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JP5120838B2 - 一塩基変異体の検出方法 - Google Patents
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JP5120838B2 - 一塩基変異体の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一塩基変異体の検出方法に関する。具体的に、本発明は、一塩基変異体又はその正常型の部分配列と完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子との複合体を用いたキャピラリー電気泳動によって一塩基変異体を検出又は測定する手法において、検出対象とするサンプルに応じて、該手法による一塩基変異体の検出を可能にするキャピラリー電気泳動条件を設定する方法に関する。
一塩基多型又は一塩基変異(以下、「SNP」という。)は、生物の個体間又は細胞間におけるゲノム塩基配列中に存在する一塩基の差異を意味し、SNPのタイプに応じて、遺伝子に基づいて産生されるタンパク質の働きが変化する。したがって、SNPの検出は、生物における疾患の発症に関連する遺伝子を見つけるためのマーカーとして有用であるだけでなく、病因関連遺伝子の解析や予測、薬剤応答性や副作用の程度を調べる上でも非常に重要である。
SNPの検出のために、種々の方法が報告されている。主要な方法は、一塩基変異を含むDNA断片を特異的に増幅可能にするプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法であり、増幅産物は一般に電気泳動によってそのサイズに基づいて検出される。この方法以外に、いくつかの改良法も提案されている。例えば、特許文献1は、核酸の一塩基変異を特異的に認識して増幅するプライマーを使用する核酸増幅反応をマイクロ流体デバイス上で行ったのち、増幅産物を、それと結合可能なオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションによって検出する方法を提案している。また、特許文献2は、サンプル核酸とハイブリダイズ可能なペプチド核酸プローブを利用する方法であって、サンプル核酸とプローブとの複合体をヌクレアーゼで処理し、ミスマッチ塩基の切断に基づいて一塩基多型を検出する方法を提案している。さらに、オリゴDNAチップによって大量のSNPを検出する方法も知られている(非特許文献1)。
本発明者らは、近年、SNPをより簡便に検出する方法として、キャピラリー電気泳動法を用いる手法(以下、「ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法」という。)を提案している(非特許文献2)。この方法は、一塩基変異(SNP)の検出対象となる塩基変異部位を含む所与の長さの一本鎖DNA試料をPCR増幅して準備し、野生型(正常体)DNAの該塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な短い一本鎖核酸と水溶性高分子との複合体を導入したキャピラリー管を介して該一本鎖DNA試料を電気泳動し、一塩基変異体及び野生型のピーク検出を行うことを含む。
しかしながら、検出対象とする一本鎖DNA試料によっては、野生型のピークと一塩基変異体のピークを明確に区別できないという問題が明らかになった。
特開2005-168350 特開2004-33003 中村祐輔編、SNP遺伝子多型の戦略、2000年、中山書店 T. Anadaら, Electrophoresis 2002, 23, 2267-2273.
本発明者らが提案したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法は、正常体の塩基変異部位を含む部分配列にハイブリダイズ可能な一本鎖核酸に、正常体との可逆的なハイブリダイゼーションを生じさせ、該一本鎖核酸に結合した水溶性高分子の分子量に依存して、正常体の泳動速度を制御することを原理としている。したがって、上記問題は、検出対象とする一本鎖DNA試料の天然配列、又は塩基変異部位近傍に生じた突然変異などに依存して、該一本鎖DNA自身が、検出されるべき塩基変異部位と二本鎖を形成してしまうような二次構造を形成することにより、上記相補核酸断片とのハイブリダイゼーションを妨害していることに起因すると推定される。
そこで、本発明は、検出対象とする一本鎖DNA試料に応じて、上記手法による一塩基変異体の検出を可能にするキャピラリー電気泳動条件を設定し、かかる条件下で一塩基変異体を検出又は測定する方法を提供することを目的とする。
一般的に、一本鎖DNA試料による二次構造の形成は、一本鎖DNA試料を高温下におくことによって回避することができるが、ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動は、正常体とのハイブリダイゼーションを担保する必要があるため、かかる高温下では利用することができない。
一方、正常体とのハイブリダイゼーションを担保するために、正常体の塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片の鎖長を長くすると、該相補核酸断片は一塩基変異体とのハイブリダイゼーションも生じてしまい、正常体の泳動速度の特異的な制御ができなくなるという不都合が生じる。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、緩衝液中に含まれる金属イオンの濃度、及びかかる金属イオン濃度下で一本鎖DNA試料が二次構造を生じない泳動温度を予め設定しておき、正常体(又は一塩基変異体)とハイブリダイズする相補核酸断片の長さを調節することによって、正常体、一塩基変異体、及び/又はその他のDNAを明確にピーク分離できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
したがって、本発明は以下の特徴を包含する。
(1)一塩基変異(SNP)を検出又は測定する方法であって、正常体及び一塩基変異体からなる一本鎖DNA試料、並びに/又はその他の核酸を含む試料を、正常体又は一塩基変異体の一塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子との複合体を充填したキャピラリー管を介して、キャピラリー電気泳動を実施することを含み、該方法を、以下のステップ:
(a)泳動緩衝液中に含まれるアルカリ土類金属イオン及び/又はアルカリ金属イオンからなる金属イオンの濃度を設定するステップ;
(b)ステップ(a)で設定した金属イオン濃度において、一塩基変異体及び正常体の熱安定性の最も高いホールディング構造の融解温度(Tfold)を決定し、前記泳動温度を、該融解温度(Tfold)より高い温度に設定するステップ;並びに
(c)前記金属イオン濃度及び温度条件下で、正常体又は一塩基変異体のいずれかと前記複合体から形成される二重鎖の解離定数Kdが下記の式1:
Figure 0005120838
[ここで、μDは、正常体、一塩基変異体又はその他の核酸の電気泳動移動度であり;μCは正常体又は一塩基変異体のいずれかと前記複合体とから形成される二重鎖の電気泳動移動度であり;μ1及びμ2は、それぞれμD>μ1>μ2>μCを満たす任意の値であり、かつμ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値であり;[L]0は前記相補的な核酸断片の総濃度である。]
を満たすような前記相補核酸断片の長さを設定するステップ;
によって設定した金属イオン濃度、泳動温度及び相補核酸断片長にて実施することを特徴とする、前記方法。
