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JP5035992B2 - モールドの製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、ナノインプリントリソグラフィ等に適したモールドの製造方法に関する。
金属等からなり、表面に微細な凹凸のパターンを有するモールドの製造方法として、湿式めっき法、とりわけ電鋳法が知られている。例えば、ナノインプリントリソグラフィ等に好適に用いられる、サイズが1μm未満の微細な凹凸のパターンを有する金属モールドの製造方法が、非特許文献1及び2に記載されている。
非特許文献1ではフォトリソグラフィーによってレジストパターンを形成した基板を、非特許文献2ではフォトリソグラフィーとドライエッチング法とによって作製したシリコン構造物をそれぞれ原盤としこの原盤に直接電鋳を行い、湿式めっきによりモールドを製造している。具体的には、非特許文献1におけるモールド製造方法は次の通りである。まずシリコン基板上に電子線リソグラフィーによってレジストパターンを形成する。次に、この表面に導電層等を形成し、ニッケル電鋳を行う。最後にシリコン基板及びレジストパターンを剥離することにより、ニッケル製のモールドが完成する。また、非特許文献2におけるモールド製造方法は次の通りである。フォトリソグラフィーとドライエッチング法とを用いて表面に微細な凹凸のパターンを形成したシリコン構造物を形成し、これを原盤とする。次に原盤の表面に導電層等を形成し、ニッケル電鋳を行う。最後に原盤であるシリコン構造物を溶解剥離することにより、ニッケル製のモールドが完成する。
しかしながら、非特許文献1の方法では、機械的強度の低いレジストパターンに直接電鋳を行うため、1つの原盤(レジストパターンを形成した基板)から1個のモールドしか製造することができない。また、原盤が微細な凹凸のパターンを有しているので、当該原盤からのモールドの剥離も困難である。また、非特許文献2の方法では、原盤を溶解させてモールドから剥離するため、1つの原盤から1個のモールドしか製造することができず、高コストであるという問題がある。
谷口淳「はじめてのナノインプリント技術」 工業調査会(2005)P184〜185 平井義彦 編「ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開」フロンティア出版(2006) P30〜32
本発明は、このような事情に鑑み、1つの原盤から複数のモールドを製造することが可能であり、鋳型からの剥離性が良好なモールドの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために種々検討した結果、少なくとも1つの光重合性基及び光硬化性組成物1グラムあたり1×10−3mol以上のアルカリ分解性官能基を有する化合物と光重合開始剤とを含有する光硬化性組成物を、原盤を用いて凹凸のパターンを有する光硬化層となし、この光硬化層を鋳型として湿式めっきによりめっき堆積物層を作成した後、アルカリ溶液により光硬化層を溶解させてめっき堆積物層から剥離することによりめっき堆積物層からなるモールドを得ることができ、上記課題を解決することができることを見出し、本発明に到達した。
かかる本発明の第1の態様は、少なくとも一方が活性光に対して実質的に透明である、基板及び凹凸のパターンが形成された原盤を用いてモールドを製造する方法であって、前記基板又は前記凹凸のパターンが形成された原盤上に、少なくとも1つの光重合性基を有する化合物と光重合開始剤とを含有する液状の光硬化性組成物からなる光硬化性組成物層を形成する工程と、前記基板及び前記原盤で前記光硬化性組成物層を挟み込む工程と、前記基板及び前記原盤で挟み込まれた状態のままの前記光硬化性組成物層を活性光で露光して光硬化層とする工程と、この光硬化層から前記原盤を離型する工程と、前記光硬化層を鋳型として湿式めっきを行い前記光硬化層上にめっき堆積物層を形成する工程と、前記光硬化層をアルカリ溶液に浸漬することにより溶解させて前記光硬化層を前記めっき堆積物層から剥離する工程とを有し、前記光重合性基を有する化合物は前記光硬化性組成物1グラムあたり1×10−3mol以上のアルカリ分解性官能基を有することを特徴とするモールドの製造方法にある。
