以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施の形態>
本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態では、自動変速機を、ロックアップクラッチが設けられた、流体継手であるトルクコンバータと、変速機構とを有する自動変速機として説明する。なお、本実施の形態において、自動変速機は、ロックアップクラッチが設けられた流体継手を有していればよく、有段式の自動変速機であってもよいし、無段式自動変速機であってもよい。ロックアップクラッチは、係合することにより流体継手の入力軸と出力軸とを直結し、解放することにより入力軸と出力軸とを離隔する機械要素である。
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、詳しくは、図1に示すECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU(Electronic Control Unit)1020により実現される。
図1に示すように、この車両のパワートレーンは、エンジン100と、トルクコンバータ200と、自動変速機構300と、ECU1000とから構成される。
エンジン100には、電子スロットル104が設けられる。電子スロットル104の開度は、エンジンECU1010から受信する電子スロットル制御信号に基づいてスロットルモータ(図示せず)により調整される。
さらに、エンジン100には、燃焼室内に燃料を噴射するインジェクタが設けられる。インジェクタは、エンジンECU1010から受信する燃料噴射制御信号に基づいて燃焼室内に燃料を供給する。
エンジン100の出力軸は、トルクコンバータ200の入力軸に接続される。エンジン100とトルクコンバータ200とは回転軸により連結されている。したがって、エンジン回転数センサ102により検知されるエンジン100の出力軸回転数NE(エンジン回転数NE)とトルクコンバータ200の入力軸回転数(ポンプ回転数)とは同じである。
トルクコンバータ200は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチ202と、入力軸側のポンプ羽根車(図示せず)と、出力軸側のタービン羽根車(図示せず)と、ワンウェイクラッチ(図示せず)を有しトルク増幅機能を発現するステータ(図示せず)とから構成される。トルクコンバータ200と自動変速機構300とは、回転軸206により接続される。トルクコンバータ200の出力軸回転数NT(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサ204により検知される。自動変速機構300の出力軸回転数NOUTは、出力軸回転数センサ304により検知される。
このような自動変速機構300は、その内部に複数の摩擦要素であるクラッチやブレーキを備える。予め定められた作動表に基づいて、摩擦要素であるクラッチ要素(たとえばクラッチC1〜C4)や、ブレーキ要素(たとえばブレーキB1〜B4)、ワンウェイクラッチ要素(たとえばワンウェイクラッチF0〜F3)が、要求された各ギヤ段に対応して、係合および解放されるように油圧制御回路302が制御される。自動変速機構300の変速ポジション(シフトポジション)には、パーキング(P)ポジション、後進走行(R)ポジション、ニュートラル(N)ポジション、前進走行(D)ポジションがある。
これらのパワートレーンを制御するECU1000は、エンジン100を制御するエンジンECU1010と、自動変速機構300を制御するECT_ECU1020とを含む。
ECT_ECU1020には、出力軸回転数センサ304にて検知された出力軸回転数NOUTを表わす信号が入力される。また、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010から、エンジン回転数センサ102にて検知されたエンジン回転数NEを表わすエンジン回転数信号が入力される。さらに、ECT_ECU1020には、トルクコンバータのタービン回転数センサ204にて検知されたタービン回転数NTを表わす信号が入力される。
エンジン回転数センサ102は、エンジン100の出力軸(トルクコンバータ200の入力軸)に取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられる。出力軸回転数センサ304は、自動変速機構300の出力軸に取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられる。タービン回転数センサ204は、トルクコンバータ200の出力軸に取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられる。
これらの回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機構300の出力軸の僅かな回転の検出も可能なセンサであり、たとえば、一般的に半導体式センサと称される磁気抵抗素子を使用したセンサである。
