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JP4940180B2 - 複合診断・保守計画支援システム及びその支援方法 - Google Patents
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JP4940180B2 - 複合診断・保守計画支援システム及びその支援方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工場の生産設備、社会インフラ設備、建築物の付帯設備、交通設備、医療設備などの診断及び保守計画を立案する複合診断・保守計画支援システム及びその支援方法に関する。
近年、工場の生産設備、社会インフラ設備、建築物の付帯設備(例えばエレベータ,空調設備等)、交通設備、医療設備などの種々の設備を管理する場合、当該設備の安全性、稼働率の向上、設備効率を維持するための診断、保守に関するニーズが高まっている。
従来、幾つかの保守管理支援システムが開発ないし提案されている。
その1つの保守管理支援システムとしては、設備のフィールドメンテナンス記録から設備の構成部品ごとに故障生起の原因となった初期事象について、当該初期事象から運転不能に至るまでに関係する変化事象と損傷事象とを階層的に連ねたイベントツリーを作成し、各イベントツリーごとに、運転時間または起動停止回数から故障の起きる確率(不信頼度)を求め、この不信頼度と復旧コストから故障リスクを評価し、計画的な保守時期を決定する方法がある(非特許文献1,特許文献1)。
ところで、設備のフィールドメンテナンス記録を収集するに当り、対象設備や構成部品の診断が必要となる。この診断には、対象設備や構成部品の挙動、傾向、特性を検出し測定するためのセンサが不可欠である。
このようなセンサには、温度、湿度、振動、電圧、電流、電力、照度、接点のオン・オフ検知、時間、画像(静止画・動画)など様々な物理変量を測定するものが挙げられる。これらセンサは、設備の的確な診断結果を得るためには、その精度、正確さ、信頼性が必要不可欠である。なぜならば、センサの不具合、故障、性能劣化、精度劣化により、誤った診断、故障や予兆の見過ごしといったリスクが増加するためである。
よって、信頼性の高い診断・保守管理支援システムを実現するに際し、診断の根拠となるセンサそのものの診断・保守管理も重要になってくる。
そこで、従来、センサの診断を含む診断技術が提案されている。
その1つ診断技術は自動ドアの制御系に関するものである。この診断技術は、多数の自動ドア装置と通信媒体を介して接続される管理センタとで構成され、各自動ドアが自己識別情報のもとにドア稼動情報を管理センタに送信し、管理センタは各自動ドア装置の識別情報ごとに稼動情報を蓄積し、エレベータ販売会社やメンテナンス業者からの要求に応じて稼動情報を提供する自動ドア装置の管理システムである(特許文献2)。
この管理システムには、ドアの外側及び内側を通行する通行者を検出する光学式センサやモータの回転速度を検知するエンコーダ、モータに流れる電流を監視する監視部等が設けられている
他の診断技術は交通システムの変速機の制御系に関するものである。この診断技術は、各車両に搭載される変速機に係るセンサ系の診断情報を送信し、外部のデータベースに蓄積する。データベースに蓄積された診断情報に基づき、各車両のセンサ系の作動状態を解析し、その解析結果を車両ユーザやデータベースのアクセス権を持つ部署に配信する構成である(特許文献3)。
上記2つの特許文献の技術は、何れもセンサを含むフィードバック制御システムに対する診断方法を記載したものであって、センサは設備診断の一部の機能として扱われている。
さらに、照明の診断と照度センサ(照度計)の診断を同時に行う照明システムの診断方法が提案されている(特許文献4)。
この診断方法は、複数の照明を同時にオン・オフして照度センサを診断した後、正常と診断された照度センサだけを用いて、個々の照明を診断する方法である。この照度センサは照明を診断をするために用いられている。
東芝レビュー 2003 Vol.58,No.1 pp.49〜51 特開2003−303014号公報 特開2002−374583号公報 特開2003−345421号公報 特開2006−210114号公報
従って、前述した特許文献2〜4の技術は、複数のセンサが使用され、その一部のセンサの診断を行っているが、それは主なる対象設備の診断を行うために不都合なセンサを排除するためである。また、センサは経年使用によって性能劣化、精度劣化、寿命等が変化するが、このような寿命等の診断を実施していない。また、特許文献2〜4の技術は、センサの将来的な交換時期等を考慮した診断・保守計画の支援技術ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、対象設備と診断のためのセンサの双方の故障リスクを考慮し、総合的な観点から診断・保守計画を効率的、かつ、視覚認識可能に立案する複合診断・保守計画支援システム及びその支援方法を提供することを目的とする。
(1) 上記課題を解決するために、本発明は、対象設備と、この対象設備に配置され、当該対象設備の診断の根拠となるデータを測定するセンサと、保守点検により入力される前記対象設備及び前記センサの保守履歴データ及び前記センサの測定データを蓄積するデータベースと、前記センサにネットワークを介して接続され、前記対象設備及び前記センサの診断・保守計画を支援する診断・保守計画支援装置とが設けられ、
この診断・保守計画支援装置は、前記データベースに蓄積される保守履歴データ及びセンサデータのうち、前記対象設備及びセンサの寿命に関するデータを変数パラメータとする寿命モデルを推定する寿命モデル推定部と、この寿命モデル推定部で推定される寿命モデル及び前記変数パラメータデータのもとに、前記対象設備及び前記センサのそれぞれの故障リスク及び将来の故障リスク予測値を算出するリスク診断部と、このリスク診断部で算出された故障リスク及び故障リスク予測値に基づき、前記対象設備及び前記センサの何れかの異常、故障に伴う複数の複合リスク及びその複合リスク予測値を算出する複合リスク計算部とを備えた複合診断・保守計画支援システムである。
なお、前記(1)の構成に新たに、前記リスク診断部で算出される前記対象設備の故障リスク、前記センサの故障リスク、前記複合リスク計算部で算出される前記第1,第2及び全体の複合リスクと予め設定されたしきい値とを比較し、前記何れかのリスクが対応するしきい値を超えたとき、当該しきい値を超えたリスクをもった対象設備、センサの保守が必要であるとする保守要求を出力するアラート判定部を付加した構成であってもよい。
