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JP4899745B2 - 樹脂フィルム被覆金属缶 - Google Patents
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JP4899745B2 - 樹脂フィルム被覆金属缶 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂フィルム被覆金属缶に関するものであり、詳しくは、ビール等の発泡飲料用の樹脂フィルム被覆金属缶に関するものである。
ビールや発泡酒のように発酵を利用した炭酸飲料では、その液面を泡が覆うように注がれた状態が美味しいとされている。そして、液面を泡が覆うことにより、内容物中の炭酸や香味成分が抜けることを抑制し、また空気酸化で内容物が劣化することを防ぎ、変質しやすい飲料の味や香りを長く保持する効果があると言われている。また、泡にはビールの苦味成分が凝集するため、泡以外の部分の味がまろやかになるという効果もある。そのため、ビールを味わうときにはビール液面を適度に泡が覆うように注ぐ努力がなされる。
ビン入りビールからコップに注いでビールを飲む場合は、注ぐ時に空気を巻き込みビール中の炭酸ガスが泡になりやすくなるために充分な泡立ちが発生し前述の効果が期待できる。しかし、缶入りビールの場合は、多くの場合、缶の開口部を開封後コップに移さずにそのまま缶で飲むため泡は発生せず、前述のビン入りビールのような味わいを高める効果が期待できない。そこで、ビール等発泡飲料に使用される缶においても、開封して飲む時に泡立ちを発生させて味わいを高めようとする試みが数多くなされている。
例えば、缶の素材、形状を工夫して、開封した時に泡を発生させる試みが検討されている。特許文献1〜3には、缶の内面に凹凸を付与してその凹凸を起点として泡を発生させる方法が記載されている。
特開平5−97149号公報 特開2001−180671号公報 特開2005−41217号公報
缶内面の表面に細かな凹凸が存在すると泡発生の起点になりうる。例えば、陶器のカップのように表面に微細な凹凸のある容器にビールを注ぐと泡が大量に発生する現象が見られる。しかし、これは、ビールを充填する前に容器内表面の凹凸の中に吸着していた空気が核となり泡が発生している現象であり、このような表面に微細な凹凸のある容器においては飲料を充填してから蓋を閉めて密封し、しばらくしてから蓋を開いた場合はほとんど泡が生じないことが多い。これは容器内表面の凹凸に吸着した泡の起点となる空気が充填してしばらくすると飲料内に溶け込み、泡発生のための核がなくなってしまうからである。ゆえに、特許文献1および2に記載の方法では、缶の内面に凹凸を付与して泡を発生させているため、缶にビールを充填した後、しばらくして開けた時には泡発生はほとんどなくなってしまう。
特許文献3においては、缶内表面に非常に微細な空孔を数多く生成させることにより、缶にビールを充填した後、しばらくして開けた時にも泡を発生させることに成功している。微細な空孔中では泡発生における表面エネルギーは低減できるため、ビール内の炭酸による泡の核が発生し泡発生の起点となる空気は必要でなくなる。その結果、充填後に缶内表面に吸着していた空気がビール中に溶け込んだ後でも泡発生が可能となる。
しかしながら、特許文献3の方法では、缶内面フィルム表面に酸化ケイ素等の微小粒子を添加して缶成形においてその粒子の周囲に微細なボイドやクラックを発生させることにより微細な空孔が生成しているため、空孔のサイズや量は成形方法にも依存してコントロールが難しい。また適当な量の空孔が発生したとしても表面エネルギーが高いために泡の発生量はあまり多くはない。泡を大量に発生させるためには、表面の空孔量を非常に多くしなければならない。また、内面にこのような空孔を数多く発生させることは、製造が難しく、ボイドやクラックはフィルム欠陥の起点となりやすく好ましくない。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、泡発生の起点となる空孔が缶製造工程を大きく変えずに安定的に生成され、フィルム欠陥等の問題もなく、煩雑な操作無しに缶を開けるだけで微細な泡を発生させ、飲料の味わいを高めることを可能とする、泡立ち性、泡持ち性に優れた樹脂フィルム被覆金属缶を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、空孔の生成に着目し鋭意検討した。その結果、以下のことを知見し、本発明を完成するに至った。
