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JP4990866B2 - 磁気記録媒体の製造方法および磁気記録再生装置 - Google Patents
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磁気記録媒体の製造方法および磁気記録再生装置 Download PDF

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Description

本発明は、ハードディスク装置等に用いられる磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録再生装置に関するものである。
近年、磁気ディスク装置、フロッピー(登録商標)ディスク装置、磁気テープ装置等の磁気記録再生装置の適用範囲は著しく増大され、その重要性が増すと共に、これらの装置に用いられる磁気記録媒体について、その記録密度の著しい向上が図られつつある。
特に、MRヘッド(磁気抵抗効果型ヘッド)およびPRML(Partial Response Maximum Likelihood)技術の導入以来、面記録密度の上昇がさらに激しさを増している。近年では、さらにGMRヘッド(巨大磁気抵抗効果型ヘッド)やTMRヘッド(トンネル磁気抵抗型ヘッド)なども導入され、1年に約50%ものペースで記録密度の増加が続いている。
これらの磁気記録媒体については、今後さらに記録密度を向上させることが要求されている。その要求に対応するために、磁気記録層の高保磁力化と高信号対雑音比(SN比)、高分解能を達成することが望まれている。
また、近年、面記録密度を高めるために、媒体の絶対膜厚が薄くなってきている。しかし、媒体の絶対膜厚を薄くすると、熱的擾乱によって記録磁化が弱められる現象が顕著になる。このため、媒体の膜厚が薄くなるのに伴って、記録の熱的安定性が大きな技術的課題となってきている。
しかしながら、以下に示すように、熱的安定性は、SN比を改善することにより低下しやすいものである。すなわち、SN比に優れた媒体は、磁性層を構成する磁性粒子の結晶粒サイズが微細であることが多い。磁性層を構成する磁性粒子の結晶粒サイズが微細であると、媒体ノイズに有効である反面、磁性の熱的安定性が不安定となりやすい。したがって、SN比と熱的安定性の両方を向上させることは困難であり、磁気記録媒体の開発の目標となっている。
また、近年、線記録密度の向上と同時にトラック密度の増加によって面記録密度を上昇させようとする努力が続けられている。トラック密度は、最新の磁気記録装置においては110kTPIにも達している。しかし、トラック密度を上げていくと、隣接するトラック間の磁気記録情報が互いに干渉し合い、その境界領域の磁化遷移領域がノイズ源となりSN比を損なうという問題が生じやすくなる。このことはそのままビットエラーレート(Bit Error rate)の低下につながるため、記録密度の向上に対して障害となっている。
また、トラック密度が高くなるとトラック間距離が近づくため、磁気記録装置には極めて高精度のトラックサーボ技術が用いられている。さらに、隣接トラックからの影響をできるだけ排除するために、記録を幅広く実行し、再生を記録時よりも狭く実行する方法が一般的に用いられている。この方法によれば、トラック間の影響を最小限に抑えることができる。その反面この方法では、再生出力を十分に得ることが困難となるので、十分なSN比を確保することが難しいという問題がある。
また、近年、磁気記録媒体を高記録密度化する技術として、ディスク表面に対して垂直方向に記録層を磁化してデータを記録する垂直磁気記録媒体が用いられている。垂直磁気記録媒体においても、さらに記録密度を向上させるためには、トラック密度を増加する必要がある。垂直磁気記録媒体においても、ディスク表面に対して平行に記録層を磁化してデータを記録する面内磁気記録媒体と同様に、トラック密度を増加させると、記録部分の端部の書きにじみ(フリンジ)が生じる。フリンジを解決する技術としては、隣接する記録トラック同士の干渉を防ぐディスクリートトラック媒体や、任意の形状のパターンを規則的に並べたビットパターンド媒体が提案されている。
例えば、特許文献1には、記録部分を凸部、ガードバンド部を凹部としたディスクリートトラック媒体が記載されている。しかしながら、凹部からなるガードバンド部を設けた場合、ディスク表面に深い凹凸部が存在することになる。ディスク表面に深い凹凸部が存在すると、記録再生ヘッドの浮上特性に影響を与えるという問題が生じるため好ましくない。
凹部からなるガードバンド部を設けた場合におけるディスク表面の凹凸部に起因する問題を解決する技術として、記録トラック部間をガードバンド部材で満たし、ディスク表面を平坦としたディスクリート媒体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、ガードバンド部材として、酸化物、窒化物、炭化物、硼化物、重合化合物が例示されている。さらに、特許文献2には、記録トラック部間をガードバンド部材で満たす方法として、記録トラック部間が完全に埋まるまでガードバンド部材をスパッタした後、ディスク表面を研磨して平坦化し、表面に記録トラック部があらわれたディスクとする方法が記載されている。
また、特許文献3には、凹凸パターンの凹部が非磁性材料で充填された磁気記録媒体が記載されている。特許文献3には、表面が凹凸パターンとされた被加工体の表面上に流動性を有する材料の層を形成する工程を含むことにより、表面が充分に平坦な磁気記録媒体を製造する技術が記載されている。さらに、特許文献3には、非磁性材の流動性を有する材料として、In(インジウム)や紫外線硬化性樹脂が記載されている。
また、特許文献4には、光硬化反応を生じる機能を有する高分子ケイ素化合物を含むナノインプリント用の膜形成組成物が記載されている。さらに、特許文献4には、高分子ケイ素化合物として、シロキサン系高分子化合物を用いることや、重量平均分子量が1000以上50000以下のものを用いることが記載されている。
また、特許文献5には、水素化シルセスキオキサンポリマーと溶媒との混合物を被加工材料表面に塗布後、その塗布面に微細パターンの型押しをし、溶剤の除去および加水分解硬化により被加工材料表面に微細SiOパターンを形成する方法が記載されている。
