JP4974408B2 - 血管形成抑制剤 - Google Patents
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Description
本発明は、CXCR4阻害剤を有効成分として含有する、新規血管形成抑制剤、抗固形癌剤、また、血管新生を病態形成要因とする疾患の治療剤に関する。さらに本発明はCXCR4増強剤を有効成分として含有する組織修復剤に関する。
背景技術
従来、腫瘍細胞が血管外に浸潤する際に、血管内皮細胞が開裂することが知られている。また、癌の増殖や転移には血管新生が深くかかわっており、腫瘍細胞が種々の血管新生因子を産生、放出することも知られている。特に、固形腫瘍の増殖には血管の新生が必須とされている。
このため血管新生を阻害する物質は新しい作用機序を有する制癌剤になる可能性があるため、ステロイド剤や微生物代謝産物などいくつかのタイプの血管新生阻害物質がすでに試みられている(「がんの浸潤・転移研究マニュアル」がん転移研究会編、金芳堂発行、1994年、159〜182ページ)が、癌の増殖、転移をより効果的に抑制する作用を有する新規な血管新生阻害物質の発見が切望されている。
発明の開示
本発明は、癌の増殖、浸潤、転移をより効果的に抑制する作用を有するケモカインレセプター阻害剤を含む血管形成抑制剤、抗固形癌剤、また、血管新生を病態形成要因とする疾患の治療剤を提供する。さらに本発明は、ケモカインレセプター増強剤を有効成分として含有する組織修復剤を提供することを目的とする。
すなわち、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を進めた結果、CXCケモカインであるプレ−B細胞成長刺激因子/基質細胞誘導因子(以下PBSF/SDF−1またはSDF−1とする)およびケモカインレセプターであるCXCR4のノックアウトマウスを作製し、該マウスの血管の形成が抑制されること、すなわち、CXCR4を抑制することにより血管形成が抑制されることを見出した。係る知見は、ケモカインレセプターCXCR4が血管新生にとって必須であることを意味する。
生体組織の血管新生は、一般的に成長過程において特異的な機能を実現するため、すでに存在する血管系の再構成により起こる。初期の血管系において必須の分子は、そのほとんどがレセプターチロンシンキナーゼとそのリガンドであることが変異マウスの分析から決められてきた(Risau,W.Nature 386,671−674(1997)、Folkman,J.&D’Amore,P.A.Cell 87,I158−ll55(1996)、Lindahl,P.,et al.,Science 277,242−245(1997))。しかしながら係るマウスの多くは、組織発達前の初期妊娠時に死亡することから、器官形時期の血管形成に必要な物質はいまだ不明であった。
本発明に係るケモカインレセプターCXCR4の構造は既に知られている(Bleul,C.C.et al.Nature 382,829−883(1996)、Oberlin,E.et al.Nature 382,888−835(1996)、Nagasawa,T.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,14726−14729(1996))。CXCR4は、7回膜貫通Gタンパク共役タンパク質であり、CXCケモカインであるPBSF/SDF−1のレセプターである。また、上記因子はBリンパ球産生、骨髄造血と心室壁形成に必要とされているものである(Nagasawa,T.et al.Nature 382,685−688(1996))。また、CXCR4は、T細胞系親和性のHIV−1のコレセプターとして機能するものでもある(Feng,Y.et al.Science 272,872−877(1996))。CXCR4は、培養内皮細胞に発現していることも報告されている(Volin,M.V.et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.242,46−53(1998))。
また、本発明者らは、上記CXCR4が、発生途上の血管内皮細胞に発現すること、CXCR4またはそのリガンドであるPBSF/SDF−1を欠くマウスにおいては、消化器系に供給される大型の血管の形成欠陥を示すことを見出した。係る知見は、CXCR4及びPBSF/SDF−1シグナル系が消化管を栄養する中動静脈の形成に必須であることを意味する。さらに、本発明者らは、CXCR4を欠くマウスは、胎生致死性であり、PGSF/SDF−1を欠くマウスで見られるのと同様であることを見出した。係る知見は、CXCR4がPBSF/SDF−1の生理的に最も主要なレセプターであることを示唆するものである。
本発明者らによる以上の知見に基づき、癌組織の維持、拡大において血管形成は必須であることから、CXCR4に基づく作用を阻害する物質は血管形成を阻害し、従って、有効な抗癌剤となることが考えられる。
また、同様にCXCR4を阻害する物質が、血管新生が関与する疾患の治療剤となることが考えられる。
さらに、CXCR4に基づく作用を促進することで、血管形成を促進し、血管形成が望まれる疾患の治療剤となることが考えられる。
より詳しくは、本発明は、以下にまとめたように、CXCR4に基づく作用を阻害する物質を有効成分とする血管形成抑制剤、抗固形癌剤、血管新生を病態形成要因とする疾患の治療剤を提供する。また、本発明はCXCR4に基づく作用を増強する物質を有効成分として含有する組織修復剤等を提供する。
すなわち、本発明は、CXCR4阻害剤を有効成分として含有する血管形成抑制剤を提供する。
本発明はまた、CXCR4阻害剤を有効成分として含有する抗固形癌剤を提供する。
本発明はまた、CXCR4阻害剤を有効成分として含有する血管新生を病態形成要因とする疾患の治療剤を提供する。
本発明はまた、CXCR4増強剤を有効成分として含有する組織修復剤を提供する。
ある大きさを超えた癌組織の維持、拡大においてこの中等大動静脈の形成は必須であるため、本発明に係る血管形成抑制剤は、CXCR4またはPBSF/SDF−1シグナル系をブロックし、癌組織の維持、拡大を抑制するものである。
また、本発明により得られた知見は、CXCR4及びPBSF/SDF−1シグナル系が普遍的な血管形成に働いている可能性を示唆している。従って癌の種類や血管新生を重要な病態形成要因とする疾患によっては、CXCR4及びPBSF/SDF−1が病態形成に深く関与している可能性があり、この場合CXCR4またはPBSF/SDF−1を単独または他の分子と同時にブロックすることにより、これらの疾患を抑制できる可能性がある。
なお、本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などに対する略号は、IUPAC−IUBComission on Biochemistry Nomenclatureによる略号あるいは当該分野における慣用に墓づく略号である。それらの例を以下に示す。またアミノ酸の場合は、光学異性体があり得るときは特に明示しない限りL体を示す。
DNA:デオキシリボ核酸
cDNA:相補的デオキシリボ核酸
A:アデニン
T:チミン
G:グアニン
C:シトシン
RNA:リボ核酸
mRNA:メッセンジャーリボ核酸
GあるいはGly:グリシン
AあるいはAla:アラニン
VあるいはVal:バリン
LあるいはLeu:ロイシン
IあるいはIle:イソロイシン
SあるいはSer:セリン
TあるいはThr:スレオニン
CあるいはCys:システイン
MあるいはMet:メチオニン
EあるいはGlu:グルタミン酸
DあるいはAsp:アスパラキン酸
KあるいはLys:リシン
RあるいはArg:アルギニン
HあるいはHis:ヒスチジン
FあるいはPhe:フェニルアラニン
YあるいはTyr:チロシン
WあるいはTrp:トリプトファン
PあるいはPro:プロリン
NあるいはAsn;アスパラギン
QあるいはGln:グルタミン
BSA:ウシ血清アルブミン
FBS:ウシ胎児血清
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
