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JP5079306B2 - 燃料電池用高分子電解質膜、膜−電極接合体及び燃料電池 - Google Patents
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JP5079306B2 - 燃料電池用高分子電解質膜、膜−電極接合体及び燃料電池 - Google Patents

燃料電池用高分子電解質膜、膜−電極接合体及び燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池用高分子電解質膜、膜-電極接合体及び燃料電池に関するものであり、特に、架橋構造を備えた燃料電池用高分子電解質膜に関するものである。
燃料電池用高分子電解質膜に関しては、1960年代の開発初期には、炭化水素系統の高分子膜に関して多くの研究が進められたが、1968年にデュポン社(E.I.Du Pont de Nemours, Inc.)で、パーフルオロネイトスルフォニック酸からなるナフィオン膜(perfluorinated sulfonic acid;Nafion)の開発に伴って研究が本格化し、特にナフィオン膜は、現在まで定置用燃料電池及び携帯用燃料電池の電解質膜に主に適用され、開発が進んでいる。
しかし、ナフィオン(Nafion)系を使用した燃料電池は、80℃以下の駆動にともなう電極触媒のCO被毒(poisoning)問題と直接メタノール燃料電池(Direct methanol fuel cell;DMFC)における、メタノールクロスオーバー(cross over)によって燃料電池の特性を低下させ、寿命を規制させる主要因になるので、この問題を解決する為に多くの研究がなされている。
また、最近はナフィオン等のフッ素系高分子電解質膜の場合、90℃以上の温度で熱安定性がないという問題と、合成が難しく材料の価格が高いという問題点があり、膜の熱安定性の確保とコストの低下のために、スルホン化された炭化水素系高分子電解質膜が開発されている。
しかし、スルホン化された炭化水素系高分子電解質膜は、水分がないとプロトン伝導しないシステムである為、100℃以上の高温駆動においては膜の内部での脱水現象が発生し、水素イオン伝導度が急激に低下する問題を抱えている。
米国特許第5525436号では、ポリベンズイミタゾールをリン酸のような強酸に含浸させ、130℃以上の高温でしかも低加湿において、水素イオン伝導度をもった電解質膜の製造方法を提案した。このように燃料電池が商用化されるためには、長期間の運転でも電池の特性が低下しない耐久性が重要な特性として注目されており、最近の多くの研究チームが電池の寿命低下の原因の一つと予想される電解質膜の劣化問題を改善するために努力している。
米国特許第5525436号明細書
本発明は、大韓民国特許出願2006−15710におけるイミダゾル基を含有するポリイミド高分子電解質膜の耐化学性を向上させ、長期間の耐久性の確保が可能な、架橋化された燃料電池用高分子電解質膜、及びこれを利用した膜-電極接合体並びに燃料電池に関するもので、より詳細には、高分子電解質膜用ポリイミドの架橋剤を導入して耐化学性と機械強度が高い、新しい高分子構造を形成して膜を製造することによって、燃料電池の駆動時に発生するラジカルに対する耐性を向上し、高温で安定して水素イオンの伝導性を発現し、高温無加湿燃料電池システムに適するように使用することができる、燃料電池用高分子電解質膜及び、これを利用した膜-電極接合体、燃料電池を提供することを目的とする。
尚、本発明が解決しようとする技術的課題は以上で述べたものに限らず、言及しなかった他の技術的な課題は後述の記載から明確になる。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の燃料電池用高分子電解質膜は、下記式(1)に示すポリイミド重合体が、下記式(2)〜(5)のうちの何れか一種の架橋剤によって架橋されるとともに、酸が含浸されてなることを特徴とする。
但し、下記式(1)において、Bは下記式(6)で表示された構造であり、A及びPは独立して、下記式(7)〜(17)に示す構造の中から選択されたうちの一つであり、Dは下記式(18)〜(25)に示す構造中から選択されたうちの一つである。また、下記式(1)中、mは10000〜1000000の範囲であり、nは5000〜500000の範囲である。
また、式(2)において、Rは脂環族、芳香族、ヘテロ芳香族の何れかであり、反応基であるエポキシ基の数を示すaは2以上である。
また、式(3)において、R1は芳香族、ヘテロ芳香族の何れかであり、反応基であるアミン基の数を示すbは3以上である。
