JP4923378B2 - 光反射フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射部材用に使用される光反射フィルムの改良に関し、さらに詳しくは面光源の反射板、およびリフレクターとして好適な光反射フィルムであって、より明るく、かつ照明効率に優れた面光源を得ることのできる、光反射フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として、液晶を利用したディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイは、それ自体は発光体でないために、裏側からバックライトと呼ばれる面光源を設置してを使用して光を照射することにより表示が可能となっている。また、バックライトは、単に光を照射するだけでなく、画面全体を均一に照射せねばならないという要求に応えるため、サイドライト型もしくは直下型と呼ばれる面光源の構造をとっている。なかでも、薄型・小型化が望まれるノート型パソコン等に使用される薄型液晶ディスプレイ用途には、サイドライト型、つまり画面に対し側面から光を照射するタイプのバックライト(電飾用光源)が適用されている(特許文献1特許請求の範囲(1)〜(4))。
【0003】
一般的に、このサイドライト型バックライトでは、乱反射面が少なくても一面に設けられた透明板からなる導光板と呼ばれる板のエッジから冷陰極線管を照明光源とし、光を均一に伝播・拡散する導光板を利用し液晶ディスプレイ全体を均一に照射する導光板方式が採用されている。この照明方法において、より光を効率的に活用するため、冷陰極線管の周囲および、導光板の側面のうち冷陰極管を有さない側面には白色フィルムや白色テープ等からなるリフレクターが設けられ、更に導光板から拡散された光を液晶画面側に効率的に反射させるために導光板の乱反射面の下には反射板と呼ばれる反射層が設けられている。これにより冷陰極線管からの光のロスを少なくし、液晶画面を明るくする機能を付与している。
【0004】
一方、液晶テレビのような大画面用では、エッジライト方式では画面の高輝度化が望めないことから直下型ライト方式が採用されてきている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列に設けるもので、反射板の上に平行に冷陰極線管が並べられる。反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。
【0005】
このような液晶画面用の面光源に用いられるリフレクターや反射板(面光源反射部材と総称する)には、薄膜であることと同時に高い反射機能が要求され、従来、白色顔料を添加したフィルムや内部に微細な気泡を含有させたフィルムが単独で、もしくはこれらのフィルムと金属板、プラスチック板などとを張り合わせたものが使用されてきた。特に内部に微細な気泡を含有させたフィルムを使用した場合には、輝度の向上効果や均一性に優れることから広く使用されている。かかる微細な気泡は、樹脂にそれとは非相溶な成分(ボイド核剤)を含有せしめ、一方向以上に延伸させることにより得ることができる。このような内部に微細な気泡を含有したフィルムは特許公報などに開示されている(特許文献2、特許文献3)。また、ボイド核剤は通常1種類であることが多いが、2種類以上のボイド核剤を併用した例も開示されている(特許文献4、特許文献5)。
【0006】
また、フィルム内部に多数の微細な気泡を含有させることによって白色化したフィルムは、高い反射性を有することから高い白色度を有するので、画像印字媒体、とりわけ昇華転写方式用の受像紙に好ましく用いられている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−62104号公報
【0008】
【特許文献2】
特開平6−322153号公報
【0009】
【特許文献3】
特開平7−118433号公報
【0010】
【特許文献4】
特開2001−225433号公報
【0011】
【特許文献5】
特開2001−288291号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、液晶画面の用途は、従来からのノート型パソコンに加えて、近年では据置型のパソコンやテレビ、携帯電話のディスプレイなど、様々な機器に採用されており、需要は急速に増大している。一方、液晶画面の画像もより高精細なものが求められるのに伴い、液晶画面の明るさを増して画像をより鮮明に、より見やすくする改良が進められており、照明光源(例えば、冷陰極線管)もより高輝度、高出力のものとなってきている。しかしながら、面光源反射部材である反射板やリフレクターとして上記フィルムを用いた場合には、隠蔽性に劣るために照明光源の光の一部が反対面に透過し、その結果、液晶画面の輝度(明るさ)が不足し、さらには照明光源からの光の伝達ロスによって照明の効率が低下する等の問題が指摘されている。かかる問題を解決するために、ボイド核剤を単純に増量した反射フィルムやボイド核剤を2種以上用いた反射フィルム等も提案されているが、光反射性やバックライト輝度特性の飛躍的な向上にはつながっておらず、さらなる光反射フィルムの反射性および隠蔽性向上が求められている。
【0013】
また画像印字媒体の分野においても、デジタルフォトの高画質化、高精細化にともない受像紙にはさらに高い白色度が要求され、光反射フィルムの反射性向上が求められている。
【0014】
以上に鑑み、液晶画面等に用いられる面光源分野においても、画像印字媒体の分野においても、反射特性、隠蔽性に優れる光反射フィルムを提供することが課題となっている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、
フィルム内部にボイド核剤および扁平な独立気泡を有するフィルムであって、各々の気泡について、フィルムの面方向における気泡の長さ(L)とフィルムの厚み方向における気泡の長さ(R)の比(L/R)を求めたとき、それらL/Rの単純平均値d1と標準偏差σ1が式(1)を満たし、
かつ、ボイド核剤として2種類以上の成分を用い、フィルム内部に含まれるボイド核剤の粒子径もしくは分散径の単純平均d2と標準偏差σ2が式(2)を満たすことを特徴とする光反射フィルム、および、
フィルム内部にボイド核剤および扁平な独立気泡を有するフィルムの製造方法であって、各々の気泡について、フィルムの面方向における気泡の長さ(L)とフィルムの厚み方向における気泡の長さ(R)の比(L/R)を求めたとき、それらL/Rの単純平均値d1と標準偏差σ1が式(1)を満たし、
かつ、式(2)および(3)を満足することを特徴とする反射フィルムの製造方法、
をその骨子とするものである。
【0016】
σ1/d1≧0.5 ・・・(1)
σ2/d2≧0.5 ・・・(2)