さらに、ECT_ECU1020は、エンジンECU1010にエンジン制御信号(たとえばスロットル開度信号)を出力し、エンジンECU1010は、そのエンジン制御信号や他の制御信号に基づいてエンジン100を制御する。ECT_ECU1020は、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ制御信号(以下、LC制御信号と記載する)を出力する。このロックアップクラッチ制御信号に基づいて、ロックアップクラッチ202の係合力(係合圧)が制御される。また、ECT_ECU1020は、自動変速機構300にソレノイド制御信号を出力する。このソレノイド制御信号に基づいて、自動変速機構300の油圧制御回路302を構成するリニアソレノイドバルブやオンオフソレノイドバルブなどが制御され、所定の変速ギヤ段(たとえば第1速〜第5速)を構成するように、摩擦係合要素が係合および解放されるように制御される。
また、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010を経由して、アクセル開度センサ2100から、運転者により操作されたアクセルペダルの開度を表わす信号が入力される。さらに、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010を経由して、車輪速センサ2200から車輪の回転速度(以下、車輪の回転数あるいは車輪速ともいう)を表す信号が入力される。さらに、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010から電子スロットル104のスロットル開度を表す信号が入力される。スロットル開度は、電子スロットル104に設けられたスロットル開度センサにより検知されてもよいし、スロットル開度制御信号に基づいて検出されてもよいものとする。さらに、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010からフューエルカット信号が入力される。フューエルカット信号は、エンジンECU1010においてインジェクタに対する燃料供給が停止される場合にオン信号がECT_ECU1020に送信され、そうでないとオフ信号がECT_ECU1020に送信される。また、ECT_ECU1020は、各種データ(しきい値、変速マップ等)やプログラムが記憶されたメモリを有する。
以上のような構成を有する車両において、本発明は、ECT_ECU1020が、エンジン100がフューエルカット制御から復帰することにより回転数の低下が生じているか否かを判定して、検知されたエンジン100の回転数の変化の度合いおよび判定結果に基づいて、運転者の操作により回転数が低下する状態であるか否かを判定する点に特徴を有する。また、ECT_ECU1020は、車両の状態に加えて、運転者の操作により回転数が低下する状態であるか否かの判定結果に基づいて、ロックアップクラッチ202を制御する。
具体的には、本実施の形態において、ECT_ECU1020は、エンジン100がフューエルカット制御から復帰した状態であると、エンジン100の回転数の低下が生じていることを判定する。また、「運転者の操作により回転数が低下する状態」は、エンジン100の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量よりも大きくなるような制動力が車両に発現する状態であって、たとえば、運転者がブレーキペダルの操作量を増大させて、車両に発現した制動力が急激に増加した状態である。
なお、本実施の形態において、フューエルカット制御から復帰した状態であるか否かの判定は、ECT_ECU1020において実行されるとして説明するが、エンジンECU1010において実行されるようにしてもよい。あるいは、エンジンECU1010とECT_ECU1020とを統合した一つのECUにおいて実行されるようにしてもよい。
さらに、ECT_ECU1020は、エンジン100の回転数の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量よりも大きく、かつ、フューエルカット制御が復帰することにより回転数の低下が生じていないと、運転者の操作により回転数が低下する状態であることを判定する。ECT_ECU1020は、回転数の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量以下またはフューエルカット制御から復帰することにより回転数の低下が生じていると、運転者の操作により回転数が低下する状態ではないことを判定する。
さらに、ECT_ECU1020は、運転者の操作により回転数が低下する状態であることが判定されないと、車両の状態に応じてロックアップクラッチ202を制御する。ECT_ECU1020は、運転者の操作により回転数が低下する状態であることが判定されると、車両の状態に応じてロックアップクラッチ202が解放制御されるときよりも急に解放されるようにロックアップクラッチ202を制御する。
以下、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECT_ECU1020の構成について、図2に示す機能ブロック図を用いて説明する。
