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JP5088342B2 - 多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents
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JP5088342B2 - 多孔質焼結体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、多孔質焼結体の製造方法に関する。
多孔質焼結体は、軽量構造材、燃料電池やアルカリ二次電池の電極、各種フィルタ、触媒担持体、人工骨等の生体材料、消音材、断熱材、気化促進部品、電磁波遮蔽材などの素材として、多様な用途に用いられている。
従来、このような多孔質焼結体を製造する方法として、原料粉末を含むスラリーを製造し、これを焼成する方法(スラリー発泡法)が知られている(特許文献1)。また、表面をメッキした発泡樹脂を加熱して樹脂部分を消失させる方法により、金属製の多孔質焼結体を製造することも提案されている(特許文献2)。
特開平9−118901号公報 特開平4−2759号公報
多孔質焼結体には、各種用途に応じて、任意の気孔率や気孔サイズが求められる。従来、多孔質焼結体の気孔率や気孔サイズは、スラリー発泡法の場合にはスラリーの組成や処理温度等を調整することによって、また発泡樹脂を基材とする場合には任意の形状の発泡樹脂を用いることによって、ある程度の制御が可能である。しかしながら、従来の製造方法において、気孔率や気孔サイズを精密に制御することは困難であり、さらに気孔径のばらつきを抑えることも技術的に大きな課題であった。加えて、厚さ5mm以上の厚板や3D(立体任意形状)の多孔質焼結体ではこれらの課題はより困難である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、任意の気孔率および気孔サイズを有する多孔質焼結体を提供することを目的とする。
本発明は、原料粉末、バインダ、および水を含む材料からなるスラリーからグリーン体を形成し、このグリーン体を焼結して多孔質焼結体を製造する多孔質焼結体の製造方法であって、前記材料を混練してスラリーを製造するスラリー混練工程、前記スラリーから気泡および溶存ガスを除去する脱泡工程、および脱泡された前記スラリーに添加ガスを導入しながら攪拌することにより、前記スラリー中に前記添加ガスからなる気泡核を分散形成する気泡核形成工程を含む発泡性スラリー製造工程と、前記気泡核を含む前記スラリーを所定圧力に減圧することにより、前記気泡核を膨張させる減圧膨張工程、および前記気泡核が膨張して体積が増大した前記スラリーを凍結することによりその形状を固定する凍結固化工程、および前記スラリーを真空凍結乾燥させる真空凍結乾燥工程を含み、前記原料粉末が前記バインダによって保持されてなるグリーン体を形成するグリーン体形成工程と、前記グリーン体を焼結して多孔質焼結体を形成する焼結工程と、を有し、少なくとも前記減圧膨張工程を、前記所定圧力における前記スラリーの凝固点を超え沸点未満の5℃以下の予備冷却温度に保持しながら行う。
この製造方法によれば、減圧膨張工程においてスラリーが凍結および沸騰しない温度に冷却されているので、スラリー中の成分(特に水)を減圧によって沸騰させることなく気泡核を膨張させることができる。したがって、スラリー中に導入した添加ガスを脱出させず、気孔率を精密に制御しながら多孔質焼結体を製造することができる。この場合、5℃以下に冷却することにより、スラリーが添加ガスを確実に保持でき、より精密な気孔率の制御と、均質な気孔率と気孔径のグリーン体の形成が実現できる。