微少粒子を添加せずに、フィルム表面に微細な空孔を生成させることを目的とし、樹脂フィルムへの添加剤を工夫してフィルム表面への空孔発生と表面自由エネルギーを制御したところ、特定のシリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をフィルム100重量部に対し0.01〜1重量部含有させたフィルムを被覆した缶では泡立ちが非常に良好で、開缶操作のみで十分な泡立ち性が得られることを見出した。そして、良好な泡立ち性で、開缶操作のみで十分な泡立ち性を得るためには、適切な空孔の大きさ、量が存在すること、さらには、泡立ち性と表面自由エネルギーとは関係があり、表面自由エネルギーを規定することで、一層泡立ち性が良好となることも見出した。
本発明は、以上の知見をもとになされたものであり、以下のような特徴を有する。
[1]缶の内面または缶の内外面にポリエステル樹脂フィルムをラミネートした金属缶であって、缶内面側のフィルムは単層または複層であり、前記缶内面側のフィルム最表層は、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部含有したポリエステル樹脂フィルムであり、前記缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーが20〜35mN/mで、かつ、缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下であり、さらに、前記缶内面側のフィルム表面には、孔径0.5〜10μmの空孔が面積1mm当り10〜10個存在することを特徴とする発泡飲料用の樹脂フィルム被覆金属缶。
以上、本発明によれば、良好な耐食性を持ちながら、泡立ち性、泡持ち性に優れた樹脂フィルム被覆金属缶が得られる。そして、泡発生の起点となる空孔が缶製造工程を大きく変えることなしに安定的に生成され、フィルム欠陥等の問題も無い。その結果、煩雑な操作無しに缶を開けるだけで微細な泡を発生させ、飲料の味わいを高めることが可能となる。
以下、本発明の樹脂フィルム被覆金属缶を詳細に説明する。
本発明の対象とする樹脂フィルム被覆金属缶は、缶の内面または缶の内外面にポリエステル樹脂フィルムをラミネートした金属缶である。
そして、適度な泡立ち性の発現という点から、缶内面側のフィルムは単層または複層であり、前記缶内面側のフィルム最表層は、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部含有したポリエステル樹脂フィルムであり、さらに、前記缶内面側のフィルム表面には、孔径0.5〜10μmの空孔が面積1mm当り10〜10個存在することとする。このような缶内面側の規定は本発明において、重要な要件である。以下のこれらについて、詳細に説明する。
内面側のフィルム表面には、孔径0.5〜10μmの空孔が面積1mm当り10〜10個存在する
まず、本発明で規定する空孔とは、缶内面の内容物に接触する側のフィルム表面に生じた空孔であり、フィルムを貫通するものやフィルム内部や金属側に生成したものは含まない。空孔の深さとしてはせいぜい5μm程度である。また、その直径とは、フィルム表面に生じた空孔の長径と短径の平均とする。このような空孔には大きいものや小さいものがあるが、本発明において規定される孔径0.5〜10μmの空孔がその空孔内で最も泡核が発生しやすい。さらに、その中でも孔径1〜5μmのものが特に泡立ち効果が高い。
前記孔径0.5〜10μmの空孔は面積1mm当り最大で10〜10個存在することが必要である。孔径0.5〜10μmの空孔が10個未満では、泡の発生量が不充分である。好ましくは1mmあたり100個以上である。一方、10個を超えるものは、内容物によっては泡の発生が過剰となり泡の安定性が低下するため、空孔数の上限は面積1mmあたり最大10個を超えないことが必要である。より好ましくは10個を超えないものである。
空孔は、特定の樹脂を添加したフィルムをラミネートした缶に生成される。なので、缶の形状に成形する前から缶内面側に空孔が存在していても、成形により空孔が生成しても構わないが、特定の樹脂を混合することにより樹脂に微細な窪みが発生し、それが缶成形の加工によって空孔になる場合や、缶成形時に樹脂間に空隙が生まれることにより缶成形後に空孔になることも期待できる。
