JP5120838B2 - 一塩基変異体の検出方法 - Google Patents
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Description
(1)一塩基変異(SNP)を検出又は測定する方法であって、正常体及び一塩基変異体からなる一本鎖DNA試料、並びに/又はその他の核酸を含む試料を、正常体又は一塩基変異体の一塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子との複合体を充填したキャピラリー管を介して、キャピラリー電気泳動を実施することを含み、該方法を、以下のステップ:
(a)泳動緩衝液中に含まれるアルカリ土類金属イオン及び/又はアルカリ金属イオンからなる金属イオンの濃度を設定するステップ;
(b)ステップ(a)で設定した金属イオン濃度において、一塩基変異体及び正常体の熱安定性の最も高いホールディング構造の融解温度(Tfold)を決定し、前記泳動温度を、該融解温度(Tfold)より高い温度に設定するステップ;並びに
(c)前記金属イオン濃度及び温度条件下で、正常体又は一塩基変異体のいずれかと前記複合体から形成される二重鎖の解離定数Kdが下記の式1:
を満たすような前記相補核酸断片の長さを設定するステップ;
によって設定した金属イオン濃度、泳動温度及び相補核酸断片長にて実施することを特徴とする、前記方法。
(3)金属イオンがナトリウムイオン及び/又はマグネシウムイオンからなることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(4)ステップ(b)において、前記泳動温度を、前記融解温度(Tfold)より5℃以上高い温度に設定することを特徴とする、(1)に記載の方法。
(5)ステップ(c)が、
(c1)所与の長さのランダム配列のDNAを作製するステップ;
(c2)正常体又は一塩基変異体の塩基変異部位を含む部分配列と完全に相補的であり、かつ上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び泳動温度条件にて、該部分配列と形成する二重鎖の熱安定度定数が下記の式2:
(c3)上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び泳動温度条件にて、前記ランダム配列のDNA、及び正常体又は一塩基変異体のいずれかとステップ(c2)で合成した複合体とから形成される二重鎖をキャピラリー電気泳動することによって、前記ランダム配列の電気泳動移動度μD、及び前記二重鎖の電気泳動移動度μCを決定するステップ;
(c4)ステップ(c3)で決定したμD及びμCに基づいて、下記の関係:
μD>μ1>μ2>μC
[ここで、μ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値である。]
を満たす任意のμ1及びμ2の値を設定するステップ;
(c5)ステップ(c3)〜(c4)で決定したμD、μC、μ1及びμ2、並びにキャピラリー電気泳動に使用する相補的核酸の総濃度[L]0を上記の式1に代入して、解離定数Kdの上限値及び下限値を決定するステップ;
(c6)正常体又は一塩基変異体、及び正常体又は一塩基変異体の一塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子の複合体、から形成される二重鎖の解離定数Kdが、ステップ(c5)で決定した範囲になるように、前記相補核酸断片の長さを設定するステップ;
を含む、(1)に記載の方法。
(7)前記ステップ(c2)で作製する核酸断片の長さが20mer以上であることを特徴とする、(5)に記載の方法。
(8)正常体又は一塩基変異体の一本鎖DNAの長さが、20mer〜200merであることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(9)前記水溶性高分子が、水溶性のビニル系ポリマーであることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(10)前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコール(PEG)であることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(11)一塩基変異部位を含む、正常体又は一塩基変異体の塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子との複合体が、該相補核酸断片と水溶性高分子とを結合するリンカーを含むことを特徴とする、(1)に記載の方法。
a.原理
本発明で使用するウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法は、公知の塩基配列を有する一本鎖核酸(例えば上記正常体、一塩基変異体など)を特異的に検出又は測定するために設計された方法であり、標的とする前記一本鎖核酸の電気泳動速度を特異的に制御することを基礎とする。具体的には、標的一本鎖核酸に対するアフィニティーリガンドと水溶性高分子からなる核酸高分子複合体を使用することを含む。この複合体は、標的とする前記一本鎖核酸に特異的に結合するため、前記複合体中の水溶性高分子の分子量に依存して、標的一本鎖核酸の泳動速度のみを特異的に制御する。
本発明のアフィニティーキャピラリー電気泳動に使用する一本鎖DNA試料は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって調製することができる。例えば、SNPの検出対象となる塩基変異部位を含む生物試料由来の鋳型核酸を調製し、該塩基変異部位を挟むようにアニーリング可能なPCRプライマーセットを用いてPCR増幅し、増幅した二本鎖DNAを一本鎖に分解し、一本鎖DNA試料を回収することによって調製することができる。
ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法で使用する核酸高分子複合体中のアフィニティーリガンドは、塩基変異部位を含む一本鎖DNA試料(すなわち正常体又は一塩基変異体)に完全に相補的な核酸断片である。使用し得る核酸断片は必ずしもDNAである必要はなく、RNA、DNA/RNAキメラ、他の人工核酸などであってもよい。