ただし、d2はフィルム内部に含まれるボイド核剤の粒子径もしくは分散径の単純平均であり、σ2標準偏差である。
ΔM=|Mmd−Mtd|≧0.3・・・(3)
ただし、Mmdはフィルム長手方向の延伸倍率であり、Mtdはフィルム幅方向の延伸倍率である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の光反射フィルムは、フィルム内部にボイド核剤および扁平な独立気泡を有するフィルムであって、各々の気泡について、フィルムの面方向における気泡の長さ(L)とフィルムの厚み方向における気泡の長さ(R)の比(L/R)を求めたとき、それらL/Rの単純平均値d1と標準偏差σ1が式(1)を満たすことが必要である。
【0018】
σ1/d1≧0.5 ・・・(1)
本発明において、光反射フィルムとは、必ずしも限定されるものではないが、面光源における光反射部材(反射板、導光板側面リフレクター、ランプリフレクター)および受像紙等の画像印字媒体として特に好適に用いられるフィルムをいう。
【0019】
光反射フィルムを作成する際に広く用いられている製造法の一つとして、上述したように、光反射フィルムを構成する主たる樹脂成分と、該樹脂成分に対して非相溶である成分(ボイド核剤)とを含有する混合物を溶融押出し、少なくとも一方向に延伸することによって気泡を生成させる手法がある。しかしながら、ボイド核剤を単純に増加しただけでは、製膜可能な範囲においてはほとんど効果がみられない。
【0020】
本発明者はかかる問題について鋭意検討した結果、フィルム内部に存在する気泡の形状にある一定以上の分布を持たせることで、該光反射フィルムの反射性や隠蔽性、光拡散性さらにはバックライト輝度が飛躍的に向上することを突き止めた。本発明者らの検討によれば、従来のいかなる手法によっても、かかる光反射フィルムを得ることはできなかった。
【0021】
本発明者らは、このような現象についてさらに検討した結果、光反射性や光拡散性、バックライト輝度特性は、従来述べられてきたような気泡体積やボイド核剤の添加量で単純に規定されるべきものではなく、フィルム内部の気泡の形状分布、特にL/R比の分布に大きく影響されることを見出した。さらに、求める光反射フィルムは、フィルム内部の気泡のL/R比の標準偏差σ1と単純平均値d1が式(1)を満たすことによって満足しうることを突き止め、本発明に至った。
【0022】
かかる要件の充足が、光反射性・輝度特性等の向上に大きく寄与する詳細な理由については不明であるが、種々の形状の気泡を含有させることにより、以下の効果が発現されることが主な理由であると思われる。
【0023】
(1) 生成する気泡の厚み方向および面方向の大きさが均一にはならないため、気泡がより密に充填される。そのため、効率良く厚み当りの気固界面数を増加させることができ、光反射性が向上する効果。
【0024】
(2) 気泡の形状が様々であるため、フィルム内部において適度に光が散乱され、光拡散性が向上する効果。
【0025】
かかる光反射性および光拡散性の向上効果が同時に発現されるため、バックライト輝度特性が飛躍的に向上するものと考えられる。
【0026】
なお、従来の反射フィルムにおいて、ボイド核剤の単純な増量が光反射性等の向上に大きく寄与しなかった詳細な理由については不明であるが、ボイド核剤による可視光吸収の増大や、気泡の連結によりフィルム内部での効率的な光線反射が抑制されたことなどが考えられる。
【0027】
本発明では、フィルム内部に存在する気泡のフィルムの面方向における気泡の長さLとフィルムの厚み方向における気泡の長さRの比L/Rが一定以上の分布を有することが必要である。
【0028】
一定以上の分布とは、反射フィルム中に含まれる気泡のL/R比の単純平均値d1と標準偏差σ1が式(1)を満たすような分布をいう。
【0029】
ここで、気泡のフィルムの面方向における気泡の長さLとフィルムの厚み方向における気泡の長さRはフィルム厚み方向の断面を観察することによって求めることができるので、その求め方を図1〜図3に示した概略モデル図を用いて説明する。図1〜3においては、測定の仕方と関連してフィルム断面中の気泡の状態をモデル的に示したものであり、1は樹脂、2は気泡、3はボイド核剤、4は粒子または非相溶樹脂である。
【0030】
すなわち、気泡のフィルムの面方向における気泡の長さLとフィルムの厚み方向における気泡の長さRは、フィルム厚み方向の断面を観察することによって求めることができるものである(図1)。なお、後述するボイド核剤を用いてフィルム内部に気泡を生成せしめる手法を用いた場合は、フィルム面方向における気泡の空洞長さをL、その気泡を生成しているボイド核剤のフィルム厚み方向の長さをRとする(図2)。ただし、粒子や非相溶樹脂周辺に全く空洞が生じていない場合は、測定の対象としないものである(図3)。また、気泡が生じていても、気泡の断面面積が1μm2 以下のものは測定の対象とはしない。
【0031】
本発明において該気泡の断面面積を測定する具体的方法を、以下に示す。 (1)後述する方法に則って得られる断面画像の画像写真を撮る(断面画像の取得は電子的な手法で行っても良い)。 (2)該写真の上に十分に透明なフィルムもしくはトレーシングペーパーを重ね、該写真中の気泡の形状をトレースする。但し、トレースする際に用いるペンのペン先の太さは0.5mm以下とする。 (3)CCDカメラ等を用いてトレーシングしたフィルムもしくはトレーシングペーパーの画像イメージをパソコンへ取り込み、画像解析ソフトを用いて気泡の断面面積を求めた。なお、後述するボイド核剤の球相当径についても同様の手法を用いて、ボイド核剤の断面面積から求めた。
【0032】
フィルム内部に存在する各々の気泡についてLおよびRを測定し、次いでL/Rを算出し、それらL/Rの単純平均を計算することによりd1を、それらL/Rの標準偏差を求めることによりσ1を求めることができる。
【0033】
ここで、σ1をd1で除したσ1/d1はフィルム内部に存在する気泡の(L/R)比の分布の大きさを示す指標である。かかる分布の大きさ(σ1/d1)をより大とすることが、輝度特性および光反射性の点より好ましい。σ1/d1は0.5以上であることが必要であるが、より好ましい範囲は0.6以上であり、さらに好ましくは0.7以上である。σ1/d1の上限は特に規定されないが、生産性等の面より2.0以下となることが好ましい。
【0034】
市販の白フィルム(E60L,E20(以上、東レ(株))、WS−100,WS−180(三井化学(株))、MC−PET(古河電工(株))など)についてσ1/d1を測定したところ、0.4未満であった。また、これらフィルムを実際にバックライトへ組み込み輝度を測定したところ、十分な輝度が得られなかった。その理由の詳細は不明であるが、これらフィルムは高反射性の発現に重点を置いているためと考えられる。そのため、本発明でねらいとする光反射板用途では不充分と言わざるを得ないものであった。
