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JP5115860B2 - シンチレータ材粉末の製造方法 - Google Patents
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JP5115860B2 - シンチレータ材粉末の製造方法 - Google Patents

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本願発明は、焼成工程に特徴を有するシンチレータ材粉末の製造方法に関する。
GdSを主成分とするシンチレータ材粉末の製造方法は、特許文献1、特許文献
2などに開示されている。すなわち、Gd、S等のシンチレータ原料粉末に、Na
CO、Li、NaBF、KPO・3HO等の焼成助剤とフラック
ス粉末とを混合した混合粉末をアルミナ坩堝に入れ、アルミナの蓋をした後、1100〜
1250℃の温度で数時間焼成する。冷却後、坩堝の中の焼成体を純水で良く洗浄しなが
らほぐし、攪拌器中で塩酸と温水で連続洗浄することで、GdSを主成分とするシ
ンチレータ材粉末が得られる。
特開平7−41760号 公報 特開平7−252476号 公報
シンチレータ原料粉末に、焼成助剤とフラックス粉末とを混合した混合粉末をアルミナ
坩堝に充填して焼成する工程では、工業上以下のような問題点があった。図4に混合粉末
が焼成される様子を模式図で示す。混合粉末2をアルミナ製の坩堝1に充填してアルミナ
製の蓋3をし、焼成炉6中で1100〜1400℃の温度で数時間焼成する(図4(a)
)。焼成により原料粉末どうしの反応が進み、GdSを主成分とするシンチレータ
材粉末とフラックス残渣からなる焼成体8が得られる。
しかし、焼成体8は、坩堝1と接触する面には、フラックス成分とアルミナとの反応層
9が形成されてしまう(図4(b))。この反応層9は、焼成体8を純水や酸に浸漬して
フラックス残渣を溶解しても、容易にシンチレータ材粉末にほぐすことができず、ほぐし
ガラとして廃棄するしかない。すなわち、焼成体8のうちシンチレータ材粉末になりうる
のは、焼成体8のうち反応層9を除く部分だけである。焼成体8に形成される反応層9を
小さくできれば、原材料に対するシンチレータ材粉末の収量を上げられるので、製造コス
ト上大変好ましい。
また、混合粉末の焼成には、製造上比較的安価なアルミナ製の坩堝が用いられる。しか
し、アルミナ製の坩堝を用いた焼成では、僅かではあるが坩堝に含まれるAl成分がシン
チレータ材粉末に混入し、シンチレータ特性を劣化させてしまう問題があった。シンチレ
ータ特性のうち、残光特性はAl混入量に大きく左右され、Al混入量が多いと残光特性
が劣化することがわかっている。低い残光特性が要求される高解像X線CT装置用途のシ
ンチレータでは、如何にAl混入量を少なくして残光特性を改善するかが課題であった。
本願発明は上記課題に基づき、シンチレータ焼成体に形成される反応層を小さくでき、
シンチレータ原材料を含む混合粉末に対するシンチレータ材粉末の収量を上げられるシン
チレータ材粉末の製造方法を提供するものである。
また、本願発明は、シンチレータ材粉末への坩堝成分の混入が少なく、シンチレータ材
粉末の特性、特に残光特性を改善できるシンチレータ材粉末の製造方法を提供するもので
もある。
本願発明のシンチレータ材粉末の製造方法では、シンチレータ原料粉末と焼成助剤を含
むフラックス粉末とを混合して混合粉末とする工程、混合粉末を成形して成形体を得る工
程、成形体の下面の一部を支持し成形体に含まれるフラックスを下方に逃がすように焼成
してシンチレータ焼成体を得る工程、シンチレータ焼成体をほぐしてから洗浄・乾燥して
シンチレータ材粉末とする工程を特徴としている。
また、本願発明のシンチレータ材粉末の製造方法では、シンチレータ原料粉末と焼成助
剤を含むフラックス粉末とを混合して混合粉末とする工程、混合粉末を坩堝に充填して混
合粉末の成形体を得る工程、内向面に凸部を設けた蓋を成形体の入った坩堝に取り付ける
工程、坩堝に対して蓋を下方にして坩堝内における成形体の下面の一部を蓋の内向面に設
けた凸部が支持して成形体に含まれるフラックスを下方に逃がすように焼成してシンチレ
ータ焼成体を得る工程、坩堝から取出したシンチレータ焼成体をほぐしてから洗浄・乾燥
してシンチレータ材粉末とする工程も特徴としている。
さらに、本願発明のシンチレータ材粉末の製造方法では、混合粉末を焼成温度より低い
温度で仮焼して成形体を得ることも特徴としている。
さらに、本願発明のシンチレータ材粉末の製造方法では、アルミナからなる坩堝および
