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JP4922977B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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JP4922977B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Description

本発明は、一対の電極の間に発光層を含む有機物層が挟持され、所定のパターンに発光するように形成された有機エレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)は、陰極が設けられた陰極基板と陽極が設けられた陽極基板との間に、発光性を有する有機材料を含む薄膜(発光層)が挟持された構造を有している。有機EL素子は、両電極間に低電圧を印加して電流を流すと、発光層の内部に陽極から正孔が注入され陰極から電子が注入され、発光層の内部で正孔と電子が再結合し励起状態となり、それが基底状態に戻る際に放出される光(蛍光や燐光等)を利用した自発光素子である。
有機EL素子の発光面を所定のパターンに発光させる手段として、例えば、発光させたくない部分の電極間に絶縁層を挿入して、該絶縁層により電極からのキャリア注入及びキャリア再結合を不可能とし、前記絶縁層の部分が非発光部となって、絶縁層が設けられていない部分が発光部となる有機EL素子が公知である(特許文献1参照)。特許文献1には、絶縁層をパターン状に形成する手段として、絶縁性フォトレジストを用いたフォトリソグラフィー技術によってパターンを形成し、真空蒸着、スパッタ、塗布等の薄膜形成方法により、パターン状の絶縁層を形成することが記載されている。
また絶縁層をパターン状に形成する手段として、電極層の表面に絶縁層を全面ベタに形成した後、インクジェット装置を用いて所定のパターンに発光層の組成物を絶縁層の表面に塗布して、発光層が塗布された部分で絶縁層と発光層が混ざり合って発光層が所定のパターンに形成される、いわゆる自己整合法が公知である。
また絶縁層をパターン状に形成する手段として、電極上に設けた発光層等を含む有機物層の表面に、直接、スクリーン印刷やグラビア印刷などの印刷法により、絶縁層を所定のパターンに形成する、印刷法が公知である。
特開平10−270173号公報
上記特許文献1に記載のフォトリソグラフィー法を用いて絶縁層を所定のパターンに形成する方法は、高精細なパターニングが可能であるが、処理工程が多く非常に手間がかかるという問題があった。また有機EL素子の基板にガラス板を用いる場合は、処理が可能であるが、基板として変形し易い樹脂フィルム等を用いる場合には、正確なパターン形成が困難であるという問題があった。
また、上記自己整合法により絶縁層をパターン状に形成する方法は、発光層に絶縁層の成分が混入し易く、発光特性が低下しやすいという問題があった。
また、印刷法により絶縁層をパターン状に形成する方法は、絶縁層の形成の際に有機溶媒を含む絶縁層組成物が有機物層の表面に塗布されるため、絶縁層組成物中に含まれる溶媒により有機物層が変質や変形したり、乾燥時の熱により有機物層が熱劣化や変形するという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、上記問題点を解決しようとするものであり、所定のパターンに発光可能に形成されたを有機EL素子において、発光パターンのパターニングが容易であり、パターニングの際に発光層等の有機物層に対して悪影響を与える虞がない有機EL素子を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る有機EL素子は、陽極と陰極との間に少なくとも発光層を含む有機物層が挟持され、前記有機物層と一方の電極が第1の基材に形成された第1の基板と、他方の電極が第2の基材に形成された第2の基板とを貼り合わせることで得られる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、少なくとも陰極又は陽極がサブ電極層と本電極層とからなり、前記サブ電極層と本電極層との間に素子の非発光パターンからなるパターン形成層が設けられ、前記サブ電極層が前記基材側に形成され、前記パターン形成層の本電極層の部分に亀裂部が形成されていることを要旨とするものである。