【0035】
フィルム内部の気泡の形状は、フィルム面方向に対して伸長されている楕円状、すなわち、扁平形状であることが光反射性の点から必要である。気泡の形状を扁平にすることで、フィルム厚み方向に多数の気泡を形成させることが可能となり、光反射性を飛躍的に向上させることができる。さらにフィルム内部の気泡は各々が独立していることが、生産性およびバックライト輝度特性の点より好ましい。
【0036】
なお、本発明において「扁平形状」とは、L/Rが1.5以上であることをいう。本発明の光反射フィルムにおいて、全ての気泡の内、形状が扁平である気泡の割合は20%以上が好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。扁平な気泡の割合をかかる範囲にすることにより、光反射性により優れた光反射フィルムを得ることができる。
【0037】
かかる扁平独立気泡の形成方法としては、
光反射フィルム内部にボイド核剤を含有せしめ、それを少なくとも一方向に延伸することにより内部に微細な気泡を生成させる方法、
より具体的には、
(A) ボイド核剤として2種類以上の成分を用い、フィルム内部に含まれるボイド核剤の粒子径もしくは分散径の単純平均d2と標準偏差σ2が式(2)を満たすこと、
σ2/d2≧0.5 ・・・(2)、
または、
(B) 式(2)および(3)を満足すること、
ΔM=|Mmd−Mtd|≧0.3・・・(3)
ただし、Mmdはフィルム長手方向の延伸倍率であり、Mtdはフィルム幅方向の延伸倍率、
を挙げることができる。
【0038】
本発明においては、微細な独立扁平気泡を数多く形成させることが望まれるため、上記手法を用いることが必要である。上記手法は延伸中に光反射フィルムを構成する樹脂成分とボイド核剤の界面で剥離が起こることを利用して、扁平気泡を生成させる手法である。したがって、上記手法を用いる場合は、気泡占有体積を増大させ、厚み当りの気泡数を増大させるために、一軸延伸よりも二軸延伸がより好ましい。
【0039】
以下、上記手法で好適に用いることができる樹脂成分およびボイド核剤について詳述する。
【0040】
光反射フィルムを構成する主たる樹脂成分としては、可視光領域に吸収を有しないものが好ましい。また、本発明における光反射フィルムは、フィルム内部の気泡と樹脂との気固界面にて光を反射・拡散させるため、固相を形成する樹脂成分の屈折率は、気相の屈折率との差が大であることが好ましい。屈折率差が小であると、気固界面での反射があまり起こらず、結果として所望の光反射効果が得られない。気体および真空の屈折率は実質1.0であることから、実質的に有効な光反射性を得るためには、樹脂成分の屈折率は1.4以上であることが好ましく、より好ましくは1.5以上である。かかる条件を満たす樹脂の例としては、ポリオレフィンやポリエステル等が挙げられる。中でも寸法安定性、機械特性、ハンドリング特性(取扱い性)が良好でかつ高い屈折率を有する芳香族ポリエステルを好適に用いることができる。
【0041】
さらに、芳香族ポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称する)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレートなどは安価に入手でき、かつ製膜性も良好であるため、特に好適に用いることができる。
【0042】
これらのポリエステルはホモポリマーであってもコポリマーであってもよいが、好ましくはホモポリマーである。コポリマーである場合の共重合成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、炭素数2〜15のジオール成分を挙げることができ、これらの例としては、たとえばイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、スルホン酸塩基含有イソフタル酸、およびこれらのエステル形成性化合物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、分子量400〜2万のポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。
【0043】
これらのポリエステル樹脂中には本発明の効果が損なわれない範囲内で各種添加物、たとえば蛍光増白剤、架橋剤、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、有機の滑剤、有機、無機の微粒子、充填剤、耐光剤、帯電防止剤、核剤(ボイド形成のための核剤を除く)、染料、分散剤、カップリンブ剤などが添加されていてもよい。
【0044】
次に、気泡を形成するために添加されるボイド核剤について述べる。ボイド核剤は光反射フィルムを構成する主たる樹脂成分と同一ではなく、かつ樹脂成分中に粒子状に分散し得るものであればよく、例えば無機微粒子、有機微粒子、各種熱可塑性樹脂、などが挙げられる。
【0045】
ボイド核剤は、それ自体を核として気泡を形成し得るものが好ましく、たとえば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン(アナターゼ型、ルチル型)、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫化亜鉛、塩基性炭酸鉛、雲母チタン、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、カオリン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂などが好適に用いられる。
【0046】
ボイド核剤は単一種でもよいが、2種類以上の成分を用いることが好ましい。2種類以上のボイド核剤を用いることにより、L/R比が異なる様々な気泡を発生させることができ、結果としてσ1/d1をより大とすることができる。このような現象が生じる理由の詳細は不明であるが、次のように考えることができる。
【0047】
光反射フィルムを構成する樹脂成分への分散性や溶解性(相溶性)は、選択するボイド核剤の種類によって異なる。従って、ボイド核剤により生成させる気泡の形状も、ボイド核剤の種類によって異なる。そのため、複数種のボイド核剤を用いることは、種々のL/R比を有する気泡を生成させることに効果的であり、結果としてσ1/d1がより大となる、と考えられる。
【0048】
2種類以上のボイド核剤を用いる場合は、その組み合わせは特に限定されるものではなく、無機成分同士の組み合わせ、有機成分同士の組み合わせ、無機成分と有機成分の組み合わせの何れでもよい。組み合わせの例としては、硫酸バリウム−炭酸カルシウム、硫酸バリウム−アルミナ、ポリメチルペンテン−ポリスチレン、ポリメチルペンテン-ポリプロピレン、硫酸バリウム−ポリメチルペンテン、炭酸カルシウム−ポリメチルペンテンなどが挙げられる。