あるいは、前記(1)の構成の診断・保守計画支援装置に新たに、前記リスク診断部で算出される前記対象設備の故障リスク予測値、前記センサの故障リスク予測値、前記複合リスク計算部で算出さされる第1,第2及び全体の複合リスク予測値と予め設定されたしきい値とを比較し、各リスク予測値が対応するしきい値を超える時期を予測し、前記対象設備、前記センサの将来的な保守計画または個々の保守を統合した保守計画を決定し、表示する保守計画立案処理部を付加した構成であってもよい。
(2) 本発明は、対象設備にセンサを配置し、このセンサで検出された対象設備の診断の根拠となるデータ及び保守員の保守点検で入力される前記対象設備及び前記センサの保守履歴データをデータベースに格納し、前記対象設備及び前記センサの診断・保守計画を支援する方法であって、
前記データベースから前記対象設備及びセンサの寿命に関するデータを取り出し、これらデータを変数パラメータとする寿命モデルを推定する処理段階と、この推定された寿命モデル、現時点及び過去の変数パラメータデータのもとに、前記対象設備及び前記センサのそれぞれの故障リスク及び将来の故障リスク予測値を算出するリスク診断段階と、この故障リスク及び故障リスク予測値に基づき、前記対象設備及び前記センサの何れか異常、故障に伴う複合リスクを算出する複合リスク計算段階とを有する複合診断・保守計画支援方法である。
さらに、前記(2)の複合診断・保守計画支援方法に新たに、前記リスク診断ステップで算出された前記対象設備の故障リスク予測値、前記センサの故障リスク予測値、前記複合リスク計算ステップで算出さされた第1,第2及び全体の複合リスク予測値と予め設定されたしきい値とを比較し、各リスク予測値から対応するしきい値を超える時期を予測し、前記対象設備、前記センサの将来的な保守計画または個々の保守を統合した保守計画を決定し、表示する保守計画立案処理段階を有する複合診断・保守計画支援方法であってもよい。
本発明によれば、対象設備と診断のためのセンサの双方の故障リスクを考慮し、総合的な観点から診断・保守計画を効率的、かつ、視覚認識可能に立案できる複合診断・保守計画支援システム及びその支援方法を提供できる。
先ず、本発明に係る複合診断・保守計画支援システムの実施の形態を説明するに先立ち、一般的な保守計画支援システムの基本的な構成について、図1を参照して説明する。
この保守計画支援システムは、診断を行う対象設備や設備を構成する部品(以下、対象設備と呼ぶ)1には少なくともセンサ2が接続され、このセンサ2で検出し測定されたセンサデータがLAN,WAN等の企業内通信ネットワーク、インターネット(以下、通信ネットワークと総称する)3を介して診断・保守計画支援装置4に送信される。
この診断・保守計画支援装置4は、保守管理センタなどに設置され、センサ2から送られてくる対象設備1の診断に必要なセンサデータを受け取り、各対象設備1毎にエリア分けし、保守履歴データベース5に蓄積する。
6はパーソナルコンピュータなどの保守データ入力装置である。保守員7は、対象設備1を目視点検その他規則で定める点検を通して得られる保守履歴データを保守データ入力装置6から入力し内蔵メモリ(図示せず)に保存する他、通信ネットワーク3及び診断・保守計画支援装置4を経由して保守履歴データベース6に保存する。
8は各種の制御指示や必要にデータを入力するキーボード、マウスなどの入力部、9は保守計画・アラート表示部である。
診断・保守計画支援装置4は、保守履歴データベース5に蓄積される対象設備1の診断の根拠となるデータ及び保守履歴データ等に基づき、対象設備1に関する診断を実施し、必要に応じてアラートを保守計画・アラート表示部9から出力する。また、診断・保守計画支援装置4は、対象設備1の保守計画を立案し、保守計画・アラート表示部9に表示する。
このような一般的な保守計画支援システムは、対象設備1の診断、保守計画立案の機能を有するが、センサ2の診断、保守計画立案の機能を備えていない。
一方、前述したセンサ診断機能を有する特許文献2,3の診断技術は、対象設備1の本来有する機能を実現するために必要不可欠であるという観点から、対象設備1にセンサ2を含めているが、センサ2自体のリスクを診断する点については言及されていない。
特許文献4は、複数の対象設備1(照明)を同時にオンオフし、対象設備1の点灯時に各センサの出力を取り込み、センサ出力無しのときに当該センサを故障と判定し、正常なセンサだけを対象設備1(照明)の診断に用いるものである。従って、設備に常時組込まれた状態のセンサの診断でなく、複数のセンサの中から対象設備1の診断に使用可能なセンサを選択する作業である。また、センサの保守計画については何ら言及されていない。
(第1の実施の形態)
図2は本発明に係る複合診断・保守計画支援システムの第1の実施の形態を示す構成図である。なお、同図において、図1と同一または等価な構成部分については同一符号を付し、その詳しい説明を省略する。
この複合診断・保守計画支援システムは、図1と比較し、診断・保守計画を立案するためのデータを蓄積する記憶手段となるデータベース10と、保守管理センタなどに設置される診断・保守計画支援装置4とが異なり、その他の構成については図1ないし従来の一般的な診断・保守計画支援システムと同様な構成のものが使用される。
複合診断・保守計画支援システムは、具体的には、各種の設備,構成部品等の対象設備1に診断のためのセンサ2が取り付けられる。なお、対象設備1が例えばプラント設備等である場合、異なるプロセス量を制御する圧力調整部品、流量調整部品(対象設備)が設置される例が多いが、このようなプラント設備の場合には対象設備1とセンサ2がそれぞれ複数組設置されることもある。
センサ2は、常時あるいは所定の周期ごとに対象設備1の診断の根拠となるデータを検出し測定し、センサデータとして通信ネットワーク3を介して診断・保守計画支援装置4に送信する。
なお、センサデータとしては、例えば対象設備1がモータであれば、当該モータの回転速度などの速度データとなるが、その他例えばモータの回転速度に影響を与える例えば外気温度などの外部環境条件データ、使用条件(診断対象の負荷条件、間欠・連続運転条件等)データなども含むものである。従って、1つの対象設備1から異なる複数の測定データを個別に測定する複数のセンサ2,…を配置する場合もある。
保守データ入力装置6は、例えばパーソナルコンピュータなどが使用され、現場サイドの通信ネットワーク3に常時接続され、または保守員7が携行し、必要に応じて現場サイドの通信ネットワーク3に接続し、あるいは通信ネットワーク3に接続することなく使用することもある。
