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JP5120949B2 - 白色蛍光体の製造方法 - Google Patents
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JP5120949B2 - 白色蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、白色LED、室内照明器具、白色光を面発光させるような照明装置等として有用な新規な積層型白色蛍光体およびその効率的な製造方法に関する。
近年、PDP、FED等のフラットパネルディスプレイだけでなく、白色LEDや室内照明用の蛍光ランプなど照明装置にも多くの蛍光体材料が用いられており、その用途も拡大する一方である。特に照明用の白色LEDや蛍光ランプは紫外〜青色光を励起光とし、種々の波長に発光強度を持つ蛍光体を組み合わせて白色光を生み出している。具体的には励起光源が青色の場合には黄色や、緑色、赤色蛍光体を発光させて白色光を得ており、励起光源が紫外線の場合には青(緑)、黄、赤色の蛍光体を混合して白色光を得ている。(特許文献1)
しかしながら、複数の蛍光体を組み合わせて得る白色光には色抜けや特定波長のみに強い発光を示すなどの問題点もあり、室内照明として使用するには演色性を向上させるための努力が必要となる。そのため、照明用白色LEDに用いる蛍光体は発光波長が幅広い波長に広がることが必要であり、応用上、出来るだけ少ない蛍光体で理想的な白色光を再現して演色性を向上させることが望ましい。
しかしながら、通常、一物質で出来るだけ演色性の良い白色蛍光を示すことは難しい。
本発明者等は、このような問題点を解決するために、先に、バナジウム酸化物(AVO;AはK、Rb、Csからなる群より選ばれる1種以上)が、単一物質でブロードな発光スペクトルを示し、250〜390nmの紫外・近紫外光励起により蛍光スペクトルが515〜540nm付近に極大を持ち390〜800nmの範囲にブロードに広がる白色蛍光を発する蛍光体であることを報告した(特許文献2)。
このバナジウム酸化物蛍光体から発せられる蛍光スペクトルは、現在民生で使われている照明器具、通常の蛍光灯のスペクトルに近い発光スペクトルであることから、そのまま白色LED用の蛍光体として使用することができる。また、発光スペクトルのピークは515〜540nmの範囲にあるため色温度は高いが、長波長側に強い発光を持つ蛍光体と組み合わせることも可能であり、より暖色系の白色が得ることもできる上、水銀や鉛などを含まないため、環境・人体への悪影響も少ないなどの数多くの利点を有するものである。
ところで、一般に、無機固体の応用において、小型デバイスや平面形状をした部材に適用する場合には、粉末体やバルク体よりもこれを薄膜化することが望まれる。また、基板との関係においては、その製膜温度をできるだけ低下することが好ましいとされており、近年その需要が富に増大している、無機蛍光体の分野においてもその低温下での薄膜化手法が強く要請されるに至っている。
たとえば、ガラス基板に製膜する場合でも600℃以下の低温で行うことが必要で製膜プロセス温度の低減が必要となっている。ここで製膜温度の低減は基板の選択肢を多くすることから、応用範囲も拡大することが期待される。例えば200℃以下程度に製膜温度下げることが可能になればプラスチックなどの有機基板上に製膜が可能となり、フレキシブルな発光材料の開発も期待できる。
そこで、本発明者は先の特許文献2で提案した酸化バナジウム蛍光体(AVO)の製造方法として、基板温度が室温付近であっても製膜(結晶化)が可能な方法を開発した(特許文献3)。
この手法はAとVの金属比を実質1:1の割合で混合した有機金属溶液を有機基板上に塗布し、真空紫外線を照射して結晶化を行うもので、有機基板にダメージを与えることなく、基板上で直接結晶化させることができるといった多くの利点を有するものである。
しかしながら、この特許文献1および特許文献2に記載の酸化バナジウム蛍光体(AVO)は、演色性が演色指数70程度であり、また、様々な室内照明用装置などのように用途に応じた微妙な蛍光白色を調整することが極めて困難なものであった。