本発明の第2の態様は、前記原盤が、ピッチが350nm以下の凹凸のパターンを有するものであることを特徴とする第1の態様に記載のモールドの製造方法にある。
本発明の第3の態様は、前記原盤が、アスペクト比が1.5以上の凹凸のパターンを有するものであることを特徴とする第1又は2の態様に記載のモールドの製造方法にある。
本発明によれば、所定の光硬化性組成物及び原盤を用いて凹凸パターンを有する光硬化層を作成し、この光硬化層を鋳型として湿式めっきによりめっき堆積物層を作成した後、アルカリ溶液により光硬化層を溶解させてめっき堆積物層から剥離することによりめっき堆積物層からなるモールドを得ることができ、1つの原盤から複数のモールドを製造することが可能であって、鋳型からの剥離性が良好なモールドの製造方法を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のモールドの製造方法は、少なくとも一方が活性光に対して実質的に透明である、基板及び原盤を用い、まず、この基板又は原盤上に、光重合性基を有する化合物と光重合開始剤とを含有する光硬化性組成物からなる液状の光硬化性組成物層を設ける。
基板は、光硬化性組成物を塗布や滴下等した光硬化性組成物層を設けることができるものであればよく、例えば、通常の光インプリントリソグラフィによるパターンの形成方法において用いられている基板でよいが、液状の光硬化性組成物を実質的に均一な厚さで塗布することができるものであることが好ましい。具体例としては、シリコンウエハー等の半導体基板、GaAs、InAs、GaN等の化合物半導体、ガラス、石英、サファイア等の透明無機基板、セラミック基板、ポリカーボネート、PET、トリアセチルセルロース等の合成樹脂基板、金属または金属酸化物等が挙げられる。また、活性光に対して透明な基板としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、透明合成樹脂基板等が挙げられる。そして、基板の表面は、液状の光硬化性組成物層との接着性の向上やその液状の光硬化性組成物層の塗布状態改良等のために、前処理が施されていてもよい。前処理の具体例としては、湿式の表面洗浄やプラズマ、オゾン洗浄等による表面改質、シランカップリング剤のような接着向上剤による処理等が挙げられる。
原盤は、表面に所望の凹凸のパターンが形成されていればよい。原盤に後述する工程で光硬化性組成物層を設ける場合は、その上に液状の光硬化性組成物を塗布や滴下等した光硬化性組成物層を設けることができるものであればよい。原盤の材質の例としては、石英、シリコン、シリコンカーバイド、酸化シリコン、ニッケルなどの金属や金属酸化物、合成樹脂等が挙げられる。原盤の外観は、通常の光インプリントリソグラフィにおいて用いられているモールドの外観と同様のものでよく、例えば外観が直方体状又はロール状であってよい。
また、原盤表面に形成されている凹凸のパターンは、通常の光インプリントリソグラフィにおいて用いられているモールドの表面に形成されている凹凸のパターンと同様のものであってよいが、それに限定されるものでない。例えば、原盤の材料の表面に窪みを形成することにより凹部を形成した原盤としてもよく、この場合、相対的に表面側に突出した部分が凸部となる。また、原盤の材料の表面に突起を設けることにより凸部を形成した原盤としてもよく、この場合、相対的に内側に窪んだ部分が凹部となる。凹凸のパターンの各凹部の断面の形状は、正方形、長方形、半月形、またはそれら形状に類似した形状等でもよく、各凹部は、例えば、深さが1nm〜100μm程度、開口部の幅が1nm〜100μm程度のものであってよい。そして、凹凸のパターンのピッチが350nm以下、さらには300nm以下でアスペクト比が1.5以上の微細なパターンを有する原盤を用いると、従来の方法では、原盤からのめっき堆積物層の剥離が困難であるため、原盤の凹凸のパターンが精密に転写されたモールドを得ることができないという問題が生じやすいが、本発明のモールドの製造方法によれば、パターンのピッチが350nm以下、さらには300nm以下でアスペクト比が1.5以上、パターンのピッチが10nm以上でアスペクト比が20以下の凹凸のパターンを有する原盤を用いても、原盤の凹凸のパターンが精密に転写されたモールドを得ることができる。なお、本明細書において、アスペクト比とは、凹部又は凸部の直径もしくは最小の1辺の長さをx、凹部の深さ又は凸部の高さをyとしたときのy/xを表し、また、ピッチは図1(b)のPで表される凹部及び凸部の幅である。