一般的には以下の電気泳動条件を用いてアフィニティーキャピラリー電気泳動を実施することができる:塩濃度:[MgCl2]=0〜10mM、泳動時間:3〜30分、電圧:5〜30kV、温度:15〜60oC、キャピラリー管:内径25〜100μm、外径150〜500μm、長さ50〜100cm。例えばキャピラリー管の一例として、CEPコーティングキャピラリー(Agilent Technologies社製)を挙げることができる。また電気泳動装置の一例として、例えばP/ACEシステムMDQキャピラリー電気泳動システム(Beckman Coulter社製)を挙げることができる。
本発明のウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法は、上記の一般的な電気泳動条件において一塩基変異体の明確なピーク分離ができない一本鎖DNA試料をピーク分離するための特別な条件にて実施することを特徴とする。
を満たすような正常体に対するアフィニティーリガンドの長さを設定するステップによって設定することができる。
正常体の解離定数<Kd<不純物の解離定数
ここで、上記二重鎖の解離定数(Kd)は、下記式3のように表すことができる:
(c1)所与の長さのランダム配列のDNAを作製するステップ;
(c2)正常体の塩基変異部位を含む部分配列と完全に相補的であり、かつ上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び温度条件にて、該部分配列と形成する二重鎖の熱安定度定数が下記の式2:
(c3)上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び温度条件にて、前記ランダム配列のDNA、及び正常体とステップ(c2)で合成した複合体とから形成される二重鎖を、キャピラリー電気泳動することによって、前記ランダム配列の電気泳動移動度μD、及び前記二重鎖の電気泳動移動度μCを決定するステップ;
(c4)ステップ(c3)で決定したμD及びμCに基づいて、下記の関係:
μD>μ1>μ2>μC
[ここで、μ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値である。]
を満たす任意のμ1及びμ2の値を設定するステップ。
電気泳動移動度=キャピラリー有効長÷移動時間÷単位長さあたりの印可電圧
によって、μD及びμCを決定する。
一塩基変異体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の解離定数Kdは、アフィニティーリガンドの長さを変えることによって操作することができるため、アフィニティーリガンドの長さを、上記のように決定した二重鎖の解離定数Kdの範囲内になるように設定する。
イネの葉から綿棒でイネいもち病菌を採取した。これを健常なイネの葉の上に接種し、蛍光灯下のペトリ皿内で20℃で12時間保持した。このイネいもち病菌を凍結乾燥し、破砕機で液体窒素中でガラスビーズを用いて破砕した。得られた粉体を、50mM EDTA、100mM LiClおよび0.2%メルカプトエタノールを含む10mMトリス−塩酸緩衝液に懸濁させたのち、30分間65℃に加熱した。懸濁液を5分間13,000rpmで遠心分離して上澄みを分取し、10mgのRNA分解酵素を加えて、37℃で1時間インキュベートした。つづいて、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)で3回抽出した。水層をクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)で2回抽出し、イソプロピルアルコールを加えてDNAのペレットを形成させた。このペレットを遠心分離で回収し、70%冷エタノールで洗浄して乾燥させた後、1mM EDTAを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に再懸濁させた。
片末端にマレイミド基を有するポリエチレングリコール(PEG)と5'末端にチオール基を有するDNAのマイケル付加反応によりDNA-PEG複合体を合成した。実施例に使用したPEGの分子量はいずれも20,000である。
DNA-PEG複合体溶液をSephadex G-100(Amersham Biosciences)を充填したゲルろ過カラムに通し、溶出液を500μLずつ,計35本回収した。DNA-PEG複合体の溶出は,プレートリーダー(Spectra Max Plus384: Molecular Devices)を用いて追跡し(260nm)、No.14-20のフラクションを回収して凍結乾燥した。
実施例で使用したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の分析条件は以下の通りである:
試料濃度: 各0.05μM、50μL
リガンド濃度: 5.0μM
泳動バッファー: 50mM トリスホウ酸塩(pH 7.4)
塩濃度: [NaCl]=10mM
0.1 mM≦[MgCl2]≦0.6 mM
温度: 25℃≦T≦60℃
電圧: 15kV
キャピラリー電気泳動装置:P/ACEシステムMDQ(Beckman Coulter社製)
キャピラリー: CEPコーティングキャピラリー(Agilent Technologies社製)
内径75mm
有効長40cm
サンプル注入: 10秒につき0.5 psi
検出: Ex 488nm、Em 520nm
また、下記の実験1〜5で用いた、イネいもち病菌の農薬耐性に関連するシタロン脱水酵素の塩基変異部位を含む正常体、一塩基変異体の塩基配列は以下の通りである:
FITC-5’-GAGTTCGTCGGCATGGTCTCGAGCAAGCAGGTGCTGGGCGACCCCACCCTCCGCACGCAG-3'(配列番号1)
FITC-5’-GAGTTCGTCGGCATGGTCTCGAGCAAGCAGATGCTGGGCGACCCCACCCTCCGCACGCAG-3'(配列番号2)
[ここで、下線部は塩基変異部位を示す。]
図1に実験1で使用したアフィニティーリガンドの塩基配列(18mer)(配列番号3)を示す。
金属イオン濃度:[Na+]=10 mM、[Mg2+]=0.5 mM
Tfold=43℃
電気泳動温度:60℃(>43℃)
二重鎖の熱安定度定数Ka(=1/Kd)の範囲:8.6×104M-1 <Ka <1.3×106M-1
図2に実験2で使用したアフィニティーリガンドの塩基配列(20mer)(配列番号4)を示す。