また、樹脂フィルム被覆金属缶にはその成形手段により、空孔の多い場所と少ない場所が生じ、ツーピース缶の場合、缶の底よりも缶の胴のより上部に近い部分で多いことが一般的である。その場合、本発明での空孔の数については缶胴の最も空孔数の多い部分で規定するものとする。
空孔の数は、光学顕微鏡や電子顕微鏡等の既存の観察機器でフィルム表面を観察し、規定面積中の数を数えることやコンピューターによる画像処理により自動的にカウントする方法が使用できる。また、面積1mm中の空孔の数は、1mm×1mmの範囲の全数を数える他に、100μm×100μmの範囲の数を100倍する等の方法で計算しても良い。
缶内面側のフィルム最表層は、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部含有したポリエステル樹脂フィルムである。
発生する空孔の形状、密度の点から、フィルム最表層を上述のように規定する。0.01重量部以上添加すれば泡立ちに必要な量の空孔が発生する。さらに望ましくは0.1重量部以上の添加である。一方、上限は1重量部であり、それを超えると発生する空孔量が多すぎてフィルムの加工性等の物性が損なわれ、またさらに、添加樹脂によるフレーバー成分の吸着が無視できなくなり風味の劣化が起こったり、泡が生じやすくなりすぎて、きめ細かな泡ではない大粒の不安定な泡が発生しやすくなり、ビールの風味を返って損なう可能性がある。好ましくは、0.5重量部以下である。
シリコーン系樹脂としては、ジメチルシリコーンやメチルフェニルシリコーン、およびそれらにフッ素やアミノ基を変性させたものが使用可能である。特に、高分子シリコーンを使用したものまたは高分子シリコーンをポリエチレン樹脂やPBT樹脂に分散させたものが好ましく、例えば東レダウコーニング社製BY27などが好適である。
ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン等、分子内に炭素炭素2重結合を含む分子をビニル重合させて高分子化して得られる樹脂で、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン等がある。特にポリエステル樹脂中へ適度に分散することからポリエチレン樹脂が好ましく、高密度〜低密度いずれのもの、または直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、またそれらを複数混合したものが好適である。さらには、ポリエステル樹脂中での分散の状態の点からMFR5〜20のポリエチレン樹脂または直鎖状ポリエチレン樹脂が特に好適である。
樹脂フィルム被覆金属缶は、ポリエステル樹脂を主な成分とする樹脂フィルムを少なくとも片面にラミネートしたフィルムラミネート金属板を、前記樹脂が缶の内面側になるようにして缶の形状に成形したものが、内容物に対する耐久性や生産性の点から好ましい。
ポリエステル系樹脂フィルムとしては、金属板との密着性に優れ、製缶時の成形加工によるフィルムの伸びや圧縮等の変形および摩擦によるフィルムの劣化や密着性の低下が無いこと、製缶後の乾燥、印刷焼付け、レトルト殺菌処理等の加熱によって被覆されたフィルムが結晶化または劣化し、フィルムの剥離、収縮、クラック、ピンホール等を生じないこと、缶への衝撃によってフィルムにクラックが発生したり、剥離したりしないこと、各種内容物に接した時に腐食や剥離が生じないこと、フィルムが白濁しないこと等の性能が要求される。さらに、缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、フィルムの溶出成分や臭いによって内容物の風味が損なわれないことも求められる。
上記要求を満足し、本発明で用いられるポリエステルとしては、酸成分としては各種の芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸が、グリコール成分としては各種の脂肪族ジオール、芳香族ジオールが任意に重合または共重合されたものが用いられ、また2種類以上の組成の異なる共重合ポリエステル樹脂を混合したものが用いられる。
さらに、泡立ち性と他のフレーバー性、耐衝撃性等の観点から、缶成形後のフィルム表面に生成した空孔のサイズ、密度が重要であり、樹脂フィルムの組成もそのような空孔発生に影響するので、樹脂フィルムは、適度な加工性と強度を保持していることが必要であり、そのようなポリエステル樹脂の組成としては、酸成分がイソフタル酸5〜18重量部と残部がテレフタル酸からなるものが最適である。イソフタル酸を適量テレフタル酸に共重合させることにより、テレフタル酸単独や低共重合組成のものよりも結晶化が抑制され加工性が向上し、加工による欠陥が発生しにくくなり、機械的性能の劣化が抑制される。イソフタル酸5重量部未満ではそのような効果が不十分で機械的性能が劣る場合がある。