保守員7は、現場の対象設備1やセンサ2を目視点検その他規則で定める点検項目に従って点検し、この点検で得られた保守履歴データを保守データ入力装置6から入力し内蔵するメモリ(図示せず)に保存し、通信ネットワーク3及び診断・保守計画支援装置4を介してデータベース10に保存し蓄積する。また、保守員7は、内蔵メモリに保守履歴データを保存した後、保守データ入力装置6を保守管理センタに持ち込み、診断・保守計画支援装置4を通してデータベース10に保存することもありうる。
データベース10は、対象設備1の診断の根拠となるセンサデータ及び対象設備1の保守履歴データを保存し蓄積する設備保守履歴データベース10Aと、センサ2に関する保守履歴データを保存し蓄積するセンサ保守履歴データベース10Bと、保守コストデータベース10Cとで構成される。
ここで、保守履歴データとは、保守データ入力装置6から入力される保守点検情報だけでなく、診断に必要とする例えばセンサ2から得られるセンサデータ(例えば状態量データ,使用条件データ,外部環境条件データ)の他、例えばセンサ2のセンサデータ等から対象設備1及びセンサ2の稼動時間,対象設備1の起動停止回数などを取得し積算する積算結果も含むものである。また、保守コスとは、例えば対象設備1及びセンサ2の保守作業に関係するコスト、対象設備1及びセンサ2の故障による損害コスト等である。
診断・保守計画支援装置4は、寿命モデル推定部11と、リスク診断部12と、複合リスク計算部13と、アラーム判定部14と、保守計画立案処理部15とで構成される。
寿命モデル推定部11は、過去の対象設備1及びセンサ2の積算稼動時間、起動停止回数、使用条件、外部環境条件、故障サンプル数等のうち、例えば積算稼動時間、前記起動停止回数、故障サンプル数等のパラメータを変数とし、重回帰分析(統計解析)手法を用いて、係数を含む寿命モデルを推定し、データベース11A,11Bに保存するか、リスク診断部12に送出する。
リスク診断部12は、寿命モデル推定部11で推定された係数を含む寿命モデルに基づいて、現時点及び将来の対象設備1及びセンサ2の故障リスク値及び故障リスク予測値,つまり将来の寿命を予測する。
複合リスク計算部13は、故障リスク値及び故障リスク予測値のもとに、対象設備1またはセンサ2の異常,故障となる複合リスク値及び複合リスク予測値を算出する。
アラーム判定部15は、リスク診断部12及び複合リスク計算部13で算出された各故障リスク値及び各複合リスク値と予め設定された各しきい値とを比較し、何れかの故障リスク値または複合リスク値がしきい値を越えたとき、アラート表示部16にアラームを送信する。アラート表示部16は、送信されてくるアラートに基づいて鳴動するか、あるいは何れの故障リスク値、複合リスク値が越えたかをメッセージ表示する。
保守計画立案処理部15は、リスク診断部12で算出された対象設備1及びセンサ2の故障リスク値、故障リスク予測値と複合リスク計算部13で算出されたリスク予測値と保守コストデータベース10Cのコスト情報とを用いて、対象設備1とセンサ2の一方あるいは双方に対する保守計画を立案する。保守計画立案処理部15で立案された保守計画は、保守計画表示部17に送信し表示する。
なお、アラート表示部16は、パソコン,モバイル端末,携帯端末等が用いられる。保守計画表示部17は、表示機能を備えた計算機システム、モバイル端末あるいは携帯電話等が用いられる。また、アラート表示部16と保守計画表示部17とは同一の端末等を用いても構わない。18は各種の制御指示や必要にデータを入力するキーボード、マウスなどの入力部である。
次に、以上のような複合診断・保守計画支援システムの作用について説明する。
対象設備1に取り付けられた少なくとも1種類のセンサ2は、常時あるいは所定の周期ごとに当該対象設備1の診断の根拠となる所望のデータ、例えば対象設備1の稼動状態の状態量データ、外部環境条件データ、使用条件データ等のセンサデータを検出・測定し、さらに対象設備1の稼動停止時のセンサ2の状態量データ等のセンサデータを検出・測定し、診断・保守計画支援装置4を介して設備保守履歴データベース10A及びセンサ保守履歴データベース10Bに時系列的に保存していく。また、保守員7が保守点検時に取得した対象設備1及びセンサ2の保守履歴データも同様に保守データ入力装置6及び診断・保守計画支援装置4を介して設備保守履歴データベース10A及びセンサ保守履歴データベース10Bに逐次保存していく。
なお、センサデータとしては、例えば対象設備1がモータであれば、当該モータの回転速度などの状態量データとなるが、その他例えばモータの回転速度に影響を与える例えば外気温度などの外部環境条件データ、使用条件(診断対象の負荷条件、間欠・連続運転条件等)データなども含むものである。
ここで、診断・保守計画支援装置4の寿命モデル推定部11は、設備保守履歴データベース10A及びセンサ保守履歴データベース10Bから過去の対象設備1及びセンサ2の運転時間、起動停止回数及び故障サンプル数その他必要なデータを取り出し、これらデータ等のパラメータを変数とし、例えば重回帰分析(統計解析)手法により、後記するモデル係数A,B,C(対象設備)及び係数As,Bs,Cs(センサ)を含む(1)式及び(2)式の寿命モデルを推定し、対応するデータベース11A及び11Bに保存し、必要に応じてあるいはリスク診断部12に送出する。
リスク診断部12は、データベース11A及び11Bから寿命モデルのパラメータとした現時点の対象設備1及びセンサ2の例えば積算稼動時間及び起動停止回数と寿命モデル推定部11で推定されたモデル係数を含む寿命モデル式を用いて、当該対象設備1の故障リスク及びセンサ2の故障リスクをそれぞれ算出する。
例えば、ある対象設備1の故障リスクは、当該対象設備1の振動周波数で検知できるものとすると、加速度センサ2から得られる振動データを分析し、その振動データの基本周波数が標準値からずれる度合いから対象設備1の故障リスク値を算出できる。また、対象設備1の停止時の外部環境(例えば対象設備1周辺から入るノイズ等)によって加速度センサ2で検出される振動データが標準値からずれる度合いから当該加速度センサ2そのものの故障リスク値を算出できる。従って、センサ2としては、対象設備1及びセンサ2の故障度合いに対して、最も影響を受け易い物理変量を診断の根拠とするデータとして検出するのが望ましい。
リスク診断部12は、寿命モデル推定部11から受け取り、あるいは寿命モデル推定部11で求めて各データベース11A,11Bに保存した過去の対象設備1の寿命モデルの係数A,B,C及び過去のセンサ2の寿命モデルの係数As,Bs,Csから将来の対象設備1及びセンサ2のそれぞれの故障リスクを予測する。
例えば、ある対象設備1の故障リスクは、対象設備の延べ運転時間積算値をTop、その対象設備の起動停止の繰り返し回数をTstとすると、設備保守履歴データベース10Aから対象設備1の延べ運転時間積算値Top、その対象設備の起動停止の繰り返し回数Tstを読み出し、例えば、