図2に示すように、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010、タービン回転数センサ204および出力軸回転数センサ304から信号を受信する入力インターフェース(以下、入力I/Fと記載する)400と、主としてCPU(Central Processing Unit)から構成される演算処理部500と、メモリ等により実現される記憶部600と、演算処理部500において演算された結果に基づくLC制御信号を、ロックアップクラッチ202の係合力を変化させるソレノイドバルブに送信する出力インターフェース(以下、出力I/Fと記載する)700とが設けられる。
本実施の形態において、入力I/F400は、エンジンECU1010、タービン回転数センサ204および出力軸回転数センサ304からアクセル開度信号と、エンジン回転数信号と、タービン回転数信号と、車輪速信号と、出力軸回転数信号と、フューエルカット信号と、スロットル開度信号とを受信する。
演算処理部500は、回転数変化量判定部502と、フューエルカット復帰判定部504と、外乱判定部506と、急低下予測判定部508と、ロックアップ制御部(以下、LC制御部と記載する)510とを含む。
回転数変化量判定部502は、入力I/F400から受信するエンジン回転数信号に基づいて、エンジン100の回転数の単位時間当たりの回転変化量(以下、「単位時間当たりの回転変化量」を単に「時間変化量」と記載する)を演算し、演算された時間変化量の絶対値が予め定められた変化量よりも大きいか否かを判定する。
予め定められた変化量は、運転者によりブレーキペダルが強く踏み込まれる際の急制動時の制動力が車両に発現していると判断できる変化量であれば、特に限定されるものではなく、たとえば、実験等により適合される。
なお、回転数変化量判定部502は、たとえば、エンジン100の回転数の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量よりも大きいと判定すると、変化量判定フラグをオンするようにしてもよい。
フューエルカット復帰判定部504は、エンジン100がフューエルカット制御から復帰するか否かを判定する。たとえば、フューエルカット復帰判定部504は、フューエルカット信号がオンからオフになると、エンジン100がフューエルカット制御から復帰することを判定する。あるいは、フューエルカット復帰判定部504は、フューエルカット信号がオンであって、スロットル開度が略ゼロ状態であるときに、車速が予め定められた速度よりも低くなると、エンジン100がフューエルカット制御から復帰することを判定するようにしてもよい。
あるいは、フューエルカット復帰判定部504は、フューエルカット信号がオンであって、後述するロックアップクラッチ202の緩解放制御が開始されてから予め定められた時間が経過すると、エンジン100がフューエルカット制御から復帰することを判定するようにしてもよい。
あるいは、フューエルカット復帰判定部504は、トルクコンバータの入力軸回転数(すなわち、エンジン回転数NE)と出力軸回転数(すなわち、タービン回転数NT)との差回転数が予め定められた回転数で継続していると、エンジン100がフューエルカット制御から復帰することを判定するようにしてもよい。
なお、フューエルカット復帰判定部504は、エンジン100がフューエルカット制御から復帰すると、フューエルカット判定フラグをオフし、エンジン100がフューエルカット制御から復帰しないと、フューエルカット判定フラグをオンするようにしてもよい。
外乱判定部506は、車両に外乱による回転数の低下が生じているか否かを判定する。なお、本実施の形態において、「外乱」とは、エンジン100がフューエルカット制御から復帰した状態になることである。なお、外乱は、フューエルカット制御から復帰した状態に加えて、摩擦係数の低い路面(たとえば、凍結路、波状路あるいは砂利道)上での走行状態あるいは段差の乗り越え時の走行状態を含むようにしてもよい。
外乱判定部506は、エンジン100がフューエルカット制御から復帰することによりエンジン100の回転数の低下が生じていると判定すると、外乱判定フラグをオンする。また、外乱判定部506は、エンジン100がフューエルカット制御から復帰することによりエンジン100の回転数の低下が生じていないことが判定されると、外乱判定フラグをオフする。
また、外乱判定部506は、エンジン100のフューエルカット制御から復帰した後の予め定められた期間は、フューエルカット制御から復帰することにより回転数の低下が生じていることを判定する。本実施の形態においては、外乱判定部506は、エンジンのフューエルカット制御から復帰してから予め定められた時間が経過するまでは、フューエルカット制御から復帰することにより回転数の変動が生じていることを判定する。したがって、外乱判定部506は、エンジン100がフューエルカット制御から復帰した状態になると、外乱判定フラグをオンし、復帰してから予め定められた時間が経過すると、外乱判定フラグをオフする。たとえば、外乱判定部506は、フューエルカット判定フラグがオンからオフになると、外乱判定フラグをオンする。外乱判定部506は、フューエルカット判定フラグがオンからオフになってから予め定められた時間が経過すると、外乱判定フラグをオフする。
なお、外乱判定部506は、エンジン100がフューエルカット制御から復帰した後、予め定められた時間が経過した第1の時点から第1の時点よりも遅い第2の時点までは、回転数の変動が生じていることを判定するようにしてもよい。好ましくは、第1の時点が、フューエルカット制御から復帰した後、エンジン100に回転変動が生じる前の時点になるように予め定められた時間が設定されることが望ましい。