また、従来の製造方法では、気泡の保持や形状の維持のためにある程度のスラリー粘度を必要としており、そのためのバインダやその他の添加物をスラリーに混合していた。しかし、これらバインダやその他の添加物は焼結後に不純物として残留するおそれがある。これに対して、本発明の製造方法では、冷却によりスラリーの粘度を増大させることができるので、気泡の保持や形状維持のためのバインダや添加物を減量することができ、多孔質焼結体の不純物を減らすことができる。
この製造方法において、前記気泡核形成工程を、前記スラリーを前記予備冷却温度に保持した状態で行うことが好ましい。
この場合、冷却によってスラリーの粘度が増大しているので、導入された添加ガスが浮力によってスラリーから脱出するのを防止できる。したがって、スラリー中の添加ガス量をより精密に制御することができる。
前記脱泡工程の後、前記スラリーを前記予備冷却温度に保持しながら真空混練することが好ましい。
この場合、添加ガスを導入する前のスラリーを冷却して真空混練することにより、予備冷却温度での脱泡が行われるので、より精密にスラリー中のガス量を制御することができる。
また、脱泡工程から減圧膨張工程を冷却状態に維持することにより、途中で添加ガスがスラリーから抜けることがなく、スラリー中の添加ガス量を焼結まで維持することができる。したがって、任意の気孔率の多孔質焼結体を得ることができる。
この多孔質焼結体の製造方法の前記発泡性スラリー製造工程において、前記気泡核形成工程の後に、前記気泡核を含む前記スラリーを前記予備冷却温度に保持しながら成形型に充填する充填工程を有することが好ましい。この場合、スラリーを冷却状態で成形型内に入れてから減圧膨張工程を行い、気泡核を膨張させるので、成形型の形状に応じた任意の外形を形成できるとともに、自重による変形を抑制できる。したがって、任意の外形の多孔質焼結体や、厚い多孔質焼結体を得ることができる。
また、この製造方法において、前記スラリー混練工程において、前記スラリーに界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤を適量添加することにより、気孔同士の連結によるウィンドウサイズの大きい気孔を形成することができる。
本発明の多孔質焼結体の製造方法によれば、添加ガス量、減圧膨張工程における圧力および予備冷却温度を設定することにより、任意の気孔率を有する多孔質焼結体を容易に製造することができる。また、気孔率の制御が可能になることにより、多孔質焼結体の寸法の制御が容易となる。さらに、気孔率を制御するこれらのパラメータに対して、気孔サイズを制御するパラメータは原料粉末の粒径、スラリーの組成、形成条件等であり、これらは気孔率にあまり影響がないので、気孔率の制御とは独立して気孔サイズを調整でき、多孔質焼結体の気孔サイズの制御も容易となる。
多孔質焼結体の製造過程における気泡のウィンドウサイズを示す模式図である。 本発明の多孔質焼結体の製造方法において、気泡核形成工程を示す攪拌装置の模式図である。 本発明の多孔質焼結体の製造方法において、スラリーの充填工程(a)、減圧膨張工程(b)、凍結固化工程および真空凍結乾燥工程(c)および焼結工程(d)を示す模式図である。 本発明の多孔質焼結体の製造方法において、減圧膨張工程の圧力を変化させた場合の多孔質焼結体の気孔率の変化を示す図である。
以下、本発明の多孔質焼結体の製造方法について説明する。この製造方法は、気泡を有するスラリーを作成する発泡性スラリー製造工程と、このスラリーをグリーン体に形成するグリーン体形成工程と、グリーン体を焼結する焼結工程とを有する。
発泡性スラリー製造工程は、原料粉末とバインダと水とを含有する材料を混練してスラリーを製造するスラリー混練工程と、このスラリーから気泡および溶存ガスを除去する脱泡工程と、スラリー中に気泡核を分散形成する気泡核形成工程とを含む。
グリーン体を形成する工程は、スラリー中の気泡核を膨張させる減圧膨張工程と、気泡核が膨張した状態のスラリーを凍結させる凍結固化工程と、凍結したスラリーからグリーン体を形成する真空凍結乾燥工程とを含む。
ここで、多孔質焼結体全体における気孔の体積割合を気孔率と呼ぶ。気孔率は、同形の中実体の計算上の重量に対する実測重量から算出することができる。
