JP4899745B2 - 樹脂フィルム被覆金属缶 - Google Patents
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Description
ビン入りビールからコップに注いでビールを飲む場合は、注ぐ時に空気を巻き込みビール中の炭酸ガスが泡になりやすくなるために充分な泡立ちが発生し前述の効果が期待できる。しかし、缶入りビールの場合は、多くの場合、缶の開口部を開封後コップに移さずにそのまま缶で飲むため泡は発生せず、前述のビン入りビールのような味わいを高める効果が期待できない。そこで、ビール等発泡飲料に使用される缶においても、開封して飲む時に泡立ちを発生させて味わいを高めようとする試みが数多くなされている。
例えば、缶の素材、形状を工夫して、開封した時に泡を発生させる試みが検討されている。特許文献1〜3には、缶の内面に凹凸を付与してその凹凸を起点として泡を発生させる方法が記載されている。
しかしながら、特許文献3の方法では、缶内面フィルム表面に酸化ケイ素等の微小粒子を添加して缶成形においてその粒子の周囲に微細なボイドやクラックを発生させることにより微細な空孔が生成しているため、空孔のサイズや量は成形方法にも依存してコントロールが難しい。また適当な量の空孔が発生したとしても表面エネルギーが高いために泡の発生量はあまり多くはない。泡を大量に発生させるためには、表面の空孔量を非常に多くしなければならない。また、内面にこのような空孔を数多く発生させることは、製造が難しく、ボイドやクラックはフィルム欠陥の起点となりやすく好ましくない。
微少粒子を添加せずに、フィルム表面に微細な空孔を生成させることを目的とし、樹脂フィルムへの添加剤を工夫してフィルム表面への空孔発生と表面自由エネルギーを制御したところ、特定のシリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をフィルム100重量部に対し0.01〜1重量部含有させたフィルムを被覆した缶では泡立ちが非常に良好で、開缶操作のみで十分な泡立ち性が得られることを見出した。そして、良好な泡立ち性で、開缶操作のみで十分な泡立ち性を得るためには、適切な空孔の大きさ、量が存在すること、さらには、泡立ち性と表面自由エネルギーとは関係があり、表面自由エネルギーを規定することで、一層泡立ち性が良好となることも見出した。
[1]缶の内面または缶の内外面にポリエステル樹脂フィルムをラミネートした金属缶であって、缶内面側のフィルムは単層または複層であり、前記缶内面側のフィルム最表層は、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部含有したポリエステル樹脂フィルムであり、前記缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーが20〜35mN/mで、かつ、缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下であり、さらに、前記缶内面側のフィルム表面には、孔径0.5〜10μmの空孔が面積1mm2当り10〜105個存在することを特徴とする発泡飲料用の樹脂フィルム被覆金属缶。
本発明の対象とする樹脂フィルム被覆金属缶は、缶の内面または缶の内外面にポリエステル樹脂フィルムをラミネートした金属缶である。
そして、適度な泡立ち性の発現という点から、缶内面側のフィルムは単層または複層であり、前記缶内面側のフィルム最表層は、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部含有したポリエステル樹脂フィルムであり、さらに、前記缶内面側のフィルム表面には、孔径0.5〜10μmの空孔が面積1mm2当り10〜105個存在することとする。このような缶内面側の規定は本発明において、重要な要件である。以下のこれらについて、詳細に説明する。
まず、本発明で規定する空孔とは、缶内面の内容物に接触する側のフィルム表面に生じた空孔であり、フィルムを貫通するものやフィルム内部や金属側に生成したものは含まない。空孔の深さとしてはせいぜい5μm程度である。また、その直径とは、フィルム表面に生じた空孔の長径と短径の平均とする。このような空孔には大きいものや小さいものがあるが、本発明において規定される孔径0.5〜10μmの空孔がその空孔内で最も泡核が発生しやすい。さらに、その中でも孔径1〜5μmのものが特に泡立ち効果が高い。