一方、イソフタル酸成分が18重量部超えでは融点が低く缶加工の時の熱劣化が起こるため大きなクラック発生、衝撃劣化等が起こる場合がある。なお、ここで、残部がテレフタル酸からなるとは、少なくとも残りの成分中95%以上がテレフタル酸からなり、下記に示すその他の酸成分量は5%未満である。また、2層以上の複数の層構造を有する場合には、最表層をこの組成とすることが適当である。
缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーが20〜35mN/m
微細な空孔を持つフィルムにおいて、泡立ち性が高いものほど表面エネルギーが低い傾向にあることを見出した。一方、ポリオレフィン樹脂やシリコーン樹脂の添加によりフィルム表面エネルギーが低下する傾向にある。特に、前述のMFR5〜20のポリエチレン樹脂または直鎖状ポリエチレン樹脂、または高分子シリコーンを使用したシリコーン系樹脂の添加によりフィルムの表面エネルギーを適当な領域に低下させたものが泡立ち性は高まる傾向にあった。これらの樹脂はポリエステル樹脂内に適切に分散され適度な微細孔の形成に寄与するとともに表面エネルギー低減させることにより泡立ち性を大きく促進すると考えられる。
表面エネルギーと泡立ち性の関係についてのメカニズムについては現在調査中であるが、一つには、フィルムの表面自由エネルギーが小さい場合、気泡が孔の中に生成した時に気泡面が凹んだ形状をとり、この場合気泡にかかる表面圧が2γ/r分だけ低下するため、気泡が発生しやすくなる効果もあると考えられる。
さらに、表面自由エネルギーが大きく内容物で濡れやすいと、容器表面に吸着した泡の起点となる気体が消失しやすく泡の発生が減少するため泡発生が減少するのに対し、内容物で濡れにくいものは逆に気体が吸着しやすいため泡が大きく成長して表面に移動する時に一部を表面に残しそれを起点としてまた泡が発生する効果もある。このようにして、泡は、空孔の存在する表面で表面自由エネルギーを低減することにより増加すると考えられる。
以上の効果を得るためには、表面自由エネルギーは20〜35mN/mが好ましい。フィルム最表層の表面自由エネルギーが35N/m以下で非常に顕著な泡立ち性が生じる。表面自由エネルギー35mN/mよりも高くなると、表面自由エネルギー低減による気泡核の安定性が低くなり泡立ち性が低減する場合がある。一方、表面自由エネルギーが20mN/m以下ではフィルムが安定に製造できない場合がある。
ここで、表面自由エネルギーの測定方法について説明する。ラミネート金属缶の表面自由エネルギーγsは、以下のように2つの成分に分けられる。
γs=γsd+γsh
γsdは表面自由エネルギーのうち、ファンデルワールス力やロンドン力に起因する分散成分で、γshは極性基の水素結合や酸・塩基相互作用等の力に関係する極性成分である。ラミネート金属板の表面に液体を滴下したときの接触角をθ、液体の表面自由エネルギーをγl、その分散成分をγld、その極性成分γlhとすると、これらは次の関係を満足する。
(γsh)1/2= −(γld/γlh)1/2*(γsd)1/2 + γl/(γlh)1/2*(1+cosθ)/2
そこで、表面自由エネルギーが既知(γl、γlh、γldが既知)の5つの液体(純水、グリセロール、ホルムアミド、エチエングリコール、ジメチルグリコロール)を測定物(ラミネート金属板)の表面に滴下し、各々の液体について接触角θを測定して求める(湿度:55〜65%、温度20℃)。そして、上記式に前記5液の各々について測定した接触角θと各々の液体のγl、γlh、γldの値を代入して、最小二乗法フィッティングで、γsd、およびγshを求める。ラミネート金属板の表面自由エネルギーγsは、γsdとγshの和で示される。