また、多孔質焼結体の表面における5〜100倍顕微鏡写真の視野中の気孔の面積を測定して算出した円相当径の算術平均を、平均気孔径と呼ぶ。
また、図1に示すように、スラリー中で気泡C同士が連結した部分wをウィンドウと呼ぶ。スラリー中の水分が除去され原料粉末が焼結された多孔質焼結体においては、ウィンドウwは開口した状態となる。したがって、このウィンドウwの大きさ(ウィンドウサイズ)が大きいほど、連続気孔の連通度が大きい、すなわち通気性や通水性の高い多孔質焼結体となる。
[発泡性スラリー製造工程]
(スラリー混練工程および脱泡工程)
まず、原料粉末、バインダ、水を含む材料を混練し、スラリーSを調製する混練工程を行う。この混練を真空雰囲気で行うことにより、脱泡しながらスラリーSを作成できる。つまり、スラリー混練工程と脱泡工程とが同時に行われる。
原料粉末は、Ni,Cu,Ti,Al,Ag,ステンレス鋼等の金属やセラミックス等、焼結が可能な材料の粉末であって、水アトマイズ法,プラズマアトマイズ法などのアトマイズ法、酸化物還元法,湿式還元法,カルボニル反応法などの化学プロセス法によって製造される。スラリー中の原料粉末の含有割合は30〜80質量%とする。なお、多孔質焼結体の平均気孔径や、スラリーSにおけるウィンドウの大きさは、原料粉末の平均粒径(粒度)が大きいほど大きくなる。したがって、原料粉末の平均粒径を調整することにより、多孔質焼結体の平均気孔径やウィンドウの大きさを調整することができる。
バインダは、原料粉末の粒子間を結合するものであり、メチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロース,カルボキシメチルセルロースアンモニウム,エチルセルロース,ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂結合剤を使用することができる。スラリー中のバインダの含有割合は0.5〜20質量%とする。
水は、水溶性樹脂結合剤であるバインダの溶媒であるとともに、凍結することによりスラリーSの形状を固定する。スラリーSの粘度が低いほどウィンドウサイズは大きくなるので、水の含有割合を制御してスラリーSの粘度を制御することにより、多孔質焼結体における気孔の連通度を制御することができる。
なお、スラリーSにはさらに、必要に応じて界面活性剤、可塑剤等の添加剤を添加してもよい。
界面活性剤をスラリーSに添加することにより、多孔質焼結体の平均気孔径およびウィンドウサイズを大きくすることができる。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩,α‐オレフィンスルホン酸塩,アルキル硫酸エステル塩,アルキルエーテル硫酸エステル塩,アルカンスルホン酸塩等のアニオン界面活性剤,ポリエチレングリコール誘導体,多価アルコール誘導体、アルキルベタインなどの非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤などを使用することができる。界面活性剤を混合する場合、スラリー中の含有割合は0.05〜10質量%とすることが好ましい。
可塑剤は、グリーン体に可塑性を付与して崩壊を防止する必要がある場合に添加され、例えばエチレングリコール,ポリエチレングリコール,グリセリンなどの多価アルコール、鰯油,菜種油,オリーブ油などの油脂、石油エーテルなどのエーテル類、フタル酸ジエチル,フタル酸ジNブチル,フタル酸ジエチルヘキシル,フタル酸ジオクチル,ソルビタンモノオレート,ソルビタントリオレート,ソルビタンパルミテート,ソルビタンステアレートなどのエステル等を使用することができる。可塑剤を混合する場合、スラリー中の含有割合は0.05〜3質量%とすることが好ましい。