上記有機EL素子において、前記パターン形成層が、前記第2の基板側に形成されていることや、樹脂層であることが好ましい。
また上記有機EL素子において、第1の基板の電極が陽極であり、第2の基板の電極が陰極であることが好ましい。
また上記有機EL素子において、有機物層が、発光層と正孔輸送層とから構成されていることが好ましい。
本発明に係る有機EL素子によれば、サブ電極層と本電極層との間にパターン形成層が形成され、前記パターン形成層の部分の電極層が亀裂部として形成される。亀裂部は亀裂部以外の電極の部分と比較して高抵抗に形成されており、電極として機能しないので、亀裂部の部分は有機EL素子の非発光部として構成することができる。そのため本発明は、有機EL素子の製造の際に、真空中でマスク法等を用いて電極をパターニングする必要がなく、電極を一面ベタに形成して、陽極基板と陰極基板とを貼り合わせるだけの簡単な操作で電極にパターン形成層の形状に対応する亀裂部が形成された有機EL素子を得ることができ、パターニングを容易に行うことができる。
また本発明の有機EL素子は、パターン形成層がサブ電極層と本電極層との間に存在しているので、発光層等の有機物層の上にパターン形成層を直接形成する必要がない。そのため本発明は、従来の絶縁層組成物が有機物層の表面に塗布されてなる有機EL素子のように、有機物層が絶縁層組成物中に含まれる溶媒により変質や変形したり、有機物層が乾燥時の熱により熱劣化や変形する虞はない。
また本発明の有機EL素子は、有機物層の上にパターン形成層を直接形成する必要がないので、従来の自己整合法により発光層の上の絶縁層をパターン状に形成する方法のように、発光層等の有機物層に絶縁層の成分が混入して、発光特性が低下する虞もない。
また本発明の有機EL素子は、パターン形成層は、第1の基板と第2の基板の貼合時の圧力でパターン形成層と接している電極に亀裂が入る程度の硬さに形成すればよいので、電極層のパターニングのような真空蒸着等でパターンを形成する必要がなく、常圧でパターンを形成することが可能である。従来、真空中でパターニングを行う場合、精度が低く、生産性が悪いという問題があったが、常圧でパターン形成層を形成すれば上記の問題はない。
本発明に係る有機EL素子によれば、サブ電極層と本電極層との間に設けられているパターン形成層は、リーク電流を防止できる程度の一定以上の絶縁性があればよい。更にパターン形成層は、その表面に形成される電極層(本電極層)が、第1の基板と第2の基板の貼合時に亀裂が入り、その部分が電極として機能しなければよいので、有機物層の作製プロセスや素子の特性に影響の少ない材料・構造から幅広く選択することができる。
以下、図面を用いて本発明の有機EL素子について詳細に説明する。図1(a)は貼り合わせ前の陽極基板と陰極基板を示す断面図であり、同図(b)は同図(a)の貼り合わせ後の有機EL素子を示す断面図である。尚、図面では、図中上下方向となる縦方向(厚さ方向)を図中左右方向となる横方向に対して1000倍以上に拡大したスケールで示している。
図1(a)、(b)に示すように、有機EL素子1は、陽極3と陰極7との間に少なくとも発光層5を含む有機物層13が挟持され、前記有機物層13と陽極3(一方の電極)が陽極基材2(第1の基材)に形成された陽極基板11(第1の基板)と、陰極7(他方の電極)が陰極基材8(第2の基材)に形成された陰極基板12(第2の基板)とを貼り合わせることで得られるものである。そして、陰極基板12の陰極7(電極)は、サブ電極層71と本電極層72とから構成されている。サブ電極層71は陰極基材8側に形成され、本電極層72は有機物層13側に形成されている。更にサブ電極層71と本電極層72との間に、パターン形成層6が形成されている。有機EL素子1のパターン形成層6の部分の本電極層72は、亀裂部14として形成されている。