特開平6−259709号公報 特開平9−97419号公報 特開2005−100496号公報 特開2007−072374号公報 特開2003−100609号公報
しかしながら、従来のディスクリートトラック媒体やビットパターン媒体では、磁気的に分離された記録層を有し、隣接する記録層間が非磁性材料で埋め込まれた表面平坦性に優れたものとする場合、製造プロセスが複雑で手間がかかるため、生産性を向上させることが要求されていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ディスクリートトラック媒体またはパターン媒体の記録層として好適である磁気的に分離された複数の記録層を有し、隣接する記録層間が非磁性材料で埋め込まれた表面平坦性に優れた磁気記録媒体を容易に製造できる磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、本発明の磁気記録媒体の製造方法によって得られた磁気記録媒体を備え、高記録密度特性に優れ、安定した磁気ヘッドの浮上特性が得られる磁気記録再生装置を提供することを目的とする。
本願発明者は上記課題を解決すべく、鋭意努力検討した。その結果、ディスクリートトラック媒体またはパターン媒体を製造する際に、記録層となる磁性層上にレジストパターンを形成して磁性層のパターニングを行い、その後、レジストパターンを溶融して溶融レジストとし、磁性層のパターニングにより形成された凹部内に溶融レジストを埋め込み、硬化させて分離層を形成する方法により、分離層によって磁気的に分離された複数の記録層を容易に形成できることを見出し、本願発明を想到した。
さらに、本願発明者は検討を重ね、レーザー照射を用いてレジストパターンを溶融することにより、高速で効率よくレジストパターンを溶融できることを見出した。
また、本願発明者は、レジストパターンとして用いることができるとともに、凹部内に容易に埋め込むことができる分離層の材料について鋭意検討を重ね、分離層の材料として熱可塑性の有機ケイ素化合物を用いることが好ましいことを見出した。
(1)非磁性基板上に磁性層を形成し、前記磁性層上に非磁性材料からなるレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンから露出している前記磁性層を除去することにより、分離層になる凹部と、前記凹部によって平面視で磁気的に分離された複数の記録層とを形成する工程と、前記レジストパターンを溶融して溶融レジストとし、前記溶融レジストを前記凹部内に埋め込んで硬化させることにより分離層を形成する工程とを備えることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
(2)レーザー光を照射することにより、前記レジストパターンを溶融することを特徴とする(1)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(3)前記分離層を形成した後に、レーザー光を用いて表面検査を行う工程を備えることを特徴とする(2)記載の磁気記録媒体の製造方法。
(4)前記レジストパターンが、熱可塑性を有する有機ケイ素化合物からなるものであることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(5)前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(1)で表されるシルセスキオキサン化合物を含むことを特徴とすることを特徴とする(1)〜(4)の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
Si ・・・(1)
(上記一般式(1)において、RおよびRは、置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基または置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。また、RおよびRは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。)
(6)前記シルセスキオキサン化合物が、下記一般式(2)で表される構造の繰り返し単位からなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000〜100000である化合物であることを特徴とする(5)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
Figure 0004990866
(上記一般式(2)において、RおよびRは、置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基または置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。また、RおよびRは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。)
(7)前記一般式(2)のRおよびRが、メチル基またはフェニル基であることを特徴とする(6)に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(8)前記シルセスキオキサン化合物が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1500〜30000である化合物であることを特徴とする(5)〜(7)の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(9)前記シルセスキオキサン化合物が、フェニルシルセスキオキサンであることを特徴とする(5)〜(8)の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
(10)磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、前記磁気記録媒体が(1)〜(9)の何れか1項に記載の製造方法で製造されたものであることを特徴とする磁気記録再生装置。
