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JP5117903B2 - 固体nmr用試料管およびマジックアングル調整機構 - Google Patents
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JP5117903B2 - 固体nmr用試料管およびマジックアングル調整機構 - Google Patents

固体nmr用試料管およびマジックアングル調整機構 Download PDF

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Description

本発明は、固体NMRプローブに関し、特に、固体NMR測定用高速スピナーの回転軸を制御する技術に関する。
固体状態の試料を測定する固体NMRにおいて、無機化合物の解析は重要な目的となっている。しかしながら、27Alや23Naなどのような核スピン数が3/2以上の半整数スピン核においては、二次の四極子相互作用によってNMRスペクトルはシフトし、かつ線形が非対称となるため、NMRスペクトルの一次元測定だけでは解析が困難であった。
二次の四極子相互作用を消去し、半整数スピン核の詳細な解析を行なう手法として、1983年にA.Baxら、1986年にT.寺尾らがDAS(Dynamic Angle Spinning)法を、1988年にA.SamsonらがDOR(Double Rotation)法を提案した。しかしながら、これらの手法は、特殊な専用プローブを使用しなければならないため、一般的な手法ではなかった。
その後、1995年にFrydmanらによってMQMAS(Multiple Quantum Magic Angle Spinning)法が提案された。MQMAS法は、多量子遷移とMAS法を用いた手法であり、測定結果が二次元のスペクトルとして得られ、通常のMASプローブとパルスシーケンスによって二次の四極子相互作用を消去でき、これによって一般的に半整数スピン核の詳細な解析が可能となった。しかしながら、MQMAS法は感度が悪いという欠点があるため、低感度試料には適さなかった。
2000年にGanによって提案されたSTMAS法は、MQMAS法と同様に二次の四極子相互作用を消去する手法であり、MQMASスペクトルと同様の二次元スペクトルを得ることができる手法である。STMAS法の最大の利点は、多量子遷移を用いるMQMAS法とは異なり、1量子サテライト遷移を用いるため、感度が大きく向上するため、測定時間の大幅な短縮や、低感度試料の解析を行なうことが可能となったことである。
STMAS法の特徴として、装置への要求が高い点がある。例えば、マジックアングルが10-3度のオーダーでずれると、MASにて消去している1次の四極子相互作用が復活するため、STMASスペクトルのピークが分裂してしまい、更に大きくずれるとピークそのものが得られない。また、回転安定度が悪い場合には、STMASスペクトルの高分解能軸のスペクトルがブロードになり、感度が低下する。そのため、STMAS測定を行なうには、マジックアングルを高精度に調整可能であることと、マジックアングルと回転速度を長時間安定に保つことが必要である。
固体NMR装置において、試料管の回転軸の角度を調整する機構のブロック図を図1に示す。図中1は、プローブ全体を示している。2は、サンプルを入れる試料管で、この試料管を3のスピナロータに入れ、圧縮空気ないしは窒素ガスのような媒体を用い、試料管2を高速に回転させる。
4は、スピナロータ3のアングルを可変させるための、例えば歯車などの可動機構である。5は、可動機構4に接続され、可動機構4を外部から操作するための、例えばシャフトである。6は、シャフト5に接続され、実際にマジックアングル調整する際に操作者がアクセスするつまみである。
静磁場B0に対してマジックアングルθ(54.736度)を軸として試料管を回転させることにより、化学シフトの異方性を消去し、NMRスペクトルの線幅を狭くすることが可能になるため、マジックアングル調整を行なう。
発明協会公開技報2004−501435
ところで、図1に示した従来技術では、マジックアングルシャフト5の機械的な遊びにより、サンプルの交換時、あるいは長時間測定時にマジックアングルがずれてしまうという問題があった。
また、発明協会公開技法2004−501435に記載のマジックアングル調整機構においては、マジックアングル調整の遠隔操作は可能となるものの、STMASスペクトル測定時に要求される精度(10-3のオーダー)でのマジックアングル調整は困難であり、機械的な遊びの存在に起因する振動やバックラッシュによるMAS軸のずれを完全に抑えることは困難である。
また、従来技術では、マジックアングルの調整の都度、標準サンプルを用いて予備測定を行ない、予備測定終了後、測定したい未知サンプルを標準サンプルと交換して本測定に入らなければならず、時間がかかる上にわずらわしいという問題があった。試料交換時には、せっかく調整したマジックアングルがずれてしまう心配もあった。