亀裂部14は、陽極基板11と陰極基板12との貼り合わせによる圧力により形成される。陽極基板11と陰極基板12とを貼り合わせる前の状態では、陰極7のサブ電極71及び本電極層72は、ベタ一面に形成されている。陽極基板11と陰極基板12とを貼合する場合、陰極7の本電極層72に圧力が加わると、パターン形成層6が存在する部分の本電極層72の薄膜に局所的に圧力がかかることになる。本電極層72の電極薄膜に局所的に圧力が加わると、その部分が破壊されて亀裂が発生する。本電極層72に亀裂が発生すると、電気抵抗が大きくなり、電極としての機能を発揮できなくなる。このようにして、本電極層72のパターン形成層6と接する部分が、パターン形成部の形状に対応した亀裂部14として形成される。有機EL素子1は、陰極7の亀裂部14が形成された部分、すなわちパターン形成層6を設けた部分が発光しない非発光部として形成され、パターン形成層6を設けた部分以外が発光する発光部として形成されている。
亀裂部14は、陰極層7の有機物層13側の本電極層72に形成されている。亀裂部14を本電極層72に形成するには、本電極層72をサブ電極層71よりも割れやすい材料を用いたり、本電極層72の膜厚をサブ電極層71の膜厚よりも薄くすること等が挙げられる。
図1(b)に示す有機EL素子1において、パターン形成層6以外の層、すなわちサブ電極層71、本電極層72、陽極3、正孔輸送層4、発光層5は、いずれもベタ一面に形成されていて、パターン形成層6のみが所定のパターンに形成されている。図1に示す有機EL素子1は、発光させたくない部分にパターン形成層6を形成するだけでよく、陰極7のサブ電極層71と本電極層72はベタ一面に形成するだけで、陰極7にパターン状の亀裂部14が形成されて、所定の発光パターンの有機EL素子1を得ることができる。
パターン形成層6は、陰極基板12と陽極基板11を貼り合わせる場合の圧着の圧力等で、パターン形成層6と接する本電極層72に亀裂を発生させることが可能な硬さを持つ材料であればよく、材料は特に限定されない。パターン形成層6は例えば、樹脂層から構成することができる、パターン形成層6を樹脂層から構成すると、塗布等の簡単な手段で形成することができ、形成が容易である。パターン形成層6に用いられる材料として、例えば、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、金属アルコキシド化合物等を用いることができる。またパターン形成層6は、上記樹脂を変性し、接着性を付与したり、樹脂同士を組合わせたり、金属フィラーや炭素系フィラー等を添加しても良い。パターン形成層6の厚みは、100nm〜10μmに形成され、好ましくは300nm〜1μmである。パターン形成層6の厚みが100nm未満では絶縁性が低下する虞があり、10μmを超えると、段差が大きくなりサブ電極層71と本電極層72の導電性が不安定になる虞がある。
パターン形成層6の形成手段としては、該層形成時に陰極の特性に悪影響を与えることのない方法であればよく、特に限定されない。パターン形成層6の形成方法として、例えば印刷法や転写法を用いることができる。印刷法は、パターン形成層の塗布液を用いて、スクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷等で印刷する方法である。パターン形成層6は、陰極(サブ電極層)等の電極表面に形成されるので、パターン形成層6の形成の際に塗布液の溶剤や樹脂等が電極(サブ電極)に与える悪影響は、塗布液の溶剤や樹脂等が有機物層の表面に直接、接する場合に比較してその影響は小さい。
また、パターン形成層6を転写法で形成するには、転写基材の表面に上記パターン形成層塗布液により、パターン形成層6を転写層として設けたパターン転写フィルムを用いて、転写層を転写形成する。転写法によりパターン形成層6を形成する場合は、有機EL素子1を構成する各層と、パターン形成層6の塗布液が直接接することがなく、電極等に対して塗布による溶剤や熱等の影響がない。