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、非磁性基板上に磁性層を形成し、前記磁性層上に非磁性材料からなるレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンから露出している前記磁性層を除去することにより、分離層になる凹部と、前記凹部によって平面視で磁気的に分離された複数の記録層とを形成する工程と、前記レジストパターンを溶融して溶融レジストとし、前記溶融レジストを前記凹部内に埋め込んで硬化させることにより分離層を形成する工程とを備えているので、ディスクリートトラック媒体またはパターン媒体の記録層として好適である磁気的に分離された複数の記録層を有し、隣接する記録層間が非磁性材料で埋め込まれた表面平坦性に優れた磁気記録媒体を容易に製造できる生産性に優れた方法となる。
また、本発明の磁気記録再生装置は、本発明の磁気記録媒体の製造方法で製造された表面平坦性に優れ、磁気的に分離された複数の記録層を有する磁気記録媒体を備えたものであるので、高記録密度特性に優れ、安定した磁気ヘッドの浮上特性が得られるものとなる。
以下、本発明を、図面を参照して具体的に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
「磁気記録媒体」
図1は、本発明の磁気記録媒体の製造方法を用いて製造された磁気記録媒体の一例を示した断面図であり、磁気記録媒体の一部分のみを拡大して示した拡大図である。
図1に示す磁気記録媒体10は、円盤状であり、表面に対して垂直方向に記録層4を磁化してデータを記録する垂直磁気記録媒体であり、ディスクリートトラック媒体またはパターン媒体として好適に用いられるものである。
図1に示す磁気記録媒体10は、円盤状の非磁性基板1の表面に設けられた軟磁性裏打ち層2と、軟磁性裏打ち層2上に設けられた配向制御層3と、ディスクリートトラック媒体における同心円状の所定幅の記録トラック部またはパターン媒体におけるビット部を構成する記録層4と、記録層4に設けられた保護層6と、隣接する記録層4同士を平面視で磁気的に分離する凹部4a内に埋め込まれるように形成されている分離層5とを備えている。保護層6上および分離層5上には、潤滑層(図示せず)が形成されていることが好ましい。
非磁性基板1としては、Alを主成分とした例えばAl−Mg合金等のAl合金基板や、結晶化ガラス、アモルファスガラス、シリコン、チタン、セラミックス、カーボン、各種樹脂からなる基板など、非磁性基板であれば任意のものを用いることができる。結晶化ガラスからなる基板としては、リチウム系結晶化基板などを用いることができ、アモルファスガラスからなる基板としては、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラスからなるものを挙げることができる。
非磁性基板1の平均表面粗さRaは1nm以下、より好ましくは0.5nm以下とされる。非磁性基板1の平均表面粗さRaを上記範囲とした場合、記録層4の垂直配向性が良好なものとなる点や、後述するインプリントプロセスにおける圧力分布が小さくなり、加工の均一性が向上する点から好ましい。また、非磁性基板1の表面の微小うねりWaを0.3nm以下とすると、インプリント工程での圧力分布が小さくなり、加工の均一性が向上する点から好ましい。
軟磁性裏打ち層2は、軟磁性材料からなるものであればよく特に限定されないが、Fe、Co、Niを含む材料からなるものを用いることができる。Fe、Co、Niを含む材料としては、FeCo合金(FeCoB、FeCoSiB、FeCoZr、FeCoZrBなど)、FeTa合金(FeTaN、FeTaCなど)、Co合金(CoTaZr、CoZrNb、CoBなど)を挙げることができる。
軟磁性裏打ち層2は、複数の層からなる積層構造であることが好ましい。例えば、2つの軟磁性膜の間にRu、Re、Cuからなる層を設け、所定の厚さにすることにより、上下に設けられた2つの軟磁性膜を反強磁性結合させたものとすることができる。このような積層構造を有する軟磁性裏打ち層2とすることで、垂直磁気記録媒体特有の問題であるWATE(Wide Area Track Erasure)の現象を改善することが可能となる。
配向制御膜3は、配向制御膜3の上に設けられる記録層4の結晶配向性や結晶サイズを制御するためのものである。配向制御膜3に用いられる材料としては、hcp構造またはfcc構造を有するものであることが好適であり、特にRuが好ましい。
また、配向制御膜3の厚さは30nm以下であることが好ましい。配向制御膜3の厚さが30nmを超えると記録再生時における磁気ヘッドと軟磁性裏打ち層2との距離が大きくなるため、OW特性(オーバーライト特性)や再生信号の分解能が低下するため好ましくない。
記録層4は、基板表面に対し垂直方向に磁化容易軸を有しているものである。記録層4を構成する材料としては、公知のものを使用できるが、グラニュラー構造の磁性合金を用いることが好ましい。特に、記録層4を構成する材料として、少なくともCoとPtと酸化物とを含んだグラニュラー構造の磁性材料を用いることが好ましく、さらにSNR特性改善などの目的で、これにCr、B、Cu、Ta、Zrなどの元素を添加することが好ましい。
記録層4をグラニュラー構造の磁性層とする場合に用いられる酸化物としては、SiO、SiO、Cr、CoO、Ta、TiOなどを挙げることができる。記録層4中における酸化物の体積率は15〜40体積%であることが好ましい。酸化物の体積率が15体積%未満であると、SNR特性が不十分となるため好ましくない。酸化物の体積率が40体積%を超えると、高記録密度に対応するだけの保磁力を得ることができない場合があるため好ましくない。
また、記録層4のニュークリエーション磁界(−Hn)は1.5(kOe)以上であることが好ましい。−Hnが1.5(kOe)未満であると、熱揺らぎが発生するので好ましくない。
記録層4の厚さは6〜18nmであることが好ましい。記録層4の厚さがこの範囲であると、十分な出力を確保することができ、OW特性の悪化が生じないため好ましい。
分離層5を構成する材料としては、非磁性材料を用いることができ、具体的には工業的に使用されている熱可塑性を有するフォトレジストや、熱可塑性を有する有機ケイ素化合物などを用いることができる。中でも特に、分離層5を構成する材料として、熱可塑性を有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。熱可塑性の有機ケイ素化合物は、分子量が大きいにもかかわらず粘性が低く、また、硬化時の収縮も少ないため好ましい。
有機ケイ素化合物としては、下記一般式(1)で表されるシルセスキオキサン化合物を含むものを用いることがより好ましい。