Figure 0005079306
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また、本発明の燃料電池用高分子電解質膜においては、前記エポキシ基の数を示すaが2〜4の範囲であり、上記式(2)に示す架橋剤が選択された場合の前記ポリイミド重合体に対する前記架橋剤の含有率が1〜40質量%であることが好ましい。
また、本発明の燃料電池用高分子電解質膜においては、前記アミン基の数を示すaが3〜4の範囲であり、上記式(3)に示す架橋剤が選択された場合の前記ポリイミド重合体に対する前記架橋剤の含有率が1〜40質量%であることが好ましい。
また、本発明の燃料電池用高分子電解質膜においては、上記式(4)に示す架橋剤が選択された場合、前記式(1)におけるBと架橋剤とのモル比が、B:架橋剤=90:20〜99:2となるように調整されることが好ましい。
また、本発明の燃料電池用高分子電解質膜においては、上記式(5)に示す架橋剤が選択された場合、前記式(1)におけるA及びPと架橋剤とのモル比が、(A+P):架橋剤=90:20〜99:2となるように調整されることが好ましい。
次に、本発明の燃料電池用の膜−電極接合体は、先のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質膜と、前記燃料電池用高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層と、前記触媒層の前記燃料電池用高分子電解質膜の側とは反対側に配置された気体拡散層とを具備してなることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池は、先に記載の膜−電極接合体と、前記膜−電極接合体の両面に配置されたバイポーラプレートとを具備してなることを特徴とする。
本発明の架橋剤を導入した燃料電池用高分子電解質膜によれば、優秀なリン酸含浸特性を示すとともに、150℃以上の高温無加湿条件においても高いイオン伝導度を示すので、高分子電解質膜として十分な特性を提供するとともに、耐化学安定性が改善されて燃料電池に応用して長期運転時に、安定した電池特性を提供できるという優秀な特性を示すことができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の燃料電池一例を示す分解斜視図であり、図2は、図1の燃料電池を構成する膜−電極接合体の断面模式図である。
図1に示す燃料電池1は、2つの単セル11が一対のホルダ12、12に狭持されて概略構成されている。単セル11は、膜−電極接合体10と、膜−電極接合体10の厚み方向両側に配置されたバイポーラプレート20、20とから構成されている。バイポーラプレート20、20は、導電性を有する金属またはカーボン等から構成されており、膜−電極接合体10にそれぞれ接合することで、集電体として機能するとともに、膜−電極接合体10の触媒層に対して、酸素および燃料を供給する。
また、図1に示す燃料電池1は、単セル11の数が2つだが、数は2つに限らず、燃料電池に要求される特性に応じて数十〜数百程度まで増やしてもよい。
膜−電極接合体10は、図2に示すように、本発明に係る燃料電池用高分子電解質膜(以下、電解質膜という)100と、電解質膜100の厚み方向両側に配置された触媒層110、110’と、触媒層110、110’にそれぞれ積層された第1の気体拡散層121、121’と、第1の気体拡散層121、121’にそれぞれ積層された第2の気体拡散層120、120’とから構成されている。
触媒層110、110’は、燃料極及び酸素極として機能するものであって、活性炭等の触媒物質と、この触媒物質を固化成形するバインダとが含まれてそれぞれ構成されている。バインダは、耐熱性に優れたフッ素樹脂を用いても良く、本発明に係る電解質膜を構成する材料を用いてもよい。バインダとして電解質膜を構成する材料を用いることで、触媒層110、110’内部のプロトン拡散を効率よく行なわれ、触媒層110、110’のインピーダンスが低下して燃料電池の出力が向上する。
第1の気体拡散層121、121’及び第2の気体拡散層120、120’はそれぞれ、たとえばカーボンシート等から形成されており、バイポーラプレート20、20を介して供給された酸素および燃料を触媒層110、110’の全面に拡散させる。
この膜−電極接合体10を含む燃料電池1は、100℃〜300℃の温度で作動し、一方の触媒層側にバイポーラプレート20を介して燃料として例えば水素が供給され、他方の触媒層側にはバイポーラプレート20を介して酸化剤として例えば酸素が供給される。そして、一方の触媒層において水素が酸化されてプロトンが生じ、このプロトンが電解質膜4を伝導して他方の触媒層に到達し、他方の触媒層においてプロトンと酸素が電気化学的に反応して水を生成するとともに、電気エネルギーを発生させる。