表面自由エネルギーが35mN/m以下の樹脂フィルム表面を得るためには、ポリエステル樹脂の表面自由エネルギーが約43mN/mと高いため、ポリオレフィン系樹脂またはシリコーン系樹脂を前述したように0.01重量部以上、さらに望ましくは0.1重量部以上添加すれば表面自由エネルギーが所望の値まで低減する。一方、ポリオレフィン系樹脂またはシリコーン系樹脂の上限は前述したように1重量部であり、それを超えて添加しても表面自由エネルギーの低減はほとんど飽和し変化しないうえ、ポリエステル樹脂に十分分散しきれず表面欠陥や色調ムラの原因となるため不適である。また、ポリオレフィン系樹脂またはシリコーン系樹脂によるフレーバー成分の吸着が無視できなくなり風味の劣化が起こったり、さらに多量のポリオレフィン樹脂を添加すると泡が生じやすくなりすぎて、きめ細かな泡ではない大粒の不安定な泡が発生しやすくなり、ビールの風味を返って損なう可能性がある。好ましくは、0.5重量部以下である。さらに、前述のMFR5〜20のポリエチレン樹脂または直鎖状ポリエチレン樹脂、または高分子シリコーンを使用したシリコーン系樹脂を使用したもので特に泡立ち性が高まることは言うまでも無い。
さらに、表面自由エネルギーの大小は、樹脂フィルム表面におけるビールの濡れ性に関係するため、ビールで濡れにくい表面自由エネルギーの低い表面が必要である。この点から、表面自由エネルギー35mN/m以下の泡立ちに最適な樹脂フィルムにおけるビールの接触角を水の接触角に換算すると80度以上になり、80度以上であれば泡立ち性を促進するが、80度未満であれば効果は小さい。よって、樹脂フィルムの最表層の水接触角が80度以上であることが好ましい。
缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下
ビール液体の成分については分散成分よりも極性成分の割合が大きいことから、ビールの濡れを減少させるには表面自由エネルギーの極性成分を低くすることが最も効果的で、全体の表面自由エネルギーγsが35mN/mより高くても、極性成分γshが5mN/m以下であればビールの濡れが十分低減でき、泡立ち性が高まる。よって、樹脂フィルムの最表層について表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下が好ましい。
なお、缶内面側のフィルムは単層または複層であってもいずれでもよい。
以上、上記組成の樹脂フィルムを被覆した金属板を、対象樹脂フィルムが缶内面側になるように缶成形することにより、表面自由エネルギーがコントロールされたフィルム表面に適切なサイズ、密度の空孔が得られ、内容物の泡立ち性が優れるとともに、金属板との密着性に優れ、製缶時の成形加工によるフィルムの伸びや圧縮等の変形、および摩擦によるフィルムの劣化や密着性の低下が無い缶が得られる。
また、製缶後の乾燥、印刷焼付け、レトルト殺菌処理等の加熱によって被覆されたフィルムが結晶化または劣化しそれによりフィルムの剥離、収縮、クラック、ピンホール等を生じたりするのを防止し、また缶への衝撃によってフィルムにクラックが発生したり、剥離したりせず、さらに各種内容物に接した時に腐食や剥離が生じず、フィルムが白濁しない缶が得られる。さらに、缶の内容物の香り成分がフィルムに吸着したり、フィルムの溶出成分や臭いによって内容物の風味が損なわれない。
一方、缶外面側となる金属板の面については、外面側にもフィルムを被覆して両面ラミネート金属板として缶に使用することも可能であるし、外面面にはフィルムを用いない片面ラミネート金属板として缶成形を行い、その後必要に応じて塗装、印刷等を行って、缶として使用することも可能である。
外面側のフィルムとしては、内面側と同じフィルムを用いることも可能であるが、フィルムコスト等を考えて、空孔やポリオレフィン系樹脂等の添加剤を含まないか、添加量を減らしたフィルムを被覆することが好ましい。樹脂種類についても、内面側と同一のポリエステル樹脂組成を用いることも可能であるし、異なる組成の樹脂を用いても良いが、内面側のフィルムが無延伸フィルムの場合は外面側にも無延伸フィルムを用い、内面側のフィルムが二軸延伸フィルムの場合は外面側にも二軸延伸フィルムを用いる方が、両面のフィルム物性が同等で、缶成形時の欠陥等が生じにくいため好ましい。また、外面側フィルムの膜厚は、内面側と同じかやや薄いものが一般には用いられる。
次いで、樹脂フィルムをラミネートする金属板について説明する。本発明の金属板は特に限定されないが、成形性の点で鋼及びアルミニウムを素材とする金属板が好ましい。鉄を素材とする金属板の場合、その表面に樹脂密着性や耐食性を改善するため、無機酸化物皮膜層、例えばクロム酸処理、リン酸処理、クロム酸/リン酸処理、電解クロム酸処理、クロムクロメート処理などで代表される化成処理被覆層を設けてもよい。また、展延性金属メッキ層、例えばニッケル、スズ、亜鉛、アルミニウム、砲金、真ちゅうなどのメッキ層を設けてもよい。また、スズメッキの場合は、0.5〜15g/m、ニッケルまたはアルミニウムの場合1.8〜20g/mのメッキ量を有するものが加工性および樹脂密着性の点から特に好ましい。このような金属板は、厚さが、通常0.01〜5mm、好ましくは0.1〜2mmである。そして、金属板片面または両面上に、前述した本発明の樹脂組成物層をラミネートした樹脂被覆層が形成される。