前記孔径0.5〜10μmの空孔は面積1mm2当り最大で10〜105個存在することが必要である。孔径0.5〜10μmの空孔が10個未満では、泡の発生量が不充分である。好ましくは1mm2あたり100個以上である。一方、105個を超えるものは、内容物によっては泡の発生が過剰となり泡の安定性が低下するため、空孔数の上限は面積1mm2あたり最大105個を超えないことが必要である。より好ましくは104個を超えないものである。
空孔は、特定の樹脂を添加したフィルムをラミネートした缶に生成される。なので、缶の形状に成形する前から缶内面側に空孔が存在していても、成形により空孔が生成しても構わないが、特定の樹脂を混合することにより樹脂に微細な窪みが発生し、それが缶成形の加工によって空孔になる場合や、缶成形時に樹脂間に空隙が生まれることにより缶成形後に空孔になることも期待できる。
また、樹脂フィルム被覆金属缶にはその成形手段により、空孔の多い場所と少ない場所が生じ、ツーピース缶の場合、缶の底よりも缶の胴のより上部に近い部分で多いことが一般的である。その場合、本発明での空孔の数については缶胴の最も空孔数の多い部分で規定するものとする。
空孔の数は、光学顕微鏡や電子顕微鏡等の既存の観察機器でフィルム表面を観察し、規定面積中の数を数えることやコンピューターによる画像処理により自動的にカウントする方法が使用できる。また、面積1mm2中の空孔の数は、1mm×1mmの範囲の全数を数える他に、100μm×100μmの範囲の数を100倍する等の方法で計算しても良い。
缶内面側のフィルム最表層は、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部含有したポリエステル樹脂フィルムである。
発生する空孔の形状、密度の点から、フィルム最表層を上述のように規定する。0.01重量部以上添加すれば泡立ちに必要な量の空孔が発生する。さらに望ましくは0.1重量部以上の添加である。一方、上限は1重量部であり、それを超えると発生する空孔量が多すぎてフィルムの加工性等の物性が損なわれ、またさらに、添加樹脂によるフレーバー成分の吸着が無視できなくなり風味の劣化が起こったり、泡が生じやすくなりすぎて、きめ細かな泡ではない大粒の不安定な泡が発生しやすくなり、ビールの風味を返って損なう可能性がある。好ましくは、0.5重量部以下である。
ポリエステル系樹脂フィルムとしては、金属板との密着性に優れ、製缶時の成形加工によるフィルムの伸びや圧縮等の変形および摩擦によるフィルムの劣化や密着性の低下が無いこと、製缶後の乾燥、印刷焼付け、レトルト殺菌処理等の加熱によって被覆されたフィルムが結晶化または劣化し、フィルムの剥離、収縮、クラック、ピンホール等を生じないこと、缶への衝撃によってフィルムにクラックが発生したり、剥離したりしないこと、各種内容物に接した時に腐食や剥離が生じないこと、フィルムが白濁しないこと等の性能が要求される。さらに、缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、フィルムの溶出成分や臭いによって内容物の風味が損なわれないことも求められる。
上記要求を満足し、本発明で用いられるポリエステルとしては、酸成分としては各種の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が、グリコール成分としては各種の脂肪族ジオール、芳香族ジオールが任意に重合または共重合されたものが用いられ、また2種類以上の組成の異なる共重合ポリエステル樹脂を混合したものが用いられる。
さらに、泡立ち性と他のフレーバー性、耐衝撃性等の観点から、缶成形後のフィルム表面に生成した空孔のサイズ、密度が重要であり、樹脂フィルムの組成もそのような空孔発生に影響するので、樹脂フィルムは、適度な加工性と強度を保持していることが必要であり、そのようなポリエステル樹脂の組成としては、酸成分がイソフタル酸5〜18重量部と残部がテレフタル酸からなるものが最適である。イソフタル酸を適量テレフタル酸に共重合させることにより、テレフタル酸単独や低共重合組成のものよりも結晶化が抑制され加工性が向上し、加工による欠陥が発生しにくくなり、機械的性能の劣化が抑制される。イソフタル酸5重量部未満ではそのような効果が不十分で機械的性能が劣る場合がある。
一方、イソフタル酸成分が18重量部超えでは融点が低く缶加工の時の熱劣化が起こるため大きなクラック発生、衝撃劣化等が起こる場合がある。なお、ここで、残部がテレフタル酸からなるとは、少なくとも残りの成分中95%以上がテレフタル酸からなり、下記に示すその他の酸成分量は5%未満である。また、2層以上の複数の層構造を有する場合には、最表層をこの組成とすることが適当である。