【0049】
しかしながら、ボイド核剤の粒子径(または分散径、完全な球形でない場合は球相当径)の分布が小である場合には、2成分以上のボイド核剤を用いても、σ1/d1は飛躍的には向上しない。ボイド核剤により生成される気泡のL/R比の分布の大きさを示すσ1/d1を飛躍的に大きくするためには、ボイド核剤の粒子径に一定の分布を持たせることが特に好ましい。ボイド核剤の粒子径の分布の大きさは、ボイド核剤の粒子径の単純平均値をd2、標準偏差をσ2とした場合、σ2をd2で除した値σ2/d2により決定される。
【0050】
本発明において、ボイド核剤の粒子径の分布の大きさを示すσ2/d2は式(2)を満足することが好ましい。
【0051】
σ2/d2≧0.5 (2)
ボイド核剤の粒子径の分布の大きさを示す値であるσ2/d2は0.5より大であることが好ましく、より好ましくは0.6以上、さらに好ましくは0.7以上である。
【0052】
かかる条件を満たすボイド核剤を用いることにより、種々のL/R値を有する気泡を効率的に生成させることができ、σ1/d1をより大きくすることが可能となる。
【0053】
また、σ2/d2を大とすると、生成する気泡の厚み方向および面方向の大きさが均一にはならないためか、光拡散性を大きく向上させることができる。また、同時に気泡の最密充填化も進めることができるため、光反射性も飛躍的に向上する。かかる光反射性のさらなる向上と、光拡散性のさらなる向上によりバックライト輝度特性を大きく向上させることができる。
【0054】
なお、従来においても、2種類以上のボイド核剤を用いた光反射フィルムが提案されている(特許文献4、特許文献5)。本発明者らがかかる公知例に則り追試したところ、光反射性向上効果や、輝度特性向上効果に乏しいものであった。この理由の詳細については不明であるが、σ2/d2を測定したところ、何れのも0.4未満であった。また、σ1/d1も0.4未満であった。かかる公知例では気泡の形状やボイド核剤の粒径がコントロールされていないために、結果として、充分な光反射性向上効果や、輝度特性向上が発現されなかったものと推定される。
【0055】
また、内部に微細な気泡を形成させたフィルムの片面もしくは両面に、共押出しなどの手法によって表皮層を形成することは妨げられるものではない。さらに、表皮層中に各種粒子や蛍光増白剤等が添加されていてもよい。かかる表皮層を積層することにより、機械的強度、表面平滑性などを光反射フィルムに付与することができる。
【0056】
さらに、表面すべり性や製膜時の走行耐久性を高めるために気泡を生成しない各種粒子を、光反射フィルム中や表皮層中に添加することは妨げられるものではない。
【0057】
また、本発明の効果が損なわれない範囲で、光反射フィルムの表面に、易接着性や帯電防止性、紫外光吸収性能等を付与するために、周知の技術を用いて種々の塗液を塗布したり、耐衝撃性を高めるためにハードコート層などを設けても良い。塗布は、フィルム製造時に塗布(インラインコーティング)してもよいし、結晶配向完了後の光反射フィルム上に塗布(オフラインコーティング)してもよい。
【0058】
さらに、電磁波遮蔽性や折り曲げ加工性付与などの目的で、光反射フィルムの一方の表面にアルミニウム、銀などを貼り合わせたり、蒸着してもよい。
【0059】
本発明の光反射フィルムの気泡含有率の目安となるみかけの比重は0.1以上1.5未満が好ましい。さらに好ましくは0.3以上1.3未満である。比重が0.1未満の場合にはフィルムとしての機械的強度が不十分であったり、折れやすく取り扱い性に劣るなどの問題が生じる場合がある。一方、1.3を越える場合には気泡の含有量が低すぎて反射率が低下し、輝度が不十分になる傾向にある。
【0060】
本発明における光反射フィルムの厚みは10〜500μmが好ましく、20〜300μmがより好ましい。厚みが10μm未満の場合、フィルムの平坦性を確保することが困難となり、面光源として用いた際に、明るさにムラが生じやすい。一方、500μmより厚い場合、光反射フィルムとして液晶ディスプレイなどに用いた場合、厚みが大きくなりすぎることがある。
【0061】
本発明の光反射フィルムにおいて、光反射率は、光反射性およびバックライト輝度特性の点より、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。光反射率が80%未満の場合、隠蔽性に劣るフィルムとなり、また光反射フィルムとして液晶ディスプレイなどに用いた場合、充分な輝度が得られないことがある。反射率の上限は特に規定されないが、光反射率の明度および色目の点より、200%以下が好ましい。
【0062】
ここで、光反射率は、フィルム表面の法線に対して、光軸がなす角度が10度以下である光波長560nmの一つの光線束を、入射角10°にてフィルムへ照射し、あらゆる角度に反射する光を集積して受光することによって求められる。但し、積分球を用いる場合は、全ての開口の面積の和は10%を超えてはいけない。
【0063】
次に本発明の光反射フィルムの製造方法について、その一例を説明するが、かかる例に限定されるものではない。
【0064】
主押出し機、副押し出し機を有する複合製膜装置において、必要に応じて十分な真空乾燥を行った光反射フィルムを構成する芳香族ポリエステル樹脂のチップとボイド核剤を混合したものを加熱された主押し出し機に供給する。また、表皮層を積層するために、必要に応じて十分な真空乾燥を行った芳香族ポリエステル樹脂のチップ、無機粒子および蛍光増白剤を加熱された副押し出し機に供給する。
【0065】
ここで、本発明の反射フィルムとするための第一の方法として、ボイド核剤には粒子径の分布(σ2/d2)が大であるものを用いることが望ましい。かかる粒子を用いることにより、種々のL/R比を有した気泡を生成させることができ、結果としてσ1/d1をより大とすることができる。
【0066】
また、本発明の反射フィルムとするための第二の方法として、2種類以上のボイド核剤を用いることが望ましい。種類の異なるボイド核剤を用いることにより、L/R比の異なる気泡を効率的に生成させることができ、σ1/d1を大とすることができる。
【0067】
このようにして各押し出し機に原料を供給し、Tダイ複合口金内で主押し出し機のポリマーの片面に副押し出し機のポリマーが来るように積層(A/BもしくはA/B/A)してシート状に共押し出し成形し、溶融積層シートを得る。
【0068】
この溶融積層シートを、冷却されたドラム上で密着冷却固定化し、未延伸積層フィルムを作製する。この時、均一なフィルムを得るために静電気を印加してドラムに密着させることが望ましい。その後、必要により延伸工程、熱処理工程等を経て目的の光反射フィルムを得る。
【0069】
延伸の方法は特に問われないが、長手方向の延伸と巾方向の延伸を分離して行う逐次二軸延伸法や長手方向の延伸と巾方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸法がある。
