045】
(表面露光工程)
表面露光工程では、第一被膜8と第二被膜9から構成される感光性被膜10に対して、選択的露光を施す。
【0046】
本実施形態では、図2(a)に示すように、配線やランド等からなる所望の導体回路13のパターン(導体パターン)が活性エネルギー線Lを遮蔽する非露光部11aとして描画されると共に、他の部分が活性エネルギー線Lを透過させる露光部11bとして形成されたマスクフィルムや乾板等のフォトツール11を用い、このフォトツール11をプリント配線板製造用パネル2の両面において感光性被膜10に接触させ、あるいは一定距離だけ離間させた状態(オフコンタクト)で配置し、プリント配線板製造用パネル2の両面から活性エネルギー線Lを照射することによりフォトツール11を介して感光性被膜10を露光する。このとき、プリント配線板1のスルーホール15に加工されるスルーホール5bの形成位置を非露光部11aにてマスクすることによりこのスルーホール5bの内面における感光性被膜10が露光されないようにする。一方、非導通孔14に加工されるスルーホール5aは非露光部11aにてマスクする必要はなく、図示のようにこのスルーホール5aと合致する部分に露光部11bを形成して、スルーホール5aを露光するようにしても良い。
【0047】
露光に用いる光源は、ポジ型感光性レジスト液を反応させる活性エネルギー線Lを照射するものを用いるものであり、ポジ型感光性レジスト液の種類に応じて、紫外線、可視光、近赤外線等のうち適宜の活性エネルギー線Lを照射する。また感光性被膜10に照射される活性エネルギー線Lのエネルギー量は、ポジ型感光性レジスト液を十分に反応させるための適宜の量とするものであり、例えばプリント配線板製造用パネル2の片面側から照射される活性エネルギー線Lのエネルギー量を5〜2000mJ/cm2として、プリント配線板製造用パネル2の両面から活性エネルギー線Lを照射するものである。
【0048】
尚、選択的露光の手法は、上記のようなフォトツール11を用いる方法に限られるものではなく、適宜の手法を採用することができるものであり、例えばレーザー光等による直接描画法などを用いることもできる。
【0049】
(スルーホール露光工程)
表面露光工程を経たプリント配線板製造用パネル2に対して、非導通孔14に加工されるスルーホール5aの内面における感光性被膜10を露光する。
【0050】
図示の例では、非導通孔14に加工されるスルーホール5aと合致する部分が活性エネルギー線Lを透過させる露光部11bとして形成されると共に、残りの領域に非露光部11aが描画された、マスクフィルムや乾板等のフォトツール11を用い、このフォトツール11をプリント配線板製造用パネル2の両面において感光性被膜10に接触させ、あるいは一定距離だけ離間させた状態(オフコンタクト)で配置し、プリント配線板製造用パネル2の両面から活性エネルギー線Lを照射することによりフォトツール11を介して感光性被膜10を露光する(図2(b))。
【0051】
露光に用いる光源は、表面露光工程と同様に、ポジ型感光性レジスト液を反応させる活性エネルギー線Lを照射するものを用いるものであり、ポジ型感光性レジスト液の種類に応じて、紫外線、可視光、近赤外線等のうち適宜の活性エネルギー線Lを照射する。また感光性被膜10に照射される活性エネルギー線Lのエネルギー量は、ポジ型感光性レジスト液を十分に反応させるための適宜の量とするものであり、例えばプリント配線板製造用パネル2の片面側から照射される活性エネルギー線Lのエネルギー量を5〜2000mJ/cm2として、プリント配線板製造用パネル2の両面から活性エネルギー線Lを照射するものである。
【0052】
尚、選択的露光の手法は、上記のようなフォトツール11を用いる方法に限られるものではなく、適宜の手法を採用することができるものであり、例えばレーザー光等を非導通孔14に加工されるスルーホール5aに直接照射する直接描画法などを用いることもできる。
【0053】
このように感光性被膜10の露光を表面露光工程とスルーホール露光工程とに分けて二段階で行うと、非導通孔14に加工されるスルーホール5aの内面の露光を行うにあたって、露光効率が低いスルーホール5a内面における露光を十分に行うことができ、レジスト層12の形成不良を防止することができる。すなわち、スルーホール5a内面には活性エネルギー線がプリント配線板製造用パネル2の表面よりも照射されにくくなって、プリント配線板製造用パネル2の表面よりもりも露光効率が低いものであるが、を表面露光工程に続いてスルーホール露光工程を経ることにより、スルーホール5aの内面が十分に露光されて、現像時のスルーホール5a内におけるレジスト層12の残存を防止することができるものである。
【0054】
ここで、スルーホール露光工程においてスルーホール5a内を露光する場合は、表面露光工程においてスルーホール5aを露光している場合と、表面露光工程においてスルーホール5a内を露光していない場合とが考えられるが、表面露光工程においてスルーホール5aを露光している場合は、更にスルーホール露光工程においてスルーホール5a内を露光することにより、スルーホール5a内を十分に露光することができるものである。
【0055】
また、表面露光工程において非導通孔14に加工されるスルーホール5a内を露光していない場合は、露光効率の高いプリント配線板製造用パネル2の表面における露光と、露光効率が低いスルーホール5a内面における露光とを、それぞれ異なる露光条件にて行うことができて、プリント配線板製造用パネル2の表面と、スルーホール5の内面において、露光部11b位の違いに応じた好適な条件で露光を行うことができ、スルーホール5a内を十分に露光することができるものである。この場合は、スルーホール5aの内面を十分に露光するためには、表面露光工程の場合よりも露光時の活性エネルギー線Lの光量を増大させることが好ましい。
【0056】
(現像工程)