図3に実験3で使用したアフィニティーリガンドの塩基配列(18mer)(配列番号3)を示す。
金属イオン濃度:[Na+]=10 mM、[Mg2+]=0.5 mM
Tfold=43℃
電気泳動温度:50℃(>43℃)
二重鎖の熱安定度定数Ka(=1/Kd)範囲:3.8×104M-1 <Ka <1.3×106M-1
図4に実験4で使用したアフィニティーリガンドの塩基配列(16mer)(配列番号5)を示す。
実験5では、本発明のステップ(b)で設定する泳動温度として、正常体及び一塩基変異体の熱安定性の最も高いホールディング構造の融解温度(Tfold)よりも低い温度を設定したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動について比較検討した。
Claims (10)
- 一塩基変異(SNP)を検出又は測定する方法であって、正常体及び一塩基変異体からなる一本鎖DNA試料、並びに/又はその他の核酸を含む試料を、正常体又は一塩基変異体の一塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子との複合体を充填したキャピラリー管を介して、キャピラリー電気泳動を実施することを含み、該方法を、以下のステップ:
(a)泳動緩衝液中に含まれるアルカリ土類金属イオン及び/又はアルカリ金属イオンからなる金属イオンの濃度を設定するステップ;
(b)ステップ(a)で設定した金属イオン濃度において、一塩基変異体及び正常体の熱安定性の最も高いホールディング構造の融解温度(Tfold)を決定し、前記泳動温度を、該融解温度(Tfold)より高い温度に設定するステップ;並びに
(c)前記金属イオン濃度及び温度条件下で、正常体又は一塩基変異体のいずれかと前記複合体から形成される二重鎖の解離定数Kdが下記の式1:
[ここで、μDは、正常体、一塩基変異体又はその他の核酸の電気泳動移動度であり;μCは正常体又は一塩基変異体のいずれかと前記複合体とから形成される二重鎖の電気泳動移動度であり;μ1及びμ2は、それぞれμD>μ1>μ2>μCを満たす任意の値であり、かつμ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値であり;[L]0は前記相補的な核酸断片の総濃度である。]
を満たすような前記相補核酸断片の長さを設定するステップ;
によって設定した金属イオン濃度、泳動温度及び相補核酸断片長にて実施することを特徴とし、
ステップ(c)が、
(c1)所与の長さのランダム配列のDNAを作製するステップ;
(c2)正常体又は一塩基変異体の塩基変異部位を含む部分配列と完全に相補的であり、かつ上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び泳動温度条件にて、該部分配列と形成する二重鎖の熱安定度定数が下記の式2:
を満たすような長さの核酸断片を作製し、該核酸断片と水溶性高分子との複合体を合成するステップ;
(c3)上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び泳動温度条件にて、前記ランダム配列のDNA、及び正常体又は一塩基変異体のいずれかとステップ(c2)で合成した複合体とから形成される二重鎖をキャピラリー電気泳動することによって、前記ランダム配列の電気泳動移動度μD、及び前記二重鎖の電気泳動移動度μCを決定するステップ;
(c4)ステップ(c3)で決定したμD及びμCに基づいて、下記の関係:
μD>μ1>μ2>μC
[ここで、μ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値である。]
を満たす任意のμ1及びμ2の値をピーク分離が可能になるように設定するステップ;
(c5)ステップ(c3)〜(c4)で決定したμD、μC、μ1及びμ2、並びにキャピラリー電気泳動に使用する相補的核酸の総濃度[L] 0 を上記の式1に代入して、解離定数K d の上限値及び下限値を決定するステップ;
(c6)正常体又は一塩基変異体、及び正常体又は一塩基変異体の一塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子の複合体、から形成される二重鎖の解離定数K d が、ステップ(c5)で決定した範囲になるように、前記相補核酸断片の長さを設定するステップ;
を含む、前記方法。 - 金属イオンの濃度を、イオン強度で12.4mM以下の範囲に設定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 金属イオンがナトリウムイオン及び/又はマグネシウムイオンからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- ステップ(b)において、前記泳動温度を、前記融解温度(Tfold)より5℃以上高い温度に設定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- ランダム配列の長さが、正常体又は一塩基変異体の一本鎖DNAの長さと同じであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(c2)で作製する核酸断片の長さが20mer以上であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 正常体又は一塩基変異体の一本鎖DNAの長さが、20mer〜200merであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記水溶性高分子が、水溶性のビニル系ポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコール(PEG)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 一塩基変異部位を含む、正常体又は一塩基変異体の塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子との複合体が、該相補核酸断片と水溶性高分子とを結合するリンカーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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