(2)金属イオンの濃度を、イオン強度で12.4mM以下の範囲に設定することを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)金属イオンがナトリウムイオン及び/又はマグネシウムイオンからなることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(4)ステップ(b)において、前記泳動温度を、前記融解温度(Tfold)より5℃以上高い温度に設定することを特徴とする、(1)に記載の方法。
(5)ステップ(c)が、
(c1)所与の長さのランダム配列のDNAを作製するステップ;
(c2)正常体又は一塩基変異体の塩基変異部位を含む部分配列と完全に相補的であり、かつ上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び泳動温度条件にて、該部分配列と形成する二重鎖の熱安定度定数が下記の式2:
Figure 0005120838
を満たすような長さの核酸断片を作製し、該核酸断片と水溶性高分子との複合体を合成するステップ;
(c3)上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び泳動温度条件にて、前記ランダム配列のDNA、及び正常体又は一塩基変異体のいずれかとステップ(c2)で合成した複合体とから形成される二重鎖をキャピラリー電気泳動することによって、前記ランダム配列の電気泳動移動度μD、及び前記二重鎖の電気泳動移動度μCを決定するステップ;
(c4)ステップ(c3)で決定したμD及びμCに基づいて、下記の関係:
μD>μ1>μ2>μC
[ここで、μ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値である。]
を満たす任意のμ1及びμ2の値を設定するステップ;
(c5)ステップ(c3)〜(c4)で決定したμD、μC、μ1及びμ2、並びにキャピラリー電気泳動に使用する相補的核酸の総濃度[L]0を上記の式1に代入して、解離定数Kdの上限値及び下限値を決定するステップ;
(c6)正常体又は一塩基変異体、及び正常体又は一塩基変異体の一塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子の複合体、から形成される二重鎖の解離定数Kdが、ステップ(c5)で決定した範囲になるように、前記相補核酸断片の長さを設定するステップ;
を含む、(1)に記載の方法。
(6)ランダム配列の長さが、正常体又は一塩基変異体の一本鎖DNAの長さと同じであることを特徴とする、(5)に記載の方法。
(7)前記ステップ(c2)で作製する核酸断片の長さが20mer以上であることを特徴とする、(5)に記載の方法。
(8)正常体又は一塩基変異体の一本鎖DNAの長さが、20mer〜200merであることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(9)前記水溶性高分子が、水溶性のビニル系ポリマーであることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(10)前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコール(PEG)であることを特徴とする、(1)に記載の方法。
(11)一塩基変異部位を含む、正常体又は一塩基変異体の塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子との複合体が、該相補核酸断片と水溶性高分子とを結合するリンカーを含むことを特徴とする、(1)に記載の方法。
本発明の方法によれば、従来のウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動において分離できなかった一本鎖DNA試料中の正常体と一塩基変異体とを、明確にピーク分離することができる。また、本発明の方法によって設定した相補核酸断片の長さは、電気泳動の間、相補核酸断片が、正常体(又は一塩基変異体)とほぼ完全にハイブリダイズしたままであり、かつ一塩基変異体(又は正常体)とは可逆的なハイブリダイゼーションを生じる長さとして設定されるため、該相補核酸断片の影響を全く受けないその他のDNA(例えば、PCRプライマーなどの不純物)との明確なピーク分離も同時に達成することができる。
本明細書で使用する「正常体」又は「野生型」という用語は、検出対象となる塩基変異部位に一塩基変異を有しない、一本鎖DNAを指す。
本明細書で使用する「一塩基変異体」という用語は、検出対象となる塩基変異部位に一塩基変異を有する、一本鎖DNAを指す。
本明細書で使用する「塩基変異部位」という用語は、ゲノム又はcDNA鎖上のSNPの存在可能な部位を指す。
本明細書で使用する「アフィニティーリガンド」という用語は、所与の一本鎖核酸の部分配列(例えば上記正常体又は一塩基変異体の塩基変異部位を含む部分配列)に完全に相補的な相補核酸断片を指す。
本発明は、ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動において、一塩基変異体を検出又は測定する方法に関する。特に本発明は、検出対象とする一本鎖DNA試料中の正常体と一塩基変異体の明確なピーク分離を実現する、ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動条件を設定することを特徴とする。
ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法による遺伝子変異の検出法
a.原理
本発明で使用するウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法は、公知の塩基配列を有する一本鎖核酸(例えば上記正常体、一塩基変異体など)を特異的に検出又は測定するために設計された方法であり、標的とする前記一本鎖核酸の電気泳動速度を特異的に制御することを基礎とする。具体的には、標的一本鎖核酸に対するアフィニティーリガンドと水溶性高分子からなる核酸高分子複合体を使用することを含む。この複合体は、標的とする前記一本鎖核酸に特異的に結合するため、前記複合体中の水溶性高分子の分子量に依存して、標的一本鎖核酸の泳動速度のみを特異的に制御する。
この方法の最も注目すべき利点は、標的とする一本鎖核酸の分子量、電荷とは無関係に、水溶性高分子の分子量に従って標的一本鎖核酸の泳動速度のみを選択的にコントロールすることができるため、標的一本鎖核酸の明確な検出ピークを得ることができるという点である。また、試料中に含まれる標的一本鎖核酸以外のその他の核酸の検出ピークも同時に検出可能であるため、試料中に含まれる標的一本鎖核酸の割合を、それ以外の核酸に対するピーク比として定量することも可能である。
b.一本鎖DNA試料の調製
本発明のアフィニティーキャピラリー電気泳動に使用する一本鎖DNA試料は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって調製することができる。例えば、SNPの検出対象となる塩基変異部位を含む生物試料由来の鋳型核酸を調製し、該塩基変異部位を挟むようにアニーリング可能なPCRプライマーセットを用いてPCR増幅し、増幅した二本鎖DNAを一本鎖に分解し、一本鎖DNA試料を回収することによって調製することができる。
前記鋳型核酸は、ゲノム上に検出されるべきSNPが存在する生物であればその起源は限定されない。生物は、非限定的に、原核生物(例えば細菌など)及び真核生物(例えば酵母、菌類、植物、動物など)を含む。また前記鋳型核酸はDNAであり、ゲノムDNAから誘導されるものであっても、RNAから誘導されるものであっても良い。本発明の鋳型核酸は常法に従って調製することができ、特別な方法を用いる必要はない。例えば、鋳型核酸がmRNAから誘導される場合は、所与の生物由来の組織又は細胞の破壊液から常法に従って全RNAを取得し、オリゴdTカラムにてmRNAを回収し、ランダムプライマーを使用する逆転写酵素の存在下でcDNA合成を行うことによって鋳型核酸試料を取得することができる。