発明を実施するための最良の形態
本発明に係る血管形成抑制剤、抗固形癌剤、又は血管新生を病態形成要因とする疾患の治療剤は、ケモカインレセプターであるCXCR4の作用を阻害する物質を有効成分として含む。また、本発明に係る組織修復剤は、該CXCR4の作用を増強する物質を有効成分として含有する。
CXCR4のアミノ酸配列については、すでに知られている。具体的にはヒトCXCR4及びマウスCXCR4のアミノ酸配列は、各々配列番号1及び3に示される。また、ヒトCXCR4及びマウスCXCR4の塩基配列は、各々配列番号2(塩基位置1〜1056)及び4(塩基位置1〜1077)に示される。
CXCR4に結合するリガンドであるSDF−1についても既にそのアミノ酸配列が知られている。SDF−1にはアミノ酸配列の長さが異なる2種類、すなわちSDF−1−α及びSDF−1−βが存在する。具体的にはヒトSDF−1−αのアミノ酸配列は配列番号5に、塩基配列は配列番号:6(塩基位置474〜740)に示される。ヒトSDF−1−βは、ヒトSDF−1−αのC末端側にさらに4つのアミノ酸残基Arg、Phe、Lys、Met(配列番号:9)が付加されている。
マウスSDF−1−αのアミノ酸配列は配列番号:7に、塩基配列は配列番号:8(塩基位置82〜348)に示される。マウスSDF−1−βは、マウスSDF−1−αのC末端側にさらに4つのアミノ酸残基Arg、Leu、Lys、Met(配列番号:10)が付加されている。ヒト及びマウスSDF−1はアミノ酸1位のMetから21位のGlyまでがシグナル配列である。
これまでに知られているCXCケモカインとしては、前記PBSF/SDF−1の他,IL−8(Yoshimura.,T.et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84,9233−9237(1987))、NAP−2(Walz.A,et al.、Biochem.Biophys.Res.Comun.,159,969−975(1989))、NAP−4,GROα(Richmondo,A.et al.、J.Cell.Biochem.,36,185−198(1988))、GROβ(Haskill,S.et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87,77732−7736(1990))、GROγ(Haskill,S.et al.、(1990)前出)、GCP−2(Proost,P.et al.、J.Immunol.,150,1000−1010(1993)、ENA−78(Wayz,A.et al.、J.Exp.Med.,174,1355−1362(1991))、PF−4(Deuel,T.F.et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.74,2256−2258(1977))、及びIP−10(Dewald,B.et al.、Imunol.Lett.,32,81−84(1992)が挙げられる。
本発明において使用可能なCXCR4に基づく作用を阻害する物質については特に限定はされず、CXCR4に基づく作用を阻害し、結果として血管新生を阻害する物質であればよい。
具体的には、(i)リガンド(SDF−1)とレセプター(CXCR4)との結合自体を阻害することに基づく物質、(ii)CXCR4から核へのシグナル伝達を阻害することに基づく物質、(iii)CXCR4自体の発現を阻害する物質、(iv)SDF−1自体の発現を阻害する物質、が挙げられる。
(i)SDF−1とCXCR4との結合自体を阻害する物質として、SDF−1を阻害する物質とCXCR4を阻害する物質がある。
SDF−1を阻害する物質は、より具体的にはCXCR4に対しSDF−1と拮抗的に競合し阻害する物質とSDF−1に結合してCXCR4へのSDF−1の結合を阻害する物質がある。CXCR4に対しSDF−1と拮抗的に競合し阻害する物質として、具体的にはSDF−1と類似の構造を有する蛋白質、その蛋白質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合蛋白質、SDF−1の部分ペプチド及びSDF−1の結合部位と類似の構造を有する低分子化合物等が挙げられる。
SDF−1に結合してCXCR4へのSDF−1の結合を阻害する物質として、具体的には抗SDF−1抗体、その結合活性を有する抗体断片、SDF−1に対する結合活性を有する融合タンパク質、SDF−1の構造変化を誘導する物質、及びSDF−1のCXCR4との結合部位に結合する低分子化合物等が挙げられる。
CXCR4を阻害する物質は、より具体的にはSDF−1との結合においてCXCR4と拮抗的に競合して阻害する物質とCXCR4に結合してSDF−1のCXCR4への結合を阻害する物質がある。SDF−1との結合においてCXCR4と拮抗的に競合して阻害する物質として、具体的にはCXCR4と拮抗的に阻害する可溶性CXCR4、CXCR4と類似の構造を有するタンパク質、そのタンパク質と他のペプチド又はポリペプチドとの融合タンパク質、又はCXCR4部分ペプチド及びCXCR4の結合部位と類似の構造を有する低分子化合物等が挙げられる。
CXCR4に結合してSDF−1のCXCR4への結合を阻害する物質として、具体的には抗CXCR4抗体、その結合活性を有する抗体断片、CXCR4に対する結合活性を有する融合タンパク質、SDF−1の構造変化を誘導する物質及びCXCR4のSDF−1結合部位に結合する低分子化合物等が挙げられる。
SDF−1とCXCR4との結合自体を阻害する物質の具体例は、T22(T.Murakami,et al.J.Exp.Med.,186,1389−1393(1997)、ALX40−4C(J.Exp.Med.,186,1395−1400(1997)、AMD3100(J.Exp.Med.,186,1383−1388(1997),Nat.Med.,4,72−77(1998))等である。これらの物質の作成方法については、例えばJ.Exp.Med.,186,1189−1191(1997)に記載の方法に準じて可能である。
(ii)CXCR4から核へのシグナル伝達を阻害することに基づく物質としては、係る作用を有する物質であれば特に制限はない。CXCR4から核へのシグナル伝達を阻害することに基づく物質としては、Gタンパク共役タンパク質の下流に存在するシグナル伝達系の阻害剤、例えばMAPKカスケード阻害剤、ホスホライペースC(PLC)の阻害剤、PI3キナーゼ基ナーゼ阻害剤等が挙げられる。
(iii)CXCR4自体の発現を阻害する物質として、細胞上からみかけ上CXCR4を消失させる物質及びCXCR4自体の発現を阻害する物質が挙げられる。細胞上からみかけ上CXCR4を消失させる物質とは、具体的にはCXCR4のダウンレギュレーションを誘導する物質である。CXCR4のダウンレギュレーションの誘導とは、具体的には細胞膜に作用して細胞膜の流動性を変化させ、細胞膜上からCXCR4を消失させる作用を意味する。このような作用を有する物質として、例えばデキサメタゾン等が挙げられる。
CXCR4自体の発現を阻害する物質として、具体的にはアンチジーン、アンチセンス(アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスベクターにより発現されるアンチセンスRNA)、リボザイム及びCXCR4の発現調節部位、例えばプロモーターやエンハンサー等に対し阻害する物質が挙げられる。
後述の実施例において、CXCR4遺伝子の一部を含むベクターを用いてCXCR4を欠損させたことにより、血管形成が抑制されたことが明らかとなった。従って、CXCR4のアンチジーン、アンチセンス又はリボザイム等によりCXCR4を阻害すれば、血管形成が抑制される。