特開平11−31845号公報 特願2007−224846 特願2007−259862
本発明は、紫外・近紫外光等より励起され、蛍光スペクトルが390〜800nmの範囲に拡がり、演色性に優れた白色蛍光を呈し、しかもたとえば暖色系あるいは寒色系の白色も自在に調整することができる新規な白色積層型蛍光体およびこのものの工業的に有利な製造方法を提供することを目的とする。
この出願によれば、以下の発明が提供される。
〈1〉基板上に、酸化物白色蛍光体結晶薄膜、アモルファスアルミナ薄膜および最上部に酸化物蛍光体結晶薄膜が順次設けられた積層型白色蛍光体。
〈2〉基板が有機基板であることを特徴とする〈1〉に記載の積層型白色蛍光体。
〈3〉酸化物白色蛍光体が、酸化バナジウム系化合物であることを特徴とする〈1〉に記載の積層型白色蛍光体。
〈4〉最上部に作製される酸化物蛍光体が、赤色蛍光体または青色蛍光体であることを特徴とする〈1〉に記載の積層型白色蛍光体。
〈5〉紫外・近紫外光または紫外・近紫外線励起発光素子により、蛍光スペクトルが390〜800nmの範囲にブロード広がる白色蛍光を発することを特徴とする〈1〉に記載の積層型白色蛍光体。
〈6〉第一の酸化物蛍光体結晶薄膜を設けた基板を、室温〜150℃の温度に保持した後、アルミニウムを含む有機化合物溶液を表面に塗布し、波長400nm以下の紫外線を照射して、アモルファスアルミナ薄膜を形成し、その上に酸化物蛍光体結晶薄膜を形成することを特徴とする〈1〉〜〈5〉のいずれかに記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
〈7〉紫外線の光源が紫外線レーザまた紫外線ランプであることを特徴とする〈6〉に記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
〈8〉紫外ランプを照射した後、紫外線レーザを照射することを特徴とする〈7〉に記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
〈9〉アモルファスアルミナ薄膜の上に、酸化物蛍光体の金属組成を有する塗膜を設け、該塗膜に波長400nm以下の紫外線ランプを、ついで紫外線レーザを照射することにより、酸化物蛍光体結晶薄膜を形成することを特徴とする〈6〉〜〈8〉のいずれかに記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
〈10〉アモルファスアルミナ薄膜の上に、酸化物蛍光体の金属組成を有する膜を物理蒸着し、該蒸着膜に波長400nm以下の紫外線ランプを、ついで紫外線レーザを照射することにより、酸化物蛍光体結晶薄膜を形成することを特徴とする〈6〉〜〈8〉のいずれかに記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
〈11〉〈1〉〜〈5〉のいずれかに記載の積層型白色蛍光体を用いた白色LED。
〈12〉〈1〉〜〈5〉のいずれかに記載の積層型白色蛍光体を用いた表示器具。
〈13〉〈1〉〜〈5〉のいずれかに記載の積層型白色蛍光体を用いた照明器具。
〈14〉〈1〉〜〈5〉のいずれかに記載の積層型白色蛍光体を用いた表示器具。
本発明の積層型白色蛍光体は、紫外・近紫外光等より励起され、蛍光スペクトルが390〜800nmの範囲にブロードに拡がり、演色性に優れた白色蛍光を呈する。また、長波長側に強い発光を持つ赤色蛍光体との組み合わせによって暖色系の白色が得ることもできる。さらには短波長側に強い発光を持つ青色蛍光体との組み合わせによって寒色系の白色が得ることもできる。
本発明の製造方法によれば、基板温度が室温であっても目的とする積層型白色蛍光体の結晶化薄膜を製造することができる。また、光照射による製膜時には200℃以下の低温製膜が可能なためガラス基板等の無機固体基板だけでなく、プラスチック等の有機基板上にも直接製膜できる。そのため、材料コストを抑えられるだけでなく、自在に曲がるディスプレイや照明器具などフレキシブルな発光材料にも応用可能である。