露光後のプリント配線板製造用パネル2から、フォトツール11を取り外し、感光性被膜10を現像処理することにより、感光性被膜10の露光部分を除去して、残存する感光性被膜10の非露光部分にてレジスト層12を形成する(図2(c))。このときレジスト層12は、プリント配線板製造用パネル2の表面において導体パターンの形状に形成されるものであり、またスルーホール5のうち非導通光14に加工されるスルーホール5aの内面においては感光性被膜10が除去されてレジスト層12が形成されず、プリント配線板1のスルーホール15に加工されるスルーホール5bの内面にはレジスト層12が形成される。
【0057】
現像処理に使用される現像液は、感光性被膜10を形成するポジ型感光性レジスト液の種類に応じたものが用いられ、例えば希アルカリ水溶液、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液等を用いることができる。
【0058】
この現像処理時においては、非導通孔14に加工されるスルーホール5aはポジ型感光性レジスト液にて閉塞されていないことから、スルーホール5a内に現像液が浸入して、スルーホール5a内における感光性被膜10の現像除去が容易に行われる。このため、スルーホール5a内の感光性被膜10の現像除去に要する時間が長くなりすぎて感光性被膜10の非露光部分までもが除去されてしまうような事態が発生することを防止することができるものである。また、このようにスルーホール5内がポジ型感光性レジスト液にて閉塞されていない場合には、プリント配線板製造用パネル2の表面におけるスルーホール5の周縁部(ホールエッジ)に、ポジ型感光性レジスト液の引けが生じにくくなり、このホールエッジで感光性被膜10の膜厚が薄くなりすぎることを防止して、感光性被膜10の脱落を防止することができる。
【0059】
また、上記のように、第一被膜形成工程においてはポジ型感光性レジスト液をプリント配線板製造用パネル2の表面とスルーホール5の内面に塗布し、第二被膜形成工程においてはポジ型感光性レジスト液をプリント配線板製造用パネル2の表面のみに塗布するようにすると、プリント配線板製造用パネル2の表面においては感光性被膜10は第一被膜8と第二被膜9とから構成され、スルーホール5内面においては第一被膜8のみ、あるいは第一被膜8とごく薄い第二被膜9から感光性被膜10が形成されるものであり、このようにすると、スルーホール5内面ではプリント配線板製造用パネル2表面よりも感光性被膜10の厚みが薄く形成されることとなる。この場合には、プリント配線板製造用パネル2を現像液にて処理した場合に、プリント配線板製造用パネル2の表面と非導通孔14に加工されるスルーホール5aの内面とにおける現像時間の差を縮小して、現像処理時の処理効率を向上することができる。すなわち、このスルーホール5a内はプリント配線板製造用パネル2の表面に比べると現像液が接触しにくく、またスルーホール5a内においては現像液は更新されにくいために、スルーホール5a内ではプリント配線板製造用パネル2の表面よりも現像効率が低くなってしまうものであるが、上記のようにスルーホール5a内面における感光性被膜10の厚みをより薄く形成すると、現像効率の低いスルーホール5a内面においても、感光性被膜10の除去に要する処理時間をプリント配線板製造用パネル2の表面において要する処理時間に近づけることができ、プリント配線板製造用パネル2の表面とスルーホール5a内面における現像処理を同時に行うことができて、現像処理に要する全体の処理時間を低減し、処理効率を向上することができるものである。
【0060】
更に、プリント配線板製造用パネル2の表面における感光性被膜10を第一被膜8と第二被膜9とで構成すると、スルーホール5の周縁部(ホールエッジ)における感光性被膜10の膜厚も増大させることができ、この周縁部における感光性被膜10の膜厚が薄くなりすぎることを確実に防止して、ホールエッジにおける感光性被膜10の脱落を防止することができる。
【0061】
従って、形成されたレジスト層12には欠けや脱落が生じず、導体層6の表面を所望の導体回路13の導体パターン状に被覆すると共にプリント配線板1のスルーホール15として形成されるスルーホール5aの内面を被覆するレジスト層12が得られるものであり、次工程のエッチング工程においては、導体層6の導体パターン部分がエッチング液で浸食されないようにすることができるものである。
【0062】
(エッチング工程)
次に、エッチング工程において、エッチング処理によりレジスト層12にて被覆されていない部分の導体層6及び導体被覆7を除去する。これにより、プリント配線板製造用パネル2上における導体層6の残存部分にて所望のパターンを有する導体回路13が形成されると共に、導体被覆7が除去されたスルーホール5aが非導通孔14として形成される。また、レジスト層12にて被覆されることにより導体被覆7が残存するスルーホール5bは、プリント配線板1のスルーホール15として形成される。
【0063】
エッチング処理にて用いられるエッチング液としては、導体層6や導体被覆7を構成する金属の種類に応じた適宜のものを用いることができ、例えば塩化第二鉄水溶液や、塩化第二銅水溶液等を用いることができる。
【0064】
また、上記の各工程の他に、次の剥離工程や再露光工程における処理を施すこともできる。
【0065】
(剥離工程)
エッチング工程によって導体回路13、スルーホール15、非導通孔14が形成されたプリント配線板製造用パネル2に対して、必要に応じてレジスト層12の剥離を行う。剥離処理に用いる剥離液は、レジスト層12を構成するポジ型感光性レジスト液の種類に応じた適宜のものを用いることができ、例えば3%水酸化ナトリウム水溶液等の強アルカリ水溶液を用いることができる。これにより、所望の導体回路13、スルーホール15及び非導通孔14を有するプリント配線板1が得られる(図12(d))。
【0066】
(再露光工程)