本発明で好ましく使用可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドとしては、CXCR4遺伝子、CXCR4に対するSDF−1の遺伝子、又はCXCR4に基づくシグナル系に関わる物質の遺伝子と選択的にハイブリダイズし得るヌクレオチド(DNA又はRNA)又はヌクレオチド誘導体、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド等が含まれる。本発明は例えば、配列番号:2に示されるヒトCXCR4遺伝子の塩基配列中のいずれかの箇所にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは配列番号:2に示される塩基配列中の連続する少なくとも20個以上のヌクレオチドに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。さらに好ましくは、前記連続する少なくとも20個以上のヌクレオチドが翻訳開始コドンを含む、前記のアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
ここでいう「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とは、DNA又はmRNAの所定の領域を構成するヌクレオチドに対応するヌクレオチドが全て相補的であるもののみならず、DNA又はmRNAとオリゴヌクレオチドとが配列番号:2に示される塩基配列に選択的に安定にハイブリダイズできる限り、1又は複数個のヌクレオチドのミスマッチが存在していてもよい。選択的に安定にハイブリダイズするとは、少なくとも20個、好ましくは30個の連続したヌクレオチド配列領域で、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上の塩基配列上の相同性を有するものを示す。尚、本明細書において相同性とは同等性(Identity)を示す。
本発明において便用されるオリゴヌクレオチド誘導体がデオキシリボヌクレオチドの場合、各々の構造は化1に示したとおりである。
(化1)
ここで、Xは独立して酸素(O)、イオウ(S)、低級アルキル基あるいは一級アミン又は二級アミンのいずれであってもよい。Yは独立して酸素(O)あるいはイオウ(S)のいずれでもよい、Bはアデニン、グアニン、チミン、あるいはシトシンのいずれかから選ばれ、主としてヒトCXCR4遺伝子のDNA又はmRNAの相補的オリゴヌクレオチドである。Rは独立して水素(H)又はジメトキシトリチル基あるいは低級アルキル基である。nは7−28である。
好ましいオリゴヌクレオチド誘導体としては、修飾されていないオリゴヌクレオチドだけではなく、下に示すごとく、修飾されたオリゴヌクレオチドでもよい。このような修飾体として、例えばメチルホスホネート型又はエチルホスホネート型のような低級アルキルホスホネート修飾体、ホスホロチオエート修飾体又はホスホロアミデート修飾体等が挙げられる。
(化2)
これらのオリゴヌクレオチド修飾体は、次の通り常法により得ることができる。化1のX及びYがOであるオリゴヌクレオチドは市販のDNA合成装置、例えばAppliedBiosystems製によって容易に合成される、合成方法はホスホロアミダイトを用いた固相合成法、ハイドロジェンホスホネートを用いた固相合成法等で得ることができる。
Xが低級アルコキシ基であるリン酸トリエステル修飾体は、常法、例えば化学合成で得られたオリゴヌクレオチドをトシルクロリドのDMF/メタノール/2,6−ルチジン溶液で処理することにより得ることができる。Xがアルキル基であるアルキルホスホネート修飾体は、常法、例えばホスホアミダイトを用いて得ることができる。XがSであるホスホロチオエート修飾体は、常法、例えばイオウを用いた固相合成法あるいはテトラエチルチウラムジスルフィドを用いて、固相合成法により得ることができる。X、Yが共にSであるホスホロジチオエート修飾体は、例えばヒスアミダイトをチオアミダイトに変換し、イオウを作用させることにより固相合成法により得ることができる。Xが一級アミンあるいは二級アミンであるホスホロアミデート修飾体は、例えばハイドロジェンホスホネートを一級あるいは二級アミンで処理することにより固相合成法により得ることができる。あるいは、アミダイトをtert−ブチルハイドロパーオキサイドで酸化しても得ることができる。
精製及び純度確認は、高速液体クロマトグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で行うことができる。分子量の確認は、Electrospray Ionization Mass Spectrometry又はFast Atom Bombardment−Mass Spectrometryで行うことができる。
本発明で使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチド誘導体は、CXCR4レセプター又はそのリガンド、さらにCXCR4に基づくシグナル伝達物質の産生細胞に作用して、該ポリペプチドをコードするDNA又はmRNAに結合することにより、その転写又は翻訳を阻害したり、mRNAの分解を促進したりして、該ポリペプチドの発現を抑制することにより、結果的にCXCR4に基づく作用を阻害する効果を有する。
本発明で使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドは結果として血管の新生を阻害することにおいて有用である。また、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを合有する血管新生阻害剤は、癌、特には固形癌の治療剤として有用である。
CXCR4アンチセンスベクターを作製するには、通常用いられる方法に従えばよい。すなわち、CXCR4をコードするcDNAをAAVベクター(アデノ随伴ベクター)、MLVベクター(マウス白血病ウィルスベクター)、又はHIVベクター等にアンチセンス方向に連結する。アンチセンス方向とは、プロモーターの下流に導入するcDNAの3’側から連結することを意味する。これらのベクターに含まれるcDNAから合成されたアンチセンスRNAは、宿主のCXCR4の発現を構成的に抑制する。
アンチセンスDNA又はRNAは、例えばリポソーム法、HVJリポソーム法、正電荷リポソーム法等の手段を用いて細胞に導入することができる。CXCR4アンチセンスDNA又はRNAを導入することにより、構成的にCXCR4の発現を阻害する事が可能である。
(iv)CXCR4に対するSDF−1自体の発現を阻害する物質として、SDF−1の発現阻害のためのアンチセンス及びSDF−1の発現調節部位、例えばプロモーター等に対し阻害する物質が挙げられる。
上述した本発明で使用可能な抗体、例えば抗SDF−1抗体又は抗CXCR4抗体は、公知の手段を用いてポリクローナルまたはモノクローナル抗体として得ることができる。本発明で使用される抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体が好ましい。哺乳動物由来のモノクローナル抗体としては、ハイブリドーマに産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主に産生されるものがある。この抗体は上述の性質を有する抗体である。
抗体産生ハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、所望の抗原を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナル抗体産生細胞をクローニングする。
感作抗原で免疫される哺乳動物としては、特に限定されるものではないが、細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択するのが好ましく、一般的にはげっ菌類の動物、例えば、マウス、ラット、ハムスター等が使用される。感作抗原を動物に免疫するには、公知の方法にしたがって行われる。
前記免疫細胞と融合される他方の親細胞としての哺乳動物のミエローマ細胞は、すでに、公知の種々の細胞株が適宜使用される。前記免疫細胞とミエローマ細胞の細胞融合は基本的には公知の方法、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler、G.and Milstein,C.,Methods Enzymol.(1981)73:3−46)等に準じて行うことができる。