なお、スラリーSの特性や成形性を向上させるために、任意の添加成分をさらに加えてもよい。例えば、防腐剤を添加してスラリーSの保存性を向上させたり、結合助材としてポリマー系化合物を加えて成形体の強度を向上させたりすることができる。しかしながら、不純物の少ない多孔質焼結体を製造するためには、原料粉末、水以外の材料は少ない方が好ましい。
これらの材料を1時間〜1.5時間真空混練し、含まれる気体(気泡および溶存ガス)を除去しながらスラリーSを作成する。さらに予備冷却温度に冷却した状態で1時間程度、真空混練を行う。予備冷却温度は、所定圧力におけるスラリーの凝固点を超え沸点未満(たとえば5℃以下)の温度に設定される。この予備冷却温度に保持されることにより、スラリーSの粘度は常温時よりも増大している。
(気泡核形成工程)
次に、この脱泡されたスラリーS中に気泡核を分散形成する気泡核形成工程を行う。この工程においては、図2に示すように、スラリーSを攪拌装置10に連続的に投入しながら、添加ガスC1をスラリーSに導入する。これらスラリーSおよび添加ガスC1は、それぞれ一定の体積流量で導入される。添加ガスC1としては、たとえば空気、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素等のように、スラリーSを変質させず、焼結後に不純物として残存しない気体が好ましい。この添加ガスC1は、脱泡されたスラリーSの体積:添加ガスの体積=10:0.1〜8となる量で導入される。
この攪拌装置10内においても、スラリーSは予備冷却温度に冷却されている。このスラリーSを高速で攪拌することにより、スラリーS中に添加ガスC1が分散し、気泡核C2が形成される。このとき、スラリーSは冷却状態であって粘度が増大している状態であるので、導入された添加ガスC1はスラリーSの表面から脱出することが防止される。また、スラリーSは予め脱泡されている。したがって、導入された添加ガスC1のほぼ全てが気泡核C2として分散するとともに、スラリーS中の全ての気泡核C2は添加ガスC1で形成される。つまり、この工程において、スラリーS中に導入する添加ガスC1の量を制御することにより、スラリーSに含まれる気体量を精密に制御できる。
気泡核C2は、この気泡核形成工程における攪拌速度および攪拌時間を制御することによって、その平均径が制御される。また、予備冷却温度が低いほどスラリーSの粘度が高くなり、気泡核C2が小さく形成されやすい。すなわち、攪拌速度、攪拌時間、および予備冷却温度を制御することにより、気泡核C2の平均径を制御できる。
また、図2に示すように、スラリーSが取り出される攪拌装置10の出口11の断面積と、攪拌装置10中に導入されるスラリーSおよび添加ガスC1の流量とを制御することによって、攪拌装置10の内圧が制御される。この内圧を適切に設定することにより、気泡核C2をスラリーS中に均一に分散させることができる。たとえば、この気泡核形成工程においては、攪拌装置10の内圧をゲージ圧で0〜1atmに維持しながら、0.5分〜5分程度の間、スラリーSを攪拌することにより、平均径および分散を制御して気泡核C2を形成する。
(充填工程)
次に、任意の量の添加ガスC1を気泡核C2として含むスラリーSを、予備冷却温度に保持しながら、ポリスチレン等からなる成形型12に充填する(図3(a))。この工程においては、成形型12に充填したスラリーSに対して、打撃や超音波によって衝撃を与えたり、予備冷却温度に維持したまま1時間程度安置したりすることにより、充填されたスラリーSと成形型12との間に抱き込まれた気泡や、充填時にスラリーS中に形成された大きな空隙を取り除くことができる。
[グリーン体形成工程]
(減圧膨張工程)
次に、予備冷却温度に保持した状態でスラリーSを所定圧力に減圧して、スラリーS中の気泡核C2を膨張させて気泡C3を形成する。具体的には、スラリーSが充填された成形型12を減圧容器に入れ、0.01〜0.4atmに減圧することにより、気泡核C2を膨張させる(図3(b))。なお、スラリーSは予備冷却温度に冷却されているので、減圧容器内で減圧されても沸騰せず、気泡核C2が膨張して気泡C3となり、スラリーS全体の体積が増大する。