陰極7を構成する本電極層72は、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金組成物、導電性化合物、又はこれらの混合物等から形成される。本電極層72の材料としては、Al、Ti、In、Na、K、Mg、Li、Cs、Rb及び希土類金属等の金属、Na−K合金、Mg−Ag合金、Mg−Cu合金、およびAl−Li合金等の合金組成物が挙げられる。サブ電極層71の材料としては、上記の本電極層72に使用される材料の他、導電性を有するものであれば良い。サブ電極層71と本電極層72は、同じ材料でも異なる材料でもいずれでもよい。サブ電極層71の厚みは、0.1μm〜50μmが好ましい。本電極層72の厚みは、5nm〜500nmが好ましい。サブ電極層71の厚みが5nm未満であると膜自体の組成が不安定になる虞があり、500nmを超えると実用的な膜厚ではなくなる虞がある。またサブ電極層71及び本電極層72の抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。本電極層72は、真空蒸着法、真空スパッタ法等により形成することができる。サブ電極層71は、真空蒸着法、真空スパッタ法の他、印刷法や金属・導電性フィルムを貼り合わせて形成することができる。
陽極基材2及び陰極基材8は、ガラス基板等のセラミック基板、樹脂板、樹脂フィルム等を用いることができる。陽極基材2及び陰極基材8は、樹脂フィルムを用いることが好ましい。樹脂フィルムの樹脂としては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリアリレート、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。陽極基材2及び陰極基材8の厚みは、通常、3〜1000μmであり、10〜500μmが好ましく、更に好ましくは10〜300μmである。尚、通常、有機EL素子1の発光層5に対して発光面側に位置する、陽極基材2、陽極3、正孔輸送層4等には、透明な材料が用いられる。
陽極基材2及び陰極基材8は、その表面(片面又は両面)に、バリア層形成等の防湿処理を施すことが好ましい。バリア層としては、例えば酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、窒化酸化シリコン(SiO、SiN)等の薄膜又は金属膜が挙げられる。金属膜を用いる場合には、発光層にて発生した光を有機EL素子の外部に取り出すことが可能な厚みに形成される。バリア層の厚みは10nm〜1μmであるのが好ましい。バリア層の厚みが10nm未満ではバリア性効果が小さくなる虞があり、1μmを超えるとフィルム基材では曲げたときにクラックが入りやすくなる虞がある。
陽極3は、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、導電性化合物、又はこれらの混合物等から形成される。陽極3の材料としては、ITO(錫ドープ酸化インジウム)及びIZO(インジウム亜鉛酸化物)等が挙げられる。陽極3の厚みは、通常、1μm以下であり、200nm以下が好ましい。また陽極3の抵抗は、数百Ω/sq.以下が好ましい。陽極3は、真空蒸着法、スパッタ法、スピンコート法、キャスト法、LB法、パイロゾル法、およびスプレー法等により形成することができる。
正孔輸送層4は、例えば、フタロシアニン、ポリアニリン、オリゴチオフェン、ベンジジン誘導体、トリフェニルアミン、ピラゾリン誘導体、トリフェニレン誘導体等が挙げられる。正孔輸送層4は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、LB法、印刷法等を用いて形成することができる。正孔輸送層4の厚みは、2〜200nmが好ましい。正孔輸送層4の材料として、水溶性のPEDOT:PSS(ポリスチレンスルフォン酸ドープポリエチレンジオキシチオフェン)は、好ましい材料の一つである。PEDOT:PSSを、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒に希釈し、スピンコート等で塗布し、加熱して乾燥することで正孔輸送層4を形成することができる。
発光層5は、有機発光材料から形成するか、キャリア輸送性(正孔輸送性、電子輸送性、または両性輸送性)を示す有機材料(以下、ホスト材料と記載する)に少量の有機発光材料を添加した材料から形成することができる。発光層5に用いる有機発光材料の選択により、有機EL素子1の発光色を設定することができる。発光層5の厚みは、実用的な発光輝度を得るために、200nm以下が好ましい。