蓋を用いることも特徴としている。
さらに、本願発明のシンチレータ材粉末の製造方法では、シンチレータ材粉末と同じ成
分の凸部を蓋の内向面に設けることも特徴としている。
さらに、本願発明のシンチレータ材粉末の製造方法では、GdSを主成分とする
シンチレータ材粉末を製造することも特徴としている。
本願発明によれば、シンチレータ材粉末を製造する焼成工程において、シンチレータ焼
成体に形成される反応層を小さくすることができる。シンチレータ原材料に対するシンチ
レータ材粉末の収量が上げることができるので、製造コスト上大変好ましいシンチレータ
材粉末の製造方法とすることができる。
実施例のシンチレータ材粉末を製造する焼成工程を示す模式図である。 実施例のシンチレータ材粉末の焼成工程に用いることができる坩堝・容器の模式図である。 実施例のシンチレータ材粉末の収量、Al混入量、残光特性を示す図である。 従来方法によりシンチレータ材粉末が焼成される様子を示す模式図である。
以下、本願発明について図面を参照しながら実施例に基づいて詳細に説明する。説明を
判り易くするため、同一の部品、部位には同じ符号を用いている。
本実施例では、シンチレータ原料粉末として、Gdを333g、Pr12
0.35g、Sを105g用い、焼成助剤とフラックス粉末として、NaCOを96
g、Liを10g、NaBFを3g、KPO・3HOを32gそれぞ
れ秤量した後乾式混合して混合粉末を得た。混合粉末には、1.3gのCe(NO
・6HOを500ccの純水に溶かしたものを、ピペットで2ml添加した。
次に、図1を用いて、混合粉末をアルミナ坩堝に充填して焼成する工程を説明する。本
実施例には、純度99%以上のアルミナからなり、容積が600cc、肉厚が4mmの鉢
状の坩堝1を用いた。まず、この坩堝1に上記の混合粉末2を850g秤量して流し込み
、軽く振動を与えて表面を平らにした後、更に表面を軽く押し固めた(図1(a))。
次に、坩堝1に純度99%以上のアルミナからなる蓋3を取り付け、大気雰囲気中で1
50℃×4時間仮焼した(図1(b))。坩堝1中の混合粉末2は、仮焼によって僅かに
焼き締まり、坩堝1内部と略同形状の成形体4が得られた。(図1(c))
本実施例では、混合粉末2を焼成温度より低い150℃で仮焼して成形体4を得たが、
混合粉末2を機械的に押し固めて成形体4を形成しても良い。成形体1を機械的に押し固
めて形成する場合、混合粉末が不純物で汚染されないように、成形治具の材料を検討する
必要がある。
次に、坩堝1に取り付けられていた蓋3を取り外し、代わりに内向面に凸部6を設けた
蓋3Aをセラミックス系の接着剤で取り付けた。凸部6、蓋3Aは、ともに純度99%以
上のアルミナ製である。坩堝1は蓋3Aを取り付けた後、坩堝1に対して蓋3Aが下方に
なるようにして、坩堝1内の成形体4が蓋1Aの内向面に設けた凸部5に支持されるよう
にした(図1(d))。
本実施例では、純度99%以上のアルミナからなる凸部5を用いたが、焼成後のシンチ
レータ材粉末と同じ成分のシンチレータ焼結体からなる凸部5を用いても良い。本実施例
のようなシンチレータ材粉末では、微量元素の混入がシンチレータ特性(特に残光特性)
を大きく劣化させることにつながる。凸部5をシンチレータ材粉末と同じ成分にすること
で、凸部5に含まれる微量成分がシンチレータ材粉末に混入することを防ぎ、焼結体のシ
ンチレータ特性を良好にすることができる。
また、本実施例では凸部5を取り付けた蓋3Aを用いたが、図3(a)に示されるよう
に、坩堝1との内向面に凸部が設けられた蓋3Bを用いても良い。また、図3(b)に示
されるように、多数の成形体4を一括に焼成処理できる容器7と、容器7との内向面に複
数の凸部5が設けられた蓋3Cを用いても良い。以上のような蓋、容器を用いることで、
焼成の作業性を向上することができる。
最後に、坩堝1に対して蓋3Aが下方になるようにして、坩堝1内の成形体4が蓋3A
の内向面に設けられた凸部5に支持された状態のまま、坩堝1内の成形体4を焼成炉6で
焼成処理した(図1(e))。焼成は、大気雰囲気中で1350℃×8時間行った。焼成
反応中、成形体4は図中のブロック矢印の向きに収縮して、成形体4に含まれるフラック
ス成分はフラックス残渣として線矢印の向きに流出する。
図1(f)は、焼成後の坩堝1内の状態を示す模式図である。蓋1Aに凸部5を設けた
ことで、焼成体8とフラックス残渣7とは分離生成された。また、焼成反応中、成形体4
は収縮して坩堝1の内壁面と離れるので、図4のように成形体4と坩堝1とが接する部分
で反応層9を生成することは無かった。