ポジ型感光性レジスト液として、キノンジアジド基含有化合物を含有するものを用いた場合には、上記のエッチング工程の後に、レジスト層12に対して再露光を行い、生成されたカルボキシル基にこれと反応可能な基を有する化合物、例えばエポキシ樹脂、イソシアネート化合物等を反応させて、その反応後の被膜を更にその後の工程に利用しても良い。
【0067】
本発明のプリント配線板の製造方法に用いられるポジ型感光性レジスト液は特に限定されるものではないが、第一被膜8と第二被膜9を形成するためのポジ型感光性レジスト液としては、少なくとも一方が、キノンジアジド基含有化合物、アルカリ可溶性樹脂及び有機溶剤を含有する現像可能なポジ型感光性レジスト液であることが好ましく、更に好ましくは、第一被膜8と第二被膜9を形成するためのポジ型感光性レジスト液として、共にこのような組成を有するポジ型感光性レジスト液を用いるものである。このようなポジ型感光性レジスト液は、露光操作が容易で、感度が高く、またアルカリ溶液での現像、剥離が可能な点から、工程操作や作用環境の面で有利なものである。また、これらの成分に加えて、更に界面活性剤を配合することもできる。
【0068】
(I)キノンジアジド基含有化合物
上記のキノンジアジド基含有化合物としては、特に限定するものではないが、オルトベンゾキノンジアジド、パラベンゾキノンジアジド、オルトナフトキノンジアジド、オルトアントラキノンジアジド、オルトピレンキノンジアジド及びこれらの核置換誘導体、例えばオルトベンゾキノンジアジドスルホン酸エステル類、オルトナフトキノンジアジドスルホン酸エステル類、オルトナフトキノンジアジドカルボン酸エステル類などを挙げることができる。そのほか、オルトキノンジアジドスルホニルクロライドと、水酸基、アミノ基をもつ化合物例えばフェノール、p―メトキシフェノール、キシレンフェノール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ナフトール、カテコール、ピロガロール、ピロカテコールオルトカルボン酸又はそのエステル類、ピガロールモノメチルエーテル、ピガロールー1,3−ジメチルエーテル、没食子酸又はそのエステル類、アニリン、ジフェニルアミンなどとの反応生成物を用いることもできる。
【0069】
これらの中でも、感光性を考慮すれば、特にオルトナフトキノンジアジドスルホン酸エステルが好ましい。また、上記の核置換誘導体の生成方法や、オルトキノンジアジドスルホニルクロライドと水酸基、アミノ基をもつ化合物との反応生成物の生成方法は特に限定されるものではなく、公知、慣用の方法によることができる。
【0070】
ポジ型感光性レジスト液中における、キノンジアジド基含有化合物の含有率は、ポジ型感光性レジスト液全成分中で0.5〜30重量%が好ましいものであり、更に好ましくは、1〜20重量%とするものである。これらの範囲において、ポジ型感光性レジスト液には良好な解像性が付与される。
【0071】
(II)アルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂としては特に限定されるものではないが、例えばシェラック、ロジンなどの天然樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールノボラックアルデヒド樹脂、などのノボラック型フェノール樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸−スチレン共重合体、メタクリル酸−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体などの不飽和カルボン酸の単独重合体またはこれと他の共重合し得るモノマーとの共重合体、ポリ酢酸ビニルの部分または完全けん化物を例えばアセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、カルボキシベンズアルデヒドなどのアルデヒドで部分アセタール化した樹脂、ポリヒドロキシスチレンなどが含まれる。更に、例えばセルロースメチルエーテル、セルロースエチルエーテル、などのセルロースアルキルエーテル類をはじめとする有機溶媒可溶性樹脂などを例示できる。
【0072】
上記のアルカリ可溶性樹脂は、ポジ型感光性レジスト液全成分中で2〜60重量%であることが好ましく、3〜40重量%がより好ましく、このようにすると、ポジ型感光性レジスト液にて感光性被膜10を形成した際の、感光性被膜10によるホールエッジや、スルーホール15として加工されるスルーホール5内部における保護性に特に優れるものである。
【0073】
(III)有機溶剤
有機溶剤としては、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル類、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ダイアセトンアルコール等の直鎖、分岐、2級或いは多価のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチル等のアジピン酸エステル類、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等のフタルエステル類、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、スワゾールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶剤、もしくはn−ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、各々単独で又は二以上のものを適宜互いに組み合わせて配合される。
【0074】
これらの有機溶剤のうち、沸点が120〜220℃のものとしては、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