本発明で用いるPCRは、例えば、鋳型核酸試料、塩基変異部位を含む領域を増幅可能なプライマーセット、4種の塩基(dNTP)並びに耐熱性DNAポリメラーゼの存在下、変性、アニーリング及び伸長を1サイクルとして、通常20〜40サイクルを実施することを含む。変性は、二本鎖DNAを一本鎖に解離するための処理であり、例えば94〜98℃、10秒〜5分間の処理を行う。アニーリングは、一本鎖の鋳型DNAに、それに相補的なプライマーをアニーリングする処理であり、使用するプライマーに応じて設定されるTm値以下の温度、例えば50〜65℃で、5秒〜2分間の処理を行う。伸長は、鋳型DNAの配列に沿ってプライマーを伸長する反応であり、例えば72℃、15秒〜10分間の処理を行う。PCRの具体的操作については、例えば西郷薫及び佐野由美子共訳,分子生物学実験プロトコールIII,15章(1997年)丸善を参照することができる。PCRはサーマルサイクラー(例えばPerkin-Elmer製、Applied Biosystems製など)などの市販の装置を用いて実施し得る。PCR増幅反応後、増幅した二本鎖DNA産物は、当業者に周知の方法、例えばアガロース又はポリアクリルアミド電気泳動法、により精製することができる。
増幅した二本鎖DNAの一本鎖への分解は、例えばλエクソヌクレアーゼなどのエクソヌクレアーゼによる酵素処理によって行うことができる。この場合、上記PCRに使用するPCRプライマーセットの正方向プライマー又は逆方向プライマーのいずれか一方の5'末端をリン酸化しておくことにより、一本鎖への分解を達成することができる。
酵素処理条件は、使用するエクソヌクレアーゼの至適温度、至適pH又はその近位の値に設定するものとし、酵素量、処理時間は当業者が適宜設定することができる。例えば、λエクソヌクレアーゼを使用したときの酵素処理条件は、酵素量5U(70merの鋳型1pmolに対して)、至適温度37℃、反応時間1時間、至適pH 8.0である。なお、酵素量1Uとは、30℃で1分間当たりに1μmolの基質を反応させるのに必要な酵素量として定義される単位である。
一本鎖DNA試料の回収は、当業者に公知の方法のいずれかによって実施することができる。例えば、このために、アガロースゲル精製、ポリアクリルアミドゲル精製、フェノール/クロロホルム抽出、エタノール沈殿などを挙げることができる。また市販のキットにより本発明の一本鎖DNA試料を精製してもよく、これに限定されるものではないが、QIAquick Nucleotide Removal Kit (Qiagen)、Genopure Oligo(Bruker Daltonics)などがこの目的に使用できる。
また調製した一本鎖DNA断片の検出/定量の便宜のため、該一本鎖DNAを標識することが好ましい。該標識は一般的には、上記PCRに使用するPCRプライマーセットの正方向プライマー又は逆方向プライマーのいずれか一方の5'末端をFITC標識することにより行うが、これに限定されるものではない。例えば、その他の放射性同位元素、酵素、蛍光物質等による標識を用いることもでき、この目的のために、これに限定されるものではないが、32P、アルカリホスファターゼ、ローダミン、フルオレサミン、ダンシル、又はそれらの誘導体などが利用可能である。
上記のようにして調製された試料は、正常体及び一塩基変異体からなる一本鎖DNA試料、並びにPCRプライマーなどの不純物を含む混合物であり、これを本発明のウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動に使用することができる。
本発明の方法に使用し得る一本鎖DNA試料(すなわち正常体及び一塩基変異体)の長さに特に制限は無く、例えば20mer〜200mer、好ましくは40mer〜100mer、例えば60merの一本鎖DNA試料を使用することができる。かかる一本鎖DNA試料の長さは、上記PCRに使用するPCRプライマーの設計によって適宜設定することができる。
c.核酸高分子複合体の作製
ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法で使用する核酸高分子複合体中のアフィニティーリガンドは、塩基変異部位を含む一本鎖DNA試料(すなわち正常体又は一塩基変異体)に完全に相補的な核酸断片である。使用し得る核酸断片は必ずしもDNAである必要はなく、RNA、DNA/RNAキメラ、他の人工核酸などであってもよい。
かかる核酸断片は、当業者に周知の方法、例えば適当な配列のクローニング及び制限酵素による切断、ホスホトリエステル法(例えばNarangら,1979年,Meth.Enzymol.,第68巻,p90〜99参照)、ホスホジエステル法(例えばBrownら,1979年、Meth.Enzymol.,第68巻,p109〜151参照)、エチルホスホアミダイト法(例えばBeaucageら,1981年,Tetrahedron Lett.,第22巻,p1859〜1862参照)などの方法により、直接的に合成することができる。また市販の自動DNA合成装置を使用することによって合成してもよい。
核酸高分子複合体中の水溶性高分子は、その分子量に依存して標的の一本鎖DNA試料の電気泳動速度を制御するために結合されるものであり、水溶性高分子であればいかなるものを用いてもよい。しかし、前記複合体に結合される高分子の分子量が均一でない場合には、標的の一本鎖DNA試料の検出ピークも均一にならない虞がある。したがって、本発明の方法に用いる水溶性高分子は、分子量範囲の狭い、好ましくは分子量を明確に規定し得る水溶性高分子、例えばリビング重合で合成可能な水溶性高分子(ビニル系ポリマーなど)、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)を使用することが好ましい。水溶性高分子の好適な分子量は2,000〜100,000、より好ましくは2,000〜10,000である。
前記核酸高分子複合体は、反応性官能基を有する前記アフィニティーリガンドと水溶性高分子とから、当業者に公知の方法、例えばマイケル付加反応(例えばM. P. Lutolf ら Bioconjugate Chemistry 2001, 12, 1051-1056.参照)をはじめ、ヒドラゾン結合形成反応、エーテル結合形成反応、チオエーテル結合反応、ジスルフィド結合形成反応、アミド結合形成反応、エステル結合形成反応、シッフ塩基形成反応、イミノ結合形成反応などにより合成することができる。前記官能基の組合せの例は、これに限定されるものではないが、マレイミド基とチオール基、カルボキシル基とアミノ基、カルボキシル基と水酸基、アクリル基とチオール基、メタクリル基とチオール基、ヒドラジド基とアミノ基、エポキシド基とアミノ基、エポキシド基と水酸基、エポキシド基とチオール基、ハロゲン化アルキル基とチオール基、ハロアシル基とアミノ基、ピリジルジスルフィド基とチオール基、活性エステル基とアミノ基などを含む。
また前記核酸高分子複合体は、前記アフィニティーリガンドと水溶性高分子とを結合するリンカーにより連結されてもよい。リンカーは、例えば上記のマレイミド基やチオール基から誘導される官能基(コハク酸イミジル基、チオ基)を含むアルキレン鎖である。かかる目的に使用し得るリンカー及び該リンカーを用いた核酸高分子複合体の製造は当業者に公知である。
上記のようにして合成した核酸高分子複合体は、当業者に公知の方法、例えばサイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、透析、限外濾過、ゲル電気泳動、超遠心分離などによって精製することができる。
d.電気泳動条件
一般的には以下の電気泳動条件を用いてアフィニティーキャピラリー電気泳動を実施することができる:塩濃度:[MgCl2]=0〜10mM、泳動時間:3〜30分、電圧:5〜30kV、温度:15〜60oC、キャピラリー管:内径25〜100μm、外径150〜500μm、長さ50〜100cm。例えばキャピラリー管の一例として、CEPコーティングキャピラリー(Agilent Technologies社製)を挙げることができる。また電気泳動装置の一例として、例えばP/ACEシステムMDQキャピラリー電気泳動システム(Beckman Coulter社製)を挙げることができる。