そして、原盤の表面は、原盤の上に設けられた光硬化性組成物層が硬化した後で原盤を離型する際に離型が円滑に行えるようにするために、離型処理が施されていていることが好ましい。離型処理は気相法や液相法等により、パーフルオロ系又は炭化水素系の高分子化合物、アルコキシシラン化合物又はトリクロロシラン化合物、ダイヤモンドライクカーボン等に例示される公知の離型処理剤を用いて行うことができる。
このような基板又は原盤に設ける光硬化性組成物層を形成する光硬化性組成物は、少なくとも1つの光重合性基を有し、かつ当該光硬化性組成物1グラムあたり1×10−3mol以上のアルカリ分解性官能基を有する化合物と、光重合開始剤とを含有する液状の組成物である。
光重合性基を有する化合物とは、ラジカル重合性基又は有するカチオン重合性基を有する化合物をいう。ラジカル重合性基の例としては、アクリロイル基、メタアクリロイル基及びビニル基等が挙げられる。カチオン重合性基の例としては、エポキシ基、ビニルエーテル類、オキセタン類、オキソラン類、スピロオキソエステル類及びチイラン類等が挙げられる。光重合性基を有する化合物は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、ラジカル重合性基を有する化合物とカチオン重合性基を有する化合物とを併用してもよい。
そして、本発明においては、光重合性基を有する化合物として、アルカリ分解性官能基を光硬化性組成物1グラムあたり1×10−3mol以上、好ましくは2.5×10−3mol有するものを用いる。アルカリ分解性官能基の量が光硬化性組成物1グラムあたり1×10−3mol未満である場合には、後述する光硬化層をアルカリ溶液に浸漬することにより溶解させて光硬化層をめっき堆積物層から剥離する工程で光硬化層の剥離が不十分であったり、長時間を要したりする。また、アルカリ分解性官能基の量の上限は特に限定されないが、例えば光硬化性組成物1グラムあたり12×10−3mol以下である。ここで、アルカリ分解性官能基とは、任意の濃度のアルカリ性溶液に浸漬することにより、官能基中の1つ以上の化学結合が切断される性質を有するものをいう。アルカリ分解性官能基としては、エステル基、アミド基等が挙げられる。アルカリ分解性官能基を有する光重合性基を有する化合物としては、例えば、アクリレート類、メタクリレート類、アクリルアミド類等が挙げられる。
光重合開始剤とは、活性光の照射により、上記光重合性基を有する化合物の重合を開始させることができるラジカル、カチオン等の活性種を発生する化合物をいう。光重合開始剤は、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とに分類できる。ラジカル重合開始剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、アシルフォスフィンオキサイド類、チタノセン類及びオキシムエステル類、トリハロメチルトリアジン類、その他トリハロメチル基を有する化合物等が挙げられる。カチオン重合開始剤の例としては、芳香族スルホニウム塩及び芳香族ヨードニウム塩等が挙げられる。重合開始剤は単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、ラジカル重合開始剤とカチオン重合開始剤とを併用してもよい。さらに、光重合開始剤と共に増感剤を用いてもよい。