なお、燃料として供給される水素は、炭化水素若しくはアルコールの改質により発生された水素でもよく、また、酸化剤として供給される酸素は、空気に含まれる状態で供給されても良い。
次に、膜−電極接合体1に備えられる電解質膜4について説明する。
本発明に係る電解質膜4は、下記式(26)に示すポリイミド重合体が、下記式(27)〜(30)に示す化合物のうちの何れか一種の架橋剤によって架橋されるとともに、酸が含浸されて構成されている。但し、下記式(26)において、Bは下記式(31)で表示された構造であり、A及びPは独立して、下記式(32)〜(42)に示す構造の中から選択されたうちの一つであり、Dは下記式(43)〜(50)に示す構造中から選択されたうちの一つである。また、下記式(26)中、mは1000〜1000000の範囲であり、nは5000〜500000の範囲である。
また、式(27)において、Rは脂環族、芳香族、ヘテロ芳香族の何れかであり、反応基であるエポキシ基の数を示すaは2以上が好ましく、2〜4の範囲がより好ましい。
また、式(28)において、R1は芳香族、ヘテロ芳香族の何れかであり、反応基であるアミン基の数を示すbは3以上が好ましく、3〜4の範囲がより好ましい。
Figure 0005079306
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上記式(26)に示すポリイミド重合体は、分子中に上式(31)に示すベンズイミダゾール基が備えられると共に多数のカルボニル基(C=O基)が備えられている。このように、上式(26)に示すポリイミド重合体は、多数の極性官能基を備えているので、リン酸等の酸を安定して保持することができる。上記式(26)中、mが10000未満またはnが5000未満になると、電解質膜の耐熱性が低下するので好ましくなく、mが2000000を超えるか、またはnが1000000を超えると、ポリイミド重合体の溶媒に対する溶解性が低下して電解質膜の成形が困難なるので好ましくない。
このポリイミド重合体は、ベンズイミダゾール基を有するジアミン化合物と、ピロメット酸二無水物等のジカルボン酸無水物等とを反応させ、イミド結合を形成させることによって製造される。式(26)におけるBが、ジアミン化合物に由来する構造であり、A及びPが、ジカルボン酸無水物に由来する構造である。
次に、式(27)に示す架橋剤は、脂環族、芳香族、ヘテロ芳香族の何れかであるRに、反応基であるエポキシ基が複数結合されてなるエポキシ化合物である。エポキシ化合物に含まれるエポキシ基が、ポリイミド重合体の分子鎖と反応して、ポリイミド重合体を架橋化させる。エポキシ基の数を示すaは2以上が好ましく、2〜4の範囲がより好ましい。エポキシ基の数が2未満では架橋構造を形成することが困難になるので好ましくない。またエポキシ基の数の上限は、Rの構造によって変動するが、エポキシ基の数が4を超えると、架橋が進みすぎて酸の含浸率が低下し、プロトン伝導度が低下する場合がある。式(27)に示す架橋剤の一例としては、下記式(27−1)に示す化合物を例示できる。
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次に、式(28)に示す架橋剤は、芳香族、ヘテロ芳香族の何れかであるR1に、反応基であるアミン基が複数結合されてなるアミン化合物である。アミン化合物に含まれるアミン基が、ポリイミド重合体の分子鎖と反応してポリイミド重合体を架橋化させる。アミン基の数を示すbは3以上が好ましく、3〜4の範囲がより好ましい。アミン基の数が3未満では架橋構造を形成することが困難になるので好ましくない。またアミン基の数の上限は、R1の構造によって変動するが、アミン基の数が4を超えると、架橋が進みすぎて酸の含浸率が低下し、プロトン伝導度が低下する場合がある。式(28)に示す架橋剤の一例としては、下記式(28−1)に示す化合物を例示できる。
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上記式(27)または(28)に示す架橋剤のポリイミド重合体に対する含有率は、1〜40質量%の範囲が好ましく、3質量%〜30質量%の範囲がより好ましく、5〜20質量%が特に理想的であり好ましい。含有率が1質量%未満では架橋化が不十分になって電解質膜4の耐久性が低下するので好ましくない。また、含有率が49質量%を超えると架橋化が進みすぎて酸の含浸率が低下し、プロトン伝導度が低下するので好ましくない。