またピーク検出に使用できる装置として、これに限定されるものではないが、紫外可視光吸収検出器、蛍光検出器、レーザー励起蛍光検出器、示差屈折率検出器、円二色性検出器、電気伝導度検出器、レーザー振動検出器などを挙げることができる。
本発明のウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の条件設定方法
本発明のウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動法は、上記の一般的な電気泳動条件において一塩基変異体の明確なピーク分離ができない一本鎖DNA試料をピーク分離するための特別な条件にて実施することを特徴とする。
具体的には、本発明の一塩基変異体の検出/定量方法は、正常体に対するアフィニティーリガンドを用いたウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動を、泳動緩衝液中の金属イオン濃度を設定するステップ;電気泳動温度を設定するステップ;及び一塩基変異体とアフィニティーリガンド(すなわち相補核酸断片)とから形成される二重鎖の解離定数Kdが一定の範囲となるようにアフィニティーリガンドの長さを設定するステップ;によって設定した、金属イオン濃度、電気泳動温度及びアフィニティーリガンドの長さにて、実施することを特徴とする。
より具体的には、本発明の電気泳動条件は、(a)泳動緩衝液中に含まれるアルカリ土類金属イオン及び/又はアルカリ金属イオンからなる金属イオンの濃度を設定するステップ;(b)一塩基変異体及び正常体の配列に基づき、ステップ(a)で設定した金属イオン濃度において、一塩基変異体及び正常体からなる一本鎖DNA試料が二次構造を生じない泳動温度を設定するステップ;並びに(c)前記金属イオン濃度及び温度条件下で、一塩基変異体と前記複合体から形成される二重鎖の解離定数Kdが下記の式1:
Figure 0005120838
[ここで、μDは、正常体、一塩基変異体又はその他の不純物(例えばPCRプライマーなど)の電気泳動移動度であり;μCは正常体又は一塩基変異体のいずれかと前記複合体とから形成される二重鎖の電気泳動移動度であり;μ1及びμ2は、それぞれμD>μ1>μ2>μCを満たす任意の値であり、かつμ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値であり;[L]0は前記相補的な核酸断片の総濃度である。]
を満たすような正常体に対するアフィニティーリガンドの長さを設定するステップによって設定することができる。
ステップ(a)は、泳動緩衝液中の塩濃度、すなわち金属イオンの濃度を設定するステップである。ここで設定し得る金属イオンの濃度は、特に制限はないが、例えば、イオン強度で12.4mM以下、好ましくは0.4mM〜12mM、より好ましくは0.4mM〜11.2mMの範囲に設定することができる。
本発明に使用し得る金属イオンは、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン又はアルカリ金属イオンとアルカリ土類金属イオンの混合イオンである。例えば、本発明で使用し得るアルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。また本発明に使用し得るアルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなどが挙げられる。
ステップ(b)は、ステップ(a)で設定した金属イオン濃度において、正常体及び一塩基変異体が二次構造を生じない泳動温度を設定するステップである。具体的には、一塩基変異体及び正常体の熱安定性の最も高いホールディング構造の融解温度(Tfold)を決定し、前記泳動温度を、該融解温度(Tfold)より高い温度に設定するステップである。
上記融解温度(Tfold)は、例えば、正常体及び一塩基変異体の塩基配列、並びに緩衝液中の金属イオン濃度から、例えばWEB公開ソフトmfold(http://www.bioinfo.rpi.edu/applications/mfold/)を使用することによって理論計算することができる。この場合、ステップ(a)で使用する緩衝液中の金属イオンを、ナトリウムイオンとマグネシウムイオンの混合イオンとし、かつその金属イオン濃度を、ナトリウムイオン濃度10mMに対して、マグネシウムイオンの濃度を0.6mM以下、好ましくは0.1mM〜0.5mMの範囲に設定することが好ましい。
好ましくは、泳動温度を、上記融解温度(Tfold)より5℃以上高く設定する。これにより、一本鎖DNA試料の完全なアンホールディング(unfolding)を達成することができる。泳動温度の上限は、上記融解温度(Tfold)より高い温度であれば特に制限はなく、使用する泳動装置が推奨する最高温度を設定してもよい。
ステップ(c)は、ステップ(a)及びステップ(b)で設定した泳動緩衝液中の金属イオン濃度及び泳動温度下で、一塩基変異体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の解離定数(Kd)が上記式1を満たすような範囲となるように、アフィニティーリガンドの長さを設定するステップである。
以下、式1について説明する。
上記の正常体に対するアフィニティーリガンドは、正常体の塩基変異部位を含む部分配列と完全に相補的な配列からなる。すなわち、アフィニティーリガンドは、一塩基変異体の対応する部分配列と一塩基ミスマッチの関係にある。以下、説明の便宜のために、これを単に「アフィニティーリガンド」という。
ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動において、試料に含まれる核酸の泳動速度は、アフィニティーリガンドに結合した水溶性高分子の分子量によってのみ制御可能であるため、試料中の正常体及び一塩基変異体の泳動速度は、専らアフィニティーリガンドとの結合力に依存している。したがって、ステップ(a)及びステップ(b)で設定した泳動緩衝液中の金属イオン濃度及び泳動温度下で、正常体と一塩基変異体とが、アフィニティーリガンドに対してそれぞれ異なる解離定数(Kd)を有し、その結果、アフィニティーリガンドと異なる程度で相互作用するようなアフィニティーリガンドの長さを設定することによって、両者の明確なピーク分離が可能になる。
ここで、正常体と一塩基変異体のみを含む試料において両者をピーク分離する場合には、正常体とは相互作用するが、一塩基変異体とは全く相互作用を生じないようなアフィニティーリガンドの長さを設定することによって両者の明確なピーク分離が可能であるが、実際の試料中には、アフィニティーリガンドと全く相互作用しない不純物(PCRプライマーなど)も混在しているため、このような不純物とのピーク分離(すなわち、一塩基変異体と該不純物とのピーク分離)も可能にする必要がある。
したがって、正常体及び一塩基変異体の明確なピーク分離を実現するアフィニティーリガンドの長さは、下記の式に示されるように、一塩基変異体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の解離定数(Kd)が、正常体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の解離定数(「正常体の解離定数」とも称する)と、不純物とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の解離定数(「不純物の解離定数」とも称する)の間の値となるような長さである:
正常体の解離定数<Kd<不純物の解離定数
ここで、上記二重鎖の解離定数(Kd)は、下記式3のように表すことができる:
Figure 0005120838
[ここで、[C]は、泳動中のある時点における、一塩基変異体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の濃度であり;[D]は、前記時点における、上記二重鎖を形成していない一塩基変異体の濃度であり;[L]は、前記時点における、上記二重鎖を形成していないアフィニティーリガンドの濃度である。]