本発明の目的は、上述した点に鑑み、測定時にマジックアングルのずれを生じにくいマジックアングル調整機構と、それに用いて好適な固体NMR用試料管を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明にかかる固体NMR用試料管は、
固体NMR測定を行ないたい未知試料と、
固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料と、
を1つの試料管の中に別々に封入できるように構成した試料管であって、
前記試料管は、該試料管内空間を2つに仕切る仕切り壁を備え、該仕切り壁により形成された2つの空間に別々に前記標準試料と前記未知試料を封入できるようにしたことを特徴としている。
また、固体NMR測定を行ないたい未知試料と、
固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料と、
を1つの試料管の中に別々に封入できるように構成した固体試料のNMR測定に用いられる試料管であって、
端に開口部を備えた筒体の側壁と、
筒体の筒内空間を2つに仕切る仕切り壁と、
記2つの開口部にそれぞれ螺合または圧入により固定密栓される2つの蓋体と
によって形作られる2つの密封空間を備え、
その一方の密封空間には固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料、他方の密閉空間には固体NMR測定を行ないたい未知試料をそれぞれ封入できるようにしたことを特徴としている。
また、本発明にかかるマジックアングル調整機構は、
固体試料のNMR測定におけるMAS法で使用されるマジックアングル調整機構であって、
料回転部にセットされた試料管と、
試料管に対する静磁場の傾斜角度を変更調整する角度調整機構と、
角度調整手段の機械的な遊びを所定の方向に押さえ付けることにより小さくするための弾性体と、
記傾斜角度の変更を精密に制御するために前記角度調整機構の操作部に取り付けられるマイクロメータと
を備え、
前記試料回転部にセットされた試料管は、
固体NMR測定を行ないたい未知試料と、
固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料と、
を1つの試料管の中に別々に封入できるように構成した固体NMR用試料管であることを特徴としている。
本発明の固体NMR用試料管によれば、
固体NMR測定を行ないたい未知試料と、
固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料と、
を1つの試料管の中に別々に封入できるように構成した試料管であって、
前記試料管は、該試料管内空間を2つに仕切る仕切り壁を備え、該仕切り壁により形成された2つの空間に別々に前記標準試料と前記未知試料を封入できるようにしたように構成したので、測定時にマジックアングルのずれを生じにくい固体NMR用試料管を提供することが可能になった。
また、固体NMR測定を行ないたい未知試料と、
固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料と、
を1つの試料管の中に別々に封入できるように構成した固体試料のNMR測定に用いられる試料管であって、
端に開口部を備えた筒体の側壁と、
筒体の筒内空間を2つに仕切る仕切り壁と、
記2つの開口部にそれぞれ螺合または圧入により固定密栓される2つの蓋体と
によって形作られる2つの密封空間を備え、
その一方の密封空間には固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料、他方の密閉空間には固体NMR測定を行ないたい未知試料をそれぞれ封入できるようにしたので、
測定時にマジックアングルのずれを生じにくい固体NMR用試料管を提供することが可能になった。
また、本発明のマジックアングル調整機構によれば、
固体試料のNMR測定におけるMAS法で使用されるマジックアングル調整機構であって、
料回転部にセットされた試料管と、
試料管に対する静磁場の傾斜角度を変更調整する角度調整機構と、
角度調整手段の機械的な遊びを所定の方向に押さえ付けることにより小さくするための弾性体と、
記傾斜角度の変更を精密に制御するために前記角度調整機構の操作部に取り付けられるマイクロメータと
を備え、
前記試料回転部にセットされた試料管は、
固体NMR測定を行ないたい未知試料と、
固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料と、
を1つの試料管の中に別々に封入できるように構成した固体NMR用試料管なので、