Si ・・・(1)
上記一般式(1)において、RおよびRは、置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基または置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。また、RおよびRは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
また、上記一般式(1)において、RおよびRは、置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜4のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1もしくは2のアルコキシ基または置換されていてもよい炭素数6もしくは7のアリール基であることが好ましい。
さらに、上記一般式(1)において、RおよびRは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基または炭素数6もしくは7のアリール基であることが、シルセスキオキサン化合物の流動性及び凹凸パターンの矩形性保持の点からより好ましい。
また、置換基としては、ハロゲン原子およびヒドロキシル基などが挙げられる。
上記RおよびRとなる炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基を例示でき、炭素数2〜8のアルケニル基としてはビニル基、アリル基およびブテニル基を例示でき、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基およびエトキシ基を例示でき、炭素数6〜10のアリール基としてはフェニル基およびトリル基を例示できる。この中でも特に、上記RおよびRが、フェニル基およびメチル基であることが、スタンパーによる型押し時に薄膜の矩形を保持する能力の点で好ましい。
また、シルセスキオキサン化合物は、上記一般式(2)で表される構造の繰り返し単位からなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000〜100000である化合物であることが、シルセスキオキサン化合物の流動性及び凹凸パターンの矩形性保持の点から望ましい。
なお、上記一般式(2)において、RおよびRは、上記一般式(1)におけるRおよびRと同じである。
これらのシルセスキオキサン化合物は、公知の方法で合成することができる。例えば、ケトン又はエーテル溶媒中に、アミンの存在下でメチルトリクロロシランを加え、低温で水を滴下してメチルトリクロロシランを加水分解し、更にその加水分解物を縮合させることにより、ポリメチルシルセスキオキサンを合成することができる(例えば、特公平1−43773号公報参照)。
また、例えば、水と有機溶剤の二層が形成された混合液にアルカリ金属カルボン酸塩と低級アルコールを溶存させ、この系内にメチルトリクロロシランを滴下して、メチルトリクロロシランを加水分解し、更に加水分解物を縮合させることにより、ポリメチルシルセスキオキサンを合成することができる(例えば、特許2977218号公報参照)。
また、例えば、フェニルトリクロロシランを加水分解してプレポリマー又はフェニルシラントリオールを得て、更にトルエン溶媒中、塩基性触媒の存在下で、縮合反応により生成する水を共沸で系外に除去しながら前記プレポリマー又はフェニルシラントリオールを縮合させることにより、ポリフェニルシルセスキオキサンを合成することができる(例えば、特公平3−60336号公報および特開平8−143578号公報参照)。
また、例えば、水と有機溶剤の二層が形成された混合液に、アルカリ金属カルボン酸塩と低級脂肪族アルコールを溶存させ、この系内にフェニルトリクロロシランを滴下して加水分解し、更に縮合させることにより、有機溶媒との相溶性が優れ、分子量分布が狭い低分子量のポリフェニルシルセスキオキサンを合成することができる(例えば、特開平5−39357号公報参照)。
更に、メチルトリエトキシシランとフェニルトリメトキシシランを酸性触媒の存在下で加水分解して得られるプレポリマーを、メチルイソブチルケトン溶媒中、塩基性触媒の存在下で縮合させることにより、超高分子量のポリメチルフェニルシルセスキオキサンを合成することができる(例えば、特許3272002号公報参照)。
以上説明したように、本発明において好ましく用いられるシルセスキオキサン化合物は、種々の公知の方法により製造することができ、また市販もされている。
これらのシルセスキオキサン化合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常1000〜100000であり、1500〜30000であることが好ましい。重量平均分子量が1000よりも低いとナノインプリント後の薄膜(レジスト)の熱安定性が悪いことがあり、ダレ等の問題を生じることがある。また、重量平均分子量が100000よりも高いと、被加工材料表面に塗布するレジスト溶液の流動性が低くなり、インプリント時に過度の圧力が必要となり、原盤(スタンパー)等の寿命が短くなってしまうことがある。
保護層6としては、ダイヤモンド状炭素(Diamond Like Carbon)などの炭素(C)、水素化炭素(HxC)、窒素化炭素(CN)、アルモファスカーボン、炭化珪素(SiC)等の炭素質層やSiO、Zr、TiNなど、一般的に磁気記録媒体の保護層として使用されているものを用いることができる。
また、保護層6は、単層であってもよいし、2層以上の層から構成されていてもよい。保護層6の膜厚は、1〜10nm、特に1〜5nmとすることが好ましい。保護層6の膜厚は、十分な耐久性を確保できる範囲でできるだけ薄くすることが好ましい。
潤滑層(図示せず)に用いる潤滑剤としては、フッ素系潤滑剤、炭化水素系潤滑剤及びこれらの混合物等が挙げられる。また、潤滑層は、通常1〜4nmの厚さで形成される。
「磁気記録媒体の製造方法」
次に、本発明の磁気記録媒体の製造方法の一例として、図2を用いて図1に示す磁気記録媒体の製造方法を説明する。図2は、図1に示す磁気記録媒体の製造方法の一例を説明するための工程図である。
図1に示す磁気記録媒体を製造するには、まず、図2(a)に示すように、非磁性基板1上に、軟磁性裏打ち層2と、配向制御層3と、記録層4となる磁性層7とを、例えばプラズマCVD法やスパッタ法などの薄膜形成技術を用いてこの順で形成し、磁性層7の上にプラズマCVD法などの薄膜形成技術を用いて保護層6を形成する。
