JP4956779B2 - 最適化支援装置、最適化支援プログラム、最適化支援表示装置及び最適化支援方法 - Google Patents
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まず、「システム」という言葉を定義する。システムとは、ある特定の入力があるときに、ある特定の結果をもたらす入力結果間に存在する処理系あるいは秩序である。ある固有のシステムを、ある値に規定することによって、特定の事象(現象)が実現される(複数の制限要素によって規定されるシステムに相当)。そして、固有のシステムは、あらゆるものの処理、或いは、あらゆるものに秩序を与えるものではなく、数、範囲、性質といった限定された中で機能する。従って、事象の種類が同じものであっても、これら限定が互いに異なる様々なものが存在する場合、それぞれに対応したシステムが存在する。さらに、事象の種類に応じて、これらを統一的に取り扱う上位システムが存在する。
実施例1は、複雑な現象を規定する共通概念の抽出を行った後、共通概念を構成するパラメータとそれ以外のパラメータを様々に変化させ、設計者が求める現象に当てはまる構造を抽出する。この共通概念の抽出には、現象(以下、特性)とそれを実現するあるシステムのとるパラメータ(以下、制限要素)の組合せ(以下、サンプリング)をいくつか準備しておく必要がある。そして、これらの特性をいくつかに分類し、制限要素を比較することによって、全ての現象を最もよく説明できる共通概念を抽出する。
ステップ〔1〕 サンプリングを準備する部位(第1サンプリング発生手段)
ステップ〔2〕 特性を分類する部位(階層的クラスタリング手段)
ステップ〔3〕 制限要素を比較し共通概念を抽出する部位(比較手段及び抽出手段)
ステップ〔4〕 目標特性を設定する部位(目標特性設定手段)
ステップ〔5〕 共通概念を基準としたサンプリングの発生(第2サンプリング発生手段)
ステップ〔6〕 ステップ〔5〕のサンプリングの可否を判断する部位(サンプリング評価手段)
の6つのステップで構成されている。このように、共通概念を用いて効率よくサンプリングを発生することができるため、効率的で抜け漏れが無く、その結果どのような応答になるのかを予測することが可能である。
ステップ〔1〕のサンプリングの準備の段階では、現在までに把握している対象とする現象のサンプリングを用意すればよい。しかしながら、比較の対象となるサンプリングに偏りがある場合、その結果抽出される共通概念は、ある特性に偏ったものとなるため、全ての現象を説明できるとは言えない場合が多い。従って、特性に偏りが生じていないサンプリングを準備する必要がある。これからサンプリングを準備しようとする場合、サンプリングに偏りが生じないように、全通りの制限要素の組合せについて、あるいは直行表などを用いた制限要素の組合せを準備し、これに対する特性の応答を調査すればよい。
ステップ〔2〕の特性を分類する部位では、階層的クラスタリングを利用する。クラスタリングとは、異なる性質のもの同士が混ざり合っている集団の中から、効率的に意味のある体系に組織立てるために、互いに似たものを集めて集落(以下、クラスター)を作るという、対象を分類する方法の総称である。このうち、階層的クラスタリングは、グループが入れ子を構成するように階層を生成していく方法である。本実施例1では、「似たもの」として、「特性の傾向の類似度」を基準にクラスタリングした。
(A)サンプリングをクラスター化し、クラスターp,q.r・・・を生成する。図5中、小さな円に相当するものである。
(B)各クラスタの重心を計算する。
(C)類似度の小さい(距離の近い)クラスターを結合する。図5中、クラスターpとクラスターqを結合し、新たなクラスターtを生成する。
(D)結合したクラスターtの重心を計算する。
(E)類似度の小さい(距離の近い)クラスターを結合する。
(F)上記(C)〜(E)をクラスターが1つになるまで繰り返す。
尚、上記(A)のステップでは、クラスターでなくとも、クラスタリングする前の点情報でもよく特に限定しない。
ステップ〔3〕に示す、制限要素を比較し共通概念を抽出する部位では、分類された階層ごとに存在する制限要素間の関係と特性との因果関係を抽出した後、全ての階層に共通する因果関係を見つける。ここで見つかった共通する因果関係を共通概念と呼んでいる。
分類された現象階層ごとに存在する制限要素と現象の物理的因果関係を抽出する。現象が示す特徴は、様々な制限要素が関係し合いながら実現されるという獏全とした言い方しかできない。しかしながら、このことは、言い換えると、現象は制限要素同士の関係を変えながら、さまざまな関係形態を経て実現されている。これを、現象の実現に至る制限要素のネットワークとするならば、このネットワークこそが因果関係であると考えることができる。ここで、このネットワークを「因果ネットワーク」と呼ぶことにする。
複雑な現象は、物理的特徴を基準としながら徐々に単純な現象に分割されていくという階層構造を成している。従って、これに伴い因果ネットワークも階層を追って変化していくと考えられる。ある階層における単体の現象を決定付ける要因と、その複雑さを決定付ける要因とは、階層をたどることによって、それぞれ全ての階層の単体の現象に共通する因果ネットワークと、対象の現象とその上下階層の現象との間に存在する異質な因果ネットワークであると定義できる。