また、本発明の実施例中の一つに記載した第二の酸化物蛍光体である、CaTiO:Pr3+薄膜は通常製造に高温(800〜1300℃)を要する材料であり、本物質が形成可能であることは他の多くの物質についても本手法が適用可能であることを示している。その結果、保護層を挟んで上下の蛍光体の組み合わせ、膜厚によって蛍光色を制御することも可能である。すなわち有機基板を利用した、コストの安い、自在に曲がるディスプレイや照明器具などフレキシブルな発光材料にも応用可能である。
本発明の積層型白色蛍光体は、基板上に、第一の蛍光体結晶薄膜である、酸化物白色蛍光体結晶薄膜を、その上に保護層である、アモルファスアルミナ薄膜を、該保護層の上に、第二の蛍光体結晶薄膜、たとえば酸化物赤色蛍光体結晶薄膜や酸化物青色蛍光体結晶薄膜が順次設けられていることを特徴とする。
以下、この積層型白色蛍光体について説明する。
基板としては、ガラスやアルミナのような無機基板、PETやポリイミドのような有機基板のいずれも使用できる。無機基板の場合には室温で融解したり、空気中の湿度によって溶けたりすることのないものであれば何れの基板にも製膜可能である。また、有機基板においては光照射によって結晶化するが、実際は光照射した場合、光によって基板温度が10分程度の照射時間で60〜70℃程度に加熱される。そのため、この温度付近で溶けないような材料を用いることが望ましい。また、プラスチック等の有機基板は強い青色発光するものも多いため、白色光を現すには青色発光が小さい基板を選ぶことが望ましい。
この基板上に設けられる第一の蛍光体結晶薄膜としては、酸化物白色蛍光体の結晶薄膜が用いられる。
酸化物白色蛍光体としては、紫外・近紫外光または紫外・近紫外線励起発光素子により、蛍光スペクトルが390〜800nmの範囲にブロード広がる白色蛍光を発するものであればいずれのものも使用できる。
本発明で好ましく使用される酸化物白色蛍光体は、AVO(AはK、RbおよびCsから選ばれる1種又は2種以上の原子である)で示されるバナジウム酸化物蛍光体である。
このバナジウム酸化物蛍光体薄膜は白色LEDの励起光源である紫外・近紫外LEDによって励起出来る250〜390nmの範囲に励起スペクトルを持つ。この励起光によって発せられる蛍光スペクトルは390〜800nmに広がり、白色に発光する。そのため白色LED用の蛍光体として好適である。発光スペクトルのピークは520〜540nmの範囲にあるため比較的色温度は高いが、長波長側に強い発光を持つ蛍光体との組み合わせによって暖色系の白色が得ることもできる。
本発明においては、この第一の蛍光体結晶薄膜の上に特定な保護層、すなわち、アモルファスアルミナ薄膜からなる保護層を用いる。
保護層がないと、紫外レーザ照射時にアブレーションが起こってしまい上部酸化物蛍光体薄膜形成が出来ないため本発明の目的を達成することができない。また他の保護層たとえば、蛍光体薄膜材料の表面保護層としてよく用いられるアモルファスSiO膜やMgO膜の場合には、本発明のような優れた膜質を与えることができない。
本発明においては、上記保護層であるアモルファスアルミナ薄膜の上に第二の酸化物蛍光体薄膜を設ける。第二の酸化物蛍光体結晶薄膜を設けた理由は、種々があるが、演色性のよい白色蛍光を発現させること、長波長側に強い発光を持つ赤色蛍光体との組み合わせによって暖色系の白色を、逆に短波長側に強い発光を持つ青色蛍光体との組み合わせにより寒色系の白色が得ることができるようした点が挙げられる。
酸化物赤色蛍光体および酸化物青色蛍光体としては、従来公知のものがいずれも使用できる。酸化物赤色蛍光体としては、CaTiO:Pr3+やY:Eu3+、SrTiO:Pr3+,Al3+、(Ca,Sr)TiO:Pr3+、YVO:Eu3+等が例示される。また、酸化物青色蛍光体としては、ZnO、BaMgAl1017:Eu2+等が例示される。
本発明に係る上記積層型白色蛍光体は、紫外・近紫外光または紫外・近紫外線励起発光素子により、蛍光スペクトルが390〜800nmの範囲にブロード広がる白色蛍光を発する。白色LEDの励起光源である紫外・近紫外LEDによって励起出来る250〜390nmの範囲に励起スペクトルを持つ。この励起光によって発せられる蛍光スペクトルは390〜800nmに広がり、白色に発光する。そのため白色LED用の蛍光体として好適である。発光スペクトルのピークは520〜540nmの範囲にあり、色温度は5000〜6500Kであるが、長波長側に強い発光を持つ蛍光体との組み合わせによって暖色系の白色が得ることもできる。また水銀や鉛などを含まないため、環境・人体への悪影響も少ない。