Pobject=A×Top+B×Tst+C ……(1)
なる寿命モデルの演算式に基づき、現時点の対象設備の故障リスクPobjectを算出する。
同様にセンサ2の故障リスクについても、センサ保守履歴データベース10Bに蓄積されるセンサ2の延べ運転時間積算値Topsと対象設備1の起動停止の繰り返し回数Tstsを読み出し、例えば、
Psensor=As×Tops+Bs×Tsts+Cs ……(2)
なる寿命モデルの演算式に基づき、現時点のセンサ2の故障リスクPsensorを算出する。
さらに、リスク診断部12は、将来の対象設備1及びセンサ2の故障リスク予測値を算出する。すなわち、リスク診断部12は、設備保守履歴データベース10Aに蓄積される過去の対象設備の延べ運転時間積算値Top、過去の対象設備の起動停止の繰り返し回数Tst等から対象設備1の稼動状況を推定し、例えば1年後の推定パラメータTop、Tstを予測し、(1)式に従って、対象設備1の1年後の故障リスク予測値Pobject(1)を算出する。
リスク診断部12は、センサ保守履歴データベース10Bに蓄積される過去のセンサ2の延べ運転時間積算値Tops、対象設備1の起動停止の繰り返し回数Tsts等からセンサ2の稼動状況を推定し、例えば1年後の推定パラメータTops、Tstsを予測し、前記(2)式に従って、センサ2の1年後の故障リスク予測値Psensor(1)を算出する。
リスク診断部12で算出された対象設備1のリスク値Pobject,リスク予測値Pobject(1)及びセンサ2のリスク値Psensor,リスク予測値Psensor(1)は複合リスク計算部13及び保守計画立案処理部15に送られる。
複合リスク計算部13は、前述したリスク値及びリスク予測値を用いて、下記する(a)〜(c)のリスク値Pα,Pβ,Ptotalを算出する。
(a).複合リスク値Pα:対象設備1が故障していないにも拘らず故障と誤判定するリスク値
(b).複合リスク値Pβ:対象設備1が故障しているにも拘らず故障していないと誤判定するリスク値
(c).全体複合リスク値Ptotal:対象設備1とセンサ2の少なくとも片方が故障しているリスク値である。
具体的には、対象設備1の故障リスク値Pobject,故障リスク予測値Pobject(1)とし、センサ2の故障リスク値Psensor,故障リスク予測値Psensor(1)とすると、
複合リスク値Pα=Psensor×(1−Pobject) ……(3)
複合リスク値Pβ=Psensor×Pobject ……(4)
全体複合リスク値Ptotal=1−(1−Psensor)×(1−1−Pobject)…(5)
なる演算式で算出する。
複合リスク値Pαは、センサ2が異常(破損または誤動作)となり、対象設備1が異常でないときのリスク値、複合リスク値Pβはセンサ2が異常(破損または誤動作)となり、対象設備1が異常となったとき、対象設備1の異常を検出できないリスク値であり、また、全体複合リスク値Ptotalは、センサ2及び対象設備1の何れか一方が異常となるリスク値である。
なお、リスク予測値についても、Pobject(1)及び値Psensor(1)を用い、(3)式〜(5)式と同様の演算式で将来の1年後の複合リスク予測値Pα(1),複合リスク予測値Pβ(1),全体複合リスク予測値Ptotal(1)を算出できる。
そして、リスク診断部12及び複合リスク計算部13で算出された故障リスク値Pobject,Psensor,と、対象設備1及びセンサ2の複合リスク値Pα,Pβ,Ptotalがアラート判定部14に送られる。
アラート判定部14には、予め入力部18から各故障リスク値,複合リスク値Pα,Pβ,Ptotalごとのしきい値が設定され、各故障リスク値,各複合リスク値Pα,Pβ,Ptotalと対応するしきい値とを比較し、例えば故障リスク値Pobjectがしきい値を越えたか否かを判定する。
ここで、故障リスク値Pobjectがしきい値を越えたとき、故障リスク値Pobjectにおいてしきい値を越えたことを表す警告情報や保守要求情報をアラート表示部16に通知する。
保守員7は、アラート表示部16から出力される警告情報や保守要求情報に基づき、現地に出向いて保守要求情報の対象となった対象設備1やセンサ2などの保守点検を実施する。
一方、保守計画立案処理部15においては、予め入力部9から各故障リスク値、各故障リスク予測値,複合リスク予測値Pα(1),Pβ(1),Ptotal(1)ごと、あるいは対象設備1及びセンサ2の組合せによるしきい値が設定され、前記リスク診断部12で算出された各故障リスク値、各故障リスク予測値及び複合リスク計算部13で算出された複合リスク予測値Pα(1),Pβ(1),Ptotal(1)とを比較し、何れかの故障リスク値、故障リスク予測値または複合リスク予測値Pα(1),Pβ(1),Ptotal(1)が対応するしきい値を超えたとき、自動的に保守計画を立案し、あるいは個々の対象設備1,センサ2等を含めた統合した保守計画を編集し立案し、保守計画表示部17に表示する。
例えば、前記(1)式の寿命モデルに従って求めた対象設備1の故障リスク予測値Pobject(1)(寿命モデル)と(2)式の演算式で従って求めたセンサ2の故障リスク予測値Psensor(1)(寿命モデル)とから、(3)式の演算式で算出される全体複合リスク値Ptotal(1)がしきい値10%を超える時期が6ケ月と予測したとき、6ケ月以内に対象設備1及びセンサ2を保守点検(交換を含む)を実施するための保守計画を立案する。
また、保守計画立案処理部15は、算出された対象設備1及びセンサ2の故障リスク予測値Pobject(1)、Psensor(1)、すなわち寿命モデルに基づき、保守コストデータベース10Cから当該対象設備1の故障による損害コスト予測値と当該対象設備1あるいはセンサ2の保守に必要とされる保守コスト予測値を取り出し、これら損害コスト予測値と保守コスト予測値との和が最小となる保守時期を算出し、当該保守時期を定めた保守計画を保守計画表示部17に表示する。
次に、設備故障による保守コストを考慮した保守計画の立案の一例について、図3を参照して説明する。
例えば、図4に示すように横軸に保守時期を意味する時間軸をとり、縦軸に各コストを意味するコスト軸をとり、曲線A及び曲線Bを作成する。ここで、曲線Aは、対象設備1の故障リスク予測値(1)Pobjectに当該対象設備1の故障コストを乗じて得られた設備故障リスクコストである。この曲線Aとしては、例えば対象設備1、センサ2の何れかが故障したときのリスク予測値Ptotalにその故障による設備停止の影響のコストを乗じて得られる設備停止コストであってもよく、あるいは故障を見逃すリスク予測値Pβ(1)に故障見逃しにより初期対応が取れなかった場合の設備故障事故波及による全体の損害コストを乗じて得られる設備故障対応失敗リストコストなどであってもよい。