【0075】
上記の有機溶剤の配合量は、ポジ型感光性レジスト液に対して所望の粘度やチキソトロピー指数を与えることができるような、適宜の量とすることができる。
【0076】
(IV)界面活性剤
界面活性剤は、第一被膜8形成用のポジ型感光性レジスト液と、第二被膜9形成用のポジ型感光性レジスト液の、いずれにも配合することができるが、既述のように、特に第二被膜9形成用のポジ型感光性レジスト液に配合することが好ましい。
【0077】
この界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、シリコーン系界面活性剤又はフツ素系界面活性剤が好ましい。
【0078】
シリコーン系界面活性剤としてはアルコール変性シリコーンオイル、フツ素化アルキル基を有する変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどを例示することができる。市販品としては、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製の品番「SH28PA」、「SH29PA」、「SH30PA」、「ST94PA」、信越化学工業株式会社製の品番「KF353」、「X−22−819」、「X−22−820」等を例示することができる。
【0079】
また上記フツ素系の界面活性剤としては、パーフルオロアルキルエタノール、パーフルオロアルコキシレート、パーフルオロアクリルポリオキシエチレンエタノールなどを例示することができ、市販品としては、旭硝子株式会社製の品番「サーフロンS−381」、「S−393」、「SC−101」、「SC−105」、住友スリーエム株式会社製の品番「フロラードFC−430」、「FC−431」、「FC−170C」、大日本インキ化学工業株式会社製の品番「メガファックF−470」、「F−177」等を例示することができる。
【0080】
界面活性剤の配合量は、ポジ型感光性レジスト液に良好な成膜性を与えることができるような適宜の量とすることができるが、特に第二被膜9の形成用のポジ型感光性レジスト液中に配合する場合には、0.001〜2.0重量%とすることが好ましく、このようにすると、第一被膜8の表面に第二被膜9形成用のポジ型感光性レジスト液を塗布する際に特に良好な濡れ性が得られ、第二被膜9の成膜性が向上するものである。
【0081】
上記の(I)〜(IV)の各成分のほかに、ポジ型感光性レジスト液には、必要に応じてレベリング剤、アエロジル等のチキソトロピー剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン等の重合禁止剤、増感剤、ハレーション防止剤、難燃剤、耐めっき性向上剤、消泡剤、酸化防止剤、顔料湿潤剤、有機もしくは無機の顔料及び染料、天然もしくは合成ゴムの粉末等の各種添加剤等を加えてもよい。
【0082】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。尚、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下に使用される「%」は、特に示さない限り、全て重量基準である。
【0083】
(ポジ型感光性レジスト液Aの調製)
キノンジアジド基含有化合物として、ナフトキノン−(1・2)−ジアジド−(2)−5−スルホニルクロライドと2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンのエステル化反応生成物を5部、アルカリ可溶性樹脂としてm−クレゾールノボラック樹脂を30部用い、これらをプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)65部に溶解して、ポジ型感光性レジスト液Aを調製した。
【0084】
このポジ型感光性レジスト液Aは粘度が60mPa・sであり、チキソトロピー指数が1.01であった。
【0085】
(ポジ型感光性レジスト液Bの調製)
キノンジアジド基含有化合物としてナフトキノン−(1・2)−ジアジド−(2)−5−スルホニルクロライドと2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンのエステル化反応生成物を1部、アルカリ可溶性樹脂としてm−クレゾールノボラック樹脂を5部用い、界面活性剤としては大日本インキ化学工業株式会社製の「メガファックF−470」を0.02部を用い、これらをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点149.8℃)93.98部に溶解し、ポジ型感光性レジスト液Bを調製した。
【0086】
このポジ型感光性レジスト液Bは、粘度が5mPa・sであり、チキソトロピー指数が1.1であった。
【0087】
(ポジ型感光性レジスト液Cの調製)
キノンジアジド基含有化合物としてナフトキノン−(1・2)−ジアジド−(2)−5−スルホニルクロライドとピガロールモノメチルエーテルとのエステル化反応生成物を8部用い、アルカリ可溶性樹脂としてm−クレゾールノボラック樹脂を60部用い、界面活性剤としては東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製の「シリコーンSH28PA」を0.8部を用い、これらをジプロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点212℃)31.2部に溶解し、ポジ型感光性レジスト液Cを調製した。
【0088】
このポジ型感光性レジスト液Cは、粘度が300mPa・sであり、チキソトロピー指数が1.1であった。
【0089】
(ポジ型感光性レジスト液Dの調製)