得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えば、HAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。当該HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間、通常数日〜数週間継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよびクローニングが行われる。このように得られたハイブリドーマから通常用いられる方法に従い抗体を取得すればよい。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原蛋白質または抗原発現細胞で感作し、感作Bリンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、所望の抗原または抗原発現細胞への結合活性を育する所望のヒト抗体を得ることもできる。さらに、ヒト抗体遺伝子のレパートリーを育するトランスジェニック動物に抗原または抗原発現細胞を投与し、前述の方法に従い所望のヒト抗体を取得してもよい。
本発明には、モノクローナル抗体として、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体を用いることができる(例えば、Carl,A.K.Borrenbaeck,James,W.Larrick,THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES,Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD 1990参照)。
また、本発明には、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体(欧州特許出願公開番号EP125023)、ヒト型化(Humanized)抗体(欧州特許出願公開番号EP125023)を使用できる。これらの抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来の定常領域(C領域)からなり、ヒト型化抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域とヒト抗体由来のフレームワーク領域(framework region;FR)およびC領域からなり、ヒト体内における抗原性が低下しているため、本発明における有効成分として有用である。
本発明で使用される抗体は、本発明に好適に使用され得るかぎり、抗体の断片やその修飾物であってよい。例えば、抗体の断片としては、Fab、F(ab’)2、FvまたはH鎖とL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)が挙げられる。具体的には、抗体を酵素、例えば、パパイン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、または、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる。
発明に使用される抗体を取得するために、ファージライブラリー法を用いることができる。(Marks,C.et al..,The New England Journal Medicine 335,730−733)例えばヒトB細胞よりヒト抗体V領域、例えばscFvをコードする遺伝子からなるcDNAライブラリーを得、このcDNAライブラリーをファージベクターに、例えばM13ファージ表面提示ベクターに導入し、これを大腸菌に感染させる。大腸菌でcDNAライブラリーは発現され、細胞表面に抗体V領域が産生される。所望の抗原をコートしたプレートに上で、抗原結合活性に基づいて選択することにより、所望の抗体をコードする遺伝子を得ることができる。
アージライブラリー法を応用してチェインシャッフリング法を用い、抗原に対しより強い結合活性を有する抗体を得ることができる。(Akamatsu,Y.& Tsurushita,N.Medical Immunology 27,273−286(1994))。すなわち、いったん分離した抗体遺伝子のV領域の一方(例えばVH)を固定し、B細胞から調製したもう一方(例えばVL)混合体との間で新たにライブラリーを作製し、抗原により強く結合するクローンを分離すればよい。
また、抗体のアミノ酸配列に人為的突然変異を導入することによっても、抗原に対しより強い結合活性を有する抗体を得ることができる。(Akamatsu,Y.& Tsurushita,N.Medical Immunology 27,273−286(1994))。すなわち、クローニングした抗体V領域をコードする遺伝子に突然変異を導入し、この遺伝子を上記ファージライブラリー法で発現させることにより、抗原に対しより強い結合活性を有する抗体をコードする遺伝子を得ることができる。
これら抗体の断片は、前記と同様にしてその遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。本明細書でいう「抗体」にはこれらの抗体の断片も包含される。
抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。本明細書でいう「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野においてすでに確立されている。
前記のように発現・産生された抗体は、通常用いられる方法に従い、宿主細胞内外から分離し均一にまで精製することができる。また、濃度測定は吸光度の測定またはELISA等により行うことができる。
本発明で使用されるCXCR4阻害物質として、SDF−1又はCXCR4と類似の構造を有するタンパク質(類似構造タンパク質)が挙げられる。この物質は、SDF−1又はCXCR4との結合活性を有し、且つその生物学的活性を伝達しない物質である。即ちCXCR4に対しSDF−1と競合的に結合するが、SDF−1の生物学的活性を伝達しないため、SDF−1によるシグナル伝達を遮断する。
SDF−1類似構造タンパク質は、SDF−1のアミノ酸配列のアミノ酸残基を置換することにより変異を導入して作製される。SDF−1類似構造タンパク質のもととなるSDF−1はその由来を問わないが、抗原性等を考慮すれば、好ましくはヒトSDF−1である。具体的には、SDF−1のアミノ酸配列を公知の分子モデリングプログラム、たとえば、WHATIF(Vriend et al.,J.Mol.Graphics(1990)8,52−56)を用いてその二次構造を予測し、さらに置換されるアミノ酸残基の全体に及ぼす影響を評価することにより行われる。
適切な置換アミノ酸残基を決定した後、ヒトSDF−1遺伝子をコードする塩基配列を含むベクターを鋳型として、通常行われるPCR(ポリメレースチェインリアクション)法によりアミノ酸が置換されるように変異を導入することにより、SDF−1類似構造タンパク質をコードする遺伝子が得られる。これを必要に応じて適当な発現ベクターに組み込み、前記組換え型抗体の発現、産生及び精製方法に準じてSDF−1類似構造タンパク質を得ることができる。SDF−1類似構造タンパク質として、N末端を欠失させたSDF−1が知られている(EMBO J.(1997)16,6996−7007)。
本発明で使用されるSDF−1部分ペプチド又はCXCR4部分ペプチドは、各々CXCR4あるいはSDF−1との結合活性を有し、且つSDF−1の生物学的活性を伝達しない物質である。即ち、SDF−1部分ペプチド又はCXCR4部分ペプチドはCXCR4又はSDF−1に結合し、これらを捕捉することによりSDF−1のCXCR4への結合を特異的に阻害する。
その結果、SDF−1の生物学的活性を伝達しないため、SDF−1によるシグナル伝達を遮断する。
