以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態1である車両を示したものである。ここで例示する車両は、2座タイプの四輪自動車であり、車両本体Bの両側にそれぞれ1枚ずつドア(所謂ピラーレスタイプのドアD)を備えている。ドアDは、それぞれの前縁部において車両本体Bにヒンジ結合され、前縁部を支点として左右方向に開閉することが可能である。各ドアDと車両本体Bとの間には、閉扉保持手段DSが設けてある。閉扉保持手段DSは、互いに対称の構成となるものであるため、以下においては、車両の右側(右ハンドル車においては運転席側)に位置するドアDの開扉/閉扉を行うものについて説明していく。
図2及び図3は、図1に示した車両に適用する閉扉保持手段DSを例示したものである。これら図2及び図3に示すように、閉扉保持手段DSは、車両本体Bにラッチユニット10及び開扉用アクチュエータユニット20を備えている。
ラッチユニット10は、ドアDの後縁部に設けたストライカSに噛み合った場合にドアDを閉扉状態に保持するためのもので、ラッチハウジング11の内部にラッチ12及びラチェット13を備えているとともに、ラッチハウジング11の車両後方側となる外側面にラチェットレバー14を備えている。
ラッチハウジング11は、ストライカSが通過することのできる切欠溝11aを有したもので、この切欠溝11aをドアDの開閉に伴うストライカSの移動域に配置した状態で車両本体Bに取り付けてある。
ラッチ12は、図4に示すように、ラッチハウジング11に設けた切欠溝11aよりも上方となる位置に、車両本体Bの前後方向に沿って略水平に延在するラッチ軸15を介して回転可能に配設したもので、噛合溝12a、フック部12b及び係止部12cを有している。噛合溝12aは、ラッチ12の外周面からラッチ軸15に向けて形成したもので、ストライカSを収容することのできる幅に形成してある。フック部12bは、噛合溝12aを下方に向けて開口させた場合に噛合溝12aよりも車両外側に位置する部分である。このフック部12bは、図4(c)に示すように、ラッチ12を反時計回りに回転させた場合にラッチハウジング11の切欠溝11aを横切る位置(ラッチ位置)で停止する一方、図4(a)に示すように、ラッチ12を時計回りに回転させた場合に切欠溝11aを開放する位置(開放位置)で停止するように構成してある。係止部12cは、噛合溝12aを下方に向けて開口させた場合に噛合溝12aよりも車両内側に位置する部分である。この係止部12cは、図4(a)に示すように、ラッチ12を時計回りに回転させた場合に切欠溝11aを横切り、かつこの切欠溝11aの奥方(車両内側)に向けて漸次上方に傾斜する状態で停止するように構成してある。なお、図には明示していないが、ラッチ12とラッチハウジング11との間には、図4においてラッチ12を時計回りに向けて付勢するラッチバネが設けてある。
ラチェット13は、ラッチハウジング11の切欠溝11aよりも下方、かつラッチ軸15よりも車両外側となる位置に、車両本体Bの前後方向に沿って略水平に延在するラチェット軸16を介して回転可能に配設したもので、係合部13a及び作用部13bを有している。係合部13aは、ラチェット軸16から車両内側に向けて径外方向に延在する部分であり、ラチェット13が図4において反時計回りに回転した場合にその突出端面を介して上述したラッチ12のフック部12bもしくは係止部12cに係合することが可能である。作用部13bは、ラチェット軸16から車両外側に向けて径外方向に延在する部分である。図には明示していないが、ラチェット13とラッチハウジング11との間には、図4においてラチェット13を反時計回りに向けて付勢するラチェットバネが設けてある。