キノンジアジド基含有化合物としてナフトキノン−(1・2)−ジアジド−(2)−5−スルホニルクロライドとピガロールー1,3−ジメチルエーテルとのエステル化反応生成物を30部用い、アルカリ可溶性樹脂としてm−クレゾールノボラック樹脂を20部用い、界面活性剤としては東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製の「シリコーンSH28PA」を1.0部用い、これらをプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)49部に溶解し、ポジ型感光性レジスト液Dを調製した。
【0090】
このポジ型感光性レジスト液Dは、粘度が100mPa・sであり、チキソトロピー指数が1.2であった。
【0091】
(ポジ型感光性レジスト液Eの調製)
キノンジアジド基含有化合物としてナフトキノン−(1・2)−ジアジド−(2)−5−スルホニルクロライドと没食子酸のエステル化反応生成物を5部用い、アルカリ可溶性樹脂としてm−クレゾールノボラック樹脂を20部用い、これらをジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点189℃)75部に溶解して、ポジ型感光性レジスト液Eを調製した。
【0092】
このポジ型感光性レジスト液Eは、粘度が70mPa・sであり、チキソトロピー指数が1.1であった。
【0093】
(ポジ型感光性レジスト液Fの調製)
キノンジアジド基含有化合物としてはナフトキノン−(1・2)−ジアジド−(2)−5−スルホニルクロライドとピガロールモノメチルエーテルとのエステル化反応生成物を10部用い、アルカリ可溶性樹脂としてm−クレーゾールノボラック樹脂を40部用い、界面活性剤としては東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製の「シリコーンSH28PA」を0.02部用い、これらをジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点201.9℃)49.98部に溶解して、ポジ型感光性レジスト液Fを調製した。
【0094】
このポジ型感光性レジスト液Fは、粘度が1000mPa・sであり、チキソトロピー指数が1.1であった。
【0095】
(ポジ型感光性レジスト液Gの調製)
キノンジアジド基含有化合物としてナフトキノン−(1・2)−ジアジド−(2)−5−スルホニルクロライドと2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンのエステル化反応生成物を20部用い、アルカリ可溶性樹脂としてm−クレゾールノボラック樹脂を50部、界面活性剤としては旭硝子株式会社製の「サーフロンS−393」を0.8部用い、これらをプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点121℃)29.2部に溶解して、ポジ型感光性レジスト液Gを調製した。
【0096】
このポジ型感光性レジスト液Gは、粘度が2000mPa・sであり、チキソトロピー指数が1.4であった。
【0097】
(ポジ型感光性レジスト液Hの調製)
キノンジアジド基含有化合物としてはナフトキノン−(1・2)−ジアジド−(2)−5−スルホニルクロライドと2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンとのエステル化反応生成物を3部用い、アルカリ可溶性樹脂としてポリヒドロキシスチレン樹脂を60部用い、界面活性剤としては大日本インキ化学工業株式会社製の「メガファックF−470」を5部用い、これらをプロピレングリコールモノプロピルエーテル(沸点149.8℃)32部に溶解して、ポジ型感光性レジスト液Hを調製した。
【0098】
このポジ型感光性レジスト液Hは、粘度が3000mPa・sであり、チキソトロピー指数が1.1であった。
【0099】
これらのポジ型感光性レジスト液A〜H中における、キノンジアジド基含有化合物、アルカリ可溶性樹脂、界面活性剤及び有機溶剤の含有量、並びにこれらのポジ型感光性レジスト液の粘度及びチキソトロピー指数を、表1にまとめて示す。
【0100】
尚、粘度はB型粘度計(株式会社東京計器製、ローターNo.1又はNo.2、回転数はともに60r.p.m)を用いて25℃で測定し、チキソトロピー指数はB型粘度計(株式会社東京計器製)のローターNo.1により回転数6r.p.mで25℃での粘度を測定し、又はローターNo.2により25℃での回転数6r.p.mと回転数60r.p.mで粘度を測定して計算した。
【0101】
【表1】
【0102】
(実施例1〜8及び比較例1,2)
ガラスエポキシ両面銅張積層板(松下電工株式会社製、品番「R1705」;板厚1.6mm、銅厚18μm、基板サイズ330mm×330mm)にドリル加工を施して直径0.9mmの貫通孔17を1000個、直径0.4mmの貫通孔17を2000個穿設した。直径0.9mmの貫通孔17のうちの800個と直径0.4mmの貫通孔17のうちの1600個をプリント配線板のスルーホール15として加工されるものとし、直径0.9mmの貫通孔17のうちの200個と直径0.4mmの貫通孔17のうちの400個を非導通孔14として加工されるものとする。次いで、無電解銅及び電解銅めっきを施して貫通孔17の内面を含む両面銅張積層板の全面に30μmの銅めっき層を施してスルーホール5を形成し、プリント配線板製造用パネル2を得た。
【0103】
次に、各実施例においては、表2に示す第一被膜8用ポジ型感光性レジスト液中にプリント配線板製造用パネル2を浸漬した後に引き上げ、0.5mPaの送風圧で送風してスルーホール5内の過剰なポジ型感光性レジスト液を除去した後、乾燥機にて80℃で30分乾燥することで、プリント配線板製造用パネル2の両面の表面とスルーホール5の内面に第一被膜8を形成した。
【0104】