また、光硬化性組成物には、その性能に悪影響を及ぼさない範囲で、かつ、基板や原盤への塗膜形成性を損なわない範囲で、非光硬化性オリゴマーや非光硬化性ポリマー、密着性付与剤(例えば、シランカップリング剤等)、有機溶剤、レベリング剤、可塑剤、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、香料、熱架橋剤、及び重合禁止剤等が含有されていてもよい。なお、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて含有されていてもよい。
光硬化性組成物における光重合性基を有する化合物の含有率は、光硬化性組成物の総量100重量部に対して、50〜99.99重量部が好ましい。50重量部未満では光重合性基の量が少ないことにより、99.99重量部を超えると、光重合性基を有する化合物に対する光重合開始剤の割合が低くなることにより、いずれも光硬化性が低下するためである。さらに、光重合性基を1分子中に2つ以上有する光重合性基を有する化合物を、光硬化性組成物の総量100重量部に対して5重量部以上、好ましくは20重量部以上含有するのが望ましい。光架橋により光硬化物の機械的強度を向上させるためである。また、光硬化性組成物における光重合開始剤の含有率は、光重合性基を有する化合物100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。0.01重量部未満では光重合性基を有する化合物に対する光重合開始剤の割合が低くなり、光硬化性が低下する。また20重量部を超えると、光硬化性組成物に対する光重合開始剤の溶解性が低下し、実用的でないためである。
また、光硬化性組成物は液状であり、具体的には、後述する基板及び原盤で光硬化性組成物層を挟み込む工程で、光硬化性組成物が原盤のパターンを充填できる程度の流動性を有する。例えば、粘度が25℃で10Pa・s以下である。粘度の測定方法としては、例えば、TOKIMEC社製のB型粘度計を用いて測定する方法が挙げられる。なお、基板や原盤への塗膜形成性を良好にする上では、大気圧環境下、室温ないし室温近辺の温度にて液状を呈しているものを用いることが好ましい。
このような光硬化性組成物を用いて、基板又は原盤に光硬化性組成物層を形成する。光硬化性組成物層を形成する方法は特に限定されず、例えば、塗布や滴下、具体的には、スピンコート、ロールコート、ディップコート、グラビアコート、ダイコート、カーテンコート、インクジェット塗布及びディスペンサー塗布等が挙げられる。
光硬化性組成物層の厚さは、原盤に形成された凹凸のパターンの凹部に充填される光硬化性組成物の量、例えば凹凸のパターンの凹部の深さなどを考慮して設定すればよい。また、原盤や基板の全面を覆うように光硬化性組成物層を設けてもよく、一部のみを覆うように設けてもよい。
このように、基板又は原盤に光硬化性組成物層を形成した後、基板と原盤とを対向させて、基板と原盤とで光硬化性組成物層を挟み込む。基板と原盤とを共に水平に保って光硬化性組成物層を挟み込むことが好ましいが、得られるパターンに支障が生じなければ、水平に保つことに限定する必要はない。また、挟み込みにかける圧力は、1KPa〜10MPaであることが好ましく、10KPa〜1MPaであることが特に好ましい。なお、従来の光インプリントリソグラフィにおける装置を用いることができる。
その後、基板及び原盤で挟み込まれた状態のままの光硬化性組成物層を、活性光で露光して光硬化層とする。ここで、活性光とは、光硬化性組成物に照射することにより該光硬化性組成物中の光重合開始剤の重合開始能を発揮させることができる光を意味し、代表的な活性光は170nm〜600nmの波長帯の紫外〜可視光である。露光に用いる光源は、活性光を照射できるものであればよい。光源の例としては、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク、水銀キセノンランプ、XeCl、KrFやArF等のエキシマーレーザ、紫外あるいは可視光レーザー、及び紫外あるいは可視光LED等が挙げられる。活性光の照射量は、光硬化性組成物層を活性光の照射により光硬化層とすることができる量であればよい。本発明を工業的に実施する際には、通常、10J/cm以下の範囲内で照射量を選定するとよい。なお、基板及び原盤のうち、活性光に対して実質的に透明である部材の側から光硬化性組成物層に活性光を照射する。