ラチェットレバー14は、ラッチハウジング11から車両後方側に向けて突出したラチェット軸16の端部に回転可能に配設したもので、図2に示すように、連結部14a、第1ワイヤ連結部14b及び押圧中継部14cを有している。連結部14aは、ラチェット軸16からラチェット13の係合部13aと同一方向に向けて延在した部分であり、連結ピン17を介してラチェット13の係合部13aと連結してある。第1ワイヤ連結部14bは、ラチェット軸16から車両外側に向けて延在した部分である。この第1ワイヤ連結部14bには、その先端部に第1ワイヤケーブルW1の一端部が連結してある。押圧中継部14cは、ラチェット軸16から下方に向けて車両内側に傾斜延在したもので、押圧中継片14dを有している。押圧中継片14dは、図3に示すように、車両の前後方向に幅広となる態様で押圧中継部14cに一体に設けた部分である。
開扉用アクチュエータユニット20は、後述する開閉制御部100から制御信号が与えられた場合に駆動するもので、アクチュエータハウジング21の内部に出力レバー22を備えるとともに、アクチュエータハウジング21の上方側となる部位にオープンレバー23を備えている。
アクチュエータハウジング21は、ラッチハウジング11の下端部に取り付けたもので、その内部にカムギア24を収容している。カムギア24は、車両の前後方向に沿ってほぼ水平となるカムギア軸25を介してアクチュエータハウジング21に回転可能に配設したもので、減速ギア列26を介して駆動モータ27の出力軸27aに連係してある。このカムギア24には、周面カム28が一体に設けてある。周面カム28は、カムギア軸25の中心から周面までの距離が図2において時計回りに漸次大きくなるように形成したもので、カムギア24の車両前方側に位置する端面に配設してある。
出力レバー22は、ラチェット軸16よりも下方においてラッチ軸15のほぼ鉛直下方となる位置に、車両本体Bの前後方向に沿って略水平に延在するレバー軸29を介して回転可能に配設したもので、カム従動部22aを有している。カム従動部22aは、レバー軸29からカムギア24の軸心に向けて下方に延在しており、その先端部が従動ピン22bを介して周面カム28の外周面に当接係合している。図には明示していないが、このカム従動部22aとアクチュエータハウジング21との間には、従動ピン22bを周面カム28の外周面に圧接させるためのカムバネが設けてある。
オープンレバー23は、アクチュエータハウジング21から車両前方側に向けて突出したレバー軸29の端部にレバー軸29と一体回転するように設けたもので、第2ワイヤ連結部23a及び押圧操作部23bを有している。第2ワイヤ連結部23aは、レバー軸29から車両外側に向けて延在した部分である。この第2ワイヤ連結部23aには、その先端部に第2ワイヤケーブルW2の一端部が連結してある。押圧操作部23bは、レバー軸29から上方に向けて延在した部分であり、その先端部に押圧操作片23cを有している。押圧操作片23cは、図3に示すように、車両の前後方向に幅広となる態様で押圧操作部23bに一体に設けた部分である。この押圧操作片23cは、押圧操作部23bの揺動に伴う揺動移動域がラチェットレバー14における押圧中継片14dの揺動移動域に交差し、かつ出力レバー22の従動ピン22bが周面カム28の最も小径となる部分に当接した場合に、ラチェットレバー14の押圧中継部14cよりも僅かに車両内方側に位置するように設けてある。
また、閉扉保持手段DSには、ラッチハウジング11に押圧ピン30が設けてある。押圧ピン30は、細径の円柱状を成す軸部31の先端に太径の頭部32を有したもので、この頭部32を車両外側に向け、かつ軸部31の軸心が車両本体Bの左右方向に沿って略水平となる態様でラッチハウジング11に進退可能に配設してある。図2に示すように、押圧ピン30の頭部32は、ラッチハウジング11において最も車両外側となる部位に配置してあり、図5(a)に示すように、閉扉状態にあるドアDの後縁部側内方面に対向している。押圧ピン30の軸部31は、図2及び図3に示すように、その基端面がラチェットレバー14の押圧中継片14dに対向し、かつラチェットレバー14が図2において反時計回りに揺動した場合に押圧中継片14dに当接するように設けてある。押圧ピン30とラッチハウジング11との間には、押圧ピン30を車両内方側に向けて付勢するための復帰バネ33が設けてある。