次いで、保護層6上にレジストパターン8となるレジスト溶液を塗布する。レジスト溶液を塗布する際には、薄く均一に塗布できるスピンコート法やディップコートなどを用いることが好ましい。なお、レジスト溶液の塗布量や塗布厚は、レジスト溶液の材質や分離層5となる凹部4a内の体積およびスタンパーの体積に応じて決定され、記録層4の上面と分離層5の上面とが略水平になるように適宜調整される。
その後、レジスト溶液中に含まれる余分な溶媒等を除去するために、必要に応じて恒温槽やオーブンなどを用いて焼成を行う。ここでの焼成温度や時間などについては、使用するレジスト溶液の性質に合わせて適宜調整することができる。
ここで用いられるレジスト溶液は、熱可塑性を有する非磁性材料を含むものであり、工業的に使用されている熱可塑性を有するフォトレジストや、熱可塑性を有する有機ケイ素化合物を含むものすることができるが、熱可塑性を有する有機ケイ素化合物を含むものであることが好ましい。
熱可塑性を有する有機ケイ素化合物としては、上記一般式(1)で表されるシルセスキオキサン化合物を含むものを用いることがより好ましい。
また、レジスト溶液には、レジスト溶液の塗布性を向上させるために、必要に応じて溶媒が添加されていてもよい。ここで用いられる溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル系溶媒、2−プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール系溶媒などを挙げることができる。
ここでの溶媒の使用量は、溶媒100質量%に対してシルセスキオキサン化合物を1〜40質量%、好ましくは3〜6質量%となるような量とする。
次に、ディスクリートトラック媒体における同心円状の所定幅の記録トラック部の形状またはパターン媒体におけるビット部の形状に応じて形成された凹凸部を有するスタンパーを、レジスト溶液の塗布された保護層6上に密着させて高圧でプレスする(以下、この工程を「インプリントプロセス」と呼ぶ)。このことにより、図2(a)に示すように、ディスクリートトラック媒体における同心円状の所定幅の記録トラック部の形状またはパターン媒体におけるビット部の形状に対応する凹部8cを有するレジスト層8aが形成される。
インプリントプロセスで用いるスタンパーは、金属プレートに電子線描画などの方法を用いて微細なパターンを形成したものである。スタンパーを構成する材料としては、インプリントプロセスに耐えうる硬度および耐久性を有するNiなどが好ましく使用されるが、前述の目的に合致するものであれば材料は問わない。
次に、レジスト層8aの凹部8cの底面に残存する部分を、イオンビームエッチングやイオンミリングなどのドライエッチング法や反応性イオンエッチング法などを用いて除去し、図2(b)に示すように、凹部8cの底面に保護層6の露出されたレジストパターン8bを形成する。
続いて、イオンビームエッチングなどのドライエッチング法や反応性イオンエッチング法などを用いて、図2(c)に示すように、レジストパターン8bの凹部8cから露出している保護層6と、保護層6を除去することによって露出された磁性層7とを連続して除去する。このことにより、図2(c)に示すように、分離層5となる凹部4aと、凹部4aによって平面視で磁気的に分離された複数の記録層4とが形成される。
凹部4aの幅は、記録密度を向上させるためには狭いほど好ましいが、後述する溶融レジストを凹部4aの奥まで緻密に隙間無く充填するためや、記録層4の分離特性を向上させるためには広いほど好ましい。また、凹部4aの深さは、凹部4aに対する溶融レジストの充填性の点から浅いほど好ましいが、記録層4の分離特性を向上させるためには深いほど好ましい。
本実施形態においては、例えば、凹部4aを、最小幅が100nm以下であって最大深さが20nm以上である微細で深い形状とした場合であっても、溶融レジストを凹部4a内に容易に緻密に隙間無く充填でき、分離特性に優れ、高記録密度に対応しうる磁気記録媒体10を実現できる。
次に、図2(c)に示すレジストパターン8bを溶融して溶融レジストとし、溶融レジストを凹部4a内に埋め込んで硬化させることにより、図1に示すように、分離層5を形成する。
ここでレジストパターン8bを溶融するには、赤外線ヒーター等を用いてレジストパターン8bを外部から加熱する方法や、レーザー光をレジストパターン8bに照射することにより加熱する方法などを用いることができるが、レジストパターン8bにレーザー光を照射する方法を用いることが好ましい。レーザー光では、磁気記録媒体の表面上に形成されたレジストパターン8bを容易に局所的に加熱することができるので、レーザー光の照射範囲を連続的に移動させる方法により、全てのレジストパターン8bを効率よく溶融することができる。また、レーザー光を照射することによってレジストパターン8bを溶融させる場合、赤外線ヒーター等を用いて外部加熱する場合と比較して、クリーンな環境でレジストパターン8bを溶融させることができ、埃等を嫌う磁気記録媒体の製造方法に好適である。
ここで使用できるレーザー装置としては、ルビーレーザー、YAGレーザー、Nd:YAGレーザー等の固体レーザーの他、炭酸ガスレーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、エキシマレーザー等のガスレーザーなどが挙げられる。
レジストパターン8bを溶融させる温度は、180℃〜220℃の範囲であることが好ましい。
レジストパターン8bは、溶融して溶融レジストにされると、重力および/または毛細管現象によって自己整合的に凹部4a内に埋め込まれる。このことにより、溶融レジストは、凹部4aの奥まで緻密に隙間無く充填される。
また、凹部4aに埋め込まれた溶融レジストは、室温に戻すことによって硬化する。
本実施形態においては、分離層5を形成した後に、レーザー光を用いて表面検査を行うことが好ましい。ここでの表面検査は、表面にレーザー光を照射することにより得られた反射光の散乱状態から、溶融せずに表面に残存しているレジストパターン8bの有無や、溶融レジストが凹部4a内に埋め込まれたか否か、表面の傷やパーティクル、凹凸等の欠陥の有無を検出するものである。