【0070】
逐次二軸延伸の方法としては、例えば、上記の未延伸積層フィルムを加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわちフィルムの進行方向)に延伸し、次いで冷却ロール群で冷却する方法が一般的である。
【0071】
長手方向における延伸工程では、延伸を2段階以上に分けて行う多段延伸法を用いることもσ1/d1をより大とするために効果的である。多段延伸を行う場合は、前の延伸段階の延伸温度は後の延伸段階の延伸温度よりも低いことが望ましい。また、後の延伸段階での延伸倍率をできるだけ大きくすることも望ましい延伸法の一つである。以下、2段階延伸を行う場合の好ましい態様の一つを例示する。まず、延伸温度については、1段階目における延伸温度をT1、2段階目における延伸温度をT2としたとき、下式で求められる延伸温度差ΔTを5℃以上とすることが好ましい。
【0072】
ΔT=T2−T1
次に延伸倍率については、1段階目の延伸倍率をM1、2段階目の延伸倍率(1段階目の延伸終了後のフィルムに対する延伸倍率を指す)をM2としたとき、下式で示される延伸倍率比M21を0.7以上とすることが好ましい。
【0073】
M21=M2/M1
2段階延伸を行う場合は、延伸温度差ΔTや、延伸倍率比M21をかかる範囲にすることで、種々のL/R比の気泡生成を効率良く生成させることが可能となり、結果としてσ1/d1をより大とすることができる。
【0074】
長手方向に延伸した後、続いて巾方向の延伸を行うことができる。逐次二軸延伸法では、フィルムの両端をクリップで把持しながら加熱されたテンターに導き、長手方向に垂直な方向(横方向あるいは幅方向)に延伸を行うことができる。
【0075】
一方、同時二軸延伸の方法としては、例えば、上記の未延伸積層フィルムの両端をクリップで把持しながら加熱されたテンターに導き、巾方向に延伸を行うと同時にクリップ走行速度を加速していくことで、長手方向の延伸を同時に行う方法がある。この同時二軸延伸法は、フィルムが加熱されたロールに接触することがないため、フィルム表面に光学的な欠点となるキズが入らないという利点を有する。
【0076】
ここで、本発明のフィルムを得る第三の方法として、巾方向の延伸倍率をMtd、長手方向の延伸倍率をMmdとしたとき、下式で示される延伸倍率差ΔMを0.2以上とすることが好ましい。
【0077】
ΔM=|Mmd−Mtd|
各延伸方向の延伸倍率に差を設けることにより、フィルム面内に種々のL/R比を有する扁平気泡を効率的に発生させることができ、σ1/d1をより大とすることができる。
【0078】
また、本発明のフィルムを得る第四の方法として、実効面倍率は10倍以下とすることが好ましい。実効面倍率をかかる範囲とすることにより、過剰延伸による気泡の連結を防ぐことができ、独立扁平気泡を光反射フィルム中へ含有させることができる。
【0079】
こうして得られた二軸延伸積層フィルムに平面安定性、寸法安定性を付与するため、引き続いてテンター内で熱処理(熱固定)を行い、均一に徐冷後、室温付近まで冷却した後、巻き取ることにより、本発明の光反射性フィルムを得ることができる。
【0080】
このように、本発明の光反射フィルムは、押出し後、続けて延伸・熱処理することにより作成することが可能である。すなわち、インラインで一気に光反射性・光拡散性・バックライト輝度特性・表面平坦性・機械特性・耐熱性および生産性に極めて優れた光反射フィルムを得ることができる。
[特性の測定方法および評価方法]
(1)気泡のL/R比分布(σ1/d1)
(i)ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に引き伸ばしたり、潰すことなく、垂直に切断する。ここで「引き伸ばされた」および「潰された」かどうかは以下の作業によって判断される。
【0081】
(i-i)切断前にフィルムの膜厚を計測する。
【0082】
(i-ii)切断後のサンプルを走査型電子顕微鏡S−2100A型((株)日立製作所)で観察し、フィルム厚み方向の長さを計測する。
【0083】
(i-iii)(i-ii)で求めた計測値が(i-i)で求めた膜厚に対して±10%以内であれば「引き伸ばされてもおらず、かつ、潰されていない」と判断する。
【0084】
(ii)切断した断面を走査型電子顕微鏡S−2100A型((株)日立製作所)(以下SEM)を用いて、1画面中に気泡が100〜200個入るように、適当な倍率(500〜10000倍)に拡大観察し、画面を写真に撮り、画面イメージを取得する。本発明では、原則150個を目途にして、±10個に入るように拡大倍率を決めて、後述する実施例では、その画面中に含まれた測定対象として有効な気泡の全数について測定した。なお、画面を写真に撮る際は、電子的な手法を用いてもよい。
【0085】
(ii-1)ここで、フィルムの厚みが大きすぎて、測定画面中にフィルム厚み方向全体が納まらないとき(画面中にフィルムの両表面に係る端部が観察されないとき)は、1画面中に気泡が100〜200個入るように、適当な倍率(500〜10000倍)に拡大し、フィルムの一方の表面に係る端部から、もう一方の表面に係る端部に至るまで、画面イメージを繋ぎ合わせることができるように、2回以上に分割してSEM観察像の画面イメージをそれぞれ取得する。分割取得した画面イメージを繋ぎ合わせて、一つのの画像とする。
【0086】
(ii-2)また、フィルムの厚みが小さすぎて、測定画面中に100〜200個の気泡を入れることができないときは、フィルム面方向へ測定視野を水平移動させ、画面イメージを繋ぎ合わせることができるように、2回以上に分割してSEM観察像の画面イメージをそれぞれ取得する。分割取得した画面イメージを繋ぎ合わせて、一つのの画像とする。但し、測定気泡総数は少なくとも150個以上となるようにする。
【0087】
(iii)拡大観察により得られた画像より、各々の気泡について、フィルムの面方向における気泡の長さ(L)とフィルムの厚み方向における気泡の長さ(R)およびそれらの比(L/R)を求める。ここでLおよびRはフィルム中の実際の気泡の面方向の長さ、厚み方向の長さとは限らないが、画像から求められる気泡の面方向の長さおよび厚み方向の長さで決定されるものとする。
【0088】
なお、気泡の断面面積が1μm2 未満のものは測定対象とはしない。また、画面中に全部が含まれていない気泡(例えば、画面端で一部が欠けて見える気泡など)は測定の対象とはしない。
【0089】
(iv)求めたL/R比の単純平均をd1、標準偏差をσ1とする。
【0090】
(v)σ1をd1で除し、σ1/d1を求める。
【0091】
(vi)(i)〜(v)の作業を3回繰り返して行い、それぞれのσ1/d1を求めそれらを平均したものをσ1/d1とする。
【0092】