したがって、バナジウム酸化物蛍光体薄膜は白色LEDとしてきわめて有用なものであり、たとえば白色光を必要とする日常灯等の照明器具や各種表示機器に用いられるバックライト等の表示器具等として利用することができる。CIE色度座標値は、たとえばRbVOでx=0.316、y=0.424、CsVOでx=0.306、y=0.418である。両者とも内部量子効率は80〜90%程度の高い効率を持つ。
つぎに、本発明の上記積層型白色蛍光体の製造方法について説明する。
本発明の上記積層型白色蛍光体の製造方法は、第一の酸化物蛍光体結晶薄膜を設けた基板を、室温〜150℃の温度に保持した後、アルミニウムを含む有機化合物溶液を表面に塗布し、波長400nm以下の紫外線を照射して、アモルファスアルミナ薄膜を形成し、その上に第二の酸化物蛍光体結晶薄膜を形成することを特徴とする。
基板上に、組成式AVOで示される、第一の酸化物白色蛍光体結晶薄膜を設けるには、たとえば、基板上に形成されたA(AはK、RbおよびCsから選ばれる1種又は2種以上の原子である)とV(バナジウム)を実質的に1:1の原子比で含む薄膜を、25℃〜450℃の温度に保持した後、波長400nm以下の紫外線レーザ又は紫外線ランプを照射し、バナジウム酸化物を結晶化させればよい。
ここで、基板上に形成されたA(AはK、RbおよびCsから選ばれる1種又は2種以上の原子である)とVを含む薄膜とは、A(イオン)を含む化合物とVを含む化合物との混合物を種々の方法により基板上に製膜させた薄膜を意味する。
A(イオン)を含む化合物としては、K、RbおよびCsから選ばれる1種又は2種以上の原子を含む無機化合物または有機化合物が挙げられる。
無機化合物の例としては、結晶化に至っていないアモルファスなKVO、RbVO、CsVO等の前躯体が挙げられる。
有機化合物の例としては、一般的に、これらの元素を含む、β−ジケトナト、炭素数6以上の長鎖のアルコキシド、ハロゲンを含んでもよい有機酸塩などが挙げられる。
具体的には、これらの金属のナフテン酸塩、2エチルヘキサン酸塩、アセチルアセトナト塩などが挙げられる。
なお、A(イオン)を含む化合物には、Li、Na、NHから選ばれる1種又は2種以上を含んでいても構わない。
Vを含む化合物としては、これを含む無機化合物または有機化合物が挙げられる。
無機化合物の例としては、結晶化に至っていないアモルファスなKVO、RbVO、CsVO等の前躯体が挙げられる。
有機化合物の例としては、一般的に、バナジウムを含む、β−ジケトナト、炭素数6以上の長鎖のアルコキシド、ハロゲンを含んでもよい有機酸塩などが挙げられる。
具体的には、バナジウムの2エチルヘキサン酸塩、アセチルアセトナト塩などが挙げられる。
上記A及びVを含む化合物は、AとVの原子が実質的に1:1となるように混合して、薄膜形成用の溶液とする。この場合、必要によりトルエン・キシレンなどの溶媒を使用してもよい。
ついでこの溶液は、適宜方法により基板上に有機金属薄膜として製膜される。この場合、酸化物への反応が起こり易く、質の良い膜を製造するために、溶液の作製後(A及びVを含む有機金属溶液の混合後)、速やかに製膜を行うことが望ましい
製膜方法は制約されず、スパッタリング、MBE、真空蒸着、CVD、化学溶液法(塗布熱分解法、スプレー法)などが適宜用いられる。
つぎに、製膜された薄膜は、25℃〜450℃の温度に保持された後、波長400nm以下の紫外線レーザ又は紫外線ランプが照射される。なお、基板温度は基板の熱耐性温度に依る。
紫外線レーザの場合、具体的には、製膜後、たとえば、100℃で乾燥し、その後、基板温度は室温にし、低エネルギーで紫外レーザ照射を行う。この場合、アブレーションによる膜厚の減少を抑制し、酸化バナジウムの結晶化を促進するために、10〜20mJ/cmの範囲でレーザ照射をすることが望ましい。