また、曲線Bは、対象設備1の保守点検のために必要な保守コスト(保守作業人件費、保守員が現地に移動するための交通費、設備点検のために設備を停止したことによる損失などを加算したコスト)である。なお、当該保守コストには、例えば正常を故障と誤診断した結果のリスク予測値Pα(1)に保守コストを乗じて得られた保守コストから保守員が現地に急行し、結果として作業が必要ないと判明し空振りになるような無駄なコストを含めることができる。
そこで、保守計画立案処理部15は、曲線Aの設備故障リスクコストと曲線Bの保守コストとを加算して得られる全体(総合)コストA+Bの曲線を作成し、当該全体コストA+Bの曲線が最小となる点から横軸に落とした時間をもって最適な保守計画(保守時期)と決定し、保守計画表示部17に表示する。
さらに、単一の対象設備1及びセンサ2の設備故障・保守点検による保守計画立案例について、図4を参照して説明する。
この保守計画立案例は、一つの対象設備1に対し、一つのセンサ2を取り付けたことを想定した立案例である。従来であれば、図示(イ)に示す対象設備1の保守計画だけを表示し保守を実施しているが、本発明では、対象設備1及びセンサ2の前述した(1)式及び(2)式などの寿命モデルによる故障リスク及びその予測値から(3)式〜(5)式の複合リスク値Pα,Pβ、Ptotal及びそのリスク予測値Pα(1),Pβ(1)、Ptotal(1)を算出し、保守計画を立案し保守計画表示部17に表示するものである。
すなわち、本発明システムは、対象設備1及びセンサ2の(1)式及び(2)式による故障リスク値及び(3)式〜(5)式の複合リスク値Pα,Pβ、Ptotalの何れか1つが個別的に設定されるしきい値を超えたとき、アラート表示部16からアラートが出力され、保守点検が実行される。
また、本発明システムは、図示(イ)における対象設備1の故障リスクに図示(ロ)のようにセンサ2の故障リスクが嵩上げされた複合リスクとなるので、時期T1時点でしきい値を超え、センサ2の保守が実行され、結果として複合リスクが低減する。従来であれば、対象設備1の故障リスクだけであるので、時期T1ではセンサ2の保守が行われておらず、通常、対象設備1よりも寿命の短いセンサ2の故障に見舞われ、システムダウンないし誤ったセンサ出力を有効なセンサデータとして利用してしまう。
引き続き、定期点検T2の時点で、再び複合リスクがしきい値に至ったため、対象設備1の保守が実行される。この設備保守によって複合リスクが低減する。
また、故障リスク予測値及びリスク予測値Pα(1),Pβ(1),Ptotal(1)についても同様に個別及び組合せによるしきい値を設定することにより、何時しきい値を超えるかを予測でき、その間の保守計画を立案できる。
このように全体の複合リスクが許容しきい値内に保持するような対象設備1及びセンサ2の保守計画を自動的に立案でき、全体のリスクを最小に保つことができる。
従って、以上のような実施の形態によれば、センサ2の故障リスクを加味した対象設備1の診断により、従来よりも精度及び信頼性の高い診断と、最小のリスクないし保守コストで合理的な保守を行うことができる。結果として、対象設備1及びセンサ2の故障を未然に防ぐことができ、故障による損害も最小に抑えることが可能となる。
また、保守計画の立案においては、対象設備1だけでなく、センサ2の保守計画も算出できるので、センサ2の適切な保守を行うことができ、センサ2を含めて全体設備の信頼性の高い診断・保守計画支援システムを実現できる。
(第2の実施の形態)
図5は本発明に係る複合診断・保守計画支援システムの第2の実施の形態を説明する構成図である。なお、同図において、図1と同一または等価な構成部分については同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
この実施の形態において特に異なるところは、複数の対象設備1a,1b,…及び各設備に対応する複数のセンサ2a,2b,…を設けたこと、複数の対象設備1a,1b,…及びセンサ2a,2b,…の数に応じた複数本の信号ラインを設けたことにある。
そして、複数の対象設備1a,1b,…及びセンサ2a,2b,…を設けたことに伴い、必要な構成要素である例えば複合リスク計算部13としては、複数の対象設備1a,1b,…及びセンサ2a,2b,…の故障リスク値及び故障リスク予測値に対して、それぞれの複合リスク値Pα,Pβ,Ptotal、複合リスク予測値Pα(1),Pβ(1),Ptotal(1)を計算する機能の他、設備・センサの組み合わせ1a−2a、1b−2b,…毎のトータルリスク値の中で最も大きな最悪のリスク値(最大リスク値)Pholeを計算する機能を有する。
さらに、アラーム判定部15は、リスク診断部12及び複合リスク計算部13で得られた各対象設備及びセンサの各故障リスク値及び各リスク値と個別に設定されたしきい値あるいは組み合せによるトータルリスク値とトータルしきい値とを比較判定する機能に加え、当該比較判定の際にトータルリスク値の大きい順に比較判定するような優先順位を設定し、比較判定を実行させる機能を設けたものである。
なお、図5では、各故障リスク値、各故障リスク予測値、各リスク値、各リスク予測値の信号ラインは簡素化して単線で示しているが、対象設備1a,1b,…及びセンサ2a,2b,…に対応した各故障リスク値、各故障リスク予測値、各リスク値、各リスク予測値ごとに信号ラインが設けられている。
この実施の形態においては、例えば対象設備2a,2b,2c,…に対応付けされたセンサ2a,2b,2c,…が保守点検等によって新しいセンサに交換したりする為、実際に対象設備2a,2b,2c,…に取り付けられているセンサは新旧まちまちである。
そのため、例えば最も大きな最大リスク値となった例えば対象設備1aのセンサ2aが最も古い場合、比較的新しい例えばセンサ2bと交換する、いわゆる使い回しを行うことにより、各複合リスク値Pα,Pβ,Ptotalを低下させることが可能となる。
次に、以上のような複合診断・保守計画支援システムの作用について、特に診断・保守計画立案システムについて説明する。
寿命モデル推定部11は、過去の各対象設備1a,1b,…及び過去の各センサ2a,2b,…の運転時間、起動停止回数及び故障サンプル数その他必要なデータを取り出し、例えば重回帰分析(統計解析)手法により、モデル係数A,B,C(対象設備)及び係数As,Bs,Cs(センサ)を含む(1)式及び(2)式の寿命モデル推定し、対応するデータベース11A及び11Bに保存し、必要に応じてあるいはリスク診断部12に送出する。