また、外乱判定部506は、車両の状態が予め定められた前提条件を満足すると、判定を実行する。予め定められた前提条件とは、たとえば、車速の条件である。外乱判定部506は、たとえば、車輪速信号に基づく車速が、第1の車速から第2の車速の間であれば、判定を実行する。
急低下予測判定部508は、運転者の操作によりエンジン100の回転数が低下する状態であるか否かを判定する。
具体的には、急低下予測判定部508は、外乱判定フラグがオフであって、かつ、エンジン100の回転数の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量より大きいと、エンジン100の回転数が低下する状態であることを判定する。
また、急低下予測判定部508は、外乱判定フラグがオンであったり、エンジン100の回転数の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量以下であったりすると、運転者の操作によりエンジン100の回転数が低下する状態ではないことを判定する。
急低下予測判定部508は、回転数が低下する状態であることを判定すると、急低下予測判定フラグをオンし、回転数が低下する状態ではないことが判定されると、急低下予測判定フラグをオフする。
また、急低下予測判定部508は、車両の状態が予め定められた前提条件を満足すると、判定を実行する。予め定められた前提条件とは、たとえば、アクセル開度、ブレーキペダルのストローク、車速およびエンジン回転数のうちの少なくともいずれか一つについての条件である。この条件により、たとえば、アクセル開度が略ゼロである等のアクセルペダルが踏み込まれた状態での判定の実行が抑制されるため、誤判定が確実に防止される。
LC制御部510は、アクセル開度信号とエンジン回転数信号と車輪速信号とスロットル開度信号とに基づく車両の状態に加えて、急低下予測判定部508における判定結果に基づいて、ロックアップクラッチ202のソレノイドバルブに対するLC制御信号を生成する。LC制御部510は、生成されたLC制御信号を出力I/F700を経由させてロックアップクラッチ202のソレノイドバルブに送信する。
LC制御部510は、係合制御部512と解放制御部514とを含む。係合制御部512は、上述した車両の状態に基づいて、ロックアップクラッチ202の係合力が増加するようにLC制御信号を生成する。係合制御部512は、たとえば、車両が減速状態であって、フューエルカット制御が実施されている場合においては、ロックアップクラッチ202の係合力が増加するようにLC制御信号を生成する。
係合制御部512は、たとえば、記憶部600に記憶された、車速とスロットル開度との関係におけるロックアップクラッチ202の係合可能領域を示すマップを用いてLC制御信号を生成する。すなわち、係合制御部512は、車両の状態(すなわち、車速とスロットル開度との関係)に基づいて特定されるマップ上の位置が係合可能領域内であると、ロックアップクラッチ202の係合力が増加するようにLC制御信号を生成する。マップは、車速が高い側にロックアップクラッチ202の係合可能領域が設定され、車速が低い側にロックアップクラッチ202の解放領域が設定される。
係合制御部512は、ロックアップクラッチ202の係合制御時において、ECT_ECU1020における計算サイクル毎に、ロックアップクラッチ202の係合力が予め定められた増分で増加するようにLC制御信号を生成する。予め定められた増分は、ロックアップクラッチ202の係合時にショックが発生しない値であれば、特に限定されるものではない。係合制御部512は、ロックアップクラッチ202の係合制御時においては、ロックアップクラッチ202が完全に係合するまで係合力が増加するようにLC制御信号を生成する。
解放制御部514は、上述した車両の状態に加えて、急低下予測判定部508における判定結果に基づいて、ロックアップクラッチ202の係合力が低下するようにLC制御信号を生成する。
解放制御部514は、急低下予測判定フラグがオフであるとき、たとえば、低車速での加速時において、ロックアップクラッチ202の係合力が低下するようにLC制御信号を生成する。
解放制御部514は、急低下予測判定フラグがオフであるとき、たとえば、記憶部600に記憶された、車速とスロットル開度との関係におけるロックアップクラッチ202の解放領域を示すマップを用いてLC制御信号を生成する。
すなわち、解放制御部514は、急判定予測判定フラグがオフであるとき、車両の状態(車速とスロットル開度との関係)に基づいて特定されるマップ上の位置が解放領域内であると、ロックアップクラッチ202の係合力が低下するようにLC制御信号を生成する。
解放制御部514は、ロックアップクラッチ202の係合力が予め定められた変化量(1)で低下するようにLC制御信号を生成する。予め定められた変化量(1)は、ロックアップクラッチ202の解放時にショックが発生しない値であれば、特に限定されるものではない。以下の説明において予め定められた変化量(1)でロックアップクラッチ202が解放される制御を緩解放制御という。