このとき、減圧速度が速すぎると、気泡C3が破裂してスラリーSから脱出するなどして安定せず、成形型12へのスラリーSの充填性が悪化するおそれがある。一方、減圧速度が遅すぎると、気泡C3同士が一体となって各気泡C3が大きくなりすぎるおそれがある。したがって、1分〜15分かけて所定圧力となるように、減圧容器内の圧力を調整する。
また、予備冷却温度が低いほど、スラリーSの粘度が高くなることにより、隣接する気泡C3同士が一体となりにくく、またウィンドウサイズが大きくなりにくくなる。すなわち、この減圧膨張工程における予備冷却温度を制御することにより、多孔質焼結体の平均気孔径および連通度を制御することができる。
(安置工程)
このように膨張したスラリーSを、圧力および温度を維持したまま、所定の保持時間(1分〜60分)安置する。この工程において、原料粉末が移動することにより気泡C3のウィンドウが拡大したり、スラリーS中で気体が移動することにより気泡C3自体が膨張・縮小したりするので、原料粉末および気体の移動を落ち着かせ、スラリーSを安定させることができる。
(凍結固化工程)
次に、このスラリーSを、−80℃以上凝固点以下の凍結温度に冷却し、0.1時間〜2時間保持する。この工程においては、スラリーS中の水が凝固することにより、気泡C3を含むスラリーSの形状が固定される。
(真空凍結乾燥工程)
次に、凍結したスラリーSの水分を真空中で昇華させる。この工程において、スラリーSを真空中で水分を昇華させることにより、形状が維持されたまま原料粉末がバインダによって保持されてなるグリーン体Gを形成する(図3(c))。このグリーン体Gには、気泡核C2を成長させた気泡C3の形状をほぼ維持した状態で気孔Hが形成されている。なお、スラリーSは凍結固化工程により固化されているので、この工程は成形型12から取りだした状態で行ってもよい。グリーン体Gは、バインダの混合量が少ない場合には脆弱であり自重による崩壊のおそれがあるが、スラリーに可塑剤を混合しておくことにより、強度を向上させ崩壊を防止することができる。なお、バインダや可塑剤は多孔質焼結体には不要な不純物として残存するので、多孔質焼結体の不純物を減少させるためには、バインダや可塑剤の含有割合を減少させることが好ましい。
[焼結工程]
このグリーン体Gを焼結し、多孔質焼結体Pを形成する(図3(d))。このとき、成形型12に入れたままグリーン体Gを焼結させることができる場合には、グリーン体Gが崩壊するおそれが小さいので、バインダの含有割合を減少させ、多孔質焼結体Pに残留する不純物をさらに減少させることも可能となる。
以上のように、任意量の添加ガスC1を気泡核C2として有するスラリーSを冷却状態で減圧することにより、任意の気孔率を有する多孔質焼結体Pを製造することができる。
ここで、添加ガス量および減圧膨張工程における予備冷却温度が異なる場合に得られる多孔質焼結体について、実施例および比較例を挙げて説明する。
以下の実施例および比較例において、スラリーAは、
原料粉末として、平均粒径8μmのステンレス鋼(SUS316)粉末:73質量%、
バインダとして、水溶性樹脂結合剤:2質量%、
界面活性剤:0.05質量%
水:残部
を含有するものを用いた。このスラリーAの0.015atmにおける凝固点は0℃近傍、沸点は13℃近傍である。
また、スラリーBは、
原料粉末として、平均粒径16μmのTi粉末:49質量%、
バインダとして、水溶性樹脂結合剤:2質量%、
界面活性剤:3質量%
水:残部
を含有するものを用いた。
これらの実施例および比較例では、いずれも減圧膨張工程の圧力を0.015atmとし、予備冷却温度および添加ガス量を変化させて多孔質焼結体を製造した。なお、グリーン体の形成に際しては、スラリー形成工程から凍結固化工程前まで予備冷却温度を維持している。