リスク診断部12は、個々の対象設備1a,1b,…及びセンサ2a,2b,…の故障リスク値及び故障リスク予測値の他、個々の対象設備1a,1b,…とそれに対応したセンサ2a,2b,…の組み合わせた故障トータルリスク値Pobject-a,b,…及び故障トータルリスク予測値Pobject(1)a,b,…を算出し、それぞれ複合リスク計算部13に送出する。
複合リスク計算部13では、それぞれ複合リスク値及び複合リスク予測値を算出するとともに、これら複合リスク値、複合リスク予測値の中から最大のリスク値Phole、最大リスク予測値Phole(1)を取り出し、設備群の全体リスク値、全体リスク予測値とし、リスク値に関するものはアラート判定部14へ、複合リスク予測値に関するものは保守計画立案処理部15へ送られる。
アラート判定部14は、各リスク値と対応するしきい値と比較され、何れかのリスク値がしきい値を超えたとき、アラート表示部16に個別アラート又は全体アラートを出力する。なお、アラート判定部14は、予めしきい値を超えた際に最も危険な設備の順番に優先順位が設定され、複数の対象設備1a,1b,…及び複数のセンサ2a,2b,…のうち、各リスク値がしきい値を超えたとき、優先順位に従ってアラート表示部16にアラートを送出する。
保守計画立案処理部15は、前述したようにリスク診断部12から個々の対象設備1a,1b,…及びセンサ2a,2b,…の故障リスク予測値の他、対象設備1a,1b,…とそれに対応したセンサ2a,2b,…とを組み合わせた故障トータルリスク予測値Pobject(1)a,b,…を受け取り、また、複合リスク計算部13から各複合リスク予測値Pα(1),Pβ(1),Ptotal(1)及び最大リスク予測値Phole(1)を受け取り、既に設定されているしきい値と比較し、各リスク値が将来的にしきい値を超えるであろう保守時期を見つけ出し、さらに複合最大リスク予測値Phole(1)に対しても将来的にしきい値を超えるであろう保守時期を見つけ出し、保守計画表示部17に例えば図6に示すようにセンサ2aを含む対象設備1aとセンサ2bを含む対象設備1bのトータルリスク値を表示する。このとき、図示されていないが、例えばセンサ保守履歴データベース10Bから対象設備に対するセンサ取り付け年月日を含む精度・性能に関する諸特性を取り出して表示し、各対象設備1a,1b,…のリスクを考慮しつつ最適なセンサを設置する保守計画を立案する。
例えば、短寿命で故障検出精度の高いセンサと長寿命で故障検出精度が低いセンサとを含む複数のセンサの中から最適なセンサを選択し、各対象設備1a,1b,…のリスク値に応じて取り付ける。これは、故障リスクの極めて低い対象設備には当分の間、精度の低いセンサを取り付けるとか、センサを設置しないとか、他の対象設備に設置されているセンサを使い回して使用できることを意味する。また、一つの対象設備に複数のセンサを組み合わせて設置することもありうる。
また、保守計画立案処理部15においてはリスク予測値から保守計画を立案していくが、このとき、保守計画に基づく作業計画としては、対象設備1の保守作業、センサの動作チェック作業、センサの調整作業、センサの交換作業、センサを含む部品の交換作業、複数の対象設備1a,1b,…間のセンサ並び替え作業の少なくとも何れか一つの保守作業を行うことになる。
そこで、保守計画立案処理部15としては、各作業に必要とされる保守コストに関し、図3に示すように保守コストデータベース10Cから保守作業後の対象設備の故障による損害コスト予測値と、当該対象設備及びセンサの保守コストの和となる全体コストが最小となる条件から選定し、保守計画として出力してもよい。
さらに、このシステムの保守計画立案処理部15においては、複数の対象設備1a,1b,…に対して複数のセンサ2a,2b,…を設置する場合、複数のリスク予測値のもとにセンサの交換を行う際の利点について、図6に示す保守計画の表示例から説明する。
すなわち、各対象設備1a,1b,…、各センサ2a,2b,…は、リスク診断部12で算出された前記(1)式及び(2)式などの寿命モデルによる故障リスク予測値に基づいて複合リスク計算部13が(3)式〜(5)式のリスク値及びリスク予測値を計算している。その結果、保守計画立案処理部15には、図6に示すような設備1a・センサ2a、設備1b・センサ2bなどの複合リスクが作成され、保守計画表示部17に保守計画として表示される。
このとき、定期点検時期はT2であるが、センサ2bよりも対象設備1bのリスク予測値が支配的であることから、定期点検時期T2前のT1時点に対象設備1b及びセンサ2bを含む複合リスク予測値がしきい値を超えてしまうので、このT1時点を対象設備1bの保守時期とし、保守が実行される。その結果、対象設備1bは、当該設備1bの故障リスク予測値分だけ低下し、対象設備1bの故障リスクが低減する。
そこで、このままの状態で進んでいくと、対象設備1a及びセンサ2aを含む複合リスク予測値がT3´の時点になったとき、しきい値を超えるために保守が必要になることが予測される。
本発明における保守計画立案処理部15においては、複合リスク計算部13から定期点検時期はT2における対象設備1a及びセンサ2aの全体リスク値Pa total、対象設備1b及びセンサ2bの全体リスク値Pb total、…が表示される。
そこで、本発明による保守計画立案処理部15では、保守コストデータベース10Cから図3に示すように対象設備の故障による損害コスト予測値と、当該対象設備及びセンサの保守コストを取り出し、トレードオフの最適化計算により、相互にセンサ1a,1bを入れ替えたとき、コストが最小になると判断したとき、定期点検時期T2をもって対象設備1aのセンサ2aを対象設備1bに配置し、対象設備1bのセンサ2bを対象設備1aに配置することを決定し、図示するように点線で表示するか、メッセージ表示する。
その結果、設備故障リスクが増大しつつある対象設備1aに故障リスクが低く信頼性の高いセンサ2bを配置し、一方、設備保守直後の設備故障リスクが小さい対象設備1bには多少故障リスクが高く信頼性が低いセンサ2bを配置し、全体の故障リスクを最小化する。
つまり、センサ2a,2bの交換という簡単な作業を行うだけで、対象設備1aが時点T3´から時点T3まで保守の時期を先延ばしすることができ、時点T3で初めて設備保守を実行すること。このとき、同時に対象設備1bのセンサ2aの保守を実行すること。その後、時点T4にて対象設備1bの設備保守を実行するなどの保守計画を立案できる。
以上のように複数の対象設備1a,1b,…と複数のセンサ2a,2b,…とのそれぞれの故障リスク予測値(寿命モデル)に基づき、全体リスクと保守リスクの最小化を目指した保守計画の最適化を施すことにより、対象設備のリスクとセンサのリスクの状態を考慮しつつ、適宜センサの使い回しを行うことにより、故障リスクの高い対象設備に故障リスクの高いセンサが重なり合うことを回避でき、さらに全体のリスクを最小に保つことができる。