鋼を素材とする金属板の場合、電解クロメート処理鋼板が、本発明の樹脂フィルムとの密着性、耐食性、製造コストの観点から特に好ましい。金属クロム層の金属クロム量は50〜200mg/mが適当であり、50mg/m未満では耐食性、加工後密着性が不十分な場合があり、200mg/mを超えると耐食性、加工後密着性の向上効果が飽和し、逆に製造コスト上昇するからである。また、クロム酸化物中のクロム量の金属クロム換算量は3〜30mg/mが適当で、3mg/m未満になると密着性が劣る場合があり、30mg/mを超えると色調が悪化する他、密着性も劣るからである。
また、本発明においては、本発明の効果を妨げない限り、樹脂フィルムと金属板の密着性を高めるために、プライマー層を金属板と樹脂フィルムとの間に設けても良い。本発明の樹脂フィルム被覆金属缶は、樹脂層と金属板の一次密着性、加工後密着性とも優れたものであるが、より厳しい腐食環境、あるいはより優れた密着性が要求される環境下では、プライマー層を設けて、要求に応じた特性を付与できる。
例えば、金属缶として使用する場合に、より腐食性の強い内容物を充填すると、樹脂層を通して、内容物が金属板との界面に侵入し、金属板を腐食させ、フィルムとの密着性が劣化する可能性がある。このような場合、適切なプライマー層を設けることにより樹脂層の剥離を防ぐことが可能となる。
樹脂フィルム被覆金属板を製造する方法については公知の方法が使用できるが、特にポリエステル樹脂の融点−150℃〜融点+30℃の範囲に加熱した金属板に、回転するロールによって樹脂フィルムを押し付けて被覆する方法が好ましい。
次いで、本発明の樹脂フィルム被覆金属缶について説明する。本発明の樹脂フィルム被覆金属缶は、前述した樹脂フィルム被覆金属板を、樹脂フィルム被覆面が缶内面側になるように成形してなるものである。また、本発明において、「缶」とは、缶胴、缶蓋、缶底のいずれか一部位以上を使用した場合(全部使用した場合も含む)である。
樹脂フィルム被覆金属缶の製造については、公知の方法を使用できる。側面継ぎ目を有するスリーピース缶としての適用も可能であるが、より好ましくはシームレスタイプのツーピース缶であり、絞り・再絞り加工、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし加工(ストレッチ加工)、絞り・再絞りによる曲げ伸ばし・しごき加工、絞り・しごき加工等を用いて成型することが可能である。また、再絞りにより曲げ伸ばし加工、および/またはしごき加工を行って缶胴を薄肉化する薄肉化深絞り缶や絞りしごき缶(DI缶)のような成形においては、缶胴の最も薄い部分の板厚がもとの金属板の30〜80%にまで薄肉化されたものが好ましく、より好ましくは40〜60%にまで薄肉化されたものである。
そして、本発明の樹脂フィルム被覆金属缶は、適度な泡立ち性の発現という点から缶内面側の樹脂フィルム表面には、粒径が0.5〜5μmの空孔が、面積1mm当り最大で10〜10個存在している缶であり、その空孔が泡発生の起点となる。
以上、得られた樹脂フィルム被覆金属缶の用途としては、充填した飲料が開缶した時に泡立つという特徴を最大限に生かせるように、炭酸飲料、特にビール、発泡酒等の発酵を利用した飲料を充填して飲用に供することが好ましい。しかし、このような用途では、前記樹脂フィルム被覆金属缶に飲料を充填する時に、泡が発生して充填した飲料が缶より溢れる可能性があり、その場合は充填不可となり問題となる場合がある。そのため、この樹脂フィルム被覆金属缶においては、缶または炭酸飲料を8℃以下に冷却して充填することにより、泡が発生しにくくなり充填時の泡立ちを抑制することができる。望ましくは、缶、飲料ともに冷却するほうが良い。また、好ましくはさらに低温であれば泡立ちをさらに抑制でき、5℃、さらには2℃以下の充填が好ましい。
また、前記樹脂フィルム被覆金属缶に炭酸飲料を充填する時に、缶の内面を液体で濡らしてから充填することにより、さらに泡立ちが抑制できる。液体としては、炭酸飲料に含まれる成分である水、またはアルコール飲料であればエタノール、またはその飲料そのもので濡らしておくことが好ましい。