SDF−1部分ペプチド又はCXCR4部分ペプチドは、SDF−1又はCXCR4のアミノ酸配列においてSDF−1とCXCR4との結合に係わる領域の一部又は全部のアミノ酸配列からなるペプチドである。このようなペプチドは、通常10〜80、好ましくは20〜50、より好ましくは20〜40個のアミノ酸残基からなる。
SDF−1部分ペプチド又はCXCR4部分ペプチドは、SDF−1又はCXCR4のアミノ酸配列において、SDF−1とCXCR4との結合に係わる領域を特定し、その一部又は全部のアミノ酸配列を通常知られる方法、例えば遺伝子工学的手法又はペプチド合成法により作製することができる。
SDF−1部分ペプチド又はCXCR4部分ペプチドを遺伝子工学的手法により作製するには、所望のペプチドをコードするDNA配列を発現ベクターに組み込み、前記組換え型抗体の発現、産生及び精製方法に準じて得ることができる。
SDF−1部分ペプチド又はCXCR4部分ペプチドをペプチド合成法により作製するには、ペプチド合成において通常用いられている方法、例えば固相合成法又は液相合成法を用いることができる。具体的には、続医薬品の開発第14巻ペプチド合成 監修矢島治明廣川書店1991年に記載の方法に準じて行えばよい。固相合成法としては、例えば有機溶媒に不溶性である支持体に合成しようとするペプチドのC末端に対応するアミノ酸を結合させ、α−アミノ基及び側鎖官能基を適切な保護基で保護したアミノ酸をC末端からN末端方向の順番に1アミノ酸ずつ縮合させる反応と樹脂上に結合したアミノ酸又はペプチドのα−アミノ基の該保護基を脱離させる反応を交互に繰り返すことにより、ペプチド鎖を伸長させる方法が用いられる。固相ペプチド合成法は、用いられる保護基の種類によりBoc法とFmoc法に大別される。
このようにして目的とするペプチドを合成した後、脱保護反応及びペプチド鎖の支持体から切断する。ペプチド鎖との切断反応には、Boc法ではフッ化水素又はトリフルオロメタンスルホン酸を、又Fmoc法ではTFAを通常用いることができる。Boc法では、例えばフッ化水素中で上記保護ペプチド樹脂をアニソール存在下で処理する。次いで、保護基の脱離と支持体から切断しペプチドを回収する。
これを凍結乾燥することにより、粗ペプチドが得られる。一方、Fmoc法では、例えばTFA中で上記と同様の操作で脱保護反応及びペプチド鎖の支持体から切断反応を行うことができる。
得られた粗ペプチドは、HPLCに適用することにより分離、精製することができる。その溶出にあたり、蛋白質の精製に通常用いられる水−アセトニトリル系溶媒を使用して最適条件下で行えばよい。得られたクロマトグラフィーのプロファイルのピークに該当する画分を分取し、これを凍結乾燥する。このようにして精製したペプチド画分について、マススペクトル分析による分子量解析、アミノ酸組成分析、又はアミノ酸配列解析等により同定する。
本発明で使用されるSDF−1の部分ペプチドあるいはCXCR4の部分ペプチドは、各々CXCR4あるいはSDF−1に結合し、シグナルの伝達活性がないものであれば、その配列を問わない。SDF−1の部分ペプチドおよびCXCR4のペプチドについては、既に知られたアミノ酸配列を使用できる。例えば、リガンドとしてSDF−1の場合、配列表の配列番号5(ヒト)、および7(マウス)に記載されたアミノ酸配列が使用可能である。
本発明において使用可能なCXCR4に基づく作用を増強する物質については特に限定されないが、SDF−1を増強する物質として、SDF−1自体、SDF−1のアゴニスト、又はSDF−1の発現増強剤が挙げられる。さらに、レセプターCXCR4を増強する物質としては、CXCR4自体、そのアゴニスト、又はCXCR4の発現増強剤が挙げられる。
上記説明したように、本発明に係るCXCR4阻害剤を有効成分として含む血管形成抑制剤を用いることにより、血管形成(Vascularization)を抑制可能となることから、固形癌に対する抗腫瘍効果(血管新生の抑制)血管肉腫(血管自体の癌)カポシ肉腫に対して抗腫瘍効果が発揮される。また、血管新生を病態形成要因とする疾患、具体的には慢性関節リウマチ、乾せん(psoriasis)、糖尿病性網膜症に対して治療効果が発揮される。
CXCR4の作用を増強する物質を含む血管新生を病態形成要因とする疾患の治療剤を用いることにより、血管新生を促進させることが可能となり、心筋梗塞、術後の血管新生を伴う疾患、具体的には創傷治癒、骨の修復及びリモデリング(remodeling)、軟骨の修復、毛髪の成長、心筋梗塞、脳梗塞および脳における外傷に対する治療効果が発揮される。
本発明において使用可能な血管新生阻害及び促進試験法は血管新生試験法を用い行える。このアッセイ方法についても特に制限はなく、通常公知の方法が好ましく使用できる(「がんの浸潤・転移研究マニュアル」がん転移研究会編、金芳堂発行、1994年、159〜182ページ)。具体的には、(i)血管内皮細胞への影響を、腫瘍細胞が血管外に浸潤する際、血管内皮細胞が開裂するという知見に基づく血管内皮細胞間隔の開裂を測定する方法(FITC−dextranの透過性から)、(ii)血管新生誘導因子としてその役割を生体内で発揮する候補因子を同定するためのinvivo測定法として知られている角膜法、及び(iv)CAM法(chickembryochorioallantoic membrane)、(v)肉眼で誘導血管の量を測定する背部皮下法、(vi)血管内皮細胞の管腔形成の測定方法等が挙げられる。
抗腫瘍効果の確認には、移植モデルや移植転移モデルを用いたin vivo実験又は癌細胞in vitro実験が挙げられる。具体的には、「がんの浸潤・転移研究マニュアル」がん転移研究会編、金芳堂発行、1994年、7〜158ページに記載の方法を使用することができる。
本発明に係る血管形成抑制剤、抗固形癌剤、治療剤、組織修復剤等は、経口的に全身あるいは局所的に投与することができる。例えば、点滴などの静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射を選択することができ、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。
有効投与量は、一回につき体重1kgあたり0.09mgから100mgの範囲で選ばれる。あるいは、患者あたり1〜1000mg、好ましくは5〜50mgの投与量を選ぶことができる。
本発明に係る血管形成抑制剤、抗固形癌剤、治療剤、組織修復剤等は、投与経路次第で医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。このような担体および添加物の例として、水、医薬的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルキン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトニル、ラクトース、医薬添加物として許容される界面活性剤などが挙げられる。
使用される添加物は、剤型に応じて上記の中から適宜あるいは組合せて選択されるが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何等限定されるものではない。
実施例
CXCR4完全欠損マウスの作製および分析
CXCR4遺伝子座を含むゲノムDNAを、マウス株129DNAライブラリー(Stratagene社)から単離した。
エクソン2の5’翻訳領域を含む1.1kbゲノム断片をネオマイシン耐性遺伝子で置き換え、ヘルペスシンプレックスチミジンキナーゼ遺伝子を5’末端に連結した。
胚形成の14.1日(以下、E14.1とする)の細胞内に標的ベクターをエレクトロポレーションにより導入し、G418とガンシクロビルにより相同性組換えを選択し、PCRで同定した。
変異座の構造とES細胞コロニーでの単一の挿入物の存在をサザンハイブリダイゼーションで確認した。Nagasawa,T.et al..Nature 382,685−688(1996)に記載の方法にしたがい、未分化胚芽細胞の注入により変異マウスを作製するために変異ES細胞コロニーを用いた。
サザンハイブリダイゼーション分析のため、テールDNAをEcoRIで消化し、ナイロンメンブレンに移し、5’側相同領域の550bpのプローブAとハイブリダイズさせた。