従って、以上のような実施の形態によれば、第1の実施の形態で得られる効果に加え、対象設備及びセンサの故障リスクの状態、センサの信頼度を考慮しつつ、各対象設備1a,1b,…に最適なセンサ2a,2b,…を配置できるので、一部の対象設備で診断の信頼性が低下したり、センサの過剰投資でコストが増大するといった問題を回避でき、合理的にセンサの運用を図ることができる。
(第3の実施の形態)
図7は本発明に係る複合診断・保守計画支援システムの第3の実施の形態を説明する構成図である。なお、同図は、図2または図5とほとんど同じ構成であるので、同一または等価な構成部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
この実施の形態において、特に異なるところは、各対象設備1a,1b,…側に配置されるセンサ2a,2b,…として、それぞれバッテリ21a,21b,…を内蔵した無線センサ22a,22b,…を設け、一方、診断・保守計画支援装置4側には無線センサ22a,22b,…から無線通信ネットワーク23を経由して送信されてくるセンサデータを個別に受信するアクセスポイント24が設けられている。
この診断・保守計画支援装置4の寿命モデル推定部11Aは、対象設備1a,1b,…の診断にそれぞれバッテリ21a,21b,…を内蔵した無線センサ22a,22b,…を用いることから、これら無線センサ22a,22b,…のバッテリ21a,21b,…の消耗特性からモデル係数を含む寿命モデルを推測し、リスク診断部12に提供する。
寿命モデル推定部11Aは、具体的には、バッテリ21a,21b,…の延べ運転時間積算値Topと無線センサ22a,22b,…の延べ通信回数Tstとに基づいて、各バッテリ21a,21b,…の残充電量が0となる確率について、延べ運転時間積算値Top及び延べ通信回数Tstの係数A,Bを含む下記の寿命モデルの演算式を推定する。
Pbuttery=A×Top+B×Tst+C ……(6)
この寿命モデルの演算式はリスク診断部12に送られる。なお、この演算式には外部温度条件などの補正項を付加することも可能である。
リスク診断部12、複合リスク計算部13、アラート判定部14、保守計画立案処理部15等については前述した通りであるので、ここでは省略する。
すなわち、この実施の形態では、第1、第2の実施の形態と同様に、リスク診断部12及び複合リスク計算部13で算出された故障リスク、故障リスク予測値及びリスク値、リスク予測値に基づいて、対象設備1a,1b,…及び無線センサ22a,22b,…の診断、保守計画立案が行われる。
特に、保守計画立案処理部15においては、第2の実施の形態と同様に、保守計画下の作業計画の中には、無線センサ22a,22b,…のバッテリ21a,21b,…の交換作業、無線センサ22a,22b,…間のバッテリ21a,21b,…の使い回し作業も含むものである。
従って、この実施の形態によれば、無線センサ22a,22b,…を仮設センサとして用いることにより、前述した第1、第2の実施の形態と同様の効果を奏する他、第2の実施の形態で説明したセンサの交換作業を極めて容易かつ短時間に実施でき、センサを含めて効率的に保守作業を行うことができる。また、無線センサ22a,22b,…の信頼性、故障リスクの主要原因の一つであるバッテリ21a,21b,…の残充電量の枯渇による影響を受けることなく最適な保守計画を立案でき、無線セン22a,22b,…の信頼性を保つことができる。
その他、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
また、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
一般的な診断・保守計画支援システムの基本的な構成を示す図。 本発明に係る複合診断・保守計画支援システムの一実施の形態を示す構成図。 保守コストと設備の故障によるリスクコストから最適な保守時期の保守計画を決定する説明図。 単一の対象設備における保守計画の立案例を示す表示図。 本発明に係る複合診断・保守計画支援システムの他の実施の形態を示す構成図。 複数の対象設備における保守計画の立案例を示す表示図。 本発明に係る複合診断・保守計画支援システムのさらに他の実施の形態を示す構成図。
符号の説明
1(1a,1b,…)…対象設備、2(2a,2b,…)…センサ、3…通信ネットワーク、4…診断・保守計画支援装置、6…データベース、7…保守データ入力装置、8…保守員、9…入力部、10…データベース、10A…設備保守履歴データベース、10B…センサ保守履歴データベース、10C…保守コストデータベース、11…寿命モデル推定部、12…リスク診断部、13…複合リスク計算部、14…アラーム判定部、15…保守計画立案処理部、16…アラート表示部、17…保守計画表示部、21a,21b,… …バッテリ、22a,22b,… …無線センサ、23…無線通信ネットワーク、24…アクセスポイント。

Claims (13)

  1. 対象設備と、この対象設備に配置され、当該対象設備の診断の根拠となるデータを測定するセンサと、保守点検により入力される前記対象設備及び前記センサの保守履歴データ及び前記センサの測定データを蓄積するデータベースと、前記センサにネットワークを介して接続され、前記対象設備及び前記センサの診断・保守計画を支援する診断・保守計画支援装置とが設けられ、
    この診断・保守計画支援装置は、
    前記データベースに蓄積される保守履歴データ及びセンサデータのうち、前記対象設備及びセンサの寿命に関するデータを変数パラメータとする寿命モデルを推定する寿命モデル推定部と、この寿命モデル推定部で推定される寿命モデル及び前記変数パラメータデータのもとに、前記対象設備及び前記センサのそれぞれの故障リスク及び将来の故障リスク予測値を算出するリスク診断部と、このリスク診断部で算出された故障リスク及び故障リスク予測値に基づき、前記対象設備及び前記センサの何れかの異常、故障に伴う複数の複合リスク及びその複合リスク予測値を算出する複合リスク計算部とを備えたことを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  2. 請求項1に記載の複合診断・保守計画支援システムにおいて、
    前記寿命モデル推定部で用いる変数パラメータとするデータは、前記対象設備及び前記センサの積算稼動時間、起動停止回数、使用条件、外部環境条件、故障サンプル数等のうち、少なくとも前記積算稼動時間、前記起動停止回数のデータであることを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  3. 請求項1に記載の複合診断・計画支援システムにおいて、