(vii)フィルムの切断面を、フィルム面方向に対して45°、90°および135°ずらして、(i)〜(vi)の作業を行い、それぞれのσ1/d1を求めそれらを平均したものをσ1/d1とする。
【0093】
(viii)測定箇所は、本発明者らの各種知見によれば、通常1箇所でも十分だが、巾広サンプルもしくは長尺サンプルにおいて、もし、構造的にムラがあるようなものであれば、何ヶ所かについて(巾広サンプルであれば巾方向につき3ヶ所以上、長尺サンプルであれば長さ方向につき3ヶ所以上が好ましい)測定し、平均した値を求めて判断するなどの手法をとってもよい。
【0094】
なお本発明では、σ1/d1が0.5未満の場合を小、0.5以上0.6未満の場合を中、0.6以上の場合を大として評価した。
(2)ボイド核剤の粒子径分布(σ2/d2)
(i)ミクロトームを用いて、フィルム断面を厚み方向に引き伸ばしたり、潰すことなく、垂直に切断する。ここで「引き伸ばされた」および「潰された」かどうかは以下の作業によって判断される。
【0095】
(i-i)切断前にフィルムの膜厚を計測する。
【0096】
(i-ii)切断後のサンプルをSEMで観察し、フィルム厚み方向の長さを計測する。
【0097】
(i-iii)(i-ii)で求めた計測値が(i-i)で求めた膜厚に対して±10%以内であれば「引き伸ばされてもおらず、かつ、潰されていない」と判断する。
【0098】
(ii)切断した断面をSEMを用いて、1画面中にボイド核剤が100〜200入るように、適当な倍率(500〜10000倍)に拡大観察し、画面を写真に撮り、画面イメージを取得する。本発明では、原則150個を目途にして、±10個に入るように拡大倍率を決めて、後述する実施例では、その画面中に含まれた測定対象として有効なボイド核剤の全数について測定した。なお、画面を写真に撮る際は、電子的な手法を用いてもよい。
【0099】
(ii-1)ここで、フィルムの厚みが大きすぎて、測定画面中にフィルム厚み方向全体が納まらないとき(画面中にフィルムの両表面に係る端部が観察されないとき)は、1画面中にボイド核剤が100〜200個入るように、適当な倍率(500〜10000倍)に拡大し、フィルムの一方の表面に係る端部から、もう一方の表面に係る端部に至るまで、画面イメージを繋ぎ合わせることができるように、2回以上に分割してSEM観察像の画面イメージをそれぞれ取得する。分割取得した画面イメージを繋ぎ合わせて、一つのの画像とする。
【0100】
(ii-2)また、フィルムの厚みが小さすぎて、測定画面中に100〜200個のボイド核剤を入れることができないときは、フィルム面方向へ測定視野を水平移動させ、画面イメージを繋ぎ合わせることができるように、2回以上に分割してSEM観察像の画面イメージをそれぞれ取得する。分割取得した画面イメージを繋ぎ合わせて、一つのの画像とする。但し、測定ボイド核剤総数は少なくとも150個以上となるようにする。
【0101】
(iii)拡大観察により得られた画像より、各々のボイド核剤について、粒子径(完全な球形でない場合は球相当径)を求める。かかる手法で求められるボイド核剤の粒径はフィルム中の実際のボイド核剤とは限らないが、画像から求められるボイド核剤の粒径で決定されるものとする。尚、画面中に全部が含まれていないボイド核剤(例えば画面端で一部が欠けて見えるボイド核剤など)は測定の対象とはしない。
【0102】
(iv)それら粒径の単純平均d2、および標準偏差σ2を算出する。
【0103】
(v)σ2をd2で除し、σ2/d2を求める。
【0104】
(vi)(i)〜(v)の作業を3回繰り返して行い、それぞれのσ2/d2を求めそれらを平均したものをσ2/d2とする。
【0105】
(vii)フィルムの切断面をフィルム面方向に対して45°、90°および135°ずらして、(i)〜(vi)の作業を行い、それぞれのσ2/d2を求めそれらを平均したものをσ2/d2とする。
【0106】
(viii)測定箇所は、本発明者らの各種知見によれば、通常1箇所でも十分だが、巾広サンプルもしくは長尺サンプルにおいて、もし、構造的にムラがあるようなものであれば、何ヶ所かについて(巾広サンプルであれば巾方向につき3ヶ所以上、長尺サンプルであれば長さ方向につき3ヶ所以上が好ましい)測定し、平均した値を求めて判断するなどの手法をとってもよい。
【0107】
なお、本発明では、σ2/d2が0.5未満の場合を小、0.5以上0.6未満の場合を中、0.6以上の場合を大として評価した。
(3)反射率
分光光度計U−3410((株)日立製作所)にφ60(直径60mm)積分球130−0632((株)日立製作所)および10℃傾斜スペーサーを取りつけた状態で560nmの反射率をフィルム両面について求め、高い方の値を反射率として採用した。標準白色板は当該機に附属のものを用いた。
(4)バックライト輝度
バックライトにフィルムを組み込み、輝度測定を行った。用いたバックライトは、評価用に用意したノートパソコンに使用される直管一灯型サイドライト式バックライト(14.1インチ)である。ここで、バックライト上には拡散シート、プリズムシート等のシートは全く載せていない。測定は、バックライト面を2×2の4区画に分け、点灯1時間後の輝度を求めることによって行った。輝度はトプコン社製のBM−7を用いて測定した。面内4箇所における輝度の単純平均を求め、平均輝度とした。
【0108】
【実施例】
本発明を以下の実施例および比較例を用いて説明するが、特にこれらに限定されるものではない。
参考例1
押出し機に樹脂成分としてPETを82重量%、ボイド核剤としてポリメチルペンテンと炭酸カルシウム(平均粒径3μm)の2成分をそれぞれ7重量%、10重量%添加し、分散剤としてポリエチレングリコールを1重量%加え混合したペレットを供給し、所定の方法により鏡面のキャストドラム上で冷却して未延伸シートを作製した。
【0109】
次いで、このシートを長手方向に2段階延伸法で計3.5倍に延伸した。1段階目の延伸は延伸温度84℃、延伸倍率2.0倍で、2段階目の延伸は延伸温度95℃、延伸倍率1.75倍で行った。延伸温度差ΔTは11℃、延伸倍率比M21は0.875である。続いてテンターにて100℃の予熱ゾーンを経た後、110℃で巾方向に3.1倍に延伸した。ΔMは0.3、実効面倍率を8.90倍である。さらにかかる2軸延伸フィルムを210℃にて30秒間熱処理し、膜厚100μmの光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ2/d2分布は小であるが、σ1/d1分布は中であった。また、反射率は95%、バックライト輝度も2300cd/m2と高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムは高い反射性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
参考例2