まず、表1に示すように、スラリーAを用いて、気泡核形成工程における脱泡状態のスラリーAと添加ガスとの体積比を10:1として、予備冷却温度を変えて製造した各多孔質焼結体(実施例1,2および比較例1〜5)について、気孔率および平均気孔径を比較した。
Figure 0005088342
実施例1では、予備冷却温度を5℃として減圧膨張工程を行った結果、多孔質焼結体の気孔率が95%となった。また、形成された気孔は、気泡核形成工程で均一に形成した気泡核を成長させた形状とほぼ同一であり、平均気孔径の分散は小さかった。
実施例1よりも予備冷却温度が低い実施例2では、気孔率は95%となった。しかしながら、実施例2の平均気孔径は、実施例1のものよりも小さくなった。
比較例1では、スラリーAが沸騰したため、大きな気孔が散在しており、均一な気孔が形成されなかった。このため、平均気孔径を測定することができなかった。また、実施例1と比較して気孔率は低くなった。
比較例2,3では、スラリーAは沸騰しなかったが、粘度が低いためスラリーA中で気泡が上昇し、上部に大きな気泡が集中した。このため、厚み方向に気孔径の分布が傾斜し、全体としての気孔径の評価が不能であった。
比較例4では、実施例1,2と比較して気孔率および平均気孔径が小さかった。
比較例5では、予備冷却段階ですでに凍結していたため、減圧によっても気泡が膨張しなかった。
次に、表2に示すように、スラリーAを用いて、気泡核形成工程における脱泡状態のスラリーCと添加ガスとの体積比を10:3として、減圧膨張工程の予備冷却温度を変えて製造した各多孔質焼結体(実施例21,22および比較例21〜25)について、気孔率および平均気孔径を比較した。
Figure 0005088342
実施例21と実施例22とを比較すると、気孔率は同じであったが、実施例22の方が平均気孔径が小さくなった。また、予備冷却温度が同じ実施例21と実施例1とを比較すると、添加ガス量の多い実施例21の方が気孔率は大きくなったが、平均気孔径は変わらなかった。同様に、予備冷却温度が同じ実施例22と実施例2とを比較すると、添加ガス量の多い実施例22の方が気孔率は大きくなったが、平均気孔径は変わらなかった。
比較例21では、スラリーAが沸騰したために均一な気孔が形成されなかった。このため、平均気孔径を測定することができなかった。また、実施例21と比較して気孔率は小さくなった。さらに、比較例1と比較しても気孔率は低くなった。
比較例22,23では、スラリーAは沸騰しなかったが、粘度が低いためスラリーA中で気泡が上昇し、上部に大きな気泡が集中した。このため、厚み方向に気孔径の分布が傾斜し、全体としての気孔径の評価が不能であった。
比較例24では、実施例21,22と比較して気孔率および平均気孔径が小さかった。
比較例25では、予備冷却段階ですでに凍結していたため、減圧によっても気泡が膨張しなかった。
表1および表2に示す実施例および比較例から、スラリーAが沸騰および凝固しないように予備冷却温度を設定することにより、適切に気孔を形成できることが確認できた。すなわち、スラリーAが沸騰すると、添加ガスがスラリーAから脱出するとともに沸騰による気泡が形成されると考えられる。また、スラリーAが凝固すると、気泡核形成工程において凝固状態のスラリーAを攪拌しながら添加ガスを導入しても、導入された添加ガスをスラリーAに確実に保持させることができないと考えられる。さらに、凝固したスラリーAは、減圧しても気泡核が膨張しにくいため、気孔率が上昇しにくいと考えられる。
また、適切に気孔が形成される温度範囲においては、添加ガス量を変化させることにより気孔率が変化することが確認できた。すなわち、予備冷却温度は気孔率に影響しないと考えられる。さらに、このような温度範囲においては、予備冷却温度が低い方が多孔質焼結体の平均気孔径が小さくなることが確認できた。すなわち、温度が低く粘度が高いスラリーAにおいては、各気泡の形状が維持されやすく、隣接する気泡同士は連結しても一体化しにくいため、気孔径が大きくなりにくいと考えられる。