解放制御部514は、急低下予測判定フラグがオンであると、ロックアップクラッチ202の係合力が予め定められた変化量(2)で低下するようにLC制御信号を生成する。なお、予め定められた変化量(2)の絶対値は、少なくとも予め定められた変化量(1)の絶対値よりも大きい。したがって、ロックアップクラッチ202は、急低下予測判定フラグがオフであるときよりもオンであるときの方が急解放されることとなる。以下の説明において予め定められた変化量(2)でロックアップクラッチ202が解放される制御を急解放制御という。
記憶部600には、しきい値の各種情報および各種プログラムが予め記憶される。
本実施の形態において、回転数変化量判定部502、フューエルカット復帰判定部504、外乱判定部506、急低下予測判定部508およびLC制御部510は、いずれも演算処理部500であるCPUが記憶部600に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明するが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記録媒体に記録されて車両に搭載される。
以上のような構成を有する本実施の形態に係る車両の制御装置であるECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について図3を用いて説明する。
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、ECT_ECU1020は、エンジン100の回転数の急低下予測判定を実施するための予め定められた前提条件が成立するか否かを判定する。なお、急低下予測判定の前提条件は、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。前提条件が成立すると(S100にてYES)、処理はS102に移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS108に移される。
S102にて、ECT_ECU1020は、エンジン100の回転数の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量ΔNe(0)より大きいか否かを判定する。エンジン100の回転数の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量ΔNe(0)より大きいと(S102にてYES)、処理はS104に移される。もしそうでないと(S102にてNO)、処理はS108に移される。
S104にて、ECT_ECU1020は、外乱判定フラグがオンであるか否かを判定する。外乱判定フラグがオンであると(S104にてYES)、処理はS108に移される。もしそうでないと(S104にてNO)、処理はS106に移される。
S106にて、ECT_ECU1020は、急低下予測判定フラグをオンする。S108にて、ECT_ECU1020は、急低下予測判定フラグをオフする。
S110にて、ECT_ECU1020は、ロックアップクラッチ202の急解放制御を実行する。S112にて、ECT_ECU1020は、通常のロックアップクラッチ202の緩解放制御を実行する。なお、ロックアップクラッチ202の急解放制御および緩解放制御については上述したとおりである。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
続いて、図4を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECT_ECU1020で実行される、上述の第1の状態に起因してエンジン100が回転数に変動が生じる状態であるか否かを判定する、プログラムの制御構造について説明する。
S200にて、ECT_ECU1020は、外乱判定を実施するための予め定められた前提条件が成立するか否かを判定する。なお、外乱判定の前提条件は、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。前提条件が成立すると(S200にてYES)、処理はS202に移される。もしそうでないと(S200にてNO)、この処理は終了する。
S202にて、ECT_ECU1020は、フューエルカット信号(すなわち、フューエルカット判定フラグ)がオンからオフに切り換わってから予め定められた時間が経過するか否かを判定する。たとえば、ECT_ECU1020は、フューエルカット信号がオンからオフに切り換わると、タイマを起動させる。予め定められた時間が経過すると(S202にてYES)、処理はS206に移される。もしそうでないと(S202にてNO)、処理はS204に移される。
S304にて、ECT_ECU1020は、外乱判定フラグをオンする。S306にて、ECT_ECU1020は、外乱判定フラグをオフする。
以上のような構造、フローチャートに基づく、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECT_ECU1020の動作について説明する。
<外乱判定フラグの状態が考慮されない場合>