このような表面検査において用いられるレーザー光としては、レジストパターン8bの溶融に用いるレーザー光よりも弱いものが用いられる。したがって、例えば、レーザー光を用いてレジストパターン8bを溶融させ、その後、レーザー光を照射させるためのパワーを低下させて表面検査を行う方法により、レジストパターン8bの溶融と表面検査とを容易に連続して行うことができる。この場合、磁気記録媒体の製造工程における磁気記録媒体のハンドリング回数が少なくなり、磁気記録媒体の生産性をより一層を高めることができる。
その後、必要に応じて、イオンミリングなどのドライエッチング法や反応性イオンエッチング法などを用いて、分離層5の表面を平坦化するためのエッチングを行う。
その後、必要に応じて、分離層5および保護層6の表面に、潤滑剤を塗布することによって潤滑層(図示略)を形成する。
以上のようにして図1に示す本実施形態の磁気記録媒体10が得られる。
本実施形態の磁気記録媒体10の製造方法は、非磁性基板1上に磁性層7を形成し、磁性層7上に非磁性材料からなるレジストパターン8bを形成する工程と、レジストパターン8bから露出している磁性層7を除去することにより、分離層5になる凹部4aと、凹部4aによって平面視で磁気的に分離された複数の記録層4とを形成する工程と、レジストパターン8bを溶融して溶融レジストとし、溶融レジストを凹部4a内に埋め込んで硬化させることにより分離層5を形成する工程とを備えているので、磁気的に分離された複数の記録層4を有し、隣接する記録層4間が非磁性材料で埋め込まれた表面平坦性に優れた磁気記録媒体10を容易に製造できる。
具体的には、例えば、レジストパターンから露出している磁性層を除去することにより、凹部によって磁気的に分離された複数の記録層を形成した後、レジストパターンを除去して表面全面に非磁性材料からなる層を形成し、その後、記録層上の非磁性材料を除去して凹部内にのみ非磁性材料を埋め込む場合と比較して、本実施形態の磁気記録媒体10の製造方法では、記録層を形成した後、レジストパターンを溶融することにより凹部4a内に埋め込むため、製造工程を飛躍的に簡略化できる。
また、本実施形態の磁気記録媒体10の製造方法において、レーザー光を照射することにより、レジストパターン8bを溶融する場合には、全てのレジストパターン8bを効率よく溶融することができるし、赤外線ヒーター等を用いて外部加熱する場合と比較して、クリーンな環境でレジストパターン8bを溶融することができる。
さらに、レーザー光を照射することによりレジストパターン8bを溶融し、分離層5を形成した後に、レーザー光を用いて表面検査を行う場合、レジストパターン8bの溶融と表面検査とを連続して行うことができ、磁気記録媒体10の生産性をより一層を高めることができる。
また、本実施形態の磁気記録媒体10の製造方法において、レジストパターン8bが、熱可塑性を有する有機ケイ素化合物からなるものである場合、以下に示す(1)〜(3)の効果が得られる。
(1)熱可塑性を有する有機ケイ素化合物の溶融レジストは、分子量が大きいにもかかわらず粘性および表面張力が低く、記録層4や保護層6を構成する材料に対する濡(ぬ)れ性が高いものである。このため、溶融レジストが、重力および/または毛細管現象によって自己整合的に凹部4a内に埋め込まれることにより、凹部4a内に緻密に隙間無く溶融レジストが充填されることになり、記録層4の周囲や凹部4a内に空隙を生じさせることがない。したがって、凹部4a内の空隙に起因する腐食が発生しにくく、高温高湿の環境において使用する場合においても、耐久性・信頼性に優れた磁気記録媒体10が得られる。
(2)熱可塑性を有する有機ケイ素化合物の溶融レジストは、硬化時の収縮率が小さいものであるため、微細構造である記録層4に、凹部4a内に充填された溶融レジストを硬化させることに起因する歪みが生じにくいものとなる。したがって、高精細で高記録密度特性に優れた記録層4を容易に形成できる。
(3)熱可塑性を有する有機ケイ素化合物の溶融レジストは、凹部4a内に容易に緻密に隙間無く充填されるものであるので、記録層4の分離特性を向上させるとともに記録密度を向上させるために、凹部4aの形状をより一層微細で深い形状とすることができ、分離特性に優れた記録層4を備える高記録密度特性に優れた磁気記録媒体10を実現できる。
また、本実施形態の磁気記録媒体10の製造方法において、レジストパターン8bが、熱可塑性を有する有機ケイ素化合物からなるものであり、有機ケイ素化合物が、上記一般式(1)で表されるシルセスキオキサン化合物を含むものである場合、以下に示す効果が得られる。
特に、フェニルシルセスキオキサンは、レーザー光による250℃以下の加熱で容易に流動化し、凹部に流れ込んだ後、室温で固化するため好ましい。
上記一般式(1)で表されるシルセスキオキサン化合物は、溶融レジストが硬化した後に得られる表面の平滑性が優れたものとなる。このことにより、磁性層4と磁気ヘッドとの間隔を低減することが可能なものとなり、高記録密度に対応可能な磁気記録媒体10とすることができる。
また、上記一般式(1)で表されるシルセスキオキサン化合物は、ドライエッチングに対して優れたエッチング特性が得られるものであるため、ドライエッチング後に平滑なエッチング面が得られる。これにより記録トラック部やビット部などとなるパターンを、高精細で形成することが可能となり、磁気記録媒体10の記録密度を高めることが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、保護層6は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。図3は、本発明の磁気記録媒体の製造方法を用いて製造された磁気記録媒体の他の例を示した断面図であり、磁気記録媒体の一部分のみを拡大して示した拡大図である。
図3に示す磁気記録媒体11が、図1に示す磁気記録媒体10と異なるところは、保護層が、記録層4上に設けられた第1保護層7aと、第1保護層7a上および分離層5上に設けられた第2保護層7bとの2層からなるところである。
図3に示す磁気記録媒体11は、図1に示す磁気記録媒体10の形成方法とほぼ同様にして形成することができる。すなわち、図1に示す磁気記録媒体10の形成方法と同様にして、分離層5を形成する工程まで行った後、第1保護層7a上および分離層5上に第2保護層7bを設ける方法によって形成できる。なお、第1保護層7aは、図1に示す磁気記録媒体10の形成方法と同様の方法において保護層6と同様にして形成される。