続いて表2に示す第二被膜9用のポジ型感光性レジスト液を、横型両面ロールコーター(株式会社ファーネス製)を用いてプリント配線板製造用パネル2の表面上の第一被膜8上に塗布し、乾燥機にて80℃で30分乾燥することで第二被膜9を形成し、これによりプリント配線板製造用パネル2に第一被膜8及び第二被膜9からなる感光性被膜10を形成した。
【0105】
また、比較例1については、上記プリント配線板製造用パネル2を表2に示す第一被膜8用ポジ型感光性レジスト液中にプリント配線板製造用パネル2を浸漬した後に引き上げた後、乾燥機にて80℃で30分乾燥することで、プリント配線板製造用パネル2の両面の表面とスルーホール5の内面に第一被膜8を形成し、この第一被膜8のみからなる感光性被膜10を形成した。
【0106】
また比較例2については、第一被膜8は形成せずに、表2に示す第二被膜9用のポジ型感光性レジスト液を、横型両面ロールコーター(株式会社ファーネス製)を用いてプリント配線板製造用パネル2の表面上に塗布し、乾燥機にて80℃で30分乾燥することで第二被膜9を形成し、第二被膜9のみからなる感光性被膜10を形成した。
【0107】
上記の各実施例及び比較例における、感光性被膜10を形成したプリント配線板製造用パネル2の両面に、非露光部11aが導体幅50μmの配線パターンを有する導体パターン状に形成されたマスクフィルムを配置し、フォトレジスト露光用両面同時露光機(株式会社オーク製作所製、品番「HMW201GX」)を用いて、照射エネルギー量200mJ/cm2の条件で紫外線を照射して露光した。
【0108】
次いで、プリント配線板製造用パネル2の両面に、非導通孔14として加工されるスルーホール5aの開口と合致する部分が露光部11bとして形成されていると共に他の領域が非露光部11aとして形成されているマスクフィルムを配置し、上記のフォトレジスト露光用両面同時露光機により照射エネルギー量1000mJ/cm2の条件で紫外線を照射して露光した。
【0109】
次いで、このプリント配線板製造用パネル2の表面を2%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液にて処理して現像し、感光性被膜10の露光部分を除去してレジスト層12を形成した。
【0110】
続いて、50℃の塩化第二銅エッチング液により導体層6と回路部と非導通孔14となるべきスルーホール15の銅露出部分をエッチング除去し、水洗後、3%の水酸化ナトリウム水溶液のスプレーによりレジスト層12を除去し、プリント配線板1を作製した。
【0111】
(評価)
実施例1〜8及び比較例1,2で得られた各プリント配線板1について、次に示す評価を行った。
【0112】
・感光性被膜の膜厚評価
現像後のプリント配線板製造用パネル2におけるスルーホール5の中央部のクロスセクションを取り、この断面を倍率1000倍の顕微鏡にて観察して、プリント配線板製造用パネル2の表面とスルーホール5の内面の感光性被膜10の膜厚を、それぞれ測定した。
【0113】
・配線パターン評価
プリント配線板1の導体回路13、スルーホール15のエッジ部分、スルーホール15の内面及び非導通孔14を倍率500倍の顕微鏡及び内視鏡で観察し、銅がエッチングされた形跡を判定した。
【0114】
そして、マスクフィルムの線幅50μmの部分に対応して形成された導体回路13において、エッチング後、導体幅が50±10μmで形成されているものは「◎」、エッチング後、導体幅が50±20μmで形成されているものは「○」、導体幅が50±30μmで形成されて断線には至っていないものは「△」、導体幅が50±50μmで形成されていて、導体パターンが浸食され完全に断線している部分が少なくとも1個あるものは「×」として、評価した。
【0115】
・ホールエッジの保護性評価
スルーホール15のホールエッジ部分を観察し、このホールエッジ部分において、銅が全く浸食されていないものは「◎」、銅表面にわずかに浸食跡があるものは「○」、部分的に浸食されているが断線には至っていないものは「△」、ホールエッジ部分の銅が浸食され完全に断線しているスルーホール15が少なくとも1個あるものは「×」として、評価した。
【0116】
・スルーホール内の保護性評価
スルーホール15の内面を観察し、スルーホール15の内面において銅が全く浸食されていないものは「◎」、銅表面にわずかに浸食跡があるものは「○」、部分的に浸食されているが断線には至っていないものは「△」を、スルーホール15の内面の銅が浸食され完全に断線しているスルーホール15が少なくとも1個あるものは「×」として、評価した。
【0117】
・非導通孔の形成性評価
非導通孔14を観察し、非導通孔14の内面において銅が完全に除去されているものは「◎」、銅がわずかに残っているものは「○」、銅が部分的に残っているが導通には至っていないものは「△」、銅が残り、導通している非導通孔14が少なくとも1個あるものは「×」として、評価した。
【0118】
以上の結果を表2に併せて示す。
【0119】
【表2】
【0120】
表2に示すように、全ての実施例及び比較例では、配線パターンの評価に問題はなかったが、比較例1においては感光性被膜10を第一被膜8のみで形成したために、スルーホール15のホールエッジ部分において断線が発生したものであり、また第一被膜8の形成の際にポジ型感光性レジスト液の塗布後、送風をせず、過剰なポジ型感光性レジスト液の除去を行わなかったために、スルーホール5内の感光性被膜8の膜厚が厚くなって現像で除去できなくなり、エッチング処理において銅が除去できなくなって、導通が発生した。
【0121】
また、比較例2においては、感光性被膜10を第二被膜9のみで形成したために、スルーホール15の内部の保護性が不十分となって、ホールエッジ部分とスルーホール15の内部において断線が発生した。
【0122】
それに対して、実施例1〜8では全ての評価において良好な結果が得られた。
【0123】