次いで、光硬化層から原盤を離型することにより、原盤の凹凸のパターンが転写された光硬化層を基板上に形成することができる。原盤を溶解せず、すなわち、原盤を破壊せず、光硬化層から原盤を離型することにより剥離するため、原盤を繰り返し使用することが可能である。なお、離型する際には、基板と原盤とを共に水平に保って離型することが好ましいが、水平に保つことに限定する必要はない。
次に、光硬化層を鋳型として湿式めっきを行い、光硬化層のパターン上にめっき堆積物を目的の厚さまで堆積させて、めっき堆積物層を形成する。湿式めっきは一般的に知られている方法で行えばよいが、得られためっき堆積物層をモールドとして用いるので、厚めっきが可能な電鋳法が望ましい。したがって、めっき堆積物は電鋳が可能であり、かつ後述する光硬化層をアルカリ溶液に浸漬することにより溶解させて光硬化層をめっき堆積物層から剥離する工程で、アルカリ溶液に耐性があるものであることが好ましく、例えば銅やニッケル等の金属を用いることができる。なお、光硬化層の凹凸のパターン表面が導電性を有しない場合には、湿式めっきを行う前に、導体化処理を行い光硬化層の凹凸のパターン表面に導電層を形成し、その後、湿式めっきを行えばよい。導体化処理方法については、例えば蒸着法、無電解めっき、CVD、スパッタリングなどの一般に知られている方法で行うことができる。
そして、光硬化層をアルカリ溶液に浸漬することにより、光硬化層を溶解させて光硬化層をめっき堆積物層から剥離する。上記所定の光硬化性組成物を用いているので、鋳型とした光硬化層をアルカリに浸漬することにより、光硬化層からなる鋳型からめっき堆積物層を残渣が無く剥離することができ、光硬化層のパターンが精密に転写されためっき堆積物層からなるモールドを製造することができる。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、アルキルアミンの溶液、もしくは市販のアルカリ性剥離剤等が挙げられる。これらのアルカリ溶液は、単独で用いても、2種類以上を併用して用いてもよい。また、界面活性剤等の各種添加剤を含有していてもよい。アルカリ溶液の濃度は、光硬化層を溶解させてめっき堆積物層から光硬化層を剥離することができるものであれば特に限定されないが、1重量%以上が好ましく、さらに好ましくは5重量%以上である。アルカリ溶液の温度は、室温でもよく、適宜加温してもよい。加温する場合には揮発性の低い無機アルカリ溶液を用いることが望ましい。また、光硬化層をアルカリ溶液に浸漬する際に、超音波や、攪拌、振動などの操作を併用してもよい。
光硬化層をめっき堆積物層から十分に除去することにより、めっき堆積物層からなるモールドが得られる。得られたモールドを純水等で洗浄することが望ましい。モールド表面に残留することがあるアルカリ成分をその洗浄により除去することができる。
以上述べた本発明のモールドの製造方法によれば、湿式めっき及び光インプリントリソグラフィにより、1つの原盤から複数のモールドを製造することが可能であり、鋳型からの剥離性が良好なモールドの製造方法を提供することができる。そして、原盤のパターンを精密に転写したモールドを得ることができるので、微細な凹凸のパターンを有する原盤を用いれば、ナノインプリントリソグラフィに適した微細な凹凸のパターンを有するモールドを製造することができる。
本発明のモールドの製造方法の一例を、図1を参照して以下に説明する。まず、図1(a)に示すように、活性光に対して実質的に透明な基板1上にバーコーター等で所定の光重合性基を有する化合物及び光重合開始剤を含有する液状の光硬化性組成物を塗布して、光硬化性組成物層2を形成する。次に、図1(b)に示すように、基板1の光硬化性組成物層2と原盤3とを対向させ、基板1及び原盤3で光硬化性組成物層2を挟み込み、原盤3の凹部に十分に光硬化性組成物層2を充填させた後、図1(c)に示すように、基板1及び原盤3で挟み込まれた状態のままの光硬化性組成物層2を、基板1の側から活性光で露光して光硬化層4とする。そして、図1(d)に示すように、光硬化層4から原盤3を離型する。次に、図1(e)に示すように、光硬化層4を鋳型として湿式めっきを行い、基板1上の光硬化層4上にめっき堆積物を堆積させてめっき堆積物層5を形成する。次いで、光硬化層4をめっき堆積物層5及び基板1と共にアルカリ溶液に浸漬することにより、光硬化層4をアルカリ溶液に溶解させて、光硬化層4をめっき堆積物層5から剥離する。これによりめっき堆積物層5からなるモールドが得られる。なお、図1では、光硬化性組成物層2を基板1上に設ける方式を採用してモールドを製造する方法について示したが、光硬化性組成物層2は原盤3上に設ける方式を採用してもよい。