したがって、図3に示す磁気記録媒体11の製造方法においても、上述した図1に示す磁気記録媒体10の製造方法と同じ効果が得られる。
また、図3に示す磁気記録媒体11の製造方法においては、分離層5を形成する工程まで行った後に、第1保護層7a上および分離層5上に第2保護層7bを設ける工程を行っているので、記録層4上に設けられた第1保護層7aと、第1保護層7a上および分離層5上に設けられた第2保護層7bとの2層からなる保護層を有し、より一層、耐久性および信頼性に優れた磁気記録媒体11を製造できる。
「磁気記録再生装置」
次に、本発明の磁気記録再生装置として、図1に示す磁気記録媒体10を備えた磁気記録再生装置を例に挙げて説明する。図4は、本発明の磁気記録再生装置の一例を示した概略構成図である。図4に示す磁気記録再生装置Bは、図1に示す磁気記録媒体10と、磁気記録媒体10を支持および回転させる駆動手段としてのスピンドルモータ23と、磁気ヘッド24と、磁気ヘッド24を先端に搭載したサスペンションを有し、磁気ヘッド24を磁気記録媒体10に対して移動自在に支持するヘッドアクチュエータ25と、ヘッドアクチュエータ25を回転自在に支持する回転軸26と、回転軸26を介してヘッドアクチュエータ25を回転および位置決めするボイスコイルモータ27と、信号処理回路28とを備えている。
磁気ヘッド24は、磁気記録媒体10に磁気信号からなる情報を記録再生するものである。磁気ヘッド24としては、読み込みヘッド用の再生素子として異方性磁気抵抗効果(AMR)を利用したAMR素子の他、巨大磁気抵抗効果(GMR)を利用したGMR素子、トンネル効果を利用したTMR素子などを有する高記録密度に適した磁気ヘッドを用いることができる。
図4に示す磁気記録再生装置Bは、磁気的に分離された複数の記録層4を有し、隣接する記録層4間が非磁性材料で埋め込まれた表面平坦性に優れた磁気記録媒体10と、磁気ヘッド24とを備えたものであるので、高記録密度特性に優れ、安定した磁気ヘッド24の浮上特性が得られるものとなる。
例えば、図4に示す磁気記録再生装置Bでは、磁気ヘッド24の浮上量を従来よりも低い0.005μm〜0.020μmの高さとすることができ、高出力で、高い装置S/Nが得られ、信頼性に優れた磁気記録再生装置Bを提供することができる。
さらに、本実施形態の磁気記録再生装置Bにおいて、最尤復号法による信号処理回路28を組み合わせた場合、さらに記録密度を向上できる。具体的には、例えば、トラック密度100kTPI以上、線記録密度1000kbpI以上、1平方インチ当たり100Gビット/インチ以上の記録密度で記録・再生する場合にも十分なS/Nが得られる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
(実施例)
本発明の磁気記録媒体の実施例であるディスクリートトラック媒体を以下に示す製造方法により製造した。
円盤状のHD用ガラス基板(コニカミノルタ(株)製、外径1.89インチ)からなる非磁性基板を洗浄後、成膜装置の真空チャンバ内に設置し、真空チャンバ内を1.0×10−5Pa以下に真空排気し、その後、DC(直流)スパッタ法を用いて、65Fe−25Co−10B(原子%)を加熱なしで35nm、Ruを0.8nm、65Fe−25Co−10B(原子%)を35nm成膜することによって軟磁性裏打ち層を形成した。
続いて、DCスパッタ法を用いて、20nmのRuからなる配向制御膜と、12nmの65Co−10Cr−15Pt−10SiO(原子%)からなる記録層となる磁性層と、4nmの炭素からなる保護層とを形成した。
次に、保護層までの各層の形成された媒体を真空チャンバ内から取り出し、保護層上にスピンコート法によりレジスト溶液を塗布し、約100℃の恒温槽で20分焼成して余分な溶剤を除去した。なお、レジスト溶液としては、上述の一般式(2)で表される構造の繰り返し単位からなるシルセスキオキサン化合物であって、RおよびRがフェニル基であるポリフェニルシルセスキオキサン(小西化学工業株式会社製SR−20、重量平均分子量(GPCにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量)5470)を、溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)100質量%に対して5質量%含む溶液を用いた。また、レジスト溶液の塗布量は4ml、塗布厚は60mmであった。
次に、スタンパーを用いてインプリントプロセスを施し、保護層上に記録トラック部の形状に対応する凹部を有するレジスト層を形成した。なお、スタンパーとしては、Niからなり、記録トラック部のピッチ(Track pitch)が150nmの同心円状となる凹溝の形成されているものを用いた。
次に、レジスト層までの各層の形成された非磁性基板を真空チャンバ内に設置し、イオンビームエッチングを用いて、レジスト層の凹部の底面に残存する部分を除去し、凹部の底面に保護層の露出されたレジストパターンを形成した。続いて、イオンビームエッチングを用いて、レジストパターンの凹部から露出している保護層と、保護層を除去することによって露出された磁性層とを連続して除去した。このことにより、分離層になる凹部と、凹部によって平面視で磁気的に分離された複数の記録層とを形成した。
ここで形成された分離層となる凹部の幅は80nmであった。また、分離層となる凹部の深さは40nmであった。
次に、レジストパターンにレーザー光を照射することにより、レジストパターンを溶融して溶融レジストとし、溶融レジストを凹部内に埋め込み、室温で放冷することにより硬化させて分離層を形成した。
なお、レーザー装置としては、半導体レーザーを用い、レジストパターンを溶融させる際には、レーザー光の波長を408nm、レーザー光の照射範囲であるスポット径を5μm、レーザー光の出力を20mWとし、非磁性基板を回転数510rpmで回転させながら行った。
また、分離層を形成した後に連続してレーザー光を用いる表面検査を行った。表面検査の際には、レーザー光の波長を408nm、レーザー光の照射範囲であるスポット径を5μm、レーザー光の出力を5mWとし、非磁性基板を回転数10000rpmで回転させながら行った。
ここでの表面検査において表面にレーザー光を照射して得られた反射光の散乱状態から、溶融せずに表面に残存しているレジストパターンがなく完全に溶融し、溶融レジストが凹部内に埋め込まれたことが確認できた。