また、適度な泡立ちは視覚的にもビールの味わいを高めるため、缶の蓋がフルオープン型であることがさらに好ましい。
表1に示す配合で樹脂フィルムを作成した。なお、樹脂フィルムの作成にあたっての詳細な製造方法および条件は以下の通りである。
実施例1〜5および比較例1〜5については、テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂(固有粘度0.7dl/g、Tg70℃、Tc170℃、Tm230℃、Ge含有量10ppm)と、ポリオレフィン樹脂またはシリコーン樹脂を押出し機に供給し、1軸押出し機でTダイより押出し、冷却ドラムを使用して26μmの厚みの無延伸フィルムを作製した。なお、ポリオレフィン樹脂としては、HDPEとしてハイゼックス1300J、LLDPEとしてウルトゼックス2080C(ともにプライムポリマー社製)を、シリコーン樹脂としてはBY27(東レダウコーニング社製)を使用した。また、比較例における酸化ケイ素としては平均粒径2.5μmの球状シリカを用いた。
実施例6については、無延伸フィルム作成後に縦に3倍横方向に3倍延伸して、2軸延伸した後170℃で熱処理して2軸延伸フィルムを作製した。
実施例7〜9および比較例6については、1軸押出し機2台を使用し、一方にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂と添加剤を、もう1台にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂85重量部と亜鉛中和カルボン酸変性オレフィン樹脂(三井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1705)15重量部の混合物を供給し、フィードブロック型Tダイを用いて共押出して上層のみに添加剤を含む2層無延伸フィルムを作製した。
実施例10〜12については、1軸押出し機2台を使用し、一方にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂と添加剤を、もう1台にはテレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂85重量部と亜鉛中和カルボン酸変性オレフィン(三井デュポンポリケミカル社製ハイミラン1705)15重量部の混合物を供給し、フィードブロック型Tダイを用いて共押出して上層のみに添加剤を含む2層無延伸フィルムを作製した後に、縦に3倍横方向に3倍延伸して、2軸延伸した後170℃で熱処理して2層2軸延伸フィルムを作製した。
また、外面用フィルムとして、実施例1〜5、7〜9および比較例1〜6には、厚さ15μmの無延伸フィルム(テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂)を使用し、実施例6、10〜12には、厚さ15μmの二軸延伸フィルム(テレフタル酸とイソフタル酸比率が90:10のエチレンテレフタレート−エチレンイソフタレート共重合樹脂)を使用した。
次いで、以上により得られた樹脂フィルムを金属板の両面に被覆することにより、樹脂フィルム被覆金属板を作製した。金属板としては、薄肉化深絞り缶用として厚さ0.18mm、テンパー度DR9、金属クロム層80mg/m、クロム酸化物層15mg/m(金属クロム換算)のティン・フリー・スチール(以下TFSと略す)を用い、前記のようにして得られた樹脂フィルムを誘導加熱方式で加熱した前記各金属板の両面に熱圧着した後、水中急冷する熱接着法で樹脂フィルム被覆金属板を得た。
以上から得られた樹脂被覆金属板について、以下のようにして薄肉化深絞り缶を製造し、薄肉化深絞り缶の適正を評価した。
<製缶加工>
樹脂被覆金属板について、以下の条件で第一段絞り、再絞りを行い、薄肉化深絞り缶を得た。
・第一段絞り
ブランク径…150〜160mm
1段絞り …絞り比1.65
・再絞り
第1次再絞り…絞り比:1.25
第2次再絞り…絞り比:1.25
再絞り工程のダイスコーナー部の曲率半径:0.4mm
再絞り時のしわ押さえ加重…39227N(4000kg)
・缶胴部の平均薄肉化率
成形前の樹脂被覆金属板の厚さに対し50%
・ネック・フランジ成形
缶胴の開口端部をトリミングした後、スピニング成形により呼び径206径の蓋のサイズに合致するようにネック部およびフランジ部を形成した。