発光層5を有機発光材料から形成する場合、有機発光材料としては、成膜性に優れ、膜の安定性に優れた材料が用いられる。このような有機発光材料としては、Alq3 (トリス−(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)に代表される金属錯体、ポリフェニレンビニレン(PPV)誘導体、ポリフルオレン誘導体などが用いられる。ホスト材料と共に用いる有機発光材料としては、添加量が少ないために、前記の有機発光材料の他に、単独では安定な薄膜を形成し難い蛍光色素なども用いることができる。蛍光色素の例としては、クマリン、DCM誘導体、キナクリドン、ペリレン、およびルブレンなどが挙げられる。ホスト材料の例としては、前記のAlq3 、TPD(トリフェニルジアミン)、電子輸送性のオキサジアゾール誘導体(PBD)、ポリカーボネート系共重合体、およびポリビニルカルバゾールなどが挙げられる。なお、上記のように発光層5を有機発光材料から形成する場合にも、発光色を調節するために、蛍光色素などの有機発光材料を少量添加することもできる。
本発明の有機EL素子1は、陽極3と陰極7との間に、有機物層13として少なくとも発光層5が形成されていればよいが、発光素子の発光特性等を改良するために、発光層5以外に、上記の正孔輸送層4や、或いはその他の層として、電子輸送層、正孔注入層、電子注入層等の層を所定の位置に設けて、有機物層13を構成してもよい。
以下、図1に示す有機EL素子の製造方法について説明する。有機EL素子1は、樹脂フィルムからなる陽極基材2に陽極3、正孔輸送層4、発光層5を含む有機物層13が設けられている陽極基板11(第1の基板)と、樹脂フィルムからなる陰極基材8にサブ陰極71、パターン形成層6、本電極層72が設けられている陰極基板12(第2の基板)とを準備して、陽極基板11と陰極基板12とを、発光層5と陰極7が接するようにして両基板を貼り合わせることで製造することができる。
図2(a)〜(c)は、陰極基板の製造工程を示す断面図である。陰極基板12の製造方法は、同図(a)に示すように、陰極基材8の表面に真空蒸着等でサブ電極層71をベタ一面に形成する。次に同図(b)に示すように、サブ電極層71の表面に所定のパターンのパターン形成層6を形成する。そして同図(c)に示すように、パターン形成層6の表面に本電極層72を真空蒸着等によりベタ一面に形成して、陰極基板12が得られる。パターン形成層6は印刷法や転写法を用いて所定のパターンに形成することができる。
図3(a)〜(d)はパターン転写フィルムの製造工程を示す断面図である。パターン転写フィルム20を製造するには、まず同図(a)に示すように、転写層に対して離型性を有する転写基材21を準備する。次いで同図(b)に示すように、転写基材21の表面に、パターン形成層6の材料から成る転写層組成物をグラビア印刷等でベタ一面に塗布し、乾燥させ、転写層22を形成する。次に同図(c)に示すように、転写層22の表面に、転写基材21よりも転写層22に対する離型性の高い剥離シート23を積層する。そして同図(d)に示すように、上記積層体を、トムソン金型等で発光部に該当する部分を打ち抜いて除去し、パターニングすることで、転写層22がパターン形成層6の形状に形成されたパターン転写フィルム20が得られる。
上記打ち抜き方法としては、上記トムソン金型を用いる方法以外に、ダイスによるパンチングで打ち抜く方法や、より複雑な打ち抜きが可能な上型と下型に打抜刃が付いている雄雌金型を用いる方法等が挙げられる。パターン形成層6を形成するのに、発光部の形状を打ち抜いて除去する方法は、パターン形成手段として、きわめて単純な作業でよく、パターン形成が容易である。またパターン形成層6は、転写用フィルムにグラビア印刷等であらかじめパターニングしてもよい。
転写基材21及び剥離シート23は、転写層22に対する離型性を有する樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムは、例えば、厚みが3〜1000μm程度の、ポリエチレテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルムを用いることができる。樹脂フィルムの表面には、転写層に対する離型性を調節するために、適宜、離型処理を施すことができる。
パターン形成層6を転写層22に形成することは以下の利点がある。従来、陰極の表面に絶縁層をパターニングする場合には、陰極は電子注入性のよい活性材料が使用されることが多いため、真空中で陰極形成の際に一緒にパターニングを行う必要がある。しかし、このように真空中でパターニングを行おうとすると、製造方法がマスク法等に限定されてしまう。これに対し転写基材にパターン形成層を形成する場合は、真空下で形成する必要がなく、パターン形成層の形成は、大気圧で行うことができるので、パターニングを容易に行うことができる。