また紫外線ランプの場合には、製膜後、基板温度は室温にし、低エネルギーで紫外ランプ照射を行う。この場合、酸化バナジウムの結晶化を促進するために、15〜50mW/cmの条件で紫外線ランプ照射をすることが望ましい。
また、本発明においては、製膜時間の短縮を目的とする場合には、薄膜に紫外ランプを短時間照射した後、紫外線レーザを照射して結晶化させることが好ましい。
つぎに、本発明の製造方法においては、この第一の蛍光体結晶薄膜の上にアモルファスアルミナ薄膜からなる保護層を設ける。
アモルファスアルミナ薄膜からなる保護層を形成する手法として、Al(イオン)を含む有機化合物を溶液状にし、上記第一の酸化物蛍光体結晶薄膜上に塗布し、製膜後アモルファス化させればよい。
アルミニウムを含む有機化合物の例としては、一般的に、これらの元素を含む、β−ジケトナト、炭素数6以上の長鎖の有機酸塩(ハロゲンを含んでもよい)などが挙げられる。具体的には、ナフテン酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、アセチルアセトナト塩などが挙げられる。
上記Alを含む化合物を薄膜形成用の溶液とする場合、必要によりトルエン・キシレンなどの溶媒を使用してもよい。ついでこの溶液は、適宜方法により上記第一の酸化物蛍光体結晶薄膜上に製膜される。製膜方法は制約されず、スパッタリング、MBE、真空蒸着、CVD、化学溶液法(塗布熱分解法、スプレー法)などが適宜用いられる。
つぎに、製膜された薄膜は、25℃〜150℃の温度に保持された後、波長400nm以下の紫外線ランプ又は紫外線レーザが照射される。
紫外線ランプの場合には、製膜後、基板温度は室温にし、低エネルギーで紫外ランプ照射を行う。この場合、有機物の分解を促進するために、30〜50mW/cmの条件で紫外線ランプ照射をすることが望ましい。
また紫外線レーザの場合、具体的には、製膜後、たとえば、100℃で乾燥し、その後、基板温度は室温にし、低エネルギーで紫外レーザ照射を行う。この場合、アブレーションによる膜厚の減少を抑制するために、5〜20mJ/cmの範囲でレーザ照射をすることが望ましい。また、本発明においては、製膜時間の短縮を目的とする場合には、薄膜に紫外ランプを短時間照射した後、紫外線レーザを照射してアモルファス化させることが好ましい。
つぎに、本発明の製造方法においては、上記保護層であるアモルファス酸化アルミニウムに上に第二の酸化物蛍光体薄膜を設ける。
この第二の酸化物蛍光体結晶薄膜を上記アモルファスアルミナ薄膜上に設けるには、たとえば、該アモルファスアルミナ薄膜上に酸化物蛍光体の金属組成を有する塗膜を設け、該塗膜に波長400nm以下の紫外線ランプを、ついで紫外線レーザを照射するか、あるいは該アモルファスアルミナ薄膜の上に、酸化物蛍光体の金属組成を有する膜を物理蒸着し、該蒸着膜に波長400nm以下の紫外線ランプを、ついで紫外線レーザを照射すればよい。
以下、第二の酸化物蛍光体として、CaTiO:Pr3+赤色蛍光体を用いた場合の例にとり、アモルファス酸化アルミニウム層の上にCaTiO:Pr3+蛍光体薄膜を形成する手法を説明する。
まずCa、Ti、Pr(イオン)を含む有機化合物を溶液状にし、アモルファス酸化アルミニウム上に塗布する。有機化合物の例としては、一般的に、これらの元素を含む、β−ジケトナト、炭素数6以上の長鎖の有機酸塩(ハロゲンを含んでもよい)などが挙げられる。具体的には、ナフテン酸塩、2エチルヘキサン酸塩、アセチルアセトナト塩などが挙げられる。上記Ca、Ti、Prを含む化合物を薄膜形成用の溶液とする。この場合、必要によりトルエン・キシレンなどの溶媒を使用してもよい。ついでこの溶液は、適宜方法により基板上に有機金属薄膜として製膜される。この場合、酸化物への反応が起こり易く、質の良い膜を製造するために、溶液の作製後(Ca、Ti、Prを含む有機金属溶液の混合後)、速やかに製膜を行うことが望ましい製膜方法は制約されず、スパッタリング、MBE、真空蒸着、CVD、化学溶液法(塗布熱分解法、スプレー法)などが適宜用いられる。
つぎに、製膜された薄膜は、25℃〜150℃の温度に保持された後、波長400nm以下の紫外線レーザ又は紫外線ランプが照射される。