微細な空孔を持つフィルムにおいて、泡立ち性が高いものほど表面エネルギーが低い傾向にあることを見出した。一方、ポリオレフィン樹脂やシリコーン樹脂の添加によりフィルム表面エネルギーが低下する傾向にある。特に、前述のMFR5〜20のポリエチレン樹脂または直鎖状ポリエチレン樹脂、または高分子シリコーンを使用したシリコーン系樹脂の添加によりフィルムの表面エネルギーを適当な領域に低下させたものが泡立ち性は高まる傾向にあった。これらの樹脂はポリエステル樹脂内に適切に分散され適度な微細孔の形成に寄与するとともに表面エネルギー低減させることにより泡立ち性を大きく促進すると考えられる。
表面エネルギーと泡立ち性の関係についてのメカニズムについては現在調査中であるが、一つには、フィルムの表面自由エネルギーが小さい場合、気泡が孔の中に生成した時に気泡面が凹んだ形状をとり、この場合気泡にかかる表面圧が2γ/r分だけ低下するため、気泡が発生しやすくなる効果もあると考えられる。
さらに、表面自由エネルギーが大きく内容物で濡れやすいと、容器表面に吸着した泡の起点となる気体が消失しやすく泡の発生が減少するため泡発生が減少するのに対し、内容物で濡れにくいものは逆に気体が吸着しやすいため泡が大きく成長して表面に移動する時に一部を表面に残しそれを起点としてまた泡が発生する効果もある。このようにして、泡は、空孔の存在する表面で表面自由エネルギーを低減することにより増加すると考えられる。
以上の効果を得るためには、表面自由エネルギーは20〜35mN/mが好ましい。フィルム最表層の表面自由エネルギーが35N/m以下で非常に顕著な泡立ち性が生じる。表面自由エネルギー35mN/mよりも高くなると、表面自由エネルギー低減による気泡核の安定性が低くなり泡立ち性が低減する場合がある。一方、表面自由エネルギーが20mN/m以下ではフィルムが安定に製造できない場合がある。
γs=γsd+γsh
γsdは表面自由エネルギーのうち、ファンデルワールス力やロンドン力に起因する分散成分で、γshは極性基の水素結合や酸・塩基相互作用等の力に関係する極性成分である。ラミネート金属板の表面に液体を滴下したときの接触角をθ、液体の表面自由エネルギーをγl、その分散成分をγld、その極性成分γlhとすると、これらは次の関係を満足する。
(γsh)1/2= −(γld/γlh)1/2*(γsd)1/2 + γl/(γlh)1/2*(1+cosθ)/2
そこで、表面自由エネルギーが既知(γl、γlh、γldが既知)の5つの液体(純水、グリセロール、ホルムアミド、エチエングリコール、ジメチルグリコロール)を測定物(ラミネート金属板)の表面に滴下し、各々の液体について接触角θを測定して求める(湿度:55〜65%、温度20℃)。そして、上記式に前記5液の各々について測定した接触角θと各々の液体のγl、γlh、γldの値を代入して、最小二乗法フィッティングで、γsd、およびγshを求める。ラミネート金属板の表面自由エネルギーγsは、γsdとγshの和で示される。
ビール液体の成分については分散成分よりも極性成分の割合が大きいことから、ビールの濡れを減少させるには表面自由エネルギーの極性成分を低くすることが最も効果的で、全体の表面自由エネルギーγsが35mN/mより高くても、極性成分γshが5mN/m以下であればビールの濡れが十分低減でき、泡立ち性が高まる。よって、樹脂フィルムの最表層について表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下が好ましい。
なお、缶内面側のフィルムは単層または複層であってもいずれでもよい。
また、製缶後の乾燥、印刷焼付け、レトルト殺菌処理等の加熱によって被覆されたフィルムが結晶化または劣化しそれによりフィルムの剥離、収縮、クラック、ピンホール等を生じたりするのを防止し、また缶への衝撃によってフィルムにクラックが発生したり、剥離したりせず、さらに各種内容物に接した時に腐食や剥離が生じず、フィルムが白濁しない缶が得られる。さらに、缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、フィルムの溶出成分や臭いによって内容物の風味が損なわれない。
外面側のフィルムとしては、内面側と同じフィルムを用いることも可能であるが、フィルムコスト等を考えて、空孔やポリオレフィン系樹脂等の添加剤を含まないか、添加量を減らしたフィルムを被覆することが好ましい。樹脂種類についても、内面側と同一のポリエステル樹脂組成を用いることも可能であるし、異なる組成の樹脂を用いても良いが、内面側のフィルムが無延伸フィルムの場合は外面側にも無延伸フィルムを用い、内面側のフィルムが二軸延伸フィルムの場合は外面側にも二軸延伸フィルムを用いる方が、両面のフィルム物性が同等で、缶成形時の欠陥等が生じにくいため好ましい。また、外面側フィルムの膜厚は、内面側と同じかやや薄いものが一般には用いられる。