測定時にマジックアングルのずれを生じにくいマジックアングル調整機構を提供することが可能になった。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図2は、本発明にかかる新しい固体NMR試料管の一実施例である。図中Aは固体NMR試料管である。この固体NMR試料管Aの特徴は、両端に開口部を備えた筒状のサンプル管13の内側に、筒内空間を2つに仕切る仕切り壁が存在していることである。この仕切り壁により、サンプル管13は、上部の空間と下部の空間の、合わせて2つの空間に分けられている。
11はボトムキャップである。ボトムキャップ11は、サンプル管13の下側の開口部に螺合または圧入により固定密栓され、サンプル管13の側壁と前述した仕切り壁との間に第1の密閉空間を形作るように構成されている。この第1の密閉空間には、MAS軸調整用の標準サンプル12、例えばKBrが充填される。
また、15は高速回転用のタービンが設けられたタービンキャップである。タービンキャップ15は、サンプル管13の上側の開口部に螺合または圧入により固定密栓され、サンプル管13の側壁と前述した仕切り壁との間に第2の密閉空間を形作るように構成されている。この第2の密閉空間には、固体NMR測定に供される未知サンプル14が充填される。
これにより、本発明の固体NMR試料管は、2つのキャップとサンプル管の側壁とサンプル管の筒内空間を2つに仕切る仕切り壁とで囲まれた2つの独立した密閉空間を備えることになり、MAS軸調整用の標準サンプルと固体NMR測定に供される未知サンプルを1つのサンプル管の内部に互いに混合することなく分けてセットすることができる。
そのため、例えば同位体ラベルされたような貴重なサンプルの測定においても、測定終了時には当該サンプルを標準サンプルと混合することなく回収できる。また、第1の密閉空間は、通常の固体NMR用の試料管のボトムスペーサーの位置に存在しているため、従来と比較して未知サンプル14が入る第2の密閉空間のスペースは狭くなっておらず、従来とほぼ等量の未知サンプルを充填することが可能である。
この試料管を図示しないスピナロータに入れ、窒素ガスや圧縮空気などの媒体を用いて高速で回転させる。これにより、最初に標準サンプル12を用いてマジックアングルの調整を行なった後、試料管を取り出すことなく、そのまま未知サンプル14の本測定に移ることができ、従来、測定したい未知サンプルを標準サンプルと交換する際に起きた時間がかかる上にわずらわしいという問題、あるいは試料交換時にせっかく調整したマジックアングルがずれてしまうという問題を回避することが可能になった。
図3は、本発明にかかる固体NMR装置の新しいマジックアングル調整機構の一実施例である。以下、図3を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図中21は、プローブ全体を示している。Aは、サンプルを入れる試料管で、実施例1で述べた2つの密閉空間を備え、標準サンプルと未知サンプルを封入した特殊な試料管である。この試料管Aをスピナロータ16に入れ、圧縮空気ないしは窒素ガスのような媒体をタービンキャップ15に強く吹き付けることにより、試料管Aを高速で回転させる。
20は、スピナロータ16のアングルを可変させるための、例えば歯車などの可動機構である。17は、可動機構20に接続され、可動機構20を外部から操作するための、例えばシャフトである。19は、シャフト17に接続され、実際にマジックアングル調整する際に操作者がアクセスするマイクロメータである。
本実施例では、マイクロメータ19の目盛りを用いることによって、極めて高精度にマジックアングルθ(54.736度)の微調整を行なえる構成になっている。しかも、振動吸収用にバネなどの弾性体18を用いてシャフト17を一定方向に押さえ付ける構成とすることにより、シャフト17の機械的な遊びの存在に起因する振動やバックラッシュによるMAS軸のずれをなくすようにしている。
また、マイクロメータ19は小型であるため、プローブ底面から突出する部分を最小限にすることができ、プローブ底面の外側だけを比較すると、従来技術である図1中のマジックアングル調整用のつまみをマイクロメータで入れ替えただけであることから、プローブ本体以外の機構が大型化したり、取り扱いが煩雑になったりするという問題は生じない。
このようなマジックアングル調整機構と固体NMR試料管を用いて、まず標準サンプルの測定を行ない、マジックアングルを微調整するようにすれば、静磁場B0に対して高精度に設定されたマジックアングルを軸として試料管を高速回転させることが可能になるため、そのまま試料交換を行なうことなく未知サンプル測定に移行し、未知サンプル由来のSTMASスペクトルの異方性を消去し、STMASスペクトルの線幅を先鋭にすることができる。
図4および図5は、実施例1および2に記載した本発明にかかる新しい試料管およびマジックアングル調整機構を用いて、実際のSTMASスペクトルを測定した一実施例である。