また、一塩基変異体の電気泳動移動度μfは、一塩基変異体の電気泳動移動度μDと、一塩基変異体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の電気泳動移動度μCに、それぞれ時間のパラメーターα、βを乗じた値の和とみなすことができるから、
Figure 0005120838
[ここで、α及びβは時間比率を表し、かつα+β=1である。]
と表すことができる。
時間比率を表すα及びβは、濃度比率と近似するとみなし得るため、
Figure 0005120838
[ここで、tは、電気泳動期間中に一塩基変異体がアフィニティーリガンドと二重鎖を形成している時間を示し;tは、電気泳動期間中に一塩基変異体がアフィニティーリガンドと二重鎖を形成していない時間を示し;[D]0は、一塩基変異体の総濃度を指す。]
Figure 0005120838
と表すことができる。
そして、上記の解離定数(Kd)は、上記式3〜6から、
Figure 0005120838
と表すことができる。
ここで、アフィニティーリガンドの総濃度[L]0は、上記[L]と[C]の総和に等しく、アフィニティーリガンドは一本鎖DNA試料の量に対して大過剰の量でキャピラリー管内に導入されるものであるから、実質的に[L]と[L]0は同一であるとみなすことができる。したがって、上記式7は、
Figure 0005120838
と表すことができる。
一塩基変異体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の電気泳動度μCは、アフィニティーリガンドと二重鎖を形成した一塩基変異体の電気泳動移動度を指し、上述したように、電気泳動移動度は専らアフィニティーリガンドに結合された水溶性高分子の分子量に依存するため、アフィニティーリガンドと二重鎖を形成した正常体、或いは水溶性高分子の電気泳動移動度とみなすこともできる。また一塩基変異体の電気泳動移動度μDは、アフィニティーリガンドの相互作用を受けない核酸断片の電気泳動移動度を指すため、アフィニティーリガンドの相互作用を受けない正常体、不純物、或いはランダム配列の核酸断片の電気泳動移動度とみなすこともできる(すなわち、正常体、一塩基変異体、不純物又はランダム配列のDNAは、いずれもアフィニティーリガンドの相互作用を全く受けない場合には、その長さに関わらず同じ電気泳動移動度を示す)。
したがって、ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動において、正常体と一塩基変異体の明確なピーク分離を実現する一塩基変異体の電気泳動移動度μfが採り得る上限値及び下限値をそれぞれμ1、μ2(μD>μ1>μ2>μCである)と表した場合に、一塩基変異体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の解離定数Kdの範囲を上記式1のように表すことができる。
ここで、上記μC、μD、μ1及びμ2の数値は、例えば下記のステップを含むプレ実験を行うことによって具体的に求めることができる:
(c1)所与の長さのランダム配列のDNAを作製するステップ;
(c2)正常体の塩基変異部位を含む部分配列と完全に相補的であり、かつ上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び温度条件にて、該部分配列と形成する二重鎖の熱安定度定数が下記の式2:
Figure 0005120838
を満たすような長さの核酸断片を作製し、該核酸断片と水溶性高分子との複合体を合成するステップ;
(c3)上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び温度条件にて、前記ランダム配列のDNA、及び正常体とステップ(c2)で合成した複合体とから形成される二重鎖を、キャピラリー電気泳動することによって、前記ランダム配列の電気泳動移動度μD、及び前記二重鎖の電気泳動移動度μCを決定するステップ;
(c4)ステップ(c3)で決定したμD及びμCに基づいて、下記の関係:
μD>μ1>μ2>μC
[ここで、μ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値である。]
を満たす任意のμ1及びμ2の値を設定するステップ。
ステップ(c1)は、不純物の電気泳動移動度μDを決定するために用いる、ランダム配列のDNAを調製するステップである。ここで、上記ランダム配列は、本発明のアフィニティーリガンドと相補的ではなく、アフィニティーリガンドとハイブリダイズすることができない配列である。
ここで使用するランダム配列の長さに特に制限はない。本発明のウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動においては、上記のように、試料中に含まれる核酸の電気泳動移動度は、専らアフィニティーリガンドとの相互作用に依存し、DNAの電荷、サイズはほとんど無視できる程度にしか影響しないからである。例えば、上記ランダム配列のDNAは、20mer〜200mer、好ましくは40mer〜100mer、例えば60merの長さとすることができる。上記ランダム配列の長さは、正常体又は一塩基変異体の一本鎖DNAの長さと同じにすることが好ましい。
上記ランダム配列は、当業者に公知の方法で調製することができる。例えば、適当な配列のクローニング及び制限酵素による切断、ホスホトリエステル法(例えばNarangら,1979年,Meth.Enzymol.,第68巻,p90〜99参照)、ホスホジエステル法(例えばBrownら,1979年、Meth.Enzymol.,第68巻,p109〜151参照)、エチルホスホアミダイト法(例えばBeaucageら,1981年,Tetrahedron Lett.,第22巻,p1859〜1862参照)などの方法により、直接的に合成することができる。また市販の自動DNA合成装置を使用することによって合成してもよい。
ステップ(c2)は、アフィニティーリガンドと正常体とから形成される二重鎖、すなわち水溶性高分子、の電気泳動移動度μCを決定するために用いる、正常体に対するアフィニティーリガンドと水溶性高分子との複合体を合成するステップである。アフィニティーリガンドの合成方法、及び該アフィニティーリガンドと水溶性高分子との複合体の合成方法は上記の通りである。
このアフィニティーリガンドの長さは、電気泳動期間中の正常体との完全なハイブリダイゼーションを担保するために、上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び温度条件にて、該アフィニティーリガンドと正常体とから形成される二重鎖の熱安定度定数Kaが、上記式2を満たすような値となる長さとする。なお、熱安定度定数Kaは、上記式8で決定される解離定数Kdの逆数として求めることができる。
上記式2を満たすアフィニティーリガンドの長さは、典型的には20mer以上であり、好ましくは20〜30mer、より好ましくは20〜25mer、さらに好ましくは20〜22merである。
ステップ(c3)は、上記電気泳動移動度μDとμCとを上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び温度条件にて実測するステップである。具体的には、ステップ(c2)で合成した複合体を充填したキャピラリー管を介して、ステップ(c1)で作製したランダム配列のDNAと正常体とをキャピラリー電気泳動し、ランダム配列のDNA及び正常体と上記アフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の移動時間を計測し、下記の式:
電気泳動移動度=キャピラリー有効長÷移動時間÷単位長さあたりの印可電圧
によって、μD及びμCを決定する。