たとえば、車両が定常走行している場合を想定する。このとき、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれていないと、ブレーキ信号はオフである。また、運転者によりアクセルペダルも踏み込まれていない場合はフューエルカット制御が実施されるため、フューエルカット信号はオンである。このとき、ECT_EC1020は、車速とスロットル開度とに基づいて特定されるマップ上の位置が、ロックアップクラッチ202の係合可能領域内であることを判断すると、ロックアップクラッチ202のソレノイドバルブに対して、係合制御を示す信号をロックアップ制御信号として出力する。
時間Ta(0)において、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれると、ブレーキ信号はオフからオンに切り換わる。ブレーキペダルが踏み込まれると、車両に制動力が発現するため、車速とともにエンジンの回転数は低下を開始する。このとき、回転数の変化量は、回転数の減少側に増大することとなる。
時間Ta(1)において、車速とスロットル開度とにより特定されるマップ上の位置が、ロックアップクラッチ202の係合可能領域から解放領域へと移行すると、ロックアップクラッチ202の解放制御が開始される。このとき、ロックアップクラッチ202の係合力が、予め定められた変化量(1)で減少するように解放される緩解放制御が実行される。
時間Ta(2)において、アクセルペダルが踏み込まれていない状態(スロットル開度が略ゼロの状態)で車速がさらに低下していき、予め定められた車速を下回ると、エンジン100はフューエルカット制御から復帰する。そのため、フューエルカット信号がオンからオフに切り換わる。このとき、エンジン100に対して燃料供給が再開されて、エンジン回転数に変動が生じる。
時間Ta(3)において、エンジンの回転数の変化量の絶対値がΔNe(0)を超えると(すなわち、回転数の減少側に大きく変動すると)、エンジン回転数予測判定フラグがオンされるため、ロックアップクラッチ202の急解放制御が実施される。これにより、ロックアップクラッチ202が急解放される。
<外乱判定フラグの状態が考慮される場合>
上述と同様に、車両が定常走行している場合を想定する。このとき、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれていないと、ブレーキ信号はオフである。また、運転者によりアクセルペダルも踏み込まれていない場合はフューエルカット制御が実施されるため、フューエルカット信号はオンである。このとき、ECT_ECU1020は、車速とスロットル開度とに基づいて特定されるマップ上の位置が、ロックアップクラッチ202の係合可能領域内であることを判断すると、ロックアップクラッチ202のソレノイドバルブに対して係合制御を示す信号をロックアップ制御信号として出力する。
時間Tb(0)において、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれると、ブレーキ信号はオフからオンに切り換わる。ブレーキペダルが踏み込まれると、車両に制動力が発現するため、車速とともにエンジン100の回転数は低下を開始する。このとき、エンジン100の回転数の変化量は、回転数の減少側に増大することとなる。
時間Tb(1)において、車速とスロットル開度とにより特定されるマップ上の位置が、ロックアップクラッチ202の係合可能領域から解放領域へと移行すると、ロックアップクラッチ202の解放制御が開始される。このとき、ロックアップクラッチ202の係合力が、予め定められた変化量(1)で減少するように解放される緩解放制御が実行される。
時間Tb(2)において、アクセルペダルが踏み込まれていない状態(スロットル開度が略ゼロの状態)で車速がさらに低下していき、車速が予め定められた車速を下回ると、エンジン100はフューエルカット制御から復帰する。そのため、フューエルカット信号がオンからオフに切り換わる。このとき、エンジン100に対して燃料供給が再開されて、エンジン回転数に変動が生じる。
時間Tb(3)において、外乱判定の前提条件が成立して(S200にてYES)、フューエルカット信号がオンからオフとなってから予め定められた時間が経過するまでは(S202にてNO)、外乱判定フラグがオンされる(S204)。
そのため、時間Tb(4)において、エンジン回転急低下予測判定の前提条件が成立して(S100にてYES)、エンジンの回転数の変化量の絶対値が予め定められた変化量ΔNe(0)よりも大きくても(S102にてYES)、外乱判定フラグがオンであるため(S104にてYES)、急低下予測判定フラグはオフされる(S108)。そのため、ロックアップクラッチ202においては、通常の解放制御(緩解放制御)が実行される(S112)。
時間Tb(5)において、外乱判定の前提条件が成立して(S200にてYES)、フューエルカット信号がオンからオフとなってから予め定められた時間が経過すると(S202にてYES)、外乱判定フラグがオフされる(S206)。
このとき、急低下予測判定の前提条件が成立して(S100にてYES)、エンジン100の回転数の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量ΔNe(0)よりも小さいため(S102にてNO)、急低下予測判定フラグはオフされたままである(S108)。そのため、ロックアップクラッチ202においては、通常の解放制御が実行される(S112)。