次に、表3に示すように、スラリーBを用いて、気泡核形成工程における脱泡状態のスラリーBと添加ガスとの体積比を10:1として、減圧膨張工程の予備冷却温度を変えて製造した各多孔質焼結体(実施例31,32および比較例31〜35)について、気孔率および平均気孔径を比較した。
Figure 0005088342
実施例31,32は、それぞれ同じ予備冷却温度に設定したスラリーAの実施例1,2と比較して、気孔率および平均気孔径がわずかに大きくなった。
比較例31では、スラリーBが沸騰したために、均一な気孔が形成されなかった。また、比較例31の気孔率は、同じ予備冷却温度に設定したスラリーAの比較例1よりも低くなった。
比較例32,33では、スラリーAは沸騰しなかったが、粘度が低いためスラリーA中で気泡が上昇し、上部に大きな気泡が集中した。このため、厚み方向に気孔径の分布が傾斜し、全体としての気孔径の評価が不能であった。
比較例34は、同じ予備冷却温度に設定したスラリーAの比較例4と比較して、気孔率および平均気孔径が大きくなった。
また、比較例35では、予備冷却段階ですでに凍結していたため、減圧によっても気泡が膨張しなかった。
次に、表4に示すように、スラリーBを用いて、気泡核形成工程における脱泡状態のスラリーと添加ガスとの体積比を10:3として、減圧膨張工程の予備冷却温度を変えて製造した各多孔質焼結体(実施例41,42および比較例41〜45)について、気孔率および平均気孔径を比較した。
Figure 0005088342
実施例41は、実施例31と比較すると、気孔率は大きくなったが、平均気孔径は同じであった。また、実施例42も、実施例32と比較すると、気孔率は大きくなったが、平均気孔径は同じであった。実施例41と実施例42とを比較すると、予備冷却温度が低い実施例42の方が平均気孔径が低くなった。
比較例41では、スラリーBが沸騰したために、均一な気孔が形成されなかった。この比較例41の気孔率は、同じ予備冷却温度に設定したスラリーAの比較例21よりも高く、添加ガス量が少ないスラリーBの比較例31と同じであった。
比較例42,43では、スラリーAは沸騰しなかったが、粘度が低いためスラリーA中で気泡が上昇し、上部に大きな気泡が集中した。このため、厚み方向に気孔径の分布が傾斜し、全体としての気孔径の評価が不能であった。
比較例44は、同じ予備冷却温度に設定したスラリーAの比較例24と比較して、気孔率および平均気孔径が大きくなった。また、添加ガス量が少ないスラリーBの比較例34と比較して、比較例44では気孔率は高くなり、平均気孔径は同じであった。
また、比較例45では、予備冷却段階ですでに凍結していたため、減圧によっても気泡が膨張しなかった。
表3および表4に示す実施例および比較例から、スラリーBが沸騰および凝固しないように予備冷却温度を設定することにより、適切に気孔を形成できることが確認できた。また、適切に気孔が形成される範囲においては、気孔率を変化させるのは予備冷却温度ではなく添加ガス量であることが確認できた。さらに、このような温度範囲においては、予備冷却温度が低い方が、多孔質焼結体の平均気孔径が小さくなることが確認できた。これらの結果は、ステンレス鋼のスラリーAおよびTiのスラリーBのいずれを用いて多孔質焼結体を製造しても同様であった。
しかしながら、予備冷却温度や添加ガス量が同じ場合には、ステンレス鋼のスラリーAを用いた多孔質焼結体よりもチタンのスラリーBを用いた多孔質焼結体の方が、気孔率および平均気孔径が大きくなった。これは、Tiがステンレス鋼よりも軽量であることから、スラリーBの粘度がスラリーAよりも低く、気泡核が成長しやすいためと考えられる。
以上の実施例および比較例から、原料粉末の材質に関わらず、予備冷却温度をスラリーが凝固および沸騰しない適切な温度に設定することによって、適切な気孔が形成されることが確認できた。また、予備冷却温度を適切に設定すれば、添加ガス量を制御することによって多孔質焼結体の気孔率を制御できることが確認できた。さらに、適切な範囲において予備冷却温度を変更することにより、多孔質焼結体の平均気孔径を制御できることが確認できた。