鋼を素材とする金属板の場合、電解クロメート処理鋼板が、本発明の樹脂フィルムとの密着性、耐食性、製造コストの観点から特に好ましい。金属クロム層の金属クロム量は50〜200mg/m2が適当であり、50mg/m2未満では耐食性、加工後密着性が不十分な場合があり、200mg/m2を超えると耐食性、加工後密着性の向上効果が飽和し、逆に製造コスト上昇するからである。また、クロム酸化物中のクロム量の金属クロム換算量は3〜30mg/m2が適当で、3mg/m2未満になると密着性が劣る場合があり、30mg/m2を超えると色調が悪化する他、密着性も劣るからである。
例えば、金属缶として使用する場合に、より腐食性の強い内容物を充填すると、樹脂層を通して、内容物が金属板との界面に侵入し、金属板を腐食させ、フィルムとの密着性が劣化する可能性がある。このような場合、適切なプライマー層を設けることにより樹脂層の剥離を防ぐことが可能となる。
樹脂フィルム被覆金属缶の製造については、公知の方法を使用できる。側面継ぎ目を有するスリーピース缶としての適用も可能であるが、より好ましくはシームレスタイプのツーピース缶であり、絞り・再絞り加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工、絞り・しごき加工等を用いて成型することが可能である。また、再絞りにより曲げ伸ばし加工、および/またはしごき加工を行って缶胴を薄肉化する薄肉化深絞り缶や絞りしごき缶(DI缶)のような成形においては、缶胴の最も薄い部分の板厚がもとの金属板の30〜80%にまで薄肉化されたものが好ましく、より好ましくは40〜60%にまで薄肉化されたものである。
そして、本発明の樹脂フィルム被覆金属缶は、適度な泡立ち性の発現という点から缶内面側の樹脂フィルム表面には、粒径が0.5〜5μmの空孔が、面積1mm2当り最大で10〜105個存在している缶であり、その空孔が泡発生の起点となる。
また、前記樹脂フィルム被覆金属缶に炭酸飲料を充填する時に、缶の内面を液体で濡らしてから充填することにより、さらに泡立ちが抑制できる。液体としては、炭酸飲料に含まれる成分である水、またはアルコール飲料であればエタノール、またはその飲料そのもので濡らしておくことが好ましい。
また、適度な泡立ちは視覚的にもビールの味わいを高めるため、缶の蓋がフルオープン型であることがさらに好ましい。
実施例1〜5および比較例1〜5については、テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂(固有粘度0.7dl/g、Tg70℃、Tc170℃、Tm230℃、Ge含有量10ppm)と、ポリオレフィン樹脂またはシリコーン樹脂を押出し機に供給し、1軸押出し機でTダイより押出し、冷却ドラムを使用して26μmの厚みの無延伸フィルムを作製した。なお、ポリオレフィン樹脂としては、HDPEとしてハイゼックス1300J、LLDPEとしてウルトゼックス2080C(ともにプライムポリマー社製)を、シリコーン樹脂としてはBY27(東レダウコーニング社製)を使用した。また、比較例における酸化ケイ素としては平均粒径2.5μmの球状シリカを用いた。
実施例6については、無延伸フィルム作成後に縦に3倍横方向に3倍延伸して、2軸延伸した後170℃で熱処理して2軸延伸フィルムを作製した。
実施例7〜9および比較例6については、1軸押出し機2台を使用し、一方にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂と添加剤を、もう1台にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂85重量部と亜鉛中和カルボン酸変性オレフィン樹脂(三井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1705)15重量部の混合物を供給し、フィードブロック型Tダイを用いて共押出して上層のみに添加剤を含む2層無延伸フィルムを作製した。
実施例10〜12については、1軸押出し機2台を使用し、一方にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂と添加剤を、もう1台にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂85重量部と亜鉛中和カルボン酸変性オレフィン(三井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1705)15重量部の混合物を供給し、フィードブロック型Tダイを用いて共押出して上層のみに添加剤を含む2層無延伸フィルムを作製した後に、縦に3倍横方向に3倍延伸して、2軸延伸した後170℃で熱処理して2層2軸延伸フィルムを作製した。