さらに、閉扉保持手段DSは、図1に示すように、車両室内に内部操作レバー40を備えているとともに、車両本体Bの後部側方に設けた空間Fに外部操作レバー50を備えている。これら内部操作レバー40及び外部操作レバー50は、例えば図6及び図7に示すように、車両本体Bに対して揺動可能に配設したものである。内部操作レバー40には、第2ワイヤケーブルW2の他端部が連結してあり、また外部操作レバー50には、その揺動軸51に設けた連動レバー52に第1ワイヤケーブルW1の他端部が連結してある。
図1からも明らかなように、ラッチユニット10と内部操作レバー40との間を連係する第2ワイヤケーブルW2は、ラッチユニット10から下方に延在した後、ドアDの内部を通過することなく車両本体Bの内部に敷設して車両前方側に延設し、ドアDの前縁を通過した後に車両室内の内部操作レバー40に連結してある。ラッチユニット10と外部操作レバー50との間を連係する第1ワイヤケーブルW1は、ラッチユニット10から上方に延在した後、そのまま車両本体Bの内部に敷設して外部操作レバー50に連結してある。
外部操作レバー50を設ける空間Fには、蓋体FCが設けてある。蓋体FCは、空間Fの外部開口を開閉する態様で設けたもので、閉塞した場合に空間Fの外部開口に嵌合し、外部操作レバー50を完全に覆い隠すように構成してある。この蓋体FCと車両本体Bとの間には、開閉制御ピンPが設けてある。開閉制御ピンPは、蓋体用アクチュエータFCAの駆動によって進退移動するもので、蓋体FCを閉塞させた状態で進出移動した場合に蓋体FCの係止孔Hに挿通することによって蓋体FCの開成移動を阻止する一方、退行移動した場合に蓋体FCの開成移動を許容するように機能する。上述した空間Fとしては、車両本体Bに専用に設けても良いが、本実施の形態1では、図6及び図7に示すように、燃料供給口FOを収容するための凹部を利用している。
一方、車両のドアDには、図8〜図11に示すように、車両後方側の端面部を構成するパネルに傾斜面D1及び切欠D2が設けてあるとともに、これら傾斜面D1から切欠D2に亘る部位に把手部材110が取り付けてある。傾斜面D1は、ドアDの外縁に向けて漸次車両外側に傾斜する態様で延在するもので、少なくともドアDの後端上方部においてウェザストリップWSよりも車両外側となる部位に設けてある。切欠D2は、図10に明示するように、ドアDの外板パネルにおいて車両後方側となる端縁部分を矩形状に切り欠いたもので、傾斜面D1に隣接する部分に形成してある。把手部材110は、例えば合成樹脂によって構成したブロック状部材であり、その中央部に凹部111を有しているとともに、一側縁部に把持部112を有している。凹部111は、手を挿入することのできる大きさに構成したもので、把持部112に近接する開口縁111aが上方に向けて漸次内方に傾斜している。把持部112は、他の部分よりも厚肉に構成した部分であり、凹部111に手を挿入した状態で把持することのできる大きさを有している。この把手部材110は、把持部112の一部が切欠D2を通じて外部に露出する態様で傾斜面D1に配置し、凹部111のネジ挿通孔111bから傾斜面D1のネジ孔D1aにネジBNを螺合することにより、傾斜面D1に沿った状態でドアDに保持されている。凹部111のネジ挿通孔111bは、ネジBNを螺合した後に蓋部材113を装着することによって閉塞してある。