押出し機に、樹脂成分としてPETを86重量%、ボイド核剤として炭酸カルシウム(平均粒径2μm)を混合したペレットを供給し、参考例1と同様の手法を用いて、未延伸シートを作製した。かかる未延伸シートを参考例1と同様の方法で延伸および熱処理を行い、光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は中、σ2/d2分布は中であった。反射率は95%、バックライト輝度も2340cd/m2と高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムは高い反射性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
参考例3
押出し機に樹脂成分としてPETを86重量%、ボイド核剤として硫酸バリウム(平均粒径2μm)を14重量%添加し混合したペレットを供給し、所定の方法により鏡面のキャストドラム上で冷却して未延伸シートを作製した。次いで、このシートを長手方向に延伸温度92℃で延伸倍率3.4倍となるように一段階で延伸を行った。続いてテンターにて100℃の予熱ゾーンを経た後、110℃で巾方向に3.1倍に延伸した。ΔMは0.3、実効面倍率を8.59倍である。さらにかかる2軸延伸フィルムを210℃にて30秒間熱処理し、膜厚100μmの光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は中、σ2/d2分布は中であった。また、反射率は96%、バックライト輝度も2350cd/m2と高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムは高い反射性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
実施例4
押出し機に、樹脂成分としてPETを79重量%、ボイド核剤としてポリメチルペンテンと硫酸バリウム(平均粒径1.5μm)の2成分をそれぞれ、7重量%、10重量%、分散剤としてポリエチレングリコールを1重量%混合したペレットを供給し、参考例1と同様の手法を用いて、未延伸シートを作製した。かかる未延伸シートを参考例1と同様の方法で延伸および熱処理を行い、光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は中、σ2/d2分布は中であった。また、反射率は96%、バックライト輝度も2370cd/m2と高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムは高い反射性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
実施例5
押出し機に樹脂成分としてPETを84重量%、ボイド核剤として平均粒子径3.5μmの硫酸バリウムを10重量%、平均粒子径1.5μmの硫酸バリウムを6重量%混合したペレットを供給し、参考例1と同様の手法を用いて、未延伸シートを作製した。かかる未延伸シートを参考例1と同様の方法で延伸および熱処理を行い、光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は中、σ2/d2分布は大であった。また、反射率は97%、バックライト輝度も2420cd/m2と高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムは高い反射性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
実施例6
押出し機に樹脂成分としてPETを84重量%、ボイド核剤として平均粒子径3μmの硫酸バリウムを10重量%、平均粒子径0.7μmの炭酸カルシウムを6重量%混合したペレットを供給し、所定の方法により鏡面のキャストドラム上で冷却して未延伸シートを作製した。次いで、このシートを長手方向に延伸温度92℃で延伸倍率3.4倍となるように一段階で延伸を行った。続いてテンターにて100℃の予熱ゾーンを経た後、110℃で巾方向に3.3倍に延伸した。ΔMは0.1、実効面倍率を9.20倍である。さらに210℃にて30秒間熱処理し、膜厚100μmの光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は中、σ2/d2分布は大であった。また、反射率は96%、バックライト輝度も2390cd/m2と高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムは高い反射性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
実施例7
押出し機に樹脂成分としてPETを84重量%、ボイド核剤として平均粒子径3μmの硫酸バリウムを10重量%、平均粒子径0.7μmの炭酸カルシウムを6重量%混合したペレットを供給し、参考例1と同様の手法を用いて、未延伸シートを作製した。かかる未延伸シートを参考例1と同様の方法で延伸および熱処理を行い、光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は大、σ2/d2分布は大であった。また、反射率は96%、バックライト輝度も2470cd/m2と高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムは高い反射性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
実施例8
主押出し機に、樹脂成分としてPETを82重量%、ボイド核剤としてポリメチルペンテンと硫酸バリウム(平均粒径1μm)の2成分をそれぞれ、7重量%、10重量%、分散剤としてポリエチレングリコールを1重量%混合したペレットを供給し、また、主押出し機とは別に副押出し機を用い、この副押出し機に、PETを86重量%、平均粒径2μmの炭酸カルシウムを14重量%を混合したペレットを供給し、所定の方法により、主押出し機に供給した成分層の両側に副押出し機に供給した成分層を有するよう溶融3層積層共押出しを行い、静電印加法により鏡面のキャストドラム上で冷却して3層積層未延伸シートを作成した。このようにして得られた3層積層シートを参考例1と同様の方法にて、延伸、熱処理を行い、総膜厚100μmの積層光反射フィルムを得た。なお、得られた積層光反射フィルムにおいて、副押出機由来の表皮層の厚さは5μm、主押出機由来の内層の厚さは90μmである。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は中、σ2/d2分布は中であった。反射率は97%、バックライト輝度も2520cd/m2と高い値を示した。このように、本発明の光反射フィルムは高い反射性を示し、実用性に非常に優れた光反射フィルムが得られた。
比較例1
