JP5135106B2 - 成膜装置および成膜方法、並びに、液体吐出装置 - Google Patents
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さらに、特許文献1に開示されるスパッタリング装置は、誘電体膜を付着させるために、孔の深さを深くしようとすると、必然的にアノードの厚みが増加してしまい、装置の拡大が必要になったり、アノードに付着した膜を除去するクリーニングを行う際に、ハンドリングが著しく困難になったりするという問題がある。また、粒子が付着しにくいSUS等でアノードを形成した場合も、アノードの重量が大きくなってしまい、アノードに付着した膜を除去するクリーニングを行う際に、ハンドリングが著しく困難になるという問題がある。
また、本発明によれば、アノードが板状部材で構成されているので、アノードに膜が付着した場合も、取り扱いが容易であり、さらに、付着物を容易にクリーニング(除去)することができる。
さらに、本発明において、貫通孔が成膜用基板と直交する方向では互いに一致しないように隣接する板状部材を配置することにより、チャンバの下側に位置する板状部材への膜の付着の確率を減少させることができ、チャンバへの膜の付着を低減させることができる。
図1は、本発明の成膜方法を実施する成膜装置の一実施形態を概念的に示す概略構成図であり、図2は、図1に示す成膜装置のアノードを構成する板状部材を模式的に示す模式図であり、(a)は、アノードの板状部材を真空装置の天井側から見た上面図であり、(b)は、アノードの板状部材の断面斜視図である。
以下では、薄膜として圧電膜を成膜し、この薄膜を用いた薄膜デバイスとして圧電素子を製造する成膜装置を代表例として説明するが、本発明は、これに限定されないのはいうまでもない。
図1に示すように、本発明の成膜装置10は、ガス導入管12aおよびガス排出管12bを備える真空容器12と、この真空容器12の天井に配置され、かつ、スパッタリング用のターゲット材TGを保持し、カソードの役割を果たし、プラズマを発生させるターゲットホルダ14と、このターゲットホルダ14に接続され、ターゲットホルダ14に高周波を印加する高周波電源16と、真空容器12内の、ターゲットホルダ14と対向する位置に配置され、ターゲット材TGの成分による薄膜が成膜される基板SBを載置する載置台(基板ホルダ)18と、ターゲットホルダ14と載置台18との間に、載置台18のターゲットホルダ14側の外周を取り囲むように設けられた、複数の貫通孔を有する板状部材22aおよびbを2枚重ねたアノード20とを有する。
真空容器12としては、スパッタ装置で利用される真空チャンバ、ベルジャー、真空槽などの種々の真空容器を用いることができる。
ガス導入管12aは、これらのガスの供給源(図示せず)に接続されている。
一方、ガス排出管12bは、真空容器12内を所定の真空度にすると共に、成膜中にこの所定の真空度に維持するために、真空容器12内のガスを排気するため、真空ポンプ等の排気手段に接続されている。
なお、高周波電源16がターゲットホルダ14に印加する高周波電力は、特に制限的ではなく、例えば13.65MHz、最大5kW、あるいは、最大1kWの高周波電力などを挙げることができるが、例えば50kHz〜2MHz、27.12MHz、40.68MHz、60MHz、1kW〜10kWの高周波電力を用いるのが好ましい。
こうして生成されたプラスイオンは、ターゲットホルダ14に保持されたターゲット材TGをスパッタする。このようにして、プラスイオンにスパッタされたターゲット材TGの構成元素は、ターゲット材TGから放出され、中性あるいはイオン化された状態で、対向離間配置された載置台18に保持された基板SB上に蒸着される。
こうして、真空容器12の内部のターゲットホルダ14と載置台18との間に、Arイオン等のプラスイオンやターゲット材TGの構成元素やそのイオンなどを含むプラズマ空間Pが形成される。
なお、載置台18は、図示しないが、基板SBの成膜中に、基板SBを所定温度に、加熱しかつ維持するためのヒータ(図示せず)を備えている。
また、載置台18に装着される基板SBのサイズは、特に制限的ではなく、通常の6インチサイズの基板であっても、5インチや、8インチのサイズの基板であってもよいし、5cm角のサイズの基板であってもよい。
なお、本実施形態においては、基板SBは電気的に絶縁され、かつ、所定の電圧が印加される。
他方、板状部材22aおよびbは、図2の(a)および(b)に示すように、表面に複数の貫通孔26を有する円環状の部材である。
なお、本発明において、アノード20を構成する板状部材22aおよび22bが、貫通孔26を有している理由については、後に詳述する。