図12は、上述した車両においてドアDの開閉に関する制御系を示したブロック図である。同図に示す加速度センサ101は、車両に発生する加速度を検出し、その検出結果を開閉制御部100に与えるものである。認証処理部102は、例えば四輪自動車の使用者が所持する携帯機103との間において無線通信による認証を行い、その認証結果を開閉制御部100に与えるものである。開扉用スイッチ104は、ドアDを開扉する際に操作するスイッチである。本実施の形態1では、図1に示すように、車両本体Bの外部におけるドアDの後方側近傍に位置する部位、並びにドアDの車室側にそれぞれ開扉用スイッチ104を設けてある。ロックスイッチ105は、開扉用スイッチ104を無効化するためのスイッチであり、ドアDの車室側に設けてある。給油口スイッチ106は、上述した空間Fの蓋体FCを開成させるためのスイッチであり、車室側の適宜箇所に設けてある。ロック表示部107は、ロックスイッチ105が操作されているか否かを表示するためのもので、ロックスイッチ105に隣設してある。ロック表示部107としては、ロックスイッチ105の状態を視覚的に表示できるものであれば如何なるものであっても良く、例えばランプやLEDによって点灯表示することが可能である。開閉制御部100は、加速度センサ101、認証処理部102、開扉用スイッチ104、ロックスイッチ105、給油口スイッチ106から各種情報が与えられた場合に、予め与えられたプログラムやデータに基づいて開扉用アクチュエータユニット20や蓋体用アクチュエータFCA、ロック表示部107等の統括的な制御を行うためのものである。
以下、上述した車両においてドアDを開閉する場合の動作について順次説明する。まず、車両本体Bに対してドアDが開扉状態にある場合、ラッチユニット10は、図4(a)に示すように、ラッチ12が開放位置に配置されることになる。この状態からドアDを閉扉操作すると、ドアDに設けたストライカSがラッチハウジング11の切欠溝11aに進入し、やがてストライカSがラッチ12の係止部12cに当接することになる。この結果、ラッチ12がラッチバネの弾性力に抗して図4において反時計回りに回転する。この間、ラチェット13は、ラチェットバネの弾性力によって係合部13aの突出端面がラッチ12の外周面に摺接することになり、ラッチ12の外周面形状に応じて適宜ラチェット軸16の軸心回りに回転する。
上述した状態からさらにドアDを閉扉操作すると、切欠溝11aに対するストライカSの進入量が漸次増大するため、ラッチ12が反時計回りにさらに回転するようになり、図4(b)に示すように、やがてラチェット13の係合部13aがラッチ12の噛合溝12aに至る。この状態においては、ラッチ12の係止部12cがラチェット13の係合部13aに当接することになるため、ラッチバネの弾性復元力に抗してラッチ12の時計回りの回転が阻止されることになる。しかも、ラッチ12のフック部12bが切欠溝11aを横切るように配置されるため、フック部12bによってストライカSが切欠溝11aから離脱する方向に移動する事態、つまりドアDの車両本体Bに対する開扉移動が阻止されるようになる(ハーフラッチ状態)。
上述したハーフラッチ状態からドアDをさらに閉扉操作させると、切欠溝11aを進入するストライカSにより、係止部12cを介してラッチ12が反時計回りにさらに回転し、ストライカSが切欠溝11aの奥方(車両内側)に至る。この間、ラチェット13は、係合部13aの上面にラッチ12のフック部12bが当接することによりラチェットバネの弾性力に抗して図4において時計回りに回転し、ラッチ12のフック部12bが通過した時点でラチェットバネの弾性復元力により直ちに反時計回りに回転するようになる。この結果、図4(c)に示すように、ラッチ12のフック部12bがラチェット13の係合部13aに当接することになるため、ラッチバネの弾性復元力に抗してラッチ12の時計回りの回転が阻止されることになる。この状態においても、ラッチ12のフック部12bが切欠溝11aを横切るように配置されるため、フック部12bによってストライカSが切欠溝11aの奥方(車両内側)から離脱する方向に移動する事態が阻止されるようになり、結局、ドアDが車両本体Bに対して閉扉状態に維持される(フルラッチ状態)。