以上から得られた樹脂被覆金属板について、以下のようにして薄肉化深絞り缶を製造し、薄肉化深絞り缶の適正を評価した。
樹脂被覆金属板について、以下の条件で第一段絞り、再絞りを行い、薄肉化深絞り缶を得た。
・第一段絞り
ブランク径…150〜160mm
1段絞り …絞り比1.65
・再絞り
第1次再絞り…絞り比:1.25
第2次再絞り…絞り比:1.25
再絞り工程のダイスコーナー部の曲率半径:0.4mm
再絞り時のしわ押さえ加重…39227N(4000kg)
・缶胴部の平均薄肉化率
成形前の樹脂被覆金属板の厚さに対し50%
・ネック・フランジ成形
缶胴の開口端部をトリミングした後、スピニング成形により呼び径206径の蓋のサイズに合致するようにネック部およびフランジ部を形成した。
ここで、得られた薄肉化深絞り缶の缶内面フィルムの空孔数については、最も空孔の数が多い部分を缶胴においてSEMで観察して探し出し、その部分についてSEMでフィルム表面を観察し、任意のフィルム表面の少なくとも10ヶ所において100μm×100μmの範囲の該当する数を数え、その平均値を100倍したものを面積1mm2中の空孔の数とした。また、空孔数や露出粒子数は、表面からその大きさが0.5〜10μmであることが確認できるもののみを数えた。なお、参考までに、金属缶内面フィルム表面のSEM写真の一例を図1として示す。
また、樹脂フィルムおよび缶内面フィルムの表面自由エネルギーについては、本文中に記載した方法で表面自由エネルギーγsおよびその極性成分γshを測定した。
・耐食性
歪取り熱処理を施した缶体(薄肉化率50%)の内面を洗浄し、塩化ナトリウムを1%含有する蒸留水を缶内に缶開口部から10mm下まで注いだ後、溶液中に入れた白金電極を陽極、缶体を陰極として6.3Vの直流電流を付与して、流れる電流値を測定し、以下の基準で評価した。なお、合格は○以上の評価のものである。
試験結果 :評価
電流値0.1mA以上 :× (劣)
電流値0.01mA以上、0.1mA未満 :△ ↑
電流値0.001mA以上、0.01mA未満:○ ↓
電流値0.001mA未満 :◎ (優)
・泡立ち性
歪取り熱処理を施した缶体(薄肉化率50%)の内面を洗浄し、ビール(サッポロ黒ラベル)を充填後、炭酸ガスを内圧0.1MPaになるように充填し、易開封性口を有する缶蓋を巻締めにより設け、ビール充填缶を得た。充填缶を5℃で120時間冷却した後、20℃の室内で開缶し10秒後のビール表面の泡立ち性を以下の基準で評価した。
試験結果 :評価
泡が液面を完全に覆わない :× (劣)
厚さ2mm未満の泡が液面をほぼ完全に覆う :△ ↑
厚さ2mm以上5mm未満の泡が液面を完全に覆う :○
厚さ5mm以上10mm未満の泡が液面を完全に覆う :◎ ↓
厚さ10mm以上の泡が液面を完全に覆う :◎◎ (優)
・泡持ち性
歪取り熱処理を施した缶体(薄肉化率50%)の内面を洗浄し、ビール(サッポロ黒ラベル)を充填後、炭酸ガスを内圧0.1MPaになるように充填し、易開封性口を有する缶蓋を巻締めにより設け、ビール充填缶を得た。充填缶を5℃で120時間冷却した後、20℃の室内で開缶し、ビール表面の泡立ちが液面の中で切れ目を生じ完全に覆わなくなるまでの時間を測定し以下の基準で評価した。
試験結果 :評価
1分以内 :× (劣)
1分超〜5分 :△ ↑
5分超〜10分:○
10分超〜20分 :◎ ↓
20分超 :◎◎ (優)
得られた結果を条件と併せて表1に示す。
Claims (1)
- 缶の内面または缶の内外面にポリエステル樹脂フィルムをラミネートした金属缶であって、
缶内面側のフィルムは単層または複層であり、
前記缶内面側のフィルム最表層は、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部含有したポリエステル樹脂フィルムであり、
前記缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーが20〜35mN/mで、
かつ、缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下であり、さらに、前記缶内面側のフィルム表面には、孔径0.5〜10μmの空孔が面積1mm2当り10〜105個存在することを特徴とする発泡飲料用の樹脂フィルム被覆金属缶。
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