また、アノード22は、本実施形態においては、図1に示すように、接地されている。
アノード22において、板状部材22aおよび22bの内径を上記のように構成することにより、基板SBに、ガスが流れやすくなり、基板SB上に、良質の薄膜を形成することができる。
本発明において、アノード22の板状部材22の離間距離(間隙距離)とは、載置台18表面と直交する方向に重なるように配置された複数の板状部材22のうち、互いに載置台18表面と直交する方向で隣接する(上下関係にある)板状部材22において、上側(ターゲット側)に位置する板状部材の下面と、下側(基板側)に位置する板状部材の上面との距離であり、すなわち、本実施形態であれば、板状部材22aの図中下面と板状部材22bの図中上面との距離である。
図3は、アノードおよびカソード(ターゲットホルダ)のシース(図示せず)を、それぞれ、コンデンサとみなし、イオン(電子)の電流密度が一様であるとした場合の、プラズマ発生時のアノードおよびカソード間の電位分布を示すグラフである。
なお、図3に示すグラフの縦軸は、電位を表している。
(V1/V2)=(A2/A1)4
さらに、下部のアノードには膜が付着しにくいため、成膜によって有効アノード面積が減少することなく、長期間、真空容器12内のプラズマの状態を安定させることができる。
アノード22をこのように構成することにより、貫通孔26は、ターゲットTGに対して角度をつけて並ぶ形となるので、スパッタリングされたターゲットTGの粒子が、真空容器12内の下側に位置する板状部材22や真空容器12の下面に付着するのを効果的に防ぐことができる。
なお、上記板状部材22の中心から板状部材の22内側面までの最短距離とは、板状部材22が、例えば、円環状であれば、上述のように内径であり、長方形の環状であれば、長方形の中心から長方形の長辺の中心までの距離である。
なお、本発明においては、ターゲットは、誘電体、圧電体、絶縁体、または強誘電体であるのが好ましい。
以下に、その理由を説明する。
図4に模式的に示すように、ターゲットホルダ14の放電により真空容器12内に導入されたガスがプラズマ化され、Arイオン等のプラスイオンIpが生成し、ターゲットホルダ14と載置台18との間、すなわち、ターゲットホルダ14に保持されたターゲット材TGと載置台18に保持された基板SBとの間にプラズマ空間Pが生成される。生成したプラスイオンIpはターゲット材TGをスパッタする。プラスイオンIpにスパッタされたターゲット材TGの構成元素Tpは、ターゲット材TGから放出され中性あるいはイオン化された状態で基板SBに蒸着される。
E=1/2mv2=3/2kT
(式中、mは質量、vは速度、kは定数、Tは絶対温度である。)
電位差Vs−Vfは、温度と同様の効果以外にも、表面マイグレーションの促進効果、弱結合部分のエッチング効果などの効果を持つと考えられる。
図6は、本発明に係る圧電素子の一実施形態を用いたインクジェットヘッドの一実施形態の要部断面図(圧電素子の厚み方向の断面図)である。なお、視認しやすくするために、構成要素の縮尺は、実際のものとは適宜異ならせてある。
また、下部電極60は、基板58の略全面に形成されており、この上に図中手前側から奥側に延びるライン状の凸部62aがストライプ状に配列したパターンの圧電膜62が形成され、各凸部62aの上に上部電極64が形成されている。
圧電膜62のパターンは、図示するものに限定されず、適宜設計される。なお、圧電膜62は、連続膜でも構わないが、圧電膜62を、連続膜ではなく、互いに分離した複数の凸部62aからなるパターンで形成することで、個々の凸部62aの伸縮がスムーズに起こるので、より大きな変位量が得られ、好ましい。
上部電極64の主成分としては、特に制限的ではなく、下部電極60で例示した材料、Al,Ta,Cr,およびCu等の一般的に半導体プロセスで用いられている電極材料、およびこれらの組合せが挙げられる。
圧電膜62は、上述の本発明のスパッタ方法を適用する成膜方法により成膜された膜である。圧電膜62は、好ましくは、ペロブスカイト型酸化物からなる圧電膜である。
下部電極60と上部電極64の厚みは、例えば200nm程度である。圧電膜62の膜厚は特に制限なく、通常1μm以上であり、例えば1〜5μmである。
インクジェットヘッド50では、従来公知の駆動方法により、圧電素子52の凸部62aに印加する電界強度を凸部62a毎に増減させてこれを伸縮させ、これによってインク室68からのインクの吐出や吐出量の制御が行われる。
本発明のインクジェットヘッドは、基本的に以上のように構成されている。
図1に示す成膜装置10として、市販の成膜装置(Oerlikon社製CLN2000型)を用いた。