紫外線レーザの場合、具体的には、製膜後、たとえば、100℃で乾燥し、その後、基板温度は室温にし、まず始めに低エネルギーで紫外レーザ照射を行う。この場合、アブレーションによる膜厚の減少を抑制し、アモルファス状態になることを促進するために、5〜20mJ/cmの範囲でレーザ照射をしなければならない。続いて、結晶化させるために120〜180mJ/cmの範囲でレーザ照射を行う。下層へのレーザ加熱による瞬間加熱によるダメージを防ぐためにショット数は20〜50パルス程度に留めておくのが良い。また、本発明においては、レーザ照射前に、薄膜に紫外ランプを短時間照射する処理をしておくことが好ましい。
以下、実施例により本願発明を更に詳細に説明するが、実施例が本特許内容を制限するものではない。
実施例1
PET基板上に作製したRbVO薄膜上に2エチルヘキサン酸アルミニウムトルエン溶液(C1溶液)を3000rpm、10秒間でスピンコートし、大気中で222nmの紫外線ランプを照射エネルギー25mW/cmで、10分照射したのち、同じく大気中で172nmの紫外線ランプを照射エネルギー38mW/cmで、10分照射した結果、有機成分が分解し、アモルファスアルミナ薄膜が形成され、PET/RbVO薄膜/アモルファスアルミナ薄膜からなる積層体が得られた。
実施例2
実施例1において、172nm紫外線ランプの照射エネルギーを50mW/cmで照射したところ照射部は、有機成分が分解しアモルファスアルミナ薄膜が形成され、実施例1と同様な積層体が得られた。
実施例3
実施例1において、紫外線ランプ照射後に紫外線レーザを10mJ/cmで照射したところレーザアブレーションを起こさずアモルファスアルミナ薄膜が形成され、実施例1と同様な積層体が得られた。
実施例4
実施例1において作製された積層体のアモルファスアルミナ薄膜上に、2−エチルヘキサン酸Ca、2−エチルヘキサン酸Ti、2−エチルヘキサン酸Prの金属組成比を0.997:1:0.002の割合で混合しトルエンで希釈した溶液(C2溶液)を3000rpm、10秒間でスピンコートし、大気中で222nmの紫外線ランプを照射エネルギー25mW/cmで、10分照射したのち、同じく大気中で248nmの紫外線レーザを照射エネルギー20mJ/cmで照射した後、照射エネルギーを170mJ/cmに上昇させたところ、アモルファスアルミナ薄膜上に赤色蛍光体膜Ca0.997Pr0.002TiOが結晶化し、紫外励起による蛍光を示した。蛍光色はRbVOだけのものよりも赤色の混ざった色温度の低い白色となった。
実施例5
実施例1において作製されたアモルファスアルミナ薄膜上に、2エチルヘキサン酸Ca、2エチルヘキサン酸Sr、2エチルヘキサン酸Ti、2エチルヘキサン酸Prの金属組成比を0.648:0.349:1:0.002の割合で混合しトルエンで希釈した溶液(C3溶液)を3000rpm、10秒間でスピンコートし、大気中で222nmの紫外線ランプを照射エネルギー25mW/cmで、10分照射したのち、同じく大気中で248nmの紫外線レーザを照射エネルギー20mJ/cmで照射した後、照射エネルギーを170mJ/cmに上昇させたところ、アモルファスアルミナ薄膜上に赤色蛍光体膜(Ca0.65Sr0.350.997Pr0.002TiOが結晶化した積層型蛍光体を得た。このものは紫外励起による蛍光を示した。蛍光色はRbVOだけのものよりも赤色の混ざった色温度の低い白色となった。実施例5で得た(Ca0.65Sr0.350.997Pr0.002TiO/アモルファスAl/RbVO/PET薄膜の製造工程フローを図1に示す。また、この積層型蛍光体のPLスペクトルを図2に示す。525nm付近に位置する最も大きな発光ピークはRbVOに由来するものであり、375nm付近の小さなピークは基板のPETの発光である。610nm付近の発光ピークは(Ca0.65Sr0.350.997Pr0.002TiOによる赤色発光でドープしたPr3+に起因する。図中にも示したCIE色度座標値はx=0.313、y=0.381であり、上部蛍光体層の形成をしないRbVO/PET(x=0.305、y=0.401)(図3)より純白(x=0.33、y=0.33)に近づいている。