<フィルム表面の空孔評価および表面自由エネルギー測定>
ここで、得られた薄肉化深絞り缶の缶内面フィルムの空孔数については、最も空孔の数が多い部分を缶胴においてSEMで観察して探し出し、その部分についてSEMでフィルム表面を観察し、任意のフィルム表面の少なくとも10ヶ所において100μm×100μmの範囲の該当する数を数え、その平均値を100倍したものを面積1mm中の空孔の数とした。また、空孔数や露出粒子数は、表面からその大きさが0.5〜10μmであることが確認できるもののみを数えた。なお、参考までに、金属缶内面フィルム表面のSEM写真の一例を図1として示す。
また、樹脂フィルムおよび缶内面フィルムの表面自由エネルギーについては、本文中に記載した方法で表面自由エネルギーγsおよびその極性成分γshを測定した。
<ビール缶適性の評価>
・耐食性
歪取り熱処理を施した缶体(薄肉化率50%)の内面を洗浄し、塩化ナトリウムを1%含有する蒸留水を缶内に缶開口部から10mm下まで注いだ後、溶液中に入れた白金電極を陽極、缶体を陰極として6.3Vの直流電流を付与して、流れる電流値を測定し、以下の基準で評価した。なお、合格は○以上の評価のものである。
試験結果 :評価
電流値0.1mA以上 :× (劣)
電流値0.01mA以上、0.1mA未満 :△ ↑
電流値0.001mA以上、0.01mA未満:○ ↓
電流値0.001mA未満 :◎ (優)
・泡立ち性
歪取り熱処理を施した缶体(薄肉化率50%)の内面を洗浄し、ビール(サッポロ黒ラベル)を充填後、炭酸ガスを内圧0.1MPaになるように充填し、易開封性口を有する缶蓋を巻締めにより設け、ビール充填缶を得た。充填缶を5℃で120時間冷却した後、20℃の室内で開缶し10秒後のビール表面の泡立ち性を以下の基準で評価した。
試験結果 :評価
泡が液面を完全に覆わない :× (劣)
厚さ2mm未満の泡が液面をほぼ完全に覆う :△ ↑
厚さ2mm以上5mm未満の泡が液面を完全に覆う :○
厚さ5mm以上10mm未満の泡が液面を完全に覆う :◎ ↓
厚さ10mm以上の泡が液面を完全に覆う :◎◎ (優)
・泡持ち性
歪取り熱処理を施した缶体(薄肉化率50%)の内面を洗浄し、ビール(サッポロ黒ラベル)を充填後、炭酸ガスを内圧0.1MPaになるように充填し、易開封性口を有する缶蓋を巻締めにより設け、ビール充填缶を得た。充填缶を5℃で120時間冷却した後、20℃の室内で開缶し、ビール表面の泡立ちが液面の中で切れ目を生じ完全に覆わなくなるまでの時間を測定し以下の基準で評価した。
試験結果 :評価
1分以内 :× (劣)
1分超〜5分 :△ ↑
5分超〜10分:○
10分超〜20分 :◎ ↓
20分超 :◎◎ (優)
得られた結果を条件と併せて表1に示す。
Figure 0004899745
表1によれば、本発明例では、泡立ち性、泡持ち性および耐食性に優れた樹脂フィルム被覆金属缶を得ることができる。一方、比較例では、泡立ち性、泡持ち性のいずれか一つ以上が劣っている。さらに、比較例5および6では、耐食性も劣っている。
本発明により得られた樹脂フィルム被覆金属缶は、開缶時に適度な泡立ちが発生することにより、従来得られなかった味や香りを保持できるので、ジュース、ビール、発泡酒等のように発酵を利用した炭酸飲料用缶として最適である。
金属缶内面フィルム表面のSEM写真の一例を示す図である。(実施例1)

Claims (1)

  1. 缶の内面または缶の内外面にポリエステル樹脂フィルムをラミネートした金属缶であって、
    缶内面側のフィルムは単層または複層であり、
    前記缶内面側のフィルム最表層は、シリコーン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも1種類以上をポリエステル樹脂100重量部に対し0.01〜1重量部含有したポリエステル樹脂フィルムであり、
    前記缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーが20〜35mN/mで、
    かつ、缶内面側フィルム表面の表面自由エネルギーの極性成分が5mN/m以下であり、さらに、前記缶内面側のフィルム表面には、孔径0.5〜10μmの空孔が面積1mm当り10〜10個存在することを特徴とする発泡飲料用の樹脂フィルム被覆金属缶。
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