ステップ(c4)は、ステップ(c3)で決定したμD及びμCに基づいて、一塩基変異体及び正常体のピーク分離を可能にするμfの範囲、すなわちμfの上限値であるμ1と、μfの下限値であるμ2を決定するステップである。μfの値がμD>μf>μCを満たす場合に、一塩基変異体及び正常体のピーク分離が可能になるので、μ1及びμ2はμD>μ1>μ2>μCを満たす任意の値を選択する。その際、選択可能なμfの範囲をなるべく広くするために、μ1とμ2の差がより大きいことが好ましい。また、μ1は相対的にμDに近い任意の値であり、μ2は相対的にμCに近い任意の値とする。
次いで、上記ステップ(c1)〜(c4)によって決定したμD、μC、μ1及びμ2の値を上記式1に代入して、一塩基変異体及び正常体のピーク分離を可能にする、一塩基変異体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の解離定数Kdの範囲を確定する。
一塩基変異体とアフィニティーリガンドとから形成される二重鎖の解離定数Kdは、アフィニティーリガンドの長さを変えることによって操作することができるため、アフィニティーリガンドの長さを、上記のように決定した二重鎖の解離定数Kdの範囲内になるように設定する。
かかる二重鎖の解離定数Kdは、例えば融解温度のDNA濃度依存性から熱力学量を求めることによって実験的に決定することができる。具体的には、100倍以上のDNA濃度範囲で融解温度を測定し(望ましくは10ポイント以上)、y軸に得られた融解温度の逆数、x軸に全DNA濃度をとることによって得られる直線の傾きとy切片の値から二重鎖形成のエンタルピー変化およびエントロピー変化の値を求めることによってKdを決定することができる。具体的操作については、例えば杉本直己著,遺伝子とバイオテクノロジー,2章(1999年)丸善を参照することができる。
また二重鎖の解離定数Kdは、泳動緩衝液中の金属イオン濃度、泳動温度、一塩基変異体及びアフィニティーリガンドの配列、アフィニティーリガンドの長さに基づいて、理論計算してもよい。理論計算には、公知のソフトウェアの使用などが意図される。ただし、この場合には、上記のように実測したKdの値と、使用したソフトウェアにより理論計算したKdの値との整合性を確認した上で使用することが好ましい。これによりKdを実測する手順が省略化され、本発明をより簡便に実施することが可能になる。
その後、上記工程(a)〜(c)によって設定した泳動緩衝液中の金属イオン濃度、泳動温度、及びアフィニティーリガンドの長さにて、上記ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動を行うことにより、一塩基変異体を明確に検出/定量することができる。
なお、上に説明したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の条件設定方法は、説明の便宜上、正常体に対するアフィニティーリガンドを用いた場合についてのみ説明がなされているが、一塩基変異体に対するアフィニティーリガンドを用い、正常体の解離定数(Kd)の範囲を決定することによって同様の結果を得ることができることは当業者に明らかであり、本発明の範囲内であるものとみなす。
以下の実施例で本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、イネいもち病菌の農薬耐性に関連する、シタロン脱水酵素のコドン75部位のSNPを検出対象とした。
一本鎖DNA試料の調製
イネの葉から綿棒でイネいもち病菌を採取した。これを健常なイネの葉の上に接種し、蛍光灯下のペトリ皿内で20℃で12時間保持した。このイネいもち病菌を凍結乾燥し、破砕機で液体窒素中でガラスビーズを用いて破砕した。得られた粉体を、50mM EDTA、100mM LiClおよび0.2%メルカプトエタノールを含む10mMトリス−塩酸緩衝液に懸濁させたのち、30分間65℃に加熱した。懸濁液を5分間13,000rpmで遠心分離して上澄みを分取し、10mgのRNA分解酵素を加えて、37℃で1時間インキュベートした。つづいて、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール(25:24:1)で3回抽出した。水層をクロロホルム/イソアミルアルコール(24:1)で2回抽出し、イソプロピルアルコールを加えてDNAのペレットを形成させた。このペレットを遠心分離で回収し、70%冷エタノールで洗浄して乾燥させた後、1mM EDTAを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に再懸濁させた。
こうして得られた全DNAをテンプレートに用いて、望みの部位をPCRで増幅してサンプルDNAを調製することは容易に可能であるが、本項では化学合成した一本鎖DNAをサンプルに使用した例を以下に示す。
DNA-PEG複合体の合成
片末端にマレイミド基を有するポリエチレングリコール(PEG)と5'末端にチオール基を有するDNAのマイケル付加反応によりDNA-PEG複合体を合成した。実施例に使用したPEGの分子量はいずれも20,000である。
まず、S-S結合形成を抑制する目的でDNA試料に添加されているDithiothreitol(DTT)を除去するために、5'末端チオール化DNA(HPLC精製品、つくばオリゴサービス)を10mMトリス−塩酸緩衝液(pH 7.4)に溶解し、これをNAP5カラム(GE Healthcare)に通して溶出液を500μLずつ回収した。5'末端チオール化DNAの溶出は、溶出液のUV吸光度測定(260nm)によって追跡した。
次に、回収したチオール化DNA溶出液に対し、脱酸素の目的でアルゴンガスのバブリングを5分間行った。Tris(2-carboxyethyl)phosphine hydrochloride(TCEP)を10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)に溶解させて同様のバブリング操作を行ったのちに、DNAに対してモル当量になるようにDNA溶液に添加した。さらに、末端マレイミド化PEG(mPEG-MAL Mw 20,000 Da: NEKTAR)を同じく10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)に溶解させて同様のバブリング操作を行ったのちに、DNAに対して3モル当量になるように加えた。以上の混合液を室温で一晩攪拌することにより、DNA-PEG複合体を得た。
DNA-PEG複合体の精製
DNA-PEG複合体溶液をSephadex G-100(Amersham Biosciences)を充填したゲルろ過カラムに通し、溶出液を500μLずつ,計35本回収した。DNA-PEG複合体の溶出は,プレートリーダー(Spectra Max Plus384: Molecular Devices)を用いて追跡し(260nm)、No.14-20のフラクションを回収して凍結乾燥した。
得られた白色粉末を100〜200μLのMilliQ水に溶解し、陰イオン交換クロマトグラフィー(Q Sepharose Fast Flow: Amersham Biosciences)により精製した。流速は1.0mL/min、カラム温度は40.0℃とした。キャリアAを10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)、キャリアBを1M NaClを含む10mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.4)として、0.0min(A:100%、B:0%)→15.0min(A:100%、B:0%)→20.0min(A:50%、B:50%)→40.0min(A:0%、B:100%)→50.0min(A:0%、B:100%)→60.0min(A:100%、B:0%)というグラジエント条件を採用した。吸収度変化(260nm)を追跡することにより、キャリアAの割合が44%となったときにDNA-PEG複合体の溶出が始まることを確認し、該当するフラクションを回収した。