パターン転写フィルム20を用いてパターン形成層6を形成するには、パターン転写フィルム20剥離シート23を剥離して、サブ電極層71の表面に、転写層22とサブ電極層71が接するように積層し加圧した後、転写基材21を剥離することで、転写層22が転写されて、パターン形成層6が形成される。
陽極基板11は、陽極基材2の表面に、陽極3、正孔輸送層4、発光層5を順次、ベタ一面に形成することで得られる。
図4は陽極基板と陰極基板の貼り合わせ工程の説明図である。陽極基板11と陰極基板12との貼り合わせは、図4に示すように陽極基板と11と陰極基板12を、発光層5と陰極7の本電極層72とが接するように重ね合わせて積層体とする。そしてこの積層体を、一対の加熱ローラー41、42の間を通過させ、積層体を加熱・加圧する。積層体は加圧により、陽極基板11と陰極基板12とが接合一体化して有機EL素子1が得られる。陽極基板と11と陰極基板12の加熱・加圧方法としては、上記の一対のローラーを用いる方法に限定されず、例えば一対以上の加熱ローラーを用いる方法、一対以上の熱盤を用いる方法、加熱ローラーと熱盤を組み合わせる方法等を用いることができる。
この貼り合わせ工程の圧力により、陰極基板12の本電極層72はパターン形成層6と接する部分が局所的に圧力がかかり、亀裂が発生し亀裂部14が形成される。貼り合わせ工程の圧力としては、0.1MPa〜10MPaが、陽極及び陰極を構成するフィルム基板やその間の有機物層等を適切に変形させることができる等の理由から好ましい。また、貼り合わせ工程の加熱ローラー41、42の温度は、使用する陽極及び陰極の基材を構成するフィルムやその間の有機物層等の熱特性に応じて、適宜、選定することができる。
上記の態様の有機EL素子は、陽極側に発光層を含む有機物層が形成された陽極基板(第1の基板)と、陰極をサブ電極層と本電極層から構成し、サブ電極層と本電極層の間にパターン形成層が形成された陰極基板(第2の基板)とを貼り合わせたものであるが、本発明はこの態様に限定されるものではない。例えば本発明の有機EL素子は、陰極側に有機物層を形成して第1の基板とし、陽極側を第2の基板として構成してもよい。また本発明の有機EL素子は、陽極をサブ電極と本電極から構成しその間にパターン形成層を形成して、陽極基板を第1の基板又は第2の基板として構成してもよい。
以下、本発明の実施例を示す。
実施例1
(1−1)陰極基板の作製
陰極支持フィルム(陰極基材)として厚み100μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムの両面に、予めバリア層としてSiO、SiNを製膜し、更に片面にサブ電極層としてAgを200nmの厚みに真空製膜した。次にサブ電極層の上にパターン形成層を以下のように作製した。
サブ電極層の上にパターン形成用の塗布液(ポリアミド系樹脂とエポキシ樹脂をトルエン、メタノールで希釈したもの)をマイクロディスペンサで直接サブ電極上に所定のパターンにパターニング製膜した。その後、0.1MPa、80℃、5分間で真空乾燥し、厚み1μmのパターン形成層を形成した。更に、パターン形成層の表面にMgAgを真空製膜装置で厚み50nmに製膜して本電極層を形成して陰極基板を得た。
(1−2)陽極基板の作製
陽極基材として厚み220μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用い、このフィルムの両面に、予めバリア層としてSiO、SiNを製膜し、更に片面に陽極としてインジウム錫酸化物(ITO)を150nmの厚みに製膜して陽極基板とした。
(1−3)洗浄
上記陽極基板を純水、有機アルカリ洗浄液(フルウチ化学社製:セミコクリーン)、純水、アセトン溶液の順に各5分間、超音波洗浄を行った。その後、UVオゾン洗浄器で30分間処理した。
(1−4)正孔輸送層の形成
上記の洗浄した陽極基板の陽極の表面に、正孔輸送層形成用の塗布液〔PEDOT:PSS水溶液(スタルク社製)をIPAで希釈したもの〕をスピンコートにより回転数2000rpm×60秒の条件で塗布し、120℃のオーブンで30分間乾燥し、厚み100nmの正孔輸送層を形成した。