このうち実施例6においては、第一被膜8及び第二被膜9の形成用のポジ型感光性レジスト液中のアルカリ可溶性樹脂の配合量が低く、粘度が低いため、他の実施例と比べるとスルーホール15の内部において、断線には至らないものの、部分的に銅が浸食された。
【0124】
また実施例2においては、第一被膜8の形成用のポジ型感光性レジスト液中のアルカリ可溶性樹脂の配合量が低く、粘度が低いものであり、また第二被膜9の形成用のポジ型感光性レジスト液中に界面活性剤が添加されていないものであり、第一被膜8上における第二被膜9形成用のポジ型感光性レジスト液の濡れ性が若干低下して、ホールエッジ部分においてポジ型感光性レジスト液の若干の引けが発生し、ホールエッジ部分のスルーホール15の内面において、断線には至らないものの、部分的に銅が浸食された。
【0125】
また実施例7においては、第二被膜9の形成用のポジ型感光性レジスト液中のアルカリ可溶性樹脂の配合量が低く、粘度が低いものであり、また第二被膜9の形成用のポジ型感光性レジスト液中に界面活性剤が添加されていないため、第一被膜8上の第二被膜9の形成用のポジ型感光性レジスト液の濡れ性が若干低下し、ホールエッジ部においてポジ型感光性レジスト液の若干の引けが発生し、ホールエッジ部分において、断線には至らないものの、部分的に銅が浸食された。
【0126】
また実施例1においては、第一被膜8及び第二被膜9の形成用のポジ型感光性レジスト液中の、キノンジアジド基含有化合物及びアルカリ可溶性樹脂の配合量が好適範囲にあり、第二被膜9の形成用のポジ型感光性レジスト液中に界面活性剤が添加されているため、第一被膜8上の第二被膜9の形成用のポジ型感光性レジスト液の濡れ性が非常に高く、ホールエッジ部分とスルーホール15の内部における保護性、非導通孔14の形成性が特に優れたものとなった。
【0127】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係るプリント配線板の製造方法は、貫通孔の内面に導体被覆を施して形成されるスルーホールを有すると共に表面に導体層が形成されたプリント配線板製造用パネルに対して、ポジ型感光性レジスト液を塗布して第一被膜を形成する第一被膜形成工程と、第一被膜が形成されたプリント配線板製造用パネルに更にポジ型感光性レジスト液を塗布して第二被膜を形成する第二被膜形成工程とを経ることによりプリント配線板製造用パネルの表面とスルーホールの内面に第一被膜と第二被膜とからなる感光性被膜を形成し、次いで、プリント配線板製造用パネルの表面において感光性被膜に選択的露光を施す表面露光工程と、スルーホールのうち後工程において非導通孔に加工されるものの内面において感光性被膜を露光するスルーホール露光工程と、現像により感光性被膜の露光部分を除去して残存する感光性被膜にてレジスト層を形成する現像工程と、エッチングにより基板表面の導体層のうちレジスト層にて被覆されていない部分を除去して導体回路を形成すると共に非導通孔に加工されるスルーホールの内面の導体被覆を除去するエッチング工程とを経るため、プリント配線板にスルーホールと非導通孔とを併設する場合にも、導体回路の形成に先立ってスルーホールの形成のための貫通孔と非導通孔の形成のための貫通孔とを同時に形成することができ、スルーホールと非導通孔との相関位置のズレの発生を防止して、実装部品が装着できなくなるなどの不良が発生することを防止することができるものである。
【0128】
また、感光性被膜を二段階の塗布工程を経て形成することにより、スルーホール内の第一被膜とプリント配線板製造用パネル表面の感光性被膜の膜厚を適宜調整することができて、スルーホールが閉塞されずにスルーホールの内面に感光性被膜を形成することが容易なものであり、現像工程においては、非導通孔に加工されるスルーホールはポジ型感光性レジスト液にて閉塞されていないことからこのスルーホール内における感光性被膜の現像除去が容易に行われ、スルーホール内の感光性被膜の現像除去に要する時間が長くなりすぎて感光性被膜の非露光部分までもが除去されてしまうような事態が発生することを防止することができるものである。また、プリント配線板製造用パネルの表面におけるスルーホールの周縁部(ホールエッジ)におけるポジ型感光性レジスト液の引けの発生を抑制して、ホールエッジで感光性被膜の膜厚が薄くなりすぎることを防止して、感光性被膜の脱落を防止することができるものである。
【0129】
更には、レジスト層の剥離時にも、スルーホール内はレジスト層にて閉塞されていないことから、レジスト層を容易に剥離することができるものである。
また、第一被膜形成工程においてはポジ型感光性レジスト液をプリント配線板製造用パネルの表面とスルーホールの内面に塗布し、第二被膜形成工程においてはポジ型感光性レジスト液をプリント配線板製造用パネルの表面のみに塗布するため、プリント配線板製造用パネルの表面においては感光性被膜は第一被膜と第二被膜とから構成され、スルーホール内面においては第一被膜のみ、あるいは第一被膜とごく薄い第二被膜から感光性被膜が形成されるものであり、このためホールエッジにおいても十分な膜厚の感光性被膜を形成することができて、ホールエッジにおけるレジスト層の脱落を更に確実に防止することができるものであり、またスルーホール内面ではプリント配線板製造用パネル表面よりも感光性被膜の厚みが薄く形成され、プリント配線板製造用パネルを現像液にて処理した場合に、プリント配線板製造用パネルの表面と非導通孔に加工されるスルーホールの内面とにおける現像時間の差を縮小して、プリント配線板製造用パネルの表面とスルーホール内面における現像処理を同時に行うことができ、現像処理に要する全体の処理時間を低減し、処理効率を向上することができるものである。
【0130】
従って、導体回路の形成に先立ってスルーホールの形成のための貫通孔と非導通孔の形成のための貫通孔とを同時に形成する場合であっても、レジスト層の脱落やレジスト層の剥離時のスルーホール内におけるレジストの残存等の不良発生を防止して、高密度の導体回路を形成することができるものである。