E18.5の胚の胎仔肝臓から単離した3μgの全RNAを出発材料として標準の方法に従いRT−PCRを40サイクル行った。630bpのPCR産物をCXCR4特異的プライマー,すなわち前方プライマー(配列番号:11)及び後方プライマー(配列番号:12)を用いて増幅した。組織学的分析及びフローサイトメトリー分析はNagasawa,T.et al.Nature 382,685−688(1996)に記載の方法に準じて行った。
免疫組織学的染色は、Adachi,S.,Yoshida,H.,Kataoka,H.Nishikawa,S.−I.Int.Immunol.9,507−514の方法に準じた。胚及び器官の切片を4%パラホルムアルデヒドで固定し、メタノールで脱水し、メタノール中30%過酸化水素で脱色し、再度水和した。
PBSMT(1%スキムミルク粉および0.3%v/v TritonX−100を含むPBS)でインキュベートした後、試料をPBSMT中、1:250希釈した抗−PECAM抗体(PharMingen)と4℃一晩インキュベートした後、PBSMTで洗浄し、1:500希釈ホースラディッシュパーオキシダーゼ標識抗ラットIg抗体(Biosource製)とPBSMT中4℃一晩インキュベートした。
その後、試料をよく洗浄し、胚を250μg/mlジアミノベンジジン(同仁化学製)、0.08%NiCl2を含むPBS中で30分インキュベートした。過酸化水素を加えて、最終濃度0.01%としてパーオキシダーゼ染色を行った。反応は約30分後に止めた。
Nagasawa,T.et al.Nature 382,685−688(1996)に記載の方法により、マウスCXCR4又はPBSF/SDF−1cDNAの断片をプローブとしてアンチセンス転写を用いて行った。
CXCR4の生理的機能を決定するため、CXCR4欠損マウスを作製した。すなわち、CXCR4遺伝子のうち、レセプター機能に重要なすべての膜貫通領域を含むエクソン2の大部分を削除し、その部分をネオマイシン耐性遺伝子(neo)で置換できるようにしたターゲットベクターを構築した。この結果、相同組換え後、実質的にCXCR4遺伝子が完全に削除されることとなる。
図1は、CXCR4遺伝子の標的戦略を示す図(上、中、下とする)である。上には、野生型CXCR4対立遺伝子、中には標的ベクター、および下には予想変異対立遺伝子を示す。遺伝子の翻訳領域は黒四角で示される。白四角は5’および3’非翻訳領域を示す。点線は、標的ベクターに使用された相同な断片を示す。プローブAは、サザンハイブリダイゼーション用の外部プローブである。ここで制限酵素位置をそれぞれ、E、EcoRI;Sh、SphI;X、XhoIとした。
図2Aは、野生型(+/+)およびヘテロ変異(+/−)マウスのテールDNAのサザンブロット分析を示す写真である。プローブAにより同定された、11.8kb野生型および8.2kb標的対立遺伝子のEcoRI−EcoRI断片が示されている。また、図2Bは、CXCR4発現のRT−PCR増幅分析を示す写真である。全RNAはE18.5の野生型およびホモ変異胚から調製し、さらにCXCR4特異的プライマーで増幅した。RT−PCR増幅はまた、増幅可能なRNAの存在のコントロールとして、普遍的に発現しているG3PDH mRNAを用いた。
CXCR4ヘテロ(+/−)変異を有するマウスを作製した。該マウスは健康でかつ妊娠可能であった。CXCR4ホモ(−/−)変異胚は胚形成のE15.5まで予想された比で存在した。しかし、既に報告しているPBSF/SDF−1欠損マウスと同様に(Nagasawa,T.et al.Nature 382,685−688(1996))、約半分のCXCR4−/−胚はE18.5で死亡し、CXCR4−/−新生仔は1時間以内に死亡した。
胚形成時において、CXCR4の機能を明らかにするために、CXCR4の成育中の胚における発現をin situハイブリダイゼーションにより調べた。CXCR4転写物が、胚形成時において血管形成時の内皮に高いレベルで検出された。
この知見に基づき、血管形成におけるCXCR4遺伝子欠損の効果を調べた。卵黄および臍帯の血管は視覚的には正常であった。E18.5のCXCR4−/−胚の組織学的検査では、主な血管である大動脈、大静脈、頚動脈、頚静脈、腹腔動脈、腸間膜動脈および腸間膜静脈の存在が認められた。その後、器官の血管系を可視化するため、野生型及び変異胚の全組織調製物について、抗PECAM−1抗体で免疫染色した。PECAM−1は胎生期を通じて、すべての内皮細胞において特異的かつ安定に発現することが知られている(Vecchi,A.et al.Eur.J.Cell Biol.63,247−255(1994)、Baldwin,H.S.et al..Development 120,2539−2558(1994))。
その結果、E11.5までは胃、小腸、および腸間膜を含む胃腸組織において、高度に分岐した均一な血管系が野生型と変異型ともに認められた。E12.5付近では、中腸ループに結合している腸間膜において大小の血管が再構成により形成されていることが認められた。E13.5での野生型胚では図3に示されるように、腸管へ栄養する腸間膜動脈や腸間膜静脈から分岐する多くの大分枝が形成されていた。一方、E13.5でのCXCR4−/−胚の腸間膜では、これらの大分枝が存在せず、その代わりより小さな血管のみが生じていた。顕微鏡を用いた組織学的分析によれば、E13.5での野生型胚の腸間膜には腸間膜動脈や腸間膜静脈が認められ、これより分岐した血管は動脈、静脈が対となっていた(図4)。これとは対照的に、CXCR4−/−胚の大部分の血管は図8に見られるように対ではなく一本であった。ただし、変異胚の腸間膜内の腸間膜動脈や腸間膜静脈は正常であった。E17.5での野生型胚では、腸間膜の大型の血管は多くの分枝を出し腸管に達していた(図5と図6)。しかしながら、CXCR4−/−胚ではこのような腸間膜の大型の血管に相当する血管は実質的に欠損していた(図9と図6)。また、変異腸間膜では異常な分岐を示す大型の血管が認められた(図9と図6)。このような血管系の欠損により、大部分のE16.5の変異胚の小腸には多数の出血様病変が見られた。この病変は腸を支配する循環系の異常によるものと考えられる(図11)。
以上の結果から、CXCR4は、小腸の正常な血管形成に必須であることが示された。その作用機序としてはCXCR4は、腸間膜の血管の分岐及び/又は再構成に関与していると考えられる。
胃の場合、野生型胚では、E13.5までに、小弯側の間葉から分岐する大型の血管が形成され、腹側および背側表面全体に分布している(図12A、12C)。組織学的解析によると、この血管はE15.5の野生型マウスにおいて、図12C内に挿入した写真で示されるように、静脈と動脈が対をなしていた。しかしながら、これに相当する血管は変異胚には認められなかった(図12B、12D)。胃を取り巻く小血管ネットワークの形成は、変異胚でも正常に見えた(図12D)。
E18.5での変異胚の胃腸の組織学的分析では、器官形成に何等異常は認められなかった。例えば、変異マウスの胃、腸管の平滑筋層は、外層および内層それぞれ、縦方向および垂直方向に正常に認められた。
図3〜6は、CXCR4−/−胚における胃腸系血管欠損を示す写真であり、野生型の腸間膜および腸の、抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。図3はE13.5での腸間膜と中腸ループ領域を示す。図5はE17.5での空腸を示す。図6はE17.5での空腸を示す。図7はE13.5での染色した腸間膜の断面を示す。図3,5,6での矢印は、野生型腸間膜の小腸を栄養する上腸間膜動脈又は静脈よりの大型の分枝を示す。
また、図7〜11は、同様にCXCR4−/−胚における胃腸系血管欠損を示す写真であり、変異型の腸間膜および腸の、抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。図7はE13.5での腸間膜と中腸ループ領域を示す。図9はE17.5での空腸を示す。図10はE17.5での空腸を示す。図8はE13.5での染色した腸間膜の断面を示す。図11はE16.5での変異マウスの未染色の腸出血様病変を示す。図9,10での矢印は、変異マウスの走行、分岐が異常な大型の血管を示す。