その後、保護層上および分離層上に、厚さ4nmのダイヤモンド状炭素からなる保護層をCVD法にて形成し、潤滑材を2nm塗布して磁気記録媒体を得た。
(グライドヒット評価)
次に、実施例で製造した磁気記録媒体についてグライド検査を行った。グライド検査は、検査ヘッドと磁気記録媒体の表面との間の機械的なスペーシングを8nmとし、検査ヘッドからの磁気記録媒体表面の突起物との衝突に起因するシグナル(グライドヒット)の数をカウントすることにより行った。
(耐腐食性(コロージョン)評価)
また、実施例で製造した磁気記録媒体について耐腐食性評価を実施した。耐腐食性評価は、磁気記録媒体を温度80℃、湿度85%の大気環境下に96時間保持し、その後、磁気記録媒体の表面に生じた5ミクロンφ以上のコロージョンスポットの数をカウントすることにより行った。
グライドヒット評価および耐腐食性評価の結果、実施例の磁気記録媒体では、グライドヒットおよびコロージョンスポットが観測されず、安定した磁気ヘッドの浮上特性と、高い耐環境性とが得られることを確認できた。これは、実施例の磁気記録媒体が、隣接する記録層間が非磁性材料で緻密に隙間無く充填された表面平坦性に優れたものであることによるものと推定される。
図1は、本発明の磁気記録媒体の製造方法を用いて製造された磁気記録媒体の一例を示した断面図であり、磁気記録媒体の一部分のみを拡大して示した拡大図である。 図2は、図1に示す磁気記録媒体の製造方法の一例を説明するための工程図である。 図3は、本発明の磁気記録媒体の製造方法を用いて製造された磁気記録媒体の他の例を示した断面図であり、磁気記録媒体の一部分のみを拡大して示した拡大図である。 図4は、本発明の磁気記録再生装置の一例を示した概略構成図である。
符号の説明
1…非磁性基板、2…軟磁性裏打ち層、3…配向性御層、4…記録層、4a、8c…凹部、5…分離層、6…保護層、7…磁性層、7a…第1保護層、7b…第2保護層7b、8a…レジスト層、8b…レジストパターン、10、11…磁気記録媒体、B…磁気記録再生装置、23…スピンドルモータ、24…磁気ヘッド、25…ヘッドアクチュエータ、26…回転軸、27…ボイスコイルモータ、28…信号処理回路。

Claims (10)

  1. 非磁性基板上に磁性層を形成し、前記磁性層上に非磁性材料からなるレジストパターンを形成する工程と、
    前記レジストパターンから露出している前記磁性層を除去することにより、分離層になる凹部と、前記凹部によって平面視で磁気的に分離された複数の記録層とを形成する工程と、
    前記レジストパターンを溶融して溶融レジストとし、前記溶融レジストを前記凹部内に埋め込んで硬化させることにより分離層を形成する工程とを備えることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  2. レーザー光を照射することにより、前記レジストパターンを溶融することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  3. 前記分離層を形成した後に、レーザー光を用いて表面検査を行う工程を備えることを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体の製造方法。
  4. 前記レジストパターンが、熱可塑性を有する有機ケイ素化合物からなるものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  5. 前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(1)で表されるシルセスキオキサン化合物を含むことを特徴とすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
    Si ・・・(1)
    (上記一般式(1)において、RおよびRは、置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基または置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。また、RおよびRは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。)
  6. 前記シルセスキオキサン化合物が、下記一般式(2)で表される構造の繰り返し単位からなり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000〜100000である化合物であることを特徴とする請求項5に記載の磁気記録媒体の製造方法。
    Figure 0004990866
    (上記一般式(2)において、RおよびRは、置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜8のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルコキシ基または置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基を表す。また、RおよびRは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。)
  7. 前記一般式(2)のRおよびRが、メチル基またはフェニル基であることを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 前記シルセスキオキサン化合物が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が1500〜30000である化合物であることを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  9. 前記シルセスキオキサン化合物が、フェニルシルセスキオキサンであることを特徴とする請求項5〜8の何れか1項に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  10. 磁気記録媒体と、該磁気記録媒体に情報を記録再生する磁気ヘッドとを備えた磁気記録再生装置であって、
    前記磁気記録媒体が請求項1〜9の何れか1項に記載の製造方法で製造されたものであることを特徴とする磁気記録再生装置。
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