ステップ〔4〕に示す特性の値あるいは範囲の設定では、共通概念を用いて導出される構造が満たすべき特性の値、あるいは満たすべき特性の範囲を設計者が予め決定しておく。ここで、特性は1つ以上であってもよい。この場合、設定された特性に最適な構造の抽出となる。後者の場合、特性の範囲あるいはその組み合わせに対して、個々の制限要素がある範囲を持った形で構造が抽出される。この場合、構造が存在する設計空間の抽出となるが、この後、特性が最適になる構造を導き出す最適化を行う。但し、ここでは、設計者の目的に応じて適宜設定可能であり、最適化以外にも適用可能である。
ステップ〔5〕に示す共通概念を基準としたサンプリングの発生では、共通概念に基づく構造のサンプリングを求める部位である。まず、共通概念を構成する制限要素の変更を行う。ここでは、抽出された共通概念の持つ制限要素の値、あるいは範囲、制限要素同士の関係の傾向など、共通概念の因果関係を踏襲した上で、制限要素の変更を行う。これにより、結果として得られるシステムの特性の性質(傾向)が補償される。
抽出された共通概念は、特性に対する因果関係を表す制限要素の値の組み合わせ、或いは範囲の組み合わせ、制限要素同士の関係の傾向、及びこれらの組み合わせなどで表されている。共通概念が制限要素の値のみによる組み合わせの場合、これを変更することはできない。また、共通概念が制限要素の範囲で表現されている場合、この範囲内で例えば直交表や乱数を用いてモデル生成を行えばよい。
(i)共通概念を構成する制限要素のモデルを用意する。
(ii)乱数を用いてモデルを生成させ、式(4.2)で距離を計算し、式(4.3)を満たすモデルを選択する。またこのとき生成されたモデルと共通概念モデルとの距離を記憶しておく。
(iii)再度、共通概念を基準に乱数を用いてモデル生成させ、式(4.2)で距離を計算する。式(4.3)の制限則とする最小距離を(ii)の距離に置き換え、これを満たすモデルを選択する。ここで、選択されたモデルと共通概念モデルとの距離を記憶しておく。
(iv)以後、上記(i)〜(iii)を繰り返す。
ステップ〔6〕に示す構造の可否判断では、ステップ〔4〕で設定した特性の値に一致しているかどうか、すなわち、目標とする最適値か否かを判断する。ここで、最適値となっている場合はその構造を採用し、最適値以外のときは再度ステップ〔5〕を繰り返す。
以下、上記実施例1に基づいて、具体的な態様に適用した例を示す。ここでは、壁面から複数の梁を設けて軽量、かつ、先端の変位量が少ない構造を最適化する梁問題を取り上げる。図9に梁の構造の一例を示す。ここで、取り扱う特性とは、先端P5に荷重が作用した際における、先端P5の荷重方向への変位量であり、制限要素とは、節点P1〜P9の間に設けた梁の太さである。
図10に示した節点P1〜P9の間に設ける梁構造は、図11に示す組み合わせの中から有無を含めた太さが適宜選択されることとなる。よって、制限要素は、節点間に設けられる梁B1〜B29となり、その制限要素の値は0からある太さまでの間(範囲)で設定される。ここで、太さについては直交表等を用いて均等に割り付けた値を選択し、これらの制限要素の全ての組み合わせのうち、均等に抽出した組み合わせに従って機構計算を行い、先端P5に荷重が作用したときの変位量を算出し、サンプリングを用意する。図12は制限要素の距離モデルを表す概略図、図13に上記サンプリングの全ての変位量と重量との関係を表す特性を示す。
上記(サンプリングの準備)において用意したサンプリングを特性、すなわち重量と変位の関係で分類する。図14に、分類の結果得られる特性の樹形図を示す。また、図15に、分類されたある階層におけるグループ(以下、クラスター)の特性を示す。
上記(特性の分類)で得られた分類結果から、上述の共通概念の抽出の方法に従い、共通概念を抽出する階層を特定する。特定された階層に存在するそれぞれのクラスターの制限要素同士の因果ネットワークを上述の共通概念の抽出の方法に従い抽出する。この結果得られた制限要素同士の因果ネットワークを、制限要素表記手段を用い表記する。
目指す重量と変位量の関係を図18に示すように設定した。上記共通概念の抽出で説明したように、図18に示す特性は図15に示すクラスタ2の特性と類似した範囲となる。よって、図18に示す特性の傾向を達成するための共通概念を構成する制限要素の関係は、図16のクラスタ2に示すように、太い梁の間に細い梁を設ける関係を踏襲すればよいこととなる。
図19に共通概念を基準とした距離モデルの一例を示す。ここでは、実線が共通概念である梁の太さの関係を示し、点線が距離モデル生成方法を用いて生成された距離モデルである。
上記距離モデルに、上記特性の値の設定において設定した図18の値に一致しする梁構造を抽出した。抽出した構造を図20に示す。このように、全ての梁の太さの関係に基づいて最適化演算する場合に比べて、共通概念に基づくサンプリングのみ発生させることで効率よく最適化を図ることができる。この方法によれば、従来の計算時間の1/3以下の計算時間で最適値の演算が可能になった。