また、図12Aから12Dは、抗PECAM−1抗体による胃の免疫染色の結果を示す写真である。図12Aと12BがE13.5、図12Cと12DはE15.5、図12Aと12Gは野生型、図12Bと12Dは変異型を示す。図12Cの写真内に挿入された写真は、E15.5での染色した胃の壁内の大型の血管のヘマトキシリン−エオジン染色された断面を示す。図12Aと12Cの矢印は野生型にのみ観察される大型の血管を示す。duは十二指腸、pは中間腸ループの近位を、dmは中間腸ループの末梢部、aは動脈、vは静脈を示す。
これらの知見は、CXCR4−/−マウスにおける血管形成の異常は、消化管そのものの異常による二次的なものではないことを示している。このような血管形成の異常と同様の異常がPBSF/SDF−1欠損マウスでも認められた。
in situハイブリダイゼーション分析によれば、E12.5の野生型胚の腸間膜、腸壁及び胃壁の血管内皮細胞にCXCR4転写物が発現していることが示された(図13Bと13E)。特に、腸間膜動脈の分枝の内皮細胞に強い発現が観察された(図13B、13E)。これとは対照的に、PBSF/SDF−1は腸間膜の内皮細胞をとりまく間葉細胞において高いレベルで発現していたが、腸と胃の壁や内皮細胞には発現していなかった(図13C)。
図13Aから13Fはin situハイブリダイゼーションによる胃腸組織でのCXCR4およびPBSF/SDF−1の発現の解析を示す写真である。野生型の中腸ループにつながる腸間膜の連続切片を用いて、1枚はヘマトキシリン−エオジンで染色し(図13Aと13D)、もう1枚はCXCR4特異的プローブとハイブリダイズし(図13Bと13E)、更にもう1枚はPBSF/SDF−1特異的プローブとハイブリダイズした(図13E)。図13Dと13Eは、図13Aと13Bの上腸間膜動脈から生じた分岐血管の拡大図であり、血管内皮細胞にCXCR4の強い発現があることが示された。図13Bと13Eの矢印矢頭は、腸間膜血管のCXCR4の発現が認められる内皮細胞を示す。腸間膜内の内皮細胞を取り巻く間葉細胞でPRSF/SDF−1が発現している(図13E)。野生型E18.5胚の骨髄の断面であり、造血細胞内でCXCR4が発現し、紡錘型のストローマ細胞で発現していない(図13F)。mは、腸間膜、iは、小腸、aは上腸間膜動脈、vは上腸間静脈を示す。
得られた発現パターンは、間葉細胞により産生されたPBSF/SDF−1が内皮細胞上のCXCR4に作用することを示し、これより腸間膜の間葉において極めて重要な役割を果たすサイトカインによるパラクラインシグナルの存在が強く示唆される。このことからCXCR4−/−およびPRSF/SDF−1−/−の胃で大血管を欠損する表現型も、胃の小弯に沿う間葉での血管の分岐または再構成の異常による結果である可能性がある。
他の器官で血管系を調べるため、卵黄嚢、脳、心臓を抗PECAM−1モノクローナル抗体で染色した。卵黄嚢(E12.5,E14.5)、頭領域(E11.5)、心臓(E12.5−E14.5)の大および小血管の形成は、CXCR4−/−、PBSF/SDF−1−/−と、野生型の間で明らかな差はなかった。
以上の実験結果をまとめると、CXCR4とPBSF/SDF−1は血管内皮細胞に作用して血管分岐又は再構成を制御することにより、胃腸組織へ供給する成熟血管系の形成に必須であることが示された。
フローサイトメトリー分析によると、CXCR4−/−マウスの胎仔肝臓のB細胞前駆細胞が極めて減少していることが明らかとなった。組織学的分析では、骨髄腔の骨髄球系細胞およびその前駆細胞が認められなかった。さらに、E18.5の変異マウスの心臓では心室中隔の膜性部の欠損が見いだされた。これらの異常はPBSF/SDF−1欠損マウスで観察された表現型と非常に似ており、CXCR4が、PBSF/SDF−1の主要な生理的受容体であるという考えを支持する。
in situハイブリダイゼーションによりE18.5での野生型マウスの骨髄においては、造血細胞においてCXCR4転写物が発現していたがPBSF/SDF−1転写物の発現が認められた紡錘型ストローマ細胞にはCXCR4転写物が発現されなかった(図(Fig3d))。これらの発現パターンの結果は、骨髄においてパラクラインシグナルの存在を意味するものである。
今まで報告されたFlk−1、Tie−2などの受容体チロシンキナーゼ(RTKs)と、VEGF、アンジオポイエチン−1、PDGF−Bのようなそのリガンドの変異マウスを用いた解析によれば、それらは血管系の発育に重要な役割を果たし、それらの多くは、発生における血管形成のごく初期過程及び体のいたるところでの血管形成(卵黄嚢、必要、胚外の脈管構造を含む)に必要であることが知られている(Shalaby,F.et al.Nature 376,62−66(1995)、Fong,G.−H.,Rossant,J.,Gertsenstein,M.& Breitman,M.L.Nature 376,66−70(1995)、Dumont,D.J.et al.GenesDev.8,1897−1909(1994)、Sato,T.N.et al.Nature 376,70−74(1995)、Carmeliet,P.et al.Nature 880,435−439(1996)、Ferrara,N.et al.Nature 380,439−442(1996)、Suri,C.et al.Cell 87,I171−1180(1996))。
これとは対照的に、CXCR4およびPBSF/SDF−1の作用は発生においてより後期であり、器官特異的である。Tie−2およびそのリガンドであるアンジオポイエチン−1は、初期の血管系で分岐および/または再構成に必要と考えられている(Sato,T.N.et al.Nature 376,70−74(1995)、Suri,C.et al.Cell 87,I171−1180(1996))。消化管での成熟血管系形成における役割は明らかでない。また、Tie−2又はアンジオポイエチン−/−マウスで観察される卵黄嚢血管系における明確な異常は、CXCR4またはPBSF/SDF−1−/−マウスでは認められなかった。一方、PF4(Maione,T.E.et al.Science 247,77−79(1990))、IL−8(Koch,A.E.et al.Science 258,1798−1801(1992))、IP−10(Luster,A.D.et al.,J.Exp.Med.182,219−231(1995))、およびGroβ(Cao,Y.H.,et al.,J.J.Exp.Med.182,2069−2077(1995))といったCXCケモカインも血管新生制御因子であることが報告されている。しかし、内皮細胞でのレセプターの発現や生理学的役割はいまだ解明されていない。凝固因子V(Cui,J.,et al.Nature 384,66−68(1996))及び組織因子(Carmeliet,P.et al.Nature 883,78−75(1996))は、卵黄嚢血管系に必須であることが示されているが、これらの因子がいかなる受容体を介して作用するかは明らかでない。
以上の背景から、本発明はケモカインと7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体という血管形成に必須の新規なシグナル系の存在を示したと言える。
最近、ヘテロ三量体GTP結合タンパク質Gα13のαサブユニットを欠損するマウスでは、卵黄嚢の血管系が形成されないこと及び胚体の小血管が拡大するなどの異常があることが示された。その表現型はCXCR4欠損マウスとは異なるが、CXCR4がGα13と共役する可能性について検討する必要はある。
CXCR4とCCR5は、それぞれT細胞系親和性およびマクロファージ親和性のHIV−1株が宿主細胞に感染するのに必須のコレセプターであることが知られている(Feng,Y.,et al.,Science 272,872−877(1996)、Fauci,A.S.Nature 884,529−584(1996))。このうちCCR5を欠損したホモ変異体の人々が見出されており、これらの人々は、HIV−1感染に抵抗性であり何ら健康に問題はない(Liu,R et al.Cell 86,367−377(1996)、Samson,M.et al.Nature 382,722−725(1996)、Dean,M.et al.Science 273,1856−1861)。