マジックアングル調整用の標準サンプル12としてNa2SO4を、未知試料14としてカルシウムアルミノシリケートガラスを充填し、STMASスペクトル測定を実施した。マジックアングルを調整し、試料管を20kHzの速度で回転させてから30時間後に測定したNa2SO423Na-STMASスペクトルを図4に示す。30時間経過後もF1(Isotropic)軸方向にピークの分裂は見られず、マジックアングル調整直後のピークの線形と変化がなく、長時間マジックアングルが保持できていることを確認した。
また、Na2SO4を充填した密閉空間はrfコイルの中心からはずれているものの、コイル内側に存在しているため、感度の低下も最小限に抑えることができる。
また、第2の密閉空間に充填されたカルシウムアルミノシリケートガラスの27Al-STMASスペクトルを図5に示す。ピークの線形は該サンプルの27Al-MQMASスペクトルと比較して変化していなかった。一方、感度は27Al-MQMASスペクトルと比較して約3倍向上しており、本発明にかかる新しい試料管およびマジックアングル調整機構によって、感度良く、ピークの分裂等のない良好なSTMASスペクトルの取得が可能となった。
(比較例1)
図6は図1に示した従来技術を用いて、実際のSTMASスペクトルを測定した一比較例である。
実施例3と同様に試料管にサンプルを充填し、マジックアングル調整後、30時間経過後に測定したNa2SO423Na-STMASスペクトルを図6に示す。実施例3で示した図4とは異なり、F1(Isotropic)軸方向に23Naのピークの分裂が見られていることから、マジックアングルが本来の値からずれており、精度良く保持できていないことを確認した。
固体NMR装置に広く利用できる。
従来のマジックアングル調整機構の一例を示す図である。 本発明にかかる固体NMR試料管の一実施例を示す図である。 本発明にかかるマジックアングル調整機構の一実施例を示す図である。 本発明にかかる固体NMR試料管およびマジックアングル調整機構を使用したときのNa2SO423Na-STMASスペクトルである。 本発明にかかる固体NMR試料管およびマジックアングル調整機構を使用したときのカルシウムアルミノシリケートガラスの27Al-STMASスペクトルである。 従来のマジックアングル調整機構を使用したときのNa2SO423Na-STMASスペクトルである。
符号の説明
1:プローブ全体、2:試料管、3:スピナロータ、4:可動機構、5:シャフト、6:つまみ、11:ボトムキャップ、12:標準サンプル、13:サンプル管、14:未知サンプル、15:タービンキャップ、16:スピナロータ、17:シャフト、18:弾性体、19:マイクロメータ、20:可動機構、21:プローブ全体、A:固体NMR試料管

Claims (3)

  1. 固体NMR測定を行ないたい未知試料と、
    固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料と、
    を1つの試料管の中に別々に封入できるように構成した試料管であって、
    前記試料管は、該試料管内空間を2つに仕切る仕切り壁を備え、該仕切り壁により形成された2つの空間に別々に前記標準試料と前記未知試料を封入できるようにしたことを特徴とする固体NMR用試料管。
  2. 固体NMR測定を行ないたい未知試料と、
    固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料と、
    を1つの試料管の中に別々に封入できるように構成した固体試料のNMR測定に用いられる試料管であって、
    端に開口部を備えた筒体の側壁と、
    筒体の筒内空間を2つに仕切る仕切り壁と、
    記2つの開口部にそれぞれ螺合または圧入により固定密栓される2つの蓋体と
    によって形作られる2つの密封空間を備え、
    その一方の密封空間には固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料、他方の密閉空間には固体NMR測定を行ないたい未知試料をそれぞれ封入できるようにしたことを特徴とす固体NMR用試料管。
  3. 固体試料のNMR測定におけるMAS法で使用されるマジックアングル調整機構であって、
    料回転部にセットされた試料管と、
    試料管に対する静磁場の傾斜角度を変更調整する角度調整機構と、
    角度調整手段の機械的な遊びを所定の方向に押さえ付けることにより小さくするための弾性体と、
    記傾斜角度の変更を精密に制御するために前記角度調整機構の操作部に取り付けられるマイクロメータと
    を備え、
    前記試料回転部にセットされた試料管は、
    固体NMR測定を行ないたい未知試料と、
    固体NMR測定時にマジックアングルを調整するために使用される標準試料と、
    を1つの試料管の中に別々に封入できるように構成した固体NMR用試料管であることを特徴とするマジックアングル調整機構。
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