ターゲット材TGには、300mmφのPb1.3(Zr0.52Ti0.48)O3組成の焼結体を用いた。
ターゲット材TGと基板SBとの間の距離は、60mmとした。
また、基板SBのターゲット材TG側の外周を取り囲むように、外径300mmφ、内径220mmφのステンレス鋼(SUS)製の板状部材22aをターゲット材TG側に、他方、外径300mmφ、内径160mmφのステンレス鋼(SUS)製の板状部材22abを基板側に設置して、アノード20を設けた。
このとき、上記市販の装置(Oerlikon社製CLN2000型)に搭載されているソフトウウェアで、成膜時間の経過毎にカソードセルフバイアスVdcと基板電位Vfとを測定した。
また、1時間毎に、PANalytica社製のX’pert PRO X線回折装置を用いて、成膜した膜のXRD(X線回折)を行い、XRDのピーク比によって、パイロクロア構造に対するペロブスカイト構造の割合、すなわち、ペロブスカイト構造/パイロクロア構造を求め、この結果を、図9に白丸(○)で示した。
他方、図9は、縦軸に、パイロクロア構造に対するペロブスカイト構造の割合、すなわち、ペロブスカイト/パイロクロアを表し、横軸に、成膜時間を表したグラフである。
アノードを構成する板状部材が貫通孔を有していないこと以外は実施例と同様の装置を用いて、実施例と同様の方法で、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜の成膜を7時間連続で行った。
また、1時間毎に、PANalytica社製のX’pert PRO X線回折装置を用いて、成膜した膜のXRD(X線回折)を行い、ペロブスカイト/パイロクロアのXRDのピーク比によって、パイロクロア構造に対するペロブスカイト構造の割合、すなわち、ペロブスカイト構造/パイロクロア構造を求め、この結果を、図9に黒丸(●)で示した。
板状部材を有していないこと以外は実施例と同様の装置を用いて、実施例と同様の方法で、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜の成膜を7時間連続で行った。
このときの成膜時間に伴うカソードセルフバイアスVdcの変化を図7に三角(▲)で示し、他方、このときの成膜時間に伴う基板電位Vfの変化を図8に三角(▲)で示す。
また、1時間毎に、PANalytica社製のX’pert PRO X線回折装置を用いて、成膜した膜のXRD(X線回折)を行い、ペロブスカイト/パイロクロアのXRDのピーク比によって、パイロクロア構造に対するペロブスカイト構造の割合、すなわち、ペロブスカイト構造/パイロクロア構造を求め、この結果を、図9に三角(▲)で示した。
すなわち、実施例のようにしてPZT膜の成膜を実施すると、真空容器12内の電極間の電位が安定することがわかった。
これは、複数の孔を設けた板状部材で構成されたアノードを用いたかったことにより、板状部材を具備するアノードにPZT膜が付着し、実効的なアノードの面積が減少することによって、ターゲットホルダ周辺のシース電位の降下が小さくなり、アノード周辺のシース電位の降下が大きくなったからだと考えられる。
これは、実施例のようにしてPZTを成膜した場合よりもVdcが高く、Vfが低いことから、アノードを設けなかったことにより、スパッタリングの駆動力となるターゲットホルダ(カソード)周辺のシース電位の降下が小さく、逆スパッタの駆動力となるアノード周辺のシース電位の降下が大きくなっていることが明白である。
また、このとき、30Vの電圧で駆動させたときの変位量から、実施例のようにして成膜したPZT膜の圧電特性を測定したが、この圧電特性も良好であった。
すなわち、実施例のようにしてPZT膜の成膜を実施することにより、長時間成膜を実施しても良質なPZT膜を成膜できることがわかった。
さらに、このときも実施例と同様にして、PZT膜の圧電特性を測定したが、圧電性能を示さなかった。
すなわち、比較例1のようにして、孔を設けていない板状部材で構成されたアノードを用いることにより、成膜時間の経過と共に、良質なPZT膜を成膜できないことがわかった。
これは、成膜開始後、早い時間でアノードの実効面積が劇的に減少し、成長途中で実施例1のような良好な膜を形成できる条件から外れてしまったことに起因する。
すなわち、比較例2のようにして、アノードを用いないことにより、成膜開始後の早い段階で、良質なPZT膜を成膜できないことがわかった。
12 真空容器
12a ガス導入管
12b ガス排出管
14 ターゲットホルダ
16 高周波電源
18 載置台
20 アノード
22 板状部材
24 棒状体
50 インクジェットヘッド
52 圧電素子
54 インク貯留吐出部材