なお、急低下予測判定の前提条件が成立して(S100にてYES)、エンジン100の回転数の時間変化量の絶対値が予め定められた変化量ΔNe(0)を超えたときに(S102にてYES)、外乱判定フラグがオフであると(S104にてNO)、急低下予測判定フラグがオンされる。そのため、ロックアップクラッチ202においては、急解放制御が実行される。すなわち、通常の解放制御よりも急になるようにロックアップクラッチ202が解放される。
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の制御装置によると、フューエルカット制御から復帰時において、エンジンの回転数には変動が発生するが、エンジン100の出力は上昇する。そのため、急制動時の場合のように、エンジンストールにいたることはない。フューエルカット制御から復帰することにより回転数の低下が生じていることを判定する場合には、運転者の操作により回転数が低下する状態ではないことを判定することができる。このとき、ロックアップクラッチが完全に解放されないように制御すると、エンジンの回転変動時にロックアップクラッチが解放される頻度の増加を抑制することができる。結果的に、ロックアップクラッチの係合領域が拡大するため、燃費を向上させ、エンジンブレーキが機能する領域を拡大させることができる。これにより、運転者のアクセルのコントロール性が向上する。したがって、エンジン回転数の変動の要因を適切に判定して、ロックアップクラッチの制御領域を拡大する車両の制御装置、制御方法およびその制御方法をコンピュータに実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る車両の制御装置について説明する。本実施の形態に係る車両の制御装置を搭載する車両は、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置を搭載する車両の構成と比較して、ECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造が異なる。それ以外の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置を搭載する車両の構成と同じ構成である。それらについては同じ参照符号が付してある。それらの機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
本実施の形態においては、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置であるECT_ECU1020で実行されるプログラムと比較して、運転者の操作によりエンジン100の回転数が低下する状態であるか否かを判定するプログラムおよびフューエルカット制御から復帰することによりエンジン100の回転数に低下が生じる状態であるか否かを判定するプログラムの制御構造が異なる。
以下、図7を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
なお、図7に示したフローチャートの中で、前述の図3に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについて処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
S302にて、ECT_ECU1020は、外乱判定フラグがオンであるか否かを判定する。外乱判定フラグがオンであると(S302にてYES)、処理はS304に移される。もしそうでないと(S302にてNO)、処理はS306に移される。
S304にて、ECT_ECU1020は、急低下予測判定時の時間変化量のしきい値として予め定められた変化量ΔNe(1)を設定する。S306にて、ECT_ECU1020は、急低下予測判定時の時間変化量のしきい値として予め定められた変化量ΔNe(0)を設定する。なお、ΔNe(0)は、少なくともΔNe(1)よりも小さければ特に限定されるものではなく、実験等により適合される。
S308にて、ECT_ECU1020は、エンジン100の回転数の時間変化量が設定されたしきい値よりも大きいか否かを判定する。エンジン100の回転数の時間変化量が設定されたしきい値よりも大きいと(S308にてYES)、処理はS106に移される。もしそうでないと(S308にてNO)、処理はS108に移される。
次に、図8を参照して、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECT_ECU1020で実行される、フューエルカット制御から復帰することによりエンジン100の回転数の低下が生じる状態であるか否かを判定する、プログラムの制御構造について説明する。
なお、図8に示したフローチャートの中で、前述の図4に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについて処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
S402にて、ECT_ECU1020は、S200にて、外乱判定の前提条件が成立することが判断されると、通常のロックアップクラッチ202の緩解放制御が開始されてから予め定められた時間が経過しているか否かを判定する。ロックアップクラッチ202の解放制御が開始されてから予め定められた時間が経過していると(S402にてYES)、処理はS206に移される。もしそうでないと(S402にてNO)、処理はS204に移される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る車両の制御装置であるECT_ECU1020の動作について図9を用いて説明する。