陰イオン交換クロマトグラフィーの回収溶液を遠心エバポレーションにより適量(4mL程度)まで濃縮した後、分画分子量8,000の透析膜(使用するDNAの分子量によって適当な分画分子量の透析膜を使用)を用いて透析(脱塩)を2日間行った。得られた溶液を凍結乾燥することによりDNA-PEG複合体を得た。
ウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動による一塩基変異体の検出
実施例で使用したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の分析条件は以下の通りである:
試料濃度: 各0.05μM、50μL
リガンド濃度: 5.0μM
泳動バッファー: 50mM トリスホウ酸塩(pH 7.4)
塩濃度: [NaCl]=10mM
0.1 mM≦[MgCl2]≦0.6 mM
温度: 25℃≦T≦60℃
電圧: 15kV
キャピラリー電気泳動装置:P/ACEシステムMDQ(Beckman Coulter社製)
キャピラリー: CEPコーティングキャピラリー(Agilent Technologies社製)
内径75mm
有効長40cm
サンプル注入: 10秒につき0.5 psi
検出: Ex 488nm、Em 520nm
また、下記の実験1〜5で用いた、イネいもち病菌の農薬耐性に関連するシタロン脱水酵素の塩基変異部位を含む正常体、一塩基変異体の塩基配列は以下の通りである:
正常体
FITC-5’-GAGTTCGTCGGCATGGTCTCGAGCAAGCAGGTGCTGGGCGACCCCACCCTCCGCACGCAG-3'(配列番号1)
一塩基変異体
FITC-5’-GAGTTCGTCGGCATGGTCTCGAGCAAGCAGATGCTGGGCGACCCCACCCTCCGCACGCAG-3'(配列番号2)
[ここで、下線部は塩基変異部位を示す。]
実験1
図1に実験1で使用したアフィニティーリガンドの塩基配列(18mer)(配列番号3)を示す。
本発明の方法のステップ(a)〜(c)に基づいて設定したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の際の泳動緩衝液中の金属イオン濃度、電気泳動温度及び二重鎖の熱安定度定数Ka(1/Kd)の範囲は、以下の通りである:
金属イオン濃度:[Na]=10 mM、[Mg2+]=0.5 mM
Tfold=43℃
電気泳動温度:60℃(>43℃)
二重鎖の熱安定度定数Ka(=1/Kd)の範囲:8.6×104M-1 Ka 1.3×106M-1
実験1で設定したアフィニティーリガンドの長さ(18mer)は、一塩基変異体とアフィニティーリガンドとの結合定数Ka(=1/Kd)が、ステップ(c)で決定した範囲よりも小さい値、すなわち4.0×104M-1(実測値)を示す長さである。これは、一塩基変異体とアフィニティーリガンドとの結合力が、正常体と一塩基変異体の明確なピーク分離を可能にする範囲よりも弱いことを示す。
かかる条件にて実施したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の泳動チャートを図1に示す。図1の泳動チャートに示されるように、一塩基変異体と不純物の検出ピークが重なり、両者が正しくピーク分離されていないことが分かる。この結果は、一塩基変異体がアフィニティーリガンドとほとんど相互作用していないことを示しており、アフィニティーリガンドの長さを、一塩基変異体とアフィニティーリガンドとの結合力が正常体と一塩基変異体の明確なピーク分離を可能にする範囲よりも弱くなるような長さに設定したことと一致する。
実験2
図2に実験2で使用したアフィニティーリガンドの塩基配列(20mer)(配列番号4)を示す。
本発明の方法のステップ(a)〜(c)に基づいて設定したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の際の泳動緩衝液中の金属イオン濃度、電気泳動温度及び二重鎖の熱安定度定数Ka(=1/Kd)の範囲は、実験1と同様である。
実験2で設定したアフィニティーリガンドの長さ(20mer)は、一塩基変異体とアフィニティーリガンドの結合定数Ka(=1/Kd)が、ステップ(c)で決定した範囲内の値、すなわち3.4×105M-1(実測値)を示す長さである。
かかる条件にて実施したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の泳動チャートを図2に示す。図2の泳動チャートに示されるように、正常体、一塩基変異体及び不純物が明確にピーク分離できていることが分かる。
このように、設定した泳動緩衝液中の金属イオン濃度、電気泳動温度において、アフィニティーリガンドの長さを調整することによって、正常体と一塩基変異体の明確なピーク分離を達成することができることが示された。
実験3
図3に実験3で使用したアフィニティーリガンドの塩基配列(18mer)(配列番号3)を示す。
本発明の方法のステップ(a)〜(c)に基づいて設定したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の際の泳動緩衝液中の金属イオン濃度、電気泳動温度及び二重鎖の熱安定度定数Ka(=1/Kd)の範囲は、以下の通りである:
金属イオン濃度:[Na]=10 mM、[Mg2+]=0.5 mM
Tfold=43℃
電気泳動温度:50℃(>43℃)
二重鎖の熱安定度定数Ka(=1/Kd)範囲:3.8×104M-1 Ka 1.3×106M-1
実験3で設定したアフィニティーリガンドの長さ(18mer)は、一塩基変異体と該アフィニティーリガンドの結合定数Ka(=1/Kd)が、ステップ(c)で決定した範囲よりも大きい値、すなわち3.6×107M-1(実測値)を示す長さである。これは、一塩基変異体とアフィニティーリガンドの結合力が、正常体と一塩基変異体の明確なピーク分離を可能にする範囲よりも強いことを示す。
かかる条件にて実施したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の泳動チャートを図3に示す。図3の泳動チャートに示されるように、正常体と一塩基変異体の検出ピークが重なり、両者が正しくピーク分離されていないことが分かる。この結果は、アフィニティーリガンドが正常体と同程度に一塩基変異体とも相互作用していることを示しており、アフィニティーリガンドの長さを、一塩基変異体とアフィニティーリガンドの結合力が正常体と一塩基変異体の明確なピーク分離を可能にする理論値よりも強くなるような長さに設定したことと一致する。
実験4
図4に実験4で使用したアフィニティーリガンドの塩基配列(16mer)(配列番号5)を示す。
本発明の方法のステップ(a)〜(c)に基づいて設定したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の際の泳動緩衝液中の金属イオン濃度、電気泳動温度及び二重鎖の熱安定度定数Ka(=1/Kd)の範囲は、実験3と同様である。
実験4で設定したアフィニティーリガンドの長さ(16mer)は、一塩基変異体と該アフィニティーリガンドの結合定数Ka(=1/Kd)が、ステップ(c)で決定した範囲内の値、すなわち2.8×105M-1(実測値)を示す長さである。
かかる条件にて実施したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の泳動チャートを図4に示す。図4の泳動チャートに示されるように、正常体、一塩基変異体及び不純物が明確にピーク分離できていることが分かる。
このように、設定した泳動緩衝液中の金属イオン濃度、電気泳動温度において、アフィニティーリガンドの長さを調整することによって、正常体と一塩基変異体の明確なピーク分離を達成することができることが示された。
実験5
実験5では、本発明のステップ(b)で設定する泳動温度として、正常体及び一塩基変異体の熱安定性の最も高いホールディング構造の融解温度(Tfold)よりも低い温度を設定したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動について比較検討した。