(1−5)発光層の形成
上記陽極基板の正孔輸送層の表面に、発光層材料としてポリフルオレン系発光材料(ガラス転移温度:116℃、DSC法)を厚み80nmになるようにスピンコート法で塗布し、乾燥させ、発光層をベタ一面に形成した。
(1−6)有機EL素子の作製
上記上記(1−1)の陰極基板と(1−5)の正孔輸送層と発光層が設けられた陽極基板とを、発光層と本電極層とが接するように重ね合わせ、温度が140℃に設定された2本の加熱ロールの間を通過させ、ロール圧力2MPaで陽極基板と陰極基板とを加圧して、両者を接合すると共に、加圧の圧力により本電極層のパターン形成層と接する部分が亀裂部として形成された実施例1の有機EL素子を得た。
実施例2
陰極支持フィルム(陰極基材)のサブ電極層上に、パターン形成層を以下の転写法により形成し、パターン形成層の上に本電極層を作製して陰極基材を得た以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を得た。
転写基材として離型処理したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に、転写層形成用塗布液(ポリアミド系樹脂とエポキシ樹脂をトルエン、メタノールで希釈したもの)をグラビア印刷した後、0.1MPa、80℃、5分間、真空乾燥し、厚み約250nmの転写層をベタ一面に形成した。更に上記転写層の表面に、剥離シートとして上記転写基材のPETフィルムよりも転写層に対する離型性が高いPETフィルムを積層して、転写基材/転写層/剥離フィルムからなる積層体を形成した。この積層体をトムソン金型でT字状の発光部に対応する部分を打ち抜いて、転写層が非発光部のパターン状に形成されたパターン転写フィルムとした。このパターン転写フィルムの剥離フィルムを剥離して、サブ電極層の表面上に転写してパターン形成層を形成した。
本発明の有機EL素子の一例を示し、(a)は貼り合わせ前の陽極基板と陰極基板を示す断面図であり、同図(b)は同図(a)の貼り合わせ後の有機EL素子を示す断面図である。 (a)〜(c)は、陰極基板の製造工程を示す断面図である。 (a)〜(d)はパターン転写フィルムの製造工程を示す断面図である。 陽極基板と陰極基板の貼り合わせ工程の説明図である。
符号の説明
1 有機ルミネッセンス(EL)素子
2 陽極基材
3 陽極
4 正孔輸送層
5 発光層
6 パターン形成層
7 陰極
71 サブ電極層
72 本電極層
8 陰極基材
11 陽極基板(第1の基板)
12 陰極基板(第2の基板)
13 有機物層
14 亀裂部

Claims (5)

  1. 陽極と陰極との間に少なくとも発光層を含む有機物層が挟持され、前記有機物層と一方の電極が第1の基材に形成された第1の基板と、他方の電極が第2の基材に形成された第2の基板とを貼り合わせることで得られる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、少なくとも陰極又は陽極がサブ電極層と本電極層とからなり、前記サブ電極層と本電極層との間に素子の非発光パターンからなるパターン形成層が設けられ、前記サブ電極層が前記基材側に形成され、前記パターン形成層の本電極層の部分に亀裂部が形成されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記パターン形成層が、前記第2の基板側に形成されていることを特徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記パターン形成層が、樹脂層であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 第1の基板の電極が陽極であり、第2の基板の電極が陰極であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 有機物層が、発光層と正孔輸送層とから構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の有機エレクトロルミネッセンッス素子。
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