しかし、もう一方のCXCR4に関しては、CXCR4欠損マウスが胚時期に致死性であることから、ヒトでのCXCR4ホモ欠損はありえないことが強く示唆された。ただし、T細胞系親和性HIV−1抵抗性の長期生存者においては他の遺伝的要因または生存可能なCXCR4ホモ変異が存在する可能性は残されている。
産業上の利用可能性
CXCR4ノックアウトマウスおいては血管の形成が抑制されたという本発明による知見に基づき、CXCR4の作用を阻害する物質を有効成分として含有する血管形成抑制剤、また癌組織の維持、拡大において血管形成は必須であることから、抗固形癌剤の作成、及びCXCR4の作用を阻害する物質を有効成分として含有する血管新生を病態形成要因とする疾患の治療剤の作成、さらには、CXCR4の作用を増強する物質を有効成分として含有する組織修復剤の作成に用いることができる。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
図1は、CXCR4遺伝子の標的戦略を示す図である。ここで、上は野生型CXCR4対立遺伝子を、中は、標的ベクターを、および下は、予想変異対立遺伝子を示す。また、遺伝子の翻訳領域は黒四角で示される。白四角は5’および3’非翻訳領域を示す。点線は、標的ベクターに使用された相同な断片を示す。プローブAは、サザンハイブリダイゼーション用の外部プローブである。制限酵素位置はそれぞれ、E、EcoRI;Sh、SphI;X、XhoIである。
図2Aは、野生型(+/+)およびヘテロ変異(+/−)マウスのテールDNAのサザンブロット分析を示す写真である。プローブAにより同定された、11.8kb野生型および8.2kb標的対立遺伝子のEcoRI−EcoRI断片が示されている。
図2Bは、CXCR4発現のRT−PCR増幅分析を示す写真である。全RNAはE18.5の野生型およびホモ変異胚から調製し、さらにCXCR4特異的プライマーで増幅した。RT−PCR増幅はまた、増幅可能なRNAの存在のコントロールとして、普遍的に発現しているG3PDH mRNAを用いた。
図3は、野生型のCXCR4−/−胚におけるE13.5での腸間膜と中腸ループ領域での胃腸系血管欠損を示すものであり、腸間膜および腸の抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。矢印は、野生型腸間膜の小腸に供給する上腸間膜動脈又は静脈よりの大分枝を示す。duは十二指腸、pは中間腸ループの近位を、dmは中間腸ループの末梢部を示す。
図4は、野生型のCXCR4−/−胚におけるE13.5での腸間膜の断面での胃腸系血管欠損を示すものであり、腸間膜および腸の抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。aは動脈、vは静脈を示す。
図5は、野生型のCXCR4−/−胚におけるE17.5での空腸での胃腸系血管欠損を示すものであり、腸間膜および腸の抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。矢印は、野生型腸間膜の小腸に供給する上腸間膜動脈又は静脈よりの大分枝を示す。
図6は、野生型のCXCR4−/−胚におけるE17.5でのより遠位の空腸での胃腸系血管欠損を示すものであり、腸間膜および腸の抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。矢印は、野生型腸間膜の小腸に供給する上腸間膜動脈又は静脈よりの大分技を示す。
図7は、変異型のCXCR4−/−胚におけるE13.5での腸間膜と中腸ループ領域での胃腸系血管欠損を示すものであり、変異型の腸間膜および腸の抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。pは中間腸ループの近位を、dmは中間腸ループの末梢部を示す。
図8は、変異型のCXCR4−/−胚におけるE13.5での染色した腸間膜の断面での胃腸系血管欠損を示すものであり、変異型の腸間膜および腸の抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。
図9は、変異型のCXCR4−/−胚におけるE17.5での空腸での胃腸系血管欠損を示すものであり、変異型の腸間膜および腸の抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。
図10は、変異型のCXCR4−/−胚におけるE17.5でのより遠位の空腸での胃腸系血管欠損を示すものであり、変異型の腸間膜および腸の抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。
図11は、変異型のCXCR4−/−胚におけるE16.5での変異マウスの未染色の腸出血様病変の胃腸系血管欠損を示すものであり、変異型の腸間膜および腸の抗PECAM−1抗体による免疫染色を示す写真である。
図12Aは、野生型、E13.5での抗PECAM−1抗体による胃の免疫染色の結果を示す写真である。矢印は野生型にのみ観察される大型の血管を示す。
図12Bは、変異型、E13.5での抗PECAM−1抗体による胃の免疫染色の結果を示す写真である。
図12Cは、野生型、E15.5での抗PECAM−1抗体による胃の免疫染色の結果を示す写真である。写真内に挿入された写真は、E15.5での染色した胃の壁内の大型の血管のヘマトキシリン−エオジン染色された断面を示す。矢印は野生型にのみ観察される大型の血管を示す。
図12Dは、変異型、E15.5での抗PECAM−1抗体による胃の免疫染色の結果を示す写真である。
図13Aはin situハイブリダイゼーションによる胃腸組織でのCXCR4およびPBSF/SDF−1の発現を示す写真である。野生型の中腸ループにつながる腸間膜の連続切片において、ヘマトキシリン−エオジンで染色した。mは、腸間膜、iは、小腸、aは上腸間膜動脈、vは上腸間静脈を示す。
図13Bはin situハイブリダイゼーションによる胃腸組織でのCXCR4およびPBSF/SDF−1の発現を示す写真である。CXCR4特異的プローブとハイブリダイズした。矢印矢頭は、腸間膜血管の染色された内皮細胞を示す。
図13Cはin situハイブリダイゼーションによる胃腸組織でのCXCR4およびPBSF/SDF−1の発現を示す写真である。PBSF/SDF−1特異的プローブとハイブリダイズした。腸間膜内の内皮細胞を取り巻く間葉細胞にPBSF/SDF−1が発現している。
図13Dはin situハイブリダイゼーションによる胃腸組織でのCXCR4およびPBSF/SDF−1の発現を示す写真である。野生型の中腸ループにつながる腸間膜の連続切片において、ヘマトキシリン−エオジンで染色した。図13Dは、図13Aの上腸間膜動脈から生じる血管の拡大図であり、血管内皮細胞にCXCR4の強い発現を認めた。
図13Eはin situハイブリダイゼーションによる胃腸組織でのCXCR4およびPBSF/SDF−1の発現を示す写真である。CXCR4特異的プローブとハイブリダイズした。図13Eは、図13Bの上腸間膜動脈から生じる血管の拡大図であり、血管内皮細胞にCXCR4の強い発現を認めた。矢印矢頭は、腸間膜血管の染色された内皮細胞を示す。
図13Fはin situハイブリダイゼーションによる胃腸組織でのCXCR4およびPBSF/SDF−1の発現を示す写真である。野生型E18.5胚の骨髄の断面であり、造血細胞にCXCR4が発現し、紡錘型のストローマ細胞には発現していない。
Claims (1)
- CXCR4に結合してSDF−1のCXCR4への結合を阻害する抗CXCR4抗体又は抗CXCR4抗体活性を有する抗体断片を有効成分として含有してなる固形癌に対する治療剤。
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