泳動緩衝液中の金属イオン濃度は、上記実験1〜4と同じであり、したがって、正常体と一塩基変異体の上記融解温度(Tfold)は43℃である。またアフィニティーリガンドは、上記実験4と同じものを用いた。
泳動温度を、30℃、40℃又は50℃に設定して実施したウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の泳動チャート結果を図5に示す。
図5に示されるように、Tfoldよりも低い30℃、40℃にて実施した電気泳動においては、正常体と一塩基変異体とをピーク分離できていないが分かる。これは、Tfoldよりも低い温度において、正常体及び一塩基変異体のホールディング構造がとけずに、アフィニティーリガンドと十分に相互作用できないことに起因していると考えられる。
一方、Tfoldよりも高い50℃にて実施した電気泳動においては、実験4と同様に、正常体と一塩基変異体とを明確にピーク分離できており、泳動温度として少なくともTfold以上の温度を設定する必要があることが示唆された。
図1は、実験1で用いたアフィニティーリガンドの塩基配列、及び該アフィニティーリガンドを用いたウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の泳動チャートを示す。 図2は、実験2で用いたアフィニティーリガンドの塩基配列、及び該アフィニティーリガンドを用いたウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の泳動チャートを示す。 図3は、実験3で用いたアフィニティーリガンドの塩基配列、及び該アフィニティーリガンドを用いたウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の泳動チャートを示す。 図4は、実験4で用いたアフィニティーリガンドの塩基配列、及び該アフィニティーリガンドを用いたウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動の泳動チャートを示す。 図5は、実験4と同じ実験条件下、30℃、40℃及び50℃の泳動温度にてウィークアフィニティーキャピラリー電気泳動を実施することにより得られた各泳動チャートを示す。

Claims (10)

  1. 一塩基変異(SNP)を検出又は測定する方法であって、正常体及び一塩基変異体からなる一本鎖DNA試料、並びに/又はその他の核酸を含む試料を、正常体又は一塩基変異体の一塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子との複合体を充填したキャピラリー管を介して、キャピラリー電気泳動を実施することを含み、該方法を、以下のステップ:
    (a)泳動緩衝液中に含まれるアルカリ土類金属イオン及び/又はアルカリ金属イオンからなる金属イオンの濃度を設定するステップ;
    (b)ステップ(a)で設定した金属イオン濃度において、一塩基変異体及び正常体の熱安定性の最も高いホールディング構造の融解温度(Tfold)を決定し、前記泳動温度を、該融解温度(Tfold)より高い温度に設定するステップ;並びに
    (c)前記金属イオン濃度及び温度条件下で、正常体又は一塩基変異体のいずれかと前記複合体から形成される二重鎖の解離定数Kdが下記の式1:
    Figure 0005120838
    [ここで、μDは、正常体、一塩基変異体又はその他の核酸の電気泳動移動度であり;μCは正常体又は一塩基変異体のいずれかと前記複合体とから形成される二重鎖の電気泳動移動度であり;μ1及びμ2は、それぞれμD>μ1>μ2>μCを満たす任意の値であり、かつμ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値であり;[L]0は前記相補的な核酸断片の総濃度である。]
    を満たすような前記相補核酸断片の長さを設定するステップ;
    によって設定した金属イオン濃度、泳動温度及び相補核酸断片長にて実施することを特徴とし、
    ステップ(c)が、
    (c1)所与の長さのランダム配列のDNAを作製するステップ;
    (c2)正常体又は一塩基変異体の塩基変異部位を含む部分配列と完全に相補的であり、かつ上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び泳動温度条件にて、該部分配列と形成する二重鎖の熱安定度定数が下記の式2:
    Figure 0005120838
    を満たすような長さの核酸断片を作製し、該核酸断片と水溶性高分子との複合体を合成するステップ;
    (c3)上記ステップ(a)及び(b)で設定した金属イオン濃度及び泳動温度条件にて、前記ランダム配列のDNA、及び正常体又は一塩基変異体のいずれかとステップ(c2)で合成した複合体とから形成される二重鎖をキャピラリー電気泳動することによって、前記ランダム配列の電気泳動移動度μD、及び前記二重鎖の電気泳動移動度μCを決定するステップ;
    (c4)ステップ(c3)で決定したμD及びμCに基づいて、下記の関係:
    μD>μ1>μ2>μC
    [ここで、μ1は相対的にμDに近い値であり、μ2は相対的にμCに近い値である。]
    を満たす任意のμ1及びμ2の値をピーク分離が可能になるように設定するステップ;
    (c5)ステップ(c3)〜(c4)で決定したμD、μC、μ1及びμ2、並びにキャピラリー電気泳動に使用する相補的核酸の総濃度[L] 0 を上記の式1に代入して、解離定数K d の上限値及び下限値を決定するステップ;
    (c6)正常体又は一塩基変異体、及び正常体又は一塩基変異体の一塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子の複合体、から形成される二重鎖の解離定数K d が、ステップ(c5)で決定した範囲になるように、前記相補核酸断片の長さを設定するステップ;
    を含む、前記方法。
  2. 金属イオンの濃度を、イオン強度で12.4mM以下の範囲に設定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 金属イオンがナトリウムイオン及び/又はマグネシウムイオンからなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. ステップ(b)において、前記泳動温度を、前記融解温度(Tfold)より5℃以上高い温度に設定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. ランダム配列の長さが、正常体又は一塩基変異体の一本鎖DNAの長さと同じであることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  6. 前記ステップ(c2)で作製する核酸断片の長さが20mer以上であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  7. 正常体又は一塩基変異体の一本鎖DNAの長さが、20mer〜200merであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 前記水溶性高分子が、水溶性のビニル系ポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 前記水溶性高分子が、ポリエチレングリコール(PEG)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  10. 一塩基変異部位を含む、正常体又は一塩基変異体の塩基変異部位を含む部分配列に完全に相補的な相補核酸断片と水溶性高分子との複合体が、該相補核酸断片と水溶性高分子とを結合するリンカーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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