このフルラッチ状態においては、図9に示すように、開扉用アクチュエータユニット20において出力レバー22の従動ピン22bが周面カム28の最も小径となる部分に当接した状態にあり、オープンレバー23の押圧操作片23cがラチェットレバー14の押圧中継部14cよりも僅かに車両内方側に位置する部位において押圧中継部14cから離隔した位置に占位しているとともに、ラチェットレバー14の押圧中継片14dが押圧ピン30から離隔した位置に占位しており、押圧ピン30が復帰バネ33の押圧力によって最も車両内側に縮退した位置にある。
また、フルラッチ状態にある場合、図11(a)に示すように、ドアDと車両本体Bとの間には、手を挿入することができない程度の小さい間隙が確保してあり、上述した把手部材110の凹部111にも手を挿入することは困難である。しかも、把手部材110の凹部111は、車両の内側に向けて開口し、かつ車両本体Bによって覆われた状態にある。従って、この車両によれば、駐車中や走行中のいずれの状態であっても把手部材110の凹部111に泥跳ねによる汚れが付着する虞れがない。但し、このフルラッチ状態においても把持部112の一部が切欠D2を通じて外部に露出しており、把手部材110の位置を外部から確認することは容易である。
上述したフルラッチ状態から携帯機103を所持する者が車両に近づくと、この携帯機103と認証処理部102との間において認証処理が行われることになる。認証処理の結果、携帯機103が正規のものであると判断した場合、上述した開閉制御部100は、開扉用スイッチ104を有効化するとともに、開扉用スイッチ104の監視を行う(アンロック状態)。
有効化した開扉用スイッチ104がON操作されると、開閉制御部100は、開扉用アクチュエータユニット20の駆動モータ27を駆動し、図13及び図14に順次示すように、カムギア24を回転させることによって出力レバー22及びオープンレバー23を時計回りに回転させる。この結果、オープンレバー23の回転が、押圧操作片23c及び押圧中継片14dを介してラチェットレバー14に伝達され、ラチェットレバー14及びラチェット13が反時計回りに回転することになる。ラチェット13が反時計回りに回転すると、ラッチ12のフック部12bとラチェット13の係合部13aとの当接係合状態が解除され、ラッチ12がラッチバネの弾性復元力により図4において時計回りに回転する。従って、図4(a)に示すように、切欠溝11aが開放され、ストライカSが切欠溝11aから離脱する方向に移動可能となり、ドアDを車両本体Bに対して開扉移動させることができるようになる。
しかも、図14に示すように、ラチェットレバー14の回転に伴って押圧中継片14dが押圧ピン30を進出移動させることになるため、図5(b)に示すように、押圧ピン30の頭部32がドアDの後縁部側内方面を押圧し、車両本体Bに対してドアDが車両外側に押し出されることになる。この結果、たとえ凍結時においてドアDと車両本体BとがウェザストリップWSを介して貼り付いてしまった場合であっても、閉扉保持手段DSの解除動作によってドアDの開扉が確実に可能となる。
さらに、閉扉保持手段DSが解除動作した場合には、図11(b)に示すように、ドアDと車両本体Bとの間隙が拡大し、この拡大した間隙から把手部材110の凹部111に手を差し入れれば、把持部112を把持することができるようになるため、ウィンドウガラスWGを把持することなくドアDの開閉操作を行うことが可能となる。従って、ドアDの開閉に伴う操作荷重がウィンドウガラスWGやレギュレータ機構(図示せず)に加えられることもなく、これらの部分に操作荷重による強度上の問題を招来する虞れがない。しかも、上述したように、把手部材110の凹部111は、車両の内側に向けて開口し、かつ車両本体Bによって覆われた状態にあるため、泥跳ねによる汚れが付着する虞れがない。従って、ドアDの開閉操作の際に手を汚すことがなくなる。逆に、汚れた手でドアDの開閉操作を行った場合にウィンドウガラスWGが汚れる事態を招来することもない。