以上の工程で得られた焼成体8を純水に浸漬してフラックス残渣及び過剰の硫黄化合物
を洗い流しながらほぐし、さらに温水洗浄を繰り返し、ろ過して低温乾燥してGd
Sを主成分とするシンチレータ材粉末を得た。焼成体8のほぐし作業では、焼成体8の殆
ど全てをほぐすことができ、ほぐしガラとして廃棄する量は殆ど無かった。
図3に、本実施例の焼成工程を用いた時の、混合粉末の投入量に対するシンチレータ材
粉末量および収量率を示す。また図3には、シンチレータ材粉末中に含まれるAl量とシ
ンチレータ材粉末の残光特性も併せて示す。
シンチレータ材粉末中に含まれるAl量は、シンチレータ材粉末を王水に溶かして、I
CP分析により評価した。残光特性は、シンチレータ材粉末に管電圧90kVのX線を照
射して、シンチレータ材粉末からの発光をフォトダイオードで検出し、X線照射時のフォ
トダイオードの出力電流に対する、X線を切って3msec後のフォトダイオードの出力
電流の比率で評価した。
本実施例の焼成工程を用いた場合、850gの混合粉末に対して、約402gのシンチ
レータ材粉末が得られた。収量率としては約47.3%であった。本実施例のシンチレー
タ原料粉末の配合比の場合、フラックス成分を除外した理論上の最大収量率は約59%で
あるので、理論上最大収量率対比で約80%のシンチレータ材粉末が得られたことになる
。比較例である従来の焼成工程を用いた場合、850gの混合粉末に対して、約339g
のシンチレータ材粉末しか得ることができず、収量率は約39.9%であった。以上の比
較から、本実施例の焼成工程を用いた場合、従来の焼成工程と比較して、約19%多くの
シンチレータ材粉末が得られることを確認できた。
また、本実施例のシンチレータ材粉末は、比較例のシンチレータ材粉末と比較して、含
まれるAl量を半分以下に低減することができた。これは、焼成反応中成形体4と坩堝1
の内壁面とが離れ、成形体4に触れるのが蓋3Aに設けた凸部5だけになったので、Al
の混入が少なくなったと考えられる。以上から、本実施例の焼成工程を用いることで、シ
ンチレータ材粉末に混入するAl量を低減できることが確認できた。
さらに、本実施例のシンチレータ材粉末は、比較例のシンチレータ材粉末と比較して、
残光を半分以下に低減することができた。これは、シンチレータ材粉末に混入するAl量
を低減できたためと考えられる。高解像X線CT装置に用いられるシンチレータでは、残
光が小さいことが好ましいとされる。本実施例の焼成工程を用いることで、残光が小さい
高解像X線CT装置向けのシンチレータ材粉末を製造できることが確認できた。
1 坩堝、
2 混合粉末、
3,3A,3B,3C 蓋、
4 成形体、
5 凸部、
6 焼成炉、
7 フラックス残渣、
8 焼成体、
9 反応層。

Claims (6)

  1. シンチレータ原料粉末と焼成助剤を含むフラックス粉末とを混合して混合粉末とする工程、
    混合粉末を成形して成形体を得る工程、
    成形体の下面の一部を支持し成形体に含まれるフラックスを下方に逃がすように焼成してシンチレータ焼成体を得る工程、
    シンチレータ焼成体をほぐしてから洗浄・乾燥してシンチレータ材粉末とする工程を特徴とするシンチレータ材粉末の製造方法。
  2. シンチレータ原料粉末と焼成助剤を含むフラックス粉末とを混合して混合粉末とする工程、
    混合粉末を坩堝に充填して混合粉末の成形体を得る工程、
    内向面に凸部を設けた蓋を成形体の入った坩堝に取り付ける工程、
    坩堝に対して蓋を下方にして坩堝内における成形体の下面の一部を蓋の内向面に設けた凸部が支持して成形体に含まれるフラックスを下方に逃がすように焼成してシンチレータ焼成体を得る工程、
    坩堝から取出したシンチレータ焼成体をほぐしてから洗浄・乾燥してシンチレータ材粉末とする工程を特徴とするシンチレータ材粉末の製造方法。
  3. 混合粉末を焼成温度より低い温度で仮焼して成形体を得ることを特徴とする請求項1または2に記載のシンチレータ材粉末の製造方法。
  4. アルミナからなる坩堝および蓋を用いることを特徴とする請求項に記載のシンチレータ材粉末の製造方法。
  5. シンチレータ材粉末と同じ成分の凸部を蓋の内向面に設けることを特徴とする請求項2または4に記載のシンチレータ材粉末の製造方法。
  6. GdSを主成分とするシンチレータ材粉末を製造することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のシンチレータ材粉末の製造方法。
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