以下、実施例を示しながら本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(光硬化性組成物の調製)
<光硬化性組成物A>
光重合性基を有する化合物としてアダマンチルメタクリレートを20重量部、トリプロピレングリコールジアクリレートを25重量部、1,9−ノナンジオールジアクリレートを40重量部、及びトリメチロールプロパントリメタクリレートを10重量部と、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタールを5重量部配合し、ベンジルジメチルケタールが溶解するまで室温で攪拌して液状の光硬化性組成物Aを調製した。この光硬化性組成物A 1g中のアルカリ分解性官能基であるエステル基の量は6.52×10−3molであった。
<光硬化性組成物B>
光重合性基を有する化合物としてスチレンを35重量部、ポリエチレングリコールジメタクリレート(NK−9G、新中村化学工業(株)製)を50重量部、及びトリメチロールプロパントリメタクリレートを10重量部と、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタールを5重量部配合し、ベンジルジメチルケタールが溶解するまで室温で攪拌して液状の光硬化性組成物Bを調製した。この光硬化性組成物B 1g中のアルカリ分解性官能基であるエステル基の量は2.31×10−3molであった。
<光硬化性組成物C>
光重合性基を有する化合物としてN,N−ジメチルアクリルアミドを15重量部、NK−9Gを65重量部、及びトリメチロールプロパントリメタクリレートを15重量部と、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタールを5重量部配合し、ベンジルジメチルケタールが溶解するまで室温で攪拌して液状の光硬化性組成物Cを調製した。この光硬化性組成物C 1g中のアルカリ分解性官能基であるエステル基およびアミド基の総量は5.45×10−3molであった。
<光硬化性組成物D>
光重合性基を有する化合物としてスチレンを85重量部、及びトリメチロールプロパントリメタクリレートを10重量部と、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタールを5重量部配合し、ベンジルジメチルケタールが溶解するまで室温で攪拌して液状の光硬化性組成物Dを調製した。この光硬化性組成物D 1g中のアルカリ分解性官能基であるエステル基の量は0.97×10−3molであった。
(実施例1)
光硬化性組成物Aと、厚さ1.1mmのソーダガラス基板と、凹凸のパターン(直径が250nm、ピッチが350nmのホール形状であり、ホールの深さは400nm)が全面に形成された原盤を用いて、図1に示す工程でモールドを製造した。具体的には、活性光に対して透明であるソーダガラス基板上に、光硬化性組成物Aをバーコーターで塗布して光硬化性組成物層を形成した。次に、パターン表面にフッ素系シランカップリング剤で離型処理を施したシリコン製の原盤を光硬化性組成物層に押しつけ、この状態で均一な圧力で0.3MPaまで加圧して原盤を密着させ、加圧状態で30秒間保持してパターン内へ光硬化性組成物を充分に充填させた後、超高圧水銀ランプを用いてソーダガラス基板側から露光し、光硬化性組成物層の光硬化を行った。露光量は100mJ/cmであった。光硬化後に原盤を注意深く離型し、原盤の反転形状が転写された光硬化層を得た。