尚、上述した認証処理の結果、携帯機103が正規のものでないと判断した場合、開閉制御部100は、開扉用スイッチ104を無効化した状態に維持する(ロック状態)。従って、正規の携帯機103を所持していないものによる開扉用スイッチ104のON操作、あるいは携帯機103を所持していないものによる開扉用スイッチ104のON操作は、いずれも無視されることになる。また、開扉操作した後、あるいは開扉操作を行うことなく正規の携帯機103を所持した使用者が車両から遠ざかり、携帯機103が無線通信のエリア外に達すると、開閉制御部100は、再び開扉用スイッチ104を無効化した状態に復帰させる。従って、車両に対して所望の防盗性を確保することが可能となる。
一方、開扉状態から車両室内に乗り込んだ後、ロックスイッチ105をON操作すると、開閉制御部100は、開扉用スイッチ104を無効化した状態に維持するとともに、ロック表示部107を通じて開扉用スイッチ104が無効化されている状態の表示を行う。この結果、乗員に対してロックスイッチ105のON操作を促すことができるとともに、ロックスイッチ105のON操作後には、誤って開扉用スイッチ104をON操作してしまった場合にも不用意にドアDが開扉状態となる事態を防止することができる。
ロックスイッチ105をOFFすれば、再び開閉制御部100によって開扉用スイッチ104が有効化されることになるため、車室側の開扉用スイッチ104をON操作すれば、ドアDを開扉させることができる。
また、開扉状態から車両室内に乗り込んだ後、給油口スイッチ106をON操作すると、蓋体用アクチュエータFCAによって開閉制御ピンPが縮退移動し、燃料供給口FOが開成されることになる。従って、ガソリンスタンドにおいて上述した操作を行えば、燃料の供給を行うことができる。
さらに、開閉制御部100は、加速度センサ101の検出結果に基づいて測定される車両の加速度が所定の閾値を超えるものであった場合、直ちに蓋体用アクチュエータFCAを駆動して開閉制御ピンPを縮退移動させる処理を行う。加速度の閾値は、例えば車両が衝突した場合の値に設定すればよい。この結果、衝突等の事故により電気系にトラブルが発生し、開扉用アクチュエータユニット20を駆動することができない場合であっても、開成した燃料供給口FOから外部操作レバー50を操作すれば、第1ワイヤケーブルW1を通じてラチェットレバー14が図13に示す状態から反時計回りに回転するため、ラッチ12のフック部12bとラチェット13の係合部13aとの当接係合状態を解除してドアDを開扉移動させることができるようになる。もちろん、乗員が内部操作レバー40を操作できる状態であれば、その操作により第2ワイヤケーブルW2を通じてオープンレバー23が図13に示す状態から時計回りに回転するため、同様にラッチ12のフック部12bとラチェット13の係合部13aとの当接係合状態を解除してドアDを開扉移動させることができるようになる。従って、衝突等の事故によって電気系にトラブルが発生してしまった場合にも、乗員が車両内部に閉じこめられてしまう事態を防止することが可能になる。
このように上述した車両によれば、把手部材110の凹部111をドアDが閉扉状態にある場合に車両本体Bによって覆われる一方、ドアDが開扉状態にある場合にのみ外部から操作可能となる位置に設けるようにしているため、泥跳ね等によって凹部111が汚れる虞れがなく、この凹部111に指を掛けて開扉操作すれば手を汚すことなくドアDを開扉させることが可能になる。従って、車両デザインの自由度を著しく高めるべくドアDの外板パネルに開扉ハンドルを設けること自体を省略した場合にもドアDを開扉操作する際の汚れの問題を招来することがない。
尚、上述した実施の形態1では、ドアDが閉扉状態にある場合に一部を外部に露出させる態様で把手部材110を設けるようにしているため、この露出した部分がドアDの端縁部を保護する部材としても機能することになるが、必ずしも一部を外部に露出させる必要はない。例えば、図16〜図19に示す実施の形態2のように、ドアDが閉扉状態にある場合に車両本体Bによって完全に覆われるように把手部材210を設けるようにしても構わない。