【0131】
また請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、ポジ型感光性レジスト液が、キノンジアジド基含有化合物、アルカリ可溶性樹脂及び有機溶剤を含有するものであるため、露光操作が容易で、感度が高く、またアルカリ溶液での現像、剥離が可能な点から、工程操作や作用環境の面で有利なものである。
【0132】
また請求項3の発明は、請求項1又は2の構成に加えて、第一被膜形成工程において、プリント配線板製造用パネルをポジ型感光性レジスト液中に浸漬した後引き上げることによりプリント配線板製造用パネルの表面とスルーホール内面にポジ型感光性レジスト液を塗布するため、プリント配線板製造用パネルの表面とスルーホール内面に同時に第一被膜を形成することができるものである。
【0133】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの構成に加えて、第一被膜形成工程において、プリント配線板製造用パネルをポジ型感光性レジスト液中に浸漬した後引き上げることによりプリント配線板製造用パネルの表面とスルーホール内面にポジ型感光性レジスト液を塗布した後、送風によりスルーホール内の過剰なポジ型感光性レジスト液を除去するため、スルーホール内がポジ型感光性レジスト液にて閉塞されている場合や、スルーホール内におけるポジ型感光性レジスト液の付着量が多い場合には、スルーホール内における過剰なポジ型感光性レジスト液が吹き飛ばされて、スルーホールの閉塞が防止されると共にスルーホール内におけるポジ型感光性レジスト液の過剰な付着が防止され、スルーホール内に均一な膜厚を有する第一被膜を形成することができるものである。
【0134】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかの構成に加えて、第二被膜形成工程において、ポジ型感光性レジスト液をロール式塗布法にて塗布するため、プリント配線板製造用パネルの表面においてポジ型感光性レジスト液を均一な膜厚に形成すると共に、スルーホール内へはポジ型感光性レジスト液が殆ど浸入せず、第二被膜をプリント配線板製造用パネルの上下両面における表面に形成すると共に、スルーホールの内面においては第二被膜を形成しないようにすることができるものであり、またこのときホールエッジにおいても十分な膜厚の感光性被膜を形成することができて、ホールエッジにおけるレジスト層の脱落を更に確実に防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】プリント配線板の製造工程の一例を示すものであり、(a)乃至(d)は各工程を示す概略の断面図である。
【図2】(a)乃至(d)は図1に示される工程に続く各工程を示す概略の断面図である。
【符号の説明】
1 プリント配線板
2 プリント配線板製造用パネル
5 スルーホール
6 導体層
7 導体被覆
8 第一被膜
9 第二被膜
10 感光性被膜
12 レジスト層
13 導体回路
14 非導通孔
17 貫通孔
Claims (5)
- 貫通孔の内面に導体被覆を施して形成されるスルーホールを有すると共に表面に導体層が形成されたプリント配線板製造用パネルに対して、ポジ型感光性レジスト液を、プリント配線板製造用パネルの表面とスルーホールの内面に塗布して第一被膜を形成する第一被膜形成工程と、第一被膜が形成されたプリント配線板製造用パネルに更にポジ型感光性レジスト液を、プリント配線板製造用パネルの表面のみに塗布して第二被膜を形成する第二被膜形成工程とを経ることによりプリント配線板製造用パネルの表面とスルーホールの内面に第一被膜と第二被膜とからなる感光性被膜を形成し、次いで、プリント配線板製造用パネルの表面において感光性被膜に選択的露光を施す表面露光工程と、スルーホールのうち後工程において非導通孔に加工されるものの内面において感光性被膜を露光するスルーホール露光工程と、現像により感光性被膜の露光部分を除去して残存する感光性被膜にてレジスト層を形成する現像工程と、エッチングにより基板表面の導体層のうちレジスト層にて被覆されていない部分を除去して導体回路を形成すると共に非導通孔に加工されるスルーホールの内面の導体被覆を除去するエッチング工程とを経ることを特徴とするプリント配線板の製造方法。
- 第一被膜形成工程において使用されるポジ型感光性レジスト液と、第二被膜形成工程において使用されるポジ型感光性レジスト液のうちの、少なくとも一方が、キノンジアジド基含有化合物、アルカリ可溶性樹脂及び有機溶剤を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
- 第一被膜形成工程において、プリント配線板製造用パネルをポジ型感光性レジスト液中に浸漬した後引き上げることによりプリント配線板製造用パネルの表面とスルーホール内面にポジ型感光性レジスト液を塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載のプリント配線板の製造方法。
- 第一被膜形成工程において、プリント配線板製造用パネルをポジ型感光性レジスト液中に浸漬した後引き上げることによりプリント配線板製造用パネルの表面とスルーホール内面にポジ型感光性レジスト液を塗布した後、送風によりスルーホール内の過剰なポジ型感光性レジスト液を除去することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
- 第二被膜形成工程において、ポジ型感光性レジスト液をロール式塗布法にて塗布することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のプリント配線板の製造方法。
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