押出し機に、樹脂成分としてPETを90重量%、ボイド核剤としてポリメチルペンテンを10重量%混合したペレットを供給し、所定の方法により鏡面のキャストドラム上で冷却して未延伸シートを作製した。次いで、このシートを長手方向に延伸温度92℃で延伸倍率3.3倍となるように一段階で延伸を行った。続いてテンターにて100℃の予熱ゾーンを経た後、110℃で巾方向に3.0倍に延伸した。ΔMは0.3、実効面倍率を8.12倍である。さらにかかる2軸延伸フィルムを210℃にて30秒間熱処理し、膜厚100μmの光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は小、σ2/d2分布は小であった。反射率は85%、バックライト輝度も1660cd/m2であった。
比較例2
押出し機に、樹脂成分としてPETを90重量%、ボイド核剤としてポリメチルペンテンを10重量%混合したペレットを供給し、参考例1と同様の手法を用いて、未延伸シートを作製した。かかる未延伸シートを参考例1と同様の方法で延伸および熱処理を行い、光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は小、σ2/d2分布は小であった。また、反射率は88%、バックライト輝度も1720cd/m2であった。
比較例3
押出し機に、樹脂成分としてPETを86重量%、ボイド核剤として炭酸カルシウム(平均粒径2μm)を混合したペレットを供給し、参考例1と同様の手法を用いて、未延伸シートを作製した。次いで、このシートを長手方向に延伸温度92℃で延伸倍率3.2倍となるように一段階で延伸を行った。続いて<テンターにて100℃の予熱ゾーンを経た後、110℃で巾方向に3.1倍に延伸した。ΔMは0.1、実効面倍率は8.23倍である。さらに、かかる2軸延伸フィルムを210℃にて30秒間熱処理し、膜厚100μmの光反射フィルムを得た。
得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は小、σ2/d2分布は中であった。反射率は89%、バックライト輝度は1880cd/m2であった。
比較例4
押出し機に樹脂成分としてPETを84重量%、ボイド核剤として平均粒子径3.5μmの硫酸バリウムを10重量%、平均粒子径3.5μmの炭酸カルシウムを6重量%混合したペレットを供給し、参考例1と同様の手法を用いて、未延伸シートを作製した。かかる未延伸シートを参考例1と同様の方法で延伸および熱処理を行い、光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は小、σ2/d2分布は小であった。また、反射率は87%、バックライト輝度は1860cd/m2であった。
比較例5
特開2001−226501号公報に記載の実施例1に準じて、押出し機に、樹脂成分としてPETを88重量%、ボイド核剤としてポリメチルペンテンを10重量%、分散剤としてポリエチレングリコールを1重量%、耐光剤として“アデカスタブ”LA−31(旭電化工業(株))を1重量%を添加・混合したペレットを供給し、所定の方法により25℃に保った鏡面のキャストドラム上で冷却して未延伸シートを作製した。次いで、このシートを長手方向に延伸温度98℃で延伸倍率3.2倍となるように一段階で延伸を行い、25℃のロール群で冷却した。続いてテンターにて125℃で巾方向に3.4倍に延伸した。ΔMは0.2、実効面倍率を8.72倍である。さらにかかる2軸延伸フィルムを220℃にて熱処理し、膜厚100μmの光反射フィルムを得た。得られた光反射フィルムのσ1/d1分布は小、σ2/d2分布は小であった。反射率は85%、バックライト輝度も1600cd/m2であった。
【0110】
【発明の効果】
本発明の光反射フィルムは、軽量かつ反射特性、輝度特性、隠蔽性などに優れており、液晶画面を照明する面光源内の反射板やリフレクターとして用いたとき、液晶画面を明るく照らし、液晶画像をより鮮明かつ見やすくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、気泡の長さの測定法を説明するために示した、気泡含有フィルムの断面概略モデル図である。
【図2】図2は、気泡の長さの測定法を説明するために示した、ボイド核剤を有する気泡含有フィルムの断面概略モデル図である。
【図3】図3は、気泡の長さの測定法を説明するために示した、気泡を含有しないフィルムの断面概略モデル図である。
【符号の説明】
1・・・樹脂
2・・・気泡
3・・・ボイド核剤
4・・・粒子または非相溶樹脂
Claims (4)
- フィルム内部にボイド核剤および扁平な独立気泡を有するフィルムであって、各々の気泡について、フィルムの面方向における気泡の長さ(L)とフィルムの厚み方向における気泡の長さ(R)の比(L/R)を求めたとき、それらL/Rの単純平均値d1と標準偏差σ1が式(1)を満たし、
かつ、ボイド核剤として2種類以上の成分を用い、フィルム内部に含まれるボイド核剤の粒子径もしくは分散径の単純平均d2と標準偏差σ2が式(2)を満たすことを特徴とする光反射フィルム。
σ1/d1≧0.5 ・・・(1)
σ2/d2≧0.5 ・・・(2)
ただし、σ1/d1は、150個の気泡について、L/Rをそれぞれ求め、d1とσ1を求める。また、σ2/d2は、150個のボイド核剤について、粒子径もしくは分散径をそれぞれ求め、σ2とd2を求める。 - 光反射フィルムを構成する主たる樹脂成分が芳香族ポリエステル樹脂であり、面光源に用いられることを特徴とする請求項1に記載の光反射フィルム。
- フィルム内部にボイド核剤および扁平な独立気泡を有するフィルムの製造方法であって、各々の気泡について、フィルムの面方向における気泡の長さ(L)とフィルムの厚み方向における気泡の長さ(R)の比(L/R)を求めたとき、それらL/Rの単純平均値d1と標準偏差σ1が式(1)を満たし、
かつ、式(2)および(3)を満足することを特徴とする光反射フィルムの製造方法。
σ1/d1≧0.5 ・・・(1)
σ2/d2≧0.5 ・・・(2)
ただし、d2はフィルム内部に含まれるボイド核剤の粒子径もしくは分散径の単純平均であり、σ2標準偏差である。
ただし、σ1/d1は、150個の気泡について、L/Rをそれぞれ求め、d1とσ1を求める。また、σ2/d2は、150個のボイド核剤について、粒子径もしくは分散径をそれぞれ求め、σ2とd2を求める。
ΔM=|Mmd−Mtd|≧0.3・・・(3)
ただし、Mmdはフィルム長手方向の延伸倍率であり、Mtdはフィルム幅方向の延伸倍率である。 - ボイド核剤として2種類以上の成分を用い、かつ光反射フィルムを構成する主たる樹脂成分が芳香族ポリエステル樹脂であり、かつ面光源に用いられることを特徴とする請求項3に記載の光反射フィルムの製造方法。
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