比較例1
実施例1に示すアモルファスアルミナ薄膜の形成をせずにRbVO膜上に直接実施例4に示す赤色蛍光体の形成を試みたところ紫外線レーザの照射エネルギーが20mJ/cmでは全く結晶化せず、照射エネルギーを80mJ/cmではRbVOとともにアブレーションが起こり、PET基板も焦げてしまい、積層型蛍光体を得ることはできなかった。
比較例2
実施例5において、アモルファスアルミナ薄膜と赤色蛍光体膜(Ca0.65Sr0.350.997Pr0.002TiOを設けずに、PET/RbVO薄膜からなる蛍光体を得た。
このものは紫外励起による蛍光を示した。蛍光色はRbVOだけを設けたものより赤色の混ざらない色温度の高い白色となった。この単層型蛍光体のそのPLスペクトルを図2に示す。
実施例5の製造工程フロー 実施例5の、(Ca0.65Sr0.350.997Pr0.002TiO/アモルファスAl/RbVO/PET薄膜のPLスペクトル 比較例2の単層型蛍光体(RbVO/PET)のPLスペクトル

Claims (14)

  1. 基板上に、酸化物白色蛍光体結晶薄膜、アモルファスアルミナ薄膜および最上部に酸化物蛍光体結晶薄膜が順次設けられた積層型白色蛍光体。
  2. 基板が有機基板であることを特徴とする請求項1に記載の積層型白色蛍光体。
  3. 酸化物白色蛍光体が、酸化バナジウム系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の積層型白色蛍光体。
  4. 最上部に作製される酸化物蛍光体が、赤色蛍光体または青色蛍光体であることを特徴とする請求項1に記載の積層型白色蛍光体。
  5. 紫外・近紫外光または紫外・近紫外線励起発光素子により、蛍光スペクトルが390〜800nmの範囲にブロード広がる白色蛍光を発することを特徴とする請求項1に記載の積層型白色蛍光体。
  6. 第一の酸化物蛍光体結晶薄膜を設けた基板を、室温〜150℃の温度に保持した後、アルミニウムを含む有機化合物溶液を表面に塗布し、波長400nm以下の紫外線を照射して、アモルファスアルミナ薄膜を形成し、その上に酸化物蛍光体結晶薄膜を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
  7. 紫外線の光源が紫外線レーザまた紫外線ランプであることを特徴とする請求項6に記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
  8. 紫外ランプを照射した後、紫外線レーザを照射することを特徴とする請求項7に記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
  9. アモルファスアルミナ薄膜の上に、酸化物蛍光体の金属組成を有する塗膜を設け、該塗膜に波長400nm以下の紫外線ランプを、ついで紫外線レーザを照射することにより、酸化物蛍光体結晶薄膜を形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
  10. アモルファスアルミナ薄膜の上に、酸化物蛍光体の金属組成を有する膜を物理蒸着し、該蒸着膜に波長400nm以下の紫外線ランプを、ついで紫外線レーザを照射することにより、酸化物蛍光体結晶薄膜を形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の積層型白色蛍光体の製造方法。
  11. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層型白色蛍光体を用いた白色LED。
  12. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層型白色蛍光体を用いた表示器具。
  13. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層型白色蛍光体を用いた照明器具。
  14. 請求項1〜5のいずれかに記載の積層型白色蛍光体を用いた表示器具。
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