    前記複合リスク計算部は、前記対象設備及びセンサの故障リスク及び故障リスク予測値に基づき、前記対象設備が正常であるにも拘らず前記センサが異常と診断する第1の複合リスク及びそのリスク予測値と、前記対象設備が異常であるにも拘らず前記センサの異常によって正常と診断する第2の複合リスク及びそのリスク予測値を算出することを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  4. 請求項3に記載の複合診断・保守計画支援システムにおいて、
    前記複合リスク計算部は、前記対象設備及び前記センサの故障リスク及び故障リスク予測値に基づき、前記対象設備及び前記センサの少なくとも片方が故障であるとする全体複合リスク及びその全体複合リスク予測値を算出することを特徴とする複合診断・保守計画支援立案システム。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の複合診断・保守計画支援システムにおいて、
    前記診断・保守計画支援装置は、
    前記リスク診断部で算出される前記対象設備の故障リスク、前記センサの故障リスク、前記複合リスク計算部で算出される前記第1,第2及び全体の複合リスクと予め設定されたしきい値とを比較し、前記何れかのリスクが対応するしきい値を超えたとき、当該しきい値を超えたリスクをもった対象設備、センサの保守が必要であるとする保守要求を出力するアラート判定部をさらに付加したことを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載の複合診断・保守計画支援システムにおいて、
    前記診断・保守計画支援装置は、
    前記リスク診断部で算出される前記対象設備の故障リスク予測値、前記センサの故障リスク予測値、前記複合リスク計算部で算出さされる第1,第2及び全体の複合リスク予測値と予め設定されたしきい値とを比較し、各リスク予測値が対応するしきい値を超える時期を予測し、前記対象設備、前記センサの将来的な保守計画または個々の保守を統合した保守計画を決定し、表示する保守計画立案処理部をさらに付加したことを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  7. 請求項6に記載の複合診断・保守計画支援システムにおいて、
    前記対象設備及び前記センサの保守作業による保守作業コストと当該対象設備及びセンサの故障による損害コストとを記憶するコスト情報記憶部を設け、
    前記保守計画立案処理部は、前記リスク診断部で算出される対象設備、センサのリスク予測値及び前記コスト情報記憶部に記憶される故障による損害コストから得られる前記対象設備、前記センサの故障による損害コスト予測値と、前記対象設備、前記センサの保守に必要とされる前記コスト情報記憶部に記憶される保守作業コストとの和が最小となる時点をもって保守時期とする保守計画を決定し表示部に表示することを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  8. 請求項1ないし請求項7の何れか一項に記載の複合診断・保守計画支援システムにおいて、
    複数の対象設備及びこれら設備に対応するセンサからなる設備群が設置されている場合、
    前記複合リスク計算部は、個々の対象設備とそれに対応するセンサとの組み合わせによって算出される各複合リスクのうち、最も大きな複合リスクを前記設備群の全体リスクとして算出することを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  9. 請求項1ないし請求項8の何れか一項に記載の複合診断・保守計画支援システムにおいて、
    複数の対象設備及びこれら設備に対応するセンサからなる設備群が設置されている場合、
    前記保守計画立案処理部は、保守時に前記複合リスク計算部から得られる各対象設備の複合リスクの状態と各対象設備に対応するセンサの複合リスクの状態とに基づき、前記各対象設備に対するセンサの入れ替えを決定表示し、保守後の前記設備群の全体リスクを低減することを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  10. 請求項9に記載の複合診断・保守計画支援システムにおいて、
    前記センサの入れ替える手段は、前記各対象設備の性能に関する特性と前記各センサの故障リスクとを考慮し、前記各対象設備に適するセンサを配置し、保守点検後の設備群の全体リスクを低減することを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  11. 請求項1ないし請求項10に記載の複合診断・保守計画支援システムにおいて、
    前記センサとして無線センサを用いた場合、
    前記寿命モデル推定部は、前記無線センサに内蔵されるバッテリの消耗特性から無線センサの寿命モデルを推定することを特徴とする複合診断・保守計画支援システム。
  12. 対象設備にセンサを配置し、このセンサで検出された対象設備の診断の根拠となるデータ及び保守員の保守点検で入力される前記対象設備及び前記センサの保守履歴データをデータベースに格納し、前記対象設備及び前記センサの診断・保守計画を支援する方法において、
    前記データベースから前記対象設備及びセンサの寿命に関するデータを取り出し、これらデータを変数パラメータとする寿命モデルを推定する処理段階と、この推定された寿命モデル、現時点及び過去の変数パラメータデータのもとに、前記対象設備及び前記センサのそれぞれの故障リスク及び将来の故障リスク予測値を算出するリスク診断段階と、この故障リスク及び故障リスク予測値に基づき、前記対象設備及び前記センサの何れか異常、故障に伴う複合リスクを算出する複合リスク計算段階とを有することを特徴とする複合診断・保守計画支援方法。
  13. 請求項12に記載の複合診断・保守計画支援方法において、
    前記リスク診断ステップで算出された前記対象設備の故障リスク予測値、前記センサの故障リスク予測値、前記複合リスク計算ステップで算出さされた第1,第2及び全体の複合リスク予測値と予め設定されたしきい値とを比較し、各リスク予測値から対応するしきい値を超える時期を予測し、前記対象設備、前記センサの将来的な保守計画または個々の保守を統合した保守計画を決定し、表示する保守計画立案処理段階を有することを特徴とする複合診断・保守計画支援方法。
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