たとえば、車両が定常走行している場合を想定する。このとき、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれていないと、ブレーキ信号はオフである。また、運転者によりアクセルペダルも踏み込まれていない場合はフューエルカット制御が実施されるため、フューエルカット信号はオンである。このとき、ECT_ECU1020は、車速とスロットル開度とに基づいて特定されるマップ上の位置が、ロックアップクラッチ202の係合可能領域内であることを判断すると、ロックアップクラッチ202のソレノイドバルブに対して係合制御を示す信号をロックアップ制御信号として出力する。
時間Tc(0)において、運転者によりブレーキペダルが踏み込まれると、ブレーキ信号はオフからオンに切り換わる。ブレーキペダルが踏み込まれると、車両に制動力が発現するため、車速とともにエンジン100の回転数は低下を開始する。このとき、エンジン100の回転数の変化量は、回転数の減少側に増大することとなる。
時間Tc(1)において、車速とスロットル開度とにより特定されるマップ上の位置が、ロックアップクラッチ202の係合可能領域から解放領域へと移行すると、ロックアップクラッチ202の解放制御が開始される。ロックアップクラッチ202の係合力が、予め定められた変化量(1)で減少するように解放される緩解放制御が実行される。
このとき、外乱判定の前提条件が成立して(S200にてYES)、緩解放制御が開始されてから予め定められた時間が経過していない間は(S402にてNO)、外乱判定フラグがオンされる(S204)。
さらに、急低下予測判定の前提条件が成立すると(S100にてYES)、外乱判定フラグがオンであるため(S302にてYES)、しきい値としてΔNe(1)が設定される(S304)。
時間Tc(2)において、アクセルペダルが踏み込まれていない状態(スロットル開度が略ゼロの状態)で車速がさらに低下していき、車速が予め定められた車速を下回ると、エンジン100はフューエルカット制御から復帰する。そのため、フューエルカット信号がオンからオフに切り換わる。このとき、エンジン100に対して燃料供給が再開されて、エンジン回転数に変動が生じる。
そのため、時間Tc(4)において、エンジン回転数の時間変化量の絶対値が、予め定められた変化量ΔNe(0)よりも大きくても、ΔNe(1)よりも小さいため(S308にてNO)、急低下予測判定フラグはオフされたままである(S108)。そのため、ロックアップクラッチ202は、急解放されることはない。すなわち、ロックアップクラッチ202の緩解放制御が継続される。
以上のようにして、本実施の形態に係る車両の制御装置によると、ロックアップクラッチの解放制御が開始された後には、エンジンにおいてフューエルカット制御から復帰する場合がある。このとき、エンジンの回転数に変動が生じる。そのため、ロックアップクラッチの解放制御が開始されてから予め定められた時間が経過するまでは、フューエルカット制御から復帰することにより回転数の低下が生じていることを判定する。これにより、ロックアップクラッチが急に解放される頻度が低下する。そのため、ロックアップクラッチの係合領域を拡大させることができる。したがって、エンジン回転数の変動の要因を適切に判定して、ロックアップクラッチの制御領域を拡大する車両の制御装置、制御方法およびその制御方法をコンピュータで実現されるプログラムならびにそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
なお、本実施の形態においては、ロックアップクラッチ202が車両の状態に応じて解放制御されてから予め定められた時間が経過するまでは、外乱判定フラグをオンすることとしたが、車両の状態に応じて解放制御された後の予め定められた期間だけ外乱判定フラグをオンすればよい。たとえば、車両の状態に応じて解放制御されてから予め定められた時間が経過した第1の時点から第1の時点よりも遅い第2の時点までは、外乱判定フラグをオンするようにしてもよい。好ましくは、第1の時点が、フューエルカット制御から復帰した後、エンジン100に回転変動が生じる前の時点になるように予め定められた時間が設定されることが望ましい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 エンジン、102 エンジン回転数センサ、104 電子スロットル、200 トルクコンバータ、202 ロックアップクラッチ、204 タービン回転数センサ、300 自動変速機構、302 油圧制御回路、304 出力軸回転数センサ、400 入力I/F、500 演算処理部、502 回転数変化量判定部、504 フューエルカット復帰判定部、506 外乱判定部、508 急低下予測判定部、510 ロックアップ制御部、512 係合制御部、514 解放制御部、600 記憶部、700 出力I/F、1000 ECU、1010 エンジンECU、1020 ECT_ECU、2100 アクセル開度センサ、2200 車輪速センサ。