次に、気泡核形成工程における添加ガス量および減圧膨張工程における圧力と、多孔質焼結体の気孔率との関係について説明する。図4に、脱泡スラリーと添加ガスとの体積比をそれぞれ10:1,10:3,10:5,10:8と変化させた場合の減圧膨張工程における圧力と多孔質焼結体の気孔率との関係の一例を示す。この図に示すように、添加ガス量が多いほど気孔率は高くなる。また、減圧膨張工程の圧力が小さいほど、気孔率は高くなる。したがって、減圧膨張工程の圧力と添加ガス量とを組み合わせて制御することにより、多孔質焼結体の気孔率を広範囲に制御することができる。なお、同じ気孔率であっても、添加ガス量を多くして減圧膨張工程における圧力を高くする方が、気泡核の成長が小さいので、多孔質焼結体の平均気孔径は小さくなる。
以上説明したように、本発明によれば、任意量の添加ガスを含むスラリーを、適切な予備冷却温度に維持した状態で減圧し、その形状のまま凍結固化することにより、気孔率および平均気孔径が制御され、任意の連通度を有する多孔質焼結体を製造することができる。
なお、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
10 攪拌装置
11 出口
C1 添加ガス
C2 気泡核
C3 気泡
G グリーン体
H 気孔
P 多孔質焼結体
S スラリー

Claims (5)

  1. 原料粉末、バインダ、および水を含む材料からなるスラリーからグリーン体を形成し、このグリーン体を焼結して多孔質焼結体を製造する多孔質焼結体の製造方法であって、
    前記材料を混練してスラリーを製造するスラリー混練工程、前記スラリーから気泡および溶存ガスを除去する脱泡工程、および脱泡された前記スラリーに添加ガスを導入しながら攪拌することにより、前記スラリー中に前記添加ガスからなる気泡核を分散形成する気泡核形成工程を含む発泡性スラリー製造工程と、
    前記気泡核を含む前記スラリーを所定圧力に減圧することにより、前記気泡核を膨張させる減圧膨張工程、前記気泡核が膨張して体積が増大した前記スラリーを凍結することによりその形状を固定する凍結固化工程、および前記スラリーを真空凍結乾燥させる真空凍結乾燥工程を含み、前記原料粉末が前記バインダによって保持されてなるグリーン体を形成するグリーン体形成工程と、
    前記グリーン体を焼結して多孔質焼結体を形成する焼結工程と、
    を有し、
    少なくとも前記減圧膨張工程を、前記所定圧力における前記スラリーの凝固点を超え沸点未満の5℃以下の予備冷却温度に保持しながら行うことを特徴とする多孔質焼結体の製造方法。
  2. 前記気泡核形成工程を、前記スラリーを前記予備冷却温度に保持した状態で行うことを特徴とする請求項1に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  3. 前記脱泡工程の後、前記スラリーを前記予備冷却温度に保持しながら真空混練することを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質焼結体の製造方法。
  4. 前記発泡性スラリー製造工程において、前記気泡核形成工程の後に、前記気泡核を含む前記スラリーを前記予備冷却温度に保持しながら成形型に充填する充填工程を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の多孔質焼結体の製造方法。
  5. 前記スラリー混練工程において、前記スラリーに界面活性剤を添加することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の多孔質焼結体の製造方法。
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