56 振動板
58 基板(支持基板)
60、64 電極
62 圧電膜
68 インク室
70 インク吐出口
IP プラスイオン
P プラズマ空間
SB 基板(成膜基板)
TG ターゲット材
Tp ターゲット材の構成元素
Claims (15)
- ガスの導入と排気が可能な真空容器と、
前記真空容器内に配置され、かつ、成膜材料となるターゲットを保持するターゲットホルダと、
前記真空容器内に前記ターゲットホルダに対向して配置され、かつ、前記成膜材料の薄膜が形成される成膜用基板を保持する基板ホルダと、
前記ターゲットホルダと前記基板ホルダとの間に、前記基板ホルダの前記ターゲットホルダ側の外周を取り囲むように設けられたアノードとを有し、
前記アノードは、複数の貫通孔を持つ環状の板状部材を複数枚重ねたものであり、かつ、前記基板ホルダ側に位置する前記板状部材ほど環状の中心から内側面までの最短距離が小さく、
前記真空容器内に前記ガスを導入し、前記ターゲットホルダと基板ホルダとの間に、電圧をかけてプラズマを生成し、前記成膜用基板上に前記成膜材料の薄膜を形成することを特徴とする成膜装置。 - 前記板状部材は、環状であることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
- 前記環状は、円環状であることを特徴とする請求項2に記載の成膜装置。
- 前記アノードは、複数枚の前記板状部材を前記基板ホルダと直交する方向に互いに離間させて重ねたものであり、
隣接する前記板状部材の前記複数の貫通孔は、前記基板ホルダと直交する方向では互いに一致しないように配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置。 - 前記アノードは、複数枚の前記板状部材を前記基板ホルダと直交する方向に互いに離間させて重ねたものであり、
隣接する前記板状部材は、互いに、1.0mm〜15.0mm離間させて配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。 - 前記アノードは、接地されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成膜装置。
- 前記アノードは、前記成膜用基板とは電気的に絶縁され、かつ、所定の電圧が印加されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成膜装置。
- ターゲットと成膜用基板との間にプラズマを生成し、前記プラズマのイオンを前記ターゲットに衝突させて、前記成膜用基板上に前記ターゲットを成膜材料とする薄膜を形成する成膜方法であって、
前記ターゲットと前記成膜用基板との間に、前記成膜用基板の前記ターゲット側の外周を取り囲むように、複数の貫通孔を有する環状の板状部材を複数枚重ね、かつ、前記基板ホルダ側に位置する前記板状部材ほど環状の中心から内側面までの最短距離が小さいアノードを設け、前記アノードにより、前記薄膜の形成時に、前記プラズマ中のプラズマ電位Vs(V)とフローティング電位Vf(V)との差Vs−Vf(V)を制御することを特徴とする成膜方法。 - 前記ターゲットは、誘電体、圧電体、絶縁体、または強誘電体であることを特徴とする請求項8に記載の成膜方法。
- 前記板状部材は、環状であることを特徴とする請求項8または9に記載の成膜方法。
- 前記環状は、円環状であることを特徴とする請求項10に記載の成膜方法。
- 前記アノードは、複数枚の前記板状部材を前記基板ホルダと直交する方向に互いに離間させて重ねたものであり、
隣接する前記板状部材の前記複数の貫通孔は、前記成膜用基板と直交する方向では互いに一致しないように配置されていることを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の成膜方法。 - 前記アノードは、複数枚の前記板状部材を前記基板ホルダと直交する方向に互いに離間させて重ねたものであり、
隣接する前記板状部材は、互いに、1.0mm〜15.0mm離間させて配置されていることを特徴とする請求項8〜12のいずれかに記載の成膜方法。 - 前記アノードは、接地されていることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の成膜方法。
- 前記アノードは、前記成膜用基板とは電気的に絶縁され、かつ、所定の電圧が印加されていることを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の成膜方法。
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