JP5088342B2 - 多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、従来の製造方法では、気泡の保持や形状の維持のためにある程度のスラリー粘度を必要としており、そのためのバインダやその他の添加物をスラリーに混合していた。しかし、これらバインダやその他の添加物は焼結後に不純物として残留するおそれがある。これに対して、本発明の製造方法では、冷却によりスラリーの粘度を増大させることができるので、気泡の保持や形状維持のためのバインダや添加物を減量することができ、多孔質焼結体の不純物を減らすことができる。
この場合、冷却によってスラリーの粘度が増大しているので、導入された添加ガスが浮力によってスラリーから脱出するのを防止できる。したがって、スラリー中の添加ガス量をより精密に制御することができる。
この場合、添加ガスを導入する前のスラリーを冷却して真空混練することにより、予備冷却温度での脱泡が行われるので、より精密にスラリー中のガス量を制御することができる。
また、脱泡工程から減圧膨張工程を冷却状態に維持することにより、途中で添加ガスがスラリーから抜けることがなく、スラリー中の添加ガス量を焼結まで維持することができる。したがって、任意の気孔率の多孔質焼結体を得ることができる。
発泡性スラリー製造工程は、原料粉末とバインダと水とを含有する材料を混練してスラリーを製造するスラリー混練工程と、このスラリーから気泡および溶存ガスを除去する脱泡工程と、スラリー中に気泡核を分散形成する気泡核形成工程とを含む。
グリーン体を形成する工程は、スラリー中の気泡核を膨張させる減圧膨張工程と、気泡核が膨張した状態のスラリーを凍結させる凍結固化工程と、凍結したスラリーからグリーン体を形成する真空凍結乾燥工程とを含む。
また、多孔質焼結体の表面における5〜100倍顕微鏡写真の視野中の気孔の面積を測定して算出した円相当径の算術平均を、平均気孔径と呼ぶ。
(スラリー混練工程および脱泡工程)
まず、原料粉末、バインダ、水を含む材料を混練し、スラリーSを調製する混練工程を行う。この混練を真空雰囲気で行うことにより、脱泡しながらスラリーSを作成できる。つまり、スラリー混練工程と脱泡工程とが同時に行われる。
界面活性剤をスラリーSに添加することにより、多孔質焼結体の平均気孔径およびウィンドウサイズを大きくすることができる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩,α‐オレフィンスルホン酸塩,アルキル硫酸エステル塩,アルキルエーテル硫酸エステル塩,アルカンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤,ポリエチレングリコール誘導体,多価アルコール誘導体、アルキルベタインなどの非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤などを使用することができる。界面活性剤を混合する場合、スラリー中の含有割合は0.05〜10質量%とすることが好ましい。
次に、この脱泡されたスラリーS中に気泡核を分散形成する気泡核形成工程を行う。この工程においては、図2に示すように、スラリーSを攪拌装置10に連続的に投入しながら、添加ガスC1をスラリーSに導入する。これらスラリーSおよび添加ガスC1は、それぞれ一定の体積流量で導入される。添加ガスC1としては、たとえば空気、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等のように、スラリーSを変質させず、焼結後に不純物として残存しない気体が好ましい。この添加ガスC1は、脱泡されたスラリーSの体積:添加ガスの体積=10:0.1〜8となる量で導入される。
次に、任意の量の添加ガスC1を気泡核C2として含むスラリーSを、予備冷却温度に保持しながら、ポリスチレン等からなる成形型12に充填する(図3(a))。この工程においては、成形型12に充填したスラリーSに対して、打撃や超音波によって衝撃を与えたり、予備冷却温度に維持したまま1時間程度安置したりすることにより、充填されたスラリーSと成形型12との間に抱き込まれた気泡や、充填時にスラリーS中に形成された大きな空隙を取り除くことができる。
(減圧膨張工程)
次に、予備冷却温度に保持した状態でスラリーSを所定圧力に減圧して、スラリーS中の気泡核C2を膨張させて気泡C3を形成する。具体的には、スラリーSが充填された成形型12を減圧容器に入れ、0.01〜0.4atmに減圧することにより、気泡核C2を膨張させる(図3(b))。なお、スラリーSは予備冷却温度に冷却されているので、減圧容器内で減圧されても沸騰せず、気泡核C2が膨張して気泡C3となり、スラリーS全体の体積が増大する。
このように膨張したスラリーSを、圧力および温度を維持したまま、所定の保持時間(1分〜60分)安置する。この工程において、原料粉末が移動することにより気泡C3のウィンドウが拡大したり、スラリーS中で気体が移動することにより気泡C3自体が膨張・縮小したりするので、原料粉末および気体の移動を落ち着かせ、スラリーSを安定させることができる。
次に、このスラリーSを、−80℃以上凝固点以下の凍結温度に冷却し、0.1時間〜2時間保持する。この工程においては、スラリーS中の水が凝固することにより、気泡C3を含むスラリーSの形状が固定される。