(4)複数の制限要素によって規定されるシステムに対し、入力と出力の関係を表す特性の集合があるとき、前記集合を特性の傾向に基づいて分類し、分類された特性に対応する制限要素を表記し、表記されたある分類に対する制限要素を、表記された他の分類に対する制限要素と比較することとした。すなわち、傾向に基づいて分類された特性を、この特性を規定する制限要素間で比較することで、傾向を規定する制限要素を把握することが可能となり、分類の技術的意味を把握することができる。
t クラスター(クラスターp+クラスターq)
Claims (6)
- 複数の制限要素に対応する特性を有するシステムと、
該システムの前記制限要素と前記特性との組み合わせであるサンプリングを複数発生させる第1サンプリング発生手段と、
前記サンプリングを前記特性の類似度に基づいて階層的にクラスタリングする階層的クラスタリング手段と、
前記クラスタリングされた各クラスター内における、前記制限要素の変動と前記特性の変動との相関関係が高い制限要素を、同じ階層間及び/又は異なる階層間で比較する比較手段と、
前記比較手段で比較した結果から、前記相関関係が高い制限要素のうち、各クラスター間で共通する制限要素を抽出する抽出手段と、
目標特性を設定する目標特性設定手段と、
抽出された共通する制限要素を基準としてサンプリングを発生させる第2サンプリング発生手段と、
前記第2サンプリング発生手段により発生したサンプリングの特性が前記目標特性を満足する最適サンプリングか否かを判断し、最適と判断したときは該サンプリングを最適サンプリングとして出力するサンプリング評価手段と、
を備えたことを特徴とする最適化支援装置。 - 請求項1に記載の最適化支援装置において、
前記第2サンプリング発生手段は、前記共通する制限要素を共通範囲内で変更することを特徴とする最適化支援装置。 - 請求項1または2に記載の最適化支援装置において、
前記第2サンプリング発生手段は、前記共通する制限要素の傾向を維持して変更することを特徴とする最適化支援装置。 - 複数の制限要素に対応する特性を有するシステムがあるとき、
コンピュータを、
前記制限要素と前記特性との組み合わせであるサンプリングを複数発生させるサンプリング発生部と、
前記サンプリングを前記特性の類似度に基づいて階層的にクラスタリングする階層的クラスタリング部と、
前記クラスタリングされた各クラスター内における、前記制限要素の変動と前記特性の変動との相関関係が高い制限要素を、同じ階層間及び/又は異なる階層間で比較する比較部と、
前記比較部で比較した結果から、前記相関関係が高い制限要素のうち、各クラスター間で共通する制限要素を抽出する抽出部と、
目標特性の設定する目標特性設定部と、
抽出された共通する制限要素を基準としてサンプリングを発生させる第2サンプリング発生部と、
前記第2サンプリング発生部により発生したサンプリングの特性が前記目標特性を満足する最適サンプリングか否かを判断し、最適と判断したときは該サンプリングを最適サンプリングとして出力するサンプリング評価部と、
として機能させることを特徴とする最適化支援プログラム。 - 複数の制限要素に対応する特性を有するシステムの前記制限要素と前記特性との組み合わせであるサンプリングを前記特性の類似度に基づいて階層的にクラスタリングした結果を表示する階層的クラスタリング表示手段と、
前記クラスタリングされた各クラスター内における、前記制限要素の変動と前記特性の変動との相関関係が高い制限要素を、同じ階層間及び/又は異なる階層間で比較可能に表示する比較表示手段と、
前記比較表示手段で比較した結果から、前記相関関係が高い制限要素のうち、各クラスター間で共通する制限要素を抽出した結果を表示する抽出結果表示手段と、
目標特性を入力可能な目標特性設定表示手段と、
抽出された共通する制限要素を基準として発生したサンプリングの特性が前記目標特性を満足する最適サンプリングか否かを判断し、最適と判断したときは該サンプリングを最適サンプリングとして表示するサンプリング評価結果表示手段と、
を備えたことを特徴とする最適化支援表示装置。 - 複数の制限要素に対応する特性を有するシステムがあるとき、
コンピュータが、
前記制限要素と前記特性との組み合わせであるサンプリングを複数発生するステップと、
前記サンプリングを前記特性の類似度に基づいて階層的にクラスタリングするステップと、
前記クラスタリングされた各クラスター内における、前記制限要素の変動と前記特性の変動との相関関係が高い制限要素を、同じ階層間及び/又は異なる階層間で比較するステップと、
前記比較手段で比較した結果から、前記相関関係が高い制限要素のうち、各クラスター間で共通する制限要素を抽出するステップと、
目標特性を設定するステップと、
抽出された共通する制限要素を基準としてサンプリングを発生するステップと、
前記抽出された共通する制限要素を基準として発生したサンプリングの特性が前記目標特性を満足する最適サンプリングか否かを判断し、最適と判断したときは該サンプリングを最適サンプリングとして出力するステップと、
を実行することを特徴とする最適化支援方法。
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