すなわち、この実施の形態2では、車両後方側の端面部を構成するパネルの傾斜面D1に取付部D1bを形成し、この取付部D1bに把手部材210を取り付けるようにしている。傾斜面D1は、ドアDの外縁に向けて漸次車両外側に傾斜する態様で延在するもので、少なくともドアDの後端上方部においてウェザストリップWSよりも車両外側となる部位に設けてある。取付部D1bは、ドアDの内部にネジ孔D1cを設ける態様で傾斜面D1に切欠孔を設けるようにしたものである。把手部材210は、例えば合成樹脂によって構成したブロック状部材であり、その中央部に凹部211を有している。凹部211は、手を挿入することのできる大きさに構成したもので、車両外側に位置する開口縁211aが上方に向けて漸次内方に傾斜している。この把手部材210は、取付部D1bに合致させる態様で傾斜面D1に配置し、凹部211のネジ挿通孔211bから取付部D1bのネジ孔D1cにネジBNを螺合することにより、傾斜面D1に沿った状態でドアDに保持されている。凹部211のネジ挿通孔211bは、ネジBNを螺合した後に蓋部材213を装着することによって閉塞してある。尚、その他の構成に関しては、実施の形態1と同様である。
この実施の形態2においても、フルラッチ状態にある場合、図11(a)に示すように、ドアDと車両本体Bとの間には、手を挿入することができない程度の小さい間隙が確保してあり、把手部材210の凹部211にも手を挿入することは困難である。しかも、把手部材210の凹部211は、車両の内側に向けて開口し、かつ車両本体Bによって覆われた状態にある。従って、駐車中や走行中のいずれの状態であっても把手部材210の凹部211に泥跳ねによる汚れが付着する虞れがない。
一方、閉扉保持手段DSが解除動作した場合には、図19(b)に示すように、ドアDと車両本体Bとの間隙が拡大し、この拡大した間隙から把手部材210の凹部211に手を差し入れれば、ウィンドウガラスWGを把持することなくドアDの開閉操作を行うことが可能となる。従って、ドアDの開閉に伴う操作荷重がウィンドウガラスWGやレギュレータ機構(図示せず)に加えられることもなく、これらの部分に操作荷重による強度上の問題を招来する虞れがない。しかも、上述したように、把手部材210の凹部211は、泥跳ねによる汚れが付着する虞れがないため、ドアDの開閉操作の際に手を汚すことがない。逆に、汚れた手でドアDの開閉操作を行った場合にウィンドウガラスWGが汚れる事態を招来することもない。
このように実施の形態2の車両によれば、把手部材210の凹部211をドアDが閉扉状態にある場合に車両本体Bによって覆われる一方、ドアDが開扉状態にある場合にのみ外部から操作可能となる位置に設けるようにしているため、泥跳ね等によって凹部211が汚れる虞れがなく、この凹部211に指を掛けて開扉操作すれば手を汚すことなくドアDを開扉させることが可能になる。従って、車両デザインの自由度を著しく高めるべくドアDの外板パネルに開扉ハンドルを設けること自体を省略した場合にもドアDを開扉操作する際の汚れの問題を招来することがない。
尚、上述した実施の形態1及び2では、いずれも車両本体Bとのシール部材となるウェザストリップWSよりも車両外側となるドアDのパネルに指掛け用の凹部111,211を設けるようにしているが、図20の変形例に示すように、ウェザストリップWSよりも車両内側となる部位に指掛け用の凹部111′,211′を設けるようにしても良い。これら図20に示す変形例のように、ウェザストリップWSよりも車両内側となる部位に指掛け用の凹部111′,211′を設けた場合には、ドアDが閉扉状態にある場合に凹部111′,211′が車室側に位置するため、雨水や埃が付着する虞れもなくなる。
また、上述した実施の形態では、車両として2座タイプの四輪自動車を例示しているが、その他の型式の車両にももちろん適用することが可能である。