次に、凍結したスラリーSの水分を真空中で昇華させる。この工程において、スラリーSを真空中で水分を昇華させることにより、形状が維持されたまま原料粉末がバインダによって保持されてなるグリーン体Gを形成する(図3(c))。このグリーン体Gには、気泡核C2を成長させた気泡C3の形状をほぼ維持した状態で気孔Hが形成されている。なお、スラリーSは凍結固化工程により固化されているので、この工程は成形型12から取りだした状態で行ってもよい。グリーン体Gは、バインダの混合量が少ない場合には脆弱であり自重による崩壊のおそれがあるが、スラリーに可塑剤を混合しておくことにより、強度を向上させ崩壊を防止することができる。なお、バインダや可塑剤は多孔質焼結体には不要な不純物として残存するので、多孔質焼結体の不純物を減少させるためには、バインダや可塑剤の含有割合を減少させることが好ましい。
このグリーン体Gを焼結し、多孔質焼結体Pを形成する(図3(d))。このとき、成形型12に入れたままグリーン体Gを焼結させることができる場合には、グリーン体Gが崩壊するおそれが小さいので、バインダの含有割合を減少させ、多孔質焼結体Pに残留する不純物をさらに減少させることも可能となる。
ここで、添加ガス量および減圧膨張工程における予備冷却温度が異なる場合に得られる多孔質焼結体について、実施例および比較例を挙げて説明する。
原料粉末として、平均粒径8μmのステンレス鋼(SUS316)粉末:73質量%、
バインダとして、水溶性樹脂結合剤:2質量%、
界面活性剤:0.05質量%
水:残部
を含有するものを用いた。このスラリーAの0.015atmにおける凝固点は0℃近傍、沸点は13℃近傍である。
また、スラリーBは、
原料粉末として、平均粒径16μmのTi粉末:49質量%、
バインダとして、水溶性樹脂結合剤:2質量%、
界面活性剤:3質量%
水:残部
を含有するものを用いた。
実施例1よりも予備冷却温度が低い実施例2では、気孔率は95%となった。しかしながら、実施例2の平均気孔径は、実施例1のものよりも小さくなった。
比較例2,3では、スラリーAは沸騰しなかったが、粘度が低いためスラリーA中で気泡が上昇し、上部に大きな気泡が集中した。このため、厚み方向に気孔径の分布が傾斜し、全体としての気孔径の評価が不能であった。
比較例5では、予備冷却段階ですでに凍結していたため、減圧によっても気泡が膨張しなかった。
比較例22,23では、スラリーAは沸騰しなかったが、粘度が低いためスラリーA中で気泡が上昇し、上部に大きな気泡が集中した。このため、厚み方向に気孔径の分布が傾斜し、全体としての気孔径の評価が不能であった。
比較例25では、予備冷却段階ですでに凍結していたため、減圧によっても気泡が膨張しなかった。
比較例32,33では、スラリーAは沸騰しなかったが、粘度が低いためスラリーA中で気泡が上昇し、上部に大きな気泡が集中した。このため、厚み方向に気孔径の分布が傾斜し、全体としての気孔径の評価が不能であった。
また、比較例35では、予備冷却段階ですでに凍結していたため、減圧によっても気泡が膨張しなかった。
比較例42,43では、スラリーAは沸騰しなかったが、粘度が低いためスラリーA中で気泡が上昇し、上部に大きな気泡が集中した。このため、厚み方向に気孔径の分布が傾斜し、全体としての気孔径の評価が不能であった。
また、比較例45では、予備冷却段階ですでに凍結していたため、減圧によっても気泡が膨張しなかった。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
11 出口
C1 添加ガス
C2 気泡核
C3 気泡
G グリーン体
H 気孔
P 多孔質焼結体
S スラリー
Claims (5)
- 原料粉末、バインダ、および水を含む材料からなるスラリーからグリーン体を形成し、このグリーン体を焼結して多孔質焼結体を製造する多孔質焼結体の製造方法であって、
前記材料を混練してスラリーを製造するスラリー混練工程、前記スラリーから気泡および溶存ガスを除去する脱泡工程、および脱泡された前記スラリーに添加ガスを導入しながら攪拌することにより、前記スラリー中に前記添加ガスからなる気泡核を分散形成する気泡核形成工程を含む発泡性スラリー製造工程と、
前記気泡核を含む前記スラリーを所定圧力に減圧することにより、前記気泡核を膨張させる減圧膨張工程、前記気泡核が膨張して体積が増大した前記スラリーを凍結することによりその形状を固定する凍結固化工程、および前記スラリーを真空凍結乾燥させる真空凍結乾燥工程を含み、前記原料粉末が前記バインダによって保持されてなるグリーン体を形成するグリーン体形成工程と、
前記グリーン体を焼結して多孔質焼結体を形成する焼結工程と、
を有し、
少なくとも前記減圧膨張工程を、前記所定圧力における前記スラリーの凝固点を超え沸点未満の5℃以下の予備冷却温度に保持しながら行うことを特徴とする多孔質焼結体の製造方法。 - 前記気泡核形成工程を、前記スラリーを前記予備冷却温度に保持した状態で行うことを特徴とする請求項1に記載の多孔質焼結体の製造方法。
- 前記脱泡工程の後、前記スラリーを前記予備冷却温度に保持しながら真空混練することを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質焼結体の製造方法。
- 前記発泡性スラリー製造工程において、前記気泡核形成工程の後に、前記気泡核を含む前記スラリーを前記予備冷却温度に保持しながら成形型に充填する充填工程を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多孔質焼結体の製造方法。
- 前記スラリー混練工程において、前記スラリーに界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多孔質焼結体の製造方法。
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