次いで、得られた光硬化層の凹凸パターンが形成された面に、金蒸着を行い導電層を形成し、電鋳槽内で通電してニッケルからなるめっき堆積物層を形成した。この際、光硬化層のめっき液への膨潤、剥離、パターン変形等は観察されなかった。その後、光硬化層を基板及びめっき堆積物層と共に、60℃に加温した15重量%水酸化カリウム−5重量%トリエタノールアミン水溶液に5時間浸漬して光硬化層を溶解させ、めっき堆積物層から光硬化層を剥離させてめっき堆積物からなる目的のモールドを得た。走査型電子顕微鏡(SEM)による観察から、得られたモールドは原盤の形状を忠実に再現していることを確認した。結果を表1に示す。
(実施例2)
光硬化性組成物層Aの代わりに光硬化性組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でモールドの作成を行った。この結果、アルカリ分解性官能基であるエステル基の量が2.5×10−3mol未満であったため、光硬化層のめっき堆積物層からの剥離に若干時間がかかり一昼夜以上を要したこと以外は良好な結果が得られ、光硬化層のめっき液への膨潤、剥離、パターン変形等は観察されず、また、得られたモールドは原盤の形状を忠実に再現していた。結果を表1に示す。
(実施例3)
光硬化性組成物層Aの代わりに光硬化性組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でモールドの作成を行った。得られたモールドは原盤の形状を忠実に再現していた。結果を表1に示す。
(比較例1)
光硬化性組成物Aの代わりに光硬化性組成物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様の方法でモールドの作成を行った。この結果、めっき堆積物層を形成することはできたが、光硬化性組成物のアルカリ分解性のエステル基の量が1×10−3mol未満であったため、光硬化層をアルカリ溶液で溶解してめっき堆積物層から剥離することができず、目的とするモールドは得られなかった。結果を表1に示す。
(比較例2)
15重量%水酸化カリウム−5重量%トリエタノールアミン水溶液の代わりにアセトンを用いた以外は、実施例1と同様の方法でモールドの作成を行った。この結果、めっき堆積物層を形成することはできたが、光硬化層をめっき堆積物層から剥離することができず、目的とするモールドは得られなかった。結果を表1に示す。
Figure 0005035992
本発明のモールドの製造方法の概略を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 光硬化性組成物層
3 原盤
4 光硬化層
5 めっき堆積物層

Claims (3)

  1. 少なくとも一方が活性光に対して実質的に透明である、基板及び凹凸のパターンが形成された原盤を用いてモールドを製造する方法であって、
    前記基板又は前記凹凸のパターンが形成された原盤上に、少なくとも1つの光重合性基を有する化合物と光重合開始剤とを含有する液状の光硬化性組成物からなる光硬化性組成物層を形成する工程と、前記基板及び前記原盤で前記光硬化性組成物層を挟み込む工程と、前記基板及び前記原盤で挟み込まれた状態のままの前記光硬化性組成物層を活性光で露光して光硬化層とする工程と、この光硬化層から前記原盤を離型する工程と、前記光硬化層を鋳型として湿式めっきを行い前記光硬化層上にめっき堆積物層を形成する工程と、前記光硬化層をアルカリ溶液に浸漬することにより溶解させて前記光硬化層を前記めっき堆積物層から剥離する工程とを有し、前記光重合性基を有する化合物は前記光硬化性組成物1グラムあたり1×10−3mol以上のアルカリ分解性官能基を有することを特徴とするモールドの製造方法。
  2. 前記原盤が、ピッチが350nm以下の凹凸のパターンを有するものであることを特徴とする請求項1に記載のモールドの製造方法。
  3. 前記原盤が、アスペクト比が1.5以上の凹凸のパターンを有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のモールドの製造方法。
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