次に、式(29)に示す架橋剤は、アミン基とエチニル基がベンゼン環に結合されたp−エチニルアニリンである。p−エチニルアニリンによる架橋機構は、まず、分子中のアミン基が、ポリイミド重合体分子鎖の末端と結合する。このときのポリイミド重合体の末端には、ジカルボン酸無水物が位置している場合がよい。p−エチニルアニリンのアミン基とジカルボン酸無水物とが反応してアミド結合が形成される。次に、重合体の末端に結合した形のエチニル基が、他の重合体末端のエチニル基と重合反応し、これにより重合体同士が各末端で架橋される。
また、式(30)に示す架橋剤は、無水マレイン酸である。無水マレイン酸による架橋機構は、まず、分子中のカルボニル基が、ポリイミド重合体を構成する分子鎖の末端と結合する。このときのポリイミド重合体の末端には、ジアミン化合物が位置している場合がよい。無水マレイン酸のカルボニル基とジアミン化合物のアミン基とが反応してアミド結合が形成される。次に、重合体の末端に結合した形の無水マレイン酸の分子内二重結合が、他の重合体末端の二重結合と重合反応し、これにより重合体同士が各末端で架橋される。
上記式(29)に示す架橋剤が選択された場合の架橋剤の含有率は、前記式(26)におけるBと架橋剤とのモル比が、B:架橋剤=90:20〜99:2となるように調整される。
同様に、上記式(30)に示す架橋剤が選択された場合の架橋剤の含有率は、前記式(26)におけるA及びPと架橋剤とのモル比が、(A+P):架橋剤=90:20〜99:2となるように調整される。
尚、式(26)におけるBのモル量は、ジアミン化合物のモル量に対応する量であり、A及びPのモル量は、ジカルボン酸無水物のモル量に対応する量である。
架橋剤のモル比が上記の範囲より少なくなると、架橋化が不十分になって電解質膜4の耐久性が低下するので好ましくない。また、架橋剤のモル比が上記の範囲より過剰になると、架橋化が進みすぎて酸の含浸率が低下し、プロトン伝導度が低下するので好ましくない。
次に、ポリイミド重合体に含浸される酸は、りん酸、ホスホン酸、硫酸、エチルホスフォリック酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホイミド酸、リンタングステン酸等を例示できるが、耐熱性、腐食性、揮発性、導電性の観点から、りん酸が好ましい。これらの酸はいずれも、ポリイミド重合体に含浸(ドープ)されてプロトン伝導度を発現させる。酸のドープ率は、酸の種類にもよるが、50%以上400%以下の範囲が好ましく、100%以上300%以下の範囲がより好ましい。ドープ率が低すぎるとプロトン伝導度が低下してしまうので好ましくなく、またドープ率が高すぎると電解質膜の機械的強度が低下するので好ましくない。
次に、本発明に係る電解質膜4の製造方法について説明する。上記のポリイミド重合体を利用して、燃料電池用高分子電解質膜を製造する上で、まず高分子フィルムを製造しなければならないが、この高分子フィルムの製造方法は、一般的に広く知られている方法を選択することができる。これは先に出願された大韓民国特許出願2006−15710に記載された方法である。但し、架橋剤を添加する方法については、上記の4種類の架橋剤を大きく2つに分類して適用することができる。
1つ目は、上記式(27)に示すエポキシ化合物または上記式(28)に示すアミン化合物からなる架橋剤を用いる場合である。この場合は、まず、ベンズイミダゾール基を有するジアミン化合物と、ピロメット酸二無水物等のジカルボン酸無水物等とを、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶媒中で反応させることによって、ポリイミド重合体を形成する。
次に、重合が完結した後、エポキシ化合物またはアミン化合物からなる架橋剤を添加する。添加量は、上述したようにポリイミド重合体に対して1〜40質量%の範囲が好ましく、3質量%〜30質量%の範囲がより好ましく、5〜20質量%が特に理想的であり好ましい。
その後、重合体と架橋剤とを含む溶媒をガラス板等にキャストし、300℃以上の温度で段階的に加熱することによって、架橋化させて架橋化膜を形成する。その後、架橋化膜に酸を含浸させることによって、本発明に係る電解質膜を製造する。
2つ目は、上記式(28)または上記式(29)に示す架橋剤を用いる場合である。
上記式(28)に示すp−エチニルアニリンのような一官能アミン末端架橋剤を用いる場合には、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶媒に、ピロメット酸二無水物等のジカルボン酸無水物等を、ポリイミド重合体の重合に必要である理論モル量の100%を添加するとともに、ジアミン化合物を、ポリイミド重合体の重合に必要である理論モル量の90%から99%を添加する。更に、一官能アミン末端架橋剤を、ジアミン化合物の添加量に応じて理論モル量の2〜20%の量で添加する。これにより、式(26)におけるBと架橋剤とのモル比が、B:架橋剤=90:20〜99:2に調整される。
その後、ジカルボン酸無水物、ジアミン化合物及び架橋剤を含む溶媒をガラス板等にキャストし、300℃以上の温度で段階的に加熱することによって、ポリイミド重合体を重合させると共に重合体を架橋化させて架橋化膜を形成する。その後、架橋化膜に酸を含浸させることによって、本発明に係る電解質膜を製造する。
また、上記式(29)に示す無水マレイン酸のような酸無水物末端架橋剤を用いる場合は、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶媒に、ジアミン化合物を、理論モル量の100%添加するとともに、ピロメット酸二無水物等のジカルボン酸無水物等を、ポリイミド重合に必要である理論モル量の90%から99%添加する。更に、酸無水物末端架橋剤を、ジカルボン酸無水物の添加量に応じて20%〜2%の量で添加する。これにより、式(26)におけるA及びPと架橋剤とのモル比が、(A+P):架橋剤=90:20〜99:2に調整される
その後、ジカルボン酸無水物、ジアミン化合物及び架橋剤を含む溶媒をガラス板等にキャストし、300℃以上の温度で段階的に加熱することによって、ポリイミド重合体を重合させると共に重合体を架橋化させて架橋化膜を形成する。その後、架橋化膜に酸を含浸させることによって、本発明に係る電解質膜を製造する。
架橋化膜に酸を含浸させるには、架橋化膜に水素イオン、すなわちプロトン(proton)伝導性を付与するためである。酸としては、例えば、リン酸等の強酸の含浸(impregnation)が好ましい。本発明では85%の濃度を持ったリン酸を使用し、上記で製造された架橋化膜をドーピングしてもよく、硫酸やエチルホスフォリック酸のような変性酸等を使用してもプロトン伝導性を付与することが可能である。
上記のように、高分子フィルムに酸を含浸させればプロトン伝導性がある本発明に係る電解質膜4の製造が完了する。
そして、製造された電解質膜4を用いて、図2に示す膜−電極接合体10を製造し、更にこの膜−電極接合体10を用いて、図1に示す本発明に係る燃料電池1を製造する。
以上、説明したように、上記の電解質膜によれば、ポリイミド重合体が、上記式(27)〜(30)のうちの何れか一種の架橋剤によって架橋されているので、耐酸化性等の化学的安定性が向上する。これにより、本発明に係る電解質膜を用いた燃料電池の耐久性を向上することができる。
また、ポリイミド重合体に酸が含浸されているので、プロトン伝導度を高めることができる。
更に、ポリイミド重合体に、上記式(31)に示すベンズイミダゾール基が導入されているので、耐熱性を高めることができ、燃料電池用の電解質として好適に用いることができる。
また、上記の電解質膜においては、架橋剤の含有量が所定の範囲とされているので、化学的安定性及びプロトン伝導性をより高めることかできる。
以下に本発明の具体的な実施例及び比較例によって本発明の構成及び効果をより詳細に説明する。ただし下記の実施例は、本発明をより明確に理解してもらうために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
「実施例1」
攪拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置及び冷却機が装着された4ツ口フラスコに窒素を通過させながら、ジアミン化合物として下記式(51)で表示される6,4’−ジアミノ−2−フェニルベンズイミダゾル1モルを入れ、さらにN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)を入れてジアミン化合物を溶解させた。その後、ピロメット酸二無水物(以下、という。東京化成(株)製、Cat.No.B0040)1モルを入れて激しく攪拌した。この時の固形分含有量は質量比で15重量%であり、温度を25℃未満に維持しながら、24時間反応させてポリアミック酸溶液を調製した。
次に、上記の固形分に対して20%の分量のイソシアヌル酸トリグリシジルエーテル(Isocyanuric Acid Triglycidyl Ester(東京化成(株)、Cat.No.I0428))を、NMPに溶解して濃度15質量%の溶液とし、この溶液ポリアミック酸溶液に混合した。混合後、機械式攪拌機で激しく6時間攪拌して均一な高分子溶液を製造した。
その後、高分子溶液をガラス板上にキャストし、300℃で加熱することによって、厚さ28μmの実施例1の架橋化膜を製造した。
Figure 0005079306
「実施例2」
上記の固形分に対して5%の分量のイソシアヌル酸トリグリシジルエーテルを、NMPに溶解して濃度15質量%の溶液とし、この溶液ポリアミック酸溶液に混合したこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2の架橋化膜を製造した。
「実施例3」
まず、実施例1と同様にして、ポリアミック酸溶液を調製した。
次に、上記の固形分に対して10%の分量のメラニンモノマー(Melamine Monomer(東京化成(株)、Cat.No.T0337)を、NMPに溶解して濃度15質量%の溶液とし、この溶液ポリアミック酸溶液に混合した。混合後、機械式攪拌機で激しく6時間攪拌して均一な高分子溶液を製造した。
その後、高分子溶液をガラス板上にキャストし、300℃で加熱することによって、厚さ27μmの実施例3の架橋化膜を製造した。
「実施例4」
実施例1と同様にして、攪拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置及び冷却機が装着された4ツ口フラスコに窒素を通過させながら、6,4’−ジアミノ−2−フェニルベンズイミダゾル0.95モルを入れ、さらにNMPを入れてジアミン化合物を溶解させた。その後、ピロメット酸二無水物1モルと、4−エチニルアニリン(4-Ethynylaniline(東京化成(株)、Cat.No.E0505)0.1モルとを入れて激しく攪拌した。溶液の温度を25℃未満に維持しながら、24時間反応させてポリアミック酸溶液を調製した。
その後、ポリアミック酸溶液をガラス板上にキャストし、300℃で加熱することによって、厚さ31μmの実施例4の架橋化膜を製造した。
「実施例5」
実施例1と同様にして、攪拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置及び冷却機が装着された4ツ口フラスコに窒素を通過させながら、6,4’−ジアミノ−2−フェニルベンズイミダゾル1モルを入れ、さらにNMPを入れてジアミン化合物を溶解させた。その後、ピロメット酸二無水物0.95モルと、無水マレイン酸(Maleic anhydride(東京化成(株)、Cat.No.M0005)0.1モルとを入れて激しく攪拌した。溶液の温度を25℃未満に維持しながら、24時間反応させてポリアミック酸溶液を調製した。
その後、ポリアミック酸溶液をガラス板上にキャストし、300℃で加熱することによって、厚さ27μmの実施例5の架橋化膜を製造した。
「比較例1」
実施例1と同様にして、攪拌機、温度調節装置、窒素ガス注入装置及び冷却機が装着された4ツ口フラスコに窒素を通過させながら、6,4’−ジアミノ−2−フェニルベンズイミダゾル1モルを入れ、さらにN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPという)を入れてジアミン化合物を溶解させた。その後、ピロメット酸二無水物1モルを入れて激しく攪拌した。この溶液の温度を25℃未満に維持しながら、24時間反応させてポリアミック酸溶液を調製した。
その後、ポリアミック酸溶液をガラス板上にキャストし、300℃で加熱することによって、厚さ32μmの比較例1の未架橋化膜を製造した。
「フェントン試験」
実施例1〜5の架橋化膜及び比較例1の未架橋化膜について、耐化学性試験を行った。耐化学性試験は、フェントン(Fenton)実験を通じて遂行した。FeSOを20ppmの濃度で過酸化水素水へ溶解してフェントン試験溶液を調製し、準備した各架橋化膜をフェントン試験溶液に投じた。架橋化膜が入ったフェントン試験溶液を80℃の湯せんで温め、シェーカー(shaker)を利用して6時間撹拌した。攪拌後、溶液中の架橋化膜を取り出し、水で洗浄した後、60℃の真空オーブンで3時間乾燥させ、架橋化膜の重量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005079306
表1に示すように、実施例1〜5の架橋化膜は、質量保全率が78〜94%と高い値を示し、耐酸化性に優れていることが分かった。一方、比較例1の未架橋化膜は、フェントン試験後に膜が粉々に粉砕されてしまい、質量の測定自体が不可能になった。これは、比較例1の膜は架橋化が全く行われず耐化学性が低下したためと考えられる。尚、実施例1〜5及び比較例1の膜については、キャスト法による成膜性は表1に示すように全て良好であった。
「電解質膜の特性」
実施例2の架橋化膜及び比較例1の架橋化膜に、濃度85%のりん酸を含浸させて、電解質膜とした。
得られた電解質膜を、市販の燃料電池用電極(Electrochem社)で挟持し、更に電極にカーボンシートを重ねて膜−電極接合体とした。この膜−電極接合体を2つ用意し、各膜−電極接合体を一対のバイポーラプレートでそれぞれ狭持することにより、図1に示すような燃料電池を製造した。そして、150℃、無加湿の条件下、燃料として水素、酸化剤として空気をそれぞれ燃料電池に供給して発電試験を行った。
図3には、実施例2の電解質膜を利用して製作された燃料電池を、150℃の無加湿条件で発電させた際のI−V特性を示すグラフである。図3に示す通り、実施例2の電解質膜を利用して製作された燃料電池は、電流密度が0.3A/cmで670mV以上の電圧を示すことがわかる。
また図4には、実施例2の電解質膜を利用した燃料電池の長期駆動安定性を評価した結果を示す。ポリイミド重合体に架橋剤を導入しない比較例1の場合、300時間未満の耐久性を示す一方、実施例2の電解質膜を適用した場合は、電流密度0.2A/cmの長期運転条件で耐久性が3500時間以上となり、充分な耐久性を有していることが判明した。
図1は、本発明の実施形態である燃料電池の要部を示す斜視分解図である。 図2は、図1の燃料電池に備えられた膜−電極接合体を示す断面模式図である。 図3は、実施例2の電解質膜を用いた燃料電池の電圧の電流密度依存性(I−V特性)を示すグラフである。 図4は、実施例2の電解質膜を用いた燃料電池の電圧と運転時間との関係を示すグラフである。
符号の説明
1…燃料電池、10… 膜−電極 接合体、20…バイポーラプレート、100…電解質膜(燃料電池用高分子電解質膜)、110、110’…触媒層、120、120’、121,121’…気体拡散層

Claims (7)

  1. 下記式(1)に示すポリイミド重合体が、下記式(2)〜(5)のうちの何れか一種の架橋剤によって架橋されるとともに、酸が含浸されてなることを特徴とする燃料電池用高分子電解質膜。
    但し、下記式(1)において、Bは下記式(6)で表示された構造であり、A及びPは独立して、下記式(7)〜(17)に示す構造の中から選択されたうちの一つであり、Dは下記式(18)〜(25)に示す構造中から選択されたうちの一つである。また、下記式(1)中、mは10000〜1000000の範囲であり、nは5000〜500000の範囲である。
    また、式(2)において、Rは脂環族、芳香族、ヘテロ芳香族の何れかであり、反応基であるエポキシ基の数を示すaは2以上である。
    また、式(3)において、R1は芳香族、ヘテロ芳香族の何れかであり、反応基であるアミン基の数を示すbは3以上である。
    Figure 0005079306
    Figure 0005079306
    Figure 0005079306
    Figure 0005079306
    Figure 0005079306
  2. 前記エポキシ基の数を示すaが2〜4の範囲であり、上記式(2)に示す架橋剤が選択された場合の前記ポリイミド重合体に対する前記架橋剤の含有率が1〜40質量%であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用高分子電解質膜。
  3. 前記アミン基の数を示すaが3〜4の範囲であり、上記式(3)に示す架橋剤が選択された場合の前記ポリイミド重合体に対する前記架橋剤の含有率が1〜40質量%であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用高分子電解質膜。
  4. 上記式(4)に示す架橋剤が選択された場合、前記式(1)におけるBと架橋剤とのモル比が、B:架橋剤=90:20〜99:2となるように調整されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用高分子電解質膜。
  5. 上記式(5)に示す架橋剤が選択された場合、前記式(1)におけるA及びPと架橋剤とのモル比が、(A+P):架橋剤=90:20〜99:2となるように調整されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用高分子電解質膜。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の燃料電池用高分子電解質膜と、前記燃料電池用高分子電解質膜の両面に配置された一対の触媒層と、前記触媒層の前記燃料電池用高分子電解質膜の側とは反対側に配置された気体拡散層とを具備してなることを特徴とする膜−電極接合体。
  7. 請求項6に記載の膜−電極接合体と、前記膜−電極接合体の両面に配置されたバイポーラプレートとを